探蝶逍遥記

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アサギマダラの飼育メモ

 10月下旬、東京都下のポイントで採卵した1卵をフルステージ飼育した記録です。餌は全てキジョラン。11月3日に孵化。孵化直後は動き回って撮影できず。眠が近い初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月4日

 体長5mm。孵化直後はほぼ無紋ですが、すぐに浅葱色の小紋が出現します。初齢段階で既に成虫の斑紋を想起させる色調を纏っていることには驚かされます。孵化直後はキジョランの葉裏を円形に「舐め食い」し、その後、葉の厚み全体を食い切っていきます。この時期の幼虫特有の円形食痕と初齢幼虫の姿です。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/15,外部ストロボ、撮影月日:11月4日

 野外ではキジョランの葉裏に静止しておりますが、飼育でたまたま葉裏を上側に向けて置くと、幼虫は葉表側(光沢のある面)で静止しております。常に葉陰側に潜んで、外敵から目をくらます知恵なのでしょうね。5日に眠、翌6日に2齢へ。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=64/200,F4.5/5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月9日

 体長9.5mm。白斑が明確になり、気門線周りおよび腹節の一部に黄色紋も出現。更には、中胸部と第8腹節に棘状突起も現れました。9日に眠、翌10日3齢。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月13日

 体長14.3mm。2対の突起の長さが伸びて、本種幼虫らしい姿になりました。2齢に比較して亜背線にペアで配置される、やや大型黄色紋の範囲も伸びてきますが、未だ中央腹節部には白色班が残っています。13日眠、翌日4齢へ。
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EM12-Z60(上段5コマ/下段6コマ深度合成+トリミング),ISO=64,F5/4-1/30,外部ストロボ、撮影月日:11月16日

 体長22.5mm。中胸部の突起は更に伸びて頭部より先に届くようになりました。なお体長は突起を含めず頭部から尾端までの長さを計測した値です。亜背線両側の大型黄色紋は腹節全体に広がりました。加えて、これまで黒一色だった頭殻にも白斑が入りました。4齢時の食痕も示しておきます。
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EM12-Z60,ISO=200,F2.8-1/80,外部ストロボ、撮影月日:11月16日

 この齢数では、葉の縁からどんどん齧るため、食痕に規則性はありません。17日に眠、19日に5齢(終齢)到達。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30&1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月24日

 体長39mm。幼虫体形が太くなり、白斑の数が増加し、いかにも「斑蝶」らしい幼虫の雰囲気が出てきました。4齢時からそうですが、中胸から突出した長大な突起は、能動的に動かせ、時折食草の表面に突起先端を接触させる行動が観察できます。明らかにこの突起先端には感覚センサーが付いているのでしょう。他のタテハチョウ科幼虫の棘状突起とは機能が異なるように思います。一方第8腹節から伸びる突起は、中胸のとは異なり動きません。単に、外敵から頭部と錯覚させる擬態部品として有効なのでしょう。参考のため、5齢頭部を正面から拡大した絵もアップしておきましょう。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月24日

 5齢より、頭部模様が複雑化して、浅葱色の斑紋が出ております。面構えはバイキンマンのような悪役イメージですね。
 なお、孵化から3齢途中までは、産附されたキジョランの葉を食べておりました。結局、前蛹までに食したキジョランの葉は合計4.7枚でした。また、野外採葉したキジョランには、マダラヤドリバエの微小卵が付いているようなので、スポンジで擦って微小卵を除去した後、幼虫に与えるなど、細心の注意を払いました。11月28日に前蛹。
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EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング),ISO=400,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月28日

 種類によらず前蛹時には体色が微妙に変化します。アサギマダラでは、これまで観察されなかった緑色を帯びてきました。当初、葉被りして画像が緑色に染まったのか?と誤解した位です。翌29日、無事蛹化しました。
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EM12-Z60(左4コマ/右3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30&1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月30日

 体長(懸垂器部分を除く)24mm。まるで翡翠を彷彿とさせる宝石のような姿です。イヤリングとして販売したら売れるかも(^^) 前蛹時に緑色を帯びた理由が理解できました。孵化から蛹化まで要した日数は26日。蛹化から概ね10日ほどで羽化するだろうと期待しておりましたが、一向にその気配がありません。結局冬らしい寒さになって来た12月15日を過ぎて、ようやくストロー周りの組織が黒く変化。その後、本種らしい前翅の斑紋が透けて見えるようになりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:12月18日

 どんな飼育事例でも、蛹に翅模様が透けて見えるようになると、ようやく95%飼育が成功したなぁ~と安堵できます。この画像を撮影した翌日、12月19日に無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日・時刻:12月19日9時36分

 前翅長は55mm。ごく普通のサイズと思われます。例によって羽化の瞬間には出会えませんでした。しかし、羽化直後の未だ翅が伸び切らない頃から、翅が伸びる様子は連続撮影できました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/30~1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日・時刻:12月19日9時10分~31分

 翅の伸びから逆算して、恐らく9時10分頃羽化したと推察。撮影開始からほぼ2分で後翅が伸び切っています。前翅も伸び切るのは撮影開始後20分経過した時点でした。今回の個体の蛹期は20日間。異様に長いように思いますが、参考にしている図鑑(※)によれば、どうやら標準的な長さのようです。
 羽化した個体は折角ですので、マーキングを施した後、多摩丘陵の頂上から放蝶しました。因みに左右共に、前翅中室裏面に「1220」、後翅中室裏面に「FS1」のマークを入れました。真冬に屋外放蝶された彼女も迷惑がっているかもしれませんが、少しでも暖かい日を選び、南方へ渡ってくれれば良いなぁ~と、「育ての親」として勝手に祈っている次第。

※福田晴夫ほか(1982),原色日本蝶類生態図鑑(Ⅰ),保育社,大阪.

by fanseab | 2018-12-24 21:22 | | Comments(2)

アオバセセリの飼育メモ:失敗の巻

 8月下旬にアワブキから採幼した亜終齢個体を、晩秋まで飼育した記録です。結論から言うと、前蛹まで至らず、失敗談としてメモを残します。餌はアワブキ。最初は、5齢と思しき個体。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月4日

 体長は24mm。アオバをフルステージで飼育した経験がないので、この個体が4齢なのか5齢かは少し曖昧。ただ、腹節に出現する青色斑点が鮮明なので、5齢と推測しています。因みに3齢では同斑点が出ず、4齢で同斑点が出現するものの、斑点はやや不鮮明とされています。撮影時に苦労するのは、幼虫が真っすぐ伸びた姿勢を取らず、常に頭部を曲げて「Jの字」型になること。極端に驚かすと、撮影中葉から糸を引いて空中にぶら下がり、体を丸めた驚きのポーズを取ります。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月4日

 ただでさえ、極彩色を纏った外観ですが、丸まったデザインもかなり刺激的。外敵に対する威嚇行動と思われます。9月7日に眠、翌日6齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月19日

 体長27mm。5-6齢間での毎日の糞数は15個ほど。斑紋特徴は5齢と大差はありません。6齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60,ISO=200,F4-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月16日

 葉の縁から葉脈に沿って、食い進むパターン。一目でアオバの食痕と判別できそうです。5齢時に使用していた巣は、途中から離脱し、以降、巣を作ることはせず、概ね飼育プラケースの隅に静止しています。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:9月24日

 飼育時に、アワブキの葉が空中にぶら下ったような、自然状態を再現できれば、造巣するのかもしれません。見方を変えれば、巣と同様な閉鎖空間さえあれば、巣を必要としないのでしょう。イネ科食いのセセリやヒカゲチョウ類のように、飼育プラケース内でも確実に造巣性を示すのとは、大きな違いがあると思いました。9月29日に眠、30日に7齢になりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:10月7日

 体長32mm。6齢との斑紋形態の有意差は殆どありませんが、唯一、第9腹節が深みのあるワインレッド色に変わっています。5-7齢までの頭殻部の比較画像を示します。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ

 橙色の地色に4個の黒点が並ぶパターンは、各齢共に変わりありません。複眼周りの黒色部分まで含めると、「ムツボシテントウ」虫ですね。
 さて、7齢到達後、10日を過ぎても前蛹に移行する兆しがありません。11月10日過ぎから糞数が極端に減少、結局16日に衰弱死?で★様になりました。原因は不明ですが、秋口から飼育プラケースを屋外放置に切り替えた際、街路灯の影響で、日長を狂わして前蛹へのトリガーがかからなかったのかもしれません。残念ながら真っ白の粉を吹いた蛹の観察には至りませんでした。次回は卵からのフルステージ飼育でリベンジしたいと思っています。
by fanseab | 2018-12-19 21:52 | | Comments(2)

フタスジチョウの飼育メモ:その2

 8月22日付記事(クリックでジャンプの続きです。
前回は、山梨県で採卵した4卵のうち、個体#Aを中心に各ステージの経過を述べました。今回は#B,#C,#Dについて、その後の経過です。
 先ず#C、こちらは、8月27日に無事♂が羽化。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月27日

 前翅長19mm。やはりサイズは小ぶりでした。さて、残りの個体#B,Dですが、こちらは越冬態勢のモードでゆっくりとした成長モードに入っておりました。8月上旬より両個体共に夜間は冷蔵庫保管、日中は室温保管としました。これは以前、Neptis属研究の権威、F氏よりご教授頂いた「ヒートショック管理法」に従った手法。この手法が効果があったようで、7月下旬~8月下旬にかけての糞量は両個体共に、数個/dayのレベルでした。ところが9月上旬に所用で、6日間ほど夜間冷蔵庫保管を怠ったためか、個体#Bは覚醒、一気に糞量が増加、9月9日には3齢に。その後糞量は20個/dayで推移し、9月21日に終齢到達。10月4日に蛹化、12日に無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60、ISO=200、F7.1-1/160、外部ストロボ、撮影月日:10月12日

 前翅長25mm。8月13日に羽化した♀よりも僅かにサイズが大きい個体でした。
 一方、個体#Dは8月30日に糞1個を確認したのを最後に糞を出しておりませんでした。9月19日に巣を開封して確認すると、既に干からびており、残念ながら★様になっていました。やはり室温飼育では日中、空調の効いた20度近辺に温度管理しないと越冬モードを保持するのが難しいのかもしれません。ここで、今回飼育で羽化した♂1♀2個体と山梨県で野外観察した♀個体の開翅比較画像をアップしておきます。
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野外個体は7月7日撮影分

 今回飼育した3個体を検する限り、野外個体と比較して特別な斑紋変化はないように思われます。
 前回記事では比較できなかった、フタスジチョウ♂♀の蛹の形状比較についても述べておきます。♂1♀2、合計3個体の比較画像は以下の通り。「♀その2」とメモされた個体のみ羽化直前の撮影であることはご了解下さい。最初は側面画像
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 あくまで今回検した3個体の比較からですが、下記の♂♀形質差があると思います。
(1)前翅外縁と後縁のなす角度:α
 ♀はほぼ直角であるのに対し、♂は明らかに鈍角。
(2)「前翅長FWS」対「蛹の全長PL」比:FWS/PL
 ♂:0.43
 ♀1:0.54
 ♀2:0.53
 ♀は♂より20%ほど相対前翅長が長い。

 続いて背面画像。
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(3)L部分の形状
 側方への迫り出しは♀は台形状、♂はなだらかな一山形状。迫り出し巾が異なるため、
♂は♀に比較して腹部の長さが長く、細く感じられる。

 上記(2)については、成虫の(前翅長/胴体長さ)比に対応していると思います。既にアップした♂♀開翅画像と比較すると、♂♀の翅形差も確認できて興味深いものがあります。なお、♂♀交尾器形状を反映して、尾端構造も有意差があるのですけど、これについては、別の機会に記事にしたいと思います。
by fanseab | 2017-10-27 21:49 | | Comments(2)

カラスアゲハの飼育メモ:パート2

 拙ブログをアップしているエキサイトブログでは、数年前から記事ランキングが掲載されるようになりました。どんな記事にアクセス数が多いか?結構興味深いものがあります。さて、このランキングでトップを維持しているのが、
カラスアゲハの飼育メモ(前蛹まで)』
です。イモムシ画像中心の飼育記事がランキングトップになるのも面白いですが、実は管理人にとって、↑の記事はちょっと中途半端で不満の残るものでした。理由は標題にあるように飼育個体が蛹化に失敗し、羽化まで至らなかったからです。そこでリベンジマッチとして今回新規に飼育をやり直しました。それが今回記事の眼目。

 7月下旬に採卵した3卵(個体#A,#B,#Cとします)を全てコクサギで飼育。3卵共に7月31日に孵化。以下幼生期画像は主として個体#Bで撮影。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(5コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月1日

 体長は3.8mm。初めてカラスを飼育した際にも感じたことですが、外観が緑色を帯びていることが最大の特徴。ナミアゲハとは全く異なります。8月4日に2齢到達。
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EM12-Z60(上段:自動深度合成/下段:8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 体長10mm。毎度お馴染みの鳥糞状に変化。全体に「テカリ」が出てきました。8月8日前後に3齢に。下記の画像は個体#Cを撮影。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月8日

 体長13mm。①胸部の微小斑点および、②各腹節背線側に一対の白班(矢印)が出現。この二点が2齢との形質差となります。個体#Bは8月9日前後に4齢到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月12日

 体長25mm。鳥糞状からイモムシ状へ変化する過渡期のような斑紋・色調を示しています。8月15日に5齢(終齢)到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月18日

 体長45.5mm。緑を基調に全体に白色斑点が散在し、胸部の雲型模様など、カラスアゲハ終齢幼虫は独特な美しさを持っていると思います。8月23日に前蛹へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月23日

 体長27mm。前回の飼育ではここから蛹化まで到達しませんでしたが、今回は無事翌24日に蛹化。
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EM12-Z60(左画像:5コマ/右画像:自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月25日

 体長33.5mm。鮮やかな明るい緑色です。緑色型以外に褐色型もあるようです。一見アゲハの蛹に似ておりますが、胸部背面が殆ど突出しないのが特徴。実はこの後、再び悲劇が起きました。↑の蛹画像でご紹介した個体#Bは蛹化時に触覚付近に微妙な傷が発生したらしく、結局羽化には至りませんでした。一方個体#Aは以前と同様蛹化時に異変が起きて脱皮が叶わず死亡。結局個体#Cのみ♀が羽化しました。羽化時期は9月5日頃と推定。所用で羽化直後の撮影は叶わず。
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EM12-Z60、ISO=400、F6.3-1/60、外部ストロボ、撮影月日:9月9日

 前翅長は54mm。今回は3個体飼育したので、何とかフルステージ画像撮影が叶いました。ただ2個体が羽化まで至らなかったのは残念です。やはり前蛹→蛹化の過程は蝶の変態にとっても極めてデリケート、かつ重要な瞬間であることを改めて認識いたしました。
by fanseab | 2017-09-20 21:20 | | Comments(4)

フタスジチョウvs.ホシミスジ:幼生期性状比較

 国産Neptis属の中で、フタスジとホシミスジは兄弟種の関係になります。本記事では特に終齢幼虫と蛹の形態・性状差について、詳述します。フタスジ幼生期の詳細は直前記事をご覧下さい。
 先ずは終齢幼虫。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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ホシミスジ画像は2014年10月撮影分

識別点を下記にまとめます。
(1)第7-9腹節側面の淡色模様:矢印#1
ホシミスジは鮮やかな緑色、フタスジは僅かに緑色を帯びる程度に留まる。
当該斑の面積(腹節全体に対する相対値):ホシミスジ>フタスジチョウ
(2)背面突起:矢印#2
突起長さ:ホシミスジ>フタスジチョウ
(3)背面模様:矢印#3
暗色斜帯はホシミスジでより明確→ホシミスジ:全体に地色と暗色斜帯とのコントラストが明快。

 次いで蛹の形態比較です。
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ホシミスジ画像は2014年10月撮影分

識別点は下記の通り。
(1)懸垂器と腹端背面のなす角度:#1
ホシミスジがより鈍角。
(2)前翅後縁部形状:#2
フタスジでは前縁側に強く湾曲する。
(3)背面から見込んだ時の翅部の巾:#3
ホシミスジはより巾広い。
(4)頭部突起形状:#4
ホシミスジでより顕著(やや前方に突出する傾向)。

 両種共に、♂♀差・個体差がどの程度あるかは、今後の検証課題です。卵の微細構造同様、兄弟種だけに両種は終齢幼虫・蛹形状共によく似ていますね。
by fanseab | 2017-08-22 21:43 | | Comments(2)

フタスジチョウの飼育メモ

 7月10日付記事(クリックで記事へジャンプ)でご紹介したフタスジチョウについて、現地で採卵した4卵を飼育した結果を報告します。飼育した個体を各々#A~#Dとします。初齢途中までは、産附されたホスト(一部植物名不明、一部はシモツケ)で飼育、その後は全てユキヤナギを餌に用いました。現時点までに4個体の生育状況は2群に分かれました。個体#A、#Cは一気に成長し、#Aは羽化済、#Cも8月中に羽化予定。一方、個体#B,#Dは緩やかな成長曲線を描き、現在は共に3齢で、恐らく自然状態の個体同様、秋には越冬態勢に入る模様です。本記事では個体#Aを中心に飼育経過を述べます。

 4卵共に7月11日に孵化。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段3コマ/下段7コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月12日

 体長は2.5mm。淡褐色でコミスジとそっくりな姿。初齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=400、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月12日

 この画像の葉先に産卵されており、その周辺から食い始め主脈中央に静止しています。一方、シモツケの穂先に産附された個体#Dは当初シモツケの穂を齧っておりました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=400、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月12日

 その後、穂が枯れたのでユキヤナギの葉に移動させました。初齢の後半になると、ユキヤナギの葉をカールさせて巣を形成しました。個体#Dの様子です。
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EM12-Z60(8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月14日

 この時点では未だ完全に閉じた状態の巣ではありません。基本、頭部を葉柄側に向けています。その後、筒状の巣が形成されるため、齢数変化が観察し難くなりました。7月15-16日にかけて2齢到達。2齢の巣(個体#A)です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月17日

 巣の前後は開放状態。巣前後の葉を食べるため、特徴のある巣形態になります。巣の上部を切断して無理やり2齢の姿(#A)をパチリ。
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EM12-Z60(13コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月17日

 体長4.3mm。初齢よりずんぐりとした体形になり、体色も濃淡がついてきました。巣の完全解体を断念したため、側面画像は撮影できず。巣から顔を覗かせた個体#Dの姿もパチリ。
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EM12-Z60(8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月17日

 7月19日前後に全個体共に3齢到達。3齢(個体#C)幼虫の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月26日

 体長6.2mm。体色の濃淡が明確になり、淡い背線も顕著になりました。更に後胸、第2腹節に突起が形成されました(矢印#1)。第7-9腹節の濃褐色斜帯(矢印#2)が顕著になってきました。個体#Aは7月22日に4齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月24日

 体長8.5mm。背中側から幼虫を見ると、第2-4腹節部分の巾が拡大し、Neptis属4齢幼虫にほぼ共通する姿に変身。第7-9腹節濃褐色部に白色斑(矢印)が出現しました。幼虫は静止している際、頭部を深く下げ、胸部~第2腹節を高く持ち上げる独特なポーズを取っています。この習性は終齢(5齢)まで観察できます。なお、4齢時点で3齢まで過ごした巣を完全に放棄し、通常はユキヤナギの枝もしくは葉に静止しております。個体#Aは7月26日に5齢(終齢)に。
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EM12-Z60(上段6コマ/下段自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月31日

 体長は13.5mm。体色の濃淡コントラストは4齢よりも明確になりました。第7-9腹節の白斑部は淡緑色を帯びてきました。ここで参考までに、初齢~終齢までの頭殻(脱皮殻)の形状比較をしてみました。
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深度合成・コマ数:初齢16、2齢15、3齢24、4齢5、5齢10

 なお、上段(初齢~3齢)と下段(4,5齢)では、拡大率を変えております。また、5齢頭部上方は幼虫本体の脱皮殻。終齢幼虫は8月6日に前蛹。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 上手い具合にユキヤナギの枝からぶら下がってくれました。体長14mm。撮影時に結構モゾモゾ動くので深度合成撮影はできず。翌7日に蛹化。
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EM12-Z60(左から各々6コマ、5コマ、4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月8日

 体長12.5mm。淡褐色の表面に複雑な模様が織り込まれた姿は、Neptis属蛹に共通する特徴でしょう。8月13日の朝方、前翅模様が透けて見え、腹節も緩んで羽化直前の兆候を示しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日(時刻):8月13日(6時54分)

 ほぼ1時間後、無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日(時刻):8月13日(7時59分)

 例によって、羽化瞬間は確認できず。前翅長は24.5mm。7月に生息地(山梨)で観察した♀に比較すると一回り小さいサイズ。やはり促成栽培(孵化から33日で羽化)故、小サイズ化は避けられない宿命でしょうか。開翅もユキヤナギバックに撮影。
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日(時刻):8月13日(8時13分)

 フタスジチョウは後翅白帯がスッキリしたデザインなので、後翅の縁毛がとってもお洒落。縁毛フェチの管理人の琴線に触れるものがありますね。

 なお、飼育の途中でしたが、国内産Neptis属研究の権威、F氏に私信を出し、飼育のコツを伺いました。同氏によれば採卵飼育の場合、孵化後幼虫を冷蔵庫に出し入れするなど、極端な温度変化を与えないと当年度羽化(2化品として羽化)に至るとのこと。今回はほぼ同日に孵化した4個体をほぼ同一条件で飼育し、冷蔵庫保管処理をしないにも拘らず、2個体のみ越冬しそうな状況です。成長スピードを急速にするか、緩慢にするかのスイッチはどの時点で、どんなメカニズムで入るのでしょうか?疑問は尽きません。なお、兄弟種、ホシミスジの幼生期との比較については、記事を分けました。そちらもご覧下さい。
by fanseab | 2017-08-22 21:35 | | Comments(0)

コミスジの飼育メモ:幼生期の長い事例

 去る5月下旬、オナガアゲハの産卵シーンを撮影した当日、現場の林道でコミスジの産卵も目撃しました。フジの葉先に産み付けられた卵を拡大撮影用に持ち帰り、フジで飼育しておりました。コミスジは2015年10月に飼育実施済で、その際の飼育メモ(クリックでジャンプ)はこちらです
 夏場の飼育では科・種類によらず、孵化後概ね1ヶ月で成虫が羽化します。上記事例でも孵化後38日で♀が羽化しました。ところが、今回は幼虫期が長く、結局♂が羽化するまでの時間は異例の62日。これには驚きました。採卵した卵の超拡大像です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(16コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月23日

 卵直径(棘皮を含む最大径)は1.1mm。孵化後経過日数を前回飼育品(括弧内表示)と比較してみました。
2齢到達   4日(4日)
3齢     10(17)
4齢     15(39)
5齢     20(47)
蛹化    28(55)
羽化    38(62)

 初齢期間および4齢以降の経過日数は両者ほぼ同じですが、それ以外のステージで極端な差が出ました。飼育環境は室内の薄暗い場所で、前回とさしたる変化はありません。
 幼虫画像は撮影せず。蛹画像を前回と比較してみました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月23日(右画像は2015年10月撮影分)

 一般に同一種類であれば幼生期の長い個体ほど、より大きく成長することが知られております。今回飼育品の体長は16.5mm、前回は15.2mmで♂♀差を考慮すると、やはり今回個体はやや大き目の感じがします。ただコミスジ蛹としては個体変異の範囲内かもしれません。7月28日に羽化した♂画像です。
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EM12-Z60、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月28日

 前翅長27mm(因みに前回飼育品は25mm)。羽化に気付かず、暫く飼育プラケース内で暴れていたため、羽化直にしては翅が痛んでしまいました。
 蝶の飼育をしていると、時々常識から外れた行動を取る個体がおります。今回のコミスジ飼育でもちょっぴり驚かされました。
by fanseab | 2017-08-03 20:58 | | Comments(4)

ルリシジミ終齢幼虫はカメレオン?

 関東地方は暑い日が続いております。明らかに雨不足で、主要河川では取水制限も始まったとか。暑さが続くと食欲も減退します。そんな折、夏場の食卓にオクラやサヤインゲンは欠かせませんね。彩鮮やかな緑色の野菜は視覚に訴え、食欲を増進させてくれます。サヤインゲンに煎りゴマを振り掛け、これをつまみに冷えたビールをグイッと・・・・♪♪。管理人は飲める口ではないのですけど、やはりビールが無いと夏は乗り切れません。
 さて、そのサヤインゲン。シジミチョウ飼育時の代用食としても有名です。特に蕾や花穂を食うシジミ類には有効とされています。管理人も将来の某種飼育に備え、今回、ルリシジミを実験材料として、サヤインゲン飼育をトライしてみました。近所のマンション植え込みのハギから採卵、初齢の後半からサヤインゲンを与えてみました。順調に育った終齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月11日

 半分にカットした鞘にへばり付き、白い果肉に頭部を突っ込んで食っています。面白いことに2齢の途中位までは果肉を好まず、鞘内の緑色のゼリー状組織を食べておりました。終齢になると、ほぼ果肉のみ食っています。糞の色も食べた部位毎に異なっています。矢印Aは上記ゼリー状組織を食べた糞、同Bは果肉によるもの。見事に糞の色が違います。幼虫の体色は餌のサヤインゲンにソックリですね。

 実は過去にルリシジミは2度飼育経験があり、当時の終齢幼虫と比較してみました。
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上段:2013年9月撮影、中段:2016年7月撮影

 過去2回はそれぞれクズ・イタドリの花穂を給餌しておりました。与えた餌の色相に忠実に幼虫体色が変化する様は見事。将にカメレオンですね!
by fanseab | 2017-07-22 20:13 | | Comments(4)

オナガアゲハの飼育メモ

 5月29日付の記事(クリックでジャンプ)でオナガアゲハの産卵シーンをご紹介しました。この時、産附された1卵をお持ちかえりし、フルステージ飼育を行いました。餌は全てコクサギで実施。実は昨年9月上旬、コクサギに産附されたオナガアゲハ2卵の飼育を試みた経験があります。この時、代用食としてサンショウを与えましたが、食いつきが悪く初齢の途中で、失敗に終わりました。その反省から昨年秋にコクサギの苗を購入し、今回の飼育に備えていたのでした。
 5月27日に孵化。孵化直後の初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月27日

 動き回っているので、深度合成ができず。素直に焦点深度の深いコンデジで撮るべきでした。翌日、落ち着いたところで、再度初齢を撮影。
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上段:EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ
下段:D500-1855改@38mm(2コマ深度合成+トリミング)、ISO=100、F8-1/320,-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 体長は5mm。カラスアゲハ同様、全体に緑色を帯びております。コクサギを食い始めた初齢幼虫と食痕のツーショットです。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 向かって左端に台座を構え、右側縁を食べるスタイル。29日に眠、翌30日に2齢。
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EM12-Z60(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

 体長8.2mm。棘皮の長さが相対的に短くなり、尾端付近腹節にある白色部分が目立つようになりました。2齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/30、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

食している葉は初齢時代と同じ。葉の先端(上部)、基部側も食っています。6月2日に3齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月3日

 体長16.5mm。胸部が拡幅し、第7-8腹節の白色部がより顕著になりました。4日に4齢。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月6日

 体長24.5mm。胸部気門線上の白色部が目立つようになります。第7-10腹節はほぼ全体が白色になりました。ここで、類似種のクロアゲハ4齢幼虫との比較図をアップしておきましょう。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 識別点は画像中に記載した通りです。いずれも「鳥の糞」に擬態しているとされております。確かにヌメヌメとした光沢は「落とされて間もない糞」の質感ソックリですね。6月7日に眠、翌8日に5齢(終齢)になりました。
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EM12-Z60(上段:自動深度合成/下段:5コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月11日

 体長43mm。非常に鮮やかな青緑色を呈しております。その独特な色調を敢えて表現するならば、「マラカイトグリーン(緑青:ロクショウ)」かな。ただ画像では上手く色調を再現できておりません。幼虫斑紋の特徴を4齢同様、クロアゲハと比較してみました。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 識別点を3箇所提示しておりますが、識別点1で見分けるのが一番楽だと思います。但し、「斜帯が背線上で分離する」特徴はモンキアゲハ終齢幼虫にも見られるので、注意が必要。参考までに、終齢幼虫頭部の拡大像も撮ってみました。
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EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月11日

 蛇の目玉に擬態している部分も、複雑な模様をしております。終齢幼虫は最大47mmまで成長しました。6月15日に下痢便を出し、翌16日に前蛹。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月16日

 体長28mm。前回飼育したキアゲハ同様、見栄えのする枯枝に吐糸してくれてホッとしました。6月17日に蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月19日

 体長35.5mm。褐色型でした。非常に特徴のある蛹です。全体にスリムで、成虫の翅形・尾状突起同様、細長さが際立っています。それとPapilio属の蛹はいずれも「くの字」型を呈しておりますが、オナガの蛹は将に「くの字」。クロアゲハの蛹と形態比較も行ってみました。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 頭部を正面から見ると、「兎の耳」状の突起があります(各画像右下の囲み)が、この突起もクロアゲハに比較して左右に開裂せず、真っ直ぐ上方に延びている特徴があります。蛹化してから12日目の朝、全体に黒化し、腹節も緩んで羽化間近の兆候を示しました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日

 この画像を撮影したほぼ2時間後に無事♂が羽化しました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日

 前翅長59mm。翅を左右に僅かに開きながら乾かす途中、オナガ♂のシンボル、後翅の横白班がチラリと顔を覗かせます。これ、堪らなく綺麗ですね。昨年晩夏に一度飼育を失敗していただけに、無事羽化迄辿りつけてホッといたしました。
by fanseab | 2017-07-05 22:03 | | Comments(4)

キアゲハの飼育メモ

 5月4日付記事(外部リンクで、キアゲハ第1化の産卵シーンをご紹介しました。この時、ハナウドに産まれた2卵を持ち帰り、フルステージ飼育を行いました。なお、食草としてハナウドを全ステージで使用。2卵共、5月6日に孵化。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段2コマ/下段自動深度合成:トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月8日
 体長5.5mm。この段階では他のPapilio属初齢幼虫とさほど変わらない様相です。初齢時の食痕もアップしておきましょう。
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EM12-Z60(2コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月8日

 ハナウド葉上に残された小さな褐色斑点は、初齢幼虫が「舐め食い」した跡。成長するに連れ、葉全体を食い切っていきます。2齢以降は、葉の縁から普通に食い始めます。5月9日に眠、翌10日に2齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月12日

 体長10mm。第3-4腹節背面の白色班が目立つと共に、各体節の橙色班が目立ってきます。この「橙色」斑は、キアゲハ幼虫の一大特徴でしょう。13日に3齢。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月15日

 体長12.5mm。橙色斑がより目立ってきました。16日に眠、翌17日に4齢に。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月19日

 体長23mm。各体節が淡緑色を帯び、淡緑・橙・黒のトリコロールカラーに変身です。3齢に比較して体節の棘皮が目立たなく、「イモムシ」スタイルになりました。21日に5齢。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段5コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3(上段)/8(下段)-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月25日

 体長43mm。フィールドでも見慣れたキアゲハ幼虫の姿です。しかし、何回見てもユニークなデザインの芋虫ですね。5月26日に前蛹になりました。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月27日

 体長31mm。飼育プラケース内に枯枝を入れておいたら、上手い具合に枯枝に吐糸してくれて、有難い限り。プラケース壁面への蛹化は撮影していても、味気ないものですから・・・。前蛹を撮影した27日に無事蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

 鮮やかな緑色型を期待していたのですが、地味な黒褐色型になりました。体長34.5mm。フィールドでも、老熟幼虫が枯枝に吐糸し、黒褐色型で蛹化した場合は、素晴らしい擬態になることでしょう。なお、↑の画像では作画の関係で、左右画像の拡大倍率は変えております。なお、この個体より一足早く、別個体が5月25日に蛹化しました。こちらは同じ枯枝に吐糸したにも拘らず鮮やかな緑色型蛹になりました。両者を比較しておきましょう。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日(右画像は5月27日)

 両者の印象は大変異なります。緑色型は羽化の時期が接近すると、翅部分の黒化で羽化間近であることを知らせてくれますが、褐色型だと、翅部分が元々黒いため、腹節の緩み等に気を付けてないと、羽化時期予測を誤りそうです。褐色型蛹は、6月8日に無事羽化。♂でした。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月8日
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影月日:6月8日

 ピカピカ個体なので、後翅裏面のブルー鱗粉が載っている部分を拡大撮影してみました。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月8日

 ベージュ~橙色、黒~ブルーへ変わるグラデーションは本当に綺麗です。ブルー鱗粉には鮮やかなスカイブルー、落ち着いた暗色系ブルーなど、個々の鱗粉の多様性に改めて驚かされます。
 なお、緑色型蛹も無事6月5日に羽化。こちらも♂でした。
by fanseab | 2017-06-25 21:09 | | Comments(2)