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探蝶逍遥記

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コヒョウモンモドキ(7月中旬)

 コヒョウモンとほぼ同じ狭いエリアで飛んでいるのが本種。コヒョウモンの飛翔高度もそれなりに低いですが、モドキは更に低い高さを緩やかに飛びます。本種も出始めで、いずれも新鮮な個体ばかりでした。最初はアカツメクサで吸蜜する♂。
 
+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P520@180mmX1.4TC,ISO=200,F5.6-1/1000、撮影時刻:13時18分

 「縁毛フェチ」を自認する管理人としては痺れる場面です。気温が低いこともあって、閉翅シーンをなかなか撮影できません。何とか粘って♂裏面を撮影。
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EM12-P520@200mmX1.4TC,ISO=200,F5.6-1/640、撮影時刻:13時13分

 後翅裏面のモザイク模様~縁毛部までのデザインは本当に美しい蝶だと思います。広角でニガナの1種から吸蜜する場面も撮影。
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EM12-Z1240@12mm,ISO=320,F5.6-1/500、撮影時刻:10時34分

 吸蜜を終えた♂がフワフワと飛んでワラビの葉上に舞い降りると、コキマダラセセリ♂とのツーショットが完成。
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EM12-Z1240@12mm,ISO=320,F5.6-1/1000、撮影時刻:10時36分

 高原を代表する濃オレンジ色がワラビの葉上で輝きます。しかし、こうしてセセリ類と並んでみると、改めてコヒョウモンモドキの小ささが実感できますね。ついで全開翅休息する♀。
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EM12-P520@123mmX1.4TC,ISO=320,F5.6-1/1600、撮影時刻:10時29分

 続いてアザミ類で吸蜜する♀。
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EM12-P520@193mmX1.4TC(トリミング),ISO=500,F5.6-1/1600、撮影時刻:10時24分

 後翅のモザイク模様をどうしても表現したいため、下から覗き込むアングルで撮影。アザミがショボくてちょっぴり残念(^^; ミズナラ葉上からの飛び立ち飛翔にもトライ。
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EM12-P520@50mmX1.4TC(トリミング),ISO=1250,F5.6-1/4000、撮影時刻:10時28分

 抜けた背景だと、白いダンダラ模様の縁毛が引き立ちます。この日は時期的にクガイソウが未だ咲いておらず、ホストとのコラボ画像は撮れませんでした。1、2週間後には、そんな絵も狙えるのでしょう。それと期待した交尾シーンにも出会えませんでした。

 この高原では複数のカメラマンが蝶を追いかけておりました。そのお一人が「本種の蛹を撮影した」とお聞きしたので、勝手を言って場所をご案内頂きました。もちろん管理人にとって本種蛹は初撮影。1頭はスモモの実生、もう1頭はワラビの茎で垂下しておりました。
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EM12-Z1240@40mm(トリミング),ISO=500,F7.1-1/800、撮影時刻:9時42分
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EM12-Z1240@40mm(トリミング),ISO=500,F7.1-1/400、撮影時刻:9時42分

 2頭の比較画像も作ってみました。
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 体長は#1、#2がそれぞれ12mm、13mm。断言できませんが、尾端構造から推定していずれも♀だと思います。白地に黒点および橙色が混じる結構派手なデザイン。しかし、背景に紛れると、これが保護色として働くから意外です。垂蛹を見出した環境を少し引いて撮影。
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EM12-Z1240@14mm,ISO=500,F8-1/500、撮影時刻:9時40分

 高さ基準として置いたペットボトルは高さ20cm。矢印#1(地上高30cm)、#2(同31cm)の先に蛹が付いていますが、分かりますか(画像をクリックして拡大して初めて何とか認識できるレベル)? この画像、カメラ目線を相当下げて撮影しております。このポイントをなにげに歩きながら上から見下ろしても、蛹は葉陰に隠れて全く目に入りません。蛹を独力発見されたカメラマンの眼力に敬服いたします。

 次回はオオミスジやその他のタテハ類をご紹介します。
by fanseab | 2019-07-22 22:38 | | Comments(0)

イチモンジチョウの卵(6月中旬)

 東京都下の谷戸でスイカズラの葉上をチェック。運良く首題種の卵を発見。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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TG4@18mm,ISO=100,F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時35分

 この卵は既に胚形成がスタートしていて黒い頭部が確認できます。コミスジなどNeptis属そっくりの形態をしています。このポイントは南向きの日当たりの良い林道脇にありました。よほど母蝶が気に入ったのか、卵、初齢幼虫含め合計10個体を確認できました。3卵を飼育目的で自宅に持ち帰りました。3卵の産卵位置をまとめておきます。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=500,F5-1/50、外部ストロボ

 スイカズラの葉先端ではなく、産卵位置は結構バラバラです。なお個体#1,2は孵化済。#3は未孵化状態。母蝶の産卵シーンは未確認ですが、恐らく茎か葉柄部に掴まり、殆ど後ずさりすることなく、腹端を伸ばして産んだものと思われます。初齢幼虫も撮影。
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TG4@18mm,ISO=100,F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時35分

 体長3mm強。中脈を残し、糞を付近に集団でまとめて残す独特な習性です。持ち帰った卵を例によって超拡大撮影。
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EM12-P1442-P14R(上段29コマ/下段30コマ深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月21日

 最大直径1.14mm、高さ1.06mm(いずれも棘皮含む)のほぼ球形。六角形のハチの巣状凹みがあって、その各頂点から棘皮が伸びる構造。基本的にはNeptis属と共通します。なんせ共にイチモンジチョウ亜科なので、当然かもしれません。ハチの巣状凹みからの反射光は強烈で、レンズ特性からかブルーの色収差が出て、ちょっと不愉快。レンズ系を再度見直して色収差を消去したいものです。今回採卵した3卵の内、1卵は孵化せず、残り2卵は順調に飼育中です。飼育結果はまた記事でご紹介したいと思います。
by fanseab | 2019-07-04 21:25 | | Comments(0)

トビモンオオエダシャク終齢幼虫(6月中旬)

 拙宅庭には樹高2.5m程のエノキがあり、ここに産卵するアカボシゴマダラやゴマダラチョウを観察して楽しんでおります。樹高を維持するため、毎年数回の剪定を実施しています。先日剪定した枝を捨てる際、エノキの枝とは異なる「ムニュ~」した違和感を覚え、慌ててその枝を離しました。枝と思ったのは枝ではなく、とんでもなくデカい尺取虫でした。早速愛用の「イモムシハンドブック」で調べると、トビモンオオエダシャクBiston robustusの終齢幼虫と判明。元のエノキに戻して全体像を撮影。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:15時01分

 画面中央にいるのですが、場所わかります?アップしてもご紹介しておきましょう。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:14時55分

 背景のエノキの樹肌の質感とモノの見事に擬態しております。本種幼虫の体色は相当バリエーションがあるようで、食べるホストの枝や幹の色に応じて幼虫体色も変化するのでしょう。折角ですので、正面・側面像もまとめておきます。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:14時58分


 体長88mm。恐らく国内のエノキ食い鱗翅目幼虫で、最大サイズでしょう。オオムラサキも太さはこの尺蛾幼虫よりは太いですが、長さは完敗ですね。これまで毎日のようにこのエノキを観察していて本種幼虫を発見したのは今回が初。もちろん擬態の見事さで見逃していた事例もあるのでしょうが、拙宅庭のエノキに本種が卵を産むのは稀なことなのだと思います。
 さて、この幼虫の最大の美点では長さではなく、その頭部。拡大像です。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:15時00分

 ヒカゲチョウ幼虫頭部でよく見られる「うさちゃん」スタイルですが、その内部に淡い色で「ニャンコ」が隠れているのです! 随分凝ったキャラ顔ですよね。蛾の幼虫にも奇想天外な姿形を持つ種がいます。本種は全体的に地味な印象ですが、頭部で楽しませてくれるタイプの幼虫でしょう。
 この子を撮影して2日後に突然姿が消えました。恐らく土中に潜り蛹化準備に入ったのでしょう。これから夏~冬を蛹で過ごし、順調ならば来年4月頃羽化するはずです。本種もギフチョウ同様、立派な「スプリングエフェメラル」なのです。
by fanseab | 2019-06-25 22:05 | | Comments(2)

キアゲハ終齢幼虫(5月下旬)

 少し時間を巻き戻して先月下旬の話題。多摩川縁でキアゲハが好むハナウドHeracleum sphondyliumをチェックしていたら、多数の本種終齢幼虫がみつかりました。最初は茎に静止している個体。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P520@127mm,ISO=200,F5-1/640、撮影時刻:11時37分

 次にハナウドの果実を食う個体。
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EM12-P520@200mm,ISO=320,F4.5-1/640、撮影時刻:11時39分

 以前、ハナウドでキアゲハを飼育した経験があります(クリックでジャンプ)。この時は全て葉を食べておりました。今回の野外観察では、季節の進行で葉が黄ばみ始めていて美味しくないのでしょう。果実は茎より栄養価も高いこともあるのかな? ミカン科食いの黒系アゲハ幼虫がミカンの実を齧ることはありませんよね。セリ科食いのキアゲハならではでの摂食行動だと思います。今回は個体数が異常に多く、一つの株に複数の幼虫が付いている状況。
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EM12-P520@179mm,ISO=400,F4.5-1/640、撮影時刻:11時44分

 好んで食べている果実もあっという間になくなりそうです。記事がアップされた頃は全て蛹になっているはず。もっとも枯茎に紛れて、この子の蛹を野外で発見することは難しいでしょうけどね。
by fanseab | 2019-06-10 20:58 | | Comments(0)

アサギマダラの幼虫探索(1月上旬)

 今年最初の観察は越冬中のアサギマダラ幼虫探し。今回は昨年11月に訪れた東京都下ではなく、神奈川県北西部のポイント。もちろん初訪問です。針葉樹に囲まれ、アオキの群落がある付近がポイントと睨みキジョラン群落を探しますが、容易に発見できません。結構苦労して探し回った結果、ようやく25mX100mの狭い地域に比較的集中して生えている場所を見出しました。生息環境を整理すると、
①南向きの傾斜地(斜度約25度)
②針葉樹に囲まれて北西季節風をシャットアウト可能
③林床に陽ざしが差し込む
 特に③は大事な要素のようで、陽ざしが悪い場所のキジョランは少し枯れかけていたり、生育状況が悪く、アサギマダラ幼虫も付いておりません。逆にこの狭いポイントで一番陽ざしの良い高さ2mの株からは、6頭の2齢幼虫を発見できました。幼虫画像です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/60、外部ストロボ、撮影時刻:12時57分
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時05分

 飼育した知見が活きて、この子は確実に2齢と言い切れます。体長は7mm。別の2齢幼虫2個体の姿です。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時07分
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時07分

 1枚目の個体は脱皮直後らしく、脱いだ皮が左上方に残ったままです。この日確認できた幼虫は全て2齢で、それ以外はいませんでした。今後継続観察するには、東京都下のポイントより都合が良さそうなので、時折様子を覗いてみたいと思います。順調ならば4月下旬頃終齢幼虫もしくは蛹が見られそうです。
by fanseab | 2019-01-05 16:08 | | Comments(2)

アサギマダラの飼育メモ

 10月下旬、東京都下のポイントで採卵した1卵をフルステージ飼育した記録です。餌は全てキジョラン。11月3日に孵化。孵化直後は動き回って撮影できず。眠が近い初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月4日

 体長5mm。孵化直後はほぼ無紋ですが、すぐに浅葱色の小紋が出現します。初齢段階で既に成虫の斑紋を想起させる色調を纏っていることには驚かされます。孵化直後はキジョランの葉裏を円形に「舐め食い」し、その後、葉の厚み全体を食い切っていきます。この時期の幼虫特有の円形食痕と初齢幼虫の姿です。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/15,外部ストロボ、撮影月日:11月4日

 野外ではキジョランの葉裏に静止しておりますが、飼育でたまたま葉裏を上側に向けて置くと、幼虫は葉表側(光沢のある面)で静止しております。常に葉陰側に潜んで、外敵から目をくらます知恵なのでしょうね。5日に眠、翌6日に2齢へ。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=64/200,F4.5/5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月9日

 体長9.5mm。白斑が明確になり、気門線周りおよび腹節の一部に黄色紋も出現。更には、中胸部と第8腹節に棘状突起も現れました。9日に眠、翌10日3齢。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月13日

 体長14.3mm。2対の突起の長さが伸びて、本種幼虫らしい姿になりました。2齢に比較して亜背線にペアで配置される、やや大型黄色紋の範囲も伸びてきますが、未だ中央腹節部には白色班が残っています。13日眠、翌日4齢へ。
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EM12-Z60(上段5コマ/下段6コマ深度合成+トリミング),ISO=64,F5/4-1/30,外部ストロボ、撮影月日:11月16日

 体長22.5mm。中胸部の突起は更に伸びて頭部より先に届くようになりました。なお体長は突起を含めず頭部から尾端までの長さを計測した値です。亜背線両側の大型黄色紋は腹節全体に広がりました。加えて、これまで黒一色だった頭殻にも白斑が入りました。4齢時の食痕も示しておきます。
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EM12-Z60,ISO=200,F2.8-1/80,外部ストロボ、撮影月日:11月16日

 この齢数では、葉の縁からどんどん齧るため、食痕に規則性はありません。17日に眠、19日に5齢(終齢)到達。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30&1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月24日

 体長39mm。幼虫体形が太くなり、白斑の数が増加し、いかにも「斑蝶」らしい幼虫の雰囲気が出てきました。4齢時からそうですが、中胸から突出した長大な突起は、能動的に動かせ、時折食草の表面に突起先端を接触させる行動が観察できます。明らかにこの突起先端には感覚センサーが付いているのでしょう。他のタテハチョウ科幼虫の棘状突起とは機能が異なるように思います。一方第8腹節から伸びる突起は、中胸のとは異なり動きません。単に、外敵から頭部と錯覚させる擬態部品として有効なのでしょう。参考のため、5齢頭部を正面から拡大した絵もアップしておきましょう。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月24日

 5齢より、頭部模様が複雑化して、浅葱色の斑紋が出ております。面構えはバイキンマンのような悪役イメージですね。
 なお、孵化から3齢途中までは、産附されたキジョランの葉を食べておりました。結局、前蛹までに食したキジョランの葉は合計4.7枚でした。また、野外採葉したキジョランには、マダラヤドリバエの微小卵が付いているようなので、スポンジで擦って微小卵を除去した後、幼虫に与えるなど、細心の注意を払いました。11月28日に前蛹。
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EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング),ISO=400,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月28日

 種類によらず前蛹時には体色が微妙に変化します。アサギマダラでは、これまで観察されなかった緑色を帯びてきました。当初、葉被りして画像が緑色に染まったのか?と誤解した位です。翌29日、無事蛹化しました。
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EM12-Z60(左4コマ/右3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30&1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月30日

 体長(懸垂器部分を除く)24mm。まるで翡翠を彷彿とさせる宝石のような姿です。イヤリングとして販売したら売れるかも(^^) 前蛹時に緑色を帯びた理由が理解できました。孵化から蛹化まで要した日数は26日。蛹化から概ね10日ほどで羽化するだろうと期待しておりましたが、一向にその気配がありません。結局冬らしい寒さになって来た12月15日を過ぎて、ようやくストロー周りの組織が黒く変化。その後、本種らしい前翅の斑紋が透けて見えるようになりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:12月18日

 どんな飼育事例でも、蛹に翅模様が透けて見えるようになると、ようやく95%飼育が成功したなぁ~と安堵できます。この画像を撮影した翌日、12月19日に無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日・時刻:12月19日9時36分

 前翅長は55mm。ごく普通のサイズと思われます。例によって羽化の瞬間には出会えませんでした。しかし、羽化直後の未だ翅が伸び切らない頃から、翅が伸びる様子は連続撮影できました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/30~1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日・時刻:12月19日9時10分~31分

 翅の伸びから逆算して、恐らく9時10分頃羽化したと推察。撮影開始からほぼ2分で後翅が伸び切っています。前翅も伸び切るのは撮影開始後20分経過した時点でした。今回の個体の蛹期は20日間。異様に長いように思いますが、参考にしている図鑑(※)によれば、どうやら標準的な長さのようです。
 羽化した個体は折角ですので、マーキングを施した後、多摩丘陵の頂上から放蝶しました。因みに左右共に、前翅中室裏面に「1220」、後翅中室裏面に「FS1」のマークを入れました。真冬に屋外放蝶された彼女も迷惑がっているかもしれませんが、少しでも暖かい日を選び、南方へ渡ってくれれば良いなぁ~と、「育ての親」として勝手に祈っている次第。

※福田晴夫ほか(1982),原色日本蝶類生態図鑑(Ⅰ),保育社,大阪.

by fanseab | 2018-12-24 21:22 | | Comments(2)

アオバセセリの飼育メモ:失敗の巻

 8月下旬にアワブキから採幼した亜終齢個体を、晩秋まで飼育した記録です。結論から言うと、前蛹まで至らず、失敗談としてメモを残します。餌はアワブキ。最初は、5齢と思しき個体。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月4日

 体長は24mm。アオバをフルステージで飼育した経験がないので、この個体が4齢なのか5齢かは少し曖昧。ただ、腹節に出現する青色斑点が鮮明なので、5齢と推測しています。因みに3齢では同斑点が出ず、4齢で同斑点が出現するものの、斑点はやや不鮮明とされています。撮影時に苦労するのは、幼虫が真っすぐ伸びた姿勢を取らず、常に頭部を曲げて「Jの字」型になること。極端に驚かすと、撮影中葉から糸を引いて空中にぶら下がり、体を丸めた驚きのポーズを取ります。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月4日

 ただでさえ、極彩色を纏った外観ですが、丸まったデザインもかなり刺激的。外敵に対する威嚇行動と思われます。9月7日に眠、翌日6齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月19日

 体長27mm。5-6齢間での毎日の糞数は15個ほど。斑紋特徴は5齢と大差はありません。6齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60,ISO=200,F4-1/30,外部ストロボ、撮影月日:9月16日

 葉の縁から葉脈に沿って、食い進むパターン。一目でアオバの食痕と判別できそうです。5齢時に使用していた巣は、途中から離脱し、以降、巣を作ることはせず、概ね飼育プラケースの隅に静止しています。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:9月24日

 飼育時に、アワブキの葉が空中にぶら下ったような、自然状態を再現できれば、造巣するのかもしれません。見方を変えれば、巣と同様な閉鎖空間さえあれば、巣を必要としないのでしょう。イネ科食いのセセリやヒカゲチョウ類のように、飼育プラケース内でも確実に造巣性を示すのとは、大きな違いがあると思いました。9月29日に眠、30日に7齢になりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影月日:10月7日

 体長32mm。6齢との斑紋形態の有意差は殆どありませんが、唯一、第9腹節が深みのあるワインレッド色に変わっています。5-7齢までの頭殻部の比較画像を示します。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ

 橙色の地色に4個の黒点が並ぶパターンは、各齢共に変わりありません。複眼周りの黒色部分まで含めると、「ムツボシテントウ」虫ですね。
 さて、7齢到達後、10日を過ぎても前蛹に移行する兆しがありません。11月10日過ぎから糞数が極端に減少、結局16日に衰弱死?で★様になりました。原因は不明ですが、秋口から飼育プラケースを屋外放置に切り替えた際、街路灯の影響で、日長を狂わして前蛹へのトリガーがかからなかったのかもしれません。残念ながら真っ白の粉を吹いた蛹の観察には至りませんでした。次回は卵からのフルステージ飼育でリベンジしたいと思っています。
by fanseab | 2018-12-19 21:52 | | Comments(2)

アサギマダラ幼生期観察(11月下旬)

 これまで本種産卵シーン撮影に訪問した、東京都下のポイントを再訪。流石に♀はもういないだろうと思いながら、林道を歩いてみました。この日の気温もこの時期としては異常に高く、手元の温度ロガー表示は何と最高23℃! しかし予想通り、母蝶の姿は全くありません。キジョランポイントに到着し、葉裏捲りをしてみます。驚いたことに前回11月中旬に確認した幼虫がほぼ姿を消していました。当時確認した卵数から予測しても、少なくとも10頭程度の2齢幼虫がいるはずなのに、全くいません。かろうじて孵化直後の初齢幼虫を発見。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F6.3-1/160,外部ストロボ、撮影時刻:12時07分

 初齢でも後半には明確な黄色・黒色の斑紋が出るはずなので、文字通りの孵化直後個体と推定。画面中央左下には食痕が見えています。幼虫は丁度脱糞の最中で、尾端に緑色の糞が付いております。別の初齢幼虫を見出した際、近くにヤドリバチの姿が。。。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/60,外部ストロボ、撮影時刻:12時03分

 幼虫体長は3mm程度ですから、ヤドリバチの体長は5mm程度。その大きさからタマゴヤドリバチではなく、幼虫もしくは蛹に寄生するグループと思われます。脚の特徴から恐らくアシブトコバチ科(Chalcidinae)の1種と推定。暫く、葉裏や葉の縁をウロチョロ歩き回っておりました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5-1/60,外部ストロボ、撮影時刻:12時03分
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F6.3-1/80,外部ストロボ、撮影時刻:12時04分

 触覚の先端も結構膨らんでいるのが、この手の蜂の特徴。時折片方ずつ触覚先端を葉の表面に当てて、何かを探っております。残念ながら、葉裏や幼虫に産み付ける決定的場面を観察することはできませんでした。アサギマダラ幼虫の寄生種としては、マダラヤドリバエ(Sturmia bella)が有名です。この蠅は、キジョラン葉上に微小卵を産み付け、比較的体格のデカい4齢・5齢幼虫の摂食と同時にアサギマダラ体内に潜入する戦略を使っています。果たして今回見出したヤドリバチも同じ方式を使うのでしょうかね?
 さて、アサギマダラの卵がどの程度あるのだろうか?と、こちらも探索。しかし、見出したのは僅か1卵のみ(矢印)。
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D500-34VR,ISO=1000,F8-1/400,外部ストロボ、撮影時刻:13時20分

 以上の結果から、このポイントでの本年秋の母蝶最終産卵時期は11月20日頃と推定しました。2齢以降の幼虫が皆無だったことから、外敵による摂食も過酷ですね。冬場に寒さと戦いながら越冬するアサギマダラ幼虫の姿を観察したいと思っておりましたが、少なくともこのポイントでは実現しそうにありません。目算が狂ったので、別ポイントを開拓せねばならないようです。
by fanseab | 2018-12-10 21:13 | | Comments(2)

コミスジ終齢幼虫(11月中・下旬)

 多摩川べりのお散歩撮影中、フジの葉上に首題幼虫を見つけました。本種終齢幼虫は探そうと思うとなかなか見つからず、不思議なことに目的無く歩いているような時に、楽に発見できるものです。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(5コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F2.8-1/250,撮影時刻:11時12分

 右上にボケて写っている枝は、恐らくこの幼虫が以前摂食していたらしく、特徴ある食痕が確認できます。真横からも撮影。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,撮影時刻:11時10分

 翌日も撮影。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/400,撮影時刻:10時41分

 葉先の台座より、このように枝上にいると、枯葉への擬態がよりハマっているように思います。更に3日後、再度この枝を観察。
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EM12-Z60,ISO=64,F4.5-1/200,撮影時刻:13時41分

 もう、幼虫の姿はありませんでした。この株の枝を子細にチェックするも、幼虫は発見できず。地表に降りて枯葉に潜り込み、越冬準備に入った模様です。このまま冬を越し、4月に入ってから摂食せずに蛹化、同下旬から5月初旬にかけて羽化することでしょう。
by fanseab | 2018-12-09 21:40 | | Comments(0)

アサギマダラの産卵行動探索・その2(11月中旬)

 前回失敗に終わった(クリックでジャンプ)産卵シーン撮影のリベンジマッチに行ってきました。この日も、快晴ほぼ無風のコンディション。林道起点近くにあるアズマヤマアザミは完全に枯れていて、アサギマダラの姿が全く見えません。ちょっとガッカリしながら標高を上げると、1頭がフワフワと林道を横切りました。但し未だ産卵行動には至らない時間帯らしく、そのまま姿を消しました。前回の反省から、産卵時間帯を午前10~11時頃と予測し、一番産附卵数の多いキジョラン群落に午前10時迄に到着し、母蝶を待ちます。しかし、正午を過ぎてもアサギマダラは姿を現しません。どうやら個体数が前回(10月下旬)よりも減少している印象です。待機途中、我慢できず、ちょっと別のポイントへ移動。日光浴している♀個体に出会いました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR(トリミング),ISO=640,F8-1/800,撮影時刻:11時18分

 前翅の浅葱色部分には円形の染みが目立ちます。恐らく夏眠中に生じたものでしょう。気温が高めなので、開翅は持続せず、すぐに翅を閉じてしまいました。
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EM12-Z12,ISO=200,F3.5-1/640,撮影時刻:11時24分

 結局、この個体も産卵挙動を示さずガックリ。元のポイントに戻り正午過ぎまでランチを取りながら待機。しかし、母蝶は1頭も現れません。またぞろ我慢できず、このポイントを離れてやや標高を下げた地点で、明らかな産卵挙動を取る♀個体を発見。時間は12時40分頃でした。但し残念ながらこの個体も近くにあったキジョランへの産卵は実現せず、森の奥に姿を消しました。再度元のポイントに戻り待機したのですが、午後1時半頃からドン曇り状態になったので、午後2時過ぎに撤収しました。
 キジョランポイントで母蝶を待機する時間を利用して、キジョランの葉捲りもしてみました。前回時点で見出した卵はほぼ孵化したらしく、新たに10卵ほどを見出し、幼虫も数頭発見。10月下旬から11月初・中旬までコンスタントに産卵行動をしていることが示唆されました。捲った葉裏の画像です。最初は幼虫と卵(矢印)が付いていた葉。
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EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/25,外部ストロボ、撮影時刻:12時09分

 幼虫は恐らく2齢。次に単独幼虫を見出した葉裏です。
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EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/25,外部ストロボ、撮影時刻:12時10分

 こちらも2齢でしょう。このような葉裏画像を撮る際、バリアングルモニターは大変便利ですね。前回訪問時、1つの葉裏に3卵も産附されていた葉には卵が全て消失しておりました。
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EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/60,外部ストロボ、撮影時刻:12時12分

 アサギマダラ初齢幼虫は孵化後、卵殻を全て食切るので、孵化したのは間違いありません。但し、3頭の内、少なくとも1頭は卵が付いていた葉を食べる筈で、全て消失したのは、捕食者に食べられた可能性が高いと見ました。集中的に産卵されるポイントは、当然外敵にとっても狙い目のポイントになるのでしょうね。

 結局、この日も産卵シーン撮影は失敗。再リベンジをしたいのですが、流石に12月に入ってからは産卵シーンに出会う確率を減るでしょうから、今年はちょっと諦めかも・・・。今回、運よく正午過ぎに産卵行動を目撃したので、産卵時間帯はやはり正午前後と睨みました。長時間待機したポイントでは、確率的に母蝶に出会えなかった事が敗因なのでしょう。来秋季にチャレンジする際は、もう少し時期を早め、個体数の多い10月中旬頃狙うのもありかなと思っている次第。
by fanseab | 2018-11-25 20:16 | | Comments(2)