探蝶逍遥記

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オオミスジの飼育メモ:3齢まで

 現在ミスジチョウと並行して、オオミスジのフルステージ飼育を試みています。8月上旬の長野遠征で栽培用モモの葉から採卵しました(クリックでジャンプ)お持ち帰りした卵は、8月7日に孵化。初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段のみ自動深度合成+トリミング),ISO=上段64/下段200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月8日

 体長は3mm。他の国産Neptis属初齢幼虫とさほど形態的な有意差はありません。初齢の食痕も示しておきます。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月8日

 矢印先に卵殻が見えています。孵化直後に卵殻を食べ尽くさないタイプのようです。11日に眠。翌12日に2齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-上段1/50下段1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月16日

 体長5mm。背面の棘皮が目立つようになりました。なお、棘皮先端の一部に小さな水滴が付いています。これは室内飼育環境で暑熱を避けるため、飼育ケース上に置いた保冷剤が原因で結露したもの。本来は、水滴が消えてから撮影するべきでした。2齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 矢印はボケて写っている2齢幼虫。モモの葉の中脈は残しますが、その他の葉脈には関係なく食い切っています。結構ランダムな食い跡と言えましょう。8月16日に眠、翌17日に3齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月18日

 体長6.5mm。背面の黒化が拡がり、背線が顕著になりました。成長した背面棘皮形状は、他のNeptis属3齢幼虫に比較して、棘皮先端が細く尖らず、ゴジラの背面突起を連想させます。
8月20日になって、それまで食べていたモモの葉を放棄したため、代替餌としてウメの葉を入れました。フルステージ飼育における最大の難関は、食餌を変えることで幼虫が摂食拒否・餓死すること。今回はすんなりとウメの葉を食い始め、一安心。それまで葉上が静止位置でしたが、ウメ茎の分岐部に体を巻きつけるように台座を作りました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月22日

 9月3日頃より、ウメの葉を全く食べなくなりました。最初は眠に入り4齢に移行するのかと思いきや、そうでもありません。さては摂食障害を起こしたのかと、心配になりました。結局現在に至るまで分岐部に体を巻き付けた状態で推移しています。9月4日の状態を示します。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:9月4日

 脱皮した訳でもないのに、白色部分が濃くなり、全体に褐色・黒・白色のメリハリある姿に移行してきました。台座となる茎上のみならず、枯れ始めた葉の基部にも半端ない吐糸がしてあります。どうやら越冬態勢に移行したようです。まだ冬の到来まで随分と時間があるのですけど、オオミスジ幼虫の体内で「越冬準備態勢に入れ!」の信号が発せられたのでしょう。以前飼育したフタスジチョウでは、同じ年1化なのに夏場もどんどん成長を続け、結局9月に成虫が羽化したのとは対照的な結果になりました。フタスジチョウはホシミスジと近縁種で、多化性(少なくとも近畿地方の平地では年3-4化)のホシミスジ同様、本来多化性の遺伝子を受けついでいるのでしょう。それが日本の生息環境(高標高地)に対応し、年1化発生となったと推察されます。平地のような温暖環境飼育下で、多化性が復活するのも興味深いですね。その点、オオミスジは飼育(生息)環境に拘らず、年1化を厳密に保持する感覚です。ミスジチョウも同じですね。
 現在3齢幼虫は、プラケース内で屋外放置しています。今後、晩秋頃にミスジチョウと共に網掛け屋外放置に切替え、越冬させたいと思っています。さて、無事越冬できますやら・・・。
by fanseab | 2018-09-21 21:56 | | Comments(1)

ミスジチョウの飼育メモ:2~4齢まで(8月上旬~9月上旬)

 8月の信州遠征時にミスジチョウの幼虫を発見した記事(クリックでジャンプ)をアップしました。その際見出した2齢幼虫1頭を採幼し、飼育中ですので、4齢到達時点までの飼育状況をレポートしておきます。
 先ずは2齢幼虫。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段のみ自動深度合成+トリミング),ISO=上段64/下段200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月5日

 体長は5.8mm。背面突起は3齢以降に比較して軽微な突出状況。食痕の状況も示します。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月5日

 葉の中脈を残し、枯葉の一部もカムフラージュ用に残しています。8月7日に眠、8日に3齢になりました。3齢到達7日後の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 体長7.5mm。2齢に比較して背面突起が伸びてきました。それと背面側と腹部の境界線がはっきりとしてきました。この時の食痕状況も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 幼虫が静止・摂食している葉は採幼時と全く同じ。採幼時点からほぼ2週間を経過し、葉の一部が枯れて褐色になっていますが、幼虫は何事も無く食べ続けます。Neptis属の幼虫は総じて台座を作った葉に固執して枯葉状態でも食べてくれます。飼育管理上、こんなに飼育者思い?の幼虫はいないでしょう。同時に枯葉に擬態する技と並行して身に付けた生存上の戦略でもあるのでしょう。8月19日になって、ようやく新たに投入したカエデ葉を食い始めました。すると驚いた事に、新葉を食い始めると同時に体色も緑色を帯びてきました。新鮮な葉緑素を取り込むと、体色も変化するのでしょうか。やや緑色を帯びた3齢幼虫の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月22日

 体長8mm。アップした画像では15日に撮影した画像との色調差があまり明確でありませんが、肉眼では、はっきりと色合いが区別できます。28日に眠。翌8月29日に4齢に。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:9月4日

 体長10.5mm。真上から覗いた場合、3齢に比較して中胸、後胸、第8腹節の側方への張り出し(矢印)が相対的に顕著になります。いつも参考にしている図鑑(※)によれば越冬態は4齢とのこと。実際に越冬中に観察する4齢幼虫は結構でかいので、このまま脱皮せずに大きくなるのでしょうか?経過観察を続けていきたいと思います。それと越冬を屋外で実施する際、色々とノウハウがありそうで、対策を練っているところです。

※福田晴夫他, 1983.原色日本蝶類生態図鑑Ⅲ.p.158.保育社,大阪.
by fanseab | 2018-09-16 20:11 | | Comments(2)

アオバセセリの幼虫観察:その3(8月下旬)

 拙宅近くのポイントで、首題幼虫の動向を継続観察しております。前回の観察は7月下旬。この間、酷暑で出かける元気も湧かず、38日振りの訪問となりました。先ずは前回も経過観察した4枚のアワブキ葉の様子。前回(左)と今回(右)を比較画像で示します。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:10時37分

 4枚の葉(#1~#4)の内で、#1、#3、#4の3枚に巣があり(矢印)、巣Aにのみ、3齢幼虫が潜んでおりました。今回巣Aを開封すると既に蛻の殻でした。葉#1の食痕面積は増えています。恐らく巣を放棄して、別の場所に新規に巣を造ったのでしょう。時期的には既に終齢に達していても不思議ではありません。そこで、大き目の巣を探すと、全部で4つ発見。最初は、お馴染みのパンチ穴が開いた、少し小さ目の巣(黒矢印)。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F4-1/100,外部ストロボ、撮影時刻:10時18分

 脚立に立って巣を手繰り寄せ、確認。巣の全景です。
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TG4@5.5mm(トリミング),ISO=100,F2.3-1/30,-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時18分

 全長ほぼ3cm。開封してみると・・・・。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:10時23分

 例のド派手な幼虫が潜んでいます。胴体の黒色部分にブルーの斑点が出現しました。これは4齢以降に出る特徴。終齢は5ないし6齢ですが、ここでは何齢かは判断できません。
 さて、残りの3個の巣は結構大き目でした。
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D500-34VR(トリミング),ISO=1600,F7.1-1/500,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分
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D500-34VR,ISO=1600,F7.1-1/500,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分
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D500-34VR,ISO=1600,F7.1-1/500,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時27分

 いずれもアワブキの葉の先端から豪快に折り畳んだ餃子状の代物。餃子と言うよりは柏餅のような雰囲気かな? 巣の特徴はパンチ穴が全くないこと。この3個の巣の中で、一つだけが手繰り寄せることのできる高さにあり、確認すると、4齢以降の幼虫が潜んでおりました。結局この株で目視できたのは、合計4個のみ。それなりに大きな株ですが、目の届く範囲内では4齢以降まで到達できる個体数は少ないようです。

 この後、少し場所を変えて別の株の様子を確認しました。この株からは前回、17個の卵殻を確認しております。しかし、確認できた幼虫巣は1個だけ。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影時刻:11時51分

 巣の全長は65mm。やはり柏餅状で、中に4齢以降の幼虫を確認できました。前回観察時にアワブキ葉上に多数のアシナガグモがウロチョロしておりました。恐らく孵化直後の初齢幼虫はこれら蜘蛛の餌食になるのでしょう。初齢もしくは若齢幼虫の巣も殆どありません。かろうじて蜘蛛から逃げて、終齢近くまで到達できる個体はほんの僅かであるに違いありません。この株では、多く見積もっても終齢到達確率は(1/20)X100≒5%でしょうね。

 この観察の後、日を改めて9月初旬、別のアオバセセリポイントに出向いてみました。ここは成虫の生息が噂されている場所ですが、管理人は現認をしておりません。事前調査で、アワブキは2株確認しております。最初の株で初齢幼虫の巣を発見(矢印)。
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D500-34VR(トリミング),ISO=1600,F7.1-1/500,-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時47分(9月上旬)

 ただ、これは時期的に空巣でしょう。これ以外には発見できず。別の株は樹高10m近い大木。こちらでは終齢幼虫巣を期待するものの、幼虫食痕のみ確認、巣は皆無。アオバは生息しているものの、最初に訪問したポイントに比較すると、個体数は圧倒的に少ないのでしょうね。
by fanseab | 2018-09-08 21:19 | | Comments(4)

ミスジチョウの産卵と若齢幼虫(8月上旬)

 ムモンアカ撮影ポイントは渓流近くにあり、そんな環境もあってか、生き残りのミスジチョウ♀の産卵行動を観察できました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR(トリミング),ISO=640,F8-1/250,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時29分29秒

 ミスジチョウ産卵シーンは過去に撮影済ですが、いつも込み入った場所に産むので困ります。この絵では何とか腹端まで表現できました。産み付けた卵も同時に表現するのは至難の業ですね。場所を変えての産卵。
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D500-34VR(トリミング),ISO=640,F8-1/250,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時29分41秒

 露出設定が明らかにオーバーで、色相が不自然なものになってしまいました。ここまでボロボロだと本当に哀れに思ってしまいます。残念ながら遠距離での撮影になったので、卵の発見はできませんでした。この後、ここから直ぐ傍に高さ2m程のカエデ類を見出しました。その環境画像です。
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TG4@4.5mm,ISO=200,F2-1/800,-0.7EV、撮影時刻:10時49分

 やや日陰にある中央の株です。ここを調べると、2頭の若齢幼虫を見出しました。最初の1頭。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F5.6-1/80,外部ストロボ、撮影時刻:10時45分

 体長8mmほど。2もしくは3齢幼虫と思われます。主脈を残して両サイドに枯葉も残すNeptis属若齢幼虫に概ね共通する食痕です。管理人は越冬態勢中のミスジチョウ幼虫を過去に観察した経験がありますが、越冬前の若齢幼虫発見はこれが初めて。チョッピリ嬉しい出会いでした。この子のすぐ傍にもう1頭いました。念のためコメントすると、主脈の先端に鎮座しているのが幼虫。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F5.6-1/80,外部ストロボ、撮影時刻:10時46分

 こちらは体長6mm。恐らく2齢。少し引き気味のショットも撮影。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F5.6-1/80,外部ストロボ、撮影時刻:10時46分

 こちらの絵の方が食痕の全体像が分かり易いですね。仮にこの小さな株に♀が産卵している場面に出会ったら、葉被りも少なく、納得行く産卵シーンが撮れそうです。
<8月25日追記>
♀産卵シーンに登場するカエデは鋸歯が全く認められないので、イタヤカエデ(Acer pictum)類と推定。更に言えば、エンコウカエデ(ssp.dissectum)だろうと思います。一方、幼虫が付いていたカエデは、オオモミジ(A. amoenum)と推定されます。いずれにせよ、間違いあればご指摘願います。

by fanseab | 2018-08-21 22:03 | | Comments(2)

アオバセセリの幼虫探索:その2(7月下旬)

 前回、アワブキで見出した首題幼虫を再度調査しました。3齢幼虫が付いていたアワブキの葉全体の経時変化を示します。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)

 前回の観察初日から6日が経過しております。幼虫巣(矢印A)が付いていた葉は#1で、他に#2-4の合計4枚の葉がありました。左右画像を見比べてみると、#2,4の葉は食痕含め変化がありませんが、#1,3には明らかな差があります。巣A周辺の食痕が拡大し、葉#3にも新たな巣(矢印B)が形成されています。どうやら前回観察時には#3先端に潜んでいた若齢幼虫を見逃していた可能性があります。巣Aを再度開封してみました。
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EM12-Z60, ISO=200、F4-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:13時07分

 この時は活動が不活発でした。眠状態なのか、あるいは寄生されているか、原因は不明です。このアワブキ株では前回発見できなかった、別の巣も発見。
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D500-34VR, ISO=800、F8-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:12時52分

 こちらはアオバセセリ幼虫巣の特徴である穴が開いていません。こんな例外もあるようです。開封してみました。
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TG4@11mm, ISO=100、F3.6-1/60、-0.7EV,内蔵ストロボ、撮影時刻:13時09分

 これも3齢幼虫でした。体長は7.6mm。この日、この株から更にもう1頭の3齢幼虫を発見、開封していない巣B(これも3齢と推定)を含め、結局合計4頭の3齢幼虫を見出したことになります。管理人の目は節穴ですから、脚立観察ができない部分を含め、少なくとも10頭の幼虫はいるのだろうと推測しました。

 一方、このアワブキ株を調査する直前、食樹は他にもどこか必ずあるはず・・・、と睨んでホスト探索も実施。ようやく樹高3m程の比較的小さい株を発見。
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EM12-Z12, ISO=200、F5-1/100、撮影時刻:11時23分

 暗い環境ですが、一部は日光が葉に当たる状況。早速調査すると、多数の卵殻、未孵化の卵を発見。それぞれの拡大像です。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F4.5~6.3-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:11時12分

 直径は約1mm。結局、未孵化を含め卵殻は17個ありました。アワブキ株は非常に少ないため、母蝶が集中的に産む傾向があるのだと思います。産卵位置は葉裏の縁。一つの例外もありません。このポイントにはスミナガシはいませんが、仮にスミナガシが同棲しているポイントであっても、スミナガシ卵とは産卵位置で区別可能でしょう。唯一あった胚未形成状態の卵の産卵状態(葉を捲った状態)を示します。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=64、F4.5-1/30、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分

 矢印#1が未孵化の卵。矢印#2は孵化済みの卵殻です。どうやら孵化した初齢幼虫は殆ど卵殻を食べずにアワブキの葉を食い始めるようです。卵殻が残された状態のため、これらの卵殻が第1化世代のものか、第2化世代のものかは、直ちに判別できません。
 このポイントには更にアワブキ、もしくはミヤマハハソもあるはずなので、もうちょっとホスト探索をしてみたいと思っています。
by fanseab | 2018-07-28 15:27 | | Comments(4)

アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)

 海の日を含む三連休は渋滞を避けて、近場でお散歩観察。やって来たのは拙宅から車で30分ほどのアオバセセリポイント。ここは毎年ゴールデンウイーク頃、セセリよりカメラマンの個体数が遥かに上回るので、敬遠して滅多に足を運びません。今年は何と4月上旬に第1化が発生していて、管理人が訪れた4月下旬は既に発生末期でした。と言うことは・・・・、果たしてこのポイントでは第2化は何時発生するのだろう~と疑問に思ったのです。そのヒントを掴むため、食樹のアワブキで幼虫探索をしてみることにしました。幸い、35℃越えの猛暑にも拘らず、谷あいにあるアワブキは木蔭で助かりました。到着して5分ほどで怪しげな巣を発見しました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60, ISO=200、F4.5-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:10時59分

 矢印#1がその巣。アワブキの葉の先端に形成されています。実は事前にブログ仲間のclossianaさんの記事(クリックでジャンプ)を参考に巣形状の特徴を把握していたので、発見が容易でした。
 因みに矢印#2は過去に若齢幼虫が残した食痕と巣の残骸と思われます。また矢印#3はアワブキの実です。秋口に見られる熟果は赤色ですが、現状は緑色。巣のある葉は地上高さ2.3m。幼虫探索のため持参した脚立に乗って、何とか葉を手繰り寄せることができます。その巣の全景です。
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TG4@5.5mm, ISO=100、F2.3-1/125、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時47分

 全長は25mm。葉脈に沿って切り込みを入れ、主脈を中心に折り曲げた袋状です。ミドリシジミの終齢幼虫巣を、親しみを込めて『餃子』と呼んだりしますが、この巣はさしずめ『小銭入れ』でしょうか。面白いのはパンチで空けたような丸穴が開いていること。『小銭入れ』のチャック側?から覗いてみると、こんな感じ。
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EM12-Z60, ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分

 こちら側にも小穴が開いています。一説には換気口らしいのですが、この小穴もアオバセセリ幼虫巣の特徴です。巣を開けて、幼虫を確認。
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TG4@14.4mm, ISO=125、F4.4-1/80、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時47分

 体長は11mm。頭殻は橙色のテントウムシ状。胴体に太さの異なる黒いリングが巻かれたような独特の模様です。実は管理人、幼虫の実物を見るのはこれが初めて。ちょっと興奮しました。頭殻がテントウムシ状になるのは、3齢以降とされていますので、恐らく3齢の初期状態と思われます。巣を開けると、すぐに幼虫は巣の修復作業に入りました。先ずは、頭部付近(葉柄側:巣の入口)の作業を開始。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時26分

 続いて、やや後方部分の糸掛けをスタート。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時27分

 その後、後方部分の修復作業に入りました。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時28分

 葉の表面部分に複数の糸の基点を設け、それらの糸を束ねて糸強度を増す工夫をしている様子が伺えます。管理人が巣を無理やり開けてから、5分も経過しない内に幼虫は、巣を元通りの姿に戻しました。幼虫の凄ワザですね!

 今回脚立が届く範囲内で観察出来た巣は、ご紹介した一つだけ。他にもあるか、上空を見上げて探索。このアワブキの樹高は10m弱。ようやく、一つ類似した巣を発見。
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D500-34VR(トリミング), ISO=800、F8-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:11時17分

 中央右がその巣。ところがここで思わぬ事実が判明!撮影時には気が付きませんでしたが、何と、アオバセセリの卵と思しき白色円形物体(矢印)が写っておりました。今回探索の目的は当地での第2化発生時期を推定すること。3齢幼虫を発見したことで、考えたのは下記の仮説。今季第1化の発生ピークは4月中旬頃。そうだとすると、野外での幼生期を60日前後と仮定して第2化発生ピークは6月中旬頃。そうであれば2化から生まれた世代が7月中旬に3齢幼虫であることは妥当だなと・・・。ところが仮に7月中旬頃まで卵を産む母蝶が存在すると、第2化世代もそれなりにダラダラ発生していることになります。できれば、今回観察した3齢幼虫の継続観察をすると共に、やはり、第2化世代を直接観察してみたいものです。
by fanseab | 2018-07-17 21:56 | | Comments(4)

コチャバネセセリ幼虫の巣(6月下旬)

オオチャバネセセリの第1化撮影目的で、横浜市内の里山へ出撃。しかし、それらしき個体を2回目撃するも撮影には至らずガッカリです。ここは林床にアザマネザサがビッシリと覆われていて、幼虫探索に方針変更。すぐに怪しげな巣を発見。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60, ISO=200、F5-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分

 巣の外観や食痕から、オオチャバネではなく、コチャバネセセリの巣、それも若齢幼虫のものと推測しました。ちょっと巣を開けてみると・・・。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分

 予想通りでした。恐らく2齢幼虫と思われます。更に探索すると、今度は更に特徴のある巣を発見。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:11時03分

 これは明らかに老熟幼虫の巣。こちらは葉の面積がやや広く、アズマネザサではないようです。ササ類の同定に詳しい方、ご教示頂ければ幸いです。比較的大き目の葉では、葉軸を中心に葉を折返し、略台形の巣を造ります。越冬世代だと、この巣の上部(葉軸)を切り離して地上に落下するとされています。中を開けてみると・・・。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F4.5-1/60、外部ストロボ、撮影時刻:11時05分

 自分の体長より1cmほど長い巣を造っています。更に探索し、別の巣を発見。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:11時33分

 アザマネザサでは、2枚の葉を上下にきちんと貼り合わせた巣を造っています。葉の基部側、葉軸の両サイドを食い切る食痕を残します。これも開けてみました。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:11時36分

 ほぼ体長は25mm。終齢幼虫です。背線近傍に2個の卵巣が透けて見えるので、恐らく♀幼虫でしょう。
第5腹節背線近傍に2個の生殖巣が透けて見えています。鱗翅目では一般的に大き目の生殖巣は精巣なので、♂個体の可能性がありますが、正確には飼育してみないと分かりません(黄文字は6月27日追記修正箇所)。
この日は、以上ご紹介した3個含め合計6個体のコチャバネ幼虫巣を発見。コチャバネの第1化は、例年5月中旬前後ですから、ほぼ計算通り幼虫が育っていることになります。野外での蛹期を10日と見積もると、当地での第2化は7月10日前後から発生することになるのでしょう。今シーズンは、何とか第2化個体で産卵シーンを撮りたいと思っております。オオチャバネ探索にも再チャレンジしたいと思います。
by fanseab | 2018-06-25 21:24 | | Comments(2)