探蝶逍遥記

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マンサク葉上の三角帽子(11月上旬)

 拙宅庭にはウラクロシジミ飼育目的でマンサクの鉢があります。先日葉上に三角帽子に似た「虫こぶ状」の物体を発見。高さは約3mm。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/160,外部ストロボ、撮影時刻:10時17分

『へぇ、マンサクにも虫こぶができるんだぁ~』と見過ごしておりました。数日後、その虫こぶがあるべき位置を見ると、何と物体が消えています。おかしいなぁ~?と詳しく見ると、全く別の葉上にその物体がありました。虫こぶが移動していたのです!詳細にその物体を見ると、小さな枯葉の集合体であり、この時点でようやく「ミノムシ」と気が付きました。実は夏場に同じマンサク株で、オオミノガ(Eumeta japonica)と思しき蓑虫を観察しており、ここから発生した様子。よく知られているようにミノムシは通常、葉や茎からぶら下がったスタイルです。このように若齢幼虫時代には葉上に蓑を載せた形状であることには思い付きませんでした。この三角帽子、全体で4個体ありました。仲良く2個並んだ「兄弟」も発見。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/125,外部ストロボ、撮影時刻:10時20分

 左側の個体はまさしく三角帽子の形状です。その右側の個体を拡大して二度ビックリ!
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/125,外部ストロボ、撮影時刻:10時15分

 寄生卵が2個確認できます。どうやらこれは、オオミノガの天敵、外来種のオオミノガヤドリバエ(Nealsomyia rufella)の卵。ネットで調べる(クリックでジャンプ)と、本種は外来種。中国山東省由来と推測されています。

 このハエが拙宅庭の一角にある、小さな三角帽子を探り当てる能力にはビックリです。通常、寄生蠅は葉裏に産卵し、ミノムシが卵を葉と同時に食して体内に侵入し、幼虫を蝕んでいく経路を辿るようですが、今回は直接蓑に産附した事例なのでしょうか。葉上の三角帽子が何齢から葉裏に垂下するスタイルに移行するのか、観察を続けたいと思います。
by fanseab | 2018-11-15 21:17 | | Comments(1)

アサギマダラの産卵行動探索(10月下旬)

 新生蝶の観察もそろそろ終盤。♀産卵シーンのチャンスも、ヤマトシジミやベニシジミ或いはヒメアカタテハに限定されてきました。そんな事をボンヤリと考えていたら、突然思いつきました。「そうだ!アサギマダラを見に行こう!」、この時期、まだ産卵シーン観察のチャンスがあると聞いていたからです。向かったポイントは東京都下の低山地。標高は概ね200m。ブログ仲間のTGさんにお願いして情報開示をして頂きました。
 当日は快晴無風で絶好のコンディション。現地には9時30分着。のんびりと林道を歩き始めると、直ぐにアズマヤマアザミ(Cirsium microspicatum)で吸蜜中の個体を発見。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR,ISO=800,F4-1/1250,-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時43分

 この個体含め出会ったのは全て♀。延べ8頭ほど確認できました。それなりの個体数なので、産卵シーン撮影の期待が持てました。でも流石にこの時間帯はヒンヤリとしていて産卵行動には入らないと見て、キジョラン群落の場所まで先回りして環境の確認。恥ずかしながら管理人はキジョランをじっくり観察するのは、これが初めて。葉の面積が想像以上に大きいのにビックリ。
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TG4@5.5mm,ISO=200,F2.3-1/125,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時11分

 管理人の掌を一回り小さくしたサイズです。少し葉捲りをしたものの卵・幼虫は発見できず。林道をもう少し歩いて別の群落探しです。キジョランの分布は局地的で、この林道でも東向き、かつ急斜面に限定して生えていました。この時期、朝方から11時頃まで陽射しが当たるものの、午後は完全に日陰になるような環境を好むようです。キジョラン葉上には、円形にくり抜かれた特徴の幼虫食痕が沢山見つかります。
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TG4@5.5mm, ISO=100,F2.3-1/100,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時42分

 幼虫は基本的に葉裏生活者で、孵化直後は舐め食い状態。そのうち円形に切り抜くような食痕を付けていきます。この画像では右上に①舐め食い跡、左上に②円形線状食痕、中央左下に③円形刳り抜き食痕、の3形式の食痕が同時に観察できます。幼虫は不在で、恐らく前世代の幼虫が残した食痕なのでしょう。暫く探索し、更に何株かを葉捲りをしてようやく1卵(矢印)を発見!
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TG4@5.5mm, ISO=100,F2.3-1/30,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時50分

 真っ白な紡錘形で、シロチョウ卵とよく似ています。面白いもので1卵発見できると、連続して卵も幼虫も発見できました。卵と初齢幼虫(恐らく)のツーショット画像です。
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TG4@18mm(トリミング), ISO=100,F4.9-1/100,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時57分

 2齢幼虫と思しき個体も発見。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング), ISO=64,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影時刻:11時41分

 体長は6.5mm。微妙に動くので深度合成に一苦労しました。ウロチョロ探索して、どうやら母蝶が集中的に産卵するポイントの特徴が見えてきました。低い位置の葉を好む傾向もあるようです。そうした直感をベースに捲った葉がこちら。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 林道路面から30cm高さにある2枚の葉(#1,#2)です。葉#1を捲ると、何と3卵も付いておりました。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時57分

 この画像には葉#2にも産み付けてあった1卵(矢印)がピンボケ状態で写っています。この画像からもよく分かるように、卵はキジョランの葉の縁から凡そ2cmほどの距離に産附されています。母蝶が葉縁に止まって腹端を延ばすと、丁度この位置に来るのでしょう。従って卵探索の際、葉を捲る時は葉の縁を掴んではいけません。誤って卵を握りつぶす可能性があるからです。葉柄部を掴んで慎重に裏返す配慮が必要です。葉#1の2卵塊を拡大してみました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング), ISO=64,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:12時55分

 肉眼で見た感じと同様、本当にシロチョウ卵と雰囲気が似ています。高さは1.8mm,最大直径は1.2mm。やはり大きな卵だと思います。地表近くの葉に産附された事例をもうひとつご紹介しておきます。これがその葉。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 裏返すと2卵(矢印)付いておりました。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 この日は結局10卵、幼虫5頭を確認。ところが、肝心の産卵シーンはチャンスが全くありませんでした。時間帯は正午前後と睨んでキジョラン群落の近くで♀の登場を待機したのですけど、正午頃、一度現れた個体は全く産卵の気配を見せずに飛び去っていきました。天気が良いのにちょっと残念でした。この日は最高24℃まで気温が上がっており、ひょっとすると、産卵時間帯が1時間以上前倒しになった可能性もあります。11月に入っても未だチャンスがあると思われますので、再チャレンジしたいと思います。今回の観察について情報提供頂いたTGさんとは、なんと現地でバッタリ遭遇。色々と情報交換をしながら楽しい撮影談議ができました。この場を借りて御礼申し上げます。
by fanseab | 2018-11-04 20:36 | | Comments(2)

アオバセセリ幼虫の観察:その5(10月中旬)

 前回観察から凡そ2週間経過。再度幼虫巣の様子を確認してきました。最初は目線レベルにある低い位置の巣。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=400,F2,8-1/100,外部ストロボ、撮影時刻:13時07分

 巣の姿はなく、どうやら越冬準備で切り落とされた様子です。巣周辺の葉も食い尽くされた感じです。未だアワブキの葉は黄色く色づいていないのですが、越冬準備を早めに行ったのでしょう。樹冠近くにあった別の巣も消失しておりました。前回撮影画像と比較して示します。
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今回撮影分:EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F2.8-1/100,外部ストロボ、撮影時刻:13時08分

 巣(前回画像矢印部分)が無くなった分、重りが取れて、葉が上方に戻されている様子がわかります。この後、株周辺で、2頭あるべき越冬蛹を少しばかり探索しましたが、徒労に終わりました。やはり、蛹探索はそんなに簡単ではありませんね。これで今シーズン実施してきたアオバセセリ幼虫の野外観察は一先ず終了です。なお、これと並行して同幼虫の飼育も進行中で、現在終齢幼虫の段階です。こちらのレポートも区切りが付いたら、またご紹介したいと思います。
by fanseab | 2018-10-27 20:59 | | Comments(4)

オオミスジの飼育メモ:越冬準備(10月中旬)

 前回の記事(クリックでジャンプ)で、3齢到達後、摂食を止め越冬態勢に入ったことまでお伝えしました。
それまではプラケース内での飼育。その後、自然状態での越冬をさせる意図で、ウメの鉢を購入し幼虫を移動。寄生対策でネットで覆い、屋外飼育に移行させました。当初、結構高温だったこともあり、幼虫は葉上を動き回っておりました。管理人は、体力消耗による死亡を懸念しておりましたが、程なくして枝上に静止し、本格的な越冬態勢に入り一安心。その様子です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=250,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影時刻:13時50分

 細い枝に巻き付くような独特な態勢を取っています。体長は5mm弱で、存在を知らなければ、小さくて見逃してしまう大きさです。このウメは未だ若い株なので、枝が赤褐色をしており、幼虫との色彩差があるので、幼虫確認が容易です。しかし、屋外の黒褐色の枝に巻き付いた状態では、本当の保護色になって、発見は極めて難しいと思われます。事実、管理人は数年前、甲府盆地でゼフ越冬卵と並行して、本種越冬幼虫探しを試みたことがありますが、見事に失敗した記憶があります。来年春、活動を再開するまで、ひとまず観察はお休みです。
by fanseab | 2018-10-22 21:08 | | Comments(0)

ヒメエグリバの幼虫:その2(10月上旬)

 1ヶ月前にご紹介した首題蛾の幼虫を再度多摩川縁で発見。前回同様、グラウンド脇フェンスに絡んだアオツヅラフジ葉上に鎮座しておりました。但しサイズは小さく、恐らく3-4齢と思われます。先ずは全体像。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/200、外部ストロボ,撮影時刻:12時20分

 前回撮影しているので、すぐに目に飛び込んできました。次に拡大像。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/200、外部ストロボ,撮影時刻:12時19分

 体長は13mm。基本デザインは終齢幼虫と類似していますが、亜背線上の白色・黄色・橙色各小斑が欠落していて、よりスッキリとしています。終齢幼虫同様、規則的に配列した黄色紋がスケール(物差し)を連想させます。どうせなら、黄色班の間隔が5mmとか1cmに入っていて、幼虫脱皮に拘らず目盛間隔が変化しなければ体長測定が楽だなぁ~と、あらぬことを考えてしまいました。終齢幼虫同様、頭と尻の位置を間違えやすいですね(念のため付記すると、向かって左端が頭部)。
by fanseab | 2018-10-20 21:37 | | Comments(2)

アオバセセリ幼虫の観察:その4(9月下旬)

 前回観察(クリックでジャンプ)から1ヶ月が経過したので、幼虫の様子を覗いて来ました。最初は樹高の低い株。ここは唯一、1個体のみ亜終齢幼虫の巣を確認しておりました。巣は健在でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=400,F3.5-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:9時36分

 流石に1ヶ月経過して、巣は枯れかかってきています。巣の入口を覗いてみました。
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EM12-Z60,ISO=400,F5.6-1/25,外部ストロボ、撮影時刻:9時36分

 橙色のテントウムシ状の頭部が見えていました。明らかに頭部の大きさが拡大し、橙色がやや赤みを帯びてきました。恐らく終齢(5齢もしくは6齢)に到達していると思われます。それにしても、巣の入口に大事な頭部を晒している姿には驚かされました。ひょっとすると意図的に鮮やかな頭部を露出させて、外敵を驚かせる作戦なのかもしれません。
 どうやらアオバセセリの亜終齢~終齢幼虫は、齢を重ねても巣の更新はせず、古い巣を結構辛抱強く使い続けるタイプのようです。今回再度、この株の全体を観察すると、前回確認できなかった終齢幼虫巣(矢印)を発見。
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EM12-Z60,ISO=200,F3.5-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:9時38分

 樹冠近く高いので、中身の存在は確認できず。この後移動して、樹高10m近い別のアワブキ株をチェック。前回3-4個の亜終齢幼虫巣を確認しておりましたが、残念ながらいずれも無くなっておりました。いつも参考にしている生態図鑑(※)には次の記述があります。
『・・・幼虫が蛹化に先立ってそれまですんでいた自分の巣を切り落とす行動が観察されている。この行動は越冬蛹になる幼虫にも、第2回の成虫になる幼虫にも認められる。・・・』
 越冬前に蛹化準備のために巣を切り落とす行動はコチャバネセセリでも観察されています。今回観察した株の巣は上記行動で切り落とされたものか?あるいは自然に落下したものかは、不明です。但し、最初に観察した低い株に比較して陽当たりの良い場所に生えているので、紅葉・落葉の時期は早めに推移しているようです。従って幼虫も早めに越冬準備に入った可能性もあります。幼虫は地表を歩いて近辺の常緑樹の葉裏で蛹化するらしいので、念のため株近くの葉裏をガサゴソ調査しましたが、白い蝋で覆われた蛹を発見することはできませんでした。まぁ、野外でアオバセセリ越冬蛹を発見するのは素人には難しいのでしょうね。
 こうなると、最初にご紹介した巣がどのような経過を辿るのか?興味が出てきますので、もう少し、経過観察をすることにします。

※福田晴夫他,(1983)原色日本蝶類生態図鑑(Ⅳ).p.212,保育社(大阪).
by fanseab | 2018-10-04 22:08 | | Comments(2)

ヒメエグリバの幼虫(9月上旬)

 久しぶり蛾の話題。多摩川縁のお散歩撮影の途中、グラウンド脇フェンスに絡んだ蔓上に個性的な色彩のイモムシが鎮座しておりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:9月6日

 これは直ぐに「イモムシハンドブック(※)」で同定できるだろう・・・と帰宅後に検索。狙い通り、一発回答でヒメエグリバ Oraesia emarginataの幼虫と判定できました。体長4cmほどで、終齢幼虫で間違いありません。真上から覗くと、どちらが頭でどちらが尻か?迷うほど形状・斑紋が似ています。同ハンドブックによれば食草はツヅラフジ科のアオツヅラフジCocculus orbiculatusとのこと。思いがけず、この蔓性植物の名前までわかってしまいました。成虫は枯葉に擬態した蛾。どこかで見かけているのかもしれませんが、エグリバ類は概ね幼虫に比べると個性に乏しいので、見逃してしまうかも。

※安田守,2014.イモムシハンドブック3,p.87,文一総合出版,東京.
by fanseab | 2018-09-25 21:16 | | Comments(0)

オオミスジの飼育メモ:3齢まで

 現在ミスジチョウと並行して、オオミスジのフルステージ飼育を試みています。8月上旬の長野遠征で栽培用モモの葉から採卵しました(クリックでジャンプ)お持ち帰りした卵は、8月7日に孵化。初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段のみ自動深度合成+トリミング),ISO=上段64/下段200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月8日

 体長は3mm。他の国産Neptis属初齢幼虫とさほど形態的な有意差はありません。初齢の食痕も示しておきます。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月8日

 矢印先に卵殻が見えています。孵化直後に卵殻を食べ尽くさないタイプのようです。11日に眠。翌12日に2齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-上段1/50下段1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月16日

 体長5mm。背面の棘皮が目立つようになりました。なお、棘皮先端の一部に小さな水滴が付いています。これは室内飼育環境で暑熱を避けるため、飼育ケース上に置いた保冷剤が原因で結露したもの。本来は、水滴が消えてから撮影するべきでした。2齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 矢印はボケて写っている2齢幼虫。モモの葉の中脈は残しますが、その他の葉脈には関係なく食い切っています。結構ランダムな食い跡と言えましょう。8月16日に眠、翌17日に3齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月18日

 体長6.5mm。背面の黒化が拡がり、背線が顕著になりました。成長した背面棘皮形状は、他のNeptis属3齢幼虫に比較して、棘皮先端が細く尖らず、ゴジラの背面突起を連想させます。
8月20日になって、それまで食べていたモモの葉を放棄したため、代替餌としてウメの葉を入れました。フルステージ飼育における最大の難関は、食餌を変えることで幼虫が摂食拒否・餓死すること。今回はすんなりとウメの葉を食い始め、一安心。それまで葉上が静止位置でしたが、ウメ茎の分岐部に体を巻きつけるように台座を作りました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月22日

 9月3日頃より、ウメの葉を全く食べなくなりました。最初は眠に入り4齢に移行するのかと思いきや、そうでもありません。さては摂食障害を起こしたのかと、心配になりました。結局現在に至るまで分岐部に体を巻き付けた状態で推移しています。9月4日の状態を示します。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:9月4日

 脱皮した訳でもないのに、白色部分が濃くなり、全体に褐色・黒・白色のメリハリある姿に移行してきました。台座となる茎上のみならず、枯れ始めた葉の基部にも半端ない吐糸がしてあります。どうやら越冬態勢に移行したようです。まだ冬の到来まで随分と時間があるのですけど、オオミスジ幼虫の体内で「越冬準備態勢に入れ!」の信号が発せられたのでしょう。以前飼育したフタスジチョウでは、同じ年1化なのに夏場もどんどん成長を続け、結局9月に成虫が羽化したのとは対照的な結果になりました。フタスジチョウはホシミスジと近縁種で、多化性(少なくとも近畿地方の平地では年3-4化)のホシミスジ同様、本来多化性の遺伝子を受けついでいるのでしょう。それが日本の生息環境(高標高地)に対応し、年1化発生となったと推察されます。平地のような温暖環境飼育下で、多化性が復活するのも興味深いですね。その点、オオミスジは飼育(生息)環境に拘らず、年1化を厳密に保持する感覚です。ミスジチョウも同じですね。
 現在3齢幼虫は、プラケース内で屋外放置しています。今後、晩秋頃にミスジチョウと共に網掛け屋外放置に切替え、越冬させたいと思っています。さて、無事越冬できますやら・・・。
by fanseab | 2018-09-21 21:56 | | Comments(4)

ミスジチョウの飼育メモ:2~4齢まで(8月上旬~9月上旬)

 8月の信州遠征時にミスジチョウの幼虫を発見した記事(クリックでジャンプ)をアップしました。その際見出した2齢幼虫1頭を採幼し、飼育中ですので、4齢到達時点までの飼育状況をレポートしておきます。
 先ずは2齢幼虫。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段のみ自動深度合成+トリミング),ISO=上段64/下段200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月5日

 体長は5.8mm。背面突起は3齢以降に比較して軽微な突出状況。食痕の状況も示します。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月5日

 葉の中脈を残し、枯葉の一部もカムフラージュ用に残しています。8月7日に眠、8日に3齢になりました。3齢到達7日後の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 体長7.5mm。2齢に比較して背面突起が伸びてきました。それと背面側と腹部の境界線がはっきりとしてきました。この時の食痕状況も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 幼虫が静止・摂食している葉は採幼時と全く同じ。採幼時点からほぼ2週間を経過し、葉の一部が枯れて褐色になっていますが、幼虫は何事も無く食べ続けます。Neptis属の幼虫は総じて台座を作った葉に固執して枯葉状態でも食べてくれます。飼育管理上、こんなに飼育者思い?の幼虫はいないでしょう。同時に枯葉に擬態する技と並行して身に付けた生存上の戦略でもあるのでしょう。8月19日になって、ようやく新たに投入したカエデ葉を食い始めました。すると驚いた事に、新葉を食い始めると同時に体色も緑色を帯びてきました。新鮮な葉緑素を取り込むと、体色も変化するのでしょうか。やや緑色を帯びた3齢幼虫の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月22日

 体長8mm。アップした画像では15日に撮影した画像との色調差があまり明確でありませんが、肉眼では、はっきりと色合いが区別できます。28日に眠。翌8月29日に4齢に。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:9月4日

 体長10.5mm。真上から覗いた場合、3齢に比較して中胸、後胸、第8腹節の側方への張り出し(矢印)が相対的に顕著になります。いつも参考にしている図鑑(※)によれば越冬態は4齢とのこと。実際に越冬中に観察する4齢幼虫は結構でかいので、このまま脱皮せずに大きくなるのでしょうか?経過観察を続けていきたいと思います。それと越冬を屋外で実施する際、色々とノウハウがありそうで、対策を練っているところです。

※福田晴夫他, 1983.原色日本蝶類生態図鑑Ⅲ.p.158.保育社,大阪.
by fanseab | 2018-09-16 20:11 | | Comments(2)

アオバセセリの幼虫観察:その3(8月下旬)

 拙宅近くのポイントで、首題幼虫の動向を継続観察しております。前回の観察は7月下旬。この間、酷暑で出かける元気も湧かず、38日振りの訪問となりました。先ずは前回も経過観察した4枚のアワブキ葉の様子。前回(左)と今回(右)を比較画像で示します。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:10時37分

 4枚の葉(#1~#4)の内で、#1、#3、#4の3枚に巣があり(矢印)、巣Aにのみ、3齢幼虫が潜んでおりました。今回巣Aを開封すると既に蛻の殻でした。葉#1の食痕面積は増えています。恐らく巣を放棄して、別の場所に新規に巣を造ったのでしょう。時期的には既に終齢に達していても不思議ではありません。そこで、大き目の巣を探すと、全部で4つ発見。最初は、お馴染みのパンチ穴が開いた、少し小さ目の巣(黒矢印)。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F4-1/100,外部ストロボ、撮影時刻:10時18分

 脚立に立って巣を手繰り寄せ、確認。巣の全景です。
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TG4@5.5mm(トリミング),ISO=100,F2.3-1/30,-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時18分

 全長ほぼ3cm。開封してみると・・・・。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:10時23分

 例のド派手な幼虫が潜んでいます。胴体の黒色部分にブルーの斑点が出現しました。これは4齢以降に出る特徴。終齢は5ないし6齢ですが、ここでは何齢かは判断できません。
 さて、残りの3個の巣は結構大き目でした。
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D500-34VR(トリミング),ISO=1600,F7.1-1/500,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分
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D500-34VR,ISO=1600,F7.1-1/500,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分
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D500-34VR,ISO=1600,F7.1-1/500,-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時27分

 いずれもアワブキの葉の先端から豪快に折り畳んだ餃子状の代物。餃子と言うよりは柏餅のような雰囲気かな? 巣の特徴はパンチ穴が全くないこと。この3個の巣の中で、一つだけが手繰り寄せることのできる高さにあり、確認すると、4齢以降の幼虫が潜んでおりました。結局この株で目視できたのは、合計4個のみ。それなりに大きな株ですが、目の届く範囲内では4齢以降まで到達できる個体数は少ないようです。

 この後、少し場所を変えて別の株の様子を確認しました。この株からは前回、17個の卵殻を確認しております。しかし、確認できた幼虫巣は1個だけ。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影時刻:11時51分

 巣の全長は65mm。やはり柏餅状で、中に4齢以降の幼虫を確認できました。前回観察時にアワブキ葉上に多数のアシナガグモがウロチョロしておりました。恐らく孵化直後の初齢幼虫はこれら蜘蛛の餌食になるのでしょう。初齢もしくは若齢幼虫の巣も殆どありません。かろうじて蜘蛛から逃げて、終齢近くまで到達できる個体はほんの僅かであるに違いありません。この株では、多く見積もっても終齢到達確率は(1/20)X100≒5%でしょうね。

 この観察の後、日を改めて9月初旬、別のアオバセセリポイントに出向いてみました。ここは成虫の生息が噂されている場所ですが、管理人は現認をしておりません。事前調査で、アワブキは2株確認しております。最初の株で初齢幼虫の巣を発見(矢印)。
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D500-34VR(トリミング),ISO=1600,F7.1-1/500,-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時47分(9月上旬)

 ただ、これは時期的に空巣でしょう。これ以外には発見できず。別の株は樹高10m近い大木。こちらでは終齢幼虫巣を期待するものの、幼虫食痕のみ確認、巣は皆無。アオバは生息しているものの、最初に訪問したポイントに比較すると、個体数は圧倒的に少ないのでしょうね。
by fanseab | 2018-09-08 21:19 | | Comments(4)