探蝶逍遥記

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中国四川省成都近郊遠征記:その17

 タテハチョウ亜科の続きです。最初はキタテハ(Polygonia c-aureum)。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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TG4@10.3mm,ISO=400,F5-1/200、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月14日、14時39分

 今回ご紹介する青城山の蝶画像は殆ど全てを前山で撮影しておりますが、唯一の例外がこの絵。前山の奥座敷に位置する后山を訪問した7月14日。この日は生憎の曇天で、昼過ぎからは雨に・・・。全く蝶影を確認できない状態でしたが、叢にこの子を見つけてコンデジで撮ったスナップ。少し下った旅館脇で雨宿りをして居るうちに、疲れが出て爆睡してしまったことを思い出しました。次はプロルソイデスサカハチチョウ(Araschnia prorsoides)♀。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F9-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、9時45分

 前山の小さな湖(月城湖)の近くの植え込みで舞っていた個体。次に紹介するドリスサカハチチョウ(A.doris)に類似しておりますが、後翅を貫く白色帯が本種では直線的であることで区別します(後で詳述)。ここで中国大陸でのサカハチチョウ(Araschnia)属について触れておきます。全体で下記5種が分布しており、概ね地域で棲み分けしている感じですね。prorsoidesは一番南西部に局在した種。なお、アカマダラ、サカハチチョウ以外の和名は一般化されたものがないので、ここでは塚田図鑑方式を用い、「種小名のカタカナ読み+サカハチチョウ」で管理人が付けた仮和名です。青山潤三氏は、⑤の和名に『アカマダラモドキ』を用いておりますが、⑤以外の②、④もアカマダラに類似していると言えるので、この和名は不適切だと思われます。

①アカマダラ(A.levana):黒竜江・吉林省・内モンゴル自治区
②ダビッドサカハチチョウ(A.davidis):河南・陝西・四川省
③サカハチチョウ(A.burejana):黒竜江・吉林・遼寧省
④ドリスサカハチチョウ(A.doris):河南・陝西・甘粛・安徽・浙江・福建・湖北・湖南・江西・四川・雲南省北部・重慶市
⑤プロルソイデスサカハチチョウ(A.prorsoides):甘粛・四川・雲南省・重慶市・南東チベット

 次はドリスサカハチチョウ♀。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F10-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、13時52分

 かなり汚損された個体です。続いて、ほぼ完品の別個体の閉翅画像。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=640,F10-1/320、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、14時57分

 本種はサカハチ同様、春型と夏型で斑紋が変化します。図鑑と照合すると、今回ご紹介した個体は夏型ですが、橙色部分がかなり発達していて、表翅のみ見ると春型のようにも見えます。
 ここで、紛らわしい2種、dorisprorsoidesの識別点を比較図で示します。
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※図示したdorisは都江堰での撮影個体

 最大の特徴点は後翅を貫く淡黄白色帯(A)の性状。dorisは後翅第6・7室で白帯が急激に折れ曲がる(基部側にズレる)のに対し、prorsoidesではほぼ直線状になること。更に後翅外縁側(B)の斑紋の出方も大きく異なります。

 4種目は、シニカキミスジ(Symbrenthia sinica)。恐らく♀。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、15時55分

 雨上がり、急激に気温が上昇し、汗だくで車道を歩いている際、橋のたもとの針葉樹に佇んでいる閉翅個体を撮った場面です。中国大陸(含む海南島)に分布するキミスジ(Symbrenthia)属をここで整理しておきます。下記の全8種とされています。和名はサカハチチョウ属同様、塚田図鑑方式を採用しております。一般的には日本国内でも迷蝶として記録される①を単に「キミスジ」と呼ぶようです。
①リラエアキミスジ(S.lilaea):湖北・福建・海南・甘粛・四川省など
②ヒプセリスキミスジ(S.hypselis):広東・海南・広西・雲南省・チベット南東部
③ブラビラキミスジ(S.brabira):湖北・四川・貴州・雲南省・重慶市
④シニカキミスジ(S.sinica):湖北省西部・四川省
⑤ドニキミスジ(S.doni):チベット南東部
⑥シラナキミスジ(S.silana):海南省・チベット南東部
⑦ニファンダキミスジ(S.niphanda):チベット南東部
⑧シノイデスキミスジ(S.sinoides):四川省

 裏面の斑紋は、lilaea以外は酷似していて、同定に苦労するグループです。ここでは種の分布域を考慮しながら、裏面斑紋、後翅尾状突起の突出度を精査して、sinicaと同定しました。次回はイチモンジチョウ亜科のご紹介になります。
by fanseab | 2019-02-12 22:37 | | Comments(0)

中国四川省成都近郊遠征記:その16

 タテハチョウ科タテハチョウ亜科のご紹介です。今回はコノハチョウ(Kallima inachus chinensis
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、16時56分

 夕方、前山参詣道脇の樹上でテリ張りをする♂個体です。コノハチョウのテリ張り位置は一般的に高いので、この絵も相当トリミングしています。至近距離で綺麗に撮るには、橋の欄干から見下ろすようなポイントを見出さねばなりません。この子はすぐに開翅しました。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、16時56分

 ちょっと擦れていますね。翅表のブルーがギリギリ見えています。もう少し個体に接近して下方からも狙ってみました。所謂、「斜め45度逆光開翅」パターンです。
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D71K-34VR,ISO=400,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、16時58分

 スレ・傷もあまり目立たないので、この画像がこの子にとってベスト画像でした。
 別の日、パイナップルトラップにも本種がやって来ました。
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D71K-34VR,ISO=640,F4-1/320、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、14時05分

 「枯葉に擬態している」と言われる所以がわかるような画像になりました。翅全体の明暗コントラストを平準化するため、ストロボも使ってみました。
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D71K-34VR,ISO=500,F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、14時04分

 すると、あら不思議!裏面がブルーに輝きました。なんと、コノハチョウの裏面から構造色(幻光)が出現したのです。このショットの前後のコマを確認すると、翅面とカメラのアングルが少し変化すると構造色は消えています。不用意にストロボを使うと、裏面が青味を帯びて「枯葉への擬態」を表現するのが困難になるのですね。今後、本種を撮る時に注意したいと思います。次回はタテハチョウ亜科の続きです。
by fanseab | 2019-02-09 20:59 | | Comments(0)

中国四川省成都近郊遠征記:その15

 青城山・前山で撮影したジャノメチョウ亜科の続報です。最初はオオヒカゲ(Ninguta schrenkii)。これまた日本ではお馴染みの種。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時30分

 参詣道脇の側道にパイナップルトラップを仕掛け、あわよくばイナズマチョウ類を誘引できれば・・・と思っていたのですが、獲物は想定外のオオヒカゲでした。ただこれだけのボロ個体なので、一瞬種同定に戸惑ったのは事実。日本国内だとジメジメした湿地帯近くの雑木林等が住処。なのに、見出したポイントは尾根筋で、池や湿地から標高・距離差もあって、一体どこで発生しているのだろう・・・と今でも疑問に思っています。湿地帯に生えるスゲ類ではなく、尾根筋にあるスゲ類を食している可能性もあります。中国国内だと黒竜江省・吉林省付近から四川・陝西・湖南省山間部まで分布が伸びていますが、北京付近や山東省付近の低地にはいないようです。
 上記画像を撮影した後、少しましな個体が半開翅していたので、パチリ。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時32分

 この個体はどうやら♀。♀の鮮度でこの程度ですから、当地での発生時期は終盤戦だったのでしょう。
 次はウラナミジャノメ(Ythima)属2種のご紹介。本属は同定が難しいグループ。基本は先ず後翅裏面眼状紋に着目し、無紋、3個、4個、5個の4グループで概ね仕分けることができます。最初は5個のヤマナカウラナミジャノメ(Y.conjuncta)♂。閉翅と開翅の2枚です。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時20分
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D71K-34VR,ISO=200,F7.1-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時21分

 本種の特徴は開翅画像で明確なように、外縁側が濃褐色に縁どられること。大きさは日本のヒメウラナメジャノメ(Y.argus)よりは大型です。前翅裏面には暗色帯が2本出現しますが、出現状況はかなり個体差がある模様。吸水個体の事例を示します。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、16時00分

 この個体は、上記暗色帯が強く出ています。前翅裏面のみならず、後翅裏面にも2本の暗色条が明確に出ています。それと本種は前翅端付近の翅型に特徴があり、前翅端から外縁部にかけて多角形を呈しております。他種では概ね前翅端~外縁部は緩やかなカーブを描いて連なるのと対照的です。丁度、キレバヒトツメジャノメ(Mycalesis mucianusもしくはzonata)に似た前翅形状と言えましょう。
 2種目はカノウラナミジャノメ(Y.puraenublia)。こちらは後翅裏面眼状紋が4個。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F8-1/320、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月14日、9時34分

 前山から后山に向かう車道脇の叢で撮影。前種ヤマナカよりさらに大型です。しかし、かなり草臥れた個体でガックリ。ヤマナカ、カノ両種共に台湾にも分布しており、カノの台湾産亜種(ssp.neobilia)は著しく巨大になることが知られております。
 次回はタテハチョウ亜科のご紹介です。
by fanseab | 2019-02-03 19:28 | | Comments(4)

中国四川省成都近郊遠征記:その14

 首題遠征記は昨年3月14日の記事(クリックでジャンプ)で、ひとまず区切りとしたのですが、未掲載種が多々ありました。オフシーズンなので、その続きを掲載することにします。いずれも青城山での観察結果です。今回はタテハチョウ科ジャノメチョウ亜科をご紹介します。最初はバウキスクロヒカゲ(Lethe baucis baucis)♂。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング),ISO=640,F8-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時52分

 前山の8合目付近(標高約1100m)の参詣道で吸水している個体。正午前後の暑さに対応するため、彼らもしきりに吸水をしておりました。次は同じ参詣道の脇で静止する個体。
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D71K-34VR,ISO=250,F10-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、10時14分

 中国に生息するヒカゲチョウ(Lehte)属は101種知られています。アジアでも中国はLethe属の宝庫と言えます。複眼の模様がなんとも「とぼけた」表情をしているのと、ハンミョウみたいに撮影者にお供するような行動に魅せられます。色合いは地味ですが、斑紋の多様性もあり、管理人お気に入りの蝶です。中国遠征では1種でも多く、この仲間を撮影したいと思っているのです。本種baucissatyrina群に属し、近縁種hyrania(台湾産をinsanaとする図鑑もあり)と酷似しております。baucishyraniaの識別点を複数の図鑑を検し、次のようにまとめました。
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(1)前翅裏面外縁の眼状紋列(上図中A)
共に3-6室に4個(上図中#3-#6)。但しhyraniaは6室(#6)が通常消失。baucisは3-5室に比較して小さいが確実に出現。3-5室眼状紋内の黒色部分はbaucisでより鮮明。
(2)前翅裏面淡白色帯:前縁と淡白色帯のなす角度(同B)
hyraniaはほぼ直角。baucisはやや基部側に屈曲する。
(3)後翅裏面暗色条:外縁側暗色条が後翅前縁となす角度(同C)
暗色条は共に2本ある。外縁側暗色条は第6室の眼状紋の周囲を経て前縁に達する。この時、前縁への侵入角度に注目する。baucisではほぼ直角だが、hyraniaは強く外縁側に屈曲する傾向が強い。

 以上の識別点を総合的に勘案し、ここではbaucisとしております。前翅中室裏面の2本ある暗色条にも有意差がありそうですが、ここでは触れません。上記吸水個体と閉翅個体は別個体で、両画像を見ると、当該裏面暗色条の発現状況はかなり個体差があることが理解できます。
 因みにbaucishyraniaも♀は前翅にシロオビヒカゲ(L.europa:台湾名玉帯蔭蝶)同様、明確な白色帯があり、そのため、hyraniaの台湾産亜種の台湾名は、「深山玉帯蔭蝶(無理やり意訳すると、ミヤマシロオビヒカゲ)」です。

 お次は日本でもお馴染みのクロヒカゲモドキ(L.marginalis)。
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D71K-34VR,ISO=400,F8-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、9時48分

 恥ずかしながら、このところ日本で本種を撮影していないので、本当に久しぶりの出会いでした。一応日本産と同じ名義タイプ亜種です。やや擦れた個体でした。広角で生息環境も写してみました。
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GX7-Z12,ISO=400,F11-1/60、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、9時53分

 やはり敏感なので、このようなショットを撮る時は神経を使います。もうちょっと寄って一枚と思った瞬間、飛び上がりました。
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GX7-Z12(トリミング),ISO=400,F11-1/40、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、9時53分

 お陰でちょっぴり翅表を覗かせてくれました。次回はジャノメチョウ亜科の続きをレポートします。
by fanseab | 2019-01-29 22:05 | | Comments(0)

中国四川省成都近郊遠征記:その10

 今回はセセリチョウ科のご紹介です。トップバッターはユウマダラセセリ(Abraximorpha davidii davidii)♂。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時02分

 本種は初撮り。日本にもいる尺蛾、ユウマダラエダシャク(Abraxas miranda)ソックリの姿形をしております。多化性のセセリだそうで、どうやら♂は時期外れだったのか、ボロボロでした(^^;
 2種目は日本でもお馴染みのダイミョウセセリ(Tagiades tethys roona)♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F5.6-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、17時08分

 中国大陸・台湾産は、日本産の「関西型」同様、後翅の白帯がはっきり出ます。つい最近、本種属名はDNA系統解析の結果、従来のDaimioからTagiades(シロシタセセリ族)に変わりました。実際、現地で飛んでいる姿はシロシタセセリそのものです。
 3種目も日本での超お馴染みのイチモンジセセリ(Parnara guttata)。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、16時19分

 正直、正面だけからだと、ちょっと同定し難いですね。次は同じParnara属のバッタイチモンジセセリ(仮名:P.batta)。
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D71K-34VR, ISO=400、F11-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、14時10分

 中国国内に生息するParnara属は全5種。この画像も正面なので、同定には自信無し。やはり、セセリの後方に回り込んで前後翅表面の画像を撮らなければ、正確な同定はできません。城壁を攀じ登り、花壇に突入すれば、希望アングルの画像をゲットできますが・・・・。世界遺産ならではの悩ましい点ですね。

 セセリチョウ科の目撃・撮影種を下記にまとめます。全4種でした。
(1)ユウマダラセセリ(Abraximorpha davidii davidii
(2)ダイミョウセセリ(Tagiades tethys roona
(3)イチモンジセセリ(Parnara guttata
(4)バッタイチモンジセセリ(仮名:P. batta)*同定に自信なし
<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-28 21:29 | | Comments(0)

中国四川省成都近郊遠征記:その9

 今回はクロオオムラサキ以外のコムラサキ亜科のご紹介。実はこのポイントにはオオムラサキ(Sasakia charonda coreana)も棲んでいるとされています。しかし、発生時期はクロオオムラサキより早く、5月中旬頃から♂が登場するらしいのです。ですから管理人が訪れた7月中旬に、ひょっとして生き残りの♀がいてくれたら・・・と、儚い思いを抱いておりました。しかし、残念ながら坊主。「オオムラサキ♀がエノキに来て産卵するシーン」を絵コンテに描きながら、エノキの株で待機していると、やって来たのはゴマダラチョウ(Hestina persimilis viridis)の♀でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F9-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、13時21分

 運良く産卵シーンに出会えてラッキーでした。エノキの葉先端に産み付けられた卵も入り、産卵シーンとしてのA級ショット。会心の出来に満足です。日本では幹に産卵するシーンしか撮影経験が無く、葉上への産卵シーンは初体験。二重に嬉しい絵になりました。中国産ゴマダラは日本産(ssp. japonica)とは別亜種になります。中国産亜種viridisの特徴は①前後翅裏面基部が橙色を帯びること。②白班が翅脈に沿って放射状に拡散する傾向にあること、の二点。↑の画像からもこの特徴が良く理解できます。産卵された卵は手元に引き寄せる距離になかったので、拡大撮影は300mmで無理やりトリミングするしかありませんでした。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、13時26分

 何とか縦条は分解できましたが、やはりきちんと手元に引き寄せて拡大撮影したかったです。
 2種目は関東地方でもお馴染みになったアカボシゴマダラ(H. assimilis assimilis)♂。
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D71K-34VR, ISO=400、F7.1-1/500、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、16時41分

 輸入元?とされる本家本元のアカボシです。16時頃はクロオオムラサキのテリ張り時間帯と重なりますが、不思議な事にアカボシとクロオオムラサキのバトルは確認できませんでした。最後はケバナミスジコムラサキ(Mimathyma chevana leechii)♂。
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D71K-34VR, ISO=320、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時31分

 玉塁山で目撃したのはこの日のみ。テリ張り位置がクロオオムラサキとは微妙に異なるため、観察があまりできなかったことも事実。裏面がご覧のように銀白色で覆われることがMimathyma属の特徴。実は同属のシロモンコムラサキ(Mimathyma schrenckii laeta)もこのポイントで観察できるはずでしたが、何故か坊主。
 ケバナミスジコムラサキの複眼付近をトリミングして拡大。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=320、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時31分

 こうして見ると、複眼は黄緑色、ストローは黄色で、コムラサキ亜科のDNAを有することが一目瞭然。その後、テリ張り位置を屋根瓦に変えました。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=200、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時36分

 開翅した姿はAthymalimenitis属そっくりで、「ミスジ」の和名由来にも納得です。夜間ライトアップするための灯光器が背景に来たのはご愛嬌でした。世界遺産に登録されると、こんな余計な気配り?も必要になるのでしょう。開翅位置を斜め正面から撮ったのが次のショット。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F6.3-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時40分

 あら不思議!ミスジ模様に青紫色の幻光が出現しました。そう、この子は紛れも無く「コムラサキ」の兄弟なのです。標本画像ではこの青紫色は絶対に出現しないので、管理人も図鑑を眺めながら「chevanaには幻光が出ない」との先入観がありました。ですので、この絵を見た時、凄く興奮しました。やはり標本画像と屋外でみる生きた蝶とは別物の世界ですね。
 更に胴体に着目すると、胸部背面側のフサフサとした毛にも一部青紫色の幻光が確認できます。実に芸の細かい種だと感心いたしました。

 コムラサキ亜科の目撃・撮影種を下記にまとめます。全4種でした。
(1)ゴマダラチョウ(Hestina persimilis viridis
(2)アカボシゴマダラ(H. assimilis assimilis
(3)クロオオムラサキ(Sasakia funebris funebris
(4)ケバナミスジコムラサキ(Mimathyma chevana leechii
<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-25 09:57 | | Comments(0)

中国四川省成都近郊遠征記:その8

 タテハチョウ科の最後は、コムラサキ亜科。お待たせしました。ようやく真打ち、クロオオムラサキ(Sasakia funebris funebris)に登場してもらいましょう。玉塁山に登った初日、13時頃山頂に着いてヒルトッピングして来る個体を待ちますが、全く姿がありません。こりゃ~坊主か?と一瞬覚悟して一旦山頂から下り、再度山頂付近に戻った15時過ぎ、黒い影が視界をよぎりました。イチョウの葉上に止まった個体をパチリ。これが初ショットになりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR, ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、15時17分

 良く見ると、前翅はボロボロ(^^; おまけに周囲にエノキ等の広葉樹があるのにイチョウの葉上。イチョウは明らかに人工的な植栽。恐らく遊歩道整備の過程で、樹木を伐採し、その後植えたものでしょう。こうした状況で、中国では土地古来の植物相を復元することなく、安易にポプラやイチョウ等を植えてしまうようです。クロオオムラサキのテリ張り場所はできればエノキやクヌギ類の上であって欲しい・・・、こちらの目論見は見事に外れてしまいました。その後、時間の経過と共に個体数が増加してきましたが、テリ張り位置が変化し、殆どの個体は、人工物の上で睥睨する状況に。こちらは屋根瓦の上に止まった個体。
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D71K-34VR, ISO=400、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、15時26分

 この建物、何か歴史的に由緒あるものかと思いきや、どうやら気象観測所のようです。温湿度以外にSOxやNOxなど大気汚染物質のモニターも実施しています。
 次に広角で。
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GX7-Z12, ISO=200、F10-1/50、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、16時16分

 この日は土曜日とあって、ゾロゾロ観光客が遊歩道を歩いていきます。そのすぐ傍でこのように悠々とテリ張りを続けています。前翅の翅脈に沿って流れるような白条が墨を流したようで、とても印象的。接近戦でも撮影。
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D71K-34VR, ISO=400、F9-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、16時17分

 前後翅基部の真紅の紋、そして複眼も赤!良く見ると複眼の赤色はやや濁っていて、それが余計に迫力を感じさせます。玉塁山での観察後、青城山でもクロオオムラサキを撮影しておりますが、↑でご紹介した♂個体は現地滞在中唯一の完品でした。♂同士のバトルは激しく、直ぐに翅が痛むのは卍バトルするゼフ♂と同じ。鮮度の良い♂を探すのは極めて難しいことを実感しました。翌日、同一個体と思しき♂を対角魚眼で。
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GX7-P8, ISO=200、F14-1/250、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、14時47分

 背景に玉塁閣を入れ、いかにも「中国で撮影した」雰囲気が出せて、お気に入りの画像になりました。
 尾根筋の遊歩道沿いには複数の♂がテリ張りをしており、時折、20-30m間隔で城壁を模した壁沿いに並ぶ光景も確認できます。
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D71K-34VR, ISO=640、F13-1/320、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、16時06分

 中央の♂個体の後方、すぐ上に別の♂個体(ボケ画像で失礼!)が確認できます。中央は左側を監視、一方後ろの個体は右側の谷沿いを監視している状況です。当然、この2個体同士でバトルが発生します。しかし、飛翔はとんでもなく敏速で、300mmでジャスピン画像を撮るのは至難の業。ピンボケですが何とか2頭、画面に入った画像をご紹介します。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=640、F6.3-4000、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、16時09分

 クロオオムラサキの静止画像を撮影中、面白い事に気が付きました。下の画像をご覧下さい。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=200、F6.3-250、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、14時14分

 ストローの色にご注目あれ。コムラサキ亜科のストローは基本、黄色か橙色。しかしクロオオムラサキは漆黒!更に面白いことにストロー先端はルール通り黄色なのです。造物主たる神様はクロオオムラサキの全身をほぼ漆黒にしたのですが、ストロー先端だけ色を塗り忘れたのだろうか?などと、つまらぬ事を考えてしまったのです。

 飛翔についても何とかジャスピン画像を撮ろうと頑張ってみました。300mmでの飛翔は厳しいので諦め、広角飛翔にトライ。先ずは対角魚眼で。
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GX7-P8(トリミング), ISO=400、F3.5-1/4000、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、14時30分

 管理人に接近する直前でヒラリと身をかわして逃げるので、射程になかなか入ってくれません。そこで少しでも対象を大きく写し込めることができるように焦点距離が長めの12mmで再チャレンジ。
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GX7-Z12(3コマ合成+トリミング), ISO=400、F5-1/3200、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、16時10分

 3コマを合成したので、何とか迫力を出すことができました。このように飛翔中は前翅の白条が良く目立ちます。カラスアゲハやミヤマカラス前翅の白条とよく似ており、実際、初めてクロオオムラサキを目撃した時は、「変な飛び方をする黒系アゲハだな~」と誤認した位です。また、クロオオムラサキ自身も占有空間に入り込んた黒系アゲハを激しく追尾する姿が印象的でした。↑の画像中央下に写りこんでいる中国人は管理人の飛翔撮影風景を面白がって見物しておりました。お蔭様で、背景に人物が入り込んで、広角飛翔画像としては理想的な仕上がりになり感謝です(多謝旅客!)。
<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-22 21:12 | | Comments(4)

中国四川省成都近郊遠征記:その7

 今回はイチモンジチョウ亜科のご紹介。最初はヒラヤマミスジ(Athyma opalina constricta)♂。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時03分

 南西諸島でお馴染みのヤエヤマイチモンジ(A.selenophola)の仲間です。尾根筋の遊歩道付近で最も活発に占有行動を繰り返しておりました。占有場所は一定時間内ではほぼ固定されています。時折、石垣に来て管理人と睨めっこ(^^)
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時06分

 複眼の偽構造がメチャ可愛い子です。でも、
『おいお前さん!日本からわざわざここに来て、俺の縄張りを荒らすつもりかい?』
と管理人を睨みつけているようにも見えます。そこで少し視線をずらし、遠慮気味に「斜め30度逆光半開翅」アングルからパチリ。
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D71K-34VR, ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時06分

 縁毛も揃った完品で見栄えがします。時には葉上で180度を超えるベッタリ開翅も披露してくれます。
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D71K-34VR, ISO=200、F6.3-1/250、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、14時42分

 この子、胴体背面側に後翅中央白帯と連続する青白帯があります。Atyhma属の中で、この胴体背面に①白色帯が出るタイプ(本種、jina等)、②出ないタイプ(selenophola♂等)があり、更に①の白色帯が(a)白色のもの、(b)青味を帯びるものに大別されます。つまり、胴体背面白帯はAthyma属を識別する上で、重要な形質であります。

 2種目はランガシロミスジ(別名カワリイチモンジ:Athyma ranga serica)♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F9-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、13時25分

 この子との出会うのは、何と9年振り。香港の尾根筋でテリ張りしていた個体(クリックでジャンプを撮影して以来でした。

 もう少し接近戦で撮りたかったですね。ランガの模様はゴマダラチョウそっくりなので、親しみが持てます。このポイントでは珍品で、出会ったのはこの子のみ。
 3種目は大型イナズマ、カルダマイナズマ(別名ミドリイナズマ:Euthalia kardama)♂。
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GX7-P8, ISO=200、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時16分

 丁度クロオオムラサキと同じ体躯で、このように遊歩道を歩く観光客に睨みを利かしています。但し、人間には全く興味がなく、接近しても動こうとはしません。手掴みで採集が可能でしょう。一方、タテハ類が視界に入ると鉄砲玉のようにスクランブル発進するのです。この画像、実は2016年元旦の記事に使用しております。クロオオムラサキは色が黒ですし、種名funebrisは「喪服を纏った」趣意があるので、元旦画像としては相応しくなく、掲載を見送った経緯があります。
 本種翅表の緑色は独特で、やや青味を帯びて翡翠を想起させます。日本国産でこのような色調のタテハは皆無のため、より存在感が増します。眺める角度により、幻光のように色合いが微妙に変化するのも魅力の一つ。続いて、「斜め15度逆光半開翅」アングルで。
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D71K-34VR, ISO=200、F9-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時07分

 裏面はベージュ~淡褐色です。翅表の白点列が透けて見える、このアングルも捨てがたいものがありますね。続いて翅表をベタで。
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D71K-34VR, ISO=400、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時36分

 ほぼ見たままの翅表の色合いが表現できたように思います。触覚先端の橙色がとてもお洒落なアクセントになっています。
 4種目はカルダマの親戚、チベタナイナズマ(仮名:Euthalia thibetana thibetana)♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F8-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時02分

 かなり距離が遠く、思いっきりトリミングしてのご紹介です。最初はカルダマだと思って撮影しておりましたが、後日、前後翅白点列が連続的な帯状を呈することから別種と気が付いた次第。いかにも中国らしい彩色を背景にテリ張りをしておりました。個体数は少なく、結局このコマ以外、撮影チャンスはありませんでした。四川省には本種に酷似したシュタウジンゲリイナズマ(仮名:E.staudingeri)も生息するとされておりますが、前翅白斑列の形状比較より、ここではthibetanaと同定いたしました。因みに以前本種は、台湾のスギタニイチモンジ(E.insulae)と同一種扱いだったのですが、その後、台湾産が独立種に格上げされました。

<2月22日追記>
 1種、記載忘れがありました。シラキミスジ(Neptis sankara antonia)♂をアップし忘れていました。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F11-1/250、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、13時49分

 中型のNeptisで、日本のミスジチョウとほぼ同体躯。鮮度がちょっと悪いですね。
最後にイチモンジチョウ亜科の目撃・撮影種をまとめておきます。下記6種でした。
(1)シラキミスジ(Neptis sankara antonia
(2)ヒラヤマミスジ(Athyma opalina constricta
(3)ランガシロミスジ(A. ranga serica
(4)チベタナイナズマ(Euthalia thibetana
(5)ミドリイナズマ(E. kardama
(6)シロヘリスミナガシ(Stibochiona nicea

<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-16 20:54 | | Comments(2)

中国四川省成都近郊遠征記:その6

 今回はタテハチョウ科のジャノメチョウ亜科/ドクチョウ亜科/タテハチョウ亜科のご紹介。最初はジャノメチョウ亜科のオオシロジャノメ(Melanargia montana)♀。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F11-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時06分

 玉塁山山頂にある玉塁閣横の茶店付近をやや大型のシロチョウが横切りました。何となく飛翔モードに違和感を覚え、追跡したのが本種。ほぼスジグロチョウのような姿形ですが、ジャノメチョウなのです。17年前、韓国江原道を訪れた際、Melanargia属を目撃しておりますが、撮影は今回が初めて。残念ながら大破した♀個体で、恐らく当地では発生末期だったと思われます。この子、その後産卵挙動を見せていたので、追いかけましたが、例によって遊歩道から外に出られない影響で、姿を見失ってしまいました。同属はユーラシア大陸に比較的広く分布していて、種epimedeは、現在冬季五輪開催中の韓国・江原道・平昌付近でも夏場に飛んでいるはずです。尤も本種の和名・タクサ共に結構混乱しているようで、管理人は正確な知識はありません。もしかすると、M.halimede montanaが正しいのかも?
 お次は日本でもお馴染みのツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)♂。
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D71K-34VR, ISO=400、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、13時53分

 玉塁山山頂から西に延びる遊歩道は尾根沿いにあり、各種タテハがテリを張っていて楽しめるポイント。ツマグロも元気に追飛行動を取っておりました。次もお馴染みのアカタテハ(Vanessa indica)♂。
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D71K-34VR, ISO=400、F7.1-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、16時46分

 この子もテリ張り時間帯が重なる他のタテハ類とバトルを繰り広げておりました。そんな中、ゆっくりと吸蜜していたのは、ドリスサカハチチョウ(Araschnia doris 別名キマダラサカハチチョウ)♀。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、13時46分
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D71K-34VR, ISO=500、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、13時51分

 日本のサカハチチョウ(A.burejana)、アカマダラ(A.levana)と同属。中国内に生息するAraschnia属は全6種。burejanalevanaは共に中国にも生息しておりますが四川省は両種共に分布外とされています。今回ご紹介したdorisはサカハチのように季節型を持たない種で、7月に撮影したにも拘らず、ご覧のようにサカハチの春型のような斑紋形態です。サカハチ春型に比較して橙色部分が拡がり、黒班も多数目立つため、別和名に『キマダラ』が冠せられたのでしょう。サカハチと異なり、後翅黄白色帯が直線状ではなく、湾曲することも本種の特徴。国産サカハチとの識別点を画像(クリックして拡大してご覧下さいね)にまとめてみました。
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最後にジャノメチョウ亜科/ドクチョウ亜科/タテハチョウ亜科の目撃・撮影種をまとめておきます。下記5種でした。
<ジャノメチョウ亜科>
・オオシロジャノメ(Melanargia montana)♀
・シロスジムカシヒカゲ(Neorina patria
<ドクチョウ亜科>
・ツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)♂
<タテハチョウ亜科>
・アカタテハ(Vanessa indica)♂
・キマダラサカハチチョウ(Araschnia doris)♀
<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-13 21:50 | | Comments(2)

中国四川省成都近郊遠征記:その5

 今回はシジミチョウ科のご紹介。最初はシジミタテハ(Dodona eugenes)♀。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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GX7-P8, ISO=400、F8-1/125、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時39分

 玉塁山を一旦西側へ下り、二王廟へ下る途中の遊歩道の脇で発見。本種は初撮り。Dodona属に限れば、北タイ遠征で出会って(クリックでジャンプ)以来、何と9年振りの撮影でした。
 広角ではそれほど目立ちませんが、微妙にスレた個体。望遠マクロでほぼ真横から。
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D71K-34VR, ISO=640、F7.1-1/250、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時32分

 続いて「斜め45度半開翅逆光」で。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F4-1/320、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時35分

 このアングルで撮ると、翅面の細かい傷が目立ちますし、縁毛も微妙に擦り切れていることが露呈します。
 シジミタテハ以外のシジミチョウは普通種以外目撃できず。最初はお馴染みのウラナミシジミ(Lampides boeticus)♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F11-1/400、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、12時56分

 この子も右後翅の尾状突起が消失している個体。お次はヤマトシジミ(Pseudozizeeria maha)♀。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F6.3-1/320、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、11時26分

 遠く離れた異国の地で、このようなお馴染みの顔ぶれに出会うと何故かホッとしますね。最後はこれまた大破個体のブルー系シジミの♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F11-1/400、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時06分

 同定するのに困難な状態ですが、ここでは当地でのド普通種、タッパンルリシジミ(Udara dilecta)♂としておきましょう。間違っていたらごめんなさい!

 今回のシジミチョウ探索も含め、玉塁山での蝶探しは色々と難点があります。世界遺産に登録されたことも関係しているのでしょう。先ず遊歩道が整備され過ぎていることが問題。遊歩道の外へ出ることが禁止されているのです。例えば、この金網で作られたフェンス。
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TG4@4.5mm, ISO=100、F2-1/40、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、10時24分

 「ちょっと、崖地を下って食草探し・・・」なんてことができません。フェンスを無理やり超えることも物理的に可能ですが、ここは中国。恐ろしい公安当局の係員がどこで監視をしているか分かりません。彼らは制服を来た警察官と異なり、私服で一般観光客に紛れているので、始末に負えないのです。更に遊歩道脇の植生が完璧に人工化され、在来種の草・木本が園芸種や栽培樹木に置き換えられています。遊歩道脇のスナップをご紹介しましょう。
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TG4@5.5mm, ISO=125、F2.3-1/125、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、8時16分

 左側の花壇然とした環境にガッカリです。玉塁山全体では、多様な植生を有するにも拘らず、観察ルートが限定され、蝶の生活史全体を観察する環境になっていないことが、本ポイントの最大欠点でもあります。
最後にシジミチョウ科の観察・撮影リストです。
⑦シジミタテハ(Dodona eugenes)♀
⑧ウラナミシジミ(Lampides boeticus)♂
⑨ヤマトシジミ(Pseudozizeeria maha)♀
⑩タッパンルリシジミ(Udara dilecta)?♂
<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-11 15:49 | | Comments(2)