探蝶逍遥記

霧島の輝きを求めて(7/29)

 気象台は優柔不断にも梅雨明け宣言してませんが、関西地方は既に完璧な真夏。熱中症にならぬよう、肝に銘じて鈴鹿山中に篭りました。狙いは当然、キリシマミドリシジミ。高所を飛ぶ相手に、首が痛くなっただけで撮影を諦めた2年前のリベンジを果たそうとの思いです。

 前回とは意図的に探索場所を変え、現地早朝5時半到着。空はカンカン照りになりそうな雰囲気。谷筋の下草にも注意を払い、時々長竿でビーディングをかましながら、林道を辿っていきます。キリシマの活動時間帯まで間があるので、ポイントになりそうなアカガシの樹高と朝日が差し込む位置を検討しながら渓谷を探索。下流から上流へポイント①、②、③を設定。7時ちょっと前、ポイント②の樹高20mほどのアカガシの樹冠にキラキラと銀白色の影が。待ちに待った主役の登場です。しかし、下に降りてくる気配がないので、ポイント①に移動。またしてもキリシマの影。今度は樹高が低い樹間に潜り込みました。400mmズームで覘いてみると、ウロウロ葉上を動き回って、吸水(吸汁?)をしているようでした。これが小生、キリシマ閉翅ポーズのファーストショット。時間は7時43分でした。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F9-1/320、-0.7EV

 しかし、まだ位置が高すぎます。そこで長竿でやんわりと叩き出すとようやく400mmズームの射程距離に。止まって2秒もしない内にいきなり開翅です!慌てて渓谷に転がっている大岩を脚立代わりに何とか開翅シーンがものにできました。距離的には不満足なもののまずはリベンジ成功です。でもこのメタリックブルー、Favoniusのようにも見えるけど、キリシマ固有の色なんでしょうか?もう少しいろいろな角度から撮ってみたいものです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F7.1-1/1000、-1.0EV

 結局、この後、この個体はいつもにように樹上高く舞い上がり、ジ・エンド(^^;;
で、場所変えてポイント③に赴きます。ここは上流域で川幅が最大でも3m、アカガシが両岸から迫り出している最も良さげなポイントです。アカガシの下枝を叩くと、黒いシジミが。「あっ、キリシマの♀!」と叫びましたが後の祭り。意外なほどのすばしこさで姿を見失いました。なにせここは大岩がゴロゴロ転がる沢でして、蝶ばかり見ていると岩に転倒して骨折の危険もある難所です。マムシもゴロゴロしてますんで、苦労が絶えません。それでも個体数は抜群に多く、常時数頭のキリシマ♂がチェイシングをしている素晴らしい眺めを楽しめます。さきほどの♀に懲りて、慎重に下枝を叩き出すと今度はゆったりとした♂が飛び立ち、下枝の中に隠れました。バトルに負け、テリ場所を失って下枝に降りてきたのかもしれません。でもお陰様で比較的至近距離で、木漏れ日の下、樹間に佇むしっとりとした閉翅シーンを撮ることができました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F8-1/400、-1.7EV、内蔵ストロボ(調光補正-1/3EV)

 この個体、暫くながめていると、猫の毛づくろいのように触角を脚でしごいたり、吸汁?行為もしていました。なんとなく親しみを覚える♂でした。
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D70S-VR84@400mm(トリミング), ISO=500, F13-1/250、-1.7EV、内蔵ストロボ(調光補正-1/3EV)

 さて、9時頃を過ぎると陽射しの関係で、テリ位置が撮影には大変不向きなポイントに移動していきます。90mmマクロでも撮影可能な位置にアカガシの下枝はあるのですが、ここは陽射しが「ベタ」で当り、どうやら♂がテリを張るのを嫌うようです。好んで♂が占有行動を取る場所は、以下の条件に限定されるようです。
(1)葉上に斜光線で光が当るとか、
(2)周囲は影になっているが、葉先だけ陽があたっている
そこで、条件(2)の好例を以下に示します。
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D70S-VR84@330mm(トリミング), ISO=640, F10-1/320、-1.7EV

 400mmズームでも証拠写真にしかならない距離に止まるので、本当に泣かされます。↑の画像で少し開き気味にした表翅は紫色のようにも見えます。光の当たり方でゼフの表翅は本当に七変化するのですね。

 テリ張りシーンが撮影できないとなれば、胸のすくような♂のバトルを何とかものにしたい・・・と山っ気を起こし、100ショットほど飛翔写真にトライしましたが、超高速であること、卍持続時間が1秒程度であること、飛翔の方向予測が全くつかないこと、にすぐ気がつき、トライするのがバカバカしくなって止めました。何とか撮った証拠写真はこちら。
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D70S-VR84@195mm(トリミング), ISO=500, F10-1/250、-1.7EV、内蔵ストロボ

 ともかく、キリシマの飛翔は従来技術の延長線上では駄目で、相当な工夫をせねば無理だと悟りました。で、後はじっと鑑賞するのみ。およそ1時間、延々と繰り広げられるチェーシングを堪能しました。それにしても2年前に比べ数倍以上の個体数には感動しました。アカガシの大木には少なくとも2頭が乱舞している状態でした。キリシマは当たり年とそうでない年がはっきりしているそうですが、今年は恐らく「当り」年のようです。

 「リベンジ」を掲げた今回の鈴鹿遠征。開翅画像がイマイチだったこと、♀の撮影ができなかったことを考えて、リベンジ率60%としておきます。でも撮影できない分、今回じっくり♂の生態を観察することができました。裏面斑紋の特異なことと併せ、このゼフィルスが蝶屋の憧憬対象である理由が今回の遠征でよくわかりました。
 昼前11時頃から、雷雲が広がってきたので、慌てて下山。麓に下りる頃には本降りに、更に京都南ICを過ぎる頃には土砂降り状態になっていました。気象予報士が関西の梅雨明け宣言を延ばしている理由がわかったような気がしました。

※お知らせ
 本体HP:「日本の蝶」ギャラリーにウスイロヒョウモンモドキ、ミヤマチャバネセセリの2種を追加しました。お口直しにお立ち寄りください。
# by fanseab | 2006-07-29 22:08 | | Comments(10)

セセリ探索(7/22)

 梅雨空の中、神奈川のマイフィールド(多摩川河川敷)で午前中、ぶらぶらしました。
6/25付拙ブログでギンイチモンジセセリの亜終齢幼虫をご紹介しましたが、ひょっとして第2化が発生しているかもしれない・・・、これが本日のメインターゲット。で、結論から言うとヌル。
 10時頃から急に陽が差す気配ですが、飛び出すのは新鮮なヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメの一群。セセリで見たのはイチモンジをわずかに2頭。うーん、ここでは亜終齢~終齢の期間が長い年2化なのでしょうか?結論を出すにはさらに8~9月まで継続観察が必要のようです。

 それにしても昨日までの大雨でジトジトに湿った足元、背丈を越すススキの原を徘徊するのはイヤなもんです。これを嫌って、これまでこの時期のギンイチ撮影を控えていたのです。成虫がいないので今度は幼虫探索。でも前回のように簡単には発見できません。ようやくセセリの巣らしきものを発見。
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R1@5.6mm, ISO=400, F3.6-1/270、-0.3EV

 空けてみると、ギンイチではなく、恐らくイチモンジの3齢幼虫。
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R1@5.6mm, ISO=400, F3.6-1/133、-0.3EV

 この後、ミヤマチャバネセセリらしき幼虫巣を発見し、空けようとしたら、驚いた幼虫を草叢に落とす大失敗。セセリの巣を空ける時の鉄則:「落ちた時の発見を容易にするため足元を踏みしめる」を無視したのが敗因でした。
結局、この幼虫を見失い、あ~、ガッカリ(^^;;

 ススキの原を抜け出るとヒメジョオンの花にベニシジミ、ヒメウラナミジャノメが沢山吸蜜していました。ここでは夏型のベニシジミに注目。とびきり黒化が進んだ個体を追い回して縦位置広角でパチリ。
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R1@5.6mm, ISO=400, F5.9-1/270、-0.3EV

 ここまで、黒くなると「紅」の形容詞に違和感を覚えます。「フチベニクロシジミ」と命名しておきましょう(^^) 後翅外縁部にわずかに光る青色鱗がおしゃれですね。
# by fanseab | 2006-07-22 22:20 | | Comments(12)

「クロ」2題(7/15)

 本日は少し東に進路を取って京滋方面に遠征です。まず京都南部のクロヒカゲモドキポイントへ7時前に到着。まもなく、「My Favorite Butterflies of Japan 新日記蝶」のKさんと合流し、一緒に探索しました。するとすぐに農具収納小屋の中で吸汁する新鮮な♂を発見。あっという間に本日の第一目標はクリアしました。銀塩時代、山梨・韮崎で撮影して以来何年振りでしょうか?吸汁中はかなり接近できることがわかりました。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F10-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ

 この個体、湿気の多い日陰の小屋にご執心の様子で、暫くこの子とおつきあい。下草に止まったので、久しぶりに縦位置広角でも撮るか?と、ファインダーを覘くと、「アレレ?眼状紋が見えない、変だなあ」「えっ、ひょっとして、か、か、・・・開翅している!!」ドキドキしながらもあっけなく、縦位置広角開翅画像が撮れちゃいました。小生の真後ろでは、「開翅画像の鬼」、Kさんが雄叫びを上げながら興奮状態。モニターを拝見させて頂くと、何と120度近く開いた開翅画像。さすがにその道を究めた方には脱帽でした。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F10-1/30、-0.3EV、内蔵ストロボ

 最後に縦位置広角でこの日の蒸し暑い夏空とモドキのイメージを集約した作画を試みました。「日陰蝶」の雰囲気が何とか出せたようです。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F11-1/160、-1.3EV、内蔵ストロボ(調光:-0.7EV)

 クロヒカゲモドキが生息しているこのポイント、他にも魅力的な蝶がいくつか。最初はオオヒカゲ。ちょっぴりスレていますが、藪の中に逃げ込んだ個体を何とか400mmズームで捉えました。出来はイマイチですが、小生本種は撮影初体験でこれがファーストショット。素直に嬉しいです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500、F11-1/320、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光:-0.3EV)

 お次はホソバセセリ。本種とは二年ぶりのご対面。汗で濡れた小生のリュックやシャツからしきりに吸水。ペットボトルを借景にしてみました。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F7.1-1/80、+0.3EV

 11時頃、次の目的地、滋賀県のクロシジミポイントへ移動です。先週、但馬の高原で♂は撮影済みなので今日の狙いは♀一本。到着するとすぐに期待の♀が多数出現してくれました。曇り勝ちの天気が幸いして開翅ポーズを披露してくれます。しかし♂と異なり、幻光が拝める訳ではなく、あくまで黒褐色の地味な装いです。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F11-1/30、内蔵ストロボ(調光:-0.3EV)

 Kさんが、コナラの枝先にアブラムシの集団を目敏く発見。クロオオアリとアブラムシで真っ黒になっているポイントの近くで♀がじっと様子を窺っています。
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D70, ISO=500、F10-1/200、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光:-0.7EV)

 暫く待っていると♀が飛び立ち、待望の産卵シーン。アブラムシとのツーショットを意図した作画のため、頭隠して尻・・・になったことはご勘弁を。腹端の先にある、産み立ての薄青色の卵がご確認頂けるでしょうか?
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D70S-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=500、F11-1/250、-0.3EV、内蔵ストロボ

 昼食後、雲行きが怪しくなって夕立が落ちてきたので、撤収。念のため、別のポイントも探索することに。すると雨が止んでくれて、ここでも元気な♀が姿を見せてくれました。日差しの加減がよかったのか、これまでで最大角度の開翅も拝むこともできました。
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D70, ISO=640、F6.3-1/800、-0.3EV

 各個体をよく眺めてみると、裏面の個体変異は様々です。この日出会ったなかで、最も裏面白化が進んだ個体を示します。後翅の白化が著しく、前翅前縁部に本来の黒褐色が残っています。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F9-1/640

 クロヒカゲモドキで始まり、クロシジミで終わった京滋遠征。大変充実した撮影行となりました。終日、いろいろとお世話になりました、Kさん、本当に有難うございました。

【追記】
本体HP:「ボルネオの蝶」ギャラリーを科別編成方式に変更し、新規追加3種他、画像を増強しました。お時間があれば、どうぞお立ち寄りください。
# by fanseab | 2006-07-16 08:49 | | Comments(14)