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探蝶逍遥記

岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1

 連休後半は昨年に引き続き岡山県東部でクロツ、シルビアの探索をしておりました。
クロツ、シルビア共に新ポイント発見はできず、昨年見出したマイシルビアポイントで撮影に取り組みました。この日は好天で気温高め。ちょっと出遅れてポイントに9時過ぎに到着。草地に飛び込むと先ず発見したのはシルビアではなくて、ヒメウラナミジャノメの交尾ペア。                                      
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岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_2130719.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時13分

 ヒメウラナミの交尾ペアは銀塩時代以来の撮影。普通種ですけど、あまり縁がなかったですね。ビックリしたのは♂(右)の縁毛幻光。ブルーが見えています。シジミ以外ではあまり見ることのできない光景です。今シーズンどこかで新鮮な♂で再度トライ予定です。ここは、シルビア以外にヤマト、ツバメも混棲しています。暫く観察しましたが、どうやらシルビア♂は見当たらず、♀のみのようです。そう言えば昨年も同様な状況でしたので、このポイントで新鮮な♂を狙うには4月中旬過ぎに来なければいけないようです。先ずは♀の半開翅を撮影。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_21303736.jpg
D7K-85VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/400、-0.7EV、撮影時刻:9時26分

 シルビア♀の表翅は通常漆黒ですが、クロツ同様、強い光線下で怪しげな幻光を放ちます。前縁から外縁にかけて虹のように段階的に色彩が変化するのが見どころ。この♀はスレ品ですので、完品を求めて探索。やっと見つけた完品で、「究極のシルビア♀開翅画像」にチャレンジ。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_2131193.jpg
D7K-85VR、ISO=100、F4-1/2000、-0.7EV、撮影時刻:9時39分

 ほぼ狙い通りの作画が出来て満足しております。青鱗粉の載りは控えめですが、微かに幻光を示すシルビア♀の品格ある姿にはウットリです。続いて管理人定番?の縁毛ブルー幻光。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_21311981.jpg
D7K-85VR、ISO=100、F5-1/1250、-1.3EV、撮影時刻:9時42分

 前翅が上手く光りません。もう少し左手下側からレンズを向けたいのですけど、土手の傾斜がきつくてこれ以上の表現は無理でした。充分日光浴して体が温まった♀は産卵をスタートさせました。ここの食草は標準的なミヤコグサです。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_21314220.jpg
D7K-85VR、ISO=100、F6.3-1/400、-1.0EV、撮影時刻:9時49分

 この時期、ミヤコグサの草丈は低く、ただでさえ難易度の高いシルビア産卵シーン撮影はより難しかったですね。カメラアングルを決めて、「さぁ、シャッターを押すぞ!」のタイミングで、母蝶はクルリと向きを変えてしまいます。腹端を食草に曲げる瞬間にバランスを崩して向きを変えてしまうのですね。別の産卵シーンで、没画像にしようと思った絵にシルビアの卵と思しき姿(矢印先の水色の卵)が写っていました。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_21315478.jpg
D7K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、撮影時刻:12時07分

 まだ5月前半で、この時期食草のミヤコグサは開花しておりません。やはりジシバリとか黄色系の花を好むようで、最初はカタバミでの吸蜜シーンです。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_21321418.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F13-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時47分

 お次はパープル(紫)系のムラサキサギゴケからの吸蜜シーン。
岡山のシルビアシジミ(5月5日):その1_f0090680_21322569.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:12時08分

 因みにムラサキサギゴケの吸蜜はこれが初撮影になります。今回、♂の姿はなかったものの、綺麗な♀が開翅・吸蜜・産卵と色々なポーズで楽しませてくれました。次回は飛翔他のシーンをご紹介しましょう。              <続く>
# by fanseab | 2012-05-08 21:35 | | Comments(10)

ギンイチモンジセセリ(4月30日)

 前日にミヤマチャバネを確認しているので、ほぼセットで登場するギンイチも出ているはず・・・との読みで、30日も多摩川へ。場所はいつもよりほんのちょっぴり上流側でこれまで訪問したことのないポイント。オギ群落の多そうな場所に適当に踏み入ってみると、早速飛び出しました。この日は曇り空ながら気温は比較的高め。先ずは♂の縦広角を撮影。                                                              ++横位置画像はクリックで拡大されます++
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2141242.jpg
D90-20、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、撮影時刻:8時57分

 ちょうど、♂の最盛期のようで、時間の経過と共に個体数は増加していきます。例によって♂は探♀飛翔で殆ど止まりません。飛翔中心の撮影をしているうちに、足元からよろよろと飛び立ったのは♀でした。♀は出始めのようです。
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2104742.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時15分

 そのうち、別のヨロヨロ個体を見っけ! こちらはピカピカの♂でした。飛んでもせいぜい50cmで着地する、ホンマもんの羽化直個体のようです。無傷の開翅撮影絶好のチャンスと睨み、陽射しが強くなるのを待ちます。暫くして全開翅してくれました!
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_211856.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F10-1/200、-0.7EV、撮影時刻:10時39分

 目論見として「究極のギンイチ♂開翅画像」を狙ったのですが、まぁ、究極ではないにしても完全無傷の♂開翅はこれが初めてで、これまでのベストの仕上がりに満足です。
 さて、新鮮なギンイチにはとってもお洒落なポイントがあります。皆さん、何処にあるか、ご存じですか? 実は前翅前縁の基部側に橙色の縁取りがあるのです。裏面はご存じの通り、黄褐色で、表翅はほぼ漆黒に近い黒褐色。その境界線にある前翅前縁部は隠れたチャームポイントになっています。その前縁部を強調するようなアングルで撮影してみました。
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2114435.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F8-1/320、-0.7EV、撮影時刻:10時54分

 チャコール色の地味なジャケットを着込んだ紳士のカッターシャツの襟元をふと見ると、ワンポイントアクセントでハッとさせられる・・・。決して派手ではないけれど、じっくり観察すると気品のある配色なのです。この橙色は飛び古すとすぐに色褪せていきます。今度はギンイチの頭上からパチリ。
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2121052.jpg
D7K-85VR(トリミング)、ISO=400、F9-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時11分

 こうして見ると、アンテナの先端も橙色で、前翅前縁のチャームポイントと御揃いですね。それと、パルピ(下唇鬚)も二又でそれなりに長いこともわかります。このギンイチ君、撮影の合間におしっこ(体液の放出)をしておりました。羽化して間もない証でもあります。
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2122649.jpg
D7K-85VR、ISO=400、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時12分

 飛翔は合計800カット超撮影、没を免れたのは12カット程度。その中からのご紹介です。
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2124134.jpg
D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時15分

 ギンイチを追跡していると、時々急旋回して行方を見失うことがあります。↑の絵は右手に急旋回する瞬間でしょう。ヨタヨタ飛ぶ割にフェイントをかますように急旋回するので結構骨が折れるセセリです。お次は連射で捉えた3カット。モデルは先にご紹介した羽化直♂です。
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_213399.jpg
D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2131796.jpg
D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分
ギンイチモンジセセリ(4月30日)_f0090680_2132620.jpg
D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分

 最初はこの日のベストショット。やや前ピンでピン甘ですけど、カラスノエンドウの群落、オギの枯れ茎が背景に入り、第1化らしい仕上がりになりました。2枚目はジャスピンかつ、表翅は無傷。この絵のように草や枯れ茎を縫うように飛ぶので、仮にジャスピンで捉えても葉被り、茎被りで没画像になることが多いのがギンイチ飛翔の難しいところ(^^; 3枚目は曇り空背景になっていますが、青空なら申し分ないところでした。この後、正午頃に訪れるであろう、吸蜜シーンも撮影したかったのですが、所用で止む無く帰宅しました。この日、長時間付き合ってくれた羽化直♂君に感謝です。

<追記>
 本日、5/3は前夜からの土砂降りの影響で多摩川はプチ氾濫状態。今回観察したポイントも多少冠水した可能性がります。ちょっと心配。
# by fanseab | 2012-05-03 21:07 | | Comments(16)

越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)

 「フィールドガイド日本のチョウ」出版記念パーティに出席した疲れもあって、29日は近場での探索です。3月3日の記事でご紹介した首題越冬幼虫は、ヤナギの芽吹きに丁度合わせたかのように、3月下旬~4月上旬にかけて幹の樹肌から徐々に姿を消していくことを確認済でした。多摩川の河川敷にある「ご神木」と睨んだヤナギ(タチヤナギ?)を含む群落に到着し、かれこれ2時間ばかり探索してみました。その結果、5個体を確認できました。ご神木と言っても、それは幹上にある程度固まって越冬していた頃の話で、各枝に分散した後のこの時期の探索は相当に大変でした。低い所の枝から確認していきますが、全く見つかりません。次に3m程の高さの枝を一脚で手繰り寄せながら、じっくりと探っていきます。最初に見出した個体は高さ2m程で、枝のほぼ先端の葉に付いておりました。                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_21413173.jpg
D7K-85VR、ISO=400、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時02分

 こうして写真にすると大きく見えますが、体長はわずか15mmほど。アカボシゴマダラ幼虫とは異なり、背面突起も一対で、それも申し訳程度に付いている感じ。ですので、この幼虫の姿は完璧、葉に紛れて見つけ難いのです。広角で環境を写してみました。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_21415260.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:15時15分

 この日の午後は風が強く、この広角画像1枚を撮るのに50カットほど費やしました(^^;
時より陽射しが強まるので、逆光でも撮影。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_21422146.jpg
D7K-85VR、ISO=400、F16-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時04分

 実は現場に行く前、↑の絵のように葉を太陽にかざし、幼虫の影を頼りに探索しよう・・・と作戦を練っていたのですが、強風で、かつ曇り空になったため、目論見通りには行かなかったのでした。暫く探索するうちに葉影に隠れている、もう1頭を発見。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_2142393.jpg
D7K-85VR、ISO=400、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時05分

 こちらは体長30mmほど。個体間の成長は結構バラつきがあるもんです。越冬時点での齢数も関係しているのでしょう。次に縦広角で環境描写です。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_2143267.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:15時55分

 以上ご紹介した2個体以外は既に死亡しておりました。これがその事例。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_21433846.jpg
D7K-85VR、ISO=400、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時07分

 寄生ではなく、サシガメ等の昆虫に体液を吸い取られて干からびたような外観です。
もう1頭の事例がこちら。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_21435017.jpg
D7K-85VR、ISO=100、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時21分

 こちらもまだ外形は保持されていますが、同じような外敵にやられたのでしょう。結局5個体中、3個体がここで図示したような死体でした。越冬後、成虫まで辿りつける幼虫は結構少ないのでしょう。今回見出した幼虫は何とか終齢幼虫・蛹化あたりまで継続観察できればと思っております。

 コムラサキの幼虫観察を終えて、自転車置き場まで戻る途中、多摩川の土手に怪しい影が・・・。やはりいました!いました! 今シーズン初見のミヤマチャバネセリの♂でした。
越冬明けのコムラサキ幼虫(4月29日)_f0090680_21441616.jpg
D7K-85VR、ISO=100、F8-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時39分

 縁毛もバッチリでほぼ羽化直。夕方の休眠場所で休息しているのだろうとそろりと接近したら、猛スピードで逃げられました。ミヤマチャバネが出始めると、多摩川ももう初夏を迎えます。すぐにでもヒメウラナミジャノメも出てくることでしょう。
# by fanseab | 2012-05-01 21:47 | | Comments(14)