探蝶逍遥記

マンサク葉上の三角帽子(11月上旬)

 拙宅庭にはウラクロシジミ飼育目的でマンサクの鉢があります。先日葉上に三角帽子に似た「虫こぶ状」の物体を発見。高さは約3mm。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/160,外部ストロボ、撮影時刻:10時17分

『へぇ、マンサクにも虫こぶができるんだぁ~』と見過ごしておりました。数日後、その虫こぶがあるべき位置を見ると、何と物体が消えています。おかしいなぁ~?と詳しく見ると、全く別の葉上にその物体がありました。虫こぶが移動していたのです!詳細にその物体を見ると、小さな枯葉の集合体であり、この時点でようやく「ミノムシ」と気が付きました。実は夏場に同じマンサク株で、オオミノガ(Eumeta japonica)と思しき蓑虫を観察しており、ここから発生した様子。よく知られているようにミノムシは通常、葉や茎からぶら下がったスタイルです。このように若齢幼虫時代には葉上に蓑を載せた形状であることには思い付きませんでした。この三角帽子、全体で4個体ありました。仲良く2個並んだ「兄弟」も発見。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/125,外部ストロボ、撮影時刻:10時20分

 左側の個体はまさしく三角帽子の形状です。その右側の個体を拡大して二度ビックリ!
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/125,外部ストロボ、撮影時刻:10時15分

 寄生卵が2個確認できます。どうやらこれは、オオミノガの天敵、外来種のオオミノガヤドリバエ(Nealsomyia rufella)の卵。ネットで調べる(クリックでジャンプ)と、本種は外来種。中国山東省由来と推測されています。

 このハエが拙宅庭の一角にある、小さな三角帽子を探り当てる能力にはビックリです。通常、寄生蠅は葉裏に産卵し、ミノムシが卵を葉と同時に食して体内に侵入し、幼虫を蝕んでいく経路を辿るようですが、今回は直接蓑に産附した事例なのでしょうか。葉上の三角帽子が何齢から葉裏に垂下するスタイルに移行するのか、観察を続けたいと思います。
# by fanseab | 2018-11-15 21:17 | | Comments(2)

アサギマダラの産卵行動探索(10月下旬)

 新生蝶の観察もそろそろ終盤。♀産卵シーンのチャンスも、ヤマトシジミやベニシジミ或いはヒメアカタテハに限定されてきました。そんな事をボンヤリと考えていたら、突然思いつきました。「そうだ!アサギマダラを見に行こう!」、この時期、まだ産卵シーン観察のチャンスがあると聞いていたからです。向かったポイントは東京都下の低山地。標高は概ね200m。ブログ仲間のTGさんにお願いして情報開示をして頂きました。
 当日は快晴無風で絶好のコンディション。現地には9時30分着。のんびりと林道を歩き始めると、直ぐにアズマヤマアザミ(Cirsium microspicatum)で吸蜜中の個体を発見。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR,ISO=800,F4-1/1250,-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時43分

 この個体含め出会ったのは全て♀。延べ8頭ほど確認できました。それなりの個体数なので、産卵シーン撮影の期待が持てました。でも流石にこの時間帯はヒンヤリとしていて産卵行動には入らないと見て、キジョラン群落の場所まで先回りして環境の確認。恥ずかしながら管理人はキジョランをじっくり観察するのは、これが初めて。葉の面積が想像以上に大きいのにビックリ。
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TG4@5.5mm,ISO=200,F2.3-1/125,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時11分

 管理人の掌を一回り小さくしたサイズです。少し葉捲りをしたものの卵・幼虫は発見できず。林道をもう少し歩いて別の群落探しです。キジョランの分布は局地的で、この林道でも東向き、かつ急斜面に限定して生えていました。この時期、朝方から11時頃まで陽射しが当たるものの、午後は完全に日陰になるような環境を好むようです。キジョラン葉上には、円形にくり抜かれた特徴の幼虫食痕が沢山見つかります。
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TG4@5.5mm, ISO=100,F2.3-1/100,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時42分

 幼虫は基本的に葉裏生活者で、孵化直後は舐め食い状態。そのうち円形に切り抜くような食痕を付けていきます。この画像では右上に①舐め食い跡、左上に②円形線状食痕、中央左下に③円形刳り抜き食痕、の3形式の食痕が同時に観察できます。幼虫は不在で、恐らく前世代の幼虫が残した食痕なのでしょう。暫く探索し、更に何株かを葉捲りをしてようやく1卵(矢印)を発見!
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TG4@5.5mm, ISO=100,F2.3-1/30,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時50分

 真っ白な紡錘形で、シロチョウ卵とよく似ています。面白いもので1卵発見できると、連続して卵も幼虫も発見できました。卵と初齢幼虫(恐らく)のツーショット画像です。
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TG4@18mm(トリミング), ISO=100,F4.9-1/100,内蔵ストロボ、撮影時刻:10時57分

 2齢幼虫と思しき個体も発見。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング), ISO=64,F5.6-1/30,外部ストロボ、撮影時刻:11時41分

 体長は6.5mm。微妙に動くので深度合成に一苦労しました。ウロチョロ探索して、どうやら母蝶が集中的に産卵するポイントの特徴が見えてきました。低い位置の葉を好む傾向もあるようです。そうした直感をベースに捲った葉がこちら。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 林道路面から30cm高さにある2枚の葉(#1,#2)です。葉#1を捲ると、何と3卵も付いておりました。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時57分

 この画像には葉#2にも産み付けてあった1卵(矢印)がピンボケ状態で写っています。この画像からもよく分かるように、卵はキジョランの葉の縁から凡そ2cmほどの距離に産附されています。母蝶が葉縁に止まって腹端を延ばすと、丁度この位置に来るのでしょう。従って卵探索の際、葉を捲る時は葉の縁を掴んではいけません。誤って卵を握りつぶす可能性があるからです。葉柄部を掴んで慎重に裏返す配慮が必要です。葉#1の2卵塊を拡大してみました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング), ISO=64,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影時刻:12時55分

 肉眼で見た感じと同様、本当にシロチョウ卵と雰囲気が似ています。高さは1.8mm,最大直径は1.2mm。やはり大きな卵だと思います。地表近くの葉に産附された事例をもうひとつご紹介しておきます。これがその葉。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 裏返すと2卵(矢印)付いておりました。
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EM12-Z60, ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 この日は結局10卵、幼虫5頭を確認。ところが、肝心の産卵シーンはチャンスが全くありませんでした。時間帯は正午前後と睨んでキジョラン群落の近くで♀の登場を待機したのですけど、正午頃、一度現れた個体は全く産卵の気配を見せずに飛び去っていきました。天気が良いのにちょっと残念でした。この日は最高24℃まで気温が上がっており、ひょっとすると、産卵時間帯が1時間以上前倒しになった可能性もあります。11月に入っても未だチャンスがあると思われますので、再チャレンジしたいと思います。今回の観察について情報提供頂いたTGさんとは、なんと現地でバッタリ遭遇。色々と情報交換をしながら楽しい撮影談議ができました。この場を借りて御礼申し上げます。
# by fanseab | 2018-11-04 20:36 | | Comments(2)

アオバセセリ幼虫の観察:その5(10月中旬)

 前回観察から凡そ2週間経過。再度幼虫巣の様子を確認してきました。最初は目線レベルにある低い位置の巣。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=400,F2,8-1/100,外部ストロボ、撮影時刻:13時07分

 巣の姿はなく、どうやら越冬準備で切り落とされた様子です。巣周辺の葉も食い尽くされた感じです。未だアワブキの葉は黄色く色づいていないのですが、越冬準備を早めに行ったのでしょう。樹冠近くにあった別の巣も消失しておりました。前回撮影画像と比較して示します。
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今回撮影分:EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F2.8-1/100,外部ストロボ、撮影時刻:13時08分

 巣(前回画像矢印部分)が無くなった分、重りが取れて、葉が上方に戻されている様子がわかります。この後、株周辺で、2頭あるべき越冬蛹を少しばかり探索しましたが、徒労に終わりました。やはり、蛹探索はそんなに簡単ではありませんね。これで今シーズン実施してきたアオバセセリ幼虫の野外観察は一先ず終了です。なお、これと並行して同幼虫の飼育も進行中で、現在終齢幼虫の段階です。こちらのレポートも区切りが付いたら、またご紹介したいと思います。
# by fanseab | 2018-10-27 20:59 | | Comments(4)