探蝶逍遥記

オオミスジの飼育メモ:3齢まで

 現在ミスジチョウと並行して、オオミスジのフルステージ飼育を試みています。8月上旬の長野遠征で栽培用モモの葉から採卵しました(クリックでジャンプ)お持ち帰りした卵は、8月7日に孵化。初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段のみ自動深度合成+トリミング),ISO=上段64/下段200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月8日

 体長は3mm。他の国産Neptis属初齢幼虫とさほど形態的な有意差はありません。初齢の食痕も示しておきます。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月8日

 矢印先に卵殻が見えています。孵化直後に卵殻を食べ尽くさないタイプのようです。11日に眠。翌12日に2齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-上段1/50下段1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月16日

 体長5mm。背面の棘皮が目立つようになりました。なお、棘皮先端の一部に小さな水滴が付いています。これは室内飼育環境で暑熱を避けるため、飼育ケース上に置いた保冷剤が原因で結露したもの。本来は、水滴が消えてから撮影するべきでした。2齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 矢印はボケて写っている2齢幼虫。モモの葉の中脈は残しますが、その他の葉脈には関係なく食い切っています。結構ランダムな食い跡と言えましょう。8月16日に眠、翌17日に3齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月18日

 体長6.5mm。背面の黒化が拡がり、背線が顕著になりました。成長した背面棘皮形状は、他のNeptis属3齢幼虫に比較して、棘皮先端が細く尖らず、ゴジラの背面突起を連想させます。
8月20日になって、それまで食べていたモモの葉を放棄したため、代替餌としてウメの葉を入れました。フルステージ飼育における最大の難関は、食餌を変えることで幼虫が摂食拒否・餓死すること。今回はすんなりとウメの葉を食い始め、一安心。それまで葉上が静止位置でしたが、ウメ茎の分岐部に体を巻きつけるように台座を作りました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月22日

 9月3日頃より、ウメの葉を全く食べなくなりました。最初は眠に入り4齢に移行するのかと思いきや、そうでもありません。さては摂食障害を起こしたのかと、心配になりました。結局現在に至るまで分岐部に体を巻き付けた状態で推移しています。9月4日の状態を示します。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:9月4日

 脱皮した訳でもないのに、白色部分が濃くなり、全体に褐色・黒・白色のメリハリある姿に移行してきました。台座となる茎上のみならず、枯れ始めた葉の基部にも半端ない吐糸がしてあります。どうやら越冬態勢に移行したようです。まだ冬の到来まで随分と時間があるのですけど、オオミスジ幼虫の体内で「越冬準備態勢に入れ!」の信号が発せられたのでしょう。以前飼育したフタスジチョウでは、同じ年1化なのに夏場もどんどん成長を続け、結局9月に成虫が羽化したのとは対照的な結果になりました。フタスジチョウはホシミスジと近縁種で、多化性(少なくとも近畿地方の平地では年3-4化)のホシミスジ同様、本来多化性の遺伝子を受けついでいるのでしょう。それが日本の生息環境(高標高地)に対応し、年1化発生となったと推察されます。平地のような温暖環境飼育下で、多化性が復活するのも興味深いですね。その点、オオミスジは飼育(生息)環境に拘らず、年1化を厳密に保持する感覚です。ミスジチョウも同じですね。
 現在3齢幼虫は、プラケース内で屋外放置しています。今後、晩秋頃にミスジチョウと共に網掛け屋外放置に切替え、越冬させたいと思っています。さて、無事越冬できますやら・・・。
# by fanseab | 2018-09-21 21:56 | | Comments(4)

多摩川縁でお散歩撮影(9月上旬)

 出歩くのも嫌になる酷暑がようやく去って、多摩川縁を散歩する気力が出てきました。この時期、アカボシゴマダラ♀がエノキで産卵するシーンもよく見かけます。そろそろ第3化のシーズンでしょうかねぇ? ここはヨウシュヤマゴボウを背景に季節感を出してみました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR(トリミング),ISO=800,F8-1/800、-0.3EV,外部ストロボ,撮影時刻:11時39分

 アズマネザサの上に新鮮なコミスジ♀を発見。曇り空の絶好の撮影条件なので、じっくり撮影。先ずはストロボ使用。
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D500-34VR,ISO=1000,F8-1/320、-0.3EV,外部ストロボ,撮影時刻:11時55分

 背中の金緑色の輝きはいつ見てもワクワクします。しかし、画面右端の枝が邪魔!次は自然光で。
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D500-34VR,ISO=1000,F5.6-1/800、-0.3EV,撮影時刻:11時57分

 光の回り具合は抜群に良いのですが、右後翅右後方にある葉先の枯葉がまた邪魔をしました。なかなか思い通りに描けませんね(^^;
 明るい土手ではモンキチョウが求愛ダンス。思わずレンズを向けました。
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D500-34VR(トリミング),ISO=2500,F8-1/4000、-0.3EV,撮影時刻:12時05分

 秋口はヤマトシジミの個体数も非常に多いです。すぐに交尾ペアを発見。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=64,F2.8-1/1000,撮影時刻:14時06分

 強風に揺らいでいるので、結構撮影に苦労しました。河川敷は殆どクズで覆い尽くされています。クズの葉上を高速で飛ぶシジミは、やはりウラナミシジミでした。クズの花穂の周辺でスピードを緩めて♀探し。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=500,F3.5-1/4000,撮影時刻:14時07分

 この子が多摩川縁を飛ぶのを見ると秋の到来を実感できます。メドハギの群落では、キタキチョウ♀が産卵行動。今回は産卵シーンではなく、その前後での飛翔シーンに重点を置いて撮影。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=1000,F3.5-1/4000,撮影時刻:15時07分
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EM12-Z60(トリミング),ISO=1000,F3.5-1/4000,撮影時刻:15時08分

 この時期は、夏型と秋型が混在して飛んでいます。アップした個体は擦れが目立つ♀。2枚目矢印は既に産卵されたキタキチョウの卵です。多摩川の堤防は8月の上旬に定期的草刈りを受けて丸坊主状態になりましたが、今は緑濃い状態。ワレモコウの穂も色づいてきました。
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EM12-Z12,ISO=200,F3.2-1/640,撮影時刻:15時40分

 ワレモコウは多摩川縁ではやや珍品の部類に属します。北向きの急斜面に多いのは長野県あたりの里山と同じ状況です。ゴマが飛んでいたらなぁ~・・・といつも思います。
# by fanseab | 2018-09-18 22:12 | | Comments(0)

ミスジチョウの飼育メモ:2~4齢まで(8月上旬~9月上旬)

 8月の信州遠征時にミスジチョウの幼虫を発見した記事(クリックでジャンプ)をアップしました。その際見出した2齢幼虫1頭を採幼し、飼育中ですので、4齢到達時点までの飼育状況をレポートしておきます。
 先ずは2齢幼虫。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段のみ自動深度合成+トリミング),ISO=上段64/下段200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月5日

 体長は5.8mm。背面突起は3齢以降に比較して軽微な突出状況。食痕の状況も示します。
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月5日

 葉の中脈を残し、枯葉の一部もカムフラージュ用に残しています。8月7日に眠、8日に3齢になりました。3齢到達7日後の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 体長7.5mm。2齢に比較して背面突起が伸びてきました。それと背面側と腹部の境界線がはっきりとしてきました。この時の食痕状況も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:8月15日

 幼虫が静止・摂食している葉は採幼時と全く同じ。採幼時点からほぼ2週間を経過し、葉の一部が枯れて褐色になっていますが、幼虫は何事も無く食べ続けます。Neptis属の幼虫は総じて台座を作った葉に固執して枯葉状態でも食べてくれます。飼育管理上、こんなに飼育者思い?の幼虫はいないでしょう。同時に枯葉に擬態する技と並行して身に付けた生存上の戦略でもあるのでしょう。8月19日になって、ようやく新たに投入したカエデ葉を食い始めました。すると驚いた事に、新葉を食い始めると同時に体色も緑色を帯びてきました。新鮮な葉緑素を取り込むと、体色も変化するのでしょうか。やや緑色を帯びた3齢幼虫の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:8月22日

 体長8mm。アップした画像では15日に撮影した画像との色調差があまり明確でありませんが、肉眼では、はっきりと色合いが区別できます。28日に眠。翌8月29日に4齢に。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30、外部ストロボ,撮影月日:9月4日

 体長10.5mm。真上から覗いた場合、3齢に比較して中胸、後胸、第8腹節の側方への張り出し(矢印)が相対的に顕著になります。いつも参考にしている図鑑(※)によれば越冬態は4齢とのこと。実際に越冬中に観察する4齢幼虫は結構でかいので、このまま脱皮せずに大きくなるのでしょうか?経過観察を続けていきたいと思います。それと越冬を屋外で実施する際、色々とノウハウがありそうで、対策を練っているところです。

※福田晴夫他, 1983.原色日本蝶類生態図鑑Ⅲ.p.158.保育社,大阪.
# by fanseab | 2018-09-16 20:11 | | Comments(2)