探蝶逍遥記

中国四川省成都近郊遠征記:その16

 タテハチョウ科タテハチョウ亜科のご紹介です。今回はコノハチョウ(Kallima inachus chinensis
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、16時56分

 夕方、前山参詣道脇の樹上でテリ張りをする♂個体です。コノハチョウのテリ張り位置は一般的に高いので、この絵も相当トリミングしています。至近距離で綺麗に撮るには、橋の欄干から見下ろすようなポイントを見出さねばなりません。この子はすぐに開翅しました。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、16時56分

 ちょっと擦れていますね。翅表のブルーがギリギリ見えています。もう少し個体に接近して下方からも狙ってみました。所謂、「斜め45度逆光開翅」パターンです。
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D71K-34VR,ISO=400,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、16時58分

 スレ・傷もあまり目立たないので、この画像がこの子にとってベスト画像でした。
 別の日、パイナップルトラップにも本種がやって来ました。
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D71K-34VR,ISO=640,F4-1/320、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、14時05分

 「枯葉に擬態している」と言われる所以がわかるような画像になりました。翅全体の明暗コントラストを平準化するため、ストロボも使ってみました。
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D71K-34VR,ISO=500,F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、14時04分

 すると、あら不思議!裏面がブルーに輝きました。なんと、コノハチョウの裏面から構造色(幻光)が出現したのです。このショットの前後のコマを確認すると、翅面とカメラのアングルが少し変化すると構造色は消えています。不用意にストロボを使うと、裏面が青味を帯びて「枯葉への擬態」を表現するのが困難になるのですね。今後、本種を撮る時に注意したいと思います。次回はタテハチョウ亜科の続きです。
# by fanseab | 2019-02-09 20:59 | | Comments(0)

中国四川省成都近郊遠征記:その15

 青城山・前山で撮影したジャノメチョウ亜科の続報です。最初はオオヒカゲ(Ninguta schrenkii)。これまた日本ではお馴染みの種。

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D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時30分

 参詣道脇の側道にパイナップルトラップを仕掛け、あわよくばイナズマチョウ類を誘引できれば・・・と思っていたのですが、獲物は想定外のオオヒカゲでした。ただこれだけのボロ個体なので、一瞬種同定に戸惑ったのは事実。日本国内だとジメジメした湿地帯近くの雑木林等が住処。なのに、見出したポイントは尾根筋で、池や湿地から標高・距離差もあって、一体どこで発生しているのだろう・・・と今でも疑問に思っています。湿地帯に生えるスゲ類ではなく、尾根筋にあるスゲ類を食している可能性もあります。中国国内だと黒竜江省・吉林省付近から四川・陝西・湖南省山間部まで分布が伸びていますが、北京付近や山東省付近の低地にはいないようです。
 上記画像を撮影した後、少しましな個体が半開翅していたので、パチリ。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時32分

 この個体はどうやら♀。♀の鮮度でこの程度ですから、当地での発生時期は終盤戦だったのでしょう。
 次はウラナミジャノメ(Ythima)属2種のご紹介。本属は同定が難しいグループ。基本は先ず後翅裏面眼状紋に着目し、無紋、3個、4個、5個の4グループで概ね仕分けることができます。最初は5個のヤマナカウラナミジャノメ(Y.conjuncta)♂。閉翅と開翅の2枚です。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時20分
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D71K-34VR,ISO=200,F7.1-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時21分

 本種の特徴は開翅画像で明確なように、外縁側が濃褐色に縁どられること。大きさは日本のヒメウラナメジャノメ(Y.argus)よりは大型です。前翅裏面には暗色帯が2本出現しますが、出現状況はかなり個体差がある模様。吸水個体の事例を示します。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、16時00分

 この個体は、上記暗色帯が強く出ています。前翅裏面のみならず、後翅裏面にも2本の暗色条が明確に出ています。それと本種は前翅端付近の翅型に特徴があり、前翅端から外縁部にかけて多角形を呈しております。他種では概ね前翅端~外縁部は緩やかなカーブを描いて連なるのと対照的です。丁度、キレバヒトツメジャノメ(Mycalesis mucianusもしくはzonata)に似た前翅形状と言えましょう。
 2種目はカノウラナミジャノメ(Y.puraenublia)。こちらは後翅裏面眼状紋が4個。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F8-1/320、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月14日、9時34分

 前山から后山に向かう車道脇の叢で撮影。前種ヤマナカよりさらに大型です。しかし、かなり草臥れた個体でガックリ。ヤマナカ、カノ両種共に台湾にも分布しており、カノの台湾産亜種(ssp.neobilia)は著しく巨大になることが知られております。
 次回はタテハチョウ亜科のご紹介です。
# by fanseab | 2019-02-03 19:28 | | Comments(4)

越冬シジミ類探索(1月下旬)

 近所のムラツ越冬集団が解消してしまったので、久しぶりに神奈川県湘南地域に参戦。新たな集団探しです。しかし、この日は坊主。探し当てたのは単独越冬個体のみ。アオキの葉上で、蜘蛛の巣に絡まった枯葉と一緒に鎮座しておりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:11時25分

 ちょうど、ムラシ越冬個体が好むような塒環境。ひょっとすると過去には仲間が数頭一緒にいた可能性もあります。個体のアップです。
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EM12-Z12(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:12時23分

 右前翅が大破しております。この姿勢で、鳥の攻撃に遭い、何とか後翅は無事だったのでしょうか?これだけボロボロだと、パッと見、枯葉と区別するのが難しいですね。

 常緑樹を点検中、ツバキの葉裏に静止するウラギンシジミ越冬個体を発見。
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EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時31分

 結構綺麗な個体です。この木には他に4頭隠れておりました。比較的近接した2個体の絵です。
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EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/160、撮影時刻:11時32分

 ツバキの葉は面積は小さいですが、葉が密生しているので、北西季節風のシャットダウン機能が高いのでしょう。このツバキは将に「ウラギンの成る木」状態でした。拙宅近所では今年はウラギン越冬個体が少ない実感があったのですが、場所を変えるとそうでもなさそうです。
 ウラギンが葉裏で掴まっている中脚先端部を拡大してみました。2頭の別個体の比較事例です。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:12時14分

 脚の先端部には黒褐色の鉤爪があり、ここで爪をツバキの葉裏に食い込ませて、しがみついているのです。ウラギン越冬個体にとっては、文字通りの命綱でしょうね。
# by fanseab | 2019-01-31 21:53 | | Comments(2)