探蝶逍遥記

アオバセセリの幼虫探索:その2(7月下旬)

 前回、アワブキで見出した首題幼虫を再度調査しました。3齢幼虫が付いていたアワブキの葉全体の経時変化を示します。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)

 前回の観察初日から6日が経過しております。幼虫巣(矢印A)が付いていた葉は#1で、他に#2-4の合計4枚の葉がありました。左右画像を見比べてみると、#2,4の葉は食痕含め変化がありませんが、#1,3には明らかな差があります。巣A周辺の食痕が拡大し、葉#3にも新たな巣(矢印B)が形成されています。どうやら前回観察時には#3先端に潜んでいた若齢幼虫を見逃していた可能性があります。巣Aを再度開封してみました。
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EM12-Z60, ISO=200、F4-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:13時07分

 この時は活動が不活発でした。眠状態なのか、あるいは寄生されているか、原因は不明です。このアワブキ株では前回発見できなかった、別の巣も発見。
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D500-34VR, ISO=800、F8-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:12時52分

 こちらはアオバセセリ幼虫巣の特徴である穴が開いていません。こんな例外もあるようです。開封してみました。
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TG4@11mm, ISO=100、F3.6-1/60、-0.7EV,内蔵ストロボ、撮影時刻:13時09分

 これも3齢幼虫でした。体長は7.6mm。この日、この株から更にもう1頭の3齢幼虫を発見、開封していない巣B(これも3齢と推定)を含め、結局合計4頭の3齢幼虫を見出したことになります。管理人の目は節穴ですから、脚立観察ができない部分を含め、少なくとも10頭の幼虫はいるのだろうと推測しました。

 一方、このアワブキ株を調査する直前、食樹は他にもどこか必ずあるはず・・・、と睨んでホスト探索も実施。ようやく樹高3m程の比較的小さい株を発見。
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EM12-Z12, ISO=200、F5-1/100、撮影時刻:11時23分

 暗い環境ですが、一部は日光が葉に当たる状況。早速調査すると、多数の卵殻、未孵化の卵を発見。それぞれの拡大像です。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F4.5~6.3-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:11時12分

 直径は約1mm。結局、未孵化を含め卵殻は17個ありました。アワブキ株は非常に少ないため、母蝶が集中的に産む傾向があるのだと思います。産卵位置は葉裏の縁。一つの例外もありません。このポイントにはスミナガシはいませんが、仮にスミナガシが同棲しているポイントであっても、スミナガシ卵とは産卵位置で区別可能でしょう。唯一あった胚未形成状態の卵の産卵状態(葉を捲った状態)を示します。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=64、F4.5-1/30、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分

 矢印#1が未孵化の卵。矢印#2は孵化済みの卵殻です。どうやら孵化した初齢幼虫は殆ど卵殻を食べずにアワブキの葉を食い始めるようです。卵殻が残された状態のため、これらの卵殻が第1化世代のものか、第2化世代のものかは、直ちに判別できません。
 このポイントには更にアワブキ、もしくはミヤマハハソもあるはずなので、もうちょっとホスト探索をしてみたいと思っています。
# by fanseab | 2018-07-28 15:27 | | Comments(4)

ツマキシャチホコ(7月中旬)

 アオバセセリ幼虫の観察を終えて、帰宅準備途中、エノキに産卵するアカボシゴマダラ♀に出会いました。産卵シーンは上手く撮影できず、ガッカリしていたのですが、母蝶が飛び去った後のエノキを眺めていたら、何やら葉上に異様な物体が付いておりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60, ISO=200、F5-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:12時41分

 遠目には、Papilio属若齢幼虫のように見えました。しかし、接近してみると明らかに蛾です。ハマキガあたりだろうか?と思いつつ、帰宅後調べたら、どうやらシャチホコガの1種、ツマキシャチホコ(Phalera assimilis)のようです。類似種にクロツマキシャチホコ(P.minor)がいます。クロツマキは後翅が明らかに黒いようですが、後翅色彩は確認できておらず、ここでは「ツマキ」としておきます。間違えていたらご指摘下さい。いずれもクヌギ、コナラ、アラカシと言った雑木林にありふれたカシ類をホストにしているようです。これまでこの子に出会えなかったのは単に興味がなかったのか、あるいはご覧のように枯木に擬態しているためでしょうか。側面からも撮影してみました。
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EM12-Z60, ISO=200、F5-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:12時41分

 確かにこの子が雑木林の林床に落ちていたら、枯木と見間違えるでしょうね。少し刺激してみたら、サッと想定外のスピードで飛び去っていきました。
 因みに本種の種名assimilisは「類似した」を意味します。そう言えば、アカボシの種名も同じassimilis。分類上は、全く縁も所縁もないタテハとシャチホコガですが、何故か縁があって出会っていたような気がしました。
# by fanseab | 2018-07-24 21:33 | | Comments(2)

アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)

 海の日を含む三連休は渋滞を避けて、近場でお散歩観察。やって来たのは拙宅から車で30分ほどのアオバセセリポイント。ここは毎年ゴールデンウイーク頃、セセリよりカメラマンの個体数が遥かに上回るので、敬遠して滅多に足を運びません。今年は何と4月上旬に第1化が発生していて、管理人が訪れた4月下旬は既に発生末期でした。と言うことは・・・・、果たしてこのポイントでは第2化は何時発生するのだろう~と疑問に思ったのです。そのヒントを掴むため、食樹のアワブキで幼虫探索をしてみることにしました。幸い、35℃越えの猛暑にも拘らず、谷あいにあるアワブキは木蔭で助かりました。到着して5分ほどで怪しげな巣を発見しました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60, ISO=200、F4.5-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:10時59分

 矢印#1がその巣。アワブキの葉の先端に形成されています。実は事前にブログ仲間のclossianaさんの記事(クリックでジャンプ)を参考に巣形状の特徴を把握していたので、発見が容易でした。
 因みに矢印#2は過去に若齢幼虫が残した食痕と巣の残骸と思われます。また矢印#3はアワブキの実です。秋口に見られる熟果は赤色ですが、現状は緑色。巣のある葉は地上高さ2.3m。幼虫探索のため持参した脚立に乗って、何とか葉を手繰り寄せることができます。その巣の全景です。
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TG4@5.5mm, ISO=100、F2.3-1/125、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時47分

 全長は25mm。葉脈に沿って切り込みを入れ、主脈を中心に折り曲げた袋状です。ミドリシジミの終齢幼虫巣を、親しみを込めて『餃子』と呼んだりしますが、この巣はさしずめ『小銭入れ』でしょうか。面白いのはパンチで空けたような丸穴が開いていること。『小銭入れ』のチャック側?から覗いてみると、こんな感じ。
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EM12-Z60, ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分

 こちら側にも小穴が開いています。一説には換気口らしいのですが、この小穴もアオバセセリ幼虫巣の特徴です。巣を開けて、幼虫を確認。
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TG4@14.4mm, ISO=125、F4.4-1/80、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時47分

 体長は11mm。頭殻は橙色のテントウムシ状。胴体に太さの異なる黒いリングが巻かれたような独特の模様です。実は管理人、幼虫の実物を見るのはこれが初めて。ちょっと興奮しました。頭殻がテントウムシ状になるのは、3齢以降とされていますので、恐らく3齢の初期状態と思われます。巣を開けると、すぐに幼虫は巣の修復作業に入りました。先ずは、頭部付近(葉柄側:巣の入口)の作業を開始。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時26分

 続いて、やや後方部分の糸掛けをスタート。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時27分

 その後、後方部分の修復作業に入りました。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時28分

 葉の表面部分に複数の糸の基点を設け、それらの糸を束ねて糸強度を増す工夫をしている様子が伺えます。管理人が巣を無理やり開けてから、5分も経過しない内に幼虫は、巣を元通りの姿に戻しました。幼虫の凄ワザですね!

 今回脚立が届く範囲内で観察出来た巣は、ご紹介した一つだけ。他にもあるか、上空を見上げて探索。このアワブキの樹高は10m弱。ようやく、一つ類似した巣を発見。
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D500-34VR(トリミング), ISO=800、F8-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:11時17分

 中央右がその巣。ところがここで思わぬ事実が判明!撮影時には気が付きませんでしたが、何と、アオバセセリの卵と思しき白色円形物体(矢印)が写っておりました。今回探索の目的は当地での第2化発生時期を推定すること。3齢幼虫を発見したことで、考えたのは下記の仮説。今季第1化の発生ピークは4月中旬頃。そうだとすると、野外での幼生期を60日前後と仮定して第2化発生ピークは6月中旬頃。そうであれば2化から生まれた世代が7月中旬に3齢幼虫であることは妥当だなと・・・。ところが仮に7月中旬頃まで卵を産む母蝶が存在すると、第2化世代もそれなりにダラダラ発生していることになります。できれば、今回観察した3齢幼虫の継続観察をすると共に、やはり、第2化世代を直接観察してみたいものです。
# by fanseab | 2018-07-17 21:56 | | Comments(4)