探蝶逍遥記

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アオスジアゲハの「放尿飛翔」(6月下旬)

 サッカー日本代表が見事16強入りを果たしました。最後の戦い方には賛否両論があるようですが、取敢えずサムライブルーの戦士にお疲れ様と言いたいです。次戦のスタートは何と午前3時!! 流石にライブで見るのは躊躇しますねぇ?

 さて、今回は同じ「ブルー」でもアオスジアゲハのお話。コチャバネセセリの幼虫探索をしたポイントは、蝶の発生の端境期だったのでしょう、極端に蝶の種類が少なくガッカリしました。そんな中、猫の額ほどの水田へ吸水にやって来たアオスジアゲハにカメラを向けました。吸水の合間の飛翔を撮るには、高速連射が必須。ほぼ思い通りの絵が撮れました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング), ISO=800、F4-1/4000(機材条件は以下共通)、撮影時刻:12時27分
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撮影時刻:12時28分
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撮影時刻:12時28分

 飛翔高度が低いので、濡れた泥地にアオスジの陰が写り込み、日差しの強さを上手く表現できました。撮影済のコマをチェックしていたら、面白い画像があることに気が付きました。
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撮影時刻:12時24分

 飛びだしたアオスジの腹端から、細かい水滴が多数確認できます。PapilioGraphiumは吸水時に腹端から勢い良く水を放出する行動(ポンピング)を取ることが知られています。この場面では、偶々飛び出した瞬間と、「放尿」のタイミングが合致して、空中に放尿した画像が撮れたようです。このコマの2コマ前の画像(0.03秒前の画像)を確認すると、腹端から噴出された尿が水滴に変化していく様子が捉えられていました。
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撮影時刻:12時24分

 高速連射機能の威力は本当に凄いですね!
by fanseab | 2018-06-29 22:15 | | Comments(6)

コチャバネセセリ幼虫の巣(6月下旬)

オオチャバネセセリの第1化撮影目的で、横浜市内の里山へ出撃。しかし、それらしき個体を2回目撃するも撮影には至らずガッカリです。ここは林床にアザマネザサがビッシリと覆われていて、幼虫探索に方針変更。すぐに怪しげな巣を発見。

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EM12-Z60, ISO=200、F5-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分

 巣の外観や食痕から、オオチャバネではなく、コチャバネセセリの巣、それも若齢幼虫のものと推測しました。ちょっと巣を開けてみると・・・。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分

 予想通りでした。恐らく2齢幼虫と思われます。更に探索すると、今度は更に特徴のある巣を発見。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:11時03分

 これは明らかに老熟幼虫の巣。こちらは葉の面積がやや広く、アズマネザサではないようです。ササ類の同定に詳しい方、ご教示頂ければ幸いです。比較的大き目の葉では、葉軸を中心に葉を折返し、略台形の巣を造ります。越冬世代だと、この巣の上部(葉軸)を切り離して地上に落下するとされています。中を開けてみると・・・。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F4.5-1/60、外部ストロボ、撮影時刻:11時05分

 自分の体長より1cmほど長い巣を造っています。更に探索し、別の巣を発見。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:11時33分

 アザマネザサでは、2枚の葉を上下にきちんと貼り合わせた巣を造っています。葉の基部側、葉軸の両サイドを食い切る食痕を残します。これも開けてみました。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:11時36分

 ほぼ体長は25mm。終齢幼虫です。背線近傍に2個の卵巣が透けて見えるので、恐らく♀幼虫でしょう。
第5腹節背線近傍に2個の生殖巣が透けて見えています。鱗翅目では一般的に大き目の生殖巣は精巣なので、♂個体の可能性がありますが、正確には飼育してみないと分かりません(黄文字は6月27日追記修正箇所)。
この日は、以上ご紹介した3個含め合計6個体のコチャバネ幼虫巣を発見。コチャバネの第1化は、例年5月中旬前後ですから、ほぼ計算通り幼虫が育っていることになります。野外での蛹期を10日と見積もると、当地での第2化は7月10日前後から発生することになるのでしょう。今シーズンは、何とか第2化個体で産卵シーンを撮りたいと思っております。オオチャバネ探索にも再チャレンジしたいと思います。
by fanseab | 2018-06-25 21:24 | | Comments(2)

ヒカゲチョウの占有飛翔(6月上旬)

 多摩川縁の一角に、2つの球場に挟まれた歩道があります。道の両側がネザサで覆われ、昼間でも薄暗く、ヒカゲチョウの絶好の棲家になっています。昨年も、この時期、ヒカゲ♂達の占有飛翔行動の撮影にトライしました(クリックでジャンプ
今年はマイクロフォーサーズで広角飛翔にトライ。最初は、画面左をかすめた個体。

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EM12-Z12(トリミング), ISO=500、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:16時42分

 ほぼ真正面に来たところでシャッターを押したはずですが、シャッタータイムラグが0.2秒程あり、蝶が左端に来てしまいます。パスト連射機能が欲しい場面ですね。次はこの日のベストショット。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=500、F8-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:16時47分

 ほぼ置きピン位置。背景とのバランスも良く、お気に入りの画像になりました。次は画面右側へ移動する個体。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=500、F8-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:16時47分

 翅の開き角度はいい感じです。ヒカゲチョウ♂の占有飛翔は、3-4mの範囲を往復運動しており、その前後で、レンズにぶつかるように蝶が飛んで来ます。正面に来た個体が急激に上昇すると、次のような画像になります。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=500、F8-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:16時50分

 完品個体ですね。さて、各♂個体の占有空間境界では、当然バトルが生じます。一瞬、卍飛行をしますが、1-2秒で、すぐに上昇するため、卍の場面を撮影するのは至難の業です。何とか2頭の追尾場面のみ写し取ることができました。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=500、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:16時42分

 但し、完全な前ピン。もう一息接近してシャッターを押したかった場面です。ヒカゲチョウの飛翔は非常に不規則で、今回も本当に相手に翻弄される感覚でした。まぁ、しかし、まずまずの画像が得られたのでホッといたしました。
by fanseab | 2018-06-12 21:22 | | Comments(2)

ミドリシジミの卍飛翔(6月上旬)

 ♂の開翅画像を撮るチャンスがないので、夕方に川崎市内のポイントを訪れ、飛翔狙いです。しかし、広角飛翔を撮る高さまで卍が降りてきません(^^; 卍が地表近くまで降下するには、一定の条件があります。その条件について、ここでは触れませんが、とにかく、この日は期待外れでした。仕方なく、300mmで上空を見上げながら、空バックの卍を泣く泣く撮りました。

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D500-34VR(トリミング), ISO=720、F10-1/3200、外部ストロボ、撮影時刻:17時33分
 
 予測通り、裏しか写せません。それでも何とか粘って、1頭のみ緑色に輝く表翅を写し込めました。
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D500-34VR(トリミング), ISO=1600、F8-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:17時40分

 空バックでは味気ないので、ハンノキ背景に卍を撮ろうとトライするものの、これまた難しい!かろうじてハンノキとコラボさせた画像がこちら。
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D500-34VR(トリミング), ISO=2800、F8-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:17時51分

 ハンノキの手前側にミドリシジミを配したいのですが、夕暮れ時で合焦し難く、チャンスを逃してしまいます。一方、樹冠付近では高速で♂が飛び回っています。今度は単独でその♂を捕捉しようとトライ。
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D500-34VR(トリミング), ISO=1250、F8-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:17時51分

 残念ながら、閉翅状態(^^; この日、一番のお気に入りは、次の画像。
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D500-34VR(トリミング), ISO=450、F8-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:17時48分

 3頭が絡んだ瞬間です。右下には別の♂も写っていて、賑やかな画像になりました。
 ダラダラと飛翔を撮影中、ムチャデカいミドリの卍がスタート。何だありゃ!~と良く見れば、サトキマダラヒカゲの卍飛翔でした(^^)
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D500-34VR(トリミング), ISO=1000、F8-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:17時49分

 とにかく、この日はストレスが溜まり、寝付きが良くありませんでした。あ~悔しい!!
by fanseab | 2018-06-08 22:35 | | Comments(4)

アゲハの産卵(5月下旬):カラスザンショウ編

 5月15日付記事で、拙宅庭で撮影したサンショウへの産卵場面シーンをご紹介しました。ここには植え込みのサンショウ以外に、他のPapilio属飼育目的で、カラスザンショウの鉢植えも3個置いてあります。このカラスザンショウにもアゲハが産卵し、終齢幼虫まで観察した経験があります。今回初めてカラスザンショウへの産卵シーン撮影にも成功しました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR, ISO=4500、F8-1/1000、撮影時刻:10時34分
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D500-34VR, ISO=5000、F8-1/1000、撮影時刻:10時34分

 2枚目は尾状突起が葉被りになったのが残念。この時、合計で6卵産んでくれました。この状態では、孵化後、葉数が不足するのは明らかです。いずれ幼虫達を別の株へ移植せねばなりませんね。
by fanseab | 2018-06-05 21:13 | | Comments(2)

アサギマダラの吸汁行動(5月下旬)

 平地性ゼフを撮影した日、植栽として植えられているフジバカマにアサギマダラの姿がありました。このポイントで本種を見るのを恐らく初めて。フワフワ飛んでいるのは、♂でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60, ISO=800、F4.5-1/4000、撮影時刻:7時18分
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EM12-Z60(トリミング), ISO=800、F4.5-1/4000、撮影時刻:7時20分

 飛翔してはフジバカマに止まり、葉上から吸水しているような行動を取りました。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=800、F8-1/640、撮影時刻:7時15分

 撮影日の早朝、結構強く雨が降った影響で、葉上には多量の水滴が残っていました。そこから吸水していたのでしょう。さらにドクダミの花弁にもストローを伸ばしました。
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EM12-Z60, ISO=800、F8-1/400、撮影時刻:7時17分
 
 ストローの位置から考えて、ドクダミからの吸蜜ではなく、単なる吸水行動のようです。

 よく知られているように、アサギマダラ成虫はフジバカマ類の吸蜜を好みます。フジバカマには本種の性フェロモン合成に欠かせない、ピロリジジンアルカロイド類(PA)を含有しているためとされています(※)。この習性を利用し、渡りの途中に本種を吸引させるため、意図的にフジバカマの大規模植栽を実施している公園もある位です。今回の「吸水」行動も単純な水分補給以外に、フジバカマや周辺植物の葉や花弁上に拡散した微量のPAを吸収していた可能性も否定できませんね。

※本田計一/加藤義臣編(2005)チョウの生物学,東京大学出版会,245-248.
by fanseab | 2018-06-02 22:53 | | Comments(0)