探蝶逍遥記

カテゴリ:蛾( 17 )

マンサク葉上の三角帽子(11月上旬)

 拙宅庭にはウラクロシジミ飼育目的でマンサクの鉢があります。先日葉上に三角帽子に似た「虫こぶ状」の物体を発見。高さは約3mm。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/160,外部ストロボ、撮影時刻:10時17分

『へぇ、マンサクにも虫こぶができるんだぁ~』と見過ごしておりました。数日後、その虫こぶがあるべき位置を見ると、何と物体が消えています。おかしいなぁ~?と詳しく見ると、全く別の葉上にその物体がありました。虫こぶが移動していたのです!詳細にその物体を見ると、小さな枯葉の集合体であり、この時点でようやく「ミノムシ」と気が付きました。実は夏場に同じマンサク株で、オオミノガ(Eumeta japonica)と思しき蓑虫を観察しており、ここから発生した様子。よく知られているようにミノムシは通常、葉や茎からぶら下がったスタイルです。このように若齢幼虫時代には葉上に蓑を載せた形状であることには思い付きませんでした。この三角帽子、全体で4個体ありました。仲良く2個並んだ「兄弟」も発見。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/125,外部ストロボ、撮影時刻:10時20分

 左側の個体はまさしく三角帽子の形状です。その右側の個体を拡大して二度ビックリ!
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EM12-Z60,ISO=200,F5.6-1/125,外部ストロボ、撮影時刻:10時15分

 寄生卵が2個確認できます。どうやらこれは、オオミノガの天敵、外来種のオオミノガヤドリバエ(Nealsomyia rufella)の卵。ネットで調べる(クリックでジャンプ)と、本種は外来種。中国山東省由来と推測されています。

 このハエが拙宅庭の一角にある、小さな三角帽子を探り当てる能力にはビックリです。通常、寄生蠅は葉裏に産卵し、ミノムシが卵を葉と同時に食して体内に侵入し、幼虫を蝕んでいく経路を辿るようですが、今回は直接蓑に産附した事例なのでしょうか。葉上の三角帽子が何齢から葉裏に垂下するスタイルに移行するのか、観察を続けたいと思います。
by fanseab | 2018-11-15 21:17 | | Comments(2)

ヒメエグリバの幼虫:その2(10月上旬)

 1ヶ月前にご紹介した首題蛾の幼虫を再度多摩川縁で発見。前回同様、グラウンド脇フェンスに絡んだアオツヅラフジ葉上に鎮座しておりました。但しサイズは小さく、恐らく3-4齢と思われます。先ずは全体像。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/200、外部ストロボ,撮影時刻:12時20分

 前回撮影しているので、すぐに目に飛び込んできました。次に拡大像。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/200、外部ストロボ,撮影時刻:12時19分

 体長は13mm。基本デザインは終齢幼虫と類似していますが、亜背線上の白色・黄色・橙色各小斑が欠落していて、よりスッキリとしています。終齢幼虫同様、規則的に配列した黄色紋がスケール(物差し)を連想させます。どうせなら、黄色班の間隔が5mmとか1cmに入っていて、幼虫脱皮に拘らず目盛間隔が変化しなければ体長測定が楽だなぁ~と、あらぬことを考えてしまいました。終齢幼虫同様、頭と尻の位置を間違えやすいですね(念のため付記すると、向かって左端が頭部)。
by fanseab | 2018-10-20 21:37 | | Comments(4)

シロオビノメイガ(10月初旬&中旬)

 多摩川縁のクズ群落で、ウラナミシジミの撮影中、足元から褐色の小蛾が一斉に飛び立ちます。脚で50cm~1m草叢を払っただけで、10頭ほどの個体が飛びます。この広い多摩川河川敷には一体何万頭の個体が生息しているのでしょうか?見当もつきませんね。この子の正体は、シロオビノメイガ(Spoladea recuvalis)。ホウレンソウの大害虫として知られています。折角ですので、ちょっと真面目に撮影。最初はセンダングサでの吸蜜。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/500,撮影時刻:11時47分

 和名通り、白い帯があるメイガで、何とも分かり易いネーミングです。続いてアレチウリでの静止シーン。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F4.5-1/320,撮影時刻:11時45分

 直前まで吸蜜していたものと思われます。気配に結構敏感なので、撮影は苦労しました。複眼が赤味を帯びた濃褐色。やはり蝶類とはちょっと趣の異なる色調ですね。次はセイタカアワダチソウからの飛び立ちシーン。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=640,F5-1/4000,撮影時刻:11時10分
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EM12-Z60(トリミング),ISO=640,F5-1/4000,撮影時刻:11時11分

 こうしてじっくり見ると、縁毛が複雑かつ綺麗な種類です。何となくチャマダラセセリを彷彿とさせる雰囲気があります。2枚目は驚かせて逆向き(裏面)になった場面。裏面模様確認のため、画像を上下反転してアップしておきます。飛翔中、淡褐色に見えるのは、この裏面色調の影響なのでしょう。
 冒頭に述べたように、本種の繁殖能力はすさまじいものがあります。まるで天敵が存在しないかのような個体数です。本種に寄生する寄生バエ類も、幼虫の数が多すぎて全幼虫に寄生卵を産むのを諦めてしまうのでしょうか?
by fanseab | 2018-10-18 21:38 | | Comments(0)

ヒメエグリバの幼虫(9月上旬)

 久しぶり蛾の話題。多摩川縁のお散歩撮影の途中、グラウンド脇フェンスに絡んだ蔓上に個性的な色彩のイモムシが鎮座しておりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ,撮影月日:9月6日

 これは直ぐに「イモムシハンドブック(※)」で同定できるだろう・・・と帰宅後に検索。狙い通り、一発回答でヒメエグリバ Oraesia emarginataの幼虫と判定できました。体長4cmほどで、終齢幼虫で間違いありません。真上から覗くと、どちらが頭でどちらが尻か?迷うほど形状・斑紋が似ています。同ハンドブックによれば食草はツヅラフジ科のアオツヅラフジCocculus orbiculatusとのこと。思いがけず、この蔓性植物の名前までわかってしまいました。成虫は枯葉に擬態した蛾。どこかで見かけているのかもしれませんが、エグリバ類は概ね幼虫に比べると個性に乏しいので、見逃してしまうかも。

※安田守,2014.イモムシハンドブック3,p.87,文一総合出版,東京.
by fanseab | 2018-09-25 21:16 | | Comments(0)

ツマキシャチホコ(7月中旬)

 アオバセセリ幼虫の観察を終えて、帰宅準備途中、エノキに産卵するアカボシゴマダラ♀に出会いました。産卵シーンは上手く撮影できず、ガッカリしていたのですが、母蝶が飛び去った後のエノキを眺めていたら、何やら葉上に異様な物体が付いておりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60, ISO=200、F5-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:12時41分

 遠目には、Papilio属若齢幼虫のように見えました。しかし、接近してみると明らかに蛾です。ハマキガあたりだろうか?と思いつつ、帰宅後調べたら、どうやらシャチホコガの1種、ツマキシャチホコ(Phalera assimilis)のようです。類似種にクロツマキシャチホコ(P.minor)がいます。クロツマキは後翅が明らかに黒いようですが、後翅色彩は確認できておらず、ここでは「ツマキ」としておきます。間違えていたらご指摘下さい。いずれもクヌギ、コナラ、アラカシと言った雑木林にありふれたカシ類をホストにしているようです。これまでこの子に出会えなかったのは単に興味がなかったのか、あるいはご覧のように枯木に擬態しているためでしょうか。側面からも撮影してみました。
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EM12-Z60, ISO=200、F5-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:12時41分

 確かにこの子が雑木林の林床に落ちていたら、枯木と見間違えるでしょうね。少し刺激してみたら、サッと想定外のスピードで飛び去っていきました。
 因みに本種の種名assimilisは「類似した」を意味します。そう言えば、アカボシの種名も同じassimilis。分類上は、全く縁も所縁もないタテハとシャチホコガですが、何故か縁があって出会っていたような気がしました。
by fanseab | 2018-07-24 21:33 | | Comments(2)

セスジスズメの雨宿り(10月下旬)

 今日は衆議院議員選挙の投票日。生憎、関東地方は超大型台風21号の接近で、朝から雨模様。午後になったら風が強まると思い、午前中に投票所へ。途中、マンション植栽のクスノキに褐色の物体がぶら下がっているのに気が付きました。スズメガが雨風を避けていたのです。投票を済ませ、昼食後風雨が強まる中、カメラを持って再度現場へ。相変わらず雨宿り状態でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60、ISO=640、F7.1-1/30、外部ストロボ、撮影時刻:13時14分

 どうやらこの子は、セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)。何とか葉上の雨滴まで表現できました(^^) 次は接近戦画像。
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EM12-Z60、ISO=400、F7.1-1/30、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:13時11分

 こうして見ると、蜘蛛の巣を左片脚と右前翅に引っ掛けて上手にバランスを取っています。接近戦でストロボを焚くと背景が暗く、不自然になりがちです。ここでは対策としてメインストロボ以外に、スレーブストロボを背景の葉に接近させて焚いています。雨量も激しくなっていたので、右手でカメラを構え、左手に雨傘&スレーブストロボを保持しながらの苦しまぎれのショットになりました。カメラ・レンズ・ストロボは防塵防滴仕様ですが、スレーブストロボはそうではありません。傘をさしながら必死に撮影するのも本当に久しぶり。以前、台風接近中の滋賀県下、同様な状況でクロシジミを撮影した経験(クリックでジャンプを思い出しました。

 台風一過まで、この子が無事雨宿りできますように。。。。
by fanseab | 2017-10-22 15:26 | | Comments(2)

オスグロトモエなど(7月下旬)

 久しぶりに多摩川縁を歩いてみました。29,30の両日でようやく恵みの雨が降りましたが、それまでは日照り状態が続いて地面はカラカラ・・・。セセリ幼虫探索で、イネ科植物を見ても葉が乾燥してカーリングしており、幼虫探索は困難を極めます。ゴソゴソ草叢を歩いている際、急に飛び立った鱗翅類を発見。慎重に接近すると、オスグロトモエ(Spirama retorta)の♀でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60、ISO=64、F3.5-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:14時46分

 真紅の裏面をプロキャプチャーモードで撮ろうと画策したのですが、ボヤボヤしている内に草叢に隠れてジ・エンド。蛾類も相当に敏感なので手こずりますね。
 少し暗い草叢でヒメジャノメの交尾ペアを発見。
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EM12-Z60、ISO=200、F3.5-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:15時02分

 そう言えば第2化の季節でした。ヒメジャノメ交尾ペアの撮影はこれが二回目。今回は葉被り無く撮れて満足しています。河原の遊歩道は殆ど湿り気がありません。そんな足元から褐色型トノサマバッタが飛び立ちました。慎重に接近して前方から顔面を接近戦で狙いました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F8-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:15時02分

 身じろぎもせず、良い子状態だったので深度合成で撮らせてくれました。乾燥した河原で生きているこの子にとっては、熱中症とも無縁なのでしょうね。でもトノサマバッタはやはり緑色型の方が恰好エエですね。
 クズの草叢上で急にアゲハの求愛飛翔がスタート。残念ながら広角レンズの持ち合わせがなく、仕方なく60mmマクロで飛翔撮影。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/3200、撮影時刻:15時25分

 ♂が♀を先導するパターン。♂の閉翅と♀の開翅が丁度シンクロして面白い絵になりました。この求愛シーン、結構持続時間が長かっただけに広角の持ち合わせが無かったことを悔やみました。フィールドでは想定外の場面に時々遭遇します。やはり広角レンズとセットでお散歩撮影に挑むべきでした(^^;
by fanseab | 2017-07-30 20:06 | | Comments(2)

ビロードハマキ(9月下旬)

久しぶりに蛾の話題です。以前から一度は観察したかったド派手な蛾、ビロードハマキ(Cerace xanthocosma)を拙宅近くのマンション植え込みで発見。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-85VR,ISO=200、F10-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:15時45分

 白班の大きさ・密度から♀のようです。前翅長は26mm。クスノキの葉に下向きに止まっていました。遠目からも違和感があり、近くで見てもやはり異様な姿です。そもそも頭部が上にあるか?下にあるのか?ちょっと見、迷うデザインですね。2日後、成虫が飛び去ってから同じ場所を訪れてみました。恐らく蛾が静止していた場所は巣に違いないと思い、その確認が目的です。先ずは全体像。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:14時12分

 クスノキの葉4枚を結構厳重に綴っています。開封してみると、蛹殻が確認でき予想通り、ビロードハマキ終齢幼虫が使用していた巣でした。
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D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング),ISO=400、F10-1/125、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時12分
 
 蛹殻の体長は23mm。真っ黒な終齢幼虫頭殻も確認できました。吐糸の量も半端なく多く、繭と言っても過言ではない造巣形式ですね。他にも同じ巣がないか?チェックすると、もう一つ蛹殻が残された巣を発見。
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TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F2.3-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時53分

 こちらの蛹殻全長は17mm。少し小さいので、♂の蛹殻でしょうか。更に同じ株から別の巣を発見。
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D71K-85VR,ISO=400、F8-1/160、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時19分

 こちらは手の届かない高さなので開封はしておりません。茶色に変色したクスノキの枯葉が樹上で不自然に残っていれば、彼らの巣のようです。それでは他の株からも巣がみつかるのか、ざっと10本ほどクスノキ株を検しましたが、全く巣を発見できず、個体数はそれほど多くないようです。この近辺は30年ほど連続観察している場所ですが、ビロードハマキを発見したのはこれが初めて。ネット上で調べると東京近辺では2003年頃を境に急速に個体数が増加しているとのこと。理由として「地球温暖化」なる安直な用語が使用されています。ただ管理人は食樹の一つ、クスノキが街路樹や庭園植栽として分布・拡大したことが東進(北上)化の一因だろうと考えています。現時点での北限は福島県南部。ホストを同じくするアオスジアゲハの生息北限が青森県なのに対し、緩やかな北上モードになっています。越冬態はアオスジが蛹、ビロードハマキが幼虫。やはり耐寒性の観点からアオスジアゲハが有利なのでしょうね。
by fanseab | 2016-10-05 22:53 | | Comments(0)

ヒメクロホウジャクの飼育メモ(蛹化まで)

 秋期に実施した鱗翅類飼育メモの第3弾です。今回はスズメガ科のヒメクロホウジャク(Macroglossum bombylans)。10月初旬、午後1時半頃、横浜市郊外の里山公園でホウジャク類♀の産卵シーンを偶然目撃しました。悔しいことにカメラを車に置いたままで産卵シーン撮影には失敗(^^;
 産卵植物はアカネ科のアカネ(Rubia argyi)でしたので、当初は絶滅危惧Ⅱ類(VU)のスキバホウジャク(Hemaris radians)と誤認しましたが、飼育が進んで終齢幼虫になった段階で、普通種のヒメクロと判明し、ちょっとガックリ。それでも蛾類で卵から蛹までのフルステージ飼育を手掛けたのはこれが初。貴重な体験となりました。最初は産卵状況。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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GX7-Z60、ISO=400、F7.1-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日:10月7日

 アカネの新芽に多くの卵を産みつけておりました。とりあえず2卵を採卵。次に拡大像。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段4コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F16-1/250、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+スレーブ2灯、撮影月日:10月10日

 長径1.2mm、短径1.1mmの楕円形で、高さ0.96mm。ナミアゲハと変わらぬ大きさで、成虫の開翅長に比較して相当デカイ卵です。表面は微細な凹凸がありますが、ほぼ平滑でPapilio属の卵に類似した雰囲気。10/11に2卵ほぼ同時に孵化。初齢幼虫です。
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D71K-1855改@35mm(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月13日

 体長7.4mm(尾角含まず)。頭部は模様が無く黄色、胴体も無紋でやや黄色味を帯びた緑色。尾角は漆黒。10/14に2齢。
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D71K-1855改@18mm(トリミング+上段2コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=200、F9&13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月17日

 体長12mm(尾角含まず)。頭部がやや緑色を帯び、胴体全体に伸びる白い側線が目立ちます。尾角は相変わらず漆黒。2齢途中で当初採取したアカネを食い尽くしたので、代替ホストとして記録のあるアカネ科のヘクソカズラを与えましたが、全く見向きもしません。仕方なく、採卵した里山公園に出向いてアカネを探索しましたが、「西向きで日当たりが良く、かつ水はけの良い急傾斜地」以外には生えておりません。分布はかなり局地的なので、この植物をホストとする鱗翅類はホスト確保で厳しい競争に晒されるものと思われます。葉を摂食中の2齢幼虫です。
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D71K-1855改@18mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月17日

 アカネは茎の長さあたりの葉の面積が小さく、幼虫は葉だけでなく茎も食べ尽くすのが特徴です。#1個体は10/19に眠、翌20日に3齢へ。#2個体は一日遅れて21日に3齢へ到達。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月21日

 体長は30mm。背面側および側面側にも2本の白色条線が走り、尾角は紺色へ変わり、その先端は黄色味を帯びています。頭部も緑色地色に淡緑色の縦線が入ります。#1は10/22に眠、10/24へ4齢(終齢)に到達。#2は10/25に4齢へ。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=160、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月26日

 体長は31mm。最終的には40mm程度まで成長しました。全体的な特徴は3齢とさほど変化はありませんが、頭部の地色がブルーに変わり、縦線が淡緑色から黄色に変化しております。また中胸・後胸部白色側線部がバラの棘のように上部に突き出る特徴があります。
 ここで初齢~4齢までの頭部性状の変化をまとめておきます。拡大倍率は各齢バラバラで縮尺は任意です。
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 なお終齢末期の食欲は大変なもので、あっという間にアカネを食い尽くすのでハラハラさせられました。#1,2共に下痢便を出した後、10/31に前蛹になりました。実はスズメガ類の蛹化は土中でなされることが多いことを知っていたのですが、飼育のノウハウは無知でした。そこで丁度10/18に開催された「日本鱗翅学会関東支部秋のつどい」で蛾類研究の大御所、K氏に教えを乞いました。すると「泥を使用せずとも新聞紙で代用可」とのご宣託。繭形成に支障がないよう、新聞紙を短冊状に切断し、これを食草のアカネに混ぜて、飼育用プラケースに敷き詰めました。#1、#2の繭形成の状況です。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 #1はほぼアカネの葉を綴り、#2は短冊状新聞紙を綴って繭形成をしております。#1個体繭の拡大像です。
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D71K-85VR(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 茶褐色の糸は結構頑丈です。慎重に繭を切断して#2の前蛹を撮影。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 体長29mm、蝶の前蛹と同じく体色は透明感が増し、白色側線も目立ちません。尾角を体軸に平行にしているのは蛹化時の脱皮を容易にするためでしょうか? 11/3に#1,#2共に蛹化。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月7日

 体長は31mm。側面から眺めた時、頭部が坊主頭のように球形をしているのがユニークです。少し刺激を与えると尾部を左右に振るのはPapilio属の蛹などと同じですね。この後、自然状態と同じく来春羽化させるため屋外に蛹を放置することにしました。プラ容器から蛹を取り出し長方形プランターに移し替え、泥の代替品として短冊状新聞紙を敷詰め、ネットでプランター上部を被せて外敵侵入防御用としました。
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TG2@4.5mm、ISO=100、F2.8-1/125、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影月日:11月7日

 これを半日陰の場所に冬期間放置することにしました。果たして来春上手く羽化することができるのでしょうか?第1化の時期が全く不明なので、3月以降、こまめにネットを外して確認する必要があります。
 ヒメクロホウジャクの次は、できれば貴重種のスキバホウジャクにもトライしたいものです。
by fanseab | 2014-12-28 22:05 | | Comments(4)

クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)

 ムラサキツバメの新規越冬集団探索を目的に、拙宅から程近い東京都下の某公園を訪ねました。ここはマテバシイの植栽密度が結構高く、以前の下見で好感触を得ていたポイントでした。ところが相当広範囲に探索するもムラツの姿はなし。マテバシイの植栽を子細にチェックすると、実生(ひこばえ)が殆ど刈り取られていて、ムラツ最終化の食痕も殆ど見当たりません。ひょっとすると植栽の管理が過剰で、越冬世代のムラツ個体数が意外と少ないのかもしれません。一方、公園内にはよく管理された雑木林があって、そこには丁度クロスジフユエダシャク(Pachyerannis obliquaria)が乱舞しておりました。うっかり冬尺に手を出すとハマリそうなので、これまで本ブログで記事にしたこともないのですが、流石にこの日は飛翔を撮ってみたくなりました。ここは雑木林の下草管理も徹底していてアズマネザサの株丈も低いため、コナラやクヌギの落葉が絨毯のように分厚く積もっております。その枯葉製絨毯の上を、まるで枯葉の化身のようにフユシャクが乱舞する姿は圧巻でした。先ずは300mmで狙ったショットの作例。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:11時08分

 ほぼアウトプットイメージ通りに撮れました。ただ見かけ以上に俊敏で、画面内に収めるのに苦労します。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:11時08分

 この絵から分かるように、長い前脚を目一杯伸ばして飛行しております。普通、蝶類は脚を畳んで飛翔するのに対し、わざわざ風力抵抗を増加させる飛び方は独特です。ひょっとして触覚同様、前脚にも感覚器官が存在して♀のフェロモン検出に役立っているのでしょうか? それとも単に飛翔が下手糞なだけで、バランスを取るため前脚を突き出すのかな? 次はノートリ画像としてこの日のベストショット。
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D71K-34、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 枯葉の直上を飛行する雰囲気はまずまず表現できました。♂の探♀行動は梢の上まで拡大しませんが、やや高い場所に上がった個体を縦位置トリミングで表現してみました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時11分

 彼らを観察していると、ある一定の時間間隔で数個体が一斉に飛翔するような気がします。この群飛状況を何とか表現しようと工夫してみるのですけど、これが結構難しい!やっとこさ2頭を画面の左右端に入れ込むのが精一杯でした。
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D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 ほぼ連続飛翔中の♂は、時折枯葉上に降りて日光浴をします。また翅を震わせながら枯葉の上でダンスを踊るような仕草を見せることがあります。
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D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時15分

 恐らくは枯葉の下に潜む♀がフェロモンを放出していて、フェロモンを嗅ぎつけた♂が興奮して翅をバタバタしていたのかもしれません。この日は残念ながら交尾ペアを発見することはできず。次に彼らが舞っている雑木林の環境描写目的にミラーレスに対角魚眼を付けて高速連射で飛翔を狙ってみました。最初は紅葉バックの絵。
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GX7-10.5、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:10時47分

 一見緩やかに舞うクロスジはレンズが接近すると危険を察知して、敏速に上下左右に逃げていきます。最近全く広角飛翔撮影を実施していなかったので、置きピン感覚が錆びついていて、大変苦慮いたしました。
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GX7-10.5(トリミング)、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分
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GX7-10.5(トリミング)、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分
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GX7-10.5、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分

 最後の絵は毎度おなじみの「ジャスピン画像画面端の法則」が完璧に適用されてしまった作例。「もうちょいカメラを上向きにしておれば・・・」と、何とも悔やみきれない画像になったのでした。これまで蛾の飛翔をこれほど真剣に実施したことはなかったのですが、息をハァハァ言わせながら飛翔を撮ると体が暖まり、冬場の運動不足解消によさそうです(^^)
by fanseab | 2014-12-06 20:28 | | Comments(6)