探蝶逍遥記

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フタスジチョウvs.ホシミスジ:幼生期性状比較

 国産Neptis属の中で、フタスジとホシミスジは兄弟種の関係になります。本記事では特に終齢幼虫と蛹の形態・性状差について、詳述します。フタスジ幼生期の詳細は直前記事をご覧下さい。
 先ずは終齢幼虫。

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ホシミスジ画像は2014年10月撮影分

識別点を下記にまとめます。
(1)第7-9腹節側面の淡色模様:矢印#1
ホシミスジは鮮やかな緑色、フタスジは僅かに緑色を帯びる程度に留まる。
当該斑の面積(腹節全体に対する相対値):ホシミスジ>フタスジチョウ
(2)背面突起:矢印#2
突起長さ:ホシミスジ>フタスジチョウ
(3)背面模様:矢印#3
暗色斜帯はホシミスジでより明確→ホシミスジ:全体に地色と暗色斜帯とのコントラストが明快。

 次いで蛹の形態比較です。
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ホシミスジ画像は2014年10月撮影分

識別点は下記の通り。
(1)懸垂器と腹端背面のなす角度:#1
ホシミスジがより鈍角。
(2)前翅後縁部形状:#2
フタスジでは前縁側に強く湾曲する。
(3)背面から見込んだ時の翅部の巾:#3
ホシミスジはより巾広い。
(4)頭部突起形状:#4
ホシミスジでより顕著(やや前方に突出する傾向)。

 両種共に、♂♀差・個体差がどの程度あるかは、今後の検証課題です。卵の微細構造同様、兄弟種だけに両種は終齢幼虫・蛹形状共によく似ていますね。
by fanseab | 2017-08-22 21:43 | | Comments(2)

フタスジチョウの飼育メモ

 7月10日付記事(クリックで記事へジャンプ)でご紹介したフタスジチョウについて、現地で採卵した4卵を飼育した結果を報告します。飼育した個体を各々#A~#Dとします。初齢途中までは、産附されたホスト(一部植物名不明、一部はシモツケ)で飼育、その後は全てユキヤナギを餌に用いました。現時点までに4個体の生育状況は2群に分かれました。個体#A、#Cは一気に成長し、#Aは羽化済、#Cも8月中に羽化予定。一方、個体#B,#Dは緩やかな成長曲線を描き、現在は共に3齢で、恐らく自然状態の個体同様、秋には越冬態勢に入る模様です。本記事では個体#Aを中心に飼育経過を述べます。

 4卵共に7月11日に孵化。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段3コマ/下段7コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月12日

 体長は2.5mm。淡褐色でコミスジとそっくりな姿。初齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=400、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月12日

 この画像の葉先に産卵されており、その周辺から食い始め主脈中央に静止しています。一方、シモツケの穂先に産附された個体#Dは当初シモツケの穂を齧っておりました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=400、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月12日

 その後、穂が枯れたのでユキヤナギの葉に移動させました。初齢の後半になると、ユキヤナギの葉をカールさせて巣を形成しました。個体#Dの様子です。
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EM12-Z60(8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月14日

 この時点では未だ完全に閉じた状態の巣ではありません。基本、頭部を葉柄側に向けています。その後、筒状の巣が形成されるため、齢数変化が観察し難くなりました。7月15-16日にかけて2齢到達。2齢の巣(個体#A)です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月17日

 巣の前後は開放状態。巣前後の葉を食べるため、特徴のある巣形態になります。巣の上部を切断して無理やり2齢の姿(#A)をパチリ。
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EM12-Z60(13コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月17日

 体長4.3mm。初齢よりずんぐりとした体形になり、体色も濃淡がついてきました。巣の完全解体を断念したため、側面画像は撮影できず。巣から顔を覗かせた個体#Dの姿もパチリ。
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EM12-Z60(8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月17日

 7月19日前後に全個体共に3齢到達。3齢(個体#C)幼虫の姿です。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月26日

 体長6.2mm。体色の濃淡が明確になり、淡い背線も顕著になりました。更に後胸、第2腹節に突起が形成されました(矢印#1)。第7-9腹節の濃褐色斜帯(矢印#2)が顕著になってきました。個体#Aは7月22日に4齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月24日

 体長8.5mm。背中側から幼虫を見ると、第2-4腹節部分の巾が拡大し、Neptis属4齢幼虫にほぼ共通する姿に変身。第7-9腹節濃褐色部に白色斑(矢印)が出現しました。幼虫は静止している際、頭部を深く下げ、胸部~第2腹節を高く持ち上げる独特なポーズを取っています。この習性は終齢(5齢)まで観察できます。なお、4齢時点で3齢まで過ごした巣を完全に放棄し、通常はユキヤナギの枝もしくは葉に静止しております。個体#Aは7月26日に5齢(終齢)に。
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EM12-Z60(上段6コマ/下段自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月31日

 体長は13.5mm。体色の濃淡コントラストは4齢よりも明確になりました。第7-9腹節の白斑部は淡緑色を帯びてきました。ここで参考までに、初齢~終齢までの頭殻(脱皮殻)の形状比較をしてみました。
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深度合成・コマ数:初齢16、2齢15、3齢24、4齢5、5齢10

 なお、上段(初齢~3齢)と下段(4,5齢)では、拡大率を変えております。また、5齢頭部上方は幼虫本体の脱皮殻。終齢幼虫は8月6日に前蛹。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 上手い具合にユキヤナギの枝からぶら下がってくれました。体長14mm。撮影時に結構モゾモゾ動くので深度合成撮影はできず。翌7日に蛹化。
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EM12-Z60(左から各々6コマ、5コマ、4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月8日

 体長12.5mm。淡褐色の表面に複雑な模様が織り込まれた姿は、Neptis属蛹に共通する特徴でしょう。8月13日の朝方、前翅模様が透けて見え、腹節も緩んで羽化直前の兆候を示しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日(時刻):8月13日(6時54分)

 ほぼ1時間後、無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日(時刻):8月13日(7時59分)

 例によって、羽化瞬間は確認できず。前翅長は24.5mm。7月に生息地(山梨)で観察した♀に比較すると一回り小さいサイズ。やはり促成栽培(孵化から33日で羽化)故、小サイズ化は避けられない宿命でしょうか。開翅もユキヤナギバックに撮影。
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日(時刻):8月13日(8時13分)

 フタスジチョウは後翅白帯がスッキリしたデザインなので、後翅の縁毛がとってもお洒落。縁毛フェチの管理人の琴線に触れるものがありますね。

 なお、飼育の途中でしたが、国内産Neptis属研究の権威、F氏に私信を出し、飼育のコツを伺いました。同氏によれば採卵飼育の場合、孵化後幼虫を冷蔵庫に出し入れするなど、極端な温度変化を与えないと当年度羽化(2化品として羽化)に至るとのこと。今回はほぼ同日に孵化した4個体をほぼ同一条件で飼育し、冷蔵庫保管処理をしないにも拘らず、2個体のみ越冬しそうな状況です。成長スピードを急速にするか、緩慢にするかのスイッチはどの時点で、どんなメカニズムで入るのでしょうか?疑問は尽きません。なお、兄弟種、ホシミスジの幼生期との比較については、記事を分けました。そちらもご覧下さい。
by fanseab | 2017-08-22 21:35 | | Comments(0)

オオムラサキの産卵行動を探る(8月上旬)

 3年振りに山梨・甲府盆地でオオムラサキ探索です。到着して驚いたのはポイント付近の環境変化。道路の舗装化進行や森林伐採が酷くて乾燥化が進み、憂慮すべき状況です。それでも台場クヌギの樹液ポイントには、いつもと変わらぬオオムラサキの姿があり、ホッと一安心。♀探索が目的のこの時期、♂はどの個体もボロボロ。一番まともな個体を選んで開翅をパチリ。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR、ISO=500、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時36分

 樹液の出方が不十分なので、蝶もカナブンも樹肌から必死に樹液を吸い上げている感じ。目的の♀も登場。
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D500-34VR、ISO=500、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時38分

 恐らく鳥に攻撃されたのでしょう。右前後翅共に大破状態。樹液酒場に集うオオムラサキを観察していると、時間経過と共に♀個体数が増加してきました。こちらは翅損傷の少ない大型の♀です。
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D500-34VR、ISO=500、F9-1/800、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時06分

 ♂の2倍はあろうかと思われる大きさ。将に女王の風格。いつもなら♀に言い寄る♂の姿をみかけますが、相手のあまりの貫禄に怖気づいているような・・・。この♀、♂を蹴散らす勢いで樹液の滲み出る好ポイントを占領してしまいました。そのうち、彼女の姿が急に視界から消えました。さては産卵行動か?と思いきや、樹上で暫し開翅休息しておりました。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=500、F9-1/1000、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時09分

 ♀を継続観察していると、どうやら午前中は樹液吸汁と休息を繰り返しており、休息時は樹液酒場から敢えて距離を置いているようです。♂からの(無駄な?)求愛を意図的に避けているかもしれません。独りでじっくり吸蜜する♀の姿を広角でもパチリ。
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EM12-Z12、ISO=200、F10-1/30、外部ストロボ、撮影時刻:11時09分

 正午過ぎ、急に樹液酒場が静かになりました。1-2頭の♂を除き、大半がどこかに雲隠れ。♂は探♀パトロール飛翔している様子。恐らく近くの小ピークあたりでテリ張りに集中しているのでしょう。一方、♀は産卵時間帯に入ったと想定し、産みそうなエノキを数本マークし、午後2時半頃まで巡回観察しましたが、結局産卵シーンには出会えませんでした。やはり産卵シーン撮影はハードルが高そうです。

 この日、驚いたのは環境変化だけではありません。あの「忌まわしき」アカボシゴマダラ(外来種)が、とうとうオオムラサキポイントにやって来たこと。♀の産卵シーンです。
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D500-34VR、ISO=500、F9-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時43分

 次は台場クヌギに集うオオムラサキ(左下)とその周りを飛ぶアカボシの♂(右上)。
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EM12-Z12(トリミング)、ISO=640、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:11時58分

 証拠写真レベルですが、見たくなかった絵です。山梨県のアカボシゴマダラに関しては、管理人の記録では、2012年6月に都留市で1♂を撮影しております。当時、笹子峠を越えて甲府盆地に入るのは時間の問題だと思っておりました。但し今回のオオムラサキ観察ポイントでは、2014年5月のアカボシ第1化発生時に未確認。ですから恐らく2015年以降、甲府盆地での安定発生状況になったのでしょう。

 一方、在来種ゴマダラチョウも第2化の盛期でした。オオムラサキのボロ個体♂とのツーショットです。
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D500-34VR、ISO=500、F9-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分

 オオムラサキの産卵については、もう少し♀の行動パターンを詳細に把握するなどして、再挑戦してみたいです

<8月14日追記>
youtubeに♀樹液吸汁シーンの動画をアップしました。視聴環境にもよりますが、できれば画面右下、
画質(歯車マーク)を「720pHD」に設定して頂くと、より鮮明にご覧頂けます。

by fanseab | 2017-08-12 22:25 | | Comments(6)

クロアゲハ♂の吸水(7月下旬)

 カラスアゲハの産卵シーン撮影した当日、気温はそれほど高くなく、黒系アゲハ♂の吸水活動は不活発でした。そんな中、唯一新鮮なクロアゲハ♂が長時間に渡って吸水していたので、じっくりと撮影してみました。

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D500-34VR(トリミング)、ISO=1000、F7.1-1/1000、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時42分
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D500-34VR、ISO=1250、F6.3-1/800、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時37分

 普通種であっても完品個体の撮影はどんなシーンでも貴重。過去に管理人が撮影したクロアゲハ♂の吸水シーンの中でも出色の仕上がりに満足です。今回はやや暗い環境のため、ISO感度を1000~1250で撮影しております。D500にボディを変えてから、一番気に入っているのが、高感度特性の進歩。一昔前のニコンでは、ISO=800から途端にザラザラ感が増加したのですが、D500だとISO=1600までは全く問題ありません。露出強アンダー画像をRAW現像する際、ガンマコントロールでシャドウ部を明るく持ち上げてもオリジナル画像の持つ色相に変化が無くて助かっております。機材の進歩は本当に有難いものですね。
by fanseab | 2017-08-10 21:15 | | Comments(2)

カラスアゲハの産卵(7月下旬)

 サカハチチョウ第2化の産卵シーン撮影目的で、東京都下の渓谷沿いにある林道を探索。9時半頃、サカハチ♂が開翅日光浴を始めました。

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D500-34VR、ISO=200、F4.5-1/320、-0.7EV、撮影時刻:9時44分

 この一角で♂を都合3頭目撃したのですが、肝心の♀がいません。5月に同じポイントで観察した時と同様、10時前後の日光浴を除くと、♂が日光浴ポイントを離れて雲隠れしてしまうのです。恐らく探♀行動での場所移動なのでしょう。♀がホストのイラクサ類に登場するはずだ・・・と睨んでホスト周辺で待機するも結局出現せず。結局、この日もサカハチ産卵シーン撮影はお預けになりました。ガックリです(^^;

 一方、この林道では黒系アゲハ類第2化の盛期だったようで、時折豪快に飛ぶカラスアゲハ♂の姿が目撃できました。そこでサカハチと両睨みでカラスアゲハ産卵シーンも狙ってみることに。既に5月にカラス産卵ポイント・時間帯の下見を終わっているので、今回は労せず産卵現場に出会いました。しかも登場したのはとびきりの別嬪さん!
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D500-34VR、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時59分

 かなり薄暗い崖地に群生するコクサギの実生を緩やかに舞いながら、産卵場所を探っています。そして産卵。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時00分

 母蝶はコクサギ葉の縁に掴まり、腹端を葉裏に曲げて産卵します。この時、母蝶の体はコクサギ葉主脈に平行に向いており、かなり不自然な態勢でもあります。次は、ほぼ葉の真上に止まっての産卵シーン。
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D500-34VR、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時00分

 産卵直後に飛び上がったシーンも撮れておりました。
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D500-34VR、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時00分

 産卵後、確認してみると、↑の画像・矢印で示した葉裏に産み付けられていました。
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TG4@4.5mm、ISO=200、F2.8-1/320、-0.7EV、撮影時刻:11時00分

 淡いブルーを帯びているのが、カラス卵の特徴。虫食いで空いた穴の縁を「葉の縁」と思って産み付けたようです。その後、やや高い位置に移動して産卵。
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D500-34VR、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時16分

 翅全体にピントが来ていい感じですが、腹端は葉被り。腹端・卵の同時写し込みはかなり難易度高いと痛感。お次は今回のベストショット。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時16分

 カラスアゲハ♀後翅の煌びやかな輝きも写し込めて満足すべき絵に仕上がりました。惜しむらくは手前の枯葉が右後翅尾状突起を隠したこと。この後、ランチ休憩していると、かなり飛び古した別個体が出現、結構明るい環境のコクサギ、しかも地上高3.5mの相当高い位置に産卵しました。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時22分

 産卵高さ、環境共に、少し例外的な産み方のように思いました。カラス♀に出会う前、時間潰しにコクサギ実生の葉捲りを暫くやって、1卵見出しました。これは淡いレモンイエローでカラスの卵と異なり、オナガアゲハの卵でした。両者卵の比較画像を示します。
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EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月28日


 色調差・サイズ差がご理解頂けると思います。カラスアゲハ卵は拙宅に持ち帰り、超拡大撮影。
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EM12-P1442@42mm-P14R(上段23コマ/下段26コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月28日

 最大直径1.38mm、高さ1.30mm。ほぼ真球状です。Papilio属の卵表面はほぼ平滑で、面白みに欠けます。一方、表面のデリケートな「ザラザラ感」を的確に描写することの難しさも痛感します。完璧な描写には、的確なライティングが不可欠で、この画像でも手前側に光が回っておらず、球表面全面の描写ができておりません。それと真球状の卵を深度合成する場合、どうも縁部分の合成が破綻してしまいます。当初、深度ステップ数が少ないことが原因と考えていましたが、合成枚数を25コマ程度まで増大しても、合成破綻は改善されず、ちょっと悩んでおります。合成ソフトに問題があるのか?もう少し検討が必要です。
 それはともかく、数年越しの課題だったカラスアゲハ産卵シーンが首尾よく撮影でき、ホッといたしました。
by fanseab | 2017-08-06 21:03 | | Comments(2)

コミスジの飼育メモ:幼生期の長い事例

 去る5月下旬、オナガアゲハの産卵シーンを撮影した当日、現場の林道でコミスジの産卵も目撃しました。フジの葉先に産み付けられた卵を拡大撮影用に持ち帰り、フジで飼育しておりました。コミスジは2015年10月に飼育実施済で、その際の飼育メモ(クリックでジャンプ)はこちらです
 夏場の飼育では科・種類によらず、孵化後概ね1ヶ月で成虫が羽化します。上記事例でも孵化後38日で♀が羽化しました。ところが、今回は幼虫期が長く、結局♂が羽化するまでの時間は異例の62日。これには驚きました。採卵した卵の超拡大像です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(16コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月23日

 卵直径(棘皮を含む最大径)は1.1mm。孵化後経過日数を前回飼育品(括弧内表示)と比較してみました。
2齢到達   4日(4日)
3齢     10(17)
4齢     15(39)
5齢     20(47)
蛹化    28(55)
羽化    38(62)

 初齢期間および4齢以降の経過日数は両者ほぼ同じですが、それ以外のステージで極端な差が出ました。飼育環境は室内の薄暗い場所で、前回とさしたる変化はありません。
 幼虫画像は撮影せず。蛹画像を前回と比較してみました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月23日(右画像は2015年10月撮影分)

 一般に同一種類であれば幼生期の長い個体ほど、より大きく成長することが知られております。今回飼育品の体長は16.5mm、前回は15.2mmで♂♀差を考慮すると、やはり今回個体はやや大き目の感じがします。ただコミスジ蛹としては個体変異の範囲内かもしれません。7月28日に羽化した♂画像です。
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EM12-Z60、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月28日

 前翅長27mm(因みに前回飼育品は25mm)。羽化に気付かず、暫く飼育プラケース内で暴れていたため、羽化直にしては翅が痛んでしまいました。
 蝶の飼育をしていると、時々常識から外れた行動を取る個体がおります。今回のコミスジ飼育でもちょっぴり驚かされました。
by fanseab | 2017-08-03 20:58 | | Comments(4)

ルリシジミ終齢幼虫はカメレオン?

 関東地方は暑い日が続いております。明らかに雨不足で、主要河川では取水制限も始まったとか。暑さが続くと食欲も減退します。そんな折、夏場の食卓にオクラやサヤインゲンは欠かせませんね。彩鮮やかな緑色の野菜は視覚に訴え、食欲を増進させてくれます。サヤインゲンに煎りゴマを振り掛け、これをつまみに冷えたビールをグイッと・・・・♪♪。管理人は飲める口ではないのですけど、やはりビールが無いと夏は乗り切れません。
 さて、そのサヤインゲン。シジミチョウ飼育時の代用食としても有名です。特に蕾や花穂を食うシジミ類には有効とされています。管理人も将来の某種飼育に備え、今回、ルリシジミを実験材料として、サヤインゲン飼育をトライしてみました。近所のマンション植え込みのハギから採卵、初齢の後半からサヤインゲンを与えてみました。順調に育った終齢幼虫の姿です。

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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月11日

 半分にカットした鞘にへばり付き、白い果肉に頭部を突っ込んで食っています。面白いことに2齢の途中位までは果肉を好まず、鞘内の緑色のゼリー状組織を食べておりました。終齢になると、ほぼ果肉のみ食っています。糞の色も食べた部位毎に異なっています。矢印Aは上記ゼリー状組織を食べた糞、同Bは果肉によるもの。見事に糞の色が違います。幼虫の体色は餌のサヤインゲンにソックリですね。

 実は過去にルリシジミは2度飼育経験があり、当時の終齢幼虫と比較してみました。
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上段:2013年9月撮影、中段:2016年7月撮影

 過去2回はそれぞれクズ・イタドリの花穂を給餌しておりました。与えた餌の色相に忠実に幼虫体色が変化する様は見事。将にカメレオンですね!
by fanseab | 2017-07-22 20:13 | | Comments(4)

渓谷で出会った蝶(7月上旬)

 フタスジの産卵を追跡していた場所は標高1300m超の渓谷沿いでした。到着してすぐに足元の草地から飛び立ったのは何と、ウスバシロチョウ。これはカメラに収めることはできませんでしたが、このポイントで出会った蝶をご紹介しておきましょう。
 最初はミスジチョウ。路上での吸水・樹冠で探♀飛翔をする♂を沢山みかけました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/3200、撮影時刻:10時10分

 探♀時の飛翔速度はフタスジとは比較にならないほど、敏速です。お次はシータテハ。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時00分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時02分

 本種に出会うのは久しぶりでした。ヒョウモン類は殆どみかけず。アサギマダラは丁度産卵のタイミングだったようです。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/3200、撮影時刻:9時59分

 背景にホストのイケマらしき姿も写っております。もう少し真剣に探せば卵・幼虫も見つかったかもしれません。ただ、フタスジ産卵に注力した関係でそこまで手が回りませんでした。
 半木蔭の草地を歩いていると、足元からパタパタとジャノメチョウ類が飛び立ちました。しかし、高さ30cmまで達しないうちに、すぐ草地に落下。何と、羽化直のウラジャノメ♀でした。
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:9時48分
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:9時50分

 新鮮なウラジャノメを撮影したのはデジタルにしてから初めて。しかも♀と認識して撮るのも初めてでした。この子、本当に羽化して時間が経過しておらず、飛ぶ練習中だった様子。この♀を撮ってから改めて気が付いたのですが、フタスジチョウの周辺を擦れたヒカゲチョウが舞っておりました。未だ夕方でもないのに何で♂が飛び回っているのだろう。。。そう、彼らはウラジャノメ♂だったのです。彼らの探♀行動も結構しつこく、樹木の周囲を舐めるように探して飛んでおりました。

 渓谷沿いの草地にはヒメキマダラセセリが多産しています。ウツギで吸蜜を繰り返す姿が目立ちました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/3200、撮影時刻:9時32分
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/200、撮影時刻:11時24分

 今回新鮮なシータテハを観察できたものの、この時期、山梨の山域で定番のクジャクチョウを全く見ることができませんでした。最近、発刊された日本チョウ類保全協会の機関誌、「チョウの舞う自然:24号」で、海野和男さんが、本種について解説されております。それによると、小諸周辺で2015年10月以降、クジャクを一切撮影できていないのだそうです。鹿の食害が原因なのか不明ですが、クジャクチョウが絶滅危惧種の仲間入りなんて、想像もできません。早い復活を期待したいものです。

 さて、遠征の帰路、下界に降りると猛烈な暑さが車内に籠って汗ダクダク(^^; この時期、冷涼な高標高地での撮影は体に優しく感じました。
by fanseab | 2017-07-15 20:25 | | Comments(2)

フタスジチョウの産卵(7月上旬)

 管理人はこれまで、本土産Neptis属5種の中で、これまで唯一フタスジの産卵シーンは未撮影でした。今回、何とか山梨県で撮影に成功したので、そのご報告。
 現地9時到着。既に♂らしき個体が多数飛翔しております。コミスジ同様、♂は一旦探雌飛翔が始まると、殆ど止まりません。そして時折ウツギの花で吸蜜。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/3200、撮影時刻:9時16分
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/3200、撮影時刻:9時16分

 限られた場所で多数の♂が舞っているので、時には♂2頭の絡みも。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/3200、撮影時刻:9時39分

 さて、目的の♀を探すのですが、一向に姿を現しません。それもそのはず、付近にどうもホストになるべきシモツケ類が生えていません。それなのにどうして♂が飛んでいるのでしょう? Neptisの産卵は通常午前中で、午後遅くには行われません。焦りながら時間が過ぎて行く中、取敢えずランチで休憩。正午過ぎ、必死でホストを探した後、何とかそれらしき葉の周りを飛ぶ♀を発見。♀に出会えると、意外と楽に産卵シーンをゲットできました。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=500、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時55分

 Neptis属独特な翅を全開しての産卵。遠目には静止している姿と変わりません。産んでいるのはシモツケ類ですが、シモツケよりも葉が大きく、種同定できず。卵は葉先に産み付けられておりました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=64、F7.1-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時04分

 卵の色は淡青緑色。しかしコミスジ等よりも白っぽく見えます。正面からのアングルだと腹端の様子が不明確なので、何とか粘って横方向からの産卵シーンもゲット。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=500、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時19分

 今度はシモツケに産んでいますが、定番の葉先ではなく、何と深紅色の蕾に産み付けたのです。産附状況です。
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TG4@18mm(自動深度合成+トリミング)、ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時26分

 孵化した幼虫が実際に蕾(花弁)を食べるのか?興味深いですね。この後、母蝶は葉上にも産卵。
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D500-34VR、ISO=500、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時19分

 ここでは葉先ではなく、葉のほぼ中央。産卵位置として葉先が選択されることが多いものの、結構気ままに産んでいるようです。フタスジも静止中は常に開翅状態で中々閉翅を撮らしてくれません。必死に粘って、♀が翅を立てた瞬間をパチリ。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=500、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時20分

 卵は飼育前提でお持ち帰りし、定番の超拡大撮影をしてみました。
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EM12-P1442@42mm-P14R(22コマ深度合成+トリミング)、ISO=250、F5.6-1/50、外部ストロボ

 最大直径(棘皮含む)・高さ共に0.94mm。表面が六角形状のディンプル(窪み)で囲まれ、六角形の交点から外側に延びる棘皮等、他のNeptis属卵と類似した性状です。ここで近縁のホシミスジ(東京都産:亜種setoensis)の卵と形態比較をしてみました。
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★ホシミスジ画像は2014年9月撮影分

 最大直径は僅かにホシミスジが優り、逆に高さはホシミスジの方が僅かに低いです。両者形態は驚くほど酷似していて、黙って画像を見せられたら判別し難い性状差です。それでも強いて列挙すれば、下記の差が見出せます。
(1)ホシミスジは底面積が大きく、フタスジは底に向かうにつれ、直径が窄まる傾向にある。
(2)側面図で見ると、ホシミスジではディンプルが全体に高さ方向(画像の上下方向)に引き延ばされた形態を有し、逆にフタスジは相対的に正六角形に近い。

 もちろん、検体数n=1同士の比較ですから、上記有意差が個体変異の範囲内かどうかは不明です。今回、何とかフタスジチョウの産卵シーン・卵拡大像が得られましたが、オオミスジとミスジチョウの両種について、卵拡大像撮影は未実施。これは今後の課題。一方、リュウキュウミスジについては、当面、沖縄や南西諸島に遠征する計画がありませんから、台湾あたりで産卵シーンを撮影したいものです。
by fanseab | 2017-07-10 21:58 | | Comments(4)

オナガアゲハの飼育メモ

 5月29日付の記事(クリックでジャンプ)でオナガアゲハの産卵シーンをご紹介しました。この時、産附された1卵をお持ちかえりし、フルステージ飼育を行いました。餌は全てコクサギで実施。実は昨年9月上旬、コクサギに産附されたオナガアゲハ2卵の飼育を試みた経験があります。この時、代用食としてサンショウを与えましたが、食いつきが悪く初齢の途中で、失敗に終わりました。その反省から昨年秋にコクサギの苗を購入し、今回の飼育に備えていたのでした。
 5月27日に孵化。孵化直後の初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月27日

 動き回っているので、深度合成ができず。素直に焦点深度の深いコンデジで撮るべきでした。翌日、落ち着いたところで、再度初齢を撮影。
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上段:EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ
下段:D500-1855改@38mm(2コマ深度合成+トリミング)、ISO=100、F8-1/320,-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 体長は5mm。カラスアゲハ同様、全体に緑色を帯びております。コクサギを食い始めた初齢幼虫と食痕のツーショットです。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 向かって左端に台座を構え、右側縁を食べるスタイル。29日に眠、翌30日に2齢。
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EM12-Z60(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

 体長8.2mm。棘皮の長さが相対的に短くなり、尾端付近腹節にある白色部分が目立つようになりました。2齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/30、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

食している葉は初齢時代と同じ。葉の先端(上部)、基部側も食っています。6月2日に3齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月3日

 体長16.5mm。胸部が拡幅し、第7-8腹節の白色部がより顕著になりました。4日に4齢。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月6日

 体長24.5mm。胸部気門線上の白色部が目立つようになります。第7-10腹節はほぼ全体が白色になりました。ここで、類似種のクロアゲハ4齢幼虫との比較図をアップしておきましょう。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 識別点は画像中に記載した通りです。いずれも「鳥の糞」に擬態しているとされております。確かにヌメヌメとした光沢は「落とされて間もない糞」の質感ソックリですね。6月7日に眠、翌8日に5齢(終齢)になりました。
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EM12-Z60(上段:自動深度合成/下段:5コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月11日

 体長43mm。非常に鮮やかな青緑色を呈しております。その独特な色調を敢えて表現するならば、「マラカイトグリーン(緑青:ロクショウ)」かな。ただ画像では上手く色調を再現できておりません。幼虫斑紋の特徴を4齢同様、クロアゲハと比較してみました。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 識別点を3箇所提示しておりますが、識別点1で見分けるのが一番楽だと思います。但し、「斜帯が背線上で分離する」特徴はモンキアゲハ終齢幼虫にも見られるので、注意が必要。参考までに、終齢幼虫頭部の拡大像も撮ってみました。
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EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月11日

 蛇の目玉に擬態している部分も、複雑な模様をしております。終齢幼虫は最大47mmまで成長しました。6月15日に下痢便を出し、翌16日に前蛹。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月16日

 体長28mm。前回飼育したキアゲハ同様、見栄えのする枯枝に吐糸してくれてホッとしました。6月17日に蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月19日

 体長35.5mm。褐色型でした。非常に特徴のある蛹です。全体にスリムで、成虫の翅形・尾状突起同様、細長さが際立っています。それとPapilio属の蛹はいずれも「くの字」型を呈しておりますが、オナガの蛹は将に「くの字」。クロアゲハの蛹と形態比較も行ってみました。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 頭部を正面から見ると、「兎の耳」状の突起があります(各画像右下の囲み)が、この突起もクロアゲハに比較して左右に開裂せず、真っ直ぐ上方に延びている特徴があります。蛹化してから12日目の朝、全体に黒化し、腹節も緩んで羽化間近の兆候を示しました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日

 この画像を撮影したほぼ2時間後に無事♂が羽化しました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日

 前翅長59mm。翅を左右に僅かに開きながら乾かす途中、オナガ♂のシンボル、後翅の横白班がチラリと顔を覗かせます。これ、堪らなく綺麗ですね。昨年晩夏に一度飼育を失敗していただけに、無事羽化迄辿りつけてホッといたしました。
by fanseab | 2017-07-05 22:03 | | Comments(4)