探蝶逍遥記

ご案内:「第15回 チョウ類の保全を考える集い」

 2月16日まで本広報記事をトップに据えます
日本チョウ類保全協会が毎年開催している「集い」のご案内です。
本文記事は本記事の後にあります
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「第15回 チョウ類の保全を考える集い」

生きものが身の回りから消えることは、私たちの文化が消えること。
草原の火入れから、草原の草花やチョウを守ってきた文化を考え、
アユモドキを守る取り組みから、田んぼと水路と川のつながりの大切さを知る。
生きものを守るために、全国で、日々、汗を流している人々がいます。
まずは、みんなで知ること、調べること。そして、歯車を元に戻すこと。
チョウ類の保全を考える集い」を、今年も開催します。
皆様のご参加を、お待ちしています。

■日時:2019年2月16日(土)10:30~17:30
■会場:国立オリンピック記念青少年総合センター研修室309(センター棟3階)
    (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
■プログラム:
10:00~    受付開始
10:30~10:45 開会 代表理事あいさつ 諸注意
10:45~11:50 川を通して、日本の自然を語る
          新村安雄氏(リバーリバイバル研究所)
11:50~13:00 昼食(会員総会 11:50~12:20)
13:00~15:00 草原の管理とチョウ類
        「草原を考える新たな視点:チョウからみた草原生態系と保全の意義」
          大脇 淳氏(山梨県富士山科学研究所)
        「火入れによる伝統的な草原の管理」 
          増井太樹氏(岡山県真庭市)
        「火入れによるチョウへの影響」
          中村康弘(日本チョウ類保全協会)
15:00~15:30 休憩(協会ボランティア説明会)
15:30~16:30 保全活動報告
        「群馬県のミヤマシロチョウ」
          松村行栄(日本チョウ類保全協会・嬬恋村高山蝶を守る会)
        「東京都裏高尾木下沢における森林整備と自然体験の普及活動」
          植木京子氏・吉野喜美子氏(木下沢渓谷冒険の森の会)
16:30~17:30 チョウ類保全協会の活動報告
        「日本チョウ類保全協会による、絶滅危惧種の保全活動」
          日本チョウ類保全協会事務局
       総合討論
17:30     閉会
18:00~20:00 懇親会(同施設内のレストラン「カフェ・フレンズ」)会費3,500円(中締19:30)

■講演内容:
午前中は、淡水魚の生態写真家の新村安雄氏に、サッカーのスタジアム開発問題に揺れた京都のアユモドキ生息地の現状をご紹介いただきます。全国に数ヶ所しか生息地のなくなった、種の保存法指定種の淡水魚で、社会的に大きな問題にもなりました。新村さんは魚類生態写真家として活躍されるとともに、長良川からメコン河まで、魚を通して川と向き合い、外来種問題や様々な開発問題に正面から取り組んでこられた方です。アユモドキに限らず、これまで取り組んでこられた様々なお話をご紹介いただけるのではと期待しています。

午後は草原性のチョウ類を主題にして、草原管理のなかで重要な位置を占める「火入れ」に焦点を当てます。まず、山梨県富士山科学研究所の大脇淳氏から、自然環境の中での草原の位置づけや、日本での草原性チョウ類の特性について、ご自身の研究のなかからご紹介いただきます。
次の増井太樹氏は、学生時代から実際に火入れを手がけつつ草原管理の研究を進め、現在では地元の行政に勤務しつつ、火入れや草刈りを手がけ、地域の火入れに精力的に携わっています。
最後に事務局中村が、草原性のチョウ類と火入れとの関係について、解説します。過去には現在よりもはるかに大規模に火入れが行われていながらも、草原性のチョウはなぜ豊富に残っていたのでしょうか。そして、現在では火入れが継続されている場所でも、なぜチョウの絶滅が相次いでいるのでしょうか。

地域からの活動報告では、個体数が劇的に回復した群馬県のミヤマシロチョウと、都市近郊で様々な里山再生に取り組んでおられる「木下沢渓谷冒険の森の会」の2つの活動をご紹介いただきます。
■参加お申し込み
 参加費:1,000円(申し込み先:事務局檜山宛:atsuki.hiyama+jbcs@gmail.com)
 どなたでもご参加できます。
 事前申し込みがなくても参加はできますが、なるべく事前の申し込みをお願いいたします。
■懇親会のご案内:プログラム終了後、18:00から同施設内のレストランで懇親会を開催します。
 参加費:3,500円
 懇親会にご参加を希望される方は、必ず2月10日までに、事前のお申し込みをお願いいたします(申し込み先:事務局檜山宛:atsuki.hiyama+jbcs@gmail.com)。
 ※懇親会会場:カフェ・フレンズ(センター棟2F TEL:03-3481-9809)
■アクセス
 ●鉄道をご利用の場合
  ・小田急線参宮橋駅下車徒歩約7分(急行は停車しないため、各駅停車を利用してください)。
  ・乗車時間の目安:新宿-参宮橋間は、小田急線で約5分。
 ●お車をご利用の場合
  ・都高速4号線 代々木ランプより(三宅坂方面のみ) 約100m、
初台ランプより(高井戸方面のみ) 約2km、
新宿ランプより(大型バスの場合) 約2km。
※駐車場はありますが、駐車場は有料(30分150円)ですので、なるべく公共交通機関でお越しください。
 添付画像は、長野県諏訪市で撮影したウラギンスジヒョウモン♂。本種も草原を代表するヒョウモンチョウですが、現在は「絶滅危惧Ⅱ類」にランクされる厳しい状況に陥っています。特に低地に分布する『サト?ウラギンスジ』がより厳しい状況でしょうね。
f0090680_1681689.jpg
D71K-34,ISO=200,F11-1/640、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2014年8月1日、13時24分
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■増補改訂版「フィールドガイド日本のチョウ」の販売につきまして
 ご好評いただいております「フィールドガイド日本のチョウ」が増補改訂版としてリニューアルされ、本年1月17日に出版されました。税込1944円です。
 本イベントでも販売いたしますので、ご希望の方は、なるべく事前にご連絡ください。
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  特定非営利活動法人 日本チョウ類保全協会 
  140-0014 東京都品川区大井4-1-5-201
  TEL/FAX 03-3775-7006 携帯TEL 080-5127-1696
  Email:jbcs@japan-inter.net
  http://www.japan-inter.net/jbcs/
  協会ブログ:http://jbcs.blog.fc2.com/
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# by fanseab | 2019-02-16 17:30 | | Comments(1)

越冬ウラギンシジミの観察(2月上中旬)

 先月下旬、拙宅近くで見出した首題個体(クリックでジャンプ)のその後の経過です。
2月3日に気温が20℃近くまで上昇し、この際、継続観察していた個体が飛び去ったようで、姿が見えなくなりました。しかし、同じツバキの植栽に隠れている個体(矢印)を再発見したのです。元の静止位置から1m弱の場所です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
f0090680_20531036.jpg
EM12-Z60,ISO=400,F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:15時13分

 発見した時の状況に近い絵です。目線、つまり地面と平行に翅面があるので、恐らくこの子の存在に気付かなかったのだと思います。翅の形状特徴から、継続観察していた個体と同一と思われます。それにしても、こんな越冬態勢は初めて見ました。普通、彼らは雨・雪を避けるため、葉裏の真下にぶら下がります。ところがこの子は翅面をわざわざ水平にして雨が直接翅に当たるような態勢を取っているのです。少し接近戦で撮ってみました。
f0090680_20533663.jpg
EM12-Z60,ISO=400,F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:15時14分

 右前翅の一部が大破しています。ぶら下がる姿勢を取りたいのでしょうが、下からの葉が邪魔して、ややこしい態勢になっています。少し下方からも撮影。
f0090680_20535958.jpg
EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:15時14分

 下から突き出した葉の縁で、左後翅の一部の銀色鱗粉が剥げ落ちてしまっています。風が吹く度に葉が擦れて、痛い思いをするのでしょうね。さて、翌日、関東地方に降雪予報が出ました。
こんな態勢で雪が降ったら、どうなるのでしょうか? いや待てよ!
『翅上の積雪にも耐えてじっと我慢して越冬するウラギンシジミ』
こんなテーマの絵を撮る絶好のチャンスではないか!と翌朝を楽しみ(?)に待ちました。期待に反して積雪量は僅かでしたが、広角画像でパチリ。
f0090680_20541699.jpg
EM12-Z12,ISO=200,F5.6-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:8時20分

 朝方の陽光で、既に翅面に積もった雪も溶け落ちておりました。ウラギン(矢印)の右下方のツバキ葉上には溶けた雪の水滴が残っているのがわかります。それと、この画像からもわかる通り、ウラギンは地面に完全な水平ではなく、右下に傾いた姿勢を取っています。従って、仮に翅面に降雪しても、溶け落ちた水滴はすぐに流れ落ちるのでしょうね。
 さらに2日後、少し気温が上がってきたので、様子を見に行くと、何と態勢を変えて、ごく普通の「ぶら下がり姿勢」になっていました。
f0090680_20543549.jpg
EM12-Z60,ISO=64,F6.3-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:11時39分

 右前翅の破損が痛々しいですね。でも、自然な越冬姿勢に変わってホッといたしました。このまま3月まで継続観察できれば・・・と思っております。
# by fanseab | 2019-02-14 21:59 | | Comments(2)

中国四川省成都近郊遠征記:その17

 タテハチョウ亜科の続きです。最初はキタテハ(Polygonia c-aureum)。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
f0090680_1417160.jpg
TG4@10.3mm,ISO=400,F5-1/200、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月14日、14時39分

 今回ご紹介する青城山の蝶画像は殆ど全てを前山で撮影しておりますが、唯一の例外がこの絵。前山の奥座敷に位置する后山を訪問した7月14日。この日は生憎の曇天で、昼過ぎからは雨に・・・。全く蝶影を確認できない状態でしたが、叢にこの子を見つけてコンデジで撮ったスナップ。少し下った旅館脇で雨宿りをして居るうちに、疲れが出て爆睡してしまったことを思い出しました。次はプロルソイデスサカハチチョウ(Araschnia prorsoides)♀。
f0090680_14315876.jpg
D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F9-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、9時45分

 前山の小さな湖(月城湖)の近くの植え込みで舞っていた個体。次に紹介するドリスサカハチチョウ(A.doris)に類似しておりますが、後翅を貫く白色帯が本種では直線的であることで区別します(後で詳述)。ここで中国大陸でのサカハチチョウ(Araschnia)属について触れておきます。全体で下記5種が分布しており、概ね地域で棲み分けしている感じですね。prorsoidesは一番南西部に局在した種。なお、アカマダラ、サカハチチョウ以外の和名は一般化されたものがないので、ここでは塚田図鑑方式を用い、「種小名のカタカナ読み+サカハチチョウ」で管理人が付けた仮和名です。青山潤三氏は、⑤の和名に『アカマダラモドキ』を用いておりますが、⑤以外の②、④もアカマダラに類似していると言えるので、この和名は不適切だと思われます。

①アカマダラ(A.levana):黒竜江・吉林省・内モンゴル自治区
②ダビッドサカハチチョウ(A.davidis):河南・陝西・四川省
③サカハチチョウ(A.burejana):黒竜江・吉林・遼寧省
④ドリスサカハチチョウ(A.doris):河南・陝西・甘粛・安徽・浙江・福建・湖北・湖南・江西・四川・雲南省北部・重慶市
⑤プロルソイデスサカハチチョウ(A.prorsoides):甘粛・四川・雲南省・重慶市・南東チベット

 次はドリスサカハチチョウ♀。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F10-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、13時52分

 かなり汚損された個体です。続いて、ほぼ完品の別個体の閉翅画像。
f0090680_14175747.jpg
D71K-34VR(トリミング),ISO=640,F10-1/320、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月16日、14時57分

 本種はサカハチ同様、春型と夏型で斑紋が変化します。図鑑と照合すると、今回ご紹介した個体は夏型ですが、橙色部分がかなり発達していて、表翅のみ見ると春型のようにも見えます。
 ここで、紛らわしい2種、dorisprorsoidesの識別点を比較図で示します。
f0090680_14182283.jpg
※図示したdorisは都江堰での撮影個体

 最大の特徴点は後翅を貫く淡黄白色帯(A)の性状。dorisは後翅第6・7室で白帯が急激に折れ曲がる(基部側にズレる)のに対し、prorsoidesではほぼ直線状になること。更に後翅外縁側(B)の斑紋の出方も大きく異なります。

 4種目は、シニカキミスジ(Symbrenthia sinica)。恐らく♀。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、15時55分

 雨上がり、急激に気温が上昇し、汗だくで車道を歩いている際、橋のたもとの針葉樹に佇んでいる閉翅個体を撮った場面です。中国大陸(含む海南島)に分布するキミスジ(Symbrenthia)属をここで整理しておきます。下記の全8種とされています。和名はサカハチチョウ属同様、塚田図鑑方式を採用しております。一般的には日本国内でも迷蝶として記録される①を単に「キミスジ」と呼ぶようです。
①リラエアキミスジ(S.lilaea):湖北・福建・海南・甘粛・四川省など
②ヒプセリスキミスジ(S.hypselis):広東・海南・広西・雲南省・チベット南東部
③ブラビラキミスジ(S.brabira):湖北・四川・貴州・雲南省・重慶市
④シニカキミスジ(S.sinica):湖北省西部・四川省
⑤ドニキミスジ(S.doni):チベット南東部
⑥シラナキミスジ(S.silana):海南省・チベット南東部
⑦ニファンダキミスジ(S.niphanda):チベット南東部
⑧シノイデスキミスジ(S.sinoides):四川省

 裏面の斑紋は、lilaea以外は酷似していて、同定に苦労するグループです。ここでは種の分布域を考慮しながら、裏面斑紋、後翅尾状突起の突出度を精査して、sinicaと同定しました。次回はイチモンジチョウ亜科のご紹介になります。
# by fanseab | 2019-02-12 22:37 | | Comments(0)