探蝶逍遥記

2018年 05月 20日 ( 1 )

ウスバシロチョウの産卵行動(5月中旬)

 ウスバシロ産卵シーン狙いで、東京都下の谷戸へ。ここ数年、同一場所で♀産卵シーンを追跡しておりますが、納得行く画像が得られておりません。現地9時着。到着してまもなく、1♂が飛来。予想通りボロボロです。でも今回は♂画像撮影目的ではないので、これは余裕を持ってスル―。そのうち♀を発見。早い時は10時頃から産卵がスタートするのですが、この日は一向に気配がありません。仕方なく、ハルジオン吸蜜画像をパチリ。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z12, ISO=64、F10-1/160、撮影時刻:10時23分

 周辺は草刈りが徹底されていて、僅かに残ったハルジオンで必死に吸蜜している姿です。この個体は左前翅外縁部に欠けがあります。同じ個体のウツギでの吸蜜も撮影。
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D500-34VR, ISO=200、F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:10時14分

 ウツギの花も開き切っていているのと、高い位置での吸蜜なので、絵になりませんね。かなり黒化した♀個体も発見。
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EM12-Z12(トリミング), ISO=64、F10-1/125、撮影時刻:10時53分

 このポイントでは数年に一回、このような黒化個体を見かけます。この子はほぼ完品で、羽化時期が一番遅かったように思います。さて、ランチ休憩の後、12時半頃、1頭の♀が樹冠からフワリと地表に舞い降り、開翅日光浴を始めました。
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EM12-Z60, ISO=200、F10-1/400、撮影時刻:12時32分

 2分程日光浴した後、フワッと飛び立ち、地表スレスレ(約15cm高さ)を水平飛行し、地表に降下。水平飛行の様子です。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=800、F4.5-1/4000、撮影時刻:12時45分

 谷戸に植えられた梅の木の木陰をウロチョロ歩き回りながら、産卵場所を探索します。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=250、F7.1-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:12時54分

 この画像のように腹端を曲げて、腹端を枯葉や草本類の茎などに接触させ産卵場所として妥当か?探っているようです。食草のムラサキケマンとは全く無関係の場所に産み付けるので、前脚連打行動はしていないように見えます。この絵の右側にある枯枝にぶつかると、そこがどうやら気に入った様子。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=250、F7.1-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:12時54分

 10秒間近く、腹端を曲げたり、戻したりの行動をしますが、どうもお気に召さない様子で、ここもスル―。その後、探索に疲れると日向に出て、①開翅日光浴、②地表スレスレの飛翔、③木蔭での探索歩行を繰り返します。22分後、↑の画像と同じ場所に戻って来て、腹端を曲げます。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=400、F7.1-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時16分

 今度こそ産むのか!と期待しますが、今回もまたスル―。ガックリです(^^; どうも腹端で探っている産卵場所はかなり条件が限定されるようです。この時観察していた梅の株周辺ではどうも好適位置がなかったらしく、小飛した後、別の梅の木の周辺をウロチョロ歩き始めました。そうして産卵行動を開始してからほぼ1時間後、ようやく産卵です!
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EM12-Z60(トリミング), ISO=400、F7.1-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時27分47秒

 刈られた草本の茎の切り口付近に2卵産み付けました。別のアングルからも撮影。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=400、F7.1-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時28分17秒

 ギフチョウ同様、産卵時に体のバランスが上手く取れるか?が産卵を決定づける要因のようにも思えます。↑の画像からもわかるように、脚は産卵対象の茎を掴んでおり、更に腹端を茎に押し付ける不自然な態勢を保ちます。この時、後翅を他の草茎などにもたれさせて、体全体を安定させているように思えます。つまり、腹端で産卵対象の表面性状を探りながら、体全体を安定可能にする場所も探っているのです。このため「産褥」に相応しい場所決めに相当な時間を要しているのでしょう。産附された2卵の様子です。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F7.1-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:13時29分

 産みたての卵は鮮やかなサーモンピンク色を示します。産卵と同時に腹端から出される粘着液も多量で、料理に譬えると、「蝦真薯の片栗粉あんかけ」そっくりです。概ね産卵後2日も絶てば、卵は白色に変化し、粘着液も乾燥収縮して跡形も無くなります。
 10分後、今度は枯草の茎に産卵。
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EM12-Z60, ISO=400、F7.1-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時39分

 この時も2卵産み付けました。そして、更に3分後、結構長時間産卵態勢に入りました。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=400、F7.1-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:13時42分

 ほぼ葉被りも無く、腹端更には産附されたピンク色の卵まで表現できました。これまで撮影できたバシロ産卵画像の中でも最も満足すべき絵が得られてホッとしました。ここでは2分25秒かけて、合計4卵産卵。草茎への産附状況です。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=500、F8-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:13時45分

 画面ではピンク色の卵が3卵確認できます。もう1卵は茎の向こう側にあります。更に矢印で示した白色卵は、以前に別個体が産み付けた卵。この場所には今回撮影した卵を含め、合計7卵産附されておりました。余程条件の良い場所だったと思われます。産附場所の全景です。
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EM12-Z60(トリミング), ISO=250、F7.1-1/320、撮影時刻:13時52分

 矢印が産附位置。株直径20cmの梅の木の根際。周辺はご覧のように草刈りで丸坊主に近い状態。湿り気の残る限られた部分が母蝶にとって理想的な産褥、否、「聖地」となるようです。

 ♀が産気付いてから、ほぼ1時間半。こちらの集中力・体力も切れた所で打ち止めとしました。しかし、母蝶は管理人撤収後も産卵行動を続けていたようです。このポイントの草刈り時期がもう少し遅ければ、母蝶の産附位置もより豊富になるのでしょう。しかし、産卵シーン撮影の立場から言えば、丸刈り状態のため、草被り少なく撮影できるメリットがあります。今回は、丸刈りにした草刈り方法に感謝した次第です。
by fanseab | 2018-05-20 21:42 | | Comments(6)