探蝶逍遥記

2018年 02月 25日 ( 1 )

中国四川省成都近郊遠征記:その9

 今回はクロオオムラサキ以外のコムラサキ亜科のご紹介。実はこのポイントにはオオムラサキ(Sasakia charonda coreana)も棲んでいるとされています。しかし、発生時期はクロオオムラサキより早く、5月中旬頃から♂が登場するらしいのです。ですから管理人が訪れた7月中旬に、ひょっとして生き残りの♀がいてくれたら・・・と、儚い思いを抱いておりました。しかし、残念ながら坊主。「オオムラサキ♀がエノキに来て産卵するシーン」を絵コンテに描きながら、エノキの株で待機していると、やって来たのはゴマダラチョウ(Hestina persimilis viridis)の♀でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F9-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、13時21分

 運良く産卵シーンに出会えてラッキーでした。エノキの葉先端に産み付けられた卵も入り、産卵シーンとしてのA級ショット。会心の出来に満足です。日本では幹に産卵するシーンしか撮影経験が無く、葉上への産卵シーンは初体験。二重に嬉しい絵になりました。中国産ゴマダラは日本産(ssp. japonica)とは別亜種になります。中国産亜種viridisの特徴は①前後翅裏面基部が橙色を帯びること。②白班が翅脈に沿って放射状に拡散する傾向にあること、の二点。↑の画像からもこの特徴が良く理解できます。産卵された卵は手元に引き寄せる距離になかったので、拡大撮影は300mmで無理やりトリミングするしかありませんでした。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、13時26分

 何とか縦条は分解できましたが、やはりきちんと手元に引き寄せて拡大撮影したかったです。
 2種目は関東地方でもお馴染みになったアカボシゴマダラ(H. assimilis assimilis)♂。
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D71K-34VR, ISO=400、F7.1-1/500、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、16時41分

 輸入元?とされる本家本元のアカボシです。16時頃はクロオオムラサキのテリ張り時間帯と重なりますが、不思議な事にアカボシとクロオオムラサキのバトルは確認できませんでした。最後はケバナミスジコムラサキ(Mimathyma chevana leechii)♂。
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D71K-34VR, ISO=320、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時31分

 玉塁山で目撃したのはこの日のみ。テリ張り位置がクロオオムラサキとは微妙に異なるため、観察があまりできなかったことも事実。裏面がご覧のように銀白色で覆われることがMimathyma属の特徴。実は同属のシロモンコムラサキ(Mimathyma schrenckii laeta)もこのポイントで観察できるはずでしたが、何故か坊主。
 ケバナミスジコムラサキの複眼付近をトリミングして拡大。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=320、F8-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時31分

 こうして見ると、複眼は黄緑色、ストローは黄色で、コムラサキ亜科のDNAを有することが一目瞭然。その後、テリ張り位置を屋根瓦に変えました。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=200、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時36分

 開翅した姿はAthymalimenitis属そっくりで、「ミスジ」の和名由来にも納得です。夜間ライトアップするための灯光器が背景に来たのはご愛嬌でした。世界遺産に登録されると、こんな余計な気配り?も必要になるのでしょう。開翅位置を斜め正面から撮ったのが次のショット。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F6.3-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、15時40分

 あら不思議!ミスジ模様に青紫色の幻光が出現しました。そう、この子は紛れも無く「コムラサキ」の兄弟なのです。標本画像ではこの青紫色は絶対に出現しないので、管理人も図鑑を眺めながら「chevanaには幻光が出ない」との先入観がありました。ですので、この絵を見た時、凄く興奮しました。やはり標本画像と屋外でみる生きた蝶とは別物の世界ですね。
 更に胴体に着目すると、胸部背面側のフサフサとした毛にも一部青紫色の幻光が確認できます。実に芸の細かい種だと感心いたしました。

 コムラサキ亜科の目撃・撮影種を下記にまとめます。全4種でした。
(1)ゴマダラチョウ(Hestina persimilis viridis
(2)アカボシゴマダラ(H. assimilis assimilis
(3)クロオオムラサキ(Sasakia funebris funebris
(4)ケバナミスジコムラサキ(Mimathyma chevana leechii
<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-25 09:57 | | Comments(0)