岡山遠征:(2)ウスイロヒョウモンモドキとの出会い
ナラガシワ食いゼフ探索は早朝が勝負時で、午前9時以降はターゲットをタテハ狙いに切り替えました。とりわけ、当地における保全活動の賜物で命脈を保っているウスイロヒョウモンモドキに注目し、探索しました。しかし、ススキが繁ったそれらしい草原を探しても、影も形もありません。時期的にはベストのはずだし、快晴のお天気。アザミやヒメジョオン等の吸蜜源も完璧。条件に不足はありません。
その草原に急にオレンジ色のタテハが目の前をよぎりました。残念ながらと言ったら失礼なウラギンヒョウモン♀。ピカピカの個体。
D70, ISO=400, F7.1-1/500、+0.7EV、撮影時刻:9時57分
ややもすると陰鬱的になるゼフ探索に比べ、爽快な高原でのヒョウモン類撮影は健康的で大好きです。しかし、弱々しい飛翔のウスイロは登場せず(^^;; 暑かったこの日、農道上でみつけたヒオドシチョウがサッと飛び立ってクワの木の葉陰に隠れました。日除け行動かと思って撮影してみると、ちゃんとクワの実から吸汁しているシーンでした。
D70, ISO=500, F7.1-1/250、+1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時56分
ナラガシワの林床をゆったりと飛ぶセセリを発見。オオチャバネセセリでした。
D70, ISO=200, F3.5-1/500、+0.3EV、撮影時刻:11時23分
ちょうど第1化の最盛期だったようで、当地には多産する印象。久しぶりに見ると、このセセリはえらくでかく感じます。ヒメジョオンの群落には大型のシロチョウも舞っていました。ピカピカのスジボソヤマキチョウでした。
D70, ISO=200, F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時00分
林縁の草原で撮影している最中、同好のカメラマンが登場。どこかでお会いした印象があったので、ご挨拶すると、愛読しているHP「週末がさがさDAN」のDさんでした。Dさんもどうやらウスイロ狙い。
「朝から探していますが、1頭も飛んでいませんよ」と小生。仕方なく一緒に探し直してみることに。そのうち、Dさんが、「いましたよ~!」と叫びます。慌てて近寄ると、ほぼ新鮮なウスイロ♀がヒメジョオンで吸蜜中でした。初めての岡山県産個体群との遭遇でした。とにかくバシャバシャ乱射していきますが、この頃から微妙に風が強くなって、ピントが来てくれません。それでも何とか撮影。先ずはコンデジ広角で。
GX100@5.1mm, ISO=100, F7.8-1/217、+0.3EV、撮影時刻:12時39分
風で揺れるヒメジョオンが止まるまで待つ時間の長かったこと! お次は少しロングショットで。
D70, ISO=200, F5-1/500、+0.7EV、撮影時刻:13時01分
草原に映える何とも言えない落ち着いたオレンジ色に注目してください。お次は開翅吸蜜場面をアップで。
D70, ISO=200, F6.3-1/500、撮影時刻:13時02分。
左後翅が少し欠けている以外は、小生のフェチ心を擽る白い破線状縁毛も堪らない美しさです。2年前、兵庫・但馬での観察で多くの生態写真をゲットしていましたが、本種の吸蜜シーンは今回が初めて。とにかく素直に嬉しかったです。2人のカメラマンに追い回されて疲れたのか、この後、風に流されるように彼方に飛んでいきました。2人とも充実感で一杯でした。しかし、気になるのは個体数の少なさ。本日目撃できたのはアップしたわずか1頭のみ。兵庫・但馬の産地では、関係者の献身的な努力でかなり個体数が回復してきたニュースを聞いておりますが、ここ岡山の個体群は、極めて深刻な状況と判断しました。彼らが将来にわたってこの地で観察できるとことを祈って撤収したのでした。
当日、岡山近辺の貴重な情報を頂いたDさん、本当に有難うございました。
<お願い>
本文中に記載したとおり、鳥取・島根・岡山・兵庫県下のウスイロヒョウモンモドキは絶滅一歩手前の深刻な状況が続いています。各地域での個体群維持のため、地元関係者や熱意ある蝶愛好家の涙ぐましい努力で何とか命脈を保っている状況です。ところが、まだまだ「密漁」なる嘆かわしい噂も絶えません。
真の蝶愛好家なら、この蝶を永遠に観察したいはず・・・。今こそ蝶屋のコンプライアンス(ルールを遵守する姿勢)が求められているのではないでしょうか?どうか節度ある行動を望むものです。
その草原に急にオレンジ色のタテハが目の前をよぎりました。残念ながらと言ったら失礼なウラギンヒョウモン♀。ピカピカの個体。
D70, ISO=400, F7.1-1/500、+0.7EV、撮影時刻:9時57分
ややもすると陰鬱的になるゼフ探索に比べ、爽快な高原でのヒョウモン類撮影は健康的で大好きです。しかし、弱々しい飛翔のウスイロは登場せず(^^;; 暑かったこの日、農道上でみつけたヒオドシチョウがサッと飛び立ってクワの木の葉陰に隠れました。日除け行動かと思って撮影してみると、ちゃんとクワの実から吸汁しているシーンでした。
D70, ISO=500, F7.1-1/250、+1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時56分
ナラガシワの林床をゆったりと飛ぶセセリを発見。オオチャバネセセリでした。
D70, ISO=200, F3.5-1/500、+0.3EV、撮影時刻:11時23分
ちょうど第1化の最盛期だったようで、当地には多産する印象。久しぶりに見ると、このセセリはえらくでかく感じます。ヒメジョオンの群落には大型のシロチョウも舞っていました。ピカピカのスジボソヤマキチョウでした。
D70, ISO=200, F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時00分
林縁の草原で撮影している最中、同好のカメラマンが登場。どこかでお会いした印象があったので、ご挨拶すると、愛読しているHP「週末がさがさDAN」のDさんでした。Dさんもどうやらウスイロ狙い。
「朝から探していますが、1頭も飛んでいませんよ」と小生。仕方なく一緒に探し直してみることに。そのうち、Dさんが、「いましたよ~!」と叫びます。慌てて近寄ると、ほぼ新鮮なウスイロ♀がヒメジョオンで吸蜜中でした。初めての岡山県産個体群との遭遇でした。とにかくバシャバシャ乱射していきますが、この頃から微妙に風が強くなって、ピントが来てくれません。それでも何とか撮影。先ずはコンデジ広角で。
GX100@5.1mm, ISO=100, F7.8-1/217、+0.3EV、撮影時刻:12時39分
風で揺れるヒメジョオンが止まるまで待つ時間の長かったこと! お次は少しロングショットで。
D70, ISO=200, F5-1/500、+0.7EV、撮影時刻:13時01分
草原に映える何とも言えない落ち着いたオレンジ色に注目してください。お次は開翅吸蜜場面をアップで。
D70, ISO=200, F6.3-1/500、撮影時刻:13時02分。
左後翅が少し欠けている以外は、小生のフェチ心を擽る白い破線状縁毛も堪らない美しさです。2年前、兵庫・但馬での観察で多くの生態写真をゲットしていましたが、本種の吸蜜シーンは今回が初めて。とにかく素直に嬉しかったです。2人のカメラマンに追い回されて疲れたのか、この後、風に流されるように彼方に飛んでいきました。2人とも充実感で一杯でした。しかし、気になるのは個体数の少なさ。本日目撃できたのはアップしたわずか1頭のみ。兵庫・但馬の産地では、関係者の献身的な努力でかなり個体数が回復してきたニュースを聞いておりますが、ここ岡山の個体群は、極めて深刻な状況と判断しました。彼らが将来にわたってこの地で観察できるとことを祈って撤収したのでした。
当日、岡山近辺の貴重な情報を頂いたDさん、本当に有難うございました。
<お願い>
本文中に記載したとおり、鳥取・島根・岡山・兵庫県下のウスイロヒョウモンモドキは絶滅一歩手前の深刻な状況が続いています。各地域での個体群維持のため、地元関係者や熱意ある蝶愛好家の涙ぐましい努力で何とか命脈を保っている状況です。ところが、まだまだ「密漁」なる嘆かわしい噂も絶えません。
真の蝶愛好家なら、この蝶を永遠に観察したいはず・・・。今こそ蝶屋のコンプライアンス(ルールを遵守する姿勢)が求められているのではないでしょうか?どうか節度ある行動を望むものです。
by fanseab
| 2007-06-27 22:47
| 蝶
|
Comments(24)
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banyan10 at 2007-06-28 01:11
ウスイロヒョウモンモドキに転戦でしたか。
撮影には十分かもしれませんが、1個体しか見れなかったのは心配ですね。何とか発生を維持してほしいですね。
ヒオドシの吸汁も興味深いですね。
撮影には十分かもしれませんが、1個体しか見れなかったのは心配ですね。何とか発生を維持してほしいですね。
ヒオドシの吸汁も興味深いですね。
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maeda
at 2007-06-28 06:21
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岡山周辺はかなり危機的な状態のようです。
しばらくは採集を自粛し回復を優先しないと、二度と見られない蝶になります。今だけの欲望とこの後も楽しめる環境、どちらが良いか分かりそうなものですが。
しばらくは採集を自粛し回復を優先しないと、二度と見られない蝶になります。今だけの欲望とこの後も楽しめる環境、どちらが良いか分かりそうなものですが。
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ダンダラ
at 2007-06-28 16:39
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ウラジロにヒロオビ、キマルリにウスイロですか、素晴らしい成果ですね。
ウスイロは岡山ではそんな状況なんですか。
絶滅危惧種は観察会などで撮影してしまうことが多いので、ほどほどの個体数がいたりして、ほんとの意味での危機的状況を実感できませんね。
心配ですけど、貴重な体験をなさったのではないでしょうか。
ウスイロは岡山ではそんな状況なんですか。
絶滅危惧種は観察会などで撮影してしまうことが多いので、ほどほどの個体数がいたりして、ほんとの意味での危機的状況を実感できませんね。
心配ですけど、貴重な体験をなさったのではないでしょうか。
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cactuss at 2007-06-28 22:52
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fanseab
at 2007-06-28 23:28
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BANYANさん、兵庫以外の個体群も一度は見たくてウスイロにトライしてみましたが、あまりにも少ない状況に愕然としました。
ヒオドシは、この時期、夏眠に備えてせっせと栄養補給しているのでしょうか?
ヒオドシは、この時期、夏眠に備えてせっせと栄養補給しているのでしょうか?
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fanseab
at 2007-06-28 23:30
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maedaさん、現存するウスイロの分布域で低標高地ほど、危機的状況にあるように思えます。低地ほどアクセスしやすいこともあって採集圧の影響を受けやすいのでしょう。
<今だけの欲望とこの後も楽しめる環境・・・
将に御意でございます。
<今だけの欲望とこの後も楽しめる環境・・・
将に御意でございます。
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fanseab
at 2007-06-28 23:34
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ダンダラさん、ありがとうございます。関西の蝶屋にとって6月は最大の掻きいれ時です。運がよければ、クロミドリ・ダイセン・ウスイロオナガもセットで撮影できそうですよ。ウスイロヒョウモンモドキは本当に絶滅一歩手前の感覚でした。貴重というか、複雑な気分ですね。
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fanseab
at 2007-06-28 23:37
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cactussさん、はかなげに飛ぶウスイロを見ていると、保護を手厚くせねばの思いが強くなりますね。現状では、兵庫・但馬の個体群が一番撮影しやすいのではないでしょうか?
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chochoensis
at 2007-06-29 07:53
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fanseabさん、「ウスイロヒョウモンモドキ」観察おめでとうございます。それにしても=危機的=状況にあるのですね・・・いつまでも観察できる環境と保全が望まれます・・・私が観察できるのは、いつのことやら・・・。
キマルリ~ヒロオビ~ウスイロ・・・・ずっと拝見していたのですが、エエなぁ、エエなぁ・・・って思いが強すぎて、コメントできずに帰っておりました(笑)。素晴らしい画像の数々、ほんまにエエもん見せていただきました。
ここのウスイロヒョウモンモドキは心配ですね。
但馬の例を見ると、保護のやり方が適切であればかなり増える蝶のようなので、なんとか回復して欲しいですね。
但馬の例を見ると、保護のやり方が適切であればかなり増える蝶のようなので、なんとか回復して欲しいですね。
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fanseab
at 2007-06-30 08:35
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chochoensisさん、コメントありがとうございます。本当に「危急種」なる言葉にふさわしい状況だと思いました。通常ならスレ個体が少しは飛んでいるはずなのに、それも見かけない・・・ひょっとして「鬼採り」されたのか?の疑念がよぎりました。
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fanseab
at 2007-06-30 08:39
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nomusan、こちらも貴ブログでオオルリやオオウラギン等がアップされる毎に、エエなあ~と思って、コメント入れずには帰れませんね(笑) 今シーズンはかなり目的を絞って6月の西日本を特徴づける蝶を探索しております。今のところ、その作戦が成功しているようです。
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fanseab
at 2007-06-30 08:43
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furuさん、深夜のコメント恐れ入ります。
仰るとおり、保護方法とマスコミや地元の方を上手く巻き込んでイベントで盛り上げるような宣伝活動で一般の方の意識を盛り上げる運動が必要だと思います。いずれにせよ、採集行為は厳に慎まなければなりませんね。
仰るとおり、保護方法とマスコミや地元の方を上手く巻き込んでイベントで盛り上げるような宣伝活動で一般の方の意識を盛り上げる運動が必要だと思います。いずれにせよ、採集行為は厳に慎まなければなりませんね。
岡山のウスイロヒョウモンモドキ、心配ですね。
昨年は兵庫県でかなりの個体数の回復がみられ明るいニュースもあったのですが。
ヒメジョオンをウスイロ、いい絵ですね。今年は私たちも何とか吸蜜シーンを撮影したいです。
昨年は兵庫県でかなりの個体数の回復がみられ明るいニュースもあったのですが。
ヒメジョオンをウスイロ、いい絵ですね。今年は私たちも何とか吸蜜シーンを撮影したいです。
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fanseab
at 2007-07-01 00:13
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空飛ぶ父さん、確か貴殿は昨年、但馬での観察会に参加されたと思います。そこに比べれば極端に少ない個体数です。ウラギンの強力な飛翔を見た後のウスイロを見ると守ってあげたくなりますね。ヒメジョオンを吸蜜するシーン、末永く見たいと思っております。
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fanseab
at 2007-07-01 00:16
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kenkenさん、そうです。現地でカノコソウの花(既に時期は終わりでしたが)も観察できました。今回の撮影個体が本当に最後の個体にならないよう、何とかしたいと思っております。
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ainomidori443zeph at 2007-07-01 00:16
ヒオドシの吸汁は珍しいと思います。樹液や湿地は良くあると思うのですが。
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fanseab
at 2007-07-01 00:19
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愛野緑さん、こんばんは。貴殿もそう思われますか?この時は単に葉陰に隠れたと思って90mmマクロでの撮影でしたが、帰宅してから、400mmズームできちんと撮ればよかったと後悔しきりです。
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6422j-nozomu2 at 2007-07-01 12:58
兵庫県は大事に保護されているのに、やはり岡山は野放し状態のようですね。ネットマンが採り放題している予感が。兵庫県と同様の措置を切望いたします。いつ見ても弱々しい可憐な蝶だこと。
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fanseab
at 2007-07-01 23:21
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ノゾピーさん、その通りだと思っています。仮にシーズン末期であれば、スレた個体と新鮮な個体が共存していても不思議でないのに、新鮮な♀が単独でいること自体おかしいのです。確かに飛翔力を見ると危急種を実感します。
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fanseab
at 2007-07-02 22:18
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theclaさん、ありがとうございます。このポイントのモドキは現状のままではかなり厳しいかもしれません。兵庫遠征、お天気になることを記念します。