晩秋のヤクルリ
先週の土日は完全休養日でしたので、今日は頑張って大阪府南西部に出撃してきました。この時期のヤクルリの様子を観察するのが目的です。ただ、張り切って出かけたものの、早朝は良かったお天気も徐々に曇り勝ち。現地の気温は8℃くらいでしょうか、相当にヒンヤリしています。前回♂が好んでテリを張った木を調べると、早速♂がお出迎え。丁度目の高さで休んでいます。気温が低いので触角を下げた完全休止モード。
R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/73、-0.3EV、撮影時刻:8時34分
1時間ほど経過し、少し薄日が差してくると、ようやく♂が弱々しく飛び立ちました。全部で3頭の♂を確認。そのうち1頭が畑の葉上に降り立ちました。翅をスリスリするシジミ独特の行動で、後翅のブルーが覘いた瞬間を、朝の光も強調して逆光で狙ってみました。
D70, ISO=500, F8-1/250、+1.0EV、撮影時刻:9時28分
引き続き、控えめに開翅したシーン。いつ見ても表翅のブルーは独特で美しいものです。
D70, ISO=640, F8-1/500、撮影時刻:9時30分
この個体、1枚目の画像の個体に比べると2倍はあろうかと思われる大きさです。昨年の12月にこのポイントで♂♀の完品個体を目撃した際も、♂は結構大きかった記憶があり、晩秋から初冬に出現する♂は夏季~秋季に比較してサイズが大きくなる傾向があるのかもしれません。
10時を過ぎると完全に陽射しが途絶え、これ以上の開翅シーンも望めないため、成虫観察を諦め、幼虫探索に切り替えました。前回、産卵中の♀がカマキリに捕食されたヤマモモの植栽付近を探ってみました。するとどうでしょう!次から次へと幼虫が発見できました。まずは、1令幼虫。体毛がやけに目立ちます。体長は約2mm。
D70-SMZ(トリミング), ISO=500, F20-1/60、-1.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)
お次は3令幼虫と思しき幼虫が残した食痕。ヤマモモの赤い若葉を好んで食べており、矢印の裏に幼虫が潜んでいます。
D70-SMZ, ISO=500, F20-1/50、-1.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)
矢印の幼虫はこちら。体長は約8mm。
D70-SMZ, ISO=500, F20-1/60、-1.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)
保護色の巧みさにご注目ください。左側の茎の赤と緑のグラデーションを完全に真似ており、更に凄いと思うのは、ヤマモモの葉裏のボツボツとした質感までも丁寧に真似ている点です。先日、ご紹介したウバメガシ上では、ウバメガシの若葉の黄緑色に模し、ヤマモモではピンクと緑に化けています。ヤクルリ幼虫のカメレオンも顔負けの保護色戦略には本当に驚かされます。
最後は真打として、終齢幼虫に登場してもらいましょう。体色は黄緑色を基調として、これまた若葉の中で完璧にカムフラージュしています。体長約13mm。
R1@5.6mm, ISO=400, F5.9-1/203、-0.7EV
蛹も探索しましたが、今回も残念ながら坊主でした。しかし、ともかくカマキリに捕食される前に産卵された幼虫達が無事育っているのも確認して一安心です。ひょっとすると、本年中にもう一世代は回るのではないかと思っています。できれば12月に再度、このポイントを訪問したいと思います。
R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/73、-0.3EV、撮影時刻:8時34分
1時間ほど経過し、少し薄日が差してくると、ようやく♂が弱々しく飛び立ちました。全部で3頭の♂を確認。そのうち1頭が畑の葉上に降り立ちました。翅をスリスリするシジミ独特の行動で、後翅のブルーが覘いた瞬間を、朝の光も強調して逆光で狙ってみました。
D70, ISO=500, F8-1/250、+1.0EV、撮影時刻:9時28分
引き続き、控えめに開翅したシーン。いつ見ても表翅のブルーは独特で美しいものです。
D70, ISO=640, F8-1/500、撮影時刻:9時30分
この個体、1枚目の画像の個体に比べると2倍はあろうかと思われる大きさです。昨年の12月にこのポイントで♂♀の完品個体を目撃した際も、♂は結構大きかった記憶があり、晩秋から初冬に出現する♂は夏季~秋季に比較してサイズが大きくなる傾向があるのかもしれません。
10時を過ぎると完全に陽射しが途絶え、これ以上の開翅シーンも望めないため、成虫観察を諦め、幼虫探索に切り替えました。前回、産卵中の♀がカマキリに捕食されたヤマモモの植栽付近を探ってみました。するとどうでしょう!次から次へと幼虫が発見できました。まずは、1令幼虫。体毛がやけに目立ちます。体長は約2mm。
D70-SMZ(トリミング), ISO=500, F20-1/60、-1.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)
お次は3令幼虫と思しき幼虫が残した食痕。ヤマモモの赤い若葉を好んで食べており、矢印の裏に幼虫が潜んでいます。
D70-SMZ, ISO=500, F20-1/50、-1.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)
矢印の幼虫はこちら。体長は約8mm。
D70-SMZ, ISO=500, F20-1/60、-1.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)
保護色の巧みさにご注目ください。左側の茎の赤と緑のグラデーションを完全に真似ており、更に凄いと思うのは、ヤマモモの葉裏のボツボツとした質感までも丁寧に真似ている点です。先日、ご紹介したウバメガシ上では、ウバメガシの若葉の黄緑色に模し、ヤマモモではピンクと緑に化けています。ヤクルリ幼虫のカメレオンも顔負けの保護色戦略には本当に驚かされます。
最後は真打として、終齢幼虫に登場してもらいましょう。体色は黄緑色を基調として、これまた若葉の中で完璧にカムフラージュしています。体長約13mm。
R1@5.6mm, ISO=400, F5.9-1/203、-0.7EV
蛹も探索しましたが、今回も残念ながら坊主でした。しかし、ともかくカマキリに捕食される前に産卵された幼虫達が無事育っているのも確認して一安心です。ひょっとすると、本年中にもう一世代は回るのではないかと思っています。できれば12月に再度、このポイントを訪問したいと思います。
by fanseab
| 2006-11-18 22:55
| 蝶
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Comments(18)
ヤクルリ、大阪府南部ではこの時期にも見れるのですね~・・・。九州でも宮崎県では北部あたりまではきてるようですが、福岡、佐賀県ではまだまだ、「迷」です(これでも最近の話しかもしれませんが。)。年内にもう一回・・・・。う~ん、マンダムです(爆)。
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fanseab
at 2006-11-18 23:49
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nomusan、まいどどうも。九州と言っても、福岡・佐賀は結構冬寒そうなので、幼虫が越冬できないんでしょうね。昨年12月に観察した時は北風が寒くてヤッケを着込んでました。とても南方系シジミを撮影するとは思えない光景でした(^^)
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chochoensis
at 2006-11-19 06:55
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fanseabさん、この寒い時期に「ヤクシマルリシジミ」が観察できるのですか!凄いですね・・・未だ観察した事が無いので、ため息が出ました。チョウの幼生期の写真を撮っている私にとって、幼虫の各ステージ写真は羨ましいです・・・綺麗で可愛いですね・・・。
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fanseab
at 2006-11-19 11:02
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chochoensisさん、コメント有難うございます。ヤクルリはサツマよりも耐寒性が強いのか、更に北上の可能性があるかもしれませんね。この日はさすがに寒かったので二枚目の開翅角度が限界でした。幼虫の色彩は上品な美しさがあると思います。
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banyan10 at 2006-11-19 13:35
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fanseab
at 2006-11-19 16:23
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BANYANさん、幼虫の体色は親とは全く正反対なのが面白いです。ヤクルリはツマグロヒョウモン等と異なり北上は緩やかなのではないでしょうか?
ヤクルリは。12月に入ってももう1世代見られるんですか。結構低い気温でも生育できるのに九州北部で越冬は出来ないんですか。
体内水分の凍結に対する耐性が低いのでしょうかね。
体内水分の凍結に対する耐性が低いのでしょうかね。
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6422j-nozomu2 at 2006-11-19 18:55
まだヤクルリ発生しているのですか。昨日蝶仲間がクロツ探しに和歌山まで出撃されましたが、見れずとのこと。ヤクルリがいつまで成虫観察出来るのか興味あります。私なら成虫の撮影が完了すればすぐに撤収するところ、しっかりと幼虫を調査されているところを見習いたいと思います。
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fanseab
at 2006-11-19 22:06
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theclaさん、「12月にもう1世代回るであろう?」は小生の仮説です。これを検証してみたいと思います。いずれにせよ、アップした終齢幼虫は間違いなく、12月に羽化するものと思います。幼虫越冬可能な条件は越冬中の最低気温だけでなく、最高最低気温差等がポイントかもしれませんね。
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fanseab
at 2006-11-19 22:11
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ノゾピーさん、昨年は同じポイントで、12月3日に観察しています。本年も恐らく猛烈な寒波の来襲がなければ、同じ頃まで観察は可能だと思います。幼虫観察は曇りでも雪が降っても(笑)、観察できるのが取得です(^^)
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kenken
at 2006-11-19 23:06
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ほ~、まだまだ成虫撮影モードですねぇ。私は温泉モードになってしまいました。(笑)しかし、昨年12月に成虫観察とはスゴイですね。
ところで、その観察地は、ホストはヤマモモが主なのでしょうか?私、その辺りは、バラかウバメガシかなって思ってましたが・・・まあヤクルリは食性が広いですからねぇ。
ところで、その観察地は、ホストはヤマモモが主なのでしょうか?私、その辺りは、バラかウバメガシかなって思ってましたが・・・まあヤクルリは食性が広いですからねぇ。
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fanseab
at 2006-11-20 00:05
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kenkenさん、ハイそうです。新羽化成虫ある限り何時までも(笑)。。。
このポイント近辺のメインホストはやはりウバメガシだと思いますが、なにせそこいらじゅうにウバメガシがあるんで幼虫探しは却って苦労します。で、ヤマモモで重点探索したのが実情。バラも今度調査してみますね。
このポイント近辺のメインホストはやはりウバメガシだと思いますが、なにせそこいらじゅうにウバメガシがあるんで幼虫探しは却って苦労します。で、ヤマモモで重点探索したのが実情。バラも今度調査してみますね。
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maeda
at 2006-11-20 21:12
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fanseab
at 2006-11-20 22:09
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maedaさん、小生も昨年12月の観察経験がなければ、この時期敢えて出かけることはしていなかったと思います。サツマやヤクルリの生活史は未解明の点が多そうなので、興味深く、追っかけしたくなります。
この時期のヤクルリは貴重な蝶ですね。
天候が悪いにも関わらず3頭も観察できるとは、生態を知り尽くしたfanseabさんならではのこととお見受けしました。
幼虫もとても綺麗です。
実は今、仕事で和歌山に来ているので明後日はヤクルリに会いたいな。
天候が悪いにも関わらず3頭も観察できるとは、生態を知り尽くしたfanseabさんならではのこととお見受けしました。
幼虫もとても綺麗です。
実は今、仕事で和歌山に来ているので明後日はヤクルリに会いたいな。
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fanseab
at 2006-11-23 20:21
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虫林さん、いつもコメント有難うございます。この地域のヤクルリ、晩秋から初冬にかけての活動温度域がどのあたりにあるのか?もう少し調査してみたいと思っています。25日の和歌山は晴れそうですね。吉報をお待ちしています。
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fanseab
at 2006-11-23 20:26
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ダンダラさん、こんばんは。ルリシジミとちょっと表翅のブルーが異なるだけで、本当に表情が変わってしまいます。このあたりがシジミチョウの魅力でしょうか?サツマと異なり、大阪近辺まで遠征されれば、撮影は楽ですので是非一度関西の秋を楽しんでください。
※私信有難うございました。
※私信有難うございました。