人気ブログランキング | 話題のタグを見る

探蝶逍遥記

中国四川省成都近郊遠征記:その22

 今回取り上げるのはヒメフタオチョウ(Polyura narcaea narcaea)。このフタオは以前台湾で観察済(クリックでジャンプ)です。
 前山から后山へ向かう道路をトボトボ歩いていると、小さな寺院が右手に見えてきました。折しも午後過ぎまで降っていた雨が上がり、陽も射し始めました。急に蒸し暑さを感じながら境内に入ってみると、タテハが吸水しており、それが本種でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
中国四川省成都近郊遠征記:その22_f0090680_1536697.jpg
D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月13日、17時02分
中国四川省成都近郊遠征記:その22_f0090680_15361949.jpg

中国四川省成都近郊遠征記:その22_f0090680_21115662.jpg
同17時03分

 残念ながらスレ個体。3枚目画像の通り、表翅は僅かに緑色を呈したベージュ色。しかし、1-2枚目のように裏面を逆光下で見ると、黄緑色が強調された色調に変化します。これはひょっとすると構造色(幻光)かもしれません。
 一方、前山の麓では、高所でテリ張りする♂個体に出会いました。
中国四川省成都近郊遠征記:その22_f0090680_15364174.jpg
D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時00分

 こちらは非常に新鮮な個体。裏面は薄青緑色に光って、異様な感じがします。標本画像では、このような薄青緑色は殆ど表現されていないので、フィールドでは殊更新鮮な感覚を覚えます。本種は2018年6月の陝西省遠征において、標高1500m程度の渓谷沿いでも、ボロボロの♂に出あっています。Polyura属と言えば、何となく南方系のタテハをイメージしますが、実際にはオオイチモンジの隣で吸水していたりして・・・、冬場、結構寒い地域でも暮らしているのには驚きます。因みに中国本土では遼寧省が北限。Polyura属の中では一番寒さには強そうです。次回からはシジミチョウ科をご紹介します。
by fanseab | 2020-01-07 20:33 | | Comments(4)
Commented by himeji555 at 2020-01-07 21:32
fanseabさん
今年もこちらで学ばせていただけるのを楽しみにしています。
どうぞよろしくお願い致します。

で、このヒメフタオチョウの黄緑色がかった淡いベージュ色、とても美しいです。
太陽光が眩しい真昼間だと、目に見えてるようになかなか写ってくれません(自分比)が、
日没近い斜陽の中だと、見たままに撮れることがあって、僅かな機会に興奮してしまいます。
色は見え方がそれこそ十人十色、しかもモニターによっても変わるから
感動した色をそのままに伝えるのはほんとに難しいと思います。
この状況でアンダー気味に設定して外部ストロボを使うのは
色再現(表現)に有効な方法と思って宜しいでしょうか?
Commented by fanseab at 2020-01-08 21:17 x
himeji555さん、ちょっとご無沙汰しております。
こちらこそ、今年もよろしくです。
蝶を見た目通りの色調で写すには、やはり曇天(薄曇り)がベストです。但し、強い陽光を
浴びた状態を表現するためには、晴れの日に撮るしかありませんね。ちょっとコントラスト
が強すぎて、白トビするようであっても、その日の天候をきちんと切り撮った意味では、
それは貴重なショットでしょう。日没近い斜光線下では、翅からの反射光線とカメラの
なす角度が昼間とは変わるので、同じ晴天でもかなり色味・印象が変わるので、面白いですね。
 小生は海外で滅多に無いチャンスを一発必中で撮りたいため、いつもマニュアル露出、
ストロボ強制発光が基本です。ある意味邪道のやり方ですが、ヒメフタオを撮った時も
同じ条件で撮りました。アンダー気味で撮るのは、ニコン一眼センサーの特徴で、
経験上、カメラが示す適正露出より-0.7EV下げた方が、しっくり来るから使うのです。
オリンパスEM-1/MK2では露出補正量はニコンとは異なります。外部ストロボ使用に
ついて、付け加えると、ヒメフタオの1枚目のような状況では、左翅が影になる条件です
ので、ストロボを炊いて、左翅と背景の露出差を均等にして、翅のディテールが犠牲に
ならないよう配慮しております。一方、3枚目は全くストロボを使用する意味はないので
すが、習慣上炊いてるだけです(^^)
Commented by himeji555 at 2020-01-10 12:29
fanseabさん、詳しく教えて下さってどうもありがとうございます。
証拠写真に甘んじていたら、美しい☆彡レベルは撮れないと改めて思い至りました。

>ヒメフタオの1枚目のような状況では、左翅が影になる条件ですので、
>ストロボを炊いて、左翅と背景の露出差を均等にして、
>翅のディテールが犠牲にならないよう配慮しております。

φ(..)メモメモ
ストロボが届かない安全圏から中望遠でとらえるのがやっとこせで、
あたふたしてる間に逃げられてばかりですが、試行錯誤してみます。

どんだけバカチョンしてるのか?!というレベルで恐縮ですが、EM-1MK2は-0.3EV固定してます。
咄嗟の逆光にも手間をとられず、失敗も多いけど自在に遊べるとこが有難いです。
Commented by fanseab at 2020-01-10 21:28 x
himeji555さん、EM-1MK2では小生が使うマニュアルモードにおいて、何故か露出補正が
効きません。仕方ないので、モニター画面右下のEV表示値が「-0.7~-1.3」になる
よう、シャッター速度もしくは絞り値を変化させて、撮ってます。シロチョウなどでは
-1.3EVあたりが適正になります。これは撮影者の好みの問題ですけどね・・・。
名前
URL
削除用パスワード