中国四川省成都近郊遠征記:その15
青城山・前山で撮影したジャノメチョウ亜科の続報です。最初はオオヒカゲ(Ninguta schrenkii)。これまた日本ではお馴染みの種。
+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時30分
参詣道脇の側道にパイナップルトラップを仕掛け、あわよくばイナズマチョウ類を誘引できれば・・・と思っていたのですが、獲物は想定外のオオヒカゲでした。ただこれだけのボロ個体なので、一瞬種同定に戸惑ったのは事実。日本国内だとジメジメした湿地帯近くの雑木林等が住処。なのに、見出したポイントは尾根筋で、池や湿地から標高・距離差もあって、一体どこで発生しているのだろう・・・と今でも疑問に思っています。湿地帯に生えるスゲ類ではなく、尾根筋にあるスゲ類を食している可能性もあります。中国国内だと黒竜江省・吉林省付近から四川・陝西・湖南省山間部まで分布が伸びていますが、北京付近や山東省付近の低地にはいないようです。
上記画像を撮影した後、少しましな個体が半開翅していたので、パチリ。
D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時32分
この個体はどうやら♀。♀の鮮度でこの程度ですから、当地での発生時期は終盤戦だったのでしょう。
次はウラナミジャノメ(Ythima)属2種のご紹介。本属は同定が難しいグループ。基本は先ず後翅裏面眼状紋に着目し、無紋、3個、4個、5個の4グループで概ね仕分けることができます。最初は5個のヤマナカウラナミジャノメ(Y.conjuncta)♂。閉翅と開翅の2枚です。
D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時20分
D71K-34VR,ISO=200,F7.1-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時21分
本種の特徴は開翅画像で明確なように、外縁側が濃褐色に縁どられること。大きさは日本のヒメウラナメジャノメ(Y.argus)よりは大型です。前翅裏面には暗色帯が2本出現しますが、出現状況はかなり個体差がある模様。吸水個体の事例を示します。
D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、16時00分
この個体は、上記暗色帯が強く出ています。前翅裏面のみならず、後翅裏面にも2本の暗色条が明確に出ています。それと本種は前翅端付近の翅型に特徴があり、前翅端から外縁部にかけて多角形を呈しております。他種では概ね前翅端~外縁部は緩やかなカーブを描いて連なるのと対照的です。丁度、キレバヒトツメジャノメ(Mycalesis mucianusもしくはzonata)に似た前翅形状と言えましょう。
2種目はカノウラナミジャノメ(Y.puraenublia)。こちらは後翅裏面眼状紋が4個。
D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F8-1/320、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月14日、9時34分
前山から后山に向かう車道脇の叢で撮影。前種ヤマナカよりさらに大型です。しかし、かなり草臥れた個体でガックリ。ヤマナカ、カノ両種共に台湾にも分布しており、カノの台湾産亜種(ssp.neobilia)は著しく巨大になることが知られております。
次回はタテハチョウ亜科のご紹介です。
+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時30分
参詣道脇の側道にパイナップルトラップを仕掛け、あわよくばイナズマチョウ類を誘引できれば・・・と思っていたのですが、獲物は想定外のオオヒカゲでした。ただこれだけのボロ個体なので、一瞬種同定に戸惑ったのは事実。日本国内だとジメジメした湿地帯近くの雑木林等が住処。なのに、見出したポイントは尾根筋で、池や湿地から標高・距離差もあって、一体どこで発生しているのだろう・・・と今でも疑問に思っています。湿地帯に生えるスゲ類ではなく、尾根筋にあるスゲ類を食している可能性もあります。中国国内だと黒竜江省・吉林省付近から四川・陝西・湖南省山間部まで分布が伸びていますが、北京付近や山東省付近の低地にはいないようです。
上記画像を撮影した後、少しましな個体が半開翅していたので、パチリ。
D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、15時32分
この個体はどうやら♀。♀の鮮度でこの程度ですから、当地での発生時期は終盤戦だったのでしょう。
次はウラナミジャノメ(Ythima)属2種のご紹介。本属は同定が難しいグループ。基本は先ず後翅裏面眼状紋に着目し、無紋、3個、4個、5個の4グループで概ね仕分けることができます。最初は5個のヤマナカウラナミジャノメ(Y.conjuncta)♂。閉翅と開翅の2枚です。
D71K-34VR(トリミング),ISO=200,F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時20分
D71K-34VR,ISO=200,F7.1-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、11時21分
本種の特徴は開翅画像で明確なように、外縁側が濃褐色に縁どられること。大きさは日本のヒメウラナメジャノメ(Y.argus)よりは大型です。前翅裏面には暗色帯が2本出現しますが、出現状況はかなり個体差がある模様。吸水個体の事例を示します。
D71K-34VR(トリミング),ISO=400,F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月15日、16時00分
この個体は、上記暗色帯が強く出ています。前翅裏面のみならず、後翅裏面にも2本の暗色条が明確に出ています。それと本種は前翅端付近の翅型に特徴があり、前翅端から外縁部にかけて多角形を呈しております。他種では概ね前翅端~外縁部は緩やかなカーブを描いて連なるのと対照的です。丁度、キレバヒトツメジャノメ(Mycalesis mucianusもしくはzonata)に似た前翅形状と言えましょう。
2種目はカノウラナミジャノメ(Y.puraenublia)。こちらは後翅裏面眼状紋が4個。
D71K-34VR(トリミング),ISO=500,F8-1/320、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月14日、9時34分
前山から后山に向かう車道脇の叢で撮影。前種ヤマナカよりさらに大型です。しかし、かなり草臥れた個体でガックリ。ヤマナカ、カノ両種共に台湾にも分布しており、カノの台湾産亜種(ssp.neobilia)は著しく巨大になることが知られております。
次回はタテハチョウ亜科のご紹介です。
by fanseab
| 2019-02-03 19:28
| 蝶
|
Comments(4)
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clossiana at 2019-02-06 17:08
オオヒカゲは北海道でも本州とは違った様相です。山の上の方にもいますし、開翅や花での吸蜜など色々です。一体、何を食べているのだろう?とのことですが、私も何か水辺でなくても生えることが出来るスゲ類かな?などと考えています。いずれにしても今回は中国産の個体を見せて頂き、大変に勉強させてもらいました。
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fanseab
at 2019-02-08 21:09
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Sippo5655 at 2019-02-08 22:35
蝶を寄せるのにはパイナップルが良いのですか!?
たしかにあの甘い匂いは強烈ですものね^^
主人が昨年夏、クワガタを寄せるために作ったのは
ひたすらバナナを発酵させたものでした。
でも、全く効果無くがっかりしていましたが^^;
こうしてチョウチョのお写真を拝見していたら
もう、春が待ち遠しくて(*´∇`*)
たしかにあの甘い匂いは強烈ですものね^^
主人が昨年夏、クワガタを寄せるために作ったのは
ひたすらバナナを発酵させたものでした。
でも、全く効果無くがっかりしていましたが^^;
こうしてチョウチョのお写真を拝見していたら
もう、春が待ち遠しくて(*´∇`*)
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fanseab at 2019-02-09 21:02
Sippo5655さん、蝶の誘引用トラップは種類によって使い分ける必要が
あります。パイナップルを好む種もいれば、バナナが好きな子もいます。
汚いですが、糞尿や腐肉を好む子もいます。海外の蝶の好みを予測するのは
非常に難しく、今回もオオヒカゲがやってきたのでビックリしたのです。
あります。パイナップルを好む種もいれば、バナナが好きな子もいます。
汚いですが、糞尿や腐肉を好む子もいます。海外の蝶の好みを予測するのは
非常に難しく、今回もオオヒカゲがやってきたのでビックリしたのです。