人気ブログランキング |

探蝶逍遥記

アサギマダラの飼育メモ

 10月下旬、東京都下のポイントで採卵した1卵をフルステージ飼育した記録です。餌は全てキジョラン。11月3日に孵化。孵化直後は動き回って撮影できず。眠が近い初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
f0090680_2112543.jpg
EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月4日

 体長5mm。孵化直後はほぼ無紋ですが、すぐに浅葱色の小紋が出現します。初齢段階で既に成虫の斑紋を想起させる色調を纏っていることには驚かされます。孵化直後はキジョランの葉裏を円形に「舐め食い」し、その後、葉の厚み全体を食い切っていきます。この時期の幼虫特有の円形食痕と初齢幼虫の姿です。
f0090680_21132719.jpg
EM12-Z60,ISO=200,F5-1/15,外部ストロボ、撮影月日:11月4日

 野外ではキジョランの葉裏に静止しておりますが、飼育でたまたま葉裏を上側に向けて置くと、幼虫は葉表側(光沢のある面)で静止しております。常に葉陰側に潜んで、外敵から目をくらます知恵なのでしょうね。5日に眠、翌6日に2齢へ。
f0090680_2113507.jpg
EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=64/200,F4.5/5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月9日

 体長9.5mm。白斑が明確になり、気門線周りおよび腹節の一部に黄色紋も出現。更には、中胸部と第8腹節に棘状突起も現れました。9日に眠、翌10日3齢。
f0090680_21141490.jpg
EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月13日

 体長14.3mm。2対の突起の長さが伸びて、本種幼虫らしい姿になりました。2齢に比較して亜背線にペアで配置される、やや大型黄色紋の範囲も伸びてきますが、未だ中央腹節部には白色班が残っています。13日眠、翌日4齢へ。
f0090680_21145193.jpg
EM12-Z60(上段5コマ/下段6コマ深度合成+トリミング),ISO=64,F5/4-1/30,外部ストロボ、撮影月日:11月16日

 体長22.5mm。中胸部の突起は更に伸びて頭部より先に届くようになりました。なお体長は突起を含めず頭部から尾端までの長さを計測した値です。亜背線両側の大型黄色紋は腹節全体に広がりました。加えて、これまで黒一色だった頭殻にも白斑が入りました。4齢時の食痕も示しておきます。
f0090680_21151396.jpg
EM12-Z60,ISO=200,F2.8-1/80,外部ストロボ、撮影月日:11月16日

 この齢数では、葉の縁からどんどん齧るため、食痕に規則性はありません。17日に眠、19日に5齢(終齢)到達。
f0090680_21153647.jpg
EM12-Z60(上段3コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30&1/50,外部ストロボ、撮影月日:11月24日

 体長39mm。幼虫体形が太くなり、白斑の数が増加し、いかにも「斑蝶」らしい幼虫の雰囲気が出てきました。4齢時からそうですが、中胸から突出した長大な突起は、能動的に動かせ、時折食草の表面に突起先端を接触させる行動が観察できます。明らかにこの突起先端には感覚センサーが付いているのでしょう。他のタテハチョウ科幼虫の棘状突起とは機能が異なるように思います。一方第8腹節から伸びる突起は、中胸のとは異なり動きません。単に、外敵から頭部と錯覚させる擬態部品として有効なのでしょう。参考のため、5齢頭部を正面から拡大した絵もアップしておきましょう。
f0090680_21341052.jpg
EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月24日

 5齢より、頭部模様が複雑化して、浅葱色の斑紋が出ております。面構えはバイキンマンのような悪役イメージですね。
 なお、孵化から3齢途中までは、産附されたキジョランの葉を食べておりました。結局、前蛹までに食したキジョランの葉は合計4.7枚でした。また、野外採葉したキジョランには、マダラヤドリバエの微小卵が付いているようなので、スポンジで擦って微小卵を除去した後、幼虫に与えるなど、細心の注意を払いました。11月28日に前蛹。
f0090680_2117095.jpg
EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング),ISO=400,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月28日

 種類によらず前蛹時には体色が微妙に変化します。アサギマダラでは、これまで観察されなかった緑色を帯びてきました。当初、葉被りして画像が緑色に染まったのか?と誤解した位です。翌29日、無事蛹化しました。
f0090680_21172268.jpg
EM12-Z60(左4コマ/右3コマ深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/30&1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:11月30日

 体長(懸垂器部分を除く)24mm。まるで翡翠を彷彿とさせる宝石のような姿です。イヤリングとして販売したら売れるかも(^^) 前蛹時に緑色を帯びた理由が理解できました。孵化から蛹化まで要した日数は26日。蛹化から概ね10日ほどで羽化するだろうと期待しておりましたが、一向にその気配がありません。結局冬らしい寒さになって来た12月15日を過ぎて、ようやくストロー周りの組織が黒く変化。その後、本種らしい前翅の斑紋が透けて見えるようになりました。
f0090680_21181445.jpg
EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日:12月18日

 どんな飼育事例でも、蛹に翅模様が透けて見えるようになると、ようやく95%飼育が成功したなぁ~と安堵できます。この画像を撮影した翌日、12月19日に無事♀が羽化しました。
f0090680_21185382.jpg
EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/40,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日・時刻:12月19日9時36分

 前翅長は55mm。ごく普通のサイズと思われます。例によって羽化の瞬間には出会えませんでした。しかし、羽化直後の未だ翅が伸び切らない頃から、翅が伸びる様子は連続撮影できました。
f0090680_21191338.jpg
EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/30~1/50,外部ストロボ+スレーブ2灯増灯、撮影月日・時刻:12月19日9時10分~31分

 翅の伸びから逆算して、恐らく9時10分頃羽化したと推察。撮影開始からほぼ2分で後翅が伸び切っています。前翅も伸び切るのは撮影開始後20分経過した時点でした。今回の個体の蛹期は20日間。異様に長いように思いますが、参考にしている図鑑(※)によれば、どうやら標準的な長さのようです。
 羽化した個体は折角ですので、マーキングを施した後、多摩丘陵の頂上から放蝶しました。因みに左右共に、前翅中室裏面に「1220」、後翅中室裏面に「FS1」のマークを入れました。真冬に屋外放蝶された彼女も迷惑がっているかもしれませんが、少しでも暖かい日を選び、南方へ渡ってくれれば良いなぁ~と、「育ての親」として勝手に祈っている次第。

※福田晴夫ほか(1982),原色日本蝶類生態図鑑(Ⅰ),保育社,大阪.

by fanseab | 2018-12-24 21:22 | | Comments(2)
Commented by Sippo5655 at 2018-12-26 22:22
なんとアサギマダラまで飼育、
そして羽化成功!!
素晴らしいですね(*´∇`*)
幼虫時代から、浅葱色がアピールしている。
黄色い斑点が加わるとさらにミステリアス!!
正面顔には度肝抜かれました(◎-◎;)!!
どこに眼があるんだ!?

マーキングして放たれた時の想いが
伝わってきます。
この数字の意味は・・・?
Commented by fanseab at 2018-12-27 20:34 x
Sippo5655さん、今回は無事親まで育てることができました。
実は終齢幼虫のお尻側も頭側によく似せているのですが、撮影し忘れました。
マーキングも結構難しいものだと思いました。
少し強く書くと、翅が破れてしまうのです。改めて蝶の翅の薄さを実感できました。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード