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探蝶逍遥記

アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)

 海の日を含む三連休は渋滞を避けて、近場でお散歩観察。やって来たのは拙宅から車で30分ほどのアオバセセリポイント。ここは毎年ゴールデンウイーク頃、セセリよりカメラマンの個体数が遥かに上回るので、敬遠して滅多に足を運びません。今年は何と4月上旬に第1化が発生していて、管理人が訪れた4月下旬は既に発生末期でした。と言うことは・・・・、果たしてこのポイントでは第2化は何時発生するのだろう~と疑問に思ったのです。そのヒントを掴むため、食樹のアワブキで幼虫探索をしてみることにしました。幸い、35℃越えの猛暑にも拘らず、谷あいにあるアワブキは木蔭で助かりました。到着して5分ほどで怪しげな巣を発見しました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10304235.jpg
EM12-Z60, ISO=200、F4.5-1/160、外部ストロボ、撮影時刻:10時59分

 矢印#1がその巣。アワブキの葉の先端に形成されています。実は事前にブログ仲間のclossianaさんの記事(クリックでジャンプ)を参考に巣形状の特徴を把握していたので、発見が容易でした。
 因みに矢印#2は過去に若齢幼虫が残した食痕と巣の残骸と思われます。また矢印#3はアワブキの実です。秋口に見られる熟果は赤色ですが、現状は緑色。巣のある葉は地上高さ2.3m。幼虫探索のため持参した脚立に乗って、何とか葉を手繰り寄せることができます。その巣の全景です。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10315279.jpg
TG4@5.5mm, ISO=100、F2.3-1/125、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時47分

 全長は25mm。葉脈に沿って切り込みを入れ、主脈を中心に折り曲げた袋状です。ミドリシジミの終齢幼虫巣を、親しみを込めて『餃子』と呼んだりしますが、この巣はさしずめ『小銭入れ』でしょうか。面白いのはパンチで空けたような丸穴が開いていること。『小銭入れ』のチャック側?から覗いてみると、こんな感じ。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_103231100.jpg
EM12-Z60, ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分

 こちら側にも小穴が開いています。一説には換気口らしいのですが、この小穴もアオバセセリ幼虫巣の特徴です。巣を開けて、幼虫を確認。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10324774.jpg
TG4@14.4mm, ISO=125、F4.4-1/80、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時47分

 体長は11mm。頭殻は橙色のテントウムシ状。胴体に太さの異なる黒いリングが巻かれたような独特の模様です。実は管理人、幼虫の実物を見るのはこれが初めて。ちょっと興奮しました。頭殻がテントウムシ状になるのは、3齢以降とされていますので、恐らく3齢の初期状態と思われます。巣を開けると、すぐに幼虫は巣の修復作業に入りました。先ずは、頭部付近(葉柄側:巣の入口)の作業を開始。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10331595.jpg
EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時26分

 続いて、やや後方部分の糸掛けをスタート。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10333015.jpg
EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時27分

 その後、後方部分の修復作業に入りました。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10334127.jpg
EM12-Z60(トリミング), ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:11時28分

 葉の表面部分に複数の糸の基点を設け、それらの糸を束ねて糸強度を増す工夫をしている様子が伺えます。管理人が巣を無理やり開けてから、5分も経過しない内に幼虫は、巣を元通りの姿に戻しました。幼虫の凄ワザですね!

 今回脚立が届く範囲内で観察出来た巣は、ご紹介した一つだけ。他にもあるか、上空を見上げて探索。このアワブキの樹高は10m弱。ようやく、一つ類似した巣を発見。
アオバセセリの幼虫探索(7月中旬)_f0090680_10341035.jpg
D500-34VR(トリミング), ISO=800、F8-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:11時17分

 中央右がその巣。ところがここで思わぬ事実が判明!撮影時には気が付きませんでしたが、何と、アオバセセリの卵と思しき白色円形物体(矢印)が写っておりました。今回探索の目的は当地での第2化発生時期を推定すること。3齢幼虫を発見したことで、考えたのは下記の仮説。今季第1化の発生ピークは4月中旬頃。そうだとすると、野外での幼生期を60日前後と仮定して第2化発生ピークは6月中旬頃。そうであれば2化から生まれた世代が7月中旬に3齢幼虫であることは妥当だなと・・・。ところが仮に7月中旬頃まで卵を産む母蝶が存在すると、第2化世代もそれなりにダラダラ発生していることになります。できれば、今回観察した3齢幼虫の継続観察をすると共に、やはり、第2化世代を直接観察してみたいものです。
by fanseab | 2018-07-17 21:56 | | Comments(4)
Commented by clossiana at 2018-07-19 15:41
アオバセセリの化性についてですが、本年の私共の観察では5月下旬に3齢、6月上旬に4齢となっていましたが、その後には行方不明となりました。でも、もし生き続けたとすれば6月末~7月上旬頃には成虫となっていた筈です。
このことからfanseabさんが観察された幼虫は3化の幼虫の可能性があります。ご推察されておられますように、この蝶の化性に変化が起きている可能性が高い点で同感です。
Commented at 2018-07-19 17:05
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2018-07-19 21:45 x
clossianaさん、今回の観察幼虫はこのまま一気に成長して第3化となるのか、
それともゆっくりと成長し、蛹化して越冬に入るのか、未確定だと思います。
そもそも当ポイントでの一年中通して成虫観察したことがないので、上記仮説の
検証も結構難しいと思っております。
Commented by fanseab at 2018-07-19 21:46 x
鍵コメさん、貴重な情報有り難うございます。
できる限り、継続観察していく予定です。
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