探蝶逍遥記

中国四川省成都近郊遠征記:その7

 今回はイチモンジチョウ亜科のご紹介。最初はヒラヤマミスジ(Athyma opalina constricta)♂。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時03分

 南西諸島でお馴染みのヤエヤマイチモンジ(A.selenophola)の仲間です。尾根筋の遊歩道付近で最も活発に占有行動を繰り返しておりました。占有場所は一定時間内ではほぼ固定されています。時折、石垣に来て管理人と睨めっこ(^^)
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D71K-34VR(トリミング), ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時06分

 複眼の偽構造がメチャ可愛い子です。でも、
『おいお前さん!日本からわざわざここに来て、俺の縄張りを荒らすつもりかい?』
と管理人を睨みつけているようにも見えます。そこで少し視線をずらし、遠慮気味に「斜め30度逆光半開翅」アングルからパチリ。
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D71K-34VR, ISO=500、F11-1/400、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、14時06分

 縁毛も揃った完品で見栄えがします。時には葉上で180度を超えるベッタリ開翅も披露してくれます。
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D71K-34VR, ISO=200、F6.3-1/250、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、14時42分

 この子、胴体背面側に後翅中央白帯と連続する青白帯があります。Atyhma属の中で、この胴体背面に①白色帯が出るタイプ(本種、jina等)、②出ないタイプ(selenophola♂等)があり、更に①の白色帯が(a)白色のもの、(b)青味を帯びるものに大別されます。つまり、胴体背面白帯はAthyma属を識別する上で、重要な形質であります。

 2種目はランガシロミスジ(別名カワリイチモンジ:Athyma ranga serica)♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F9-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、13時25分

 この子との出会うのは、何と9年振り。香港の尾根筋でテリ張りしていた個体(クリックでジャンプを撮影して以来でした。

 もう少し接近戦で撮りたかったですね。ランガの模様はゴマダラチョウそっくりなので、親しみが持てます。このポイントでは珍品で、出会ったのはこの子のみ。
 3種目は大型イナズマ、カルダマイナズマ(別名ミドリイナズマ:Euthalia kardama)♂。
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GX7-P8, ISO=200、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時16分

 丁度クロオオムラサキと同じ体躯で、このように遊歩道を歩く観光客に睨みを利かしています。但し、人間には全く興味がなく、接近しても動こうとはしません。手掴みで採集が可能でしょう。一方、タテハ類が視界に入ると鉄砲玉のようにスクランブル発進するのです。この画像、実は2016年元旦の記事に使用しております。クロオオムラサキは色が黒ですし、種名funebrisは「喪服を纏った」趣意があるので、元旦画像としては相応しくなく、掲載を見送った経緯があります。
 本種翅表の緑色は独特で、やや青味を帯びて翡翠を想起させます。日本国産でこのような色調のタテハは皆無のため、より存在感が増します。眺める角度により、幻光のように色合いが微妙に変化するのも魅力の一つ。続いて、「斜め15度逆光半開翅」アングルで。
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D71K-34VR, ISO=200、F9-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時07分

 裏面はベージュ~淡褐色です。翅表の白点列が透けて見える、このアングルも捨てがたいものがありますね。続いて翅表をベタで。
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D71K-34VR, ISO=400、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時36分

 ほぼ見たままの翅表の色合いが表現できたように思います。触覚先端の橙色がとてもお洒落なアクセントになっています。
 4種目はカルダマの親戚、チベタナイナズマ(仮名:Euthalia thibetana thibetana)♂。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F8-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月12日、12時02分

 かなり距離が遠く、思いっきりトリミングしてのご紹介です。最初はカルダマだと思って撮影しておりましたが、後日、前後翅白点列が連続的な帯状を呈することから別種と気が付いた次第。いかにも中国らしい彩色を背景にテリ張りをしておりました。個体数は少なく、結局このコマ以外、撮影チャンスはありませんでした。四川省には本種に酷似したシュタウジンゲリイナズマ(仮名:E.staudingeri)も生息するとされておりますが、前翅白斑列の形状比較より、ここではthibetanaと同定いたしました。因みに以前本種は、台湾のスギタニイチモンジ(E.insulae)と同一種扱いだったのですが、その後、台湾産が独立種に格上げされました。

<2月22日追記>
 1種、記載忘れがありました。シラキミスジ(Neptis sankara antonia)♂をアップし忘れていました。
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D71K-34VR(トリミング), ISO=400、F11-1/250、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年7月11日、13時49分

 中型のNeptisで、日本のミスジチョウとほぼ同体躯。鮮度がちょっと悪いですね。
最後にイチモンジチョウ亜科の目撃・撮影種をまとめておきます。下記6種でした。
(1)シラキミスジ(Neptis sankara antonia
(2)ヒラヤマミスジ(Athyma opalina constricta
(3)ランガシロミスジ(A. ranga serica
(4)チベタナイナズマ(Euthalia thibetana
(5)ミドリイナズマ(E. kardama
(6)シロヘリスミナガシ(Stibochiona nicea

<次回へ続く>
by fanseab | 2018-02-16 20:54 | | Comments(2)
Commented by otto-N at 2018-02-18 09:01 x
カルダマイナズマはシブくてとてもいいチョウですね。2011年5月に成都(パンダ)→九寨溝の観光に行きましたが、飛行機が遅れここへは行くことができませんでした。例え行ったとしても下の方の観光だけだったでしょうね。九寨溝では、日本と同一種あるいは近似種が多い感じでした。↓のサカハチもいましたが(ただし淡黄白帯が退化)、すべて未同定です。九寨溝ではクモツキ(?)が多く驚きました。
Commented by fanseab at 2018-02-18 16:27 x
otto-Nさん、この手の大型イナズマは好みの蝶で、どの遠征先でも追いかけています。
九寨溝は標高がかなり高いので、都江堰とは蝶相は異なります。5月だと、都江堰では、クロオオムラサキの季節ではなく、オオムラサキが観察できるはずです。但し、現在、
九寨溝は大地震の影響で、色々と旅行インフラに不備が出ているでしょうね。
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