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探蝶逍遥記

ミヤマチャバネセセリ越冬世代幼虫個体数の確認

 本年9月7日の記事(外部リンク)で、今シーズンはミヤマチャバネが不作であることを示唆しました。来シーズンの個体数は、越冬世代終齢幼虫の巣を確認すれば楽なので、10月下旬~11月上旬にかけて実施してみました。確認エリアはいつも定点観測している川崎市側多摩川河川敷の30mX800m。相当虱潰しに調査した結果、何と1頭のみ。虎の子の1頭につき、巣を開いてみた状況がこちら。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
ミヤマチャバネセセリ越冬世代幼虫個体数の確認_f0090680_1740723.jpg
TG4@5.5mm,ISO=100、F2.3-1/40、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時15分(10月下旬)

 これは明らかに寄生個体で、グッタリして動く気配がありません。念のため調査エリアを東側(下流側)に広げた結果、ようやくもう1個体を発見。その巣(黄矢印)です。
ミヤマチャバネセセリ越冬世代幼虫個体数の確認_f0090680_17403539.jpg
TG4@4.5mm,ISO=200、F2.8-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時39分(10月下旬)

 この子は撮影の数日後、無事巣から離脱し、地上で蛹化した模様。結局、定点観測エリアでは、「越冬世代正常個体がゼロ」と異常事態であることが判明。これでは少なくとも来シーズン春に出現する第1化もあまり期待できない状況です。真面目に定点観測をスタートさせた過去6年間の個体数をまとめてみると以下の通り。
2011年 13頭
2012年 29頭
2013年 21頭
2014年 データなし(記憶が曖昧だが10頭は確認?)
2015年  4頭
2016年  1頭
このデータからだと、2014-15年から急激に個体数が減じたようにも思われます。ただ蝶の個体数推移では、10年レベルでの周期的増減もあり得るので、もう少し継続観察が必要です。気になっているのは、多摩川縁の植物相変化。生息地のスナップがこちら。
ミヤマチャバネセセリ越冬世代幼虫個体数の確認_f0090680_17413284.jpg
TG4@8.4mm,ISO=100、F3.1-1/100、-0.7EV、撮影時刻:16時22分(10月下旬)

 食草のオギ群落は黄色破線で囲ったエリア。手前側の群落Aと向こう側の群落Cは10年前までは連続した群落でした。しかし、多摩川の河川工事で川崎市側の支流を堰き止め、東京都側に流れを一本化した影響で、川崎市側河川敷の乾燥化が進行しました。この結果、オギ群落の面積が著しく減少し、ギンイチモンジセセリの個体数は明らかに激減しました。ただ、ミヤマチャバネはオギ群落をそれほど必要としていない筈なので、今シーズンの個体数激減の主原因だとは考え難いのです。因みに図内Bは外来植物として有名なアレチハナガサ(Verbena brasiliensis)の群落。観察エリアの多摩川中流域では5年程前から急速に繁殖した印象があります。この植物は根茎が極めて頑丈で、洪水でもビクともしません。オギ群落の分断に一役買っていると思っています。果たして来シーズン、ミヤマチャバネはどうなるのか?目が離せません。
by fanseab | 2016-11-17 22:13 | | Comments(2)
Commented at 2016-11-21 21:51
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2016-11-22 21:42
鍵コメさん、コメント有り難うございます。
「オギも使う」のではなくて、「オギ以外のイネ科」は喰いません。
もちろんススキは食いますが、多摩川縁では意外とススキは少ないのですよ。
ミヤチャは春先のギンイチが出る頃確認されるのがベストな方法です。
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