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探蝶逍遥記

広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)

 関西に拠点を移してから是非撮影したかったターゲットがヒョウモンモドキでした。この度、ヒョウモンモドキ保護の会の活動の一環として開催された観察会に参加し、本種を含め賀茂(世羅・賀茂)台地の蝶を堪能してきましたので、3回に分けて、その魅力をご紹介したいと思います。

 ご承知の通り、ヒョウモンモドキは環境省が規定したレッドカードリストで最も絶滅の危機に瀕している「絶滅危惧Ⅰ類」扱いで、上記保護の会を中心とした地元の方の献身的な保護活動でやっと生き延びている貴重種です。観察会は6/17-18の両日の予定でしたが、6/16(金)に思い切って年休を取り、2日間かけて勝負しようとの作戦です。

 と言っても、初日はポイントを正確に把握しているわけでもないので、下見のつもりで休耕田の様子を探索です。午後になって、何気なく入った休耕田に「ヒョウモンモドキ保護地区」の看板が。そこでは明日以降の観察会に備えて地元の方が歩道周辺の潅木や下草刈りに汗を流されていました。声かけして、撮影の許可をもらい、畦道からの観察です。かなり蒸し暑い薄曇のなか、1頭が飛び始めました。大型ヒョウモンとは異なるエレガントな姿。もう少し弱弱しい飛翔を想像していましたが、意外と敏捷で、昨年、但馬の高原で観察したウスイロヒョウモンモドキに比較すればはるかに活発な印象を受けました。確認するとどうやら♀。少しスレていますが初めて出会った個体です。なんとか綺麗に写してあげなくては。暫く観察しているうちに雲が切れて快晴状態に。そこで、fisheye縦位置広角で太陽の輝きを画面に入れた作画にしてみました。
広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)_f0090680_9183022.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=400、F20-1/200、+0.3EV、内蔵ストロボ

 陽射しが強くなってきたので、ノアザミに来る吸蜜個体も増えました。先ずは新鮮な♂を逆光で撮ったシーン。
広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)_f0090680_9191032.jpg
D70, ISO=500、F10-1/160、+0.3EV

 引き続いて開翅吸蜜シーン。♂は後翅外縁側の斑紋が♀に比べて発達せず、明るい印象です。ちょっぴりスレた個体で残念でした。
広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)_f0090680_9193246.jpg
D70, ISO=500、F13-1/250

 新鮮な♀を期待して、ふと足元を見るとパタパタと一際色濃い個体が羽ばたき練習状態。羽化したばかりの個体でした。翅を拡げての日光浴シーン。レンズを通して見る複雑な斑紋に暫し見入ってしまいました。特にこの個体は黒班の発達が著しいようで、飛翔時もオレンジ色というよりは、濃褐色のイメージでした。
広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)_f0090680_9201768.jpg
D70, ISO=640、F13-1/320

 保護地区では撮影のため、湿地の中に踏み入れるのはご法度とされています。撮影アングルに苦労する中、↑と同じ個体を畦道脇からギリギリ狙える位置からfisheye横位置で開翅シーンを撮影。このレンズの接近限界近く目一杯寄ったので、生息環境を狙い通りに写しこめました。午後3時を過ぎた斜光線がヒョウモンモドキの表情をより美しく演出してくれたようです。
広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)_f0090680_9221278.jpg
D70S-10.5, ISO=500、F14-1/200

 撮影の途中で保護の会、事務局長のSさんやIさんらが成虫の活動調査に来られたので、ご挨拶。調査の苦労話等をお伺いする。このポイントではアサギマダラのようにマーキングされた個体を見かけましたが、個体識別をしながら蝶の行動半径等を調査されているとのこと。本当に地道な行動調査活動です。Sさん、Iさん、貴重なお話、撮影へのご配慮、有難うございました。
 事務局の方が引き上げるのを潮時に、小生も本日の撮影はこれにて終了。明日(6/17)はいよいよ観察会です。

【本種の撮影を予定されている方へのご注意】
 ヒョウモンモドキの生息地は当然採集禁止ですが、撮影行為にも格段の注意が必要です。以下に留意すべきでしょう。
①休耕田と言え、ポイントは私有地故、無断での立ち入りは厳禁。必ず地権者の了解が必要。
②また、狭い農道に車を横付けして農作業に支障をきたすことのなきよう、駐車場所にも留意。農作業をされている方への声かけ等のコミュニケーションを取りましょう。
③畦道から外れて湿地内への立ち入りも厳禁。食草のキセルアザミ類は保護活動の一環で移植や増殖等、格段の努力が払われています。食草を踏みつけて、幼虫や蛹にダメージを与えたら自殺行為になります。
 厳しい書き方をしましたが、末永く本種を撮り続けていきたいのは小生も同じ。撮影者としてモラルを守って写したいものです。
by fanseab | 2006-06-18 09:37 | | Comments(12)
Commented by banyan10 at 2006-06-18 12:13
今年も行けませんでしたが、保護活動の成果が嬉しいですね。
最初と最後の広角2枚が素晴らしいです。
休みを取っての遠征に気合いが感じられます。続きも楽しみです。
Commented by furu at 2006-06-18 17:40 x
毎年行こうと思いながらも行けてないヒョウモンモドキ、来年こそは・・・
縦魚眼も横魚眼も生息環境がよく写し込まれて秀逸です。
Commented by kenken at 2006-06-18 18:47 x
いつまでも、ヒョウモンモドキが飛び続けることを願っています。
青空のお天気でよかったですね。はやり、FANSEABさんは日頃の行いがよろしいようで。魚眼の広角、うっとりして拝見させていただきました。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2006-06-18 19:50
どうも遠征お疲れさまでした。今年は残念ながら行けませんでしたが、FANSEABさんの写真で行った気になりました。写真の方は流石にどれもこれも目から鱗です。特に広角が良いなあ。
Commented by maeda at 2006-06-18 19:52 x
ヒョウモンモドキ、いい蝶ですよね。
マイポイントが有ったのですが、健在か分かりません。
毎夏、遊んでもらいました。
Commented by fanseab at 2006-06-18 21:40 x
BANYANさん、保護活動は現地で実態を見ると本当に大変な労力が払われていることがわかります。従って、一枚一枚心を込めて撮影させてもらった感じです。写真撮影の初心に還っての撮影行でした。
Commented by fanseab at 2006-06-18 21:42 x
furuさん、毎度どうも。ひょっとして来られているのでは・・・と思いましたが。来年こそは、是非、元祖縦位置広角を狙ってください。狙う価値のあるタテハです。
Commented by fanseab at 2006-06-18 21:46 x
kenkenさんのアドバイス通り、長靴は必携でした。
>・・日頃の行いがよろしいようで。
→穴があったら入りたいですが(^^;; この時期、年休を取るのはギャ ンブルですが、晴れたのは本当にラッキーでした。
Commented by fanseab at 2006-06-18 21:49 x
ノゾピーさん、この時期、どの蝶を撮るか?やはり迷いますよね。でも来年は是非どうそ。ウスイロとはまた別の魅力のある蝶ですヨ。
Commented by fanseab at 2006-06-18 21:52 x
maedaさん、おそらくこの蝶については相当突っ込んだ調査をされたのではないでしょうか?現在、点在するポイントは本当に限定されてきたようです。もちろん、世羅台地のどこかには人知れず、ひっそりと生き延びている場所があるかもしれませんが・・・。
Commented by thecla at 2006-06-18 21:52 x
行きたい、行きたいと思いながら撮影チャンスの無いヒョウモンモドキがうっとりするような魚眼画像で。1枚目太陽の輝きまで入っているなんて素晴らしい。
撮影行為での注意点は、おっしゃるとおりですね。むしろ保護を訴える側の撮影者だからこそ、マナーには注意を払うべきですよね。
ヒョウモンモドキに限らず、どんな場合でも気をつけないといけませんね。
Commented by fanseab at 2006-06-18 22:02 x
theclaさん、こちら関西に居るとオオルリシジミの観察会に対して、同様な気持ちになりますね。撮影ポイントは保護地のため、作画に制約を受けるため、魚眼は有用であると実感しました。
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