人気ブログランキング | 話題のタグを見る

探蝶逍遥記

台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1

 トップバッターはタイワンモンシロチョウ(Pieris canidia)♀。

+++画像はクリックで拡大されます+++
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20493457.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月11日、13時58分

 文字通り、台湾では最普通種ですけど、今回遠征時期が世代の狭間なのか、個体数は少なく、上記証拠画像がやっとの有様でした。お次はウスムラサキシロチョウ(Cepora nadina eunama)♂。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20495971.jpg
D71K-34VR、ISO=500、F10-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月14日、10時46分

 本種の♂は今回初撮影になります。熱帯シロチョウ♂としては裏面が例外的に暗化した種と言えましょう。次いで♀の産卵行動シーン。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20501351.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=1000、F7.1-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月14日、10時26分
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20503039.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=1000、F7.1-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月14日、10時27分
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_2051135.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=1000、F7.1-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月14日、10時28分

 
 林道北側の急傾斜地でフワフワ飛ぶシロチョウ♀を発見。産卵挙動中の♀だろうとは思いましたが、種判定は帰国後にやっとできました。相当暗い環境で、置きピンではなく、マニュアルフォーカスで追跡・撮影するものの、やはりピンボケ画像の連発でした。2コマ目は完璧ピンボケですが、翅表確認のため証拠画像としての掲載です。母蝶は他の♀同様、ホスト確認のため前脚タッチを繰り返しながら(↑の1コマ目)飛翔していきます。本種は♂♀共に後翅裏面全体に黄色鱗粉が散布されておりますが、この♀も飛び古しており(3コマ目)、後翅基部にのみ黄色鱗粉が残っております。♀は一度腹端を曲げたように思えましたが、急傾斜地のため、産卵場所含め確認はできませんでした。ホストはフウチョウソウ科の毛瓣胡蝶木(Capparis sabiaefolia)や大果山柑(C.sikkimensis)とされています(※)。因みにスモークサーモン料理に必ず付いてくる緑褐色の粒「ケッパー」は本属の属名由来です(セイヨウフウチョウボク:C.spinosa の蕾を塩漬けしたもの)。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
<11/16追記>
 一部画像掲載を失念しておりましたので、追加アップです。ウスムラサキシロチョウと同属のタイワンスジグロチョウ(Cepora nerissa cibyra)♀です。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_10501824.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=320、F11-1/400、+0.3EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月13日、11時01分

 台湾で本種に出会ったのはこれが初めて。しかも本種を撮影するのは南ベトナム(外部リンク以来、7年振りです。更に♀撮影もこれが初めて。ウスムラサキ同様産卵行動中と判断しましたが、産卵現場の確認はできませんでした。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 4種類目は4年前にも同じ林道で出会ったクモガタシロチョウ(Appias indra aristoxemus)♂。最初は4頭からなる吸水集団。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20512354.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/400、-1.0EV、撮影月日・時刻:5月11日、13時29分

 台湾到着翌日、台風関連の雨がようやく上がった車道上に群れておりました。前回4年前は晩秋で個体数が少なく、単独吸水画像のみでしたが、今回何とか吸水に集う絵が撮れました。この近辺では2月頃、花吹雪のようなクモガタの大吸水集団が観察できるとのことで、いつか見てみたいものです。お次は単独吸水画像。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20514048.jpg
D71K-34VR、ISO=200、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月13日、10時09分

 この個体は鮮度がやや悪く、裏面の黄色鱗粉が少し脱落して白っぽく見えます。撮影時の気温は吸水集団の画像と比較して高いので前翅を高く上げており、かなり印象が変わって見えます。次は同じ♂の吸蜜画像。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_20515666.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/3200、-0.3EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月13日、8時56分

 残念ながらこの個体も結構スレておりますが、前翅裏面全体の斑紋を確認するには申し分ない絵になりました。この時、連射中に偶然撮れた飛翔画像がこちら。
台湾台東縣遠征記(5)シロチョウ科その1_f0090680_2052759.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/3200、-0.3EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:5月13日、8時56分

 「雲形」模様が出現する結構複雑な裏面に比較して、表翅は明快なシロチョウ模様ですね。本種も普段全開シーンを披露するチャンスが殆どなく、表翅は飛翔で撮るしかありません。
<次回へ続く>


<参考文献>
※ 林春吉・蘇錦平,2013.台灣蝴蝶大圖鑑.綠世界工作室,宜蘭.
by fanseab | 2015-11-14 21:05 | Comments(4)
Commented by himeoo27 at 2015-11-15 19:01
八重山諸島にはのべ10回近く撮影に出かけて
いますが
1度だけ出逢えた「タイワンモンシロチョウ」
の証拠写真をのぞくと
他の2種は名前も聞いたことがありません。
台湾は蝶種豊富ですね!
Commented by Sippo5655 at 2015-11-15 20:57
台湾のチョウチョさん~
楽しませて頂いております!
クモガタ・・・シロチョウ!?
こんなチョウチョがいるんですか。
集団吸水、2月に!?
台湾の2月って季節は何?
気温は何度くらい??
Commented by fanseab at 2015-11-15 23:13 x
himeooさん、八重山で過去に、クモガタシロチョウは
迷蝶としての記録があります。コメント欄の小生ハンドル名に該当サイトのアドレスを組み込んでいますので、「fanseab」をクリックしてみてください。
流石にウスムラサキシロチョウは記録がなさそうです。
Commented by fanseab at 2015-11-15 23:23 x
Sippo5655さん、亜熱帯~熱帯にはべらぼうな種類のシロチョウが
いて、和名を付けるのが大変ですね。裏面が「雲形」模様を呈するシロチョウは
これ以外にも結構いるんですけど・・・。
台東縣低地での2月は東京の10月あたりの気候です。丁度過ごしやすい頃合ですが、
この地方は曇りがちの天気が多く、蝶撮影には結構苦労します。
名前
URL
削除用パスワード