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探蝶逍遥記

アゲハチョウの越冬蛹(1月下旬)

 拙宅近くの飲食店脇にカラタチが植えてあって、以前からこの植え込みを探索がてら眺めておりました。時期も時期ですので、Papilioの越冬蛹がいないか?カラタチの株およびその周辺をチェックしていたところ、道路側の窓枠にナミアゲハの越冬蛹を発見。

++横位置画像はクリックで拡大されます++
アゲハチョウの越冬蛹(1月下旬)_f0090680_2127380.jpg
D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時48分

 体色は見事なまでにこの木枠と同化しておりました。確か平賀壮太博士でしたか、「アゲハチョウ蛹の体色は蛹化時の付着物体の平滑性に依存し、周囲の色とは無関係」との経験則を提示されていました。この理屈からすると「粗面だから褐色系になる・・・」はずですが、今回窓枠に付いた個体を眺めると窓枠の粗度だけではなく、やはり「窓枠の色」も感じ取って蛹化したのではないか?との疑問が湧いてきます。周囲の環境を対角魚眼で描写してみました。
アゲハチョウの越冬蛹(1月下旬)_f0090680_21275931.jpg
D7K-10.5-X1.4TC、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時49分

 人通りの比較的少ない日曜日の午前中とは言え、歩道脇にしゃがみ込み、ストロボを焚きながら怪しげに撮影している管理人に対し、道行く人は好奇の視線を浴びせながら通り過ぎていきます。撮影が終わると厳冬の中、冷や汗が出たのでありました(^^; 
 さて、管理人も人影を気にしながらの撮影でしたが、この蛹も蛹化してからこの方、一体何名の通行人を眺めて過ごしてきたことでしょうね。一日500名として1ケ月で15000名。いやいやもっとかもしれません。そして待望の羽化に至るまで、この先、何人の人影を見続けねばならないのでしょう。無事に羽化するまで寒さ厳しい冬が暫く続きます。
by fanseab | 2013-01-29 21:29 | | Comments(10)
Commented by himeoo27 at 2013-01-29 22:40
アゲハチョウの蛹とんでもないところにくっついていますね!
逆に寄生昆虫が少なくて生息環境としては良いのかな?
Commented by 6422j-nozomu2 at 2013-01-29 23:29
ナミアゲハ蛹、無事羽化することを心から祈っております。多分3月中かな。なかなか人工物との対比が面白く興味深く拝見いたしました。
目立たないようにDNAが作動しているのかもしれませんね。平賀先生を超越した何かがきっと働いているように思えます。
人通りが多い場所での撮影は、確かに変な汗をかきます。私も極力避けますが、気持ちを抑えきれない。(笑)
Commented by naoggio at 2013-01-30 07:53 x
飲食店脇にカラタチですか。刺があるのに珍しいですね。
アゲハの蛹が人工物に付着しているのは何度か見た事があります。ずいぶん昔の事なのと、色についてあまり考えていなかったのではっきり覚えている訳ではないのですが、色合わせしているのとそうでないのがいたような気がします。
この蛹は見事に溶け込んでいますね。
アップで見ると部分的に窓枠のペンキが撥ねたのではないかと思うくらいそっくりな所があります。面白いです。
かなり低い位置のようなので子供にいたずらされないか心配です。
↓↓のビーティングについてお答えしておきます。
あの時はスーツケースに入る長さの伸縮アルミ竿を持っていました。
伸ばしても2メートルくらいのものですので、せいぜい高さ3〜4メートルくらいの所を叩いていました。
海岸に近い所だったので樹の高さが比較的低く、そんな茂みの中程を叩くとムラツの類が飛び出しました。
ビーティングしても下に降りて来る事は稀なので撮影にはあまり意味がないかもしれませんが、コンパクトな渓流竿とか持っていたらちょっと面白いかもしれませんね。甲虫なんかも落ちてきそうです。
公園内では怒られそうですね。
Commented by OTTO at 2013-01-30 09:12 x
fanseabさん、こんにちわ。
久しぶりに覗かせていただきました。
昨年末以来、ネットの使えない環境におりました・・・汗;
相変わらず、オフシーズンでも身近なところで丁寧な観察をしておられますね。頭が下がります。w
褐色型と緑色型の蛹の表れ方については、まだ定説が定まっていないということになるんでしょうかね。越冬の場合は必ず褐色と決まっているわけでもないのかな?
Commented by fanseab at 2013-01-30 23:24 x
himeooさん、アゲハチョウの終齢幼虫は蛹化時に食樹から相当離れた場所まで移動することが多いです。気に入った場所であれば天然物、人工物を問わず蛹化してしまいますね。
寄生蜂等は都会や田舎に関係なく、蛹を察知して遠方から飛んで来るのでこの場所は必ずしも安全ではないでしょうね。
Commented by fanseab at 2013-01-30 23:27 x
ノゾピーさん、人通りの多い場所での蝶撮影は成虫、幼虫問わず神経使いますね。まぁ、そのような場所や環境を描写したいがために撮影しているので、仕方ないことです。対角魚眼はこうした雰囲気描写にはピッタリのレンズなので、よく使用します。
Commented by fanseab at 2013-01-30 23:33 x
naoggioさん、柚子なら店の食材に使うとか考えられますが、カラタチはどうなんでしょう。この蛹のかすれた部分は仰る通り、窓枠の木材がかすれた感じにそっくりなんですよ。店の主人がズボラな人で窓枠の掃除を春までしないことを祈っております(笑)
ビーティングの件、詳細なご教示有難うございます。小生も国内で航空機対応で渓流竿を遠征に持参したことがあります。この手の竿は高価な割に先端が壊れやすくて、とても神経使いますが、次回の海外遠征では渓流竿も検討したいと思います。
Commented by fanseab at 2013-01-30 23:37 x
OTTOさん、ちょっとご無沙汰です。
冬場のブログネタに越冬卵や越冬蛹は格好の材料なんで、必死に探しております。越冬蛹の体色について、貴殿も恐らく経験されていると思いますが、緑色型の色相は特別な変異がないと思います。一方、「褐色型」は褐色とは言えない灰色タイプから今回ご紹介したような濃茶褐色までバリエーションが広いと思います。この変異幅を単に粗度の差で議論するのはいかにも乱暴な気がしております。
Commented by Sippo5655 at 2013-02-01 22:18
アゲハの蛹!!
よく見つけられましたね。
我が家の狭い庭にはミカンとユズの木があって
幼虫はいっぱいいたのですが、蛹は全く見つけることができません。。
人通りの多い場所で
人々の喧騒もまた、この蛹に元気を与えてくれていることを願いたいものです・・・
撮影の心境、よくわかります^^;
明日は4月並みの気温になるようですね。
自然界、どんな動きがみられるのでしょうか・・・
Commented by fanseab at 2013-02-02 10:59 x
Sippo5655さん、アゲハは蛹化時に食樹から相当遠くまで逃走するので、意外と発見できませんね。今回見出した個体以外にお店の入口の壁にも蛹殻が付いていました。恐らく道路側に逃げ出して車に轢かれて★になる個体もいることでしょう。
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