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探蝶逍遥記

アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)

 前週惨敗したミヤマシジミ越冬卵探索のリベンジ、および兄弟格のアサマシジミ越冬卵のダブルゲットを画策して山梨に乗り込みました。前日夜、天気予報の綺麗なお姉さんが「絶好の行楽日和になるでしょう」と微笑んだので、彼女を信じて出発。同じ予報を皆さん聞いたのでしょう、中央高速は小仏トンネルを抜けるまでの大渋滞。しかし天気はというと、予報に反して小雨が降る有様。これは彼女に裏切られた~と思いが募ります。先ずはアサマポイントに8時5分着。冷たい風が吹く中、早速探索開始。1時間粘って卵を発見できなければ諦めることに。しかし、予定の1時間を過ぎても作業が終わらず、延長戦に突入。途中で探索すべき食樹を間違えていたことが分かり、慌ててナンテンハギを再探索。ただナンテンハギは株数が少ないのでそれなりに効率的にできます。そうして捜索開始から2時間経過した10時過ぎ、ようやく同時に2卵発見! 苦労が報われました。卵を発見した株は雨風の影響か、なぎ倒された状態にありました。                                                                                                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_23251419.jpg
GXR@5.1mm、ISO=320、F7.2-1/80、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時40分

 株を立てた状態でも撮影。指でつまんでいるのがその株。
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_23252772.jpg
GXR@5.1mm、ISO=320、F7.2-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時40分

 株の全高は105cm。卵は地上高27cm、45cmより2卵発見。各々の産卵状況です。
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_23254755.jpg
GXR@5.1mm、ISO=320、F7.2-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時39分
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_23255560.jpg
GXR@5.1mm、ISO=320、F6.5-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時44分

 地上高27cmの卵は枝の分岐基部に産み付けられており、丁度、オオミドリシジミ越冬卵が好む位置に似ています。他方はやはり枝の分岐近くで開裂した溝に産まれています。こちらは近くに新芽もあり、孵化後に新葉に辿りつくのが容易でしょうね。卵を最初に発見した時の第一印象は「とにかくデカい!」に尽きます。ツバメシジミやクロツを眺めていた目には二回り以上大きく感じました。その拡大像です。
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_1402516.jpg
D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成処理)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:10時57分

 直径は0.95mm。非常にゴツゴツとして全体に無骨なイメージです。中央部が少し凹んでいて周辺部は金平糖を想起させます。外壁はラフな構造なので、常用しているX10ルーペでも微構造がある程度確認できます。その意味ではミズイロオナガシジミの越冬卵に似た印象かもしれません。先ず無理だろうと諦めていたアサマの越冬卵が首尾よくゲットできたので、気分も晴れやかに次のミヤマポイントに向かいました。今回のポイントは管理人が初めて訪問する場所で、前回訪問ポイントよりは個体数が多いと目され、母蝶がまだ飛んでいる可能性があるため、母蝶産卵シーンとダブルゲットの欲張りな事を画策しておりました。しかし、現地に着いてみると、陽射しは改善されず、冷たい風が吹く有様。足元からミヤマ♀と思しきシジミが飛び立ちますが、飛び古したベニシジミでした。そのベニシジミも自発的に活動できる気温ではなく、モンキチョウも下草でジッと静止している状態。仮にミヤマ♀が生き残っていたとしても活動を望める状態ではありません。仕方なく、一面に生えている膨大なコマツナギと格闘せねばなりません。流石に途方に暮れました(^^;

 どの株から手をつけるべきか悩んだ末、なるべく丈の高い株を選んで探すことに。そうして30分後、コマツナギの茎上からようやく待望の1卵を発見。早速メモしようとメモ帖をゴソゴソ取り出している内に場所を見失ってしまいました。「やってしもた~」ちょっとめげましたが、同様な茎を探して更に20分後、ようやくもう1卵を発見。ヤレヤレでした。産卵状態です。
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_2327102.jpg
GXR@5.1mm、ISO=320、F6.5-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時21分

 地上高3cm、意外な事に南向きに産卵されています。よほど乾燥に強いのでしょう。地表スレスレだと拡大像システムの前玉レンズを地面に擦り付けるような位置になり、結構苦労しての撮影。何とか拡大像をゲットしました。
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_1404146.jpg
D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成処理)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:13時35分

 こちらはアサマに比較してえらく小さい印象。それもそのはず、直径0.63mmはツバメシジミとほぼ同一。精孔部のある面が外壁よりかなり窪んでいて、最初卵を発見した際、寄生卵かな?と思った次第。微構造は大変特徴があって、外壁部の網目構造が卵の中心部に近い位置まで迫り出している点と網目の突起高さが高いように思います。全体の印象としてはスペインの鬼才・ガウディのデザインを彷彿とさせるものがあります。アサマとミヤマの比較像もアップしておきましょう。
アサマ&ミヤマシジミ越冬卵の探索(10月下旬)_f0090680_1405489.jpg


 大きさ、構造差は一目瞭然ですね。今回、所謂「ブルー3兄弟」の長兄格のアサマ、次男?のミヤマ越冬卵の撮影に成功いたしました。こうなると三男坊のヒメシジミの越冬卵撮影にトライしなくてはなりません。成虫に関しては3兄弟で最も普通種であるヒメシジミですが、卵の探索は逆に最難関となる事が予想されます。理由は食草が多岐に渡り、産卵場所もマチマチであることです。まぁ、道路が凍結するような寒波が襲来する前に何とかヒメシジミ越冬卵も料理したいと思っております。卵の微構造はアサマに酷似しているとの記述もあります。一体どんな顔付きをしているのでしょうか? 
by fanseab | 2012-10-28 23:32 | | Comments(14)
Commented by cactuss at 2012-10-29 20:40
アサマシジミ、ミヤマシジミの卵を発見するとはすごいですね。
卵の拡大写真も鮮明できれいですね。こんな模様なんですね。
今度、機会があったら探してみたいと思いますが、大変そうですね。
Commented by fanseab at 2012-10-29 22:26 x
cactussさん、何とか粘って見つけることができました。
アサマは個体数がさほど多くないポイントなので、ラッキーでした。
卵の微構造はお互い独特で、インパクトのある印象ですね。
探すならやはりミヤマの方が楽かもしれません。
Commented by nomusan at 2012-10-29 22:35 x
凄いですねぇ・・・・。ひたすらリスペクトです。
いや、これはええお話しを読ませて頂きました~。
もちろん、画像も。

綺麗なお姉さん、はずしよりますよねぇ~・・・・
けど、「この時期、予想するのって難しいんですよねぇ~。」
って言われると、「そやろなー。まぁ、しゃあないよなぁ。」
って思ってしまうんですよね~(笑)。
Commented by clossiana at 2012-10-30 12:26
すでに枯れている植物から食草を見分けられること自体も凄いですが、更に卵まで見つけられるとは驚異そのものです。しかし撮られた卵の美しさを見させて頂くと、本当に探すのに努力された甲斐がありますね。撮影、おめでとう御座居ます。又お疲れさまでした。
Commented by naoggio at 2012-10-30 14:37 x
またまた快挙達成ですね。おめでとうございます。
それにしてもアサマとミヤマでこんなに違うとは・・・
成虫からは想像もつきません。どちらも美しいです。
ヒメシジミ・・・確かに何処を探したら?という気はしますが、
fanseabさんなら美味しく料理して下さる事でしょう。
楽しみにしております。
Commented by OTTO at 2012-10-30 17:39 x
カメコメントで失礼。汗;
いやぁ~、アサマとミヤマの卵を枯れ枝から発見されるとは、なんという根気・眼力・貫遂力でしょうか。
わたしなど、これらの成虫さえまだ数えるくらいしか見ていないというのに。笑
ヒメシジミは、おっしゃるとおり、数は多いというものの、ヨモギ喰ったりしてますから、雌の産卵現場を押さえているのでない限り、なかなか難しいでしょうね。
でも、fanseabさんならその持久力と忍耐力でバッチリ見つけちゃいそうですね。
Commented by banyan10 at 2012-10-30 20:38
コマツナギは知っている生息地なら枯れていても何とかなりそうですが、ナンテンハギは花が咲いていないと自信ありません。(^^;
卵の撮影はもう見事としか言えませんが、2時間探す忍耐力に敬意を表します。
ヒメシジミは産卵行動も見たことないのですが、ヨモギが幼虫は見つけやすいという話もあるようです。卵は難しいでしょうが、期待しています。
Commented by Sippo5655 at 2012-10-30 21:00
卵探検、楽しそうですね!
でも、探すだけでも大変そう・・・

我が家の庭では確実にヤマトシジミが繁殖しているのですが、
その卵も幼虫すら、見つけられません;_;
虫めがねが無いとだめなのかな。
なんか、今日は珊瑚に見えてきました!
Commented by fanseab at 2012-10-30 21:04 x
nomusan、コメント有難うございます。
綺麗なお姉さんが「好天です」と微笑むと絶対信じちゃいます。
で、外れても、何故か許してしまい、これが男性キャスターだと
「真面目に予報せんかい!」と怒ったりします。男って単純です
ね(爆)。真面目な話、自宅のある神奈川と山梨では天候にかなり
の差があるので、正直天気予報はあまり当てにせずに
出かけることが多いのですよ。
Commented by fanseab at 2012-10-30 21:08 x
clossianaさん、ホストのナンテンハギもコマツナギもこの時期、枯れてはいません。丈の高いハギ類は根元から相当高い位置まで葉が出ていませんが、先端部の葉の形状でホストか否かを見分けています。葉が付いていなければ、流石にナンテンハギかは同定できませんよ。探していた卵が見つかれば、それまでの疲れは吹っ飛びますね。
Commented by fanseab at 2012-10-30 21:11 x
naoggioさん、仰る通り、成虫の大きさとか斑紋とかから想像する卵の直径、構造は全く異なるのが面白いところです。予測できたら、逆につまらないかもしれません。それと、卵の直径にはどうやら個体(群)変異があるように思います。ヒメも何とか頑張ってみたいと思います。
Commented by fanseab at 2012-10-30 21:13 x
OTTOさん、clossianaさんにもコメントしましたが、食樹はこの時期枯れてはいません。枯れていては探しようがありません。プロなら発見するかもしれませんが。ヒメシジミの方も皆さんからの激励を胸に頑張ってみたいと思います。
Commented by fanseab at 2012-10-30 21:18 x
BANYANさん、ナンテンハギは葉の形状に特徴があり、途中で探索すべきホストを間違えていたと気が付いたのも、葉を注視したからです。ゼフ越冬卵もそうですが、アサマを最初に発見したので、類似した環境からミヤマもそれなりに早く発見できたと思います。何となく、母蝶が好きそうな環境が類推できたからです。
ヒメはヨモギが多いのですか?ヨモギなら小生でも探しやすそうですね。メモして探してみたいと思います。
Commented by fanseab at 2012-10-30 21:24 x
Sippo5655さん、有名三脚メーカーサイトでのブログ紹介おめでとうございます。これからも素敵な画像期待しております。
越冬卵探しは昨シーズンから始めて、すっかりハマってしまいました。とても根気がいる作業ですが、将に宝探しで、発見した時の喜びは成虫探索以上のものがあります。ヤマトシジミは卵はともかく幼虫は意外と発見しずらいですね。葉の上にいないこともありますから。サンゴですか?そう白い珊瑚礁にも見えますね。
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