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探蝶逍遥記

普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ

 モンシロチョウと並んで普通種の代表格のアゲハチョウ。特に春型は、この時期、蝶屋はどうしてもギフを追いかけるので、ナミアゲハの撮影は疎かになりますね。例の図鑑プロジェクトにおいて、やはりと言うか、ナミアゲハ♂裏面が今春撮るべき課題に挙げられています。管理人はこの課題にも取り組むことにしました。先ずは、近所でと、モンシロを撮影した小川沿いを探索。運よく新鮮な♂開翅(表面)画像は何とか撮れました。最初は300mmで。                                                               ++画像はクリックで拡大されます++                          
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0104160.jpg
D90-34、ISO=400、F10-1/800、-0.7EV、撮影年月日・時刻:4月18日、9時18分

 菜の花とのコラボで春らしく仕上がりました。お次は85mmで図鑑用に。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0105249.jpg
D5K-85VR、ISO=200、F9-1/500、-0.7EV、撮影年月日・時刻:4月18日、9時21分

 ただ、♂開翅は既にどなたかの撮影された画像で候補作品があるので、これは補欠用でしょう。この日は北風が吹くコンディションで、翅を閉じることもなく、閉翅撮影を狙っていた管理人の目論見は見事に外れました(^^;

 さて、日を改めて24日。この日は前日の大雨が上がって、好天が予想されました。新潟ギフも頭をよぎりましたが、敢えてナミアゲハ♂閉翅にチャレンジすることに。この時期、ギフをパスしてナミアゲハを選択するのは相当に勇気が要りますね(笑)。ポイントは柑橘類の多い場所から、神奈川県西部を選択。閉翅撮影をどうしたら実現できるか?少し考えてみました。可能性は次の3つ。①蛹から這い出た羽化直個体を狙う。②夕方の休眠直前を狙う。③吸蜜でホバリングしている最中の閉翅の瞬間を狙う。これらで一番現実的なのは、③だろうと睨んで彼らが吸蜜しそうな場所で待機することに。最初はタンポポ群落で待ちますが、全く出現せず。一度キアゲハ♂(これも閉翅が課題です)が飛んできたものの全くかすりもしません。ここを諦めてウロチョロすると、ダイコンの畑に飛来する個体を目撃。ここで暫く待機することにしました。これが正解でした。10時前後には、30分間隔で吸蜜に来てくれました。最初は♀。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0113855.jpg
D90-34、ISO=400、F10-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:4月24日、9時45分

 少しスレ品ですが、春型をきっちり撮るのはこれが初体験。お次は問題の♂。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0121584.jpg
D90-34、ISO=200、F5.6-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:4月24日、10時24分

 ここは敢えて裏面側をアップします。ギフの後翅肛角部赤班が外縁側に拡散する個体を「赤上がり」と呼ぶようですが、ナミアゲハ春型の裏面も赤班が滲むように拡散して、夏型とは別格の美しさだと思います。次いで、オーソドックスに半開翅の表情です。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0124446.jpg
D90-34、ISO=200、F7.1-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:4月24日、10時28分

 この画像は通常より大き目でのご紹介です(クリックして拡大画像を是非ご覧ください)。ナミアゲハ(Papilio xuthus)は「並」を冠していますけど、東南アジア全体を俯瞰してみると、分布が東アジアに極限された「並ではない」独特な存在です。フィリピン産の珍品、ベンゲットアゲハ(P. benguetanus)を除けば、この手の白黒の斑紋を有するPapilio属は他に存在しない訳で、日本人は少し拘って写すべきではないでしょうか? 薀蓄はさておき、別のアングルからの♂です。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0132073.jpg
D90-34、ISO=400、F8-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:4月24日、10時37分

 アゲハのストローには、ダイコン花弁の黄色い花粉が沢山付いているのが面白いですね。ところで当初からトライしていた「吸蜜ホバリング中に閉翅状態を狙う」試みは相当に難しいことを痛感しました。どうもダイコン花弁の蜜量は思いの他少ないようで、吸蜜時間が極めて短く、1-2秒吸蜜しただけで、次の花弁に移動します。ここでご紹介した画像は飛翔撮影と同様に手当り次第に乱射した画像から何とか拾い上げたものです。結局、閉翅画像らしきものは、300mmでのトライでは難しく、たまたまトライした85mmで撮ることができました。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0133462.jpg
D5K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/2000、-1.3EV、撮影年月日・時刻:4月24日、10時57分

 しかし、この絵も後翅がこちら側に捲り上がっていて、ピントも甘いし、某図鑑編集長はNGとするでしょうね(笑) ブログ仲間(読者)の皆さん、ギフを撮るついでにアゲハ♂閉翅も是非頑張ってくださいね。今回トライしたダイコンの花はとても春らしくて、アゲハ春型との相性は良いように思いました。春らしいと言えば、やはりタンポポとのコラボも重要です。帰りしな、何とかボロ個体ですが、タンポポとのツーショットもゲットできました。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0135821.jpg
D90-34、ISO=400、F8-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:4月24日、10時37分

 完品だったら、最高の場面でしたが・・・(^^;  タンポポの吸蜜時間も相当に短くて狙って撮れるものではないようです。最後は普通種同士の飛翔シーンで締めくくることにしましょう。
普通種の美しさを味わう(2)アゲハチョウ_f0090680_0141549.jpg
D5K-85VR(トリミング)、ISO=200、F4-1/4000、-0.7EV、撮影年月日・時刻:4月24日、11時32分

 ダイコン畑でアゲハ♂を追尾するモンシロ♂です。共に普通種ですが、モンシロと比較することで、春型アゲハ♂の大きさがよくわかる絵になったと思います。それにしても、いざと言うときのモンシロの飛翔スピードは凄く速いものですね。何はともあれ、春型ナミアゲハの美点を堪能することができました。
by fanseab | 2011-04-26 00:19 | | Comments(14)
Commented by ダンダラ at 2011-04-26 11:00 x
この時期にナミアゲハの閉翅撮影に重点を置くのは、ほんと勇気要りますね。
見慣れた蝶なのに、写真のストックがないのはそれだけそんなチャンスがないということなので、アゲハの発生地に行って、早朝か夕方に撮るかしないと難しいでしょうね。
我が家近くはなぜかアゲハ類がほとんどいなくて、せいぜいキアゲハを見かけるだけです。
Commented by yoda-1 at 2011-04-26 18:49
これまでのこだわりは、さすがに使命感いっぱいで素晴らしいです。
そもそもアゲハ類は閉翅状態になるのが、吸蜜時にしても、吸水時にしても、自重を支えるために小刻みに羽ばたくことが多く、ごく希ですよね。
ばたばたしているときを連写して、例示にあるような画像にするしかないことも多いのでしょう。
和名によく付く「ナミ」にはなかなか馴染めないYODAです。
他の特徴を示した、○○アゲハとした方がスッキリします。
Commented by cactuss at 2011-04-26 21:32
アゲハの写真は他に蝶に比べて、少ない感じがします。
ダンダラさんが言う様にアゲハを目的に撮影に行く事がないからだと思います。
でも、なかなかきれいな蝶だと思います。
課題写真を撮影しようとする努力に頭が下がります。
Commented by fanseab at 2011-04-26 21:46 x
ダンダラさん、意気込んで撮影しても、難しいものは難しいですね。同じ普通種と言っても、アゲハは飛翔力が強いので、どこで待ち構えるのか?色々と悩みます。夕方の休息についても、活動の直前まで追跡しなければならず、結構高い位置で休息していたらどうにもなりません。ギフの♂閉翅も課題になってますが、休息中は直ぐに開翅するため、これまた難しいですね。
Commented by fanseab at 2011-04-26 21:49 x
yoda-1さん、使命感はあっても厳しい課題には変わりませんでした。連射の効くボディをお持ちの貴殿もアゲハ吸蜜にトライされることを期待します。そうですね。「並」は天丼か握り寿司の世界で、蝶の和名には確かに馴染みません。
Commented by fanseab at 2011-04-26 21:51 x
cactussさん、課題写真の撮影目的もあるのですが、今シーズンは昨シーズン同様、アゲハ類の撮影に拘っているので、何とか春型アゲハチョウの吸蜜シーンがゲットできて、自分としては満足しております。夏型は撮影対象であっても、やはりギフとバッティングする春型は撮影対象から外されても仕方ないですね。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2011-04-26 22:10
春型ナミアゲハは勿論美しいと思いますが、没頭するには少し勇気がいります。この蝶に絞って撮影されるあたり、流石でございます。誰もが知っている名蝶であることに間違いはありませんものね。
Commented by banyan10 at 2011-04-27 08:57
春型のアゲハ、翅表の薄い青紋を綺麗に撮りたいと思っていますが、2枚目は素晴らしいですね。
こんな写真を見ると連休中に一度は狙いたいですが、確実な場所がないのが難しいところです。家の周囲でも飛んではいるのですけどね。
Commented by himeoo27 at 2011-04-27 21:00
一昨日、金魚鉢に付いていた我が家のベランダのアゲハチョウの蛹が羽化しましたが、羽化途中で足を滑らせたようで、羽化不全の状態でした。妻が保護して蜂蜜を薄めて飲ませています。せっかく成虫になったのだから長生きして欲しいものです。
Commented by naoggio at 2011-04-27 22:57 x
どの写真も素晴らしいですが、5枚目6枚目、特に私好みです。
素晴らしい写真です。
アゲハチョウをすっかり見直しました。
最後の飛翔も、前景、背景共に美しい夢のような写真ですねえ。
前にアゲハ、後ろにモンシロチョウという所も面白い。最高です。
Commented by fanseab at 2011-04-29 22:29 x
ノゾピーさん、かなり勇気を持っての撮影でした。しかし、撮影の難易度はギフ・カタクリ吸蜜以上に難しかったと思います。吸蜜時間がギフ・スミレと同様に大変短くて、歩留りを落とすのです。それに春型って、よく観察してみると、夏型より遥かに俊敏な感じがして、追跡も非常に厳しかったのです。
Commented by fanseab at 2011-04-29 22:32 x
BANYANさん、2枚目に一票、有難うございます。ベタな絵ですが、アゲハ類は、なかなかこのような図鑑的絵柄で撮らせてくれませんからね。ご指摘の通り、今回もナミアゲハを確実に撮れる場所を知らないので、苦労しました。もちろん、自宅付近でも居りますが、課題撮影を撮れるほど、個体数は多くないのです。
Commented by fanseab at 2011-04-29 22:34 x
himeooさん、越冬していたアゲハの羽化は期待を込めて観察されていたのではないでしょうか?羽化不全は本当にガッカリしますよね。蛹殻から動き出して、枝につかまる時とか、ちょっとしたバランスを崩して、地上に落下すると、体液の巡りが悪くなって、羽化不全になりますね。
Commented by fanseab at 2011-04-29 22:38 x
naoggioさん、5-6枚目に一票、有難うございます。小生もお気に入りの画像ですので、少し大きめの絵でご紹介しております。まぁ、下心として、将来的に撮るであろう、東南アジアの美麗アゲハを仕留める練習でもあるんですが(笑)。
85mmでの追尾飛翔撮影はシューティングゲームみたいな面白さがあります。撃ち落とせた時の快感は嵌りますね。
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