人気ブログランキング |

探蝶逍遥記

オオミスジの産卵その2(8月上旬)

 前回7月下旬に引き続き、首題産卵シーンを狙ってみました。依然として多くの♀がスモモに産卵しておりました。今回の撮影目的は、より理想的な絵を撮ること。具体的には、①ほぼ真横から狙い、②翅と腹端を同時に写し込み、尚且つ③産み出される(出された)卵も同時表現すること。オオミスジはスモモの低い葉から樹冠に近い位置まで様々な部位に産んでいきます。当然、上記三条件を満足させるには低い位置から葉被り・枝被りを避けて撮らねばなりません。最初はほぼ理想的な感じで撮れたショット。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
f0090680_1516273.jpg
D500-34VR,ISO=800,F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:11時48分

 しかし、上記③が表現されておらず、これでは自己評価の「A級ショット」とは言えません。この時、相手にした個体は比較的小さめな株に集中して産んでおりました。産卵行動に集中していると、葉のどこに産むか?産卵部位まで気配りできない場合があるのでしょう。珍しく葉裏への産卵シーンも見ることができました。
f0090680_1517990.jpg
D500-34VR,ISO=800,F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:11時49分

 成り行き上、葉上に掴まるより、葉にぶら下った方が楽だったのでしょうね。この子はこの後、樹高のあるスモモに移動し、産卵を続行。ようやく理想的なショットが撮れました。
f0090680_15173869.jpg
D500-34VR(トリミング),ISO=800,F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:11時51分

 少し見難いですが、腹端には緑色の産附卵も見えております。母蝶も汚損が目立たない個体だったので、見栄えがしました。地上低いスモモの葉に産む場合、時々産むべき葉を間違えることがありました。
f0090680_15175741.jpg
D500-34VR(トリミング),ISO=500,F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分

 これはアケビの葉上に誤産卵した事例です。左下囲み矢印が産附された卵。アケビ葉上からスモモまでは直線距離で僅か数10cmですが、孵化した幼虫にとっては、スモモまで辿り着くのに必死でしょうね。
 次回はその他のタテハチョウをご紹介しましょう。
# by fanseab | 2019-08-21 21:15 | | Comments(0)

コヒョウモンモドキの産卵:その2(8月上旬)

 首題種の産卵シーンについては、8月2日付の記事で既にご紹介済です。今回は産卵シーンのみならず、孵化したての初齢幼虫まで観察できたので、まとめて記事にします。
 最初はクガイソウでの産卵シーン。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
f0090680_1143071.jpg
D500-34VR(トリミング),ISO=400,F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:11時20分

 流石にこの時期になると、母蝶(個体Aとします)も哀れな姿になっています。ここでは産附済の4卵が確認できます。2時間半後、同じ株に戻ると未だ母蝶が産卵しておりました。しかし、良く見ると、この子は先程とは別個体(個体B)。
f0090680_1145011.jpg
EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F6.3-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:12時55分

 この葉裏にはどうやら2卵塊産み付けられています。母蝶が飛び去った翌日、この葉裏を撮影。
f0090680_115718.jpg
TG4@8.9mm,ISO=100,F3.2-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時18分

 左下は210卵塊、右上は76卵塊。右上、左下は各々個体A、Bが産附したものと推定。このクガイソウ株から別途178卵塊を発見。
f0090680_1152783.jpg
TG4@8.9mm,ISO=100,F3.2-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時18分

 葉の主脈上には産み難いのでしょう。主脈上で卵塊に隙間ができています。今回産卵シーンを見出した株は小渓流の畔にあって、数株群れた場所。個体Bの産卵シーンを観察中、別の♀個体も飛来しました。
f0090680_1161419.jpg
EM12-Z60,ISO=200,F7.1-1/250、撮影時刻:12時59分

 個体の特徴から見て、上の葉にやって来た個体はA(下の葉で産卵中は個体B)と判断しました。
 さて、7月下旬に産卵シーンを観察したクガイソウ株に移動、産卵後の状況を確認してみました。最初は当時、産まれていた卵塊の状況。
f0090680_11163388.jpg
EM12-Z1240@40mm(トリミング),ISO=100,F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:13時37分

 未孵化状態ですが、黒い頭部の一部でしょうか、胚形成が始まっています。この時点で産卵後13日を経過しております。卵期はほぼ2週間と推定。結構長いですね。この株に産附されていた313卵塊はどうでしょう? 当該葉をチェックすると、葉の様子が少し変。
f0090680_1172858.jpg
EM12-Z60,ISO=400,F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:13時40分

 所謂「舐め食い」の食痕です。裏返してみると・・・。
f0090680_117504.jpg
EM12-Z60,ISO=400,F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:13時40分

 大量の初齢幼虫が葉裏に群れ、これとは別に160卵塊が確認できました。前回以降、新たに産附された卵塊のようです。初齢幼虫の群れを拡大撮影。
f0090680_1183490.jpg
EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:13時41分

 卵殻は殆ど残されたままなので、多くの孵化幼虫は卵殻を食することなく、葉裏を齧り始めるのでしょう。更に幼虫単独の拡大像をまとめてみました。
f0090680_1185086.jpg
EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:13時41分

 体長は2mm弱。念のため、このクガイソウの葉捲りを再度実施。すると驚いたことに、新たに下記4卵塊を発見。
①89、②80、③107、④111
 先程初齢幼虫集団傍から見出した160卵を加えると、結局、このクガイソウ株には何と合計1043卵も産まれていたのです!前回の記事でも述べたように、500卵でも明らかに食草が不足するはずですが、1000卵を超えると大変です。共食いの習性でもあれば、この問題は解消しそうですが、そんな習性もなさそうなので、越冬前に大半の幼虫は集団引っ越しをせねばならないのでしょう。考えてみると、国内のMelitaea属3種はいずれも越冬態は幼虫、しかも集団越冬方式です。しかもこの3種共に絶滅危惧種なので、「卵塊産附→幼虫集団越冬」は結果的にハイリスクな生活史と言えるかも・・・。コヒョウモンモドキも鹿食害等の影響で恐らく5年以内には、現在の「絶滅危惧1B類」から「同1A」に格上げになり、人工繁殖下でないと、種の存続が危うくなるでしょう。今のうちにクガイソウ&代替ホストの繁殖ノウハウ、人工交配等の飼育技術確立が必須でしょうね。
# by fanseab | 2019-08-19 22:02 | | Comments(0)

コヒョウモンの産卵行動を探る(8月上旬)

 今回遠征ではアカセセリ以外にも、オオミスジ、コヒョウモンモドキ、コヒョウモンの産卵シーン撮影まで画策しておりました。ちょっと欲張りなのですが、「かすりでもしたらラッキー(^^♪・・・」と思い、トライしてみました。コヒョウモンの食草は バラ科のオニシモツケFilipendula camtschatica。この高原では渓流沿いにのみ生えています。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
f0090680_21283780.jpg
TG4@5.5mm,ISO=200,F3.2-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:11時00分

 遠くから見ると白い花が綿毛のようにこんもりしているので、すぐに他の花と区別できます。この高原ではチダケサシも咲きますが、咲く時期はオニシツモツケよりも遅れます。また、コヒョウモンは今回の観察経験から、♂♀含めオニシモツケの生息範囲から離れることはないので、ホスト・蝶両者共に局所的な分布になるのでしょう。
 さて、渓流沿いでコヒョウモンモドキの産卵シーン探索をしている際、コヒョウモン♀がチダケサシで吸蜜している場面に出会いました。
f0090680_2129475.jpg
D500-34VR,ISO=400,F8-1/1000、外部ストロボ、撮影時刻:11時30分

 この直後、この♀はオニシモツケの葉上に舞い降り、なにやら腹端を葉上に擦るような行動を取りました。
f0090680_21343719.jpg
D500-34VR(トリミング),ISO=640,F8-1/1000、外部ストロボ、撮影時刻:11時31分

 コヒョウモンは通常葉裏に産卵するとされているので、これは「産気付いた」サインだと直感。この後、別のオニシツモツケへ飛び、株の根本付近に潜り込みました。管理人も必死にその姿を追いかけましたが、茂みに隠されて姿が見えません。そのうちパッと母蝶は飛び出して再度チダケサシで吸蜜行動を取りました。直前に母蝶が茂みに潜った場所で、オニシモツケの葉裏を必死に探索するも卵は発見できませんでした。産卵したかったけど、好みの葉ではなかったのかもしれません。その後、この母蝶は視界から消えました。以前、ヒョウモンチョウ(コウゲンヒョウモン)の産卵シーンを観察したことがありますが、母蝶は食草のワレモコウの根際付近に潜り込む習性がありました。兄弟種なので、母蝶の産卵行動も似ているのだと思いました。

 さて、2日目も11時頃、前日と同じポイントでコヒョウモンを待機しましたが、この日はチダケサシでの吸蜜シーンを観察したのみ。
f0090680_21432645.jpg
D500-34VR(トリミング),ISO=800,F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:13時11分

 結局、コヒョウモンの産卵シーン撮影も叶いませんでした。考えてみると、アカセセリもコヒョウモンも産卵時間帯が11時~12時半頃なので、両者の産卵シーンを追跡することは、「二兎を追う者は一兎・・・」の格言通り、慎むべきなのでしょう。今回の観察で、コヒョウモンはオニシモツケの比較的根元に近い葉に産む感触を得たので、別途、当該部位のオニシモツケの葉捲りを試みてみました。葉裏はこんな感じ。
f0090680_213618100.jpg
TG4@4.5mm,ISO=200,F8-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時55分

 ちょうど人間の掌サイズです。残念ながらオムスビ型のヒョウモン類の卵は発見できず。一方、蛾類の卵は2種見出しました。
f0090680_21363849.jpg
TG4@18mm(自動深度合成+トリミング),ISO=100,F4.9-1/100~500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時59分/13時21分

 いずれも蝶ならセセリ類(Hasora属)の卵に類似していますが、もちろん日本国内にはオニシツモツケ食いのセセリはおりません。さて、どんな蛾が産んだのでしょうね?
 次回はコヒョウモンモドキを再度ご紹介したいと思います。
# by fanseab | 2019-08-17 21:58 | | Comments(0)