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探蝶逍遥記

トビモンオオエダシャク終齢幼虫(6月中旬)

 拙宅庭には樹高2.5m程のエノキがあり、ここに産卵するアカボシゴマダラやゴマダラチョウを観察して楽しんでおります。樹高を維持するため、毎年数回の剪定を実施しています。先日剪定した枝を捨てる際、エノキの枝とは異なる「ムニュ~」した違和感を覚え、慌ててその枝を離しました。枝と思ったのは枝ではなく、とんでもなくデカい尺取虫でした。早速愛用の「イモムシハンドブック」で調べると、トビモンオオエダシャクBiston robustusの終齢幼虫と判明。元のエノキに戻して全体像を撮影。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:15時01分

 画面中央にいるのですが、場所わかります?アップしてもご紹介しておきましょう。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:14時55分

 背景のエノキの樹肌の質感とモノの見事に擬態しております。本種幼虫の体色は相当バリエーションがあるようで、食べるホストの枝や幹の色に応じて幼虫体色も変化するのでしょう。折角ですので、正面・側面像もまとめておきます。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:14時58分


 体長88mm。恐らく国内のエノキ食い鱗翅目幼虫で、最大サイズでしょう。オオムラサキも太さはこの尺蛾幼虫よりは太いですが、長さは完敗ですね。これまで毎日のようにこのエノキを観察していて本種幼虫を発見したのは今回が初。もちろん擬態の見事さで見逃していた事例もあるのでしょうが、拙宅庭のエノキに本種が卵を産むのは稀なことなのだと思います。
 さて、この幼虫の最大の美点では長さではなく、その頭部。拡大像です。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:15時00分

 ヒカゲチョウ幼虫頭部でよく見られる「うさちゃん」スタイルですが、その内部に淡い色で「ニャンコ」が隠れているのです! 随分凝ったキャラ顔ですよね。蛾の幼虫にも奇想天外な姿形を持つ種がいます。本種は全体的に地味な印象ですが、頭部で楽しませてくれるタイプの幼虫でしょう。
 この子を撮影して2日後に突然姿が消えました。恐らく土中に潜り蛹化準備に入ったのでしょう。これから夏~冬を蛹で過ごし、順調ならば来年4月頃羽化するはずです。本種もギフチョウ同様、立派な「スプリングエフェメラル」なのです。
# by fanseab | 2019-06-25 22:05 | | Comments(1)

オオミスジの飼育メモ(羽化まで)

 5/30付の記事でミスジチョウの飼育メモをご紹介しました。ミスジチョウ2齢幼虫を採幼した同日に長野県で採卵したオオミスジの飼育記録をメモにまとめました。これまでの経緯は、下記記事でご紹介してきました。今回はその続き・最終回です。
(1)初齢~3齢まで(クリックでジャンプ)
(2)越冬準備状態(クリックでジャンプ)
(3)越冬中の様子(クリックでジャンプ)

 3月下旬、網掛けしたウメの鉢を覗いてみると、芽吹きが始まっており、オオミスジの幼虫も枝の二股から新芽脇に移動しておりました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=320,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:3月25日

 4月9日、新芽の摂食を開始。芽吹き前の固い部分を食うかは不明ですが、ここでは伸びた新芽を齧っています。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:4月11日

 体長は7mm。摂食以外は冬芽近傍を台座として静止しております。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F4.5-1/160、外部ストロボ、撮影月日:4月12日

 矢印#1が幼虫、#2が主として摂食している新芽。網掛けしているので、正確な日付は不明ですが、4月15日前後で4齢になりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:4月18日

 体長8.5mm。棘皮が伸び、色彩にメリハリが出てきました。驚いたことに、その色調は新芽と瓜二つ!第7-8腹節脇の淡緑色紋が冬芽から覗く新芽の色とソックリです。更に冬芽の周囲に巻き付くことにより擬態効果を高めているように思います。4齢時におけるウメの葉の食痕もご紹介しましょう。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=64,F5.6-1/50、撮影月日:4月18日

 4月18日に屋外網掛け飼育から一旦プラケース内飼育に戻しました。4月21日頃、個体の色彩が顕著に変化していることに気が付きました。当初5齢になったものと思いましたが、飼育中、脱皮した頭殻を確認できなかったこと、およびこの前後での頭殻サイズに変化がないことから、4齢の途中で色彩が変化したものと推定しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:4月23日

 体長13mm。緑色部分が増え、第6-8腹節側面の淡緑色が極めて鮮やかになりました。この頃既にウメの葉は全て伸張しているので、それに対応した擬態色に変化しているものと推察されます。4齢途中での劇的色彩変化については、実態を更に詳細に調査する必要がありそうです。タテハチョウ科の幼生期を詳述した手代木氏の図鑑(※)と照合すると、4月23日に撮影した画像と同氏図鑑上の4齢個体の色調が一致します。今回の飼育では頭殻について各齢の比較画像を撮ってはおりません。唯一撮影した4齢頭殻画像のみご紹介しておきましょう。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月16日

 高さはほぼ2mm。4月28日に眠。ここから3日間変化がなく、眠にしてはやや長く、ひょっとして病死したか?と懸念しましたが、5月2日に無事脱皮。5齢(終齢)になりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月8日

 体長は25mm。第3-8腹節背面側の緑色部が更に拡大しています。この緑の鮮やかさは印象的で、丁度オナガアゲハ終齢幼虫の色彩を想起させるものです。頭部付近の拡大像も示します。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=200,F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月8日

 図体の割に頭殻サイズは小さめ(高さ3.5mm)です。自然な蛹化方法を取らせるように、終齢終盤の5月15日に再度屋外のウメに網掛け処理をして放置しました。5月17日、目論見通り、ウメの葉裏で前蛹となりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=64,F5-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月17日

 体長24mm。前蛹の通例として透明感が出てきました。蛹化した葉の表面画像です。
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EM12-Z60,ISO=200,F5-1/200、撮影月日:5月17日

 矢印#1の真裏が蛹化位置。蛹化前に葉を枯らして擬態工作をする旨、書かれている図鑑もありますが、ご覧の通り、今回の個体はそのような行動は一切しておりません。ただ当該葉の葉柄部(#2)には入念な吐糸が確認されます。翌18日に無事蛹化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=400,F4.5-1/160、撮影月日:5月20日

 体長は21mm。体色は淡褐色。周囲の葉の影響か、画像は多少緑色を帯びています。やはり、コミスジの蛹と比べるとデカいですね。5月30日に黒化。翅表の斑紋も透けて見えてきました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=400,F5-1/80、外部ストロボ、撮影月日:5月30日

 翌31日、無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60(トリミング),ISO=500,F5.6-1/250、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

 羽化は13時頃。例によって羽化の瞬間は見逃して、既に翅が殆ど伸びた状態で撮影。前翅長39mm。本種として平均的なサイズでしょう。昨年8月に採卵してからこの日まで297日。ミスジチョウ同様、本当に長丁場の飼育をやり切った充実感と安堵感で一杯でした。

※手代木求, 1990.日本産蝶類幼虫・成虫図鑑 I タテハチョウ科.東海大学出版会,東京.
# by fanseab | 2019-06-22 20:28 | | Comments(2)

ミドリシジミ(6月中旬)

 昨年は蝶の発生が異常に早かったのですが、今年はどうやら例年並みかな・・・。で、ミドリの撮影に適期と思い川崎市の谷戸に出向きました。前日までの雨が夜半に止み、彼らが下草に降りているチャンスと睨んだからです。しかし予想に反し、ポイントに着くと下草に降りているのは♂2頭のみ。取り敢えず綺麗な1個体に狙いを絞りました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P520@200mmX1.4TC(4コマ深度合成+トリミング),ISO=320,F5.6-1/250、撮影時刻:7時16分

 少し周りが明るくなると、開翅しました。
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EM12-P520@200mmX1.4TC(5コマ深度合成+トリミング),ISO=320,F5.6-1/250、撮影時刻:7時26分

 狙い通りのピカピカ個体。左右前翅端付近に水滴が付いて雰囲気満点。次にほぼ真正面から全開状態を狙います。
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EM12-P520@200mmX1.4TC(7コマ深度合成+トリミング),ISO=320,F5.6-1/250、撮影時刻:7時29分

 深度合成を使って複眼から尾状突起まで全域に合焦させると写真の雰囲気も結構変わります。次いで真横から。
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EM12-P520@200mmX1.4TC(5コマ深度合成+トリミング),ISO=320,F5.6-1/250、撮影時刻:7時33分

 曇り日の柔らかな光のお陰で理想的な発色になり、満足できました。いつも多数のゼフが舞い降りる下草ポイントにはこの日の朝方は1頭の♂のみでしたが、7時50分過ぎ、急に陽射しが増し、樹冠部に強烈な日光が差し込むと、多数の個体が一気に舞い降りてきました。先ずはB型の♀。
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D500-34VR、ISO=200,F8-1/800、-0.3EV、撮影時刻:7時55分

 表翅の傷も殆どない綺麗な個体。背景にハンノキ林を入れて、広角でも撮影。
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EM12-Z1240@12mm,ISO=200,F9-1/160、撮影時刻:7時58分

 1時間後、ハンノキ葉上で開翅する個体も撮影。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=200,F7.1-1/1000、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時55分

 やはり下草よりもハンノキ葉上開翅の方が自然な雰囲気が出て好きですね。続いてA型♀。
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D500-34VR、ISO=1600,F8-1/640、-0.3EV、撮影時刻:8時01分

 こちらは残念ながら前翅の擦り傷が目立ちます。O型・A型のような漆黒タイプは完品でないと見栄えがしません。華やかさのあるAB型なら多少の傷は「七難隠す」で、問題ないのですけどねぇ~。次にこの子を縦位置広角で。
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EM12-Z1240@12mm,ISO=500,F4.5-1/800、撮影時刻:8時05分

 8時30分を過ぎるとほぼ全ての個体が樹冠に消えていきました。ただタケニグサの葉上で1頭の♂が残っておりました。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=200,F7.1-1/1000、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時53分

 黄橙色のストローでしきりに吸水しておりました。ストローの長さが短く、必死に吸水している姿がチャーミングです。前夜来の雨滴が葉上に多数残り、面白い絵に仕上がりました。
 最後に残ったこの子も9時頃飛び去り、賑やかだった朝のショータイムはこれにて終了。久しぶりの「大漁」気分で帰宅できました。
# by fanseab | 2019-06-16 20:21 | | Comments(2)