探蝶逍遥記

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コミスジの飼育メモ:幼生期の長い事例

 去る5月下旬、オナガアゲハの産卵シーンを撮影した当日、現場の林道でコミスジの産卵も目撃しました。フジの葉先に産み付けられた卵を拡大撮影用に持ち帰り、フジで飼育しておりました。コミスジは2015年10月に飼育実施済で、その際の飼育メモ(クリックでジャンプ)はこちらです
 夏場の飼育では科・種類によらず、孵化後概ね1ヶ月で成虫が羽化します。上記事例でも孵化後38日で♀が羽化しました。ところが、今回は幼虫期が長く、結局♂が羽化するまでの時間は異例の62日。これには驚きました。採卵した卵の超拡大像です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(16コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月23日

 卵直径(棘皮を含む最大径)は1.1mm。孵化後経過日数を前回飼育品(括弧内表示)と比較してみました。
2齢到達   4日(4日)
3齢     10(17)
4齢     15(39)
5齢     20(47)
蛹化    28(55)
羽化    38(62)

 初齢期間および4齢以降の経過日数は両者ほぼ同じですが、それ以外のステージで極端な差が出ました。飼育環境は室内の薄暗い場所で、前回とさしたる変化はありません。
 幼虫画像は撮影せず。蛹画像を前回と比較してみました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月23日(右画像は2015年10月撮影分)

 一般に同一種類であれば幼生期の長い個体ほど、より大きく成長することが知られております。今回飼育品の体長は16.5mm、前回は15.2mmで♂♀差を考慮すると、やはり今回個体はやや大き目の感じがします。ただコミスジ蛹としては個体変異の範囲内かもしれません。7月28日に羽化した♂画像です。
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EM12-Z60、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月28日

 前翅長27mm(因みに前回飼育品は25mm)。羽化に気付かず、暫く飼育プラケース内で暴れていたため、羽化直にしては翅が痛んでしまいました。
 蝶の飼育をしていると、時々常識から外れた行動を取る個体がおります。今回のコミスジ飼育でもちょっぴり驚かされました。
by fanseab | 2017-08-03 20:58 | | Comments(4)

ルリシジミ終齢幼虫はカメレオン?

 関東地方は暑い日が続いております。明らかに雨不足で、主要河川では取水制限も始まったとか。暑さが続くと食欲も減退します。そんな折、夏場の食卓にオクラやサヤインゲンは欠かせませんね。彩鮮やかな緑色の野菜は視覚に訴え、食欲を増進させてくれます。サヤインゲンに煎りゴマを振り掛け、これをつまみに冷えたビールをグイッと・・・・♪♪。管理人は飲める口ではないのですけど、やはりビールが無いと夏は乗り切れません。
 さて、そのサヤインゲン。シジミチョウ飼育時の代用食としても有名です。特に蕾や花穂を食うシジミ類には有効とされています。管理人も将来の某種飼育に備え、今回、ルリシジミを実験材料として、サヤインゲン飼育をトライしてみました。近所のマンション植え込みのハギから採卵、初齢の後半からサヤインゲンを与えてみました。順調に育った終齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月11日

 半分にカットした鞘にへばり付き、白い果肉に頭部を突っ込んで食っています。面白いことに2齢の途中位までは果肉を好まず、鞘内の緑色のゼリー状組織を食べておりました。終齢になると、ほぼ果肉のみ食っています。糞の色も食べた部位毎に異なっています。矢印Aは上記ゼリー状組織を食べた糞、同Bは果肉によるもの。見事に糞の色が違います。幼虫の体色は餌のサヤインゲンにソックリですね。

 実は過去にルリシジミは2度飼育経験があり、当時の終齢幼虫と比較してみました。
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上段:2013年9月撮影、中段:2016年7月撮影

 過去2回はそれぞれクズ・イタドリの花穂を給餌しておりました。与えた餌の色相に忠実に幼虫体色が変化する様は見事。将にカメレオンですね!
by fanseab | 2017-07-22 20:13 | | Comments(4)

オナガアゲハの飼育メモ

 5月29日付の記事(クリックでジャンプ)でオナガアゲハの産卵シーンをご紹介しました。この時、産附された1卵をお持ちかえりし、フルステージ飼育を行いました。餌は全てコクサギで実施。実は昨年9月上旬、コクサギに産附されたオナガアゲハ2卵の飼育を試みた経験があります。この時、代用食としてサンショウを与えましたが、食いつきが悪く初齢の途中で、失敗に終わりました。その反省から昨年秋にコクサギの苗を購入し、今回の飼育に備えていたのでした。
 5月27日に孵化。孵化直後の初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月27日

 動き回っているので、深度合成ができず。素直に焦点深度の深いコンデジで撮るべきでした。翌日、落ち着いたところで、再度初齢を撮影。
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上段:EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ
下段:D500-1855改@38mm(2コマ深度合成+トリミング)、ISO=100、F8-1/320,-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 体長は5mm。カラスアゲハ同様、全体に緑色を帯びております。コクサギを食い始めた初齢幼虫と食痕のツーショットです。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 向かって左端に台座を構え、右側縁を食べるスタイル。29日に眠、翌30日に2齢。
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EM12-Z60(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

 体長8.2mm。棘皮の長さが相対的に短くなり、尾端付近腹節にある白色部分が目立つようになりました。2齢時の食痕も示します。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F6.3-1/30、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

食している葉は初齢時代と同じ。葉の先端(上部)、基部側も食っています。6月2日に3齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月3日

 体長16.5mm。胸部が拡幅し、第7-8腹節の白色部がより顕著になりました。4日に4齢。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月6日

 体長24.5mm。胸部気門線上の白色部が目立つようになります。第7-10腹節はほぼ全体が白色になりました。ここで、類似種のクロアゲハ4齢幼虫との比較図をアップしておきましょう。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 識別点は画像中に記載した通りです。いずれも「鳥の糞」に擬態しているとされております。確かにヌメヌメとした光沢は「落とされて間もない糞」の質感ソックリですね。6月7日に眠、翌8日に5齢(終齢)になりました。
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EM12-Z60(上段:自動深度合成/下段:5コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月11日

 体長43mm。非常に鮮やかな青緑色を呈しております。その独特な色調を敢えて表現するならば、「マラカイトグリーン(緑青:ロクショウ)」かな。ただ画像では上手く色調を再現できておりません。幼虫斑紋の特徴を4齢同様、クロアゲハと比較してみました。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 識別点を3箇所提示しておりますが、識別点1で見分けるのが一番楽だと思います。但し、「斜帯が背線上で分離する」特徴はモンキアゲハ終齢幼虫にも見られるので、注意が必要。参考までに、終齢幼虫頭部の拡大像も撮ってみました。
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EM12-Z60(6コマ深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月11日

 蛇の目玉に擬態している部分も、複雑な模様をしております。終齢幼虫は最大47mmまで成長しました。6月15日に下痢便を出し、翌16日に前蛹。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月16日

 体長28mm。前回飼育したキアゲハ同様、見栄えのする枯枝に吐糸してくれてホッとしました。6月17日に蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月19日

 体長35.5mm。褐色型でした。非常に特徴のある蛹です。全体にスリムで、成虫の翅形・尾状突起同様、細長さが際立っています。それとPapilio属の蛹はいずれも「くの字」型を呈しておりますが、オナガの蛹は将に「くの字」。クロアゲハの蛹と形態比較も行ってみました。
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クロアゲハは2013年8月撮影分画像

 頭部を正面から見ると、「兎の耳」状の突起があります(各画像右下の囲み)が、この突起もクロアゲハに比較して左右に開裂せず、真っ直ぐ上方に延びている特徴があります。蛹化してから12日目の朝、全体に黒化し、腹節も緩んで羽化間近の兆候を示しました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日

 この画像を撮影したほぼ2時間後に無事♂が羽化しました。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=320、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月29日

 前翅長59mm。翅を左右に僅かに開きながら乾かす途中、オナガ♂のシンボル、後翅の横白班がチラリと顔を覗かせます。これ、堪らなく綺麗ですね。昨年晩夏に一度飼育を失敗していただけに、無事羽化迄辿りつけてホッといたしました。
by fanseab | 2017-07-05 22:03 | | Comments(4)

キアゲハの飼育メモ

 5月4日付記事(外部リンクで、キアゲハ第1化の産卵シーンをご紹介しました。この時、ハナウドに産まれた2卵を持ち帰り、フルステージ飼育を行いました。なお、食草としてハナウドを全ステージで使用。2卵共、5月6日に孵化。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(上段2コマ/下段自動深度合成:トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月8日
 体長5.5mm。この段階では他のPapilio属初齢幼虫とさほど変わらない様相です。初齢時の食痕もアップしておきましょう。
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EM12-Z60(2コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月8日

 ハナウド葉上に残された小さな褐色斑点は、初齢幼虫が「舐め食い」した跡。成長するに連れ、葉全体を食い切っていきます。2齢以降は、葉の縁から普通に食い始めます。5月9日に眠、翌10日に2齢へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月12日

 体長10mm。第3-4腹節背面の白色班が目立つと共に、各体節の橙色班が目立ってきます。この「橙色」斑は、キアゲハ幼虫の一大特徴でしょう。13日に3齢。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月15日

 体長12.5mm。橙色斑がより目立ってきました。16日に眠、翌17日に4齢に。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月19日

 体長23mm。各体節が淡緑色を帯び、淡緑・橙・黒のトリコロールカラーに変身です。3齢に比較して体節の棘皮が目立たなく、「イモムシ」スタイルになりました。21日に5齢。
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EM12-Z60(上段3コマ/下段5コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3(上段)/8(下段)-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月25日

 体長43mm。フィールドでも見慣れたキアゲハ幼虫の姿です。しかし、何回見てもユニークなデザインの芋虫ですね。5月26日に前蛹になりました。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月27日

 体長31mm。飼育プラケース内に枯枝を入れておいたら、上手い具合に枯枝に吐糸してくれて、有難い限り。プラケース壁面への蛹化は撮影していても、味気ないものですから・・・。前蛹を撮影した27日に無事蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日

 鮮やかな緑色型を期待していたのですが、地味な黒褐色型になりました。体長34.5mm。フィールドでも、老熟幼虫が枯枝に吐糸し、黒褐色型で蛹化した場合は、素晴らしい擬態になることでしょう。なお、↑の画像では作画の関係で、左右画像の拡大倍率は変えております。なお、この個体より一足早く、別個体が5月25日に蛹化しました。こちらは同じ枯枝に吐糸したにも拘らず鮮やかな緑色型蛹になりました。両者を比較しておきましょう。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月31日(右画像は5月27日)

 両者の印象は大変異なります。緑色型は羽化の時期が接近すると、翅部分の黒化で羽化間近であることを知らせてくれますが、褐色型だと、翅部分が元々黒いため、腹節の緩み等に気を付けてないと、羽化時期予測を誤りそうです。褐色型蛹は、6月8日に無事羽化。♂でした。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月8日
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影月日:6月8日

 ピカピカ個体なので、後翅裏面のブルー鱗粉が載っている部分を拡大撮影してみました。
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EM12-Z60(3コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:6月8日

 ベージュ~橙色、黒~ブルーへ変わるグラデーションは本当に綺麗です。ブルー鱗粉には鮮やかなスカイブルー、落ち着いた暗色系ブルーなど、個々の鱗粉の多様性に改めて驚かされます。
 なお、緑色型蛹も無事6月5日に羽化。こちらも♂でした。
by fanseab | 2017-06-25 21:09 | | Comments(2)

ヒメジャノメの飼育メモ(越冬幼虫)

 昨年秋~今年春先にかけて、「想定外の」ヒメジャノメ飼育を実施しました。何故『想定外』だったかは後述します。昨年の9月末、栃木県のオオヒカゲポイントで、カサスゲ葉上に付いていたジャノメチョウ亜科の幼虫を2頭発見。オオヒカゲは産卵時期でしたので、幼虫はオオヒカゲではなく、ヒメジャノメでした。スゲ類に付いていたヒメジャノメ幼虫は初体験。拙宅に持ち帰り、越冬飼育をトライすることに。ヒメジャノメについては、以前、2014年12月の記事(外部リンク)でフルステージ飼育をご紹介したことがあります。
 眠に入った幼虫2頭の全景です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-85VR(トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月1日

 上の個体(識別コード:#A)は恐らく3齢で体長13.5mm。一方、下(同#B)は2齢で体長9mm。個体A.B共に10月2日に脱皮し、Aは褐色型4齢(Bは緑色型3齢)になりました。
個体Aの全景です。
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D71K-85VR(2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月4日

 体長は15mm。ヒメジャノメの褐色型幼虫を見るのはこれが初めて。第3・4腹節境界亜背面の黒班(矢印)が顕著に目立ち、濃褐色の背線も顕著で、緑色型幼虫とはかなり雰囲気が異なります。なお、飼育にあたり、スゲ類を拙宅近辺から入手するのが困難だったので、イネ科各植物を与えてみました。結構好き嫌い無く食ってくれたので、助かりました。具体的には個体Aに対し、チカラシバに似たイネ科(同定できず)を、個体Bには、当初アザマネザサ、その後はチヂミザサを与えてみました。
 個体Bは10月14日に褐色型4齢へ。チヂミザサ葉上に静止する個体Bです。体長は18mm。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月31日

 葉先に頭を向け、葉柄に近い部分を斜めに切り落とす食痕も見えます。一方、個体Aは10月24日に5齢へ。
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D71K-85VR(上段4コマ/下段2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月31日

 体長は20mm。4齢と比較して体色は殆ど変りませんが、亜背面の黒班は目立たなくなりました。個体Bは12日遅れの11月5日に5齢へ。個体AB共に5齢で越冬態勢に入りました。図鑑には『越冬の齢数は主として4齢(※)』と書かれています。ただ越冬齢数は越冬環境等で多少の変動はあるのでしょう。越冬管理方法としては、冷蔵庫保管が最も簡便だと思いますけど、今回は10月下旬から飼育プラケースを夜間のみ屋外放置、日中は屋内の冷暗箇所に置く・・・、やや手間のかかる方法を採用してみました。日毎にプラケース内の糞数をカウントしてみると、個体AB共に12月10日前後から糞数がほぼゼロとなり、越冬態勢に入りました。越冬時の幼虫画像は撮影を失念しましたが、全体に体色が淡くなり、メタボ体型に変化し、体をS字状に曲げて静止しております。

 年が明けて3月16日、個体Aのプラケースを開けてみると、何と糞が3個。いつ食ったのか不明なものの、どうやら枯草を食べた様子。多少気温が上がった場合に一時的に休眠から覚めるようです。個体Aは3月29日に死亡。それまで飼育に用いたチカラシバ類似のイネ科新芽が出るのが遅く、早めに休眠から覚醒した個体が餓死してしまったのでした。一方、個体Bは4月3日に活動再開。チヂミザサの新芽が開いていないので、チカラシバ類似のイネ科を食わせました。4月5日~11日にかけては所用で観察できませんでしたが、この間の糞数は91個。一日当たり平均13個に相当。4月12日よりホストを再びチヂミザサに変更。4月15日に終齢(6齢)に到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月17日

 体長は27mm。体色が褐色から淡い緑色に変化しました。5齢時に見られた亜背線の黒班も完全に消えています。数日経過すると、体色は鮮やかな緑色に変わりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月21日

 体長は32mm。なお、上段の画像撮影時に頭部が動いてしまい、当該部の深度合成が破綻して見苦しくなっている点はご勘弁下さい。6齢時は写真のように、チヂミザサの茎分岐部に常時静止し、ここを基点に葉を食べに行きます。
 ここで、4~6齢の頭部の比較をしてみました。
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 静止中の幼虫は頭部を深く前傾しているため、頭部を真正面から写すのは結構難しく、脱皮した頭殻を撮影した方が容易です。ここでは6齢のみ頭部を撮影したものの、やはり真正面画像にはなっていません。先に紹介した図鑑(※)には、『越冬幼虫の頭部の突起は非越冬幼虫のものよりも太く短い』との記述があります。4齢と5齢の頭殻を比較してみると、確かに「猫の耳」が太短くなっています。そして6齢時に再び耳がちょっと伸びているようにも見えます。
 
 4月30日に前蛹。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月1日

 体長19mm。前蛹を撮影した5月1日に蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月3日

 体長は16mm。緑色型です。5月12日には翅部分が黒化してきました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月12日

 翌5月13日の朝、無事♂が羽化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月13日

 前翅長25mm。羽化直の眼状紋は何遍見ても、綺麗ですね! 羽化直だと、♂のシンボル、後翅裏面中室上側の太い翅脈もハッキリとしています。
 今回、実は恥ずかしながら蝶が羽化するまで、飼育幼虫を「クロヒカゲ」だと思い込んでいました。終齢幼虫の細長い体型や、蛹の体型を見た瞬間にLetheではなく、Mycalesisだと気づかねばなりませんが、思い込みで勘違いを起こしました。当初採幼したポイントが暗い環境で、クロヒカゲにピッタリと思えたこと、それとクロヒカゲの飼育が未経験であったため、飼育した~い願望が募ったことも相まって、思わぬ思い込みをしたのでした。それでもこれまで未経験の越冬世代ヒメジャノメの飼育が経験でき、色々と勉強できたことは幸いでした。
※福田晴夫ほか(1984) 原色日本蝶類生態図鑑(Ⅳ).保育社,大阪, 141pp.
by fanseab | 2017-06-18 20:53 | | Comments(4)

コチャバネセセリ:越冬幼虫飼育顛末記

 昨年10月30日付けの記事(外部リンクで、本種終齢幼虫の越冬飼育にトライ中であることを述べました。その後どうなったのか?ちょっと触れてみたいと思います。

 当該記事でもご紹介した越冬容器です。 
                                  
+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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TG4@4.5mm(トリミング),ISO=200、F2-1/1250、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2016年9月9日

 過度の乾燥を防止するため、概ね1週間に1回、如雨露で水遣り管理をしました。年が明けて今年の3月30日に巣を恐る恐る開封。1頭(個体識別#2)は正常、もう1頭(同#1)はミイラ化して死亡しておりました。
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TG4@5.5mm(トリミング),ISO=100、F2.3-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2017年3月30日

 生き残った#2の巣を4月14日に再開封。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月14日

 向かって右側の開封箇所(3月30日開封)はきちんと再度吐糸して封じ切りされておりました。幼虫の様子を覗うため、今度は向かって左側を開封。
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EM12-Z60(10コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月14日

 幼虫の頭部・ベージュ色の胴体部分が見えています。どうやら無事の様子。5月に入ると蛹化する可能性があるので、4月24日に再チェック。予想通り、蛹化しておりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月24日

  体長は16mm。飴色の独特な色をしております。5月7日には複眼が黒くなり、羽化が近づいた様子。
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TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2017年5月7日

 経験上、遅くとも10日には羽化する筈。しかし、10日を過ぎても羽化の兆候が無いので、再度チェックしてみると・・・・。
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TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F3.6-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2017年5月11日

 あらら、蛹殻だけが残されて蝶の姿はありません。どうやら蛹は寄生されていたようで、寄生種は網掛けした隙間から逃げてしまったのだと悟りました。網掛けの網目は5mmほどで、コチャバネは勿論脱出不可能ですが、寄生バエや寄生蜂などの膜翅目にとってはザルみたいなものだったのでしょう。
 一週間に一度の水鑓り等、結構手間暇かけて越冬幼虫を管理していたつもりが、実は寄生種の管理をしていたことになります。コチャバネの飼育が失敗したのみならず、憎たらしい寄生種の姿を確認できなかった二重の悔しさが残った飼育になりました。まぁ、野外で採幼した場合は避けられないリスクなのですけどねぇ~・・・。チャンスがあれば、夏場に採卵して、フルステージ飼育をしてみたいものです。
by fanseab | 2017-06-11 21:16 | | Comments(6)

ルリシジミの飼育メモ

 イタドリに産卵するルリシジミ(外部リンク)」の画像を撮影した日、採卵を実施し、フルステージ飼育をしましたので、その時の記録をまとめます。餌は野外同様、イタドリの花穂を与えました。6月20日に孵化(卵期5日)。孵化間もない初齢幼虫です。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-1855改@55mm(上段のみ2コマ深度合成、トリミング),ISO=100、F10-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:6月20日

 体長は1.1mm。体毛が長く、まるでヤマアラシのようです。以下初齢含め幼生期画像は全て「頭部を左」に配置して作図しております。孵化2日後、眠に入りました。眠状態の初齢幼虫です。
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D71K-1855改@55mm(上段4コマ/下段3コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:6月22日

 体長1.7mm。少し体色が緑色を呈してきています。体長も小さいし、体色もイタドリの花穂そっくりで、どこに幼虫が居るのか?戸惑う場面もしばしばです。23日に2齢へ。
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D71K-1855改@35mm(上段3コマ/下段2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:6月24日

 体長は2.3mm。体毛の分布が密になりました。この時期、幼虫の体長・体色が丁度イタドリの花穂と類似し、巧妙な擬態を呈しています。恐らく、野外で初齢・2齢幼虫を探索するのは相当苦労するでしょうね。6月25日に3齢到達。
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D71K-1855改@35mm(上段5コマ/下段3コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:6月27日

 体長は4.9mm。体は淡緑色を帯び、体毛の長さは2齢に比較して相対的に短くなっております。28日に眠、翌29日に4齢(終齢)に到達。
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D71K-1855改@26mm(4コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月4日

 体長10mm。2-3齢まで、ほぼ無地で顕著な特徴の無い体色が、体節毎に微妙に色彩が変化する姿に変わりました。また幼虫を真上から見込んだ時、多くのシジミチョウ終齢幼虫がそうであるように、体節に「ハの字」型模様が出現しております。第一腹節にある「ハの字」模様(矢印)は格段に濃色で、よく目立ちます。イタドリの花穂に巻き付いて静止している終齢幼虫の全体像もアップしましょう。
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D71K-1855改@34mm(5コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:6月29日

 図体がデカくなり、体色もやや緑色を帯びてきたので、イタドリの花穂とは識別可能ですが、遠目から眺めると、未だに擬態の巧妙さが際立ちます。クズの花を食う場合は体色がちゃんと紫色に変化しますし、まるでカメレオンのような幼虫です。
 7月6日、無事前蛹になりました。
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D71K-1855改@35mm(5コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月6日

 体長7.3mm。他のシジミチョウ終齢幼虫は通常老熟すると、ピンク色を帯びるものですが、ルリシジミは前蛹になっても殆ど体色が変化しません。翌7日に蛹化。
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D71K-1855改@35mm(上段5コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月8日

 体長は6.7mm。褐色を帯びた全体像は他のシジミチョウ蛹と同様の外観です。面白いのは終齢幼虫時代に目立った第1腹節背面の「ハの字」模様が蛹になっても残っている点。蛹化から8日経過した7月9日、翅が黒化、腹節が緩み、羽化間近のサインです。
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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日:7月15日

 湿気の多い環境で蛹を保管したため、蛹はカビまみれ(^^;  ↑の画像撮影直後にどうやら羽化した模様。いつものように羽化瞬間を捉えることができずガッカリです。仕方なく、味気ない背景で成虫を撮影。♀でした。
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D71K-85VR,ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:7月15日

 前翅長12mm程度のやや小さい個体。今回のフルステージ飼育とは別にフィールドで3齢幼虫2個体を採幼し、これも飼育、1♂1♀が羽化しました。フルステージ飼育した個体(下図上段)含め、蛹の斑紋比較をしてみました。
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D71K-1855改@35mm(上段5コマ/中・下段6コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月8日(中・下段は6月27日)

 前述した背面にある「ハの字」模様(矢印)は安定的に出現する斑紋のようです。また♂と♀で腹端の窄まり方が異なるように見えます。♂の方がより尖っているように思えますが、一般的にシジミチョウ蛹で同様な傾向を示すのか? 管理人は知見不足です。
by fanseab | 2016-08-02 21:11 | | Comments(2)

コミスジの飼育メモ

 台湾遠征記はちょっとお休みして、今秋実施した首題メモです。9/7付け記事(外部リンクでご紹介した卵を持ち帰り、産卵されたヤブマメを全ステージで与え飼育しました。
 9/8に孵化。初齢幼虫です。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR(トリミング:下段のみ2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影月日:9月9日

 体長3mm。頭殻がやけにデカく感じます。食痕も示します。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影月日:9月9日

 矢印が幼虫。この時期は葉の主脈ではなく、支脈上に静止しております。12日に2齢。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月16日

 体長6.5mm。棘皮が目立ってきましたが、側面模様は未だ不明確です。2齢幼虫の食痕です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月16日

 静止位置が主脈上に変わりました。17日に眠、翌18日に3齢へ。
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D71K-85VR(トリミング+上段5コマ/下段4コマ深度合成)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月22日

 体長9mm。ようやくNeptis属の幼虫らしい風貌に変化し、背面・側面共に色彩のメリハリも出てきました。3齢の食痕です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月22日

 Neptis属幼虫はホストの茎を噛んで萎らせ、枯葉状態にして食う習慣があります。この画像でも枯葉上に静止しておりますが、この幼虫が茎を萎らせたのではなく、ホストの水揚げが悪く葉全体が枯れてしまっているのです。もちろん、枯葉状態でも食う習慣に変わりはありません。23日に4齢。
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D71K-85VR(トリミング+上段5コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月26日

 体長12.5mm。体色が全体に緑色を帯びてきました。3齢あたりから静止状態では常に胸部を上方に持ち上げた態勢を取っております。この飼育メモでの体長は幼虫を上方から投影して計測しておりますので、活動状態では15mmを超えます。4齢の食痕です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月26日

 9月28日に眠、その日のうちに5齢(終齢)に到達。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月2日

 体長19mm。この時期は胸部を左右に傾け、上から見込んだ時に「くの字」型をしている状態が多く、画像を撮るのに一苦労しました。第7-9腹節気門周辺の斑紋が白色から淡緑色に変化し、体色全体のメリハリが顕著になりました。なお、晩秋屋外で観察される越冬態勢直前の終齢幼虫は全般に茶褐色を呈していて、上記画像(非越冬態)とはかなり雰囲気が異なります。10月6日に前蛹。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月7日

 体長19mm。終齢段階では摂食する葉からかなり距離を置いた、飼育プラケースの縁を静止位置(台座)としていた関係で、前蛹もケースの縁で実施。画像としては何とも人工的で味気ないものになりガッカリです(^^; 前蛹を撮影した7日中に蛹化。
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D71K-85VR(トリミング+左4コマ/右3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月10日

 体長15mm。自然光下では全体に黄金色に輝いているのですが、ストロボ使用ではその色調が上手く表現できませんね。10月15日に翅部が黒化。翌16日に無事♀が羽化しました。卵の孵化後38日目でした。
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D71K-85VR、ISO=100、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影月日:10月16日

 前翅長25mm。羽化直の姿にはいつも見惚れてしまいます。これまでのタテハチョウ科飼育経験では比較的♀が多いですね。ゼフの飼育ではほぼ♂なのに・・・。蝶の性比は通常1:1なのでしょうが、面白いものです。
by fanseab | 2015-10-26 22:57 | | Comments(4)

ホシミスジの飼育メモ

 昨年秋に実施した飼育記録です。記事にアップするタイミングを逸しそうなので、思い切ってまとめてみました。採卵は東京都下。この時の記事こちら外部リンク
 シジミバナに産卵されていた2卵を飼育。初齢途中までシジミバナを、その後、ホスト調達が容易なユキヤナギに変えて終齢まで使用。孵化翌日の初齢幼虫です。

+++画像は基本、クリックで拡大されます+++
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D71K-1855改@26mm(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日:2014年9月21日

 体長2.1mm。葉の中脈上に静止する姿はNeptis属に共通するものですね。食痕を示します。
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D71K-1855改@24mm/18mm(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月21日

 左右ほぼ対称に、葉の縁から中脈方向に円弧状に食い切っていきます(左)。中脈まで到達すると、中脈を噛み切って葉を萎れさせ、中脈上に静止します(右)。その後、萎れた葉を糸で綴って巣を造り、幼虫は巣内部に潜入。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月25日

 シジミバナが枯渇したので、9月28日にホストをユキヤナギへ変更。但し幼虫はシジミバナの巣を変えることなく、そこに潜みつつ、ユキヤナギを摂食していきます。9月29日に2齢。
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D71K-1855改@24mm(上段のみ3コマ深度合成、トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月30日

 体長3.7mm。体色が緑色から褐色に変化。第1~3腹節あたりが尾端側より膨らんできました。この時期、幼虫は相当に敏感で、撮影目的でホストに触れたショックで直ぐに巣内に潜り込むため、幼虫全景の撮影に苦労しました。巣を破壊すれば撮影は容易ですけど、幼虫に無用なストレスを与えないための配慮です。2齢幼虫の食痕も例示します。
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D71K-1855改@18mm(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:9月29日

 10月2日眠、翌日3日に3齢。
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D71K-1855改@24mm(上段2コマ/下段4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月6日

 体長6.6mm。一様だった体色が一変。第7~9腹節側背面側が濃褐色に。気門に沿った褐色ラインも目立つようになります。それと背面の棘状突起が発生しています。10月7日に眠、翌日4齢へ。
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D71K-1855改@24mm(3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月8日

 体長8mm。背面の模様が複雑になり、棘状突起はより発達。3齢より出現した第7~9腹節側面の白班が目立ってきました。なお、4齢への脱皮以降、それまで使用していた巣は放棄しました。 巣の全長より体長が優ったためでしょう。新規に巣を造り直すことはせず、ユキヤナギの枝上等に台座を作り、静止しております。13日に眠、翌日14日に5齢(終齢)。
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D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=160、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月26日

 体長20mm。第7~9腹節側面の白班は鮮やかな淡緑色に変化、体全体をホストの枯葉に擬態する効果があるのかもしれません。10月29日に前蛹へ。
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D71K-85VR(3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月30日

 体長19mm。31日に蛹化。
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D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F11-1/320、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 体長15mm。飴色で細かいひび割れのような黒線が入っています。11月18日頃、翅部分がやや黒化。19日朝には腹節も緩み、羽化が迫ってきたサイン。ホシミスジ独特の前翅中室白斑パターンもくっきりと確認できます。
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D71K-85VR(3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:11月19日

 同日9時過ぎに♀が羽化。僅かな隙で今回も羽化の瞬間は確認できず。既に翅が伸びきった後に撮影。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:11月19日9時59分

 孵化後60日目でした。今回飼育に供した亜種setoensis(近畿低地型個体群※)は多化性が特徴で基本年3化ですが、小生は関西在住時、11月下旬に第4化と思しき新鮮な個体を撮影したことがあります。ですので、11月羽化は屋外でも少数ですが発生するのでしょう。

 さて、今回飼育に供した別の1卵は全く異なる経緯を辿りました。孵化は同日で2齢到達まではほぼ一緒。但し、10月上旬頃から摂食量が激減しました。今回羽化した個体が一日当たり50個程度の糞を出していた頃、別個体は僅か10個程度。明らかに越冬モードに入ったようでした。10月31日に3齢到達後、予想通り摂食を完全に止め、巣内で越冬態勢に入りました。保管は冷蔵庫ではなく、昼間は冷暗所、夜間は屋外に出す方式。年が明けて2015年3月12日に冬眠から覚め、巣から出てウロチョロし始めました。既に屋外のユキヤナギは新芽が出始めており、これを供しましたが、食いついてくれません。結局摂食不良で、3月19日に★様になってしまいました。素直に冷蔵庫保管にした方がよかったのか?幼虫越冬品の管理は結構難しいですね。ミスジチョウやオオオミスジ等年1化品の越冬幼虫保管はどのようなノウハウがあるのか?できれば他のNeptis類飼育にもチャレンジしたいものです。

※福田晴男、2012.日本産ホシミスジの現状と課題Ⅱ.やどりが(233):16-34.
by fanseab | 2015-08-23 10:44 | | Comments(2)

コジャノメの飼育メモ

 この夏の暑さは異常で、遠征する気力も萎えてしまうほどです。そんなこんなで拙ブログも長期夏休みを取らせて頂いておりました(^^;
 さて、再開最初の記事は本年5月末に採卵したコジャノメの飼育メモです。産卵関係記事こちら(外部リンク)。

 今回はチヂミザサ葉裏に付いていた2卵を飼育に供しました。全ステージ、与えた食草は全てチヂミザサです。因みにチヂミザサは拙宅の狭い庭の日陰に雑草として茂っているので、ホスト調達の苦労は全くなし。5月27日に孵化。孵化翌日の初齢幼虫です。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 体長4.5mm。初齢の食痕も示します。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月28日

 葉の縁に平行に食い進んでいきます。31日に2齢へ。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:6月3日

 体長は10mm。全身緑色から一変してやや褐色を帯びた体色になりました。腹端から背線部に延びる赤褐色のラインが目立ちます。これは終齢まで保持されるコジャノメ幼虫の特徴です。Mycalesis属中齢幼虫で「腹端から背線部に赤褐色のラインが延びる」特徴を有するものとしては、
キレバヒトツメジャノメ:M.zonata(mucianus?)
コヒトツメジャノメ:M.sangaica
があり、一方、我が国の南西諸島に棲む
リュウキュウヒメジャノメ:M.madjicosa
はヒメジャノメ同様、赤褐色ラインは出現しません。
 さて、6月4日に3齢に到達。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=100、F13-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:6月7日

 体長15mm。全体の特徴は2齢と同じ。ただ、尾端突起が長くなり、やや遠目から眺めると、頭部と尾端が区別し難くなります。一種の擬態効果を狙っているのでしょうか? 6月9日に4齢へ。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:6月12日

 体長21mm。全体に褐色が優り、メタボ体型になってきました。また腹節を斜交する条紋が目立ちます。ここで同属のヒメジャノメ4齢幼虫と形状の比較をしておきましょう。
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ヒメジャノメは昨年10月撮影分

 4齢到達後の経過日数が各々異なるので、厳密な比較ができませんが、体型・体色は全く異なることが一目瞭然です。4齢幼虫の食痕も示します。
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:6月12日

 チヂミザサの葉軸をほぼ垂直に食い切る特徴があります。これは野外で亜終齢および終齢幼虫を探索する時の良きヒントになるものと思われます。6月14日に眠、翌15日に終齢(5齢)に到達しました。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:6月18日

 体長28mm。メタボ体型が保持され体色が完全に褐色に変化。全般にNeope属(キマダラヒカゲ)終齢幼虫を彷彿とさせる性状です。23日に前蛹へ。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:6月23日

 体長14mm。面白いことに体色が褐色から淡緑色に変化しました。翌24日に蛹化。
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D71K-85VR(トリミング+左4コマ/右3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:6月25日

 体長14mm。体色は淡緑色。腹部が明るく、4対の小斑点が目立ちます。ここで同属のヒメジャノメ蛹と形状差異を確認しておきましょう。
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ヒメジャノメは昨年10月撮影分

 形状差が明白で、幼虫同様、蛹もコジャノメは遥かにメタボ体型です。懸垂器の色が両者で異なるのも面白いですね。蛹化6日目の6月30日に翅部分が白化し始め、その後、前翅表眼状紋が確認できるようになりました。羽化前日の姿です。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:7月2日

 そして7月3日、無事♂が羽化しました。
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D71K-85VR、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:7月3日

 いつも通り、羽化の瞬間には立ち会えずガッカリ(^^; 外縁から縁毛にかけての模様がとっても綺麗!
 さて、飼育した別個体は6月27日に蛹化。7月6日に♀が羽化しました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:7月6日

 「一姫・二太郎・・・」ではなく、「一太郎・二姫」と産み分け?に成功し、満足しております。この際、♀羽化の瞬間は目撃できましたが、撮影できず、蛹殻から抜け出した後、翅を伸ばす経過を何とか観察できました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:7月6日

 羽化後、5分でほぼ完全に翅が伸びております。羽化直後の瑞々しい表情は種を問わず、素晴らしい眺めだと思います。さて、偶々飼育した個体が♂♀だったので、蛹形状の比較もしておきましょう。
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 成虫同様、♂に比較して♀の腹部が大きいこと、更に翅形差(♀前翅の外縁が♂に比較してより丸みを帯びる点)も確認できます。最後に幼虫各ステージ頭部の変化をまとめてみました。
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 猫顔として一番可愛いのは3齢でしょうかね。終齢は鬚も白くなった老猫かな?全般に顔の地色が黒いので、ヒメジャノメに比較すると可愛さはイマイチかもしれません。ヒメジャノメ同様、飼育は全般に楽な部類だと思いました。
by fanseab | 2015-08-14 21:18 | | Comments(2)