探蝶逍遥記

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アカセセリの産卵行動を探る(8月下旬)

 種類によらず、年1化の蝶は産卵シーン撮影の難易度が上がります。分布が局地的ならなおさらですが、今回敢えてアカセセリに挑戦いたしました。
 中信地方の高原ポイントは銀塩時代に訪問して以来、約10年振りです。当時は長野県では珍しかったツマグロヒョウモン♂がヒルトッピングしているのを見つけて驚いたものです。例によって産卵時間帯の情報が乏しいのですが、ネット画像から正午前後にあることを突き止めました。現地には10時40分着。昔は結構アカセセリが飛んでいた記憶があるものの、意外と姿が見えません。少し焦り始めた頃、ようやく♀を発見。

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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時14分

 この子はこの後、イネ科の草に絡むような挙動を示しましたが、すぐに姿を見失いました。母蝶探索と並行してホストのヒカゲスゲ(カヤツリグサ科)の探索もスタート。探してみると相当分布は広く、はたと困りました。食草分布が限定されているなら、その近辺で♀の待ち伏せ作戦が通用しますが、広大な草原にホストが普遍的に生えているとそうもいきません。暫くすると、ノアザミに新鮮な♂を発見。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時51分

 ♂は本日の探索対象外ですが、一応撮影しておきます。よく観察してみると、マルバタケブキとアザミに殊の外執着して吸蜜するようです。マルバタケブキは丈が高く、飛ばれた後の追跡が難しいので、アザミが咲いている路傍で、かつ路傍脇にヒカゲスゲが生えている5X50m程度のエリアを重点調査区域に設定し、アザミに吸蜜後の♀個体を追跡する作戦に出ました。ところが産卵時間帯の中心にあるべき正午頃、急に雲量が増したためか、蝶の活動全般が鈍ってしまいました。それとこの草原にはこの時期、紛らしいセセリが存在します。先ずはイチモンジセセリ。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時03分

 マルバタケブキに吸蜜にやって来た左側の個体で、中央右奥にアカセセリ♀と思しき個体も確認できます。イチモンジが草丈スレスレに飛ぶとドキッとしてしまいます。お次はオオチャバネセセリ。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時58分

 ご覧の通り、オオチャバネは時期的に終盤戦の様子です。流石にこの子は大きさがアカセセリとは違いますので、それほど探索のノイズにはなりません。午後1時を過ぎてようやく陽射しが回復して期待していると、1頭のアカセセリ♀がマルバタケブキに登場。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時42分

 この子に注目することに。吸蜜を終えると、定番の開翅日光浴です。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時43分

 ところが、この後、サッと飛び立って行方をくらましました(^^; 結局、この日草原に4時間滞在し、出会ったアカセセリは撮影分含め僅か2♂3♀。この個体数で♀産卵を狙うにはあまりも無謀だったようです。とにかく吸蜜後に飛び去るスピードが半端なく速く、動体視力が衰えた管理人はつらい所です。恐らく、産卵時にはある程度飛翔スピードが遅くなり、ホバリング状態で、ヒカゲスゲに接近していくのでしょう。そんな場面はいつ見ることができるのだろう・・・と途方に暮れながら撤収したのでした。
by fanseab | 2014-08-24 22:02 | | Comments(2)

コヒョウモンモドキの産卵行動を探る:その2(8月上旬)

 前回ご報告した北信のポイントでは産卵食草のクガイソウが見いだせない問題点がありました。産卵現場観察の難易度を下げるためには、クガイソウが確実に見られる場所での観察が必須と考え、中信地方の高原へ場所を移してのチャレンジです。
 ポイントと思われる斜面には7時過ぎに到着。ゆっくり斜面を登りながら、クガイソウの群落を探します。しかし、驚いたことに全くその姿がありません。遠くから斜面を見ると理想的な「草原」に見えるのですが、実はササが一面に覆っている「笹畑」になっているのです。唯一ヒヨドリバナ類がササ藪から抜き出ていて、ヒヨドリバナの一大群落を形成しております。そんなこんなで、やっとこさクガイソウを一株発見。

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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:7時46分

 ここは露岩脇にある窪地で、クガイソウの株高さはヒヨドリバナの1/2程度ですので、うっかりすると見落してしまう所でした。この後、500mX1kmに及ぶ対象斜面を彷徨ってみましたが、全体で発見したクガイソウの株は僅か3株。もちろんいい加減なサンプリング調査の結果ですけど、株間隔はざっと見積もって200mに1本程度でしょうか?こちらは3株目の姿。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/320、撮影時刻:8時03分

 こちらも窪地にあったので、遠目からは存在確認ができませんでした。こんな状況ですので、当初想定した「クガイソウ群落」等、夢のまた夢といった状況でした。ヒョウモン類が活動を開始し、ヒヨドリバナに吸蜜にやって来る時間帯になってもコヒョウモンモドキの姿はありません。この食草株数からは容易に想像できる結果でした。試しにそれまで確認したクガイソウの葉裏をチェックしましたが、モドキの卵塊は確認できませんでした。
 クガイソウ探索の過程で、高原に咲いている綺麗な花の様子も確認しました。先ずはハクサンフウロ。ベニヒカゲ含め、蝶が大変好むピンク色の花です。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/320、撮影時刻:8時27分

 ハクサンフウロはご覧のように笹原から花茎を轆轤首のように伸ばし、群落を作っております。ササが侵食してきても花粉媒介を維持できる高さまで花弁を上げる能力を持っているのですね。この草原にも多い、コキマダラセセリの♀が丁度、吸蜜にやって参りました。
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D71K-34、ISO=200、F8-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時10分

 ハクサンフウロ以外では、イブキトラオノやヤナギランも株高で、ササ類の浸食には強そうです。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:8時24分
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:8時59分

 ここまでの観察で、「ササ類の浸食→クガイソウの衰退→コヒョウモンモドキの衰退」
なるストーリーをぼんやりと実感しておりまして、ここにはモドキはいないだろうと諦めておりましたが、斜面を下りきったあたりで、ヒヨドリバナから吸蜜する一頭の♂をようやく発見。
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D71K-34、ISO=200、F10-1/640、-1.0EV、撮影時刻:9時29分

 羽化不全、かつ右触角が損傷した哀れな個体でしたが、意外と敏捷に飛び回っておりました。さてはこの近辺に食草があるのか?と必死に探しましたが、クガイソウは発見できず。ただ越冬後幼虫が食するとされるオトコヨモギは結構生えておりました。僅かに期待した♀の姿も発見できず、ガッカリでした。最近ブログ仲間により上高地上流にある露岩地帯の渓谷でクモマベニヒカゲやタカネキマダラセセリの画像が紹介されておりますが、クガイソウからの吸蜜シーンが定番となっております。それほど現地では普通に咲いている草本なのですが、高原ならどこでも咲いている草本ではなさそうです。結局、この斜面は見切りをつけて、やや湿潤環境にある草原に移動し、探索を続けました。暫く歩くと、この日、出会った4株目のクガイソウを発見。その後、現地でやっと♀に出会うことができました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F10-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時06分

 吸蜜源はアキノキリンソウだと思います。時折、ヒョウモンチョウ(ナミヒョウモン)♂に追跡されておりましたが、そのうち、この個体を見失ってジ・エンド(^^; 産卵時間帯と目される正午を含め午後1時過ぎまで粘るも♀を発見できず、ガッカリでした。ここではやっと、2株連なっているクガイソウ(画面中央下)を発見。
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TG2@9.6mm、ISO=200、F13-1/80、+0.3EV、撮影時刻:11時53分

 周辺はワレモコウの大群落で、チダケサシの数も多い場所です。この場所を離れて更に広大な高原の2箇所を探索しましたが、クガイソウは発見できず。コヒョウモンモドキの産卵現場探索で現地を訪問したつもりが、想定外の「クガイソウ群落探索」に目的がすり替わってしまいました。それほどクガイソウを発見するのは至難の業でした。この日の探索経験からは稜線上のように乾燥が進み過ぎた場所はクガイソウが嫌う感じで、やや湿潤な場所を好むようです。ただ類似環境はゴマンとあるのに、咲いている場所は限定されていて、単に地形的要素ではなく、土壌pH等も影響しているのか?と色々考えさせられたのでした。モドキ類(Melitaea属)はおしなべて食草が限定されているため、衰退しやすい種群と言えます。仮にヒヨドリバナに食性転換できるのであれば、今回訪問した高原はコヒョウモンモドキで溢れかえるのかもしれません。もちろん有りえない話でしょうけどね。今年のモドキ産卵探索はこれにて終了。「来夏の楽しみが残った」と負け惜しみを言っておくことにします(爆)
by fanseab | 2014-08-04 23:58 | | Comments(6)

コヒョウモンモドキの産卵行動を探る(7月下旬)

 首題目的で、前回訪問した北信地方のポイントへ出向きました。本種の産卵時間帯は不明確ですが、ネット上で「長野県某所標高1600m付近、8月2日、12時20分産卵」のExif記録を見出しました。これを参考に正午前後に狙いを絞り、現地には8:00到着。ただ少し上空に寒気が入った影響か、雲量が多く、陽射しが不足しております。前回♂が群れ飛んだエリアには全くモドキの姿がありません。相当細かく探してやっと、一頭の♀を発見。オカトラノオの穂先に開翅休息しておりました。

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D71K-85VR、ISO=400、F8-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時12分

 吸蜜はしておりません。結構暗化した個体です。この後、複数個体を見出しましたので、これを個体Aとしておきます。Aの脇に座り込んでひたすら動きを待ちました。10時30分頃から陽射しが戻ってきて、ようやく吸蜜を開始。ある程度温まってくると、止まっていた穂先を飛び出し、別の穂先でまた吸蜜を繰り返していきます。
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時00分

 ここはミドリヒョウモン♂と一緒に吸蜜するシーン。モドキより大型のミドリやメスグロが来訪すると少し場所を避けながら健気に吸蜜する姿は可愛いものですね。この個体は12時頃まで吸蜜を続け、正午過ぎに灌木に飛び移り、前脚連打行動らしき姿を確認できました。「すわっ、産卵か!」とこの子を追跡するも足場の悪い灌木帯に遮られ、姿を見失ってしまいました。ガックリです(^^; 行方を追跡していくと、ようやくオカトラノオで吸蜜する個体を発見。
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、撮影時刻:12時11分

 しかし、よくよく斑紋をチェックすると、これは追跡していたはずの個体Aではなく、表翅がやや明るめの別個体(B)でした。どこで入れ替わってしまったのか? 今度はBに着目して追跡するも吸蜜に執着して、ようやく飛んでも産卵行動に移行しません。そのうちBを見失う始末(嗚呼!)。更にガサゴソ灌木帯を探索すると、下草内で吸蜜する羽化不全気味の個体(C)を発見。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:12時49分

 この子もひたすら吸蜜に執着しており、産卵行動に移行しません。仕方なく前回♂が多数舞っていた場所に戻ると、今度は個体Dが吸蜜しておりました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時16分

 この時点で既に13時を過ぎており、些か不安になって参りました。そのうちこの個体のすぐ傍に個体Eも出現。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:14時14分

 この子も憎たらしい?ことに吸蜜を止めることはありませんでした。15時以降は気温が低下しそうでもあり、結局14時30分に観察を止め撤収しました。撤収直前の個体Eの姿です。
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D71K-85VR、ISO=200、F5-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時21分

 この頃にはすっかり夏空が戻っておりました。結局、5時間におよぶ継続観察で、産卵現場の確認は失敗に終わりました。とにかく♀は暇さえあればオカトラノオで吸蜜しており、一旦開翅休息して再び吸蜜のパターンでした。当初予想した「吸蜜→産卵→休息→吸蜜→産卵」パターンを見ることができなかったのは意外でもありました。実は今回、このポイントで産卵現場の確認に執着したのは、このポイントでのホスト確認も目的の一つでした。コヒョウモンモドキのホストはゴマノハグサ科のクガイソウもしくはヒメトラノオとされています。これは母蝶が産卵する草本でして、越冬した幼虫が翌春食べる草本はこれに加えて、同じゴマノハグサ科のオオイヌノフグリ、キク科のオトコヨモギ、オオバコ科のオオバコ等の記録があります(※)。このポイントで不思議なのは、クガイソウやヒメトラノオが確認できない点。ですので、ゴマノハグサ科以外の草本に産卵している可能性が高いと睨んで、今回の探索になったのですが、目論見は失敗でした。先に紹介した文献(※)によると、「本州中部の多くの産地では、産卵は8月に入ってから行われる」と記載してあります。つまり交尾後、相当時間経過して、♀の卵細胞成熟を待って産むタイプのようです。今回管理人が訪問した時期は産卵観察にとって早すぎたのか?それとも産む時間帯推測が間違っていたのか? 今後の検討課題です。

※福田晴夫他、1983.原色日本蝶類生態図鑑(Ⅱ).保育社、大阪.
by fanseab | 2014-07-30 22:20 | | Comments(0)

ヒメシロチョウの産卵など(7月上旬)

 アサマの産卵シーンを狙ったこの日は、早朝コヒョウモンモドキのポイントを訪問(後日記事にアップ予定)、その後ヒメシロポイントへ移動し、更にアサマポイントへと分刻みのスケジュールで撮影しておりました。もっともアサマの産卵シーン撮影を主目的にしていたので、ヒメシロポイントには正午までしか滞在できません。しかも、ヒメシロの産卵時間帯は正午前後にあるため、午前中に産卵してくれる個体に期待するしかありません。現地には午前10時過ぎに到着。飛んでいるシロチョウはモンキのみでヒメシロの姿がありません。周辺の草地を飛び交っているヒョウモン類を撮影しながら待機していると、ようやく10時30分頃からヒメシロが飛ぶようになりました。ただ第2化発生初期のためか個体数は非常に少なく、厳しい状況。それでもツルフジバカマを求めて飛ぶ♀をようやく発見し、何とか産卵シーン撮影に成功しました。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時45分

 この絵は正直B級ショット(^^; もう少しスッキリした場面で撮りたかったのですが、この時期はススキも含め他の草本類の草丈も高く、草叢内に潜り込むように産卵するので、結構アングルが規制されて難しいものですね。その後この母蝶は連続産卵することなく、飛び去っていきました。この母蝶を追跡後、産卵場所に戻ってみましたが、産卵位置を確認できず、卵の拡大撮影には失敗。産卵シーンを優先してしまうと卵画像が撮れない敗戦パターンです。ヒメシロの飛翔はご存知の通り、フワフワと緩やかで、♂の探♀飛翔と♀の産卵行動中の飛翔パターンが酷似しているため、遠目から♀を見分けるのが難しいものだとつくづく思いました。結局相手に接近して前翅端の黒班の状態を観察して♀個体を追跡するしかなく、探索効率が下がります。結局1時間30分滞在中、産卵シーンを観察できたのは僅かに一回でした。ここでもダラダラと発生が続きそうですし、第3化品で再度産卵シーンを狙うことにしました。個体数が少なかったものの、♂が♀(下)に言い寄る求愛シーンはここでも観察できました。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/500、-1.0EV、撮影時刻:11時03分

 ♂の「大願成就」はならず、「感情移入」のみで終わったのはいつものパターンですね。さて、♀はノンビリと吸蜜に専念することが多かったので、これまできちんと撮影していなかった吸蜜シーンも撮影。
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D71K-85VR、ISO=200、F5.6-1/1600、-1.0EV、撮影時刻:11時26分

 ヒメシロ以外のシロチョウとしては、スジボソヤマキの♂♀を撮影。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/500、-1.0EV、撮影時刻:10時52分
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D71K-85VR、ISO=200、F7.1-1/1600、-0.3EV、撮影時刻:11時35分

 ヤマキ類裏面には翅脈間に繊細な襞模様があります。上質な和紙を連想させる皺模様は、いつ見ても不思議な美しさだと思います。
 さて、ヒョウモン類では圧倒的にウラギンが多く、その次にメスグロ♂♀、ミドリ♂、数が少ないもののオオウラギンスジ♂を確認。
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D71K-85VR、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時22分

 この手の個体を見ると、贔屓目でどうしても「ウラギンスジ」だと思いたくなりますが、残念ながらオオウラギンスジでした。その他、クモガタ♀もおりました。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時32分

 夏眠前のクモガタ♀もあまり撮影した記憶がありません。後翅への「花被り」がちと残念!ヒョウモン類が群れ飛ぶ草地にはヒメシジミも、それこそ蠅が飛ぶように多数群れておりました。で、すぐに交尾ペアを発見。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時55分

 ヒメシジミの交尾シーンって、ヤマトシジミのそれよりも観察頻度が多いような気がします。次回は時計を更に巻き戻して朝方実施したホシミスジの観察結果についてご紹介したいと思います。
by fanseab | 2014-07-10 21:07 | | Comments(4)

アサマシジミの産卵行動を探る(7月上旬)

 巷で「ブルー三兄弟」と言われるPlebejus属3種、ヒメ、ミヤマ、アサマシジミについて一昨年より越冬卵の撮影等に注力してきました。昨年はヒメ(外部リンクミヤマ(外部リンクの母蝶を追跡し、産卵シーン撮影に何とか成功。
 そこで、今年は残るアサマについてトライすることにしました。今回は例年観察を行っているナンテンハギ食いの山梨県産ではなく、エビラフジ食いの長野県産でチャレンジしてみることにしました。ヒメとミヤマの産卵時間帯の実績を踏まえ、現地には13時に到着し、15時40分頃まで粘ってみました。しかし、結論から言えば産卵シーンに出会えずガッカリでした。このポイントはヒメとアサマが混棲しているため、♀を先ず識別した上でエビラフジに執着する個体を追跡してきました。最初に追跡したのはエビラフジで吸蜜していた個体(下記画像上の個体)。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時14分

 吸蜜が終わるとフワリと飛んでエビラフジやその他の葉上で開翅休息します。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時38分

 いつ産卵行動のトリガーがかかるのか?全く読めないまま時間が過ぎていきました。もちろん、この個体のみ監視していたのでは効率が悪いので、全部で3-4個体ほど監視対象に含めましたが、いずれも吸蜜に熱心で当てが外れました(^^; この日は蒸し暑く産卵には最適と思われたのですが、時間帯が少し違う(例えば午前11時頃にピークがある?)のか、雲量が少な目の日を選ぶのか?今後の検討課題です。

 ♀の産卵行動追跡の合間にエビラフジの茎をチェックし、卵の確認をしました。先ず直ぐに地上高さ13cmほどにある2卵を発見。
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TG2@18mm-gy8、ISO=800、F18-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時02分

 すぐ脇の株からは根際に4卵産み付けられておりました。
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TG2@18mm、ISO=1600、F14-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時44分

 更にエビラフジの株周辺のスギ枯葉上にも数卵産み付けられておりました。
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TG2@18mm、ISO=1250、F14-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時44分

 ホストとは直接関係のない枯葉等に産み付ける習性はヒメやミヤマに共通するのですね。これらの卵を確認したエビラフジの株は林道脇の陽射しの良い環境にあり、アサマ母蝶にとって大変好ましい場所だったらしく、この株周辺だけで15卵ほど卵を確認できました。一番最初にご紹介した茎上2卵の一つを先ずはTG2で超拡大撮影。
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TG2@18mm、ISO=800、F14-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時59分

 オリンパスから最近発売されたLEDライトガイド「LG-1」を改造し、内蔵ストロボの光も回るようにしてみました。これまでは自作ディフューザーで光拡散を実施しておりましたが、やはりリングライト状に光を回すと、自然光照明に近いエエ感じに仕上がりました。次いで、ミラーレスでの超拡大システムでの撮影。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=800、F14-1/200、内蔵ストロボ+LEDライト、撮影時刻:14時31~36分

 現地でスレーブストロボが故障した影響で、照明が不自然になったのと、相変わらず深度合成が不調で仕上がりは悪いです(^^; 卵直径0.83mm、高さ0.33mm。小枝の分岐に産み付けられた卵も撮りました。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=800、F14-1/200、内蔵ストロボ+LEDライト、撮影時刻:14時31~36分

 やはり産卵後時間経過の少ない卵の表面構造は大変綺麗です。しかし、できれば産卵直後の翡翠色を呈した卵を撮りたいものです。今回は♀産卵をメインにしたため、♂を楽しむには時期がもちろん遅かったのですが、ヒメシジミと吸蜜に集う♂(左端の個体)も参考までにご紹介しておきましょう。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時15分

 ブルー部分の拡がりはさほどではない個体ですね。ヒメとの体格差が良くわかる画像になりました。また、このポイントに腐るほど群れていたヒメシジミ♀については、ヨモギの枯葉に産卵する場面に出会いました。
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D71K-85VR、ISO=400、F10-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時27分

 但し疑似産卵行動だったようで、卵は確認できませんでした。なお、このポイントでキバネセセリ♀との嬉しい出会いもありました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時24分

 キバネの♀についてはこれまでまともな画像がなかったので思わずニンマリしてしまいました。アサマの産卵については高標高地でまだチャンスがあるかもしれませんが、基本、来シーズンの課題にしたいと思います。アサマの発生時期は梅雨と重なり、♀産卵シーンのような場面を狙うには大変難しい対象であると再認識しました。次回はこのポイントを訪れる直前に観察したヒメシロチョウの産卵シーンについてご紹介したいと思います。
※今回の遠征ではいつもお世話になっているkさんより多くのアドバイスを頂きました。改めて御礼申し上げます。
by fanseab | 2014-07-08 23:39 | | Comments(6)

キマダラセセリの産卵行動を探る(6月下旬)

 管理人の拙宅近くを流れる多摩川はセセリ類が豊富です。キマダラセセリもこの流域に棲む普通種ですが、産卵場面の観察は意外と手強いのです。昨年、第2化発生時期(8月中~下旬)に♀を真面目に追跡してみました。以下、昨年夏の観察結果です。
文献(※)によれば、産卵時間帯は「午前11時30分~午後2時」と記載されております。
※福田晴夫他、1984.原色日本蝶類生態図鑑(Ⅳ).保育社、大阪.
 この図鑑の記載内容全てを信用することはできないので、念のため午前9時~夕方5時頃まで一日中♀を追いかけてみました。その結果、図鑑の記載通り、正午前後にそれらしき行動に出ることが判明しました。先ず、アズマネザサの群落表面を舐めるように飛び、時々群落内に潜り込む個体を目撃。残念ながら産卵したかどうかは確認できず。二回目は比較的明るい環境でイネ科への産卵を目撃するも、草叢の陰で、産卵場所が特定できずこれも撮影に失敗。
 そして今年。リベンジするためには第1化から追跡が必要と考え、正午前から多摩川縁をウロチョロしてみました。キマダラセセリは多摩川中流域に広く分布するセセリですが、生息場所は相当局地的です。今回調査した20mX400mのエリアでキマダラが確認できるのは僅か10X50mの一角。そのポイントの生息環境です。

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TG2@4.5mm、ISO=200、F2.8-1/1600、撮影時刻:12時04分

 段丘上にアズマネザサが生い茂った北向きの一角で、ヒメジョオンの群落があります。ヒメジョオンの周辺は特に個体密度が高く、常時10頭ほどの個体がここで観察できます。吸蜜源はそのヒメジョオンおよびこの画像では確認できませんが、丈の低いアカツメクサとなっていて、クズおよびアズマネザサ葉上が主たる休息場所です。この個体密集ポイントで♀が産卵行動をスタートさせるタイミングを待ちました。しかし、正午前後で確かにこの場を離れる個体を目撃するのですが、物凄いスピードで飛び立つこともあって行先を特定できません。逆に言えば、どうやら休息場所=産卵場所ではないことに気が付きました。そこで↑の画像の左奥方向へ移動して探索していると、怪しげな1頭の♀を発見。アズマネザサの上を飛んだ後、エノコログサと思われるイネ科に産卵しました。産卵時刻は12時40分。残念なことに、この時オートフォーカスが迷って産卵現場の撮影はできずガックリ。確か、葉先に頭部を向けたスタイルで、腹端を葉先に向ける、イチモンジセセリやミヤマチャバネセセリとは挙動が異なっておりました。産卵状況です。
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GX7-Z60、ISO=400、F10-1/320、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時28分

 裏面の端部に産んでおり、色はほぼ白色。産卵環境もアップしておきましょう。
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TG2@4.5mm、ISO=400、F8-1/320、撮影時刻:10時38分

 黄色丸印が産んだエノコログサの位置。地上高約40cm。昨年の経験と併せてみると、日当たりの良い場所で草叢の低い位置に産みつける傾向があるように思います。結局延べ2日間♀を追跡したものの産卵行動を目撃したのは一回のみ。相当な難物です。イチモンジセセリのように、産卵モードに入ると連続的に当たり構わず産んでいくスタイルとは異なり、産卵→休止(吸蜜)→産卵のサイクルが確認し難いのです。
 産卵当日は卵の拡大撮影をしていなかったので、後日、再トライ。先ずは魚露目で産卵環境を撮影。
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TG2@18mm-gy8、ISO=800、F6.3-1/800、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時41分

 次いで拡大像。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=800、F14-1/200、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+スレーブ1灯+LEDライト、撮影時刻:10時55分

 直径0.92mm、高さ0.65mmのおまんじゅう型。表面に極僅かな凹凸が観察できます。色が変化して既に胚形成が始まっています。ですので産卵直後の拡大撮影を再トライしなければなりません。

 まだ第1化母蝶産卵シーン撮影のチャンスはあると思うので、もう少し粘るつもりです。それが駄目なら第2化でまたチャレンジしたいと思います。
by fanseab | 2014-06-30 22:37 | | Comments(0)

ウラゴマダラシジミの産卵(6月中旬)

 クロミドリ探索の途中、林縁のクズ葉上にルリシジミの♀らしき姿が。近寄ってみるとちょっと雰囲気が異なります。あれっ、ウラゴじゃん!

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:7時52分

 新鮮な♀でした。後翅は結構暗い型でしょうか。ウラゴは最近飛翔シーンばかり撮影していて、真面目に開翅シーンを撮影するのは5-6年振りでしょうかね。ただ開翅持続時間は短くショータイムは直ぐに終わってしまいました。クロミドリポイントへはかれこれ5年連続で通っておりますが、ここでウラゴを観察したのは初めて。もちろん周囲にイボタノキがあるのは知っていましたが、「生息していない」先入観があったので、出会った時はルリの♀と思った次第。その後、アカやウラナミアカの産卵期待で別の林縁で張り込んでいると、またぞろ、♀に遭遇。彼女は直ぐにクヌギ大木の裏に回り込んで産卵行動のスタートです!
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時12分

 イボタの花が咲いておりますが、花には見向きもせず、枝に一直線に向かって行きます。続いて好みの分岐を見つけたのか、ここで産卵しました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時13分28秒(右上囲みの撮影時刻は14時13分04秒)

 右下囲みは腹端付近の拡大像で、卵を樹皮に接着する液体で枝表面が濡れていることがわかります。引き続き場所替えして4卵を産み付けました。
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D71K-34、ISO=200、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時15分

 ここで産卵環境をアップしておきましょう。
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TG2@4.5mm、ISO=400、F8-1/20、-0.3EV、撮影時刻:14時24分

 イボタの株高は1.5mほどの貧弱なもので、フジの蔦が絡まっております。産卵していた時間帯は時折強風が吹いておりましたが、この場所はクヌギの巨木の木陰でもあり、そよ風程度に収まっておりました。卵塊の産卵状況を魚露目で撮影。
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TG2@18mm-gy8、ISO=800、F6.3-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時36分

 産卵直後は本当に鮮血を連想させる、どきつい赤色ですね。4卵の左横には昨年産卵された孵化殻(もうひとつは未孵化殻?)が見えております。母蝶が大変好む産卵環境なのでしょうね。次にコンデジで卵の拡大撮影。
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TG2@18mm(トリミング)、ISO=800、F14-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時30分

 コンデジでこれだけ写れば御の字ですね。TG2の実力を改めて認識いたしました。次いでミラーレスで更に拡大撮影。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=800、F14-1/200、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+スレーブ1灯+LEDライト、撮影時刻:15時36分

 卵直径は1.1mm。僅かに深度合成処理が破綻しておりますが、何とか合格レベルの画質でしょう。越冬後、色が枯れた状態だとお菓子のタルトを連想させるウラゴの卵ですが、産みたての精孔部付近の形状は、ヘタを取ったイチゴを想起させるものです。産卵直後で汚れが付いていない卵は種類に寄らず、本当に綺麗なものですね。
 さて、ウラゴの産卵を観察途中、とても素晴らしい眺めがありました。丁度光線状態が良かったのか、予期せぬ縁毛ブルー幻光を拝むことができました。
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D71K-34、ISO=640、F9-1/400、-0.7EV、撮影時刻:14時16分

 こんな出会いがあるから撮影は止められませんね。次回は他のゼフ産卵シーン探索について書いてみたいと思います。
by fanseab | 2014-06-18 22:13 | | Comments(6)

コジャノメ第1化とアカタテハ産卵(5月中旬)

 ウスバシロ産卵撮影に集中していた日、現地でお会いしたMさんがコジャノメ第1化を見つけてくれました。喜んで撮影。ド完品の♂でした。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=400、F7.1-1/200、-0.7EV、撮影時刻:14時01分

 相当敏感な対象ですね。ちょっとしたショックで飛び去り、すぐに葉上に止まってくれます。紫色を帯びた裏面白帯を表現したくて、ストロボ光を使用しますが、発光の瞬間に飛び立ってしまいます。それでも数回トライするうち、ストロボ光に慣れたのか、じっとしてくれるようになりました。
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D71K-85VR、ISO=400、F7.1-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時02分

 ほぼ目論見通りの色合いが出せたと思います。ヒメジャノメに先んじて本種が出始めると、本当に初夏を感じさせてくれます。コジャノメはどこでも撮影できる対象ではありません。次回は♀の産卵を狙いたいところです。
 さて、明るい草地ではウスバシロに混じってアカタテハ♀も産卵に忙しく飛び回っておりました。本種産卵シーンは既に撮影済でしたが、葉被りの酷い画像だったので、「ここはリベンジしたる!」と張り切って♀を追跡。何とか腹端まで写った画像をゲットできました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時33分

 また、通常とは異なり、葉裏に産卵する場面も撮影できました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時30分

 葉裏産卵シーン撮影はこれが初めてです。ようやく満足のいくアカタテハ産卵シーン画像が撮れてホッといたしました。
by fanseab | 2014-05-17 22:41 | | Comments(4)

ウスバシロチョウの産卵・交尾など(5月中旬)

 ウスバシロの産卵狙いで、東京都下の谷戸へ出撃。ゴールデンウイーク前半戦から既に♂が飛び始めていることは確認済ですので、♀狙いには丁度良いとの判断です。現地に出向くとムチャ多数の♂が飛翔しております。昨年は個体数が激減していたので、心配しておりましたが、ここ数年で最も豊作の年と思われ、一安心。♂は見向きもしないで、ひたすら♀探索。原則、白色鱗粉少な目が♀の特徴ですが、中には♂同様白い個体もいて、騙されます。ようやく黄色味を帯びた♀を発見。フワフワ飛びながら、突然ストンと落ちるように草叢に降下します。これが産卵行動開始のシグナルです。落下後、ガサゴソ草叢の中を動き回り、枯葉や枯茎の類を見つけると前脚で確認作業を行っていきます。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時28分

 残念ながらこの枯葉は好みでないようで、パスしていきました。その直後、今度は草丈の高い草本(恐らくキンポウゲ科のタガラシ)の根際に潜り込み産卵です!
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時30分

 しかし、露出を間違え大幅アンダー。おまけに葉被りで酷い画像ですが、腹部を曲げている産卵ポーズが何とか写せた証拠画像です(^^; 産卵場所の全景がこちら。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:10時28分

 矢印で示した根際の枯れたスギの蕾上に3卵産んでおりました。卵の拡大像も撮影。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段のみ2コマ深度合成)、ISO=640、F20-1/125、LEDライト、撮影時刻:13時46分

 照明方法の差でかなり様相が異なるものの、表面は他のアゲハチョウとはまるで異なり、シジミチョウの卵を連想させる細かな表面模様が特徴的です。直径も1.51mmで、ナガサキアゲハと同等の巨大なサイズ。なお、この撮影はミラーレス用に新たにレンズ系を改良した超拡大撮影システムを用いました。手法の詳細は別途記事でご紹介したいと思います。産卵直後はピンク色で、直ぐにご覧のようなクリーム色に変化します。更に時間が経過すると白色に変わり、越冬状態でも同じ色相のはずです。

 この後、2時間近く♀を追跡しました。しかし、草叢に潜入するシーンは目撃するものの、肝心の産卵挙動には至らないケースのみで、結局↑の画像以外は撮影できませんでした。とにかく産卵場所として日陰を好むのと、草叢に潜入する産卵スタイルなので、撮影はアゲハチョウ科の中でも極めて難しい部類に属すると思います。いずれ再撮影にチャレンジしなければなりません。同じParnassiusでも大雪山で観察したウスバキチョウは燦々と陽が降り注ぐ露岩上に産み付けるので、よほど撮影は楽だと思いました。
※以前撮影に成功したウスバシロ♀の産卵シーンは こちら(外部リンク)

 ♀を追跡しながら、♂の飛翔も撮影。風薫る五月晴れの空の下、フワフワ飛ぶウスバシロは無性に飛翔を撮りたくなる対象ですね。
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GX7-10.5(ノートリ)、ISO=200、F4.5-1/3200、撮影時刻:10時14分
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GX7-10.5(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/3200、撮影時刻:10時14分
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GX7-10.5(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/3200、撮影時刻:10時20分

 いずれも40コマ/秒連射によるもので、操作法にも慣れてきたので、戦力になってきました。1枚目のようにノートリで撮影できれば画質はなかなかのものです。3枚目は♀の飛翔。♀の飛翔画像はこれまでの画像ストックの中になかったので、これは嬉しい絵になりました。定番のハルジオン吸蜜シーンも撮影。
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D71K-85VR、ISO=200、F8-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:11時24分

 さて、♀を追跡中、フト地面を見るとバタバタしているウスバシロを発見。団子状態になっている求愛中の2頭の♂と♀(中央左上)でした。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時36分

 そのうち、1頭の♂は諦めて飛び去り、交尾成立。♂がバルバを引っ掛ける直前のシーンです。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時36分

 交尾中の姿(上が♀)をTG2に魚露目を付けて撮影。
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TG2@18mm-gy8、ISO=400、F18-1/100、内蔵ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:13時12分

 他のブログ仲間の画像から期待しておりましたが、魚露目との相性は良好のようです。♀の左後翅には赤褐色の小斑点が付いております。恐らく羽化後に放つ赤褐色の蛹便が付着したのでしょう。羽化直に♂に襲われてもがいている最中に蛹便が翅を汚したと推察されます。読者の方はご存知の通り、ウスバシロの♀腹端には交尾後、♂の分泌物質により交尾栓(スフラギス)が形成されます。ここで交尾後36分および99分後の結合部(下が♂)を比較してみました。
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D71K-85VR(トリミング+画像合成)、ISO=400、F8~11-1/320~1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時12分および14時15分

 36分後には何もついておりません。交尾時間が2時間だとして、後半戦から♂が分泌を始めるのでしょうか?次回チャンスがあればスフラギス形成の詳細過程を連続撮影したいものです。ご覧のようにスフラギスは形成直後、半透明の寒天細工のような風合いをしております。これが継時的に白色→褐色→黒色に変化していくのですね。スフラギスがほぼ白色の個体も追跡しましたが、産卵挙動を行ったものは皆無でした。ある程度スフラギスが黒化した個体でないと、産卵行動をスタートできないのかもしれません。なお、この日、現地では保全協会でお馴染みの撮影仲間、Mさんも訪問されておりました。時間の経過も忘れてMさんと蝶談義をしながらの撮影を楽しみました。
by fanseab | 2014-05-14 21:46 | | Comments(4)

ギンイチとミヤマチャバネセセリの産卵

 ゴールデンウイーク期間中は信州でのLuehdorfia撮影をキッパリ諦めて、ひたすら多摩川縁でギンイチモンジセセリの産卵シーン撮影に注力していました。都合、3日ほど追いかけ回しましたが、例によって相当苦労しました。例年、ギンイチは4月中旬から発生しているので、既に♂はボロ状態。♀も同様でした。そんな中、何とかピカピカの♀を発見。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=200、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時58分(5月上旬)

 この♀を追跡しようと待機しておりましたが、♂に追撃された瞬間、居場所を見失ってしまいました(嗚呼!)。仕方なく、別の♀を探索。ややあって、産卵挙動中のボロ♀を発見。何とか現場を仕留めました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時09分(5月上旬)

 昨年も第1化品の産卵シーンをゲットしておりますが、翅の向きが酷く、今回ようやく翅面が横向きで撮ることに成功。ただ、欲を言えば、もう少し左側に寄って、腹端と葉が接している場面を撮りたかったです。この後、複数回産卵シーンを目撃するのですが、オートフォーカスが迷ったり、完全葉被り状態になったりで、結局追加撮影はできませんでした。春先のギンイチは産卵位置が低めなので、本当に難しいと感じます。別の♀個体が産んだ卵の拡大像です。
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TG2@18mm(トリミング)、ISO=400、F4.9-1/400、撮影時刻:11時49分(5月上旬)

 産卵位置は地上高20cm程度。 ボロ♂を単独で撮るのも寂しいので、吸蜜シーンのみ狙って撮影。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時12分(4月下旬)
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D71K-34、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時25分(5月上旬)

 吸蜜源はそれぞれ、カタバミとアメリカフウロだと思います。僅かに羽化不全なるも結構新鮮な♂を偶然見つけたので、パスト連射風飛翔撮影にトライ。
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GX7-10.5、ISO=640、F3.5-1/4000、撮影時刻:11時42分(4月下旬)

 この場面、蝶を画面左中央下に配置し、左側から刺激を与え、前方に飛び立ったギンイチを画面中央に捉える作戦で、画面中央に置きピンして撮影しております。ところがギンイチは静止位置からほぼ垂直に飛び上がり、のけ反るような恰好で、画面左側に逃げていきました。自発的に飛び出す場合と撮影者が意図的に刺激を加えて驚かして飛ぶ場合とでは、飛翔モードが異なっております。これは先日、ダンダラさんからコメントを頂いた通りで、自然な画像ではありません。ただ、40コマ/秒高速連射のお蔭で、普段観察できないギンイチ前翅裏面の黒色部分が強調された飛翔画像が撮れました。後翅裏面の「銀一文字」模様と対照的な前翅裏面が対比される絵が撮れて、これはこれで満足しております。また、パスト連射方式だと、画像トリミングが不要なので、APS-C一眼と同レベルのシャープな画像も魅力です。なお、今回はデジ一広角飛翔でかつて多用したニコンの10.5mm対角魚眼を使用しました。MFT(マイクロフォーサーズ)用の広角レンズは残念な事に距離目盛がありません。従って置きピン操作が大変煩雑になります。GX7の場合、フォーカスモードをAF→MFに切り替え、レンズの距離環を廻すと簡易距離表示バーがEVF内に出ます。距離環を廻して置きピン位置相当位置に固定し、飛翔撮影をします。ところが、電源を切ると、置きピン設定がリセットされてしまうので、撮影の度毎に置きピン設定を繰りかえす必要があり、実用的ではありません。結局、距離目盛環付のAPS-C用広角レンズを使用せざるを得ないのですが、センサーサイズが小さいこともあって、広角飛翔撮影に最適な焦点距離を有するレンズは意外とありません。10.5mmの場合は、フィルム換算21mmになるので、飛翔用広角レンズとしては結構使い道が広いように思いました。

 ギンイチと並んでこの時期、多摩川縁にはミヤマチャバネセセリ第1化も出現します。例年ギンイチよりは発生時期がやや遅れるので、こちらは比較的新鮮な個体に恵まれました。先ずは。テリ張りする♂。
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D71K-34、ISO=400、F10-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時33分(5月上旬)

 嬉しいことにギンイチ♀を探索中、偶然、ミヤチャ♀の産卵シーンに遭遇。何とか撮影に成功!
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時12分(5月上旬)

 産卵状況です。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時13分(5月上旬)

 オギ群落の縁にある葉裏に産んでいました。葉の中央部でなく、縁に産むのがミヤチャの特徴。地上高は85cm。最近、ブログ仲間のBANYANさん(外部リンクもミヤチャ♀第1化産卵シーン撮影に成功されています。こちらの産卵時刻は12時半頃だったようです。管理人が昨年9月上旬に第3化個体の産卵シーンを観察・撮影した時は15時前後でした。ゴールデンウイークの頃は午後風が強くなるとか、雲が拡がることも多く、気温の関係で、産卵時間帯が前ズレするのかもしれません。ギンイチと異なり、ミヤチャは産卵位置が高く、ホバリングしながら産卵する葉を決定すると、特別身動きもせず産卵します。しかも産卵時間はギンイチよりもやや長め。一方、個体数は圧倒的にミヤチャが少ないので、第1化ミヤチャの産卵シーンに遭遇するのは至難の業です。従って、運よくミヤチャ産卵シーンに出会えれば、撮影はミヤチャの方が楽だと思います。ミヤチャが産卵しそうな株を求めて暫く探索し、別のオギ葉上の卵を発見。
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TG2@8.9mm、ISO=400、F13-1/500、-0.7EV、撮影時刻:12時37分(5月上旬):囲み内はD71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時33分(5月上旬)

 こちらは地上高60cm。一般的にミヤチャはオギの孤立株に産むことが多いのですが、ここは群落の中心にありました。ミヤチャの卵は白くてデカく、目線の高い位置に産まれているので、このように卵単独での探索でも何とか発見可能です。一方、ギンイチは先に述べたように産卵位置が根際に近いので、産卵現場を「現行犯逮捕」する以外、卵を見出すのは困難ですね。ギンイチ産卵を3日間かけて追い回した結果、副産物のミヤチャ産卵シーンも幸運にもゲットできて、私的には将に「ゴールデン」ウイークになりました。
by fanseab | 2014-05-10 21:24 | | Comments(6)