探蝶逍遥記

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ミドリシジミの産卵・飛翔など(6月上旬)

 ウラナミアカシジミの産卵シーン撮影目的に川崎市内の里山公園に出向きました。「産卵時間帯は午後」と目鼻を付けて、ノンビリと出動。クヌギの幼木が多数ある斜面がポイントと睨んで張り込みますが、ウラナミアカは木蔭や下草でお休み状態。

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GX7-Z12、ISO=400、F9-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:14時30分

 結局、12時過ぎから18時までウロチョロしたものの、空振りに終わりました。昨年に引き続き空しく敗退。いつ産卵のトリガーがかかるのか?兆しが見えないと辛いものがあります。
 この日は丁度ミドリシジミ発生のピークでしたので、♀の挙動にも注目。ミドリシジミの産卵シーンは一昨年に初めて撮影(外部リンクしておりますので、今回は少し余裕があります。
 前回同様14時過ぎ頃からポツポツ♀がハンノキの幹を訪れ、頭部を下にして、伝い歩きで上から下へ降下しながら、産卵をしていきます。必ず上から下であって、逆はありません。一方、夏眠明けのメスグロヒョウモンは必ず幹の下から上へ飛びながら産卵して行き、逆は有りえません。種間毎に習性が異なるのは面白いですね。光線状態も良かったので、粘った末、「縁毛ブルー幻光産卵シーン」を撮影できました。
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D71K-34VR、ISO=400、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時26分

 シジミチョウ産卵シーンで「縁毛幻光」まで捉えたのは初体験。これは嬉しい画像になりました。この日の♀は腹を曲げるそぶりも少なく、本当に「産卵シーン」と言い切れる画像を撮った自信がありませんでしたが、次は確実に産卵シーンと言えるものでした。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/250、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時47分37秒(左下囲みは同42秒)

 左下囲み矢印先に産卵直後の卵(緑色)が確認できます。この母蝶は腹端を曲げてから凡そ10秒要してようやく1卵を産み付けておりました。産卵時間帯は14~15時半頃が中心ですが、♂の乱舞がスタートする頃に産卵している個体もおりました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/125、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時55分

 管理人が観察した中では一番遅い事例でしょう。母蝶の左側(矢印)に既に産み付けられた卵が確認できます。卵の拡大像もコンデジで撮影。
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TG2@18mm、ISO=400、F14-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時04分

 卵塊の最大数は3。未だ少な目で、もう少し後に更に産み足されていくのでしょう。
さて、♂のテリ張りは通常梢の高い位置で撮影に苦労しますが、この日は目線以下の低い場所でテリ張りする個体も多く、助かりました。しかし、個体数も多いので、折角翅を開いても、ちょっかいを出されてすぐに追尾発進するのも厄介な問題。最初はストロボ使用で。
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D71K-34VR、ISO=640、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時07分

 続いて同じ個体をノンストロボで。
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D71K-34VR、ISO=640、F11-1/250、-1.0EV、撮影時刻:17時07分

 やはりストロボの有無で干渉色の出方や雰囲気が相当異なります。次はストロボ未使用で別のアングルから。
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D71K-34VR、ISO=640、F11-1/125、-0.3EV、撮影時刻:17時11分

 翅の輝きもブルー、背景もブルーに染まったので結構面白い絵に仕上がりました。♂テリ張りに注力した日は卍飛翔する♂が多数おりましたが、生憎その日は広角飛翔システムの持ち合わせが無く、日を改めて卍狙いで現地を訪問。しかし皮肉なもので、卍狙いで行くと今度は気温・照度の関係か、卍が殆ど成立せず、地表近くで卍を捉えるチャンスがありません。それでも何とか頑張って撮ったのがこれ。
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D71K-20(ノートリ)、ISO=640、F9-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時33分

 ノートリでいい塩梅の構図に収まったものの、明らかなピンボケ。最近古典的広角飛翔を真面目に撮影していないツケが一気に出たような(^^; ようやくジャスピンのコマが得られたと思ったら・・・。
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D71K-20(トリミング)、ISO=640、F9-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時55分

 今度は上の個体がボロボロで見栄えがしません。トホホ・・・でした。卍のチャンスが少ないのでハンノキの梢を探♀飛翔する♂に狙いを変えて撮影。こちらは飛翔速度がかなり低下するため置きピン位置に捕捉しやすく、歩留りは結構良かったです。
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D71K-20(ノートリ)、ISO=640、F9-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:18時04分
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D71K-20(ノートリ)、ISO=640、F9-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:18時05分

 ウラナミアカ産卵シーン撮影は次なる宿題になったものの、ミドリシジミの輝きを十分に楽しむことができました。なお撮影当日は多数のカメラマンの方が終結しており、特に撮影仲間のIさん、theclaさんとは楽しい蝶談義をさせて頂きました。またどこかでお会いしましょう。
by fanseab | 2015-06-10 23:15 | | Comments(6)

コジャノメの産卵(5月下旬)

 昨年来の課題で、今回はコジャノメ第1化で挑戦。昨年8月にヒメジャノメ第2化の産卵挙動を観察した経験から午後2時頃にピーク時間帯があるだろうと推測し、探ってみました。場所はこのところマイフィールドにしている東京都下の谷戸ポイント。念のため、正午前後から彼らの様子を確認してみました。正午前後は全く不活発で、こちらが茂みに足を踏み入れるとサッと飛び立ち、すぐに静止するだけです。
 先ず、ここでのホストの見極めをしてみました。一番有力なのはチヂミザサですので、運試しで、2-3枚葉裏を捲ってみたところ、何と3枚目でビンゴ! 1卵が付いていたチヂミザサの環境です。

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GX7-Z12、ISO=400、F10-1/30、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時45分

 矢印の葉裏に1卵ありました。南向きで、比較的明るい環境。次に葉捲りした状況画像。
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GX7-Z12、ISO=200、F3.5-1/50、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時43分

 いつもは母蝶産卵撮影の後、卵撮影をするのですけど、今回は順番が逆になりました。ほぼ一発ツモで卵が発見できたのに気を良くして、チヂミザサを捲り続けますが、後が続きません。外れ籤ばかり(^^; 少し間を置いてから、ようやく複数産卵の事例も発見。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時09分

 2および3卵塊の事例です。次にこれらの卵塊を発見した現場の状況。
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GX7-Z12、ISO=200、F5-1/30、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時00分

 #1,#2は各々2卵塊、3卵塊の産卵場所を示します。その後、葉捲りを色々試した結果、比較的草丈の高いチヂミザサの葉裏に産む事例が多いような気がしました。結局この日は葉捲りだけで合計10卵を発見。♀の産卵時期のピークにあることは間違いないようです。
 さて、コジャノメ達の挙動ですが、午後2時過ぎ頃から♂が活発に飛びはじめ、結構明るい環境まで飛び出してきて探♀行動をスタートさせました。更に2時半頃からようやく♀の産卵行動がスタートした模様です。平均的な鮮度の♀個体閉翅画像です。
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D71K-34VR、ISO=400、F11-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時40分

 ♀の産卵挙動は昨年観察したヒメジャノメによく似ていて、上記のような静止モードが長く続いた後、急に思い出したように地表近くをウロチョロ飛び始め、連続的に産卵を行い、再度休止モードに入ります。この休止時間は少なくとも20分以上は継続する感じで、辛抱強くない管理人は待てずについ、他の♀個体を追いかけてしまいます。色々失敗しながら、ようやく撮れたのが次のショット。
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D71K-34VR、ISO=500、F11-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:14時22分

慌てて上から見込むアングルですので、腹端も見えません。翅の位置も良くないので更にチャレンジ。今度は翅がほぼレンズに平行になりました。
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D71K-34VR、ISO=400、F11-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:14時37分36秒

 しかし前翅が枝被り、これまた腹端も見えないB級ショットですので、更に撮り直しが必要ですね。結構暗い環境なので、ストロボ必須ですが、ストロボ光に相当敏感で、産卵途中で中断してしまう事例が相当多く苦労しました。次はその事例画像。
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D71K-34VR、ISO=400、F11-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:14時37分14秒

 ここでは複数卵を産んでいた可能性が強かったのですが、シャッターを押した瞬間、フラッシュ光に反応して急に開翅した場面です。母蝶を驚かさずに撮影するためにはストロボ未使用が前提になりますが、そうなるとISO感度を相当上げねばならず、画像荒れが懸念されます。木蔭で産卵するジャノメ類撮影でいつも遭遇する難しさでしょうね。
 また、産卵場所がかなり薄暗い場所を好む♀個体もおりました。この娘は崖地の薄暗い場所を前脚連打で探索しており、チヂミザサの生えている林道沿いにも降りてきますが、チヂミザサには全く興味を示しません。恐らく崖地のスゲ類を物色しているようですが、ホストを特定できませんでした。全く同じポイントで、ホストの嗜好が全く異なる♀個体が存在することに驚かされました。
 さて、母蝶はひとしきり産卵を終えると、開翅モードで休むことが多いようです。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:13時50分

 相当長時間、開翅しておりますが、やはり相当敏感でカメラマンの僅かな動きですぐに閉翅してしまいます。♂も同様で、午後1時過ぎの時間帯には結構開翅休息している個体が多いようです。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/400、撮影時刻:13時26分

 ♂は前翅表の白い性標(矢印)が目立ちますが、それよりも前翅翅脈の一部が異常に盛り上がり、まるで翅表に脚を載せているようにも見えますね。
 最後に恒例の卵超拡大画像です。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段3コマ/下段4コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、外部ストロボ+LED、撮影時刻:12時55分

 ジャノメ類の卵によく見られるように表面には細かい網目構造があります。直径は1.1mm、高さ1mm。これは葉捲りで発見した卵画像ですので産卵後経過日数は不明です。ただ胚形成などの色変化が無いので、産卵後3-4日以内と推定されます。次に同属のヒメジャノメ卵(昨年撮影)と拡大像比較をしてみました。
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 コジャノメの方が10%大きい程度で、全体の性状は良く似ております。現在2卵を飼育に供しており、全ステージ完了次第、飼育メモとして記事にする予定です。
by fanseab | 2015-05-31 21:23 | | Comments(2)

Pieris属napi群2種第1化の産卵(4月中旬)

 テングやコツバメ産卵シーン撮影に成功したこの日、実は首題2種、つまり、スジグロシロチョウ(P.melete)とヤマトスジグロシロチョウ(P.nesis)の観察がメインターゲットでした。昨年も同時期、同じポイントでヤマト♂第1化らしき個体を観察しておりますが、もう少し第1化個体画像ストックを増やして管理人なりにスジグロ/ヤマトの外観上識別点を探るのが目的。既にyoda-1さんがブログ上で、両者の識別点については精力的に持論を述べられております。yoda-1さんの見解も参考にして、今回記事を書いてみましたが、もちろん採集をしておらず、♂の発香鱗確認をしておりませんので、同定間違いの可能性が残っております。この点はご了解下さい。
 最初はスジグロシロチョウの産卵。

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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時17分

 ホストはイヌガラシだと思います(若葉の場合、スカシタゴボウとの識別がイマイチ自信なし)。葉の軸を画面に平行に配置した方が、見栄えが良いのですが、そうすると必ず母蝶は体軸をカメラレンズの軸に平行に向けて産卵するので、この絵のように産卵シーンとしては没画像レベルになります。つまりスジグロ産卵を狙う時は葉の軸を予めレンズ軸に平行に置いて構える工夫が要るのでしょう。産卵後、開翅休息する♀です。
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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時18分

 スジグロ♀は後述するように前翅中室内の暗化が著しく(黒色鱗粉の発達が著しい)、中室内の2本の黒条線が明確に出る特徴があるように思います。次いで、ヒメオドリコソウで吸蜜する♀。
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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時14分

 この絵は後程、裏面の比較画像として再登場してもらいます。次にヤマトの産卵。最初は産卵直前に行う前脚連打行動の絵です。
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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時59分

 試している葉はこれもイヌガラシと思われます(葉縁の切れ込みがもう少し深ければスカシタゴボウと断定できますけど、管理人の知見レベルではこれ以上の同定は不可)。一旦♀はこの葉から離れた後、舞い戻ってきて産卵をいたしました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時00分02秒

 画面右上囲みが拡大像で、矢印が卵。この後、別の株にも産卵しました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時00分20秒

 ここでは合計4回ほどの産卵行動を観察しましたが、いずれも葉裏ではなく葉表に産卵しておりました。管理人の乏しい経験では、スジグロの産卵位置はホストによらず全て葉裏。葉表に産むのがヤマト固有の行動パターンなのか?もう少し観察事例を増やしたいところです。実を言うと、この個体がヤマト♀であるか、最初は半信半疑でした。しかし、同定の助けになったのが、産付された卵の形状特徴。以前、ブログ仲間のtef_teffさんがスジグロ/ヤマト両者の卵および初齢幼虫を比較している記事
がありまして、ここで紹介されている微妙な卵形状の差異がヒントになりました。その卵の拡大像比較です。
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TG2@18mm(トリミング:スジグロのみ2枚深度合成)、ISO=1600(スジグロ)/400(ヤマト)、F14(スジグロ)/18(ヤマト)-1/100(スジグロ);1/200(ヤマト)、内蔵ストロボ(内蔵LED)、撮影時刻:10時07分(スジグロ)/12時18分

 先ず、産卵直後の卵の色合いですが、tef_teffさんが指摘されているように、スジグロが青白いのに対し、ヤマトは薄黄色です。形状はシロチョウ科に共通する砲弾ないしは紡錘形状ですが、スジグロは中間で少し太くなり、先端で急に窄まるコーラ瓶形状の様相。一方、ヤマトは底面からほぼ一定の太さを持続し、先端へ向かって緩やかに窄まる特徴があります。全体のバランス上、先端直径はヤマトの場合は少し細めの印象になります。なお、この比較画像で示したスケールはヤマトにのみ有効なので、両者卵の寸法比較はできません。今後、きちんと両者寸法比較をしてみたいと思います。
 以上の卵形状の差異、更には表翅斑紋も考慮に入れて、↑の一連画像をようやく「ヤマトの産卵シーン」と確信できました。
 次に一番識別が難しい♂の探索です。相当数の個体を観察した結果、「かなりの確率でヤマトと推定される」♂を発見。クサイチゴでの吸蜜シーンです。
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D71K-34VR、ISO=100、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時29分

 ヤマト/スジグロを裏面側から識別する場合、前翅中室と後翅肩脈双方がきちんと把握できる画像を撮る必要があります。概ね吸蜜時には前翅を高く上げてくれるので、吸蜜シーン撮影が同定には極めて有効と思われます。気温が低い時はすぐに開翅して前翅を後翅内に折りたたんでしまうので、この時は表翅の斑紋から区別するしかないのです。
 次に参考としてスジグロ♂吸蜜シーンもご紹介しておきましょう。残念ながらこちらは当日まともな絵を撮れず、昨年撮影分です。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時40分(2014年4月下旬)

 ここで♂♀裏面の比較をしてみたいと思います。最初は♂。
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 識別形質としては2点あり、①肩脈(矢印#1)形状と、②前翅中室内にある細い黒条(矢印#2および#3)の出現状況です。①は学研標準図鑑p.62でコメントされている点で、ヤマトの場合は後翅翅脈に載る黒色鱗粉の巾が太く、肩脈の存在を消すほどに発達しております。一方、スジグロは後翅基部の橙色部の面積がヤマトに比較して広く、細く尖った黒い肩脈が明確に確認できます。もちろん♂にも個体変異があり、スジグロに近似した肩脈形状を示す個体もいるので注意が必要です。②も個体変異があるのですが、一般にヤマトでは黒条#3の発達が悪く、スジグロでは#2,#3の2本共に明確な個体が多いように思います。
 次は♀。
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 識別形質は♂と同じ。スジグロ♀は♂以上に中室の暗化が著しく、2本の黒条:#2、#3がくっきりと確認できる個体が多いですね。ヤマトの肩脈形状は♂よりは明確に出現しますが、スジグロ♀に比較して太い傾向にあるようです。
 今回は裏面にのみ着目しましたが、両者の同定はもちろん表翅の特徴も把握した上で総合勘案して実施せねばなりません。また、今回観察したポイントに飛んでいるシロチョウ類を観察した結果、面白いことに気が付きました。つまり、
「ヤマトはスジグロよりもサイズが小さい」
事実です。これは♂♀問わず、傾向があったように思います。この日、確認できたシロチョウ類をサイズ順に並べると次のようになります。
スジグロシロチョウ>ヤマトスジグロシロチョウ=モンキチョウ♀>ツマキチョウ
慣れてくると遠目からサイズを確認して「ヤマトだ!」と判断できました。本来、ヤマトとスジグロの混棲ポイントでは、時間的棲み分けがなされていて、ヤマトがより早く出現し、遅れてスジグロが発生するとされています。しかし、4月中旬は微妙な時期で、明らかに両者が混飛しているので、napi群の同定は益々難易度が増すように思います。
 とにかく、今回思いもかけず、ヤマトスジグロの産卵シーンを初めて撮影でき、本当に嬉しかったのでした。残念ながら、ヤマトの飼育をする時間的余裕がありませんでしたので、近い将来、できればスジグロとの幼生期比較もしてみたいと思っております。
by fanseab | 2015-05-05 22:37 | | Comments(2)

テングチョウの産卵(4月中旬)

 ヒオドシの産卵シーン狙いで出かけたこの日は、結局ヒオドシは出現せず。その代わり、複数他種の産卵シーンを目撃・観察することができたのは幸いでした。テング産卵シーンは以前にも撮影しておりますが、もう少し画像の質を上げるのが今回の目的。最初は前脚を確実に使用する「六本脚」状態で産卵していることの証拠画像。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時54分

 エノキの細枝に掴まる状況下で、前脚使用はバランスを取るのに有効と思われます。この母蝶は南向きに張り出している枝先に産んでおりましたが、やや薄暗い環境なので、どうも背景が暗くなりがちでした。春先の雰囲気を出すため、爽やかな新緑を強調した絵にもトライ。
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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時56分

 結構高い枝先に産むことが多いので、下から見上げるアングルがどうしても多くなります。こうなると産卵の瞬間を判断できかねます。
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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時02分

 それでも何とか粘って産卵の瞬間と判断できる絵が撮れました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時03分

 この新芽は殊の外お気に入りのようで、3分後、更にもう1卵産卵した状況で、↑の画像で産み付けられた思われる卵(矢印)が写っておりました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時06分

 ほぼ90%、新芽内部に織り込むように産むので、腹端と卵のツーショット画像撮影は至難の業ですね。一連の画像からわかるように、母蝶の産卵管は触角の向きとほぼ同じ、つまり160度程度前方側に曲がる能力を持っています。新芽内部に産み付けるため独特な産卵様式のため、産卵器官の機能分化が進んだのでしょう。お気に入りの新芽に集中して産むため、次のように孵化済卵殻(3卵殻確認できる)とのツーショット画像も簡単に撮れてしまいます。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時07分

 この日はこの後、産卵されたと思しき枝先を回収し、お持ち帰りで卵の拡大撮影を画策しておりましたが、諸般の手違いで、撮影を断念。現在は孵化した初齢~中齢幼虫の観察に注力しております。
by fanseab | 2015-04-27 22:39 | | Comments(0)

アカタテハの産卵(4月中旬)

 コツバメ産卵シーン観察の前に撮った首題産卵シーンをご紹介しましょう。この時期、越冬明けアカタテハの産卵シーンをしばしば観察することができます。ただ、春先は食草のカラムシの丈が低く、群生する若葉も立ち気味のため、葉被りはもちろん、周囲の草叢と干渉して、複眼・腹端の双方を写し込むことは結構難しいものです。更に腹端と卵とのツーショットは難易度が相当高くなります。先ずは最初の作例。

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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時41分

 背景は綺麗に抜けましたが、腹端が葉に隠れてしまいました。次は母蝶の表情が一番上手く把えられた作例。
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D71K-34VR、ISO=400、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時56分

 この時、産まれた卵です(矢印#1)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時56分

 画面上には更に2卵確認できます(矢印#2,3)。さて、この日のベストショットはこちら。
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D71K-34VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時42分

 複眼・腹端、更には産み終えた直後の卵まで全て表現できました。ただ欲を言えば、画面中央右を垂直に走る枯枝が邪魔でした。ストロボ光を使うと、キャッチアイ(一点が輝く)の効果で、卵の存在を明確に表現できると思います。この絵でも左後脚前方に別の卵が見えます。次回はテングチョウの産卵シーンをご紹介したいと思います。
by fanseab | 2015-04-22 23:41 | | Comments(2)

コツバメの産卵(4月中旬)

 ヒオドシチョウの産卵シーン狙いで、東京都下の谷戸に出向きました。気温は暖かく、タテハの産卵にとっては最高の日和。正午過ぎと推定される産卵タイムまでは、アカタテハやスジグロシロチョウ等の産卵シーン撮影。前回、卵塊を発見したエノキの枝先が一番産みそうなので、ここで待機します。しかし、結局、母蝶は出現せず、空振りに終わりました。
 この日はまだコツバメ♂がテリ張りをしておりました。以前から、ここのコツバメのホスト(食樹)に関する疑問が。。。。定番はアセビ。しかし、このポイントにはアセビの群落はありません。植栽のツツジはまだ花が咲いておらず、ユキヤナギの植栽もありません。その時、目に留まったのが真っ赤に目立つ植栽のシャクナゲです。駄目元で12時半頃から待機していると、期待通り、鈍いブルーのシジミがシャクナゲの周囲を飛び始めました。真っ赤な花に潜り込むと15秒以上は花弁から出てこないので、居場所を見失うことしきり。腹端の曲げを確認し、「おぉ!産卵だ!」とこちらが意気込んでも、「頭隠して尻も隠れる」パターンが続出(^^;

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D71K-34VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時34分

 ようやく全身を捉えた!と思ったら、今度は腹端がはっきり確認できません。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時42分

 花弁の中央で腹端も曲げずに静止していることもあります。モニターでよく確認すると吸蜜しておりました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時34分

 花弁に潜り込んで産卵行動が終わると、♂同様の傾斜日光浴をして暫し休憩。
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D71K-34VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時43分

 何回か粘って、ようやく産卵したと確信できるシーンを撮影できました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時44分

 腹端を曲げて3秒以上静止した場合は産卵しているようです。13時頃、母蝶が去った後、シャクナゲの花弁を詳細に調査。翡翠色の卵を確認した時は本当にホッといたしました。
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TG2@5.9mm(囲みは18mm)、ISO=200(同左800)、F2.4(同左4.9)-1/50(1/160)、内蔵LED、撮影時刻:13時00分

 開裂した花弁の隙間に押し込むように産み付けられております。飼育前提でお持ち帰りし、定番の超拡大撮影です。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段:2コマ/下段:3コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/100、内蔵ストロボ+スレーブ2灯

 卵の直径は0.69mm。高さは0.42mm。表面を覆う網目模様は一見、ヒメシジミ族卵に類似しておりますが、卵の扁平度はヒメシジミ族とは異なり、ややずんぐりしております(コツバメはカラスシジミ族)。いつもなら、精孔部を真上から覗き込む正面像と真横からの側面像を撮り分けるのですけど、産卵状況から側面上方からの画像しか撮影できません(↑上段の画像)。何とか精孔部も撮りたいと思い、花弁開裂部を少し裂いてみたところ、卵が花弁から脱落しそうになったので中断(↑下段の画像)。母蝶は産卵時に腹端から出す接着剤で花弁に固着させる訳ですが花弁との接着力はとても弱いようです。逆に卵表面には接着剤がきちんと付いているので、譬え精孔部を真正面から覗き込んでも、今回の状況では接着剤が邪魔して綺麗な拡大像が撮れないのです。結局、正面像を綺麗に撮るためには、アセビやドウダンツツジのように、卵を蕾(もしくは花弁)表面に産み付ける状況下で再トライせねばならないことを悟りました。

 それにしても真紅の絨毯に包まれるように産み付けられた翡翠色の卵は華麗です。これまで卵の超拡大像を種々撮影してきましたが、コツバメほどフォトジェニックな産み方をする種類は知りません。とにかく、今回ようやく念願だったコツバメ産卵シーン撮影と卵拡大像撮影を実現することができました。今後、飼育にもトライし、成功した暁には再度ご報告したいと思います。
by fanseab | 2015-04-20 23:17 | | Comments(8)

メスグロ・ミドリヒョウモンの産卵行動(10月上・中旬)

 今年も9月過ぎから夏眠明けヒョウモン類の産卵シーズンに入り、各種産卵シーン撮影を画策しておりましたが、天候不良で悪戦苦闘しました。概ね正午前後の産卵コアタイムに陽射しが弱い天気が続き、産卵日和にならないのです。「正午が曇っていたから、夕方陽が差した時にでも産卵しようかしら・・・」と、人間ならスケジュール調整を考えるのでしょうけど、母蝶は悲しいかな本能に従い、産卵時間帯を安易にズラすことはできません。そのためなるべく長期間生存して少しでも産卵に好適な時をひたすら待つのでしょう。

 先ずはメスグロヒョウモン。本種は昨年産卵シーン撮影に成功(外部リンクしておりますが、今回は新規ポイントでの観察。昨年の経験を活かして、比較的陽射しの良い、尾根道で待機していると、運よく正午過ぎにフワフワと母蝶が飛来し、コナラの樹皮に産卵を開始しました。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分(10月上旬)

 秋の穏やかな陽射しを逆光で表現できて満足できるショットになりました。この後、別のコナラに移動し、例の如く、木登りしながら、徐々に高い場所に産み付けていきます。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時05分(10月上旬)

 この画像で概ね8m程度の高さです。再度低い場所に舞い戻り、産卵を再開。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時07分(10月上旬)

 この間、目線の届く高さに限定すると、合計8回「産卵ポーズ」を取りましたが、実際にはいずれも産卵しておらず、疑似産卵行動(空打ち)でした。これは昨年の観察結果と同様で、正規の産卵は、大略、10回(もしくはそれ以上)に1回程度しか行われないものと思われます。
 さて、お次はミドリヒョウモン。こちらは母蝶を見かけるチャンスがメスグロよりも少なく大苦戦。しかも産卵場所の選好性が不明なので手探りで観察を継続しました。幸いな事に、上記メスグロの産卵ポイントをミドリも好む事が判明。そこで待機して数回産卵シーンを目撃できました。先ずは産卵前に日光浴する母蝶の姿。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時24分(10月中旬)

 かなり汚損した個体ですね。残念ながら樹幹に産むシーンは撮影に失敗。立入禁止施設のフェンスの針金に産卵を試みるシーンのみ撮影できました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時36分(10月中旬)

 フェンスの針金には3箇所、産卵を試みておりますが、いずれも「空打ち」で実際には産卵しておりません。また、樹肌に産卵した2箇所も必死に探索したものの卵を発見できず、この2箇所も「空打ち」でした。どうやら、ミドリについても観察頻度は少ないものの、メスグロ同様、相当な「空打ち」が多いように思えます。メスグロもミドリも生涯に数100卵は産み付けるとされています。そうだとすると、概ね数千回は「空打ち」作業をするのでしょう。腹端を対象物に擦り付けた際の微妙な触感を頼りに最適な産卵場所を探す過程で、このような空打ちをするのか?あるいは腹内の在庫卵数が減少してくると、産みたくても卵が放出されないのか?どちらなのでしょうね? 管理人が観察した経験で言えば、ツマグロヒョウモンはこのような「空打ち」が殆どなく、産卵姿勢を取った後を観察すると、ほぼ確実に産み付けています。種類毎に産卵挙動は色々と異なるものだと思います。来シーズンこそはミドリが「本当に産卵した」場面の撮影をしたいものです。なお、産卵を終えたと思われる時間帯に珍しく水田脇の畔で吸水するミドリ♀を観察できました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時38分(10月中旬)

 アザミ等から糖分を補給するだけでなく、ミネラルやアンモニウムイオンを吸収しているのかもしれません。
 ♀にばかりスポットライトを当てましたが、ミドリ♂も頑張っておりました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時05分(10月中旬)

 もはや原型を留めない姿で、健気に吸蜜する姿に感動いたしました。
by fanseab | 2014-10-14 21:53 | | Comments(4)

ヒメジャノメの産卵行動を探る(9月下旬)

 先にご紹介したヒカゲチョウと同時期に発生するヒメジャノメ第2化品の産卵行動も追跡してみました。同種の産卵シーンは2年前、撮影に成功(外部リンクしており、その時の画像を再掲載します。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時08分(2012年9月30日)

 腹端も写っておらず酷い葉被り。再撮影の必要性を強く意識しました。当時、ヒカゲチョウ産卵シーン撮影のついでに撮影できたので、今回も楽勝かと翅算用しておりましたが、実際はムチャ苦戦しまして、結局、再撮影は失敗に終わりました。
 当初、↑でご紹介した画像の撮影時刻が15時08分でしたので、14時から17時頃にかけて♀の挙動を追跡しました。その結果、産卵挙動を計4回目撃し、その時間は、下記の通りでした。
①14時10分頃
②15時頃
③15時30分
④15時58分
 このうち、①②はホスト探索行動の後、結局産卵未遂。③はイネ科以外への葉裏への誤産卵。④はホストであるイネ科草本(エノコログサもしくはオヒシバ)への正常産卵でした。これを見ると14時~16時頃に♀を見張っておればすぐに産卵シーンが観察可能なようにも思えますが、実態はそうではなく、殆どの時間帯は葉上で休止しております。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時25分

 曇天時はこの時間帯でも全く活動は無く、晴天時においても葉陰で間欠開翅日光浴状態を取り、産卵シーンへの移行は相当長時間を要しています。待機に我慢できず、暫く別個体を追跡した後、先ほどの静止場所に戻ってみると飛び去っていることもありますので、なかなか産卵行動を観察するチャンスがないのです。しかも一旦、産卵モードに入っても地上スレスレの草間をせわしなく飛行するものの、食草性状の選好性は相当神経質で、なかなか産んでくれません。この間、活発に活動しているヒカゲチョウ♂に追跡される邪魔が入ることも多くイライラさせられます。同じ時間帯に産卵するヒカゲチョウが、比較的サッササッサと産んでいくのとは対照的です。また午前中、および16時を過ぎると再度完全休息モードに入ると思われます。
 それでも上記④の事例では産卵シーン撮影には失敗したものの、運よく卵を発見・撮影することができました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時53分

 地上スレスレにあるホストの葉裏に産み付けられておりました。卵の超拡大撮影は2年前にも実施しておりますが、その際は前玉外し系でお手軽に撮影しておりましたので、今回真面目にミラーレスシステムで再撮影してみました。
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GX7-P1442-P14R(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=200、F16-1/250、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+外部ストロボスレーブ2灯、撮影時刻:10時02分

 球体を上下から軽く押しつぶしたような形状で、直径1mm、高さ0.83mm。表面は多角形の網目模様で覆われています。急冷してヒビを意図的に入れたガラス茶碗のような風情がありますね。表面全体の網目模様をもう少し上手に表現する照明法の工夫が必要だったと反省しております。なお、今回撮影した卵はお持ち帰りし、飼育に供しております。無事幼虫越冬できると良いのですが。
 さて、♀を追跡する過程で裏面白帯が軽く乱れた斑紋異常個体に遭遇しました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時22分

 漣が立つように白帯が乱れております。無理に和名を付ければ「サザナミシロオビヒメジャノメ」でしょうか? 意外にも苦戦した本種産卵シーン再撮影、来シーズンへどうやら持越しになりそうです。
by fanseab | 2014-10-02 23:28 | | Comments(4)

ヒカゲチョウの交尾・産卵など(9月下旬)

 マイフィールドの多摩川縁では現在、ヒカゲチョウ第2化のハイシーズン。例年よりムチャ個体数が多く感じられ、場所によっては蠅が飛ぶように乱舞しております。夕刻の産卵シーンを狙って笹薮付近をウロチョロしていると、急にバサバサと茶色の塊が飛び出してきました。何と管理人初体験のヒカゲチョウ交尾ペア!

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=320、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時00分

 アレチウリの葉裏に隠れるように止まりました(右側が♀)。15時頃は♀の産卵活動のピーク時間帯に当たりますが、恐らくもう少し早い時間帯に交尾が成立しているものと思われます。次いで産卵シーンの撮影。ヒカゲチョウの産卵場面は時間帯を選べばそれほど難易度高くなく撮影可能です。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時21分

 地上高15cm程度のアズマネザサへの産卵です。葉裏を捲って見ると、何と同じ葉に4卵産まれておりました(↑の母蝶はこの時、1卵のみ産卵)。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時37分

 よほど母蝶が好むような条件の良い葉だったのでしょう。但し、これらは産卵時期が異なっているはずで、その後、孵化が近づいた際の変色挙動から産卵時期は#1→#2→#3→#4の順で#4がアップした産卵シーンの卵に相当します。また、4卵を比較すると、#1,2と#3,4では卵直径が異なり、(#1,2)<(#3,4)となっております。恐らく4卵は異なる母蝶(少なくとも2個体)が産み付けたのでしょう。産卵シーン撮影では種類によらず、母蝶の腹端と卵を同時に写し込むことが重要ですが、ヒカゲチョウの場合は簡単ではありません。ネザサ群落に入り込み、ほぼ瞬間芸で産んでいくので、必要とされるアングルにレンズを向ける余裕がありません。精一杯頑張って写したのが次のショット。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時07分

 腹端と卵をもうちょい右側に移動して撮りたいのですけどねぇ・・・・・。
 ♀とは別に沢山飛び回っている♂を追跡していると、アレチウリの花で熱心に吸蜜している個体が多いことに気が付きました。
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D71K-85VR、ISO=200、F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時40分

 ヒカゲチョウの栄養源と言えば、直ぐに樹液吸蜜を連想しますが、このように花からの吸蜜は初めて観察したような気がします。アレチウリの黄色い花粉まみれになっているストローが可愛いですね!
by fanseab | 2014-09-26 00:00 | | Comments(0)

続・キマダラセセリの産卵行動を探る(8月中~下旬)

 昨年来、首題セセリの産卵シーン撮影目的に多摩川縁を探索しております。今年は先ず第1化品でトライしましたが、産卵場面を一回のみ目撃したものの、肝心の産卵シーンは撮影に失敗(外部リンク)。そこで第2化品でリベンジすることにしました。結論から言えば、今回も惨敗です(^^;
 第1化品が群れていたポイントはどうやら真夏には不適な環境らしく、ここには個体数が少なく、木蔭が続く環境を好むことが確認できました。第2化品が群居していたポイントの環境写真です。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=500、F10-1/400、-0.7EV、撮影時刻:11時56分

 ほぼ南北に連なる通路の両脇はアズマネザサが生垣のように生えていて、その上をクズが生い茂っているため、朝夕はほぼ木蔭状態になります。その木蔭に多くの♀が静止しております。
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D71K-85VR、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、撮影時刻:15時32分

 この画面上には2頭の♀がおりますが、ほぼ5mの範囲に5♀ほど確認できました。第1化同様、午前11時~午後2時半頃まで様子を探ったのですけど、♀には殆ど動きはありません。夕刻の可能性も求めて16時半~17時台を確認するもここでも動きなし。正午前後の静止時間帯でも、多少日光浴のため場所を移動することもありますが、それほど長距離移動はしません。そんな♀の日光浴シーン。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、撮影時刻:13時47分

 この個体を追跡中、偶然飛翔途中の全開翅シーンが撮れました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時47分

 このポイント以外でも何カ所が♀が群れている場所がありました。ここを前線基地にして産卵行動に出ると睨んでいるのですが、♀が一斉に「産気付く」現象はどうもないようです。ただ一旦飛び立つと猛烈なスピードに現場から行方をくらますのは第1化品同様で、この時点で産卵モードに入ったとも想定されるのですが、なにせ追跡困難なため尻尾を掴むことができないのです。

 結局、この夏もキマダラを結構しつこく追跡した割には産卵現場確認ができず、難易度の高さを実感しました。観察当初はそれほど苦労することなく、産卵シーンが撮れるだろうと楽観していたのですけど、これほどまでに苦戦するとは想定外でした。どうやら来年以降の課題として残りそうです。特に午前中10時半以前の行動は未確認状態ですので、その点を中心に観察を続けたいと思います。
by fanseab | 2014-09-03 22:23 | | Comments(0)