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探蝶逍遥記

アカボシゴマダラの蛹2題(12月25日)

 拙宅庭のエノキにおける首題蛹観察は、今月8日の記事 でご紹介した個体が最終でした。ただ、11月から近所の観察で終齢幼虫(もちろん長角型)数頭の行く末が気になっておりました。そのうちの1頭を本日運よく発見できました。                                 
アカボシゴマダラの蛹2題(12月25日)_f0090680_2233854.jpg
D7K-24、ISO=100、F10-1/320、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時41分

 エノキの葉が殆ど落ちてくれたため蛹はかなり目立ちます。しかし、残念ながら褐色に変色した死蛹でした。食害にあったようにも見えず、珍しく「野垂れ死に」のパターンかと思いました。念のため、裏側に回って写したのがこの一枚。
アカボシゴマダラの蛹2題(12月25日)_f0090680_2234812.jpg
D7K-24、ISO=100、F10-1/320、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時41分

 良く見ると、右側面に孔が開いており、中身の大半が食われています。アゲハに付く寄生蜂のような明確な脱出孔ではないけれど、寄生された個体だったのでしょう。この個体から200m程東側に同様に終齢幼虫を追跡調査していたエノキの実生があります。ここもチェックしてみると、こちらでは色鮮やかな蛹を発見できました。
アカボシゴマダラの蛹2題(12月25日)_f0090680_224315.jpg
D7K-24、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時51分

 この実生での終齢幼虫は今月4日まで確認しており、その後、姿が見えなくなりました。てっきりエノキを離れて別の植物の葉裏に移動したものとして、調査を打ち切っておりましたが、何と、その実生で蛹化していたのです。アカボシ蛹が見せる擬態の巧妙さには毎回唸らされます。今月5日に蛹化したと仮定して、現在の蛹期は21日。この時期の蛹期は一ケ月を超えるものも多いので、このまま順調なら、お正月過ぎに羽化するのでしょう。ただこの蛹の付いているエノキの葉は枝に吐糸固定されているものの、この日の強い北風に煽られてクルクル風車のように回っておりました。糸もほつれており、地上に落下するのも時間の問題かもしれません。今後、蛹回収等をせず、このまま様子を見守ることにしました。なお、この株には越冬型の幼虫が2頭、枝にへばり付いておりました。
アカボシゴマダラの蛹2題(12月25日)_f0090680_2241594.jpg
D7K-24、ISO=400、F11-1/160、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時53分

 この株から更に100mほど東側には8日の記事でご紹介した長角型越冬幼虫が幹上で無事に越冬を継続しておりました。
アカボシゴマダラの蛹2題(12月25日)_f0090680_2242776.jpg
D7K-24、ISO=640、F7.1-1/40、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時56分

 これから徐々に増す冷え込みに対しては、問題なく過ごせることでしょう。これまでの経験から、むしろ春先の三寒四温のような温度変動が大敵だと思います。つまり温度の単調減少には追随可能だが、急激な温度サイクルは細胞組織にとって、負荷が強いのではないかと推測しています。そこを乗り切れば成虫まで辿りつくことも考えられます。今後の経過を見守りたいと思います。
# by fanseab | 2011-12-25 22:06 | | Comments(2)

北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ

 本年6月下旬の北海道遠征については、本命種であった、ウスバキチョウ・アサヒヒョウモン・ダイセツタカネヒカゲの3羽烏、否3巨頭をご紹介した後、その他の蝶はアップしないまま時が過ぎてしまいました。ネタにカビが生えないよう、これから台湾遠征記と同時並行でアップしていきたいと思います。今回は北国が誇るセセリの宝石、カラタカのご紹介です。

 コマクサ平に登る前日の6月25日、ブログ仲間の maedaさんにポイントを案内して頂きました。最初に向かった先はホソバヒョウモンも同時に狙える林道。最初に出迎えてくれたのは♀でした。                                              ++横位置画像はクリックで拡大されます++
北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ_f0090680_21294499.jpg

北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ_f0090680_21295788.jpg
データは共通:D7K-34、ISO=800、F8-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:10時07分(以下の画像は全て6月25日の撮影)

 想像していたより大き目の印象です。タンポポがお好きなようで、地色の黄金色が本当に眩しく感じられました。ここから更に林道を登って行った地点で♂にも遭遇。
北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ_f0090680_21301554.jpg
D90-85VR、ISO=400、F10-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:10時42分
北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ_f0090680_21302734.jpg
D90-85VR、ISO=200、F9-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:10時42分

 この個体はド完品で感激いたしました。前翅基部が橙色の幻光を示すこと、それと前翅と後翅の縁毛巾と色が異なる等、細やかなデザインは涙ものですね! 

 この後、ホソバやカラフトヒョウモンの撮影も視野に入れて、別のポイントへ移動。ご案内頂いた場所は爽やかな風が吹き渡る見晴しの良い斜面。ただ、徐々に雲量が増えて陽射しが翳り、蝶が全く飛ばない状況が続きます。弱い陽射しの中で何とか♀の吸蜜を85mmで撮影。
北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ_f0090680_2130451.jpg
D90-85VR、ISO=200、F10-1/320、-1.0EV、撮影時刻:12時33分

 少しスレ品なのが残念。最初のポイントで見た個体よりも全般に黒化が進んでいる印象です(個体変異の範囲内でしょうが・・・)。最後に蕗の葉に止まった♂を縦広角で撮影。
北海道遠征記(6)カラフトタカネキマダラセセリ_f0090680_21352642.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/125、-0.7EV、撮影時刻:13時06分

 どんな種類でもこの大きな蕗の葉に止まると、北海道で撮影した雰囲気が出せますね。タカネキマダラセセリを撮影した経験の無い管理人にとって初のCarterocephalus属の撮影。黄金色に輝くこのセセリは、やはり北海道が誇るべき小さな宝石であることを実感させられたのでした。ご案内頂いたmaedaさん、有難うございました。
# by fanseab | 2011-12-21 21:31 | | Comments(8)

台湾遠征記:(2)11月21日前半その1

 朝6時半に起床。早速窓を開けて空を眺めるとドンヨリとした曇り空。おまけに冷たい風が吹いて嫌~な雰囲気。先ずは腹ごしらえ・・・とホテルの食堂へ。朝食券を渡してビュッフェスタイルで頂きます。しかし、凄い混雑にビックリ! どうやら中国大陸からの団体ツアー客の朝食タイムとバッティングした感じ。見たこともない食材もあるので、大皿の前でノンビリと見極めていると、脇から割り込まれてしまいます。ようやく円卓を確保して、落ち着きました。                                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_235842.jpg
GXR@5.1mm、ISO=200、F3.6-1/60、-0.7EV、撮影時刻:6時50分。

 右端に見えているお粥はトッピングを自由に選べます。香港で食べる粥も旨いけど、ここのお粥もなかなかのお味でした。プレートに乗ったバナナはもちろん、台湾バナナ。見かけは悪いけど、甘さは絶品。台湾では油揚げのコシを強くしたような豆腐由来の食材を良く使いますが、野菜と併せた炒め煮は薄味で、お粥と上手くマッチングしておりました。この他に饅頭(マントウ:中国の蒸しパン)とコーヒーでお腹一杯に。更にマントウ2個にハムや例の油揚げ炒め煮を挟んでお手製サンドイッチをその場で作り、バナナ1本と併せて部屋にお持ち帰り。これを当日のランチ用としました。

 朝食後、フロントで明日、明後日に使うタクシーのチャーター手配。なんやかんやで8時50分頃ようやくホテルを出発。本日の目的地、、知本國家森林遊樂區に向かいます。以前の記事でご紹介した台湾の蝶鑑賞ガイドブック、「台灣賞蝶地圖」で推奨されていた森林公園です。ホテルからは徒歩10分程度で到着。知本渓に立派な橋が架かっており、これを渡ると入口です。
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22472158.jpg
GXR@5.1mm、ISO=200、F3.6-1/60、-0.7EV、撮影時刻:9時01分。

 入場料80元を払って、いよいよ蝶探索。しかし、9時過ぎと言うのに陽射しは全くなく期待はできない状況。仕方なく、木の実を啄んでいる野鳥を撮影。
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22473654.jpg
D7K-34、ISO=640、F9-1/320、-0.7EV、撮影時刻:9時19分
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22474826.jpg
撮影データは上に同じ。

 黒い下嘴に配された紅色斑点がとても良いアクセントになっています。ネットで調べると、どうやら台湾特産種(それも東部~東南部に局限)でヒヨドリ科のクロガシラ(Pycnonotus taivanus)。良く似たシロガシラ(P.sinensis)は台湾西部から沖縄まで分布していて、台湾の脊梁山脈を境に東西で棲み分けがなされているようです。野鳥を撮った直後にようやくホリシャルリマダラ(Euploea tulliolus koxinga )がフワフワと出現。センダングサで吸蜜を始めました。
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22504024.jpg
D7K-34、ISO=200、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時21分

 ホリシャは南ベトナムで撮影して以来久しぶりの出会いでした。時折半開しますので、その時を狙って瑠璃色の表現が可能です。お次はマダラチョウが大好きなヒヨドリバナ(正確な種名は不明)からの吸蜜シーン。
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22511045.jpg
D7K-34、ISO=200、F9-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時23分

 気温が低いことでじっくり吸蜜してくれて助かりました。少し階段を登ったあたりに「薬草園」なるコーナーがあり、ここで探索するも全く成果なし。南側の展望コーナーに立ち寄ると、足元にセンダングサの群落が咲き誇っていて、暫く待機するとようやく黒系アゲハがやって来ました。ボロボロのシロオビモンキアゲハ(Papilio nephelus chaonulus)♂。
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22545330.jpg
D7K-34、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時37分

 見下ろすアングルでしか撮影できないのが辛いところ(^^; nephelusも前翅に白帯が出ないタイプ(タイワンモンキアゲハの別和名を持つ)の撮影は初めてです。しかし、同じボロにしてももうちょい、破れが少ないと良いのになぁ・・・。ここではシロオビモンキとほぼ同時に大型セセリも登場。テツイロビロウドセセリ(Hasora badra )の♀でした。
台湾遠征記:(2)11月21日前半その1_f0090680_22541668.jpg
D7K-34(トリミング)、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時39分

 テツイロの♀、および吸蜜シーンはこれが初体験。このセセリと格闘した後は薬草園と隣り合わせにある、ビジターセンター側に移動し、花壇へ吸蜜に来る蝶狙いで待機しました。<次回に続く>
# by fanseab | 2011-12-19 22:56 | | Comments(8)