探蝶逍遥記

ギンイチモンジセセリの幼虫探索(6/25)

 本日は神奈川県多摩川河畔で首題幼虫の探索です。今にも降出しそうな曇り空で、ススキの原に足を踏み入れると、スレたキマダラセセリが所在無さそうに佇んでおりました。
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R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/189、-0.3EV

 ススキの背の高さは2m近くあり、あまり中に踏み入れたくないので、周辺で巣を探索。すると、意外とすぐにそれらしきもの(↓の写真矢印)が見つかりました。
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R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/153

 巣を開くと、幼虫がポロッと落下して、体をクネクネ揺すらせます。これは間違いなくギンイチの幼虫独特の行動。捕食者を驚かす戦略なのでしょう。落ちた幼虫を元の巣に乗せると落ち着いてモデルになってくれました。成虫に似た大変スリムな体形で背中に深緑色のラインが数本走っているのが特徴です。体長は25mm位。亜終齢でしょうか?
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R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/90

 暫くすると、小生が開いた巣を元に戻そうと、懸命に糸を吐きながら修復作業を開始しました。
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R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/73

 この後、南向きのススキの葉を捜すと、今度は無防備にも巣から出ている別の個体を発見。こちらは前の個体よりやや大きくて30mm程度。
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R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/189、-0.3EV

 そのうち、この個体に寄生蝿らしきハエが止まったのですが、撮影には失敗。やはり巣から出て摂食している時間帯は外敵の攻撃に晒されていることがよくわかりました。この個体を撮影し終えた頃から雨がポツリポツリと落ちてきて、撤収です。現在の幼虫の成長度合いを勘案すると、当地での第2化は7月中旬頃でしょうか?第1化が5月初旬頃ですから、1サイクル、2ヶ月以上かかる計算です。そうすると、第3化は9月半ばとなる計算。果たして3化まで進むのか、それとも2化止まりか?時間の許す限り、このポイントで継続観察してみたいと思っています。
# by fanseab | 2006-06-25 23:27 | | Comments(8)

炎天下のヒメヒカゲ(6/18)

 前日までの広島遠征の疲れも残っており、昼過ぎからノンビリと東播磨のヒメヒカゲポイントへ車を走らせました。本日のターゲットは♀の撮影。5月末に訪れた際は♂の出始めでしたが、3時頃到着すると早速♀がお出迎え。暫く歩き回ると足元から飛び出すのはすべて♀。♂と異なり、それほど遠距離を飛ぶ様子は見せず、すぐにブッシュの陰に潜り込んでしまいます。ざっとこんな感じ。
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D70, ISO=400、F14-1/200、-0.3EV

 裏面に葉の影が写り込んで、「絵造り」としては問題外ですが、これも本種の生態を示す画像です。なるべく直射日光を避けて、体温調節を図っているのか?あるいは外的から身を隠すための戦略なのか?♂に比較してより顕著な行動パターンのようです。ブッシュの繁みに身を隠している様子を端的に表現するために横位置広角で撮影。日傘をさした「お姫様」の雰囲気(^^)
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F9-1/400

 暫く観察していると、数を減らしている♂が繁みの中の♀を探索しています。ただ時期的に殆どの♀は交尾済み個体のためか、♂は♀を発見してもすぐに離れていきます。しつこく迫ることがないのも不思議と言えば不思議でした。で、ちょっぴり期待した交尾画像も撮れずじまい。少しガッカリです。また、ヒメヒカゲの生態に詳しい知人の話では、産卵は瞬間的に行われるため、撮影は極めて困難とのこと。この日も残念ながら、産卵挙動を見せることもなく、こちらの狙いも外れたのでした。

 それではと・・・、広角で♀の飛翔写真にトライしようと試みますが、所詮、飛翔距離が短いためこんな画像が撮るのが精一杯。
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D70S-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=500、F6.3-1/1250

 この日は午後3時過ぎからピーカン状態で体感気温も30℃を越えているため、飛翔写真狙いでブッシュを駆け回るとすぐに心臓パクパク状態で息切れしてしまいます。広島遠征疲れも手伝って(※)、ほぼ1時間、ポイントに滞在しただけで、帰宅を余儀なくされました。やはり3日連続の撮影では集中力を保つのが難しいですね。

※実のところ、ワールドカップ観戦による夜更かし疲れもあるようで、更新も1週間遅れになってしまいました(^^;;
# by fanseab | 2006-06-24 15:31 | | Comments(8)

広島・賀茂台地遠征(3) 台地を飛ぶ初夏の蝶

 新幹線の三原駅を下り、車を北に走らせると、いきなりの急登攀に驚かされます。一気に坂を上り詰めると、急に視界が開けてきます。ここが世羅・賀茂台地です。標高は概ね300m。緩やかな丘陵沿いに田畑が広がる見事な里山環境が保たれています。伸びやかな景色に心が放たれる・・・そんな素晴らしい環境が目の前に広がります。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=200、F11-1/125

 世羅町のホテルで夜、部屋の窓を放つと冷気が心地よく、冷涼な信州の高原を思わせます。関東出身の小生にとって、広島県と言えば、瀬戸内海に面した暑いイメージがありましたが、このような高原があるとは意外でした。

 遠征初日は休耕田の様子を下見しながら、蝶を探索です。コナラやクヌギを叩くとアカシジミやミズイロオナガシジミが飛び出します。既に気温が高いので殆どの個体が梢の上に飛んでいくなか、唯一1頭のアカシジミ♀が下草に降りてモデルになってくれました。アカシジミの尾状突起ってこんなに長かったかな?
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D70, ISO=500、F5.6-1/800、+0.3EV

 暫く観察していると、翅をスリスリしながら、微妙に開いてくれました。このシジミ精一杯のご開帳サービスなのでしょう。
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D70, ISO=500、F10-1/160、+0.3EV

 雑木林にはクヌギ・コナラに混じってナラガシワも生えていました。もちろん、ヒロオビかウラジロが飛び出すことを期待して長竿で叩き出しを試みましたが坊主。丹念に探せば、いるのかもしれません。  
 一方、田んぼの畦道沿いには大型ヒョウモン類が目立ちます。農機具を収納する小屋の周りを緩やかに飛ぶヒョウモンに目を付けると羽化したてのミドリヒョウモンの♂でした。小屋の柱から吸水する等、傍目にはサトキマダラヒカゲと全く同じ挙動です。そのうち、葉上に止まってモデルになってくれました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500、F10-1/320

 ミドリヒョウモンより小ぶりなヒョウモンも飛んでいて、チェックするとウラギンの♂。本種については、小生、これまで1000mを越える高原での撮影のみで、低山地産(標高~300m)は初体験。しきりに吸水しておりました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500、F13-1/400、-0.3EV

 ミドリ、ウラギン以外にもメスグロ♂が飛んでいました。ヒョウモン類がこれだけ多く飛んでいる里山環境は彼らの食草であるスミレが潤沢にあり、アザミ類を中心とした吸蜜源も豊富にあるためでしょう。この台地を車で走らせながら、地形を眺めてみると、緩やかな丘陵の狭間に棚田や休耕田が形成されています。傾斜がゆるやかなため、水が淀みやすく、湿地形成に有利に働くのでしょう。恐らくヒョウモンモドキが好む生息環境が理想的に保たれているのが、この世羅・賀茂台地の地形なのでしょう。本来、MelitaeaMelicta属の故郷、ユーラシア大陸の草原は朝晩冷え込むような環境のはずで、ここ賀茂台地は、気候の面でも理想的なのかもしれません。

 ヒョウモンモドキはもちろん、低山地性ゼフやヒョウモン類が多産する里山環境はそうそうどこにでもあるわけではありません。爽やかな台地をドライブしながら、いつまでもこの環境を残してほしいと思いました。(了)
# by fanseab | 2006-06-22 23:04 | | Comments(6)