探蝶逍遥記

木曽探索行(8/12-13) PartⅢ:シジミチョウ達

 御岳山麓は、開拓農家が苦労して開墾した畑が広がり、畑の間にはススキ野原や草原が多く残されています。そんな草原で必ず顔を出したのはヒメシジミ。ただ、8月の中旬ではさすがに時期が遅く、登場人物はいずれも、おじいさん・おばあさんの世界でした(^^)

 ところが、PartⅡでご紹介したオオウラギンスジ♀を撮影した林道脇に1頭の凛々しき青年(♂)が登場。このポイントは他の草原に比較して200mほど標高が高いので、新鮮な個体が残っていたのでしょう。実は管理人、この手のシジミ(ヒメ、アサマ、ミヤマ)は未撮影。そこで、心を込めて、この♂を追っかけました。まずは、対角魚眼で生息環境を写しこんだショット。純白の縁毛がブルーを際立たせています。
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D70S-10.5, ISO=500, F11-1/320

 この♂、ヒョウモン類と同様にヒヨドリバナが大好物。ここでは、ほぼ正面から吸蜜シーンを狙いました。全開シーンもさることながら、こんな角度からチラリと覗くブルーも美しい!
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D70, ISO=500, F8-1/800、+0.3EV

 今回のメインターゲット、チャマダラセセリの生息環境は殆ど裸地と呼べるような場所だったり、散髪用語で言えば坊主刈状態の草原になります。涼しさを求めてわざわざ信州の高原にやってきたわけですが、炎天下、牧場や牧草地を端から端まで、下を向きながらトボトボ探索すると、額から汗がポタポタ・・・。「俺は何しにこんなことしとるねん?」と辛気臭くなってしまいます。4箇所目の牧場の真ん中でやっと黒っぽい蝶の影が!地面スレスレを飛んでいる姿を見逃さないように慎重に接近すると、なんと、ベニシジミ(^^; 「頼むからベニシジミらしく、春型で登場してくださいな」トホホです。そんな辛気臭い探索作業の息抜きは牧場両端にある落葉樹林帯。長竿での叩きだしでストレスを発散させます。

 最初にシバグリ?の葉陰から褐色のゼフが飛び出し、下草に止まりました。慎重に接近して90mmマクロでパチリ。どうやらジョウザンミドリシジミの♀のようです(肛角橙色部の一部が欠損している点を判断根拠にしましたが、読者の方、同定間違いあれば指摘して下さい)。
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D70, ISO=500, F8-1/320

 数カット撮影していると、また飛び立って、今度はご開帳です。「オナガシジミさんを撮るんだったら私も撮ってね~♪」と言わんばかり。「ハイハイ、ちゃんと撮りましたよ~」
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D70, ISO=500, F8-1/320

 1週間ほど早ければもっと別嬪さんだったでしょうに。尾状突起や肛角付近に若干傷みが目立ちます。ほぼ同じ箇所からもう1頭のゼフが飛び立ちます。こちらも不活発で、すぐに下草に止まります。前翅の丸みを帯びた翅形、裏面の地色、肛角部の斑紋からミドリシジミの♀のようです(同定合ってますか?ちょっぴり自信ありません)。こちらは羞恥心の強い娘さんのようで、開翅シーンは拝めませんでした。 
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D70, ISO=500, F8-1/320

 さて、5箇所目のチャマ探索ポイントの近くで次のような環境に辿り着きました。
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D70S-10.5, ISO=500, F11-1/320

 画面中央右に深紅の花穂が! 賢明な読者の皆さんは管理人が何を期待したか想像できると思います。その蝶にとって、本当に理想的な環境に思えたのですが・・・。結局、今回遠征で第4あるいは第5のターゲットとした相手との遭遇はできませんでした。トホホ(今回遠征ではこの文言がよく登場します)。

 何かトホホの連続のようですが、別の楽しみもありました。当地は言わずと知れた蕎麦の名産地。いつもはコンビニのお握り弁当をフィールドでそそくさと済ます昼食スタイルですが、今回は探索に疲れた体を休める意味で、ちょっぴり贅沢に蕎麦を堪能しました。下の画像は二枚盛の天ザル(1900円也)。コシのある蕎麦の喉越し、瓜の天プラは絶品でした。それにしても、蝶以上に料理画像を撮るのは難しいものですね(^^; 多灯ライティングの技が必要なようです。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F3.5-1/50、内蔵ストロボ

 幻のチャマダラセセリを狙った今回の遠征。将に幻に終わりましたが、副産物を沢山用意してくれるのが、信州の懐の深さ。来シーズン以降の良き下見となりました。チャマについては、5月に訪れるのも手かなあ等と思いながら、高原を後にしました。  (了)
# by fanseab | 2006-08-20 20:24 | | Comments(6)

多摩川セセリ探索:PartⅠ(8/19)

 木曽探索行:PartⅢは画像ファイル修復に手間取った関係上、更新を先送りです(^^;;
で、本日は恒例の多摩川セセリ探索。台風10号の置き土産でしょうか、今日の関東地方は関西に負けず劣らずの酷暑。熱中症にはかかりたくないので、午後3時からのススキの原探索です。それでもクソ暑い!!キタテハも暑さしのぎで草叢の中でじっとしています。一人頑張っているのがジャコウアゲハの♀、食草を丹念に探索して産卵していました。

 さて、8月中旬ともなれば、ミヤマチャバネセセリの2化が出ているはず。それが本日のメインターゲット。しかし、このところ多摩川では相性が悪く、1時間半の探索でミヤマは坊主。ガッカリです。

 では、幼虫は?と一巡り。前回テープマーキングしておいたススキの株を検すると、ほとんど行方不明状態。キマダラセセリは前蛹前に葉を食いちぎってパラシュート落下するので、やはり発見は困難です。そのうち、ススキの葉にぶら下がり状態の淡緑色の蛹を発見。
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D70S-24, ISO=500, F16-1/125、外部ストロボ

 いいかげんな巣造り、巣内の吐糸が少ないこと、頭部が尖っていること等の特徴からチャバネセセリの蛹と判断しました。念のため、この個体はお持ち帰りで後日、羽化まで確認することにしました。蛹の全体像を示します。体長は約34mmです。腹側から見るとストローが腹の先まで伸びています。本当に長いですね。
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D70S-24(トリミング), ISO=400, F14-1/500、外部ストロボ

 また、前回探索で見出したキマダラセセリ幼虫の巣を開けると、中には寄生ハエ(蜂?)の蛹が。その隣にはミイラ化した幼虫の姿と、それを求める小さな蟻達。
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D70S-24(トリミング), ISO=500, F13-1/20、外部ストロボ

 黒い幼虫頭部には、このセセリの特徴である褐色の「ハの字」模様が墓標のようにくっきりと浮かび上がっているのが印象的でした。鳥等の大型捕食外敵に対し、巣造りで対策をしていても、小さな寄生蝿(蜂)には幼虫の体は丸見え状態。ありきたりの言い方ですが、生存競争は厳しいものですね。

※追記:
翌日(8/20)、セセリについての成果が出たのでPartⅡ(ハッピーエンド?編)でご紹介します。こちらは木曽探索行:PartⅢの後に更新します。更新順序が錯綜しますが、ご期待下さい。
# by fanseab | 2006-08-19 22:34 | | Comments(8)

木曽探索行(8/12-13) PartⅡ:タテハチョウ達

 PartⅠで「第3のターゲット」と書いたのが、オオミスジです。「Neptis属ファン倶楽部会員」?である管理人としては、是非ともデジタルで撮り直したい目標の一つでありました。以前から「乗鞍~木曽御岳山麓に多産・・・」の情報を得ていたので、かなり期待して出かけたのです。初日、街道沿いの集落あたりを通り過ぎると、早速雄大な滑空飛翔を目にすることができました。ただ、簡単には下に降りて来ません。やはり朝一狙いにしようと、翌日、オナガシジミを撮影した近くで待っていると、最初に飛び出したのはミスジチョウ。こちらはさすがにかなり欠けが目立ちます。やはり7月中に撮影に来るべきなのでしょう。ややあって、オオミスジ♀も飛翔開始。こちらは狙い通り、飛び始めてからすぐに下草に降り立ってくれました。少し欠けていますが、まずまずの画像が撮れてヤレヤレです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/320

 この後はクルミの梢に飛び立ち、ジ・エンド。気持ちを切り替え、チャマの探索に向かいました。チャマ探索をした牧場や牧草地で圧倒的な個体数を誇るのがジャノメチョウ。草叢から急に飛び立って慌てさせられます。ここは広角でまず飛翔写真にトライ。この蝶、絶対的な飛翔スピードはないものの、結構不規則に方向転換するので歩留まりはそれほど上がりません。何とかど真ん中にヒットしたのを貼ります。この画像を撮影する頃から雲行きが怪しくなり、やがて雷鳴が轟き始めました。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F10-1/250、+0.3EV、内蔵ストロボ

 無尽蔵にいると思われるジャノメチョウ。当然カップルも沢山できます。朝・昼・夕方問わず多くの交尾ペアを目にすることができました。明るい草原を飛び交うジャノメですが、交尾は比較的暗目の環境で人目を忍んで過ごすようで・・・。
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D70, ISO=500, F11-1/100、+0.3EV、内蔵ストロボ

 一方、山麓に点在するスキー場は針葉樹林帯に位置し、笹がゲレンデ脇に密集しています。ここに多いのがヒメキマダラヒカゲ。ヒヨドリバナにはアサギマダラと一緒に多くの個体が吸蜜に来ておりました。ここでは結構粘って♀の開翅吸蜜シーンをゲット。後翅表に配された眼状紋は惚れ惚れする美しさだと思いませんか?
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D70, ISO=500, F8-1/800、+0.3EV

 2日目。チャマ探索も徒労に終わり、下山する直前に寄った林道脇。ヒヨドリバナの群落に、魅力的なタテハが集っていました。信州の夏の定番、クジャクチョウは何時見ても美しく、ミドリヒョウモンの橙色もそれほどスレていません。そんなヒョウモンを撮影していると、ちょっぴり大きめのヒョウモンが。おぉ!期待もしていなかったオオウラギンスジヒョウモン♀の登場です。何を隠そう、管理人にとって、ヒョウモン類の中で最もお気に入りが突然姿を現したのです!もう心臓ドキドキモード。でも優しいこの娘さん、ゆっくりと吸蜜してくれて、途中から余裕を持ってアングルを工夫した撮影ができました。久しぶり、テレコンを外した10.5mm対角魚眼で目一杯寄り、下から見上げる好みのアングルで撮影。苦労した甲斐があって、本遠征でのベストショットが撮れました。で、いつものようにちょっぴり大きめの画像を貼ります。何時見てもホンマ、格好ええタテハです。
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D70S-10.5, ISO=500, F11-1/320

 8月、信州の高原と言えば、皆さんもキベリやエルを想定されるでしょう。ただ今回の探索行では全く出会えず、ちょっと不思議な感じがしました。その代わり、ジャノメチョウやヒメキマダラヒカゲといった普段あまり真面目に取組まない蝶達に焦点を当てることができ、彼らの魅力を十分に味わうことができました。次回はオナガシジミ以外のシジミチョウをご紹介したいと思います。 (PartⅢに続く)
# by fanseab | 2006-08-16 20:59 | | Comments(14)