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探蝶逍遥記

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)

 本種幼虫が4齢から5齢に脱皮する場面を初めて観察できたので、レポートします。拙宅庭のエノキ葉上の4齢幼虫を見ると、何かいつもと雰囲気が異なります。頭殻を見ると既に4齢頭殻が前方に移動し、5齢頭殻が露出した状態でした。

+++画像はクリック・タップ等で拡大されます(モニター環境に依存)+++

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20363529.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=640F5.6-1/250、撮影時刻:94248

 同時に腹節も脱皮がスタートしており、第3-6腹節にかけて4齢脱皮殻の皺が目立ちます。その後、幼虫は急に頭部を反らしました。

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20364198.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=500F5.6-1/200、撮影時刻:94316

 どうやら、この動作で4齢頭殻を完全に脱がすつもりなのでしょう。この時点では、5齢頭殻の突起はWの字型に折り畳まれています。その後、頭部を元の姿勢に戻しました。

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20364852.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=500F5.6-1/200、撮影時刻:94407

 折り畳まれていた5齢突起が後方に伸び始めました。尾端方向からも眺めてみました。

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20365821.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=500F5.6-1/200、撮影時刻:94438

 4本角状態ですね。4齢と5齢の突起太さの差異がよくわかる画像でもあります。この時点での幼虫全体像です。>

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20370956.jpg

トリミング)ISO=500F5.6-1/250、撮影時刻:94536

 腹節の脱皮殻は第8腹節あたりにギュッと集まってきました。130秒後、ようやく腹節の脱皮が完了し、幼虫の腹節下に押し込みました。

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20371819.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=200F5.6-1/50、撮影時刻:94702

 この後、5齢幼虫は頭殻を左右に振り回して4齢頭殻を捨てようと格闘。

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20372789.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=400F6.3-1/250、撮影時刻:94851

 5齢突起も8割方伸びています。何とか4齢頭殻を振り落とした場面。

アカボシゴマダラ4齢幼虫の脱皮(9月下旬)_f0090680_20373474.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=400F6.3-1/250、撮影時刻:94907

 その後、5齢幼虫は上下向きを変え、4齢脱皮殻を食し、4齢頭殻を葉上から地上に落下させました。この間、4齢頭殻が割れてから脱皮完了するまで僅か10分程。余程上手くチャンスが無ければ脱皮の瞬間を拝めないわけです。蝶の羽化瞬間を見届けるのも至難の業ですが、今回、幼虫の脱皮瞬間を観察できたのはラッキーでした。


# by fanseab | 2023-12-01 21:22 | | Comments(0)

望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)

 管理人の現行撮影カメラの主力はオリンパス社の「OMD-EM1 MarkⅡ」です。昨年OMデジタルソリューション社からフラッグシップ機種「OM-1」が発売されました。また魅力的な超望遠ズームレンズ、「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3IS(以下100/400Zと略)」が2020年にリリース済みです。今回「OM-1」ボディに「100/400Z」を装着したシステムをテストする機会がありましたので、その時撮影した画像をアップしたいと思います。撮影場所は千葉県某所。蝶撮影目的で房総半島以外の場所に出撃するのは本当に久しぶりです。

 当日は快晴無風のコンディション。早速用水路近くのセイタカアワダチソウに群れているキタテハにレンズを向けました。最初は管理人の現行機種、「OMD-EM1 MarkⅡ」に「LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8」のシステムで撮影。

+++画像はクリック・タップ等で拡大されます(モニター環境に依存)+++

望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)_f0090680_15090922.jpg

EM12-P200、ISO=100F6.3-1/1250、撮影時刻:1316

 撮影状況としては、撮影ポイントの先に小さな用水路が流れており、対岸のセイタカアワダチソウを望む場面。カメラから対象までは3m程度離れています。御覧の通り、キタテハを描写するには遠く、トリミングなしでは見られない絵になっています。ここで早速レンズのみ「100/400Z」に交換し、望遠端の400mmで撮影。

望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)_f0090680_15091848.jpg

EM12-100/400Z@400mm、ISO=200F6.3-1/1250、撮影時刻:1351

 撮影アングルは微妙に異なるものの極めて迫力ある画像に仕上がりました。やはり400mmの威力は凄いと思いました。ただ400mmレンズ(フルサイズ換算800mm)のレンズを扱ったのは初めてなので、レンズ内手振れ防止機能をONにしてもそれなりに揺れる感じ。まぁ、慣れれば何とかなる感じかな? それと当然のことながら被写界深度は極めて浅く、少し油断すると複眼に合焦しなくなります。やはり複数枚を連射して最良画像を選択する手法が不可欠だと思いました。

 ツマグロヒョウモンにもレンズを向けました。

望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)_f0090680_15093559.jpg

OM-1-100/400Z@400mm、ISO=320F6.3-1/1250、撮影時刻:1325

 この画像はボディ側を新機種「OM-1」に切り換えて撮影しています。新機種と言っても全体の操作方法はEM1-MarkⅡと同様なので、操作に迷う心配はありませんでした。

 次いで枯茎の上でテリ張り中のイチモンジセセリ

望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)_f0090680_15095057.jpg

OM-1-100/400Z@400mm、ISO=320F6.3-1/1250、撮影時刻:1331

 数本の枯茎が林立し、その中の1本にイチモンジセセリが陣取っている状況。ここで合焦に迷いが生じたのは意外でした。現行機種のEM1-MarkⅡシステムでも背景が雑然として色彩コントラスト差が少ない場面では、合焦がかなり迷ってイライラさせられています。新機種システムでは、このような「合焦迷走」が発生しないことを期待したのですが、どうやらあまり過度な期待は禁物なようです。但し短時間内のレンタルであったため、合焦設定を詳しく弄る余裕はなかったことも事実。例えば管理人が一番苦労するギンイチモンジセセリの産卵シーンのような場面で、チョロチョロ動き回るをコンチュニアスAFで上手く追尾できるのか?この辺の問題点を解決することができるならば、この新システムは『買い』だと思います。

 最後にウラナミシジミの飛翔をプロキャプチャーモードで撮影。ボディは現行機種です。

望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)_f0090680_15100256.jpg

EM12-100/400Z@400mm(トリミング)、ISO=800F7.1-1/4000、撮影時刻:1400
望遠ズームレンズの性能チェック(11月初旬)_f0090680_15101091.jpg
EM12-100/400Z@400mm(トリミング)、ISO=800F7.1-1/4000、撮影時刻:1400

 共にトリミングをかけた画像。プロキャプチャーモードでの撮影は蝶の飛び出し方向を上手く予測できないと、ピンボケ画像の山を作ってしまいます。この時は何とか左右方向にウラナミが飛んでくれたので相当数のコマがジャスピンでした。静止画像でもかなりシャープなレンズだと思いましたが、トリミングしても破綻が目立たず、優秀なレンズであることを再認識しました。

背景ボケもズームレンズ特有の変な癖が目立たず、背景処理もスッキリできて好ましいものでした。

 一方、新機種ボディ「OM-1」の魅力を感じる場面は殆どありませんでした。この日はピーカンの天気で、「曇天下での暗い状況で飛翔画像を撮る・・・」ような厳しい状況で撮影チャンスがなかったのは残念でした。画像センサーの高感度特性が現行機種よりも飛躍的に進歩しているはずなので、もちろん使い勝手は良いものだろうと思います。

 望遠レンズの選択も色々と悩ましく、所謂「レンズ沼」に嵌る危険があります。まぁ、悩むのもまた楽しみなのですけどね。


1127日追記>

 レンズレビューとして気づき点を付記しておきます。試用した100/400Zはレンズ内手振れ防止機能を有していますが、ボディ(OM-1)とのシンクロ手振れ補正には対応していません。この辺りはフラッグシップレンズ:150-400mmF4.5との機能差別化を図っているのでしょうが、ちと残念です。

また、試用レンズはAFフォーカスリミッターが付いていて大変便利です。管理人は同リミッターを「1.3m-6m」に設定して撮影しました。本レンズを使用して蝶を狙う場合は、殆どこのリミッター領域設定が効果的でしょう。できれば「1.3m-4m」にしてくれると更に良いのですが、今後のファームアップの際、リミッター数値を可変にできるようになると、このレンズは更に優れものになるはずですが。。。。


# by fanseab | 2023-11-25 20:07 | 機材 | Comments(6)

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで

 昨年実施した飼育メモです。5齢到達後、急に摂食不良を起こして幼虫は死亡。つまり失敗メモとして記録を残します。本種飼育は20219月に野外で2齢幼虫を採幼・飼育し、この時も5齢到達時点で寄生されていることが判明、羽化まで見届けられなかった経緯があります(過去記事にジャンプ)。

 リベンジを期してフルステージ飼育を試みたものの、またしても失敗に終わりました。どうもキマダラとの相性が悪いようです(^^;

 さて、今回は98日に母蝶産卵を確認、10日に採卵、14日に孵化しました。孵化翌日から摂食を開始、初齢幼虫の姿です。なお初齢~4齢途中までは産附植物のコメヒシバDigitaria timorensis を与えました。

+++画像はクリック・タップ等で拡大されます(モニター環境に依存)+++

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで_f0090680_15453446.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=100F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:916

 体長4.5mm。多くのアカセセリ亜科同様、前胸背面に首輪のような黒線があります。初齢~4齢まで振動に敏感で、撮影の準備中に動き出すこと暫し。深度合成画像を撮影させてくれないのが難点です。初齢時点での巣(矢印#1)の様子です。

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで_f0090680_15464647.jpg

EM12-Z60(8コマ深度合成+トリミング)ISO=100F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:916

 巣の前後に食痕(矢印#2)が見えています。ミヤマチャバネセセリやチャバネセセリと比較すると、全般に造巣は粗雑で、吐糸して綴った箇所が少ないことが目立ちます。918日に2齢、新しい葉に巣を作り直しました。2齢幼虫です。

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで_f0090680_15470142.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=100F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:920

 体長7.5mm。形態は初齢と殆ど変化ありません。22日に3齢。この時点でやや衰弱気味。23日に餌交換、24日になってようやく摂食開始。3齢に脱皮後4日目の画像です。

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで_f0090680_15472665.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=100F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:926

 体長12mm2齢でボンヤリと見えていた第5腹節の精巣(矢印#1)が明確になり、個体と断定できました。また第10腹節背面の肛上板(矢印#2)が褐色に変化しました。さらに背線も周辺腹節よりも暗化し、明確になりました。928日に眠、翌29日に4齢へ。

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで_f0090680_15474005.jpg

EM12-Z60(トリミング)ISO=200F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:103

 体長16mm。頭殻に八の字模様が出現。前胸部の黒色首輪が細くなりました。第10腹節の肛上板(矢印)もより暗化しました。なお101日にそれまでのコメヒシバの調達が困難になったので、メヒシバ Digitaria ciliaris を投入。これもあまり好まないらしく、3日にエノコログサSetaria viridis を投入しました。5日に眠、翌6日に5齢(終齢)に到達。しかし餌を全く食ってくれず急激に衰弱、翌7日に★様になりました。どうやらメヒシバを投入したのが間違いで、栄養不良により急激に衰弱したことが原因と推測しました。キマダラセセリは広範囲なイネ科食いなので、イネ科なら何でもOKかな?と餌を齢の中途で変えたのが敗因でした。広範囲に食うといっても「比較的狭食性である」習性を改めて知らされた次第。

 頭殻については今回の飼育で初齢から5齢までフルステージ画像が揃ったので、まとめておきます。

キマダラセセリの飼育メモ:孵化から5齢まで_f0090680_15475621.jpg

 4齢から頭殻に八の字模様が出現します。5齢頭殻はこの「八の字」がやや複雑化します。この模様にどの程度個体変異があるか?も興味のあるところです。


# by fanseab | 2023-11-23 18:42 | | Comments(0)