探蝶逍遥記

オナガアゲハの産卵(5月下旬)

 サカハチの産卵狙いで探索した林道は黒系アゲハの宝庫でもあり、渓谷沿いを飛び交っているオナガ・カラスアゲハの産卵行動にも期待しておりました。オナガアゲハは昨年の第3化で別ポイントでの撮影をトライした経験があります。しかし、産卵環境や時間帯が不明確で失敗に終わりました。今回は偶々現場にチョウ類保全協会で面識のあるIさんが調査活動をされていて、Iさんより両種の産卵行動について貴重なヒントを頂きました。
 午前9時45分頃から♀の産卵行動がスタートしました。最初は高さ5m前後でホスト探索をしている様子。これでは接近戦に持ち込むことができないので、様子見に徹します。その直後、林道脇に現れたオナガの♀が低木のコクサギに産卵行動を取りました。慌てて連射し、何とか産卵場面をゲット!

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR、ISO=400、F8-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時07分

 次に産卵現場の全景・近景を示します。
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EM12-Z12、ISO=200、F6.3-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分
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EM12-Z12、ISO=200、F5.6-1/80、外部ストロボ、撮影時刻:10時40分

 産卵ポイントは林道の南向きで日陰になっている部分。産んだコクサギの樹高は僅か60cm。地上高25cmにある低い葉裏(矢印)に産んでおりました。樹高の高いコクサギにも産みますが、その際にも比較的低い木蔭にある葉を好んで産み付ける傾向があるようです。
 現場で採卵して、産卵翌日に拡大像を撮影。
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EM12-P1442@42mm-P14R(9コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F8-1/50、外部ストロボ

 直径1.46mm。Papilioの卵なので、表面構造もほぼツルツル、面白みには欠けます。
 その後も産卵シーンを期待しますが、欲張りにもサカハチと両天秤に掛けていることもあってか、良い場面に出会えません。正午過ぎになると、どうやら一旦休息タイムに入った様子。林道上の樹上で開翅休息する♀の姿がありました。
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D500-34VR、ISO=800、F9-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:12時53分

 ♀の休息タイムは恐らく14時頃まで続いた様子。結局、午前中に写したコマ以外はオナガ♀の産卵シーンは撮影できませんでした。一方、♂は午前10時から殆ど休みなく、探♀活動を続けております。林道に沿ってほぼ直線の蝶道を往復する行動パターン。午後からは林道の低い位置を飛翔し、短い吸水行動を取るようになりました。
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D500-34VR、ISO=500、F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:13時25分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=1250、F8-1/1000、外部ストロボ、撮影時刻:14時00分

 吸水時間は1秒も無く、撮影するのにイライラさせられます。過去にオナガ♂も長時間吸水する様子を観察した経験がありますので、今回出会った♂の行動は意外でした。♂も流石に飛び疲れると、葉上で休息を取ります。全開で暫し息を吐いている場面。
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D500-34VR、ISO=800、F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:13時24分

 観察途上で、一回だけ求愛行動も観察できました。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=1250、F8-1/1000、外部ストロボ、撮影時刻:13時59分

 ♀を後ろから♂が追う場面。この後、♂が先頭に立ち、♀を誘導する場面も観察できました。いつものパターンで、♀は交尾済のため愛は成就せず。ただアゲハ♀の求愛拒否は、シロチョウみたいに尾を上げるような積極的拒否行動を取らないのが面白いですね。
 オナガ♀の産卵時間帯は恐らく午後2時以降にもあるはずなのですけど、今回は撮影の集中力が切れたため、撮影は回避しました。それでも狙ってオナガ♀の産卵を撮れたので、大満足の撮影行になりました。今回、オナガアゲハの産卵行動について詳しくご教授頂いたIさんに対し、この場を借りて御礼申し上げます。
# by fanseab | 2017-05-29 21:54 | | Comments(2)

林道のサカハチチョウなど(5月下旬)

 サカハチチョウの産卵シーン狙いで、東京都西部の渓谷沿いを歩いてみました。林道脇を観察すると、前回訪れた谷戸に比較して食草のコアカソが結構生えていて期待が持てます。林道上で最初に見出したのは、飛び古したトラフシジミ。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時58分

 裏面だけ見ると目立つ斑紋ですが、飛び古すと存在が目立たないシジミです。10時頃になって、やっと目的のサカハチ♂が登場。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時05分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時06分

 2枚目はホストのコアカソ葉上で静止しているシーン。この後、10時30分頃までに合計5頭の♂を見出しました。しかし、♀の姿が見えません。林道の一角にコアカソが30m位連続するポイントがあり、ここに探♀飛翔してくる♂を期待して陣取ってみますが、11時以降14時過ぎまで、♀はおろか、♂まで全く飛んで来ません。
 以前、撮影仲間から、同一林道で第1化♀が11時20分頃産卵した情報を頂いており、正午前後に集中して蝶影を追跡していたのに、ガックリでした。夕方の時間帯では期待できそうもないため、14時30分頃、撤収です。ところが何と撤収寸前、林道入口でサカハチ♀をようやく発見。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:14時23分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/1000、外部ストロボ、撮影時刻:14時29分

 期待に反してこの♀、長時間吸水にご執心で、産卵挙動を全く示しません。でも2枚目のように、小石にちょこんと掴まって吸水するシーンはとっても可愛くて憎めませんね。
 サカハチについては、夏場の個体含め、日周活動パターンをこれまで真面目に観察していないので、産卵シーン確保まで暫く時間がかかりそうです。この日は快晴でしたが、曇り日の方が産卵しやすいとか、何か特有の習性があるように思います。
 さて、林道にはこの他にも沢山の蝶が舞っておりました。この時期と言えば、やはりミスジチョウ。
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D500-34VR、ISO=400、F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:11時07分

 ♂の出始めに当たったようで、飛びきり新鮮な個体でした。しかし、いつものことながらムチャクチャ敏感。単純な吸水シーンも思い通りに撮らせてくれません。お次はヒメキマダラセセリ♂。
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D500-34VR、ISO=400、F8-1/640、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時59分

 低山地帯で、橙色のこの子を見ると、初夏が訪れたことを実感させてくれます。最後はアサギマダラの♀。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F8-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:13時46分

 明らかに産卵挙動を示しており、その途上で吸蜜しているシーンです。林道両側は崖地なため、結局この子の産卵シーン撮影追跡は諦めざるを得ませんでした。
 この日出会った蝶、全22種を下記にリストアップしておきます。
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クロアゲハ♂、モンキアゲハ♂、オナガアゲハ♂♀、アゲハ♀、カラスアゲハ♂♀、
ジャコウアゲハ♀、アオスジアゲハ♂
スジグロシロチョウ♀
トラフシジミ、ヤマトシジミ♂
テングチョウ(越冬個体)、アサギマダラ♀、イチモンジチョウ♂、コミスジ♂♀、ミスジチョウ♂、サカハチチョウ♂♀、アカタテハ、スミナガシ、コジャノメ♀、
ダイミョウセセリ、コチャバネセセリ♂、ヒメキマダラセセリ♂
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 上記リストの中で、黒系アゲハについては次回に詳しく述べたいと思います。
# by fanseab | 2017-05-26 22:16 | | Comments(2)

渓流沿いの黒系アゲハ(5月中旬)

 当初、サカハチを狙った場所を午前中に見限って、少し西側の渓流地帯を探索。標高が高くなっているので、未だ綺麗なツマキチョウ♂が飛んでいました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR、ISO=200、F8-1/1250、-1.0EV、撮影時刻:13時01分

 結局、渓流沿いで新たなサカハチポイントを見出せなかったものの、黒系アゲハ第1化のピークを迎えていたようで、多くの撮影チャンスが得られました。最初に登場したのはとびきり別嬪さんのカラスアゲハ♀。
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D500-34VR、ISO=400、F7.1-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時03分
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D500-34VR、ISO=400、F7.1-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時04分

 比較的長時間ハルジオンに拘ってくれたので、助かりました。カラス第1化♀吸蜜をきちんと撮ったのはこれが初体験かもしれません。少し場所を移動して、林道沿いの民家脇にある白いツツジで吸蜜する2頭のオナガアゲハ♂を発見。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F7.1-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時13分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F7.1-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時13分

 撮影前から覚悟しておりましたが、ほぼ純白なツツジに黒系アゲハの組合せは露出が難しい! CMOSセンサーのラティチュード特性評価テストに相応しい場面かもしれませんね。
 オナガアゲハ♂と言えば、そのシンボルとも言うべき後翅前縁横白班を写し込みたいもの。粘って何とかジャスピンのコマが得られました。
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D500-34VR、ISO=800、F7.1-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時13分

 更に場所を変えて、濃いピンク色のツツジにアゲハが集うポイントを発見。再度カラスアゲハ♀を追跡。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F8-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時13分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=800、F8-1/1250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時13分

 しかし、ここのツツジは見上げる場所にあるため、アングルが制限されて仕上がりはあまり芳しくありません。それでも正午過ぎの吸蜜時間帯に、満開のツツジを眺めながら、撮影の楽しさを味わったのでした。
# by fanseab | 2017-05-18 22:38 | | Comments(4)