探蝶逍遥記

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台湾台東縣遠征記(18)最終回:セセリチョウ科

 一昨年10月より長々と連載してきたこの遠征記も今回が最終回です。セセリチョウ科は全般に不作でした。最初はボロボロのタイワンアオバセセリ(Badamia exclamationis)。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月11日、14時34分

 青(緑)色を全く帯びない本種に何故「アオバ」を付けたのか、いささか理解に苦しむ管理人です。もちろん、『台湾から見出された「アオバセセリ」に似たセセリチョウ』が和名由来なのでしょうね。それにしても・・・もう少し上手なネーミングをしたいものです。次は管理人初撮影のオオクロボシセセリ(Seseria formosana)♀。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、7時52分

 開園間もない、知本森林遊楽區内の薬草植物園にフラフラ~っと飛び込んで来て日光浴している個体です。初見のセセリであることは直ぐに分かったので慌てて撮影しました。望遠マクロの後、多少余裕があったので、コンデジ広角でも撮影。
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TG2@5.5mm、ISO=100、F3.2-1/320、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、7時54分

 本種は台湾特産種。Seseria属は、日本の「セセリ(挵る:つっつき回す行動に由来)」がそのまま属名になった稀有な一群で、クスノキ食であることから、クスノキセセリ属とも呼ばれています。日本で、クスノキ食いの蝶と言えば、アオスジアゲハ以外いませんが、台湾では、本種やタテハチョウまでクスノキを食ったりしています。所変われば何とやらですね。
 3種目は日本でもお馴染みのダイミョウセセリ(Tagiades tethys niitakana)♀。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/800、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、8時33分

 産卵行動中の♀が一旦、休憩して日光浴している姿。後翅の白帯が太く出る完璧な「関西型」ですね。ダイミョウと言えば、最近実施されたDNA解析の結果、お馴染みの属名Daimioはシノヌムとなり、属名はTagiadesに変わりました。台湾で飛んでいるダイミョウを実見すると、後翅の白班が極めて目立ち、明らかにシロシタセセリ(Tagiades)そのものに見えます。後翅に白帯の出ない、「関東型」ダイミョウはむしろ、極めて特殊な亜種なのでしょう。お馴染みの産卵風景も撮りました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/800、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、8時36分

 産卵後、グリグリと腹端を回して毛を卵表面に擦り付ける隠蔽工作は日本産と変わりありません。産卵している食草は日本のヤマノイモにそっくりです(種名未同定)。産附状況も別途撮影。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/800、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、8時37分

 コンデジで超拡大撮影も実施。
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TG2@18mm、ISO=800、F4.9-1/125、外部LED、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、8時44分

 毛むくじゃらの体裁も日本産ダイミョウと同様です。下記に今回遠征で撮影(観察)したセセリチョウ科全4種をまとめて示します。黄色字は初撮影種、赤字は観察のみ実施した種。
(1)タイワンアオバセセリ(Badamia exclamationis
(2)オオクロボシセセリSeseria formosana
(3)ダイミョウセセリ(Tagiades tethys niitakana
(4)ネッタイアカセセリの1種Telicota sp.)

 最後に今回遠征で撮影・観察できた種類数を科別にまとめておきます。
アゲハチョウ科:10種(初撮影1種)
シロチョウ科 :12種
タテハチョウ科:39種(初撮影7種)
シジミチョウ科:16種(初撮影2種)
セセリチョウ科: 4種(初撮影1種)
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   合計   81種(初撮影11種)
 初撮影種が11種あったのは大きな収穫でした。長々とした連載をお読み頂き有難うございました
<(_ _)>

<おしまい>
by fanseab | 2017-01-31 20:55 | | Comments(4)

ムラツ越冬集団の消滅(1月下旬)

 前回からおよそ1ヶ月振りに現地を訪問しました。虱潰しに調べた甲斐なく、集団は完全に消えておりました。同じ株にあったムラシ集団、個別に越冬していたウラギン6頭の姿も全くありません。それと、株の枝振りが前回とは大きく異なっており、集団に向かって南西側の枝がゴソッと抜け落ちております。風を遮る壁が無くなった感じ・・・。
 そうこうする内にカメラを携えた同好者の方が来訪。お話させて頂くと、この柑橘類で継続観察をされていたとのこと。完全消失にガッカリされておりました。それと、この方はメジロがムラツ集団を襲撃してムラツを啄む決定的瞬間をカメラに収めたとのこと。残念ながら画像を拝見できませんでしたが、メジロなら実行しそうな行動でしょう。昨年の11月、小生も拙宅庭のエノキでアカボシゴマダラの蛹を狙うシジュウカラの姿(外部リンク)を目撃しました。野鳥の学習能力は想像以上に高いので、ムラツ/ムラシ共に狙われた可能性は高いと思います。

 また、ブログ仲間の あーとまん(外部リンク)さんも同じ場所の継続観察をされております。

それによると、下記の通り年末年始前後で急速に個体数を減少していったようです。
12/28:ムラツ9、ムラシ2合計11頭の混群
1/1:ムラツ6、ムラシ1合計7頭の混群
1/11:ムラツ2頭集団、これとは別にムラシ単独越冬個体

 恐らく、1/11以降概ね22日頃までの間に異変が起きて、残っていた2頭も消失した様子。これにメジロが係わっていた可能性が高いのでしょう。それと、株の周辺に柑橘類の枝が少数落ちていたのが気になりました。どうやら柑橘類(ナツミカン類?)を何方かが収穫したのか、その際に枝打ちを含めた擾乱があったと思われます。柑橘類の葉は常緑で、密生しており、ムラツ類の越冬には適しておりますが、冬季に収穫を迎える果物類の宿命として、人間が関与する擾乱は他の常緑樹とは比較にならないほど大きいものがあるのでしょう。来シーズンもまた同様な経過を辿るのか?追跡してみたいと思います。

 この日、唯一発見した越冬蝶はウラギンシジミのみ。ツバキの葉裏に単独で止まっておりました。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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GX7-P8、ISO=125、F13-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:10時05分

銀色の裏面は、一見目立ちそうですが、意外と背景に溶け込むと見過ごしてしまいがちです。数輪咲いていた赤いツバキの花弁と無理やりのツーショット(^^;
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D500-34VR、ISO=400、F9-1/500、外部ストロボ、撮影時刻:9時58分

 この後、ミズイロオナガの越冬卵などを探索。越冬卵は残念ながら坊主でしたが、クヌギの枝先で冬場定番の「お宝」、コミミズク(Ledropsis discolor)の幼体を発見!
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TG4@5.5mm、ISO=100、F2.3-1/1000、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時23分

 画面中央の枝とはちょっと色合いの異なる物体が見えますでしょうか?この絵、枯葉を二枚程剥がした後なので、少し分かりやすいが、結構上手く化けておりました。正面と側面の拡大像です。
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TG4@5.5mm(自動深度合成)、ISO=100、F2.3-1/1000、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時23分

 体長は10mm弱。5年前に発見(外部リンク)した個体に比べると、体表面の赤色色素の散布密度が少なく、遠目には僅かに緑色が優って見えます。体色は個体により微妙なバリエーションがありそうです。この日、ムラツ集団の消失は残念でしたが、コミミズクを発見し、心が少し軽くなりました(^^)
by fanseab | 2017-01-27 21:52 | | Comments(0)

台湾台東縣遠征記(17)グルメなど

 セセリチョウ科をご紹介する前にちょっと休憩して、「B級」を含めた滞在中の食事について触れておきましょう。旅の楽しみは、蝶撮影を除くと食うことが、最大の喜びのはずなのですが、旅先ではいつも食事に苦労します。基本単独行動の管理人にとって、中華圏では食事内容が著しく制限されて、却ってストレスになったりもします。最初は5月12日のホテルビュッフェでの朝食。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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TG2@4.5mm、ISO=200、F2-1/125、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、6時40分

 ここは朝6時30分オープン。ボヤボヤしていると中国大陸からの団体客がドヤドヤと押し寄せ戦争状態に突入するので、ドアが開く前から食堂に待機しておりました。お粥はいつも美味しいです。コーヒーを飲む前に先ずお粥を啜りこむと、胃がジワっと暖まって元気が湧いてきます。中央上の蒸しパン(饅頭)は、これとは別にランチ用に4個を持ち出し、漬物やウインナー炒め等を中に詰め込んで手製サンドイッチをテーブルで秘かに作成しました(笑)。前回と同様な作戦が取れたので、取敢えず山中で摂るランチの心配は無用になりました。ビュッフェ内の光景もパチリ。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F2-1/30、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、6時40分

 今回の団体客は比較的静かなので助かりました。お次は13日の夕食。
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TG2@4.5mm、ISO=800、F8-1/20、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、17時55分

 前回と異なり、今回はレンタカーがあるので、宿から少し車を飛ばしてリゾートセンター内にある食堂をトライしてみました。ここには珍しくメニューに「定食」があったので、迷わず注文。メインディッシュのチャーシューもムチャボリュームがあったし、右上の小皿で野菜がタップリ補給できました。右下の渡り蟹(?)スープも絶品。これで250NT$≒970円はお値打ち物でした。久しぶりに旅先で美味しい夕食を味わった実感がしました。
 翌14日のランチは山中に持参したお手製サンドで済ませていたのですが、天候が少し悪化したため、下界に降りてコンビニ近くの食堂に入って休憩。切子麺(40NT$≒160円)を頂きました。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F2.8-1/50、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、14時15分

 素朴な味わいですが、そぼろ肉とパクチーの相性は抜群ですね。
 さて、14日中にレンタカーを返却し、台東飛行場近くの民宿に投宿しました。ここは飛行場から徒歩圏内なのですが、近くに夕食を取る適当な食堂がありません。どうしようか?民宿のオーナーに相談したところ、「今日自分達が食べるカレーライスをご馳走するよ!」と有難いご返事。早速ご馳走になりました。
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TG2@4.5mm、ISO=800、F2.8-1/30、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、17時28分

 美人のオーナー奥様手作りの「十穀米カレー」でございます。奥様は健康オタクらしく、十穀米を良く食するのだそうです。翌日、朝食前に民宿屋上に上がって、近くの景色を眺めました。
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TG2@4.5mm、ISO=100、F2.8-1/640、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月15日、6時52分

 ご覧のように周囲は一面の畑。その殆どは、この地域特産の果物・釈迦頭(シャカトウ:バンレイシ科植物:Annona squamosa)で占められております。画面中央やや左上の渓谷沿いに知本温泉郷が位置します。この日の朝食は旦那さん手作りのサンドイッチ。
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TG2@4.5mm、ISO=400、F2-1/50、撮影年月日・時刻:2015年5月15日、7時12分

 添えられたパパイヤも甘くてジュウシー!抜群に旨かったです。朝食後、民宿近くを散歩撮影。丁度、釈迦頭の受粉時期だったらしく、農家の方が花弁一つ一つに丁寧に受粉作業をされておりました。「モデルになって下さい」と頼み込んでパチリ。
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TG2@4.5mm、ISO=100、F2-1/2000、撮影年月日・時刻:2015年5月15日、8時22分

 農作業は国内外を問わず、大変な労力が必要なのだと改めて思いました。残念ながら甘い釈迦頭を味わえるのは秋。再度、秋口にこの地域を訪れてみたいものです。空港に移動して、搭乗まで時間があるので、空港脇にある食堂で、やや遅めのランチ。
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TG2@4.5mm、ISO=400、F2.8-1/640、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月15日、13時28分

 ランチセット(250NT$≒980円)を注文。牛肉麺・小籠包それとドリンク1本。ここは他に食堂がないので、やや高め。でもお味は優れておりました。お腹が空いていたので、麺に手を付ける前に撮影するのを忘れてしまい、途中で慌てて撮影したのですよ(^^;
<次回へ続く>
by fanseab | 2017-01-20 20:57 | グルメ | Comments(2)

台湾台東縣遠征記(16)シジミチョウ科その3

 最初はヤクシマルリシジミ(Acytolepis puspa myla)♂。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR、ISO=320、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、10時02分

 林道歩きの途中、暑さを覚える時間帯、やや日陰で静止している新鮮な♂。縁毛もバッチリです。次種ホリシャルリシジミが吸水集団を作っているのに対し、本種♂はテリ張り習性が強いためか、単独で潜んでいることが多いように思います。次は、ホリシャルリシジミ(Celastrina lavendularis himilcon)♂。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、13時30分

 集団吸水の個体です。鮮度はバラバラ。矢印は以前ご紹介したホリシャウラナミシジミ(Nacaduba beroe asakusa)♂。個体数が多いので飛翔も狙ってみました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F4-1/3200、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、13時36分

 ある程度、着地位置が予測できるので、置きピンも確実にでき、ノートリで収まりました。表翅は日本のルリシジミ(C.argiolus)に似た明るいブルー色です。外縁の黒縁取りが狭いことが本種♂の特徴でもあります。因みに台湾でもルリシジミは生息していますが、生息地は局限され、珍品扱いとなります。
 吸水集団の光景を動画でも撮ってみました。youtube動画でご覧下さい。

 野鳥の囀り、蝉の鳴き声、時折起こる風切り音、これらはもちろん意図して入れた訳ではなく、後から振り返ると情景が鮮やかに蘇ってきます。これが静止画と異なり動画ならではの臨場感なのでしょう。これでシジミチョウ科は終了。下記に今回遠征で撮影(観察)したシジミチョウ科全16種をまとめて示します。黄色字は初撮影種、赤字は観察のみ実施した種。

(1)シロモンクロシジミ    (Spalgis epius dilama
(2)タイワンウラギンシジミCuretis brunnea
(3)イラウラフチベニシジミ(Heliophoras ila matsumurae
(4)エグリシジミ    (Mahathala ameria hainani
(5)アマミウラナミシジミ(Nacaduba kurava therasia
(6)ホリシャウラナミシジミ(N. beroe asakusa
(7)シロウラナミシジミ(Jamides alecto dromicus
(8)ルリウラナミシジミJ. bochus formosanus
(9)ヒメウラナミシジミ(Prosotas nora formosana
(10)カクモンシジミ    (Leptotes plinius
(11)ヤマトシジミ    (Pseudozizeeria maha
(12)ホリイコシジミ    (Zizuna hylax
(13)タイワンクロツバメシジミTongeia hainani
(14)タイワンクロボシシジミ(Megisba malaya sikkima
(15)ヤクシマルリシジミ(Acytolepis puspa myla
(16)ホリシャルリシジミ(Celastrina lavendularis himilcon
<次回へ続く>
by fanseab | 2017-01-17 22:08 | | Comments(0)

台湾台東縣遠征記(15)シジミチョウ科その2

 シジミチョウ科の8種目は、ホリイコシジミ(Zizuna hylax)♂。

 +++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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GX7-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、12時10分

 この子に会うのは本当に久しぶりで、北タイで撮影(外部リンクして以来、何と10年振り(^^;
午前中に降雨が激しくなり、知本温泉街近くのコンビニで雨宿りがてらランチ休憩を取っておりました。昼過ぎに少し小降りになった際、駐車場脇の植栽にやって来たシーンです。前方に垂れ下がったアンテナが本種のシンボル。このアンテナのお蔭で可愛らしさが際立つシジミなのだと思います。
 次はタイワンクロツバメシジミ(Tongeia hainani)♂。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F8-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、8時41分
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/500、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、9時36分

 右手に今にも落石しそうな崖地を見上げながら、林道の左手傾斜地にある草地に見覚えのある裏面模様を持つシジミがおりました。タイワンクロツは初撮影ですが、Tongeia属であることは直ぐに分かりました。最近、愛知県で発生した話題になったムシャクロツバメシジミ(T.filicaudis mushanus)とは前翅中室基部に黒小斑が無いことで区別できます。因みにムシャは管理人未撮影。

 写真でお分かりの通り、もう少し新鮮な個体で撮影したいものです。なお、後翅裏面外中央斑紋列に橙色紋が混じっております。低温期型では、該斑紋列が全て橙色になることが知られており、5月中旬だと、まだ高温期型および低温期型の中間的な個体が出るのでしょう。撮影ポイントの風景もアップしておきましょう。
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TG2@4.5mm、ISO=100、F8-1/25、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、8時38分

 日本だと、林道脇の崖地は落石対策で直ぐにコンクリ吹付処理がされてしまいますが、台湾では、そこまで手が回ら無いのでしょう。崖地が自然状態で残されていて、クロツ発生ポイントが点々とあるように思います。念のため、ベンケイソウ類が生えているか、確認したところ、多肉植物(種未同定)が見つかりました。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/30、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、8時43分

 残念ながら、卵・幼虫等は発見できず。崖上方に目的のホストが生えているのかもしれません。
 10種目は、タイワンクロボシシジミ(Megisba malaya shikkima)。先ずは♂の吸水シーン。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=640、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、10時45分

 濡れた林道から吸水しております。縁毛もバッチリ揃った完品個体でした。次は初めて撮影できた♀吸蜜シーン。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/500、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、14時32分

 吸蜜している木本の同定はできておりません。♀と言えば、初めて産卵シーンにも出会うことができました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、9時05分

 知本森林遊楽區には薬草類を集めた植物園があって、その一角に植えられているトウダイグサ科・ツルアカメガシワ(台湾名:杠香藤、Mallotus repandus)で♀産卵をジックリ観察することができました。一心不乱に産卵していたので、広角撮影にもチャレンジ。
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GX7-Z12(トリミング)、ISO=200、F13-1/250、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、8時13分

 この絵のように葉の縁に掴まって、葉裏へ産卵するケースが多いように思います。次に産卵状況です。
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TG2@18mm-gy8、ISO=200、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、9時23分

 撮影のため、葉裏を立てています。この葉には矢印で示した4卵が産附されておりました。卵の超拡大像撮影にもチャレンジ。
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GX7-P1442@42mm-P14R(上段2コマ/下段3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F13-1/250、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、8時51分

 直径0.53mm、高さ0.21mm。ヒメシジミ亜科の卵に共通する網目構造を有しております。網目交点から伸びる突起が比較的長いことが特徴と言えましょう。
<次回へ続く>
by fanseab | 2017-01-09 15:24 | | Comments(4)

台湾台東縣遠征記(14)シジミチョウ科その1

 シジミチョウ科のトップバッターはシロモンクロシジミ(Spalgis epius dilama)。これまで知本温泉付近で♀を撮影済ですが、今回初めて♂に出会うことができました。

 +++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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GX7-Z60、ISO=200、F4.5-1/50、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、12時44分

 そろそろランチタイムにしよう・・・と公園のベンチに腰かけて一息付いている足元を見ると、地味なシジミが吸水しております。あやうく踏みつけるところでした。逃げる気配がないので、バリアングルモニターを使って地表面スレスレの構図を狙ってみました。新鮮なので、独特な質感を持つ本種翅面の特徴が出せたと思います。
 次は初撮影の台湾固有種、タイワンウラギンシジミ(Curetis brunnea)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、10時40分

 かなり遠目から狙ったショットなので、最初はタイワンウラギンかウラギンかの区別がつきませんでした。それにしても樹液から吸汁とは!! 国内外でCuretis属が樹液吸汁する姿を見たのはこれが初めて。ネットで調べてみると、何とブログ仲間のchochoensisさん(外部リンクが2009年4月にウラギン♀の吸汁シーンを撮影されていました。いずれにせよ、相当珍しい事例であることには違いないでしょう。

 さて、台湾にはウラギン(C.acuta formosana)とタイワンウラギンの2種が生息しています。翅表から区別するのが簡単ですが、裏面からでも何とか識別できそうですので、識別点を画像にまとめてみました(ウラギンは宜蘭縣で以前撮影した♂画像を使用、タイワンウラギンも翅形全体の特徴から♂と推定)。
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<裏面画像:ウラギンとタイワンウラギンシジミの識別点>
(1)後翅の翅形
 外縁部翅形はウラギンが第4脈(#1)および肛角部(#2)で突出し、全体として多角形状を呈す。反対にタイワンウラギンは丸みを帯びる。ウラギンでは#3で示した部分が直線状であることから、翅脈に相当する部分が僅かに突出し、波を打つ傾向が比較的顕著に出る。
(2)前翅の黒破線模様の平行度
 2種共に中央および亜外縁付近に細い黒色破線状紋が出現する。中央寄りの破線と亜外縁の破線を比較した時、ウラギンでは両者が前翅頂方向で交わる傾向が強く、タイワンウラギンでは比較的平行の傾向を示す。但し、この形質は個体差があるようで、鮮度が落ちると識別に使用できない。

 タイワンウラギン画像は、もう少し接近戦でまともな絵が撮れてから両種比較画像を作り直す予定です。
 3種目はイラウラフチベニシジミ(Heliophorus ila matsumurae)♀。
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D71K-34VR、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、9時10分
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D71K-34VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、9時11分

 これまで本種撮影はボロの♂のみ。今回やっと完品、かつ♀の撮影ができました。特別珍しい種類ではないのですが、意外と会えておりません。暗い林床に朝一番の陽光が差し込み、開翅日光浴している場面に出会えたのは幸い。でもすぐに翅を閉じてしまいました。
 お次はエグリシジミ(Mahathala ameria hainani)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/640、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、11時00分

 2011年に知本の林道で撮影済ですが、今回出会ったこの子はボロボロ(^^; 前回と併せ、このポイントでは個体数が少な目と推察されます。
 5種目はホリシャウラナミシジミ(Nacaduba beroe asakusa)♂。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=800、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月11日、16時33分

 雨上がりの林道上に落ちていた鳥の糞から熱心に吸汁する姿がありました。日本の南西諸島にも棲むアマミウラナミシジミ(N.kurava)が台湾全土に分布するのに対し、本種は台東県以南に限定されます。このため、台湾名は「南方波紋小灰蝶」と「南部」が強調されております。次は東南アジアの広域分布種でもあるヒメウラナミシジミ(Prosotas nora formosana)♂。
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GX7-Z60、ISO=400、F11-1/250、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、9時06分

 知本森林遊楽區のビジターセンター前で撮影中、朝一番の吸水活動をしている個体です。本種は昼過ぎから撮影の疲労が溜まって来ると、ハエみたいに感じられてレンズを向けません。朝一番、かつ綺麗な個体なので、丁寧に撮りました。真っ黒な眼の上下にある白い隈取が可愛いですね。また、別のポイントで開翅している♂個体に出会いました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、8時39分

 この子の開翅シーンは初撮影。鈍く紫色に光る表翅ですが、ちょっと草臥れた個体。しかし、気になったのは無尾であること。ひょっとして同属・無尾のオナシウラナミシジミ(P.dubiosa asbolodes)かな?と疑いましたが、裏面模様は完璧、ヒメウラナミそのものでした。
可能性としては、下記の二つ。
①無尾型のヒメウラナミ
 台湾産は基本有尾ですが、稀に無尾型が混じっていても不思議ではありません。
②単に尾状突起が擦り切れた
 いずれにせよ、ヒメウラナミは普段、まともにレンズを向けないだけに無尾型の存在確率については、興味ある調査対象です。

 7種目はカクモンシジミ(Leptotes plinius)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月15日、7時53分

 遠征最終日、台東飛行場近くの民宿付近を散歩しながらの撮影。マメ科の食草、恐らくタイワンヤマハギ(毛胡枝子:Lespedeza formosana)の周辺を活発に飛び回っておりました。ご覧のように頭が隠れたB級ショット(^^; 撮影後、この絵を良く見ると、花穂の付根に卵らしき物体(矢印)が写っておりました。もう少し真面目に観察すれば幼生期画像もゲットできたかもしれません。
 <次回へ続く>
by fanseab | 2017-01-04 22:15 | | Comments(0)

謹賀新年

 皆様新年明けましておめでとうございます。関東地方は昨年に引き続き、穏やかな元旦を迎えたようです。本年も拙ブログのご愛顧の程、よろしく申し上げます。コメントも沢山頂けると幸いです。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D7K-34、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2011年11月21日、11時04分、撮影地:台湾台東縣知本森林遊楽區

 さて、これまで新春恒例で開陳していた「撮らぬ蝶の翅算用」ですけど、今年は敢えて実施しません。昨年体調不良で懲りた体験から、翅算用などをせず、ノンビリと構えて蝶を探索することにします。ただ、おおまかな目標として、ここ数年来同様、「♀産卵シーン撮影」に注力して行きたいと思います。

 アップした画像は2011年の台湾遠征で撮影したツマベニチョウ(Hebomoia glaucippe formosana)♀の訪花シーン。ツマベニのように今年は力強く羽ばたきたいと思っております。
改めまして、本年もよろしくお願いします<(_ _)>
by fanseab | 2017-01-01 00:14 | | Comments(26)