探蝶逍遥記

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イタドリに産卵するルリシジミ(6月初・中旬)

 多摩川縁のマイポイントで、ヒメジャノメ♀を追跡していた際、林縁でルリシジミ♀が緩やかに舞っておりました。どうやら産卵モード。産み付けた植物は、タデ科のイタドリ(Polygonum cuspidatum)。その淡いベージュ色の花穂に多数の卵を産んでおりました。

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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時10分(6月初旬)
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時43分(6月中旬)
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時45分(6月中旬)

 1枚目に黄矢印で示した卵はどうやら、別の鱗翅類のものと推定されます。イタドリは既に1963年、ルリシジミの「新食草」として認定されています。文献(外部リンクを参照願います。

 上記文献によれば、「飼育時にイタドリの新芽と花穂を同時に幼虫に与えたところ、新芽は食わず、花穂のみ食した・・・」とあります。イタドリの葉・茎にはシュウ酸が多量に含有されており、昆虫の摂食には適さないのです。同属のヤナギタデ(P. hydropiper)には辛味成分のタデオナールが入っていたり、タデ科植物の多くは昆虫忌避成分を含有して、食害を防いでいるのです。『タデ食う虫も好き好き・・・』の諺にも謂れがあるのですが、ルリシジミ幼虫は有害成分含有の葉や茎をきちんと避け、花穂のみ食べる智慧者のようです。同幼虫はクララの花穂も食べる事例が知られていて、オオルリシジミ生息地ではホストの競合関係にあります。彼らは猛毒(キノリチジンアルカロイド)を含有するクララであっても、花穂の毒性は低いことを知っているのでしょうね。

 イタドリは河原の至る所に生えていますが、ルリシジミはやや暗い環境に生えている株を好むようです。産卵状況です。
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TG4@13.5mm(9コマ自動深度合成+トリミング),ISO=100、F4.2-1/80、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影:6月初旬

 少し見難いですが、矢印部に合計4卵確認できます。完全に花弁が開くと幼虫は摂食しないので、母蝶はまだ淡緑色の蕾を付けた花穂を念入りに選択し、産卵するようです。例によって、卵の超拡大像撮影にチャレンジ。最初はTG4にて。
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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影:6月初旬

 ルリシジミ卵は1mmを切るサイズですが、TG4は素晴らしい絵を叩き出してくれました。比較の意味で、マイクロフォーサーズによる超拡大システムでも撮影。なお、撮影した卵は↑とは別の個体です。
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GX7-P1442@42mm-P14R(上段4コマ/下段6コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F13-1/250、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影:6月中旬
 
 やはり専用システムでは、拡大率が高いこともあって、解像度には裕度があるようです。そこで以前、使用していたAPS-C一眼を用いた専用拡大システムも含めて、3方法の画質比較を行ってみました。
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上段のみD71K-85VR-24R(3コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F29-1/320、-1.7EV、外部ストロボ、撮影:2013年7月

 卵直径が同一サイズになるよう、各画像の拡大率を変えております。使用機材のセンサーサイズも記載しておきました。各オリジナル画像の拡大率は(1)>(2)>(3)の順に低くなるので、TG4は流石に解像度の点では少し苦しいことは否めません。しかし、コンデジ一丁で、ここまで解像できるのは素晴らしいと思います。20-30年前までは、一眼レフに重たい拡大ベローズを装着し、三脚でガッチリ固定しながら、ケーブルレリーズで息を潜めてシャッターを押していた光景が思い出されます。今はフィールドでポケットからサッとTG4を出して、気楽に卵拡大撮影ができるようになりました。将に隔世の感がありますね。
by fanseab | 2016-06-28 20:57 | | Comments(0)

アオフタスジアゲハ(仮称)

 5月上旬~中旬にかけて複数のアオスジアゲハを撮影しておりました。そのうちの一個体をパソコン上で現像している際、「おやっ!」と思う個体に目が釘付けになりました。それがこの画像。

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D71K-85VR,ISO=100、F7.1-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時06分(5月中旬)

 一見、何の変哲もないアオスジのハルジオン吸蜜シーンです。事実、管理人も撮影中は♂♀区別以外は特に注意も払わないでおりました。「おやっ!」と思ったのは前翅亜外縁に並ぶ白点列。「アオスジって、こんなに明瞭な点列があったっけ?」・・・。そう思い、いつも参考にしている学研の標準図鑑をチェックしてみました。26頁記載の画像[7-1]~[7-13]いずれの標本も裏面表示がなく、直接確認できませんが、上記点列はさほど明瞭ではありません。そこで、管理人が5月に撮影した3♀1♂合計4個体を比較してみました。
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D71K-85VR/34VR(トリミング)、撮影は5月中・下旬

 斑点列の発達具合に従って、それぞれ「グレードA~C」に区分してみました。今回提示「グレードA」個体は第4室まで明瞭な白色点列が出現し、第5室を飛ばして第6室にも微かに白色斑点が確認できます。経験上、よく見かけるのは、BおよびCもしくは♂個体で例示したレベル(第2・3室まで淡い白色班が出現)でしょうね。因みにグレードB個体に再度着目下さい。亜外縁班列は通常レベルですが、ハンキュウ型過剰斑(矢印)個体でもありました。さて、上記「グレードA」個体の表翅も撮っています。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=160、F7.1-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時07分(5月中旬)

 少し見難いですが、表翅にも裏面に呼応した点列があり、表翅は白色ではなく中央青色帯同様の青白色を帯びております。通常個体では、後翅表亜外縁には青色班列が並んでいるので、この班列が前翅まで伸び、まるで「青筋」が2列並んだような様相を呈しているのです。そこで、管理人は今回の異常個体に仮称:アオフタスジアゲハを献名したいのです。「フタスジアオスジアゲハ」でも良かったのですが、ちょっとくどい気がしたので・・・・。
 ところで、アオスジアゲハの異常個体としては、既に触れたハンキュウ型・エサキ型等々、過剰斑紋が一般的に有名です。これについては、下記サイトをご覧下さい。

アオスジアゲハの変異・異常型一覧(外部リンク)
 
 この一覧には驚くほど多数の変異・異常型が掲載されておりますが、この頁の4・5段目にある、①「ウスズミ型♀裏面(長崎県採集)」と②「エサキ型♀裏面(大阪府採集)」の画像にご注目下さい。なんと、当該外縁紋列が①では、第7室まで、②でも第6室そして一室飛ばして第8室にまで、きちんと伸びているではないですか!両個体は、管理人が今回提案した「グレードA」を超える、『グレードAA』レベルの個体。うーん、上には上がいるもんですねぇ~!

 ところで、世界には、もっと凄いレベルの個体がいるのですよ。ご存じの通り、アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)は東南アジア各地に棲む広域分布種です。その仲間、パプアニューギニア東部・ソロモン群島に棲む「イサンデルタイマイ(仮称):G.isander」は、将に今回管理人が提案した、「アオフタスジアゲハ」そのものズバリの顔付きをしております。下記サイトをご覧下さい。

日本蝶類学会ブログ(外部リンク):アオスジアゲハとその近縁種(その1)

 ご覧の通り、第7室まで、きちんと青紋列が伸びております。中央青色帯が種sarpedonよりも細いので、亜外縁青紋列がより強調される感じですね。それと明確な「ハンキュウ型」個体でもあります。但しisanderにおいては、これは過剰紋ではなく、常時出現するのでしょう。
 上記ブログにも書かれている通り、昔はsarpedonのソロモン諸島亜種isander扱いだったものが、最新の交尾器再検証・DNA解析で独立種に昇格した経緯があります(参考文献※1)。
 ついでに、手持ちの塚田図鑑(参考文献※2)で種sarpedonの図版を眺めてみると、残念ながら当時亜種扱いのisanderについて、標本図示はありません。代わりに注目すべきは、当時塚田&西山が記載したスラウェシ中央部亜種textrixの図版(Plate141-6♂)です。この子の雰囲気はisanderそっくりで、前翅亜外縁青白班は、第7室まで延びており、isander同様、「グレードAAA」級品と言っていいでしょう。因みにtextrixは上記文献※1で同様にrevisionを受け、G.antheon monticolus(Fruhstorfer,1888)とタクサが変わりました。

 さて最近、東京オリンピックのエンブレム問題でグーグル画像検索の凄さが改めて話題に上りました。で、管理人もググって「グレードA超え」品を確認してみました。すると・・・、やっぱりありました。crysozephさん(外部リンクが撮られた5枚目の画像は、「グレードAA級」ですね。
 読者の皆さんも、一度ご自分のアオスジ過去撮影画像をチェックしてみることをお勧めします。案外、種isanderレベルの「グレードAAA級大珍品」が記録メディアに眠っているかもしれませんよ!

<参考文献>
※1 M.G.P.Page and C.G.Treadaway,2013. Stuttgarter Beiträge zur Naturkunde A,Neue Serie 6:223-246.
※2 塚田悦造・西山保典,1980.図鑑東南アジア島嶼の蝶、第1巻アゲハチョウ編、プラパック、東京.
by fanseab | 2016-06-22 21:37 | | Comments(6)

ヒメジャノメの交尾・産卵(5月下旬他)

 ヒメジャノメ第1化の個体数が増加してきた先月下旬、多摩川縁を探索してみました。予想通り沢山の個体が林床に集結しておりました。ふと、足元を見ると何と!いきなり交尾ペアに遭遇しました(上が♀)。

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D71K-34VR,ISO=200、F7.1-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時38分(5月下旬)

 恐らく管理人にとって初撮影。♂♀でのサイズ差がよく分かる画像になりました。この直前、ペアにちょっかいを出す♂がおりました。
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D71K-34VR,ISO=400、F9-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時35分(5月下旬)

 この時のショックでペアは飛び立ち、一枚目の絵を撮影した経緯がありました。実は、2014年にヒメジャノメの交尾ポイントと2mも離れていない場所で、ヒカゲチョウの交尾(外部リンクも観察しております。ここは蛇目蝶♂達にとって、「大願成就」する聖地なのでしょう。
 6月に入ってから、♀産卵シーンにもチャレンジ。過去2回、9月下旬の第2化で撮影を試みており、第1化での撮影は今回初トライになります。参考までに過去記事は下記。

(1)2012年(外部リンク)
(2)2014年(外部リンク)


 産卵時間帯は正午以降と推測し、林床に待機して♀が「産気づく」タイミングを計ります。13時35分過ぎ、1頭の♀が動き始めました。地上高約30cmを保ち、小刻みに翅を振りながら、ゆったりとホストを探索していきます。最初のチャンスはアズマネザサ葉裏への産卵。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時39分(6月上旬)

 ヒメジャノメの産卵は通常地上高15cmほどのかなり低い位置になされますが、この時は地上高70cm。葉被りも無い絶好の状況でしたが、右側に回り込む時間が無く、腹端までの写し込みができませんでした。次に産卵状況。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時45分(6月上旬)

 TG4での拡大像も撮影。
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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時30分(6月上旬)

 表面網目模様の描出が上手くできておらず、リング状ディフューザーの欠点である、ドーナツ状偽構造が出たB級画像ですね。光沢のある卵撮影は上記欠点を隠すため、相当神経を使います。
 さて、最初の産卵シーンに満足できなかったので、後日リベンジマッチ。今回もアズマネザサ葉裏でしたが、葉被りを避けるため、上方から狙うしかありません(^^;
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時46分25秒(6月中旬)

 この21秒後に再度チャンスが。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時46分46秒(6月中旬)

 しかし、今回は産卵後、腹端を離した場面で、シャッターチャンスが遅れてしまいました。なかなか思い通りに撮らせてくれません。更にこの♀個体を追跡し、ようやく背景光、構図も理想通りの絵が撮れました。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時46分46秒(6月中旬)

 こちらはアズマネザサではない、イネ科の草本(種類不明)。しかし、母蝶が去った後、裏面を確認すると卵は無く、どうも産卵を回避した模様。なので、上の絵は「産卵シーン」ではなく、「産卵行動シーン」に格下げです(^^;

 今回観察した♀2個体は明らかに13時40分頃に「産気」付いておりました。ところが、林床を覗いてみると、この時間帯に全く動く気配の無い♀個体を数頭確認しております。どうやら産卵時間帯に相当の個体差があるように思えました。
 一方、ヒメジャノメ発生から少し遅れて発生するヒカゲチョウの場合は、午後3時過ぎ、複数の♀が一斉に産卵を始める行動を良く観察しております。まるで、「産卵祭りだ!それ行けワッショイ、ワッショイ・・・♪♪」とお祭り騒ぎのような時間帯があるのです。それに比べると、ヒメジャノメ♀の行動パターンは非常に読み難いですね。
by fanseab | 2016-06-17 22:56 | | Comments(0)

ミドリシジミの卍飛翔(6月上旬)

 昨年もミドリの卍にトライしましたが、上手く撮れておりません。今回はリベンジマッチ。気合を入れて2日間連続で川崎市内のポイントへ。閉翅・開翅は一切無視して、ひたすら卍飛翔開始時刻まで待機します。初日は16時頃からスタート。しかし、卍に気が付くのが遅く、更に置きピン設定値と実感覚にズレがあり、ピンボケの連続(^^; 17時頃からは卍形成ペアの数が増加しますが、一方、目線付近以下まで降下してくれるペアの数は逆に減少し、苦労させられます。それでも2日間粘ったせいで、何とか昨年よりまともな画像をゲットすることができました。最初は今回撮影分のベストショット。

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D71K-20,ISO=500、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時28分

 2頭のピントがまずまずで、両者共に金緑色の輝きを出すことができました。次はセカンドベスト。
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D71K-20,ISO=500、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時32分

 背景のハンノキ林が写って、環境描写としてはベスト。3枚目は1枚目の直前に撮ったコマ。
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D71K-20(トリミング),ISO=500、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時28分

 両個体が各々裏面と表翅の組合せでは、双方にピントを合わせるのが難しいですね。裏面の個体(手前)はジャスピンですが、向こう側は明らかに前ピンです。4枚目は緑色の輝きとしてのベストショット。
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D71K-20(トリミング),ISO=500、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時28分

 左下個体のメタリックな輝きとピントはベストの出来栄え。卍の相手は画面右上端にかろうじて写っております。もう少し右上個体が左下個体に接近しておれば、より迫力が出たと思います。5枚目は4枚目撮影直後のコマ。
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D71K-20(トリミング),ISO=500、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時28分

 1頭のみしか写っておりませんが、翅を打ち下ろした瞬間の絵は動感が増して好きですね。今回は久しぶりの「APS一眼+広角」の組合せでの撮影。やはりマイクロフォーサーズ超高速連射法に比較すると、トリミング時の粒状性荒れが目立たず、当面この手法を手放す訳にはいきません。
 なお、2日目には撮影仲間のGarudaさんもお見えになっていて、暫し蝶談義をしながら一緒に楽しく撮影できました。Garudaさん、色々と有難うございました。
by fanseab | 2016-06-15 20:33 | | Comments(2)

ダイミョウセセリの産卵(5月下旬)

 ウスバシロ産卵シーン現場で同時にダイミョウセセリ第1化♀も産卵しておりましたので、狙ってみました。最初は♀の飛翔シーン。

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GX7-Z12,ISO=400、F5-1/3200、撮影時刻:11時46分

 ダイミョウ♂の占有飛翔はスピードが速いので結構難しい対象です。ただ、♀のホスト探索→産卵の際は、ホバリングをするので、かなり楽です。ここでは思い切って置きピン20cmでトライし、迫力が出ました。母蝶の背景にヤマノイモ属の茎と若葉が写っており、母蝶の右上葉上には既に産卵された1卵が確認できます。

 産卵シーンは数回チャンスがありました。最初は茎上に産んだ珍しい場面。
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D71K-85VR,ISO=400、F10-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時36分
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D71K-85VR,ISO=400、F10-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時36分

 これまで管理人はダイミョウの産卵は何度も観察しておりますが、葉上ではなく、茎に産み付けたのは初体験です。若葉が未だ少ない状態の株だと、茎に産まざるを得ない場合も多いのでしょう。茎上に産まれた卵の拡大像です。
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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング)、ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時53分

 母蝶腹端の毛で隠蔽工作された状況がよく分かります。↑の飛翔画像に写っている1卵の横に母蝶がもう1卵産み付けました。その拡大像がこちら。
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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング)、ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時49分

 画面向こう側の卵が新規に産み付けられたもの。結果的に2卵塊の様相を呈しています。このようなダイミョウの卵塊も今回初めて確認しました。この場合、先に孵化した初齢幼虫がこの葉で巣を造り、後で孵化した子は、巣作りの葉を求めてウロチョロしなければなりませんね。
 2個目の卵を産み付けるまでの様子を動画にまとめてみました。下記youtube動画でどうぞ。画面中央の再生マーク(3角印)をクリックすると再生がスタート。再生後、画面右下の「youtube」ボタンを押すと、youtubeサイト上での大画面再生が可能です。



 動画の前半は産卵する葉に着陸するまでを40コマ/秒で高速連射した絵をスライドショー化したもの、後半は動画で、最後に2卵塊の拡大像でまとめております。12mm広角レンズで高速連射した後、そのまま動画撮影に移行しています。腹端をグルグル回しながら隠蔽工作する様子はやはり広角ではちょっと分かり難いですね。できれば、60mmマクロで描写すべきでした。これは次回以降の宿題です。
by fanseab | 2016-06-13 20:15 | | Comments(4)

TG-4による超拡大撮影法

 オリンパス社から発売されているコンパクトデジカメ:TG-4は大変個性的なカメラで、管理人も愛用しております。最近、①ファームウエアバージョンアップデート(ver.2.0)が実施され、同時に②内蔵フラッシュ専用ディフューザー「FD-1」(以下FD1と略)が発売されました。この組合せにより、マクロ撮影時の深度合成機能が遥かに手軽に実現できるようになりました。詳細は下記、オリンパス社サイトにある

海野さんのレビュー記事(外部リンク)をご覧下さい。

 この記事を読んで、早速、管理人もFD1を購入し、ファームウエアアップデートを実施いたしました。しかし、実際にトライしようとしたら難問にぶつかりました。上記、海野さんの記事では、
『新しいファームのTG-4は、フラッシュ光の補正と露出補正を別々に設定できる』
と書かれております。しかし、撮影メニュー「アクセサリー」画面上でFD1を選択し、顕微鏡モードで、深度合成(テントウ虫マーク)しようと思っても、フラッシュ光/カメラ露出補正共に「機能しない」状態になり、焦りました。「なんだ、話が違うじゃないか!騙されたのか?」と思い、もう一度、海野さんのレビュー記事を読み直しました。

 そこには、『新しいファームのTG-4には、フラッシュのスレーブモードが加わった。これは深度合成モードで、FD-1を使う際に便利なモードだ』と書かれております。そこで上記アクセサリーメニューを再度眺めて、ハッと気が付きました。リモートフラッシュを「スレーブ」に選択すると、あら不思議、海野さん記事記載通りの機能が実現できました。
 恐らく、深度合成撮影目的で、勇んでFD1を購入されたユーザーの方も、同様に疑問を持たれたことでしょう。事実、拙ブログ愛読者の方からも関連質問が寄せられました。FD1に同梱されている説明書はお粗末な代物で、撮影手順は全く記載されておりませんし、オリンパス社サイトQ&A集にも触れられておりません。これではユーザーが迷うのも当然でしょう。そこで、老婆心ながら今回、FD1の使い勝手を含めて記事にまとめてみた次第。

(1)FD1使用による深度合成法
 FD1を装着したTG4の全景を紹介します。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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GX7-Z12,外部ストロボ

 矢印部分には内蔵フラッシュ導入光を2段階に調整可能な遮蔽版が付いており、きめ細やかな光量調整ができる工夫がされております。先ず、「撮影メニュー2」画面で、「アクセサリー」を選択します。
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GX7-Z12,外部ストロボ

 次に、「アクセサリー」画面で、「リモートフラッシュ」を「スレーブ」に設定、「FD-1」を「On」に設定。
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GX7-Z12,外部ストロボ

 これで、メニュー設定は完了。頻繁に深度合成を実施するユーザーは、「カスタム設定」を「C1」か「C2」で登録しておけば、直ぐに撮影設定条件がセットされるので、便利です。通常、レンズズームノブで、テレ端(T):X4.0表示がある側に設定します。これ以上のデジタル拡大も可能ですが、手振れ防止の観点からは、テレ端で止めておくのが無難でしょう。今回のファームウエアアップでは、上記設定完了で、自動的にISO=100に設定、絞り値も4.9に自動設定されます。またシャッタースピードも1/100sec.が切れるレベルになります。高感度特性に劣るTG4の場合、超拡大撮影をISO=100で実施することは大変重要です。また、手振れ補正が付いているとは言え、1/20sec.程度の低速シャッターでは深度合成エラーになるケースが多いので、1/100sec.のシャッター速度は必須とも言えます。後は、実際に対象を撮影し、モニターでフラッシュ・外光両光量の按配を勘案し、フラッシュ/本体双方の露出補正を実施し、好みの絵に仕上げていくだけです。

 カメラ側で自動撮影する深度合成モードは、全部で9コマを約1秒間隔で撮影していきます。この時、ビックリしたのは、内蔵フラッシュも同間隔でシャッターと同期して発光する点。これが今回ファームウエア更新中、最大の革新点だと思います。通常内蔵ストロボを1秒程度の短時間間隔で発光させると、ストロボ用コンデンサーの充電機能不足により、発光を一時停止するか、電池の消耗が激しくなるはずです。ところが、今回の改良で、恐らく内蔵ストロボの発光量制御も同時に実施して、上記コンデンサー・電池双方の負担を軽減し、連続9コマ発光撮影を実現したのだと思います。
 先日撮影したコジャノメ2卵塊の画像事例をご紹介しておきましょう。
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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング)、ISO=100、F4.9-1/100、内蔵ストロボ

 光沢のある対象を撮影する場合、FD1のようなリング状ディフューザーでは往々にして、対象表面にドーナツ状パターンが出現して不自然な絵に成りがちです。しかし、TG4の内蔵フラッシュの位置がカメラに向かって右側に偏位している関係上、ドーナツパターンが目立たず、自然な絵に仕上がっているのが素晴らしいです。コジャノメ卵表面の網目構造も綺麗に表現できております。

(2)LEDライトガイド「LG-1」(以下LG1と略)による深度合成

 本付属品はTG4の内蔵LEDディフューザーとして既に発売済です。本来の使い方は内蔵LED光のみで、撮影するのですが、管理人は何とかこれを内蔵フラッシュでも使用可能とするべく、自己責任で改造を加え、これまで愛用してきました。その全景がこれ。
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GX7-Z12,外部ストロボ

 市販品を装着したままの状態では、強烈なストロボ光が白破線で示したように、ライトガイドの外に漏れ出し、照明が不均一になります。そこで管理人は黒色ゴムバンドを装着して、漏れ光を遮断して使用しておりました。LED光に比較すると、明らかに豊富な光量が得られて重宝していたのですが、流石に内蔵フラッシュ専用ではないので、フラッシュ光の拡散状況に不満が残るものでした。今回のファームウエア変更では、FD1と同様な設定にすれば、LG1を装着した状態でもFD1と全く同じ深度合成撮影ができるのです。
 もちろん、本来の使い方、つまりLED光をLG1で拡散光源として深度合成も可能です。

(3)各手法による像質比較。

 先だってご紹介したウスバシロチョウ卵を対象に、複数手法で撮影した画像の像質比較をしてみました。全て手持ちでの撮影です。
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(1) TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング)、ISO=100、F4.9-1/100、+0.3EV、内蔵ストロボ(2) TG4@18mm(6コマ深度合成+トリミング)、ISO=100、F4.9-1/15、-0.7EV、内蔵ストロボ(3) TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング)、ISO=1250、F6.3-1/100、-0.7EV、内蔵LED(4) GX7-1442@42mm-P14R(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F13-1/250、外部ストロボ

 像質の基準はこれまで愛用してきたマイクロフォーサーズでの専用拡大システム(4)の画像です。結論から言えば、今回のTG4+FD1の組合せで、全く同等、むしろ今回の比較では(4)を凌駕する出来栄えになっております。条件(2)の像質も文句ないのですが、シャッタースピードが1/15sec.で手振れも影響して自動深度合成は殆ど失敗してしまいました。仕方なくブラケットモード(BKT)で10コマ撮影し、そこから任意の6コマを抜き出して深度合成ソフトでマニュアル合成しております。一方、内蔵LED光で撮影した(3)では、カメラが自動で手振れ補正回避する関係上、ISO=1250になってしまい、ノイズ低減画像エンジンが働いたためか、塗り絵のような気持ち悪い仕上りになっています。
 結局、蝶の卵超拡大撮影に関しては、殆どの対象でTG4を使えば事足りると思わせる結果になりました。例外は卵直径が1mmを切る一部のシジミチョウでしょう。その時は従来の拡大システムを使用していきたいと思います。

(4)TG1~TG3へのFD1の装着

 オリンパス社のサイトによれば、製造中止したTG1、TG2、TG3にもFD1は装着可能です。但し深度合成機能が可能なTG3では、TG4で実施されたファームウエアアップデートはされておりません。従って、(1)で詳述した撮影法が不可能です。TG3/TG4はメカ的に大幅な変更はないので、恐らくTG3のファームウエアアップデートは同社開発陣にとっては容易い作業だと推察します。しかし、営業戦略上、敢えてアップデートをしない方針なのでしょうね。慌ててFD1を購入したTG3ユーザーが不満を抱えるのは目に見えています。『悔しければ早くTG3からTG4へ買い換えて下さい』との意図が見え見えですね(^^)

 それはともかく、今回のTG4/FD1システムの出来栄えには海野さん以外のプロ昆虫写真家も絶賛しております。恐らく海野さんが専任アドバイザーとしてFD1開発に深く係わったのだと思います。しかし、プロ写真家の様々なリクエストを市販コンデジで具現化するためにはコスト上の様々な難題があったと推察します。それを克服して商品化までこぎつけた同社開発・製造・営業陣の英知・英断に心から拍手を送りたいと思います。同社が誇る顕微鏡を含めたマクロ・接写撮影分野での長い歴史・ノウハウ蓄積が結実した成果なのでしょう。
by fanseab | 2016-06-06 20:51 | 機材 | Comments(6)