探蝶逍遥記

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年の瀬のご挨拶(2014年レビュー)

 今日は大晦日。本年最後の記事更新は恒例の今シーズンの総括です。本年も年初に「撮らぬ蝶の翅算用」を宣言し、「産卵シーンに拘る」撮影を実施してきました。昨年は合計5科38種を撮影できましたが、本年は5科34種にトライしたものの、撮影成功種は14種に留まりました。このうち、産卵行動初撮影は僅かに2種(^^; 結構難易度高い種類にもチャレンジしたため、致し方ないかな?と納得しております。以下に探索した種名リストを列挙します。撮影に成功した種名(黄色字)をクリックすると関連記事に飛びます(リンクが張っていない種は記事にしておりません)。産卵行動初撮影種は赤字で表示しております。お暇な方はご確認下さい。

<アゲハチョウ科>:下記3種
(1)ウスバシロチョウ
(2)キアゲハ
第1化
第2化
(3)アオスジアゲハ

<シロチョウ科>下記2種
(4)ヒメシロチョウ
(5)キタキチョウ

<シジミチョウ科>下記8種
(6)ウラゴマダラシジミ
(7)ミズイロオナガシジミ
(8)アカシジミ
(9)ウラナミアカシジミ
(10)キリシマミドリシジミ
(11)ヒロオビミドリシジミ
(12)サツマシジミ
(13)アサマシジミ(エビラフジ食い)

<タテハチョウ科>以下14種
(14)ヒョウモンチョウ
(15)ミドリヒョウモン
(16)メスグロヒョウモン
(17)コミスジ
(18)ホシミスジ
(19)フタスジチョウ
(20)コヒョウモンモドキ
(21)
アカタテハ
(22)オオムラサキ
(23)アカボシゴマダラ(外来種)
(24)キマダラモドキ
(25)ヒカゲチョウ
(26)サトキマダラヒカゲ
(27)ヒメジャノメ

<セセリチョウ科>以下7種
(28)ダイミョウセセリ
(29)ミヤマセセリ
(30)ギンイチモンジセセリ
(31)アカセセリ
(32)キマダラセセリ
(33)イチモンジセセリ
(34)ミヤマチャバネセセリ

 今シーズン一番悔しい思いをしたのは、普通種のキマダラセセリ。第1化、2化合計10回ほど多摩川縁を彷徨いましたが、産卵行動を目撃したのは僅か一回のみ。彼女達の行動パターンを未だ把握できておりません。来シーズン、リベンジ対象の最右翼種であります。
 この他、来シーズンも、今季失敗種を中心にトライしていきたいと思います。画像が全くないのも寂しいので、ターゲット種ではなく想定外の撮影に成功したウラゴマダラシジミの産卵シーンを再掲載しておきます。
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D71K-34、ISO=200、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2014年6月13日、14時15分(撮影地:山梨県敷島市)

 本年も拙い記事にお付き合い頂き、多くのコメントを頂きました。本当に有難うございました。それでは皆様、よいお年をお迎えください♪♪
by fanseab | 2014-12-31 09:42 | | Comments(4)

ヒメクロホウジャクの飼育メモ(蛹化まで)

 秋期に実施した鱗翅類飼育メモの第3弾です。今回はスズメガ科のヒメクロホウジャク(Macroglossum bombylans)。10月初旬、午後1時半頃、横浜市郊外の里山公園でホウジャク類♀の産卵シーンを偶然目撃しました。悔しいことにカメラを車に置いたままで産卵シーン撮影には失敗(^^;
 産卵植物はアカネ科のアカネ(Rubia argyi)でしたので、当初は絶滅危惧Ⅱ類(VU)のスキバホウジャク(Hemaris radians)と誤認しましたが、飼育が進んで終齢幼虫になった段階で、普通種のヒメクロと判明し、ちょっとガックリ。それでも蛾類で卵から蛹までのフルステージ飼育を手掛けたのはこれが初。貴重な体験となりました。最初は産卵状況。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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GX7-Z60、ISO=400、F7.1-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日:10月7日

 アカネの新芽に多くの卵を産みつけておりました。とりあえず2卵を採卵。次に拡大像。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段4コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F16-1/250、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+スレーブ2灯、撮影月日:10月10日

 長径1.2mm、短径1.1mmの楕円形で、高さ0.96mm。ナミアゲハと変わらぬ大きさで、成虫の開翅長に比較して相当デカイ卵です。表面は微細な凹凸がありますが、ほぼ平滑でPapilio属の卵に類似した雰囲気。10/11に2卵ほぼ同時に孵化。初齢幼虫です。
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D71K-1855改@35mm(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月13日

 体長7.4mm(尾角含まず)。頭部は模様が無く黄色、胴体も無紋でやや黄色味を帯びた緑色。尾角は漆黒。10/14に2齢。
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D71K-1855改@18mm(トリミング+上段2コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=200、F9&13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月17日

 体長12mm(尾角含まず)。頭部がやや緑色を帯び、胴体全体に伸びる白い側線が目立ちます。尾角は相変わらず漆黒。2齢途中で当初採取したアカネを食い尽くしたので、代替ホストとして記録のあるアカネ科のヘクソカズラを与えましたが、全く見向きもしません。仕方なく、採卵した里山公園に出向いてアカネを探索しましたが、「西向きで日当たりが良く、かつ水はけの良い急傾斜地」以外には生えておりません。分布はかなり局地的なので、この植物をホストとする鱗翅類はホスト確保で厳しい競争に晒されるものと思われます。葉を摂食中の2齢幼虫です。
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D71K-1855改@18mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月17日

 アカネは茎の長さあたりの葉の面積が小さく、幼虫は葉だけでなく茎も食べ尽くすのが特徴です。#1個体は10/19に眠、翌20日に3齢へ。#2個体は一日遅れて21日に3齢へ到達。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月21日

 体長は30mm。背面側および側面側にも2本の白色条線が走り、尾角は紺色へ変わり、その先端は黄色味を帯びています。頭部も緑色地色に淡緑色の縦線が入ります。#1は10/22に眠、10/24へ4齢(終齢)に到達。#2は10/25に4齢へ。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=160、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月26日

 体長は31mm。最終的には40mm程度まで成長しました。全体的な特徴は3齢とさほど変化はありませんが、頭部の地色がブルーに変わり、縦線が淡緑色から黄色に変化しております。また中胸・後胸部白色側線部がバラの棘のように上部に突き出る特徴があります。
 ここで初齢~4齢までの頭部性状の変化をまとめておきます。拡大倍率は各齢バラバラで縮尺は任意です。
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 なお終齢末期の食欲は大変なもので、あっという間にアカネを食い尽くすのでハラハラさせられました。#1,2共に下痢便を出した後、10/31に前蛹になりました。実はスズメガ類の蛹化は土中でなされることが多いことを知っていたのですが、飼育のノウハウは無知でした。そこで丁度10/18に開催された「日本鱗翅学会関東支部秋のつどい」で蛾類研究の大御所、K氏に教えを乞いました。すると「泥を使用せずとも新聞紙で代用可」とのご宣託。繭形成に支障がないよう、新聞紙を短冊状に切断し、これを食草のアカネに混ぜて、飼育用プラケースに敷き詰めました。#1、#2の繭形成の状況です。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 #1はほぼアカネの葉を綴り、#2は短冊状新聞紙を綴って繭形成をしております。#1個体繭の拡大像です。
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D71K-85VR(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 茶褐色の糸は結構頑丈です。慎重に繭を切断して#2の前蛹を撮影。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 体長29mm、蝶の前蛹と同じく体色は透明感が増し、白色側線も目立ちません。尾角を体軸に平行にしているのは蛹化時の脱皮を容易にするためでしょうか? 11/3に#1,#2共に蛹化。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月7日

 体長は31mm。側面から眺めた時、頭部が坊主頭のように球形をしているのがユニークです。少し刺激を与えると尾部を左右に振るのはPapilio属の蛹などと同じですね。この後、自然状態と同じく来春羽化させるため屋外に蛹を放置することにしました。プラ容器から蛹を取り出し長方形プランターに移し替え、泥の代替品として短冊状新聞紙を敷詰め、ネットでプランター上部を被せて外敵侵入防御用としました。
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TG2@4.5mm、ISO=100、F2.8-1/125、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影月日:11月7日

 これを半日陰の場所に冬期間放置することにしました。果たして来春上手く羽化することができるのでしょうか?第1化の時期が全く不明なので、3月以降、こまめにネットを外して確認する必要があります。
 ヒメクロホウジャクの次は、できれば貴重種のスキバホウジャクにもトライしたいものです。
by fanseab | 2014-12-28 22:05 | | Comments(4)

日本チョウ類保全協会企画展のご案内

12月21日まで、本記事をトップページに配置します。
本文記事は本記事の後にあります
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 毎年恒例の企画展のご案内。早いもので、この展示会も今回で8回目の開催となります。
関東地方以外の読者の方は訪問が厳しいかもしれませんが、皆さま是非お誘い合わせのうえ、ご来場を期待しております。

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・企画展テーマ:【チョウに親しむ展示 写真・絵・パネル】
        チョウが消えてゆく~絶滅の危機にあるチョウを守る~
        
・日 程: 2014年12月16日(火)~ 12月21日(日)
・時 間: 9:00~16:30 (最終日は15:00まで)
・会 場: 新宿御苑インフォメーションセンター内「アートギャラリー」(新宿門左側:外部リンク)
      
      ・入場料: 無料

・内 容: チョウの保全に関するパネル、会員によるチョウの生態写真、絵画、工芸作品など
     「フィールドガイド日本のチョウ」「ニューズレター」「素敵な蝶のピンバッチ」の見本展示

                      
・ミニ講演会

 12月20日(土) 
        1 回目 11:00 ~ 11:30 絶滅危機のチョウを守る
        2 回目 13:00 ~ 13:30 アゲハチョウの生活  
        3 回目 15:00 ~ 15:30 チョウの保全活動地訪問
 12月21日(日) 
        1 回目 11:00 ~ 11:30 絶滅危機のチョウを守る
        2 回目 13:30 ~ 14:00 チョウの写真撮影法  

・会場アクセス: JR・京王・小田急線:新宿駅南口より徒歩10分
         東京メトロ副都心線:新宿三丁目より徒歩5分
         東京メトロ丸の内線・都営地下鉄新宿線:新宿御苑駅より徒歩5分

★★ 12/22追記 ★★

 展示会は12/21で無事終了。詳しくは日本チョウ類保全協会の公式ブログ(外部リンク)
に近々に掲載されるものと思います。写真展示の様子と展示会終了後に行われた恒例の懇親会(兼忘年会)のスナップを貼っておきましょう。
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 懇親会では皆さん今年の自慢話に花が咲きました。また、今回は飛び入りゲストで、台湾師範大学・徐堉峰教授(日本蝶類学会副会長:写真矢印)も参加されました。小生も折角のチャンスなので、先生から台湾蝶情報をしこたま仕入れることができ、大変コスパに優れた懇親会となりました。
by fanseab | 2014-12-21 15:00 | | Comments(4)

ダイミョウセセリの飼育メモ

 秋口に実施した飼育メモの第2弾です。横浜市内の里山公園を散歩中、ヤマノイモ(※)葉上にダイミョウの巣を発見しました。
※恥ずかしながら、ヤマノイモとオニドコロの区別がつきかねていますが、ここでは「ヤマノイモ」としておきます。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/80、-0.3EV、撮影月日:9月27日

 この時点では幼虫の齢数が不明でしたが、飼育の結果、この時点で2齢の巣(矢印#1)と推定。同じ葉の上部(同#2)に孵化殻が見えています。以下、飼育には全てヤマノイモを使用。9/29に3齢になりました。
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D71K-1855改@24mm(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月29日

 体長は3.1mm。3齢到達直後の幼虫巣の様子です。
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D71K-1855改@18mm、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月29日

 巣の脇に脱皮した2齢時代の頭殻(矢印)が残っています。その後、幼虫は古い巣(矢印#2)を放棄し、新規な巣(同#1)を造りました。
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D71K-85VR、ISO=200、F13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月2日

 10/4に4齢到達。
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D71K-1855改@24mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月5日

 体長は11mm。頭部が肥大したため、ずんぐりむっくりの体型に変化してきました。10/10に5齢到達。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月13日

 体長20mm。頭殻は黒色から赤褐色に変化しました。胴体全体に粉を吹いたような黄白色の微小斑点が散布されています。ここで3-5齢の頭部正面を比較してみました。
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D71K-1855改@55mmおよびD71K-85VR

 3-4齢はほぼ黒一色、5齢も赤褐色に変化しただけで、特有の斑紋もなく、あまり特徴の無い顔相ですね。10/18に前蛹になりました。先ずは巣を開封前に撮影。
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月18日

 2枚の葉を綴って造巣しております(矢印が前蛹)。巣を開封してみました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月18日

 体長は17mm。他の蝶同様、透明感が増し、終齢幼虫で目立っていた黄白微小斑点も消失しております。この後、再度巣を造り直し、10/19に蛹化。
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月21日

 開封状態での蛹化を嫌うのでしょうね。再度開封して蛹を撮影。
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D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段4コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月21日
  
 体長18mm。独特の斑紋を持つ蛹の姿です。ダイミョウの飼育はこれが2回目ですが、この蛹の斑紋見たさに再飼育を試みたと言っても過言ではありません。近縁のTagiades属の蛹も同種の模様を有するらしいので、機会があれば撮影してみたいものです。蛹化から12日後にふと蛹を見ると十分に黒化しており、腹節も緩んで羽化間近を告げていました。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月31日

 翌日、無事♂が羽化いたしました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 完璧な関東型ですね。今回も羽化の瞬間は見逃しました。かなり寒くなってから放蝶するのも可哀想ですが、いつもの通り屋外に逃がしてやりました。今回の飼育では初齢・2齢幼虫の姿を撮影しておりません。フルステージ画像取得のため、来シーズン当該再撮影を計画しております。
by fanseab | 2014-12-17 21:38 | | Comments(4)

2014年版・アカボシゴマダラ第4化の発生状況

 拙宅庭のエノキで発生している首題種の定点観測です。
今年は9月中・下旬に発生する第3化の個体数も多かったことから、拙宅庭にも比較的多くの産卵が見られました。孵化した幼虫は概ね10月中に蛹化し、11月から断続的に第4化品の羽化を確認できました。以下、11月以降の発生記録です。

11/1   1♂
11/4   2♂1♀
11/13   1♀
11/15   1♂
11/27 1個体(性別不明)
12/2   1♂1♀

 拙宅庭における最遅羽化記録は2010年の12月2日。奇しくも今回は同月同日の羽化で記録更新はなりませんでした。今回の12月2日羽化の♂は11月2日蛹化品で、蛹期はこの時期通例の1ヶ月。拙宅庭には二箇所のエノキがあり、定点観測をしている樹高2.5mのエノキには短角型4齢幼虫が付いておりましたが、この子は丁度12月2日に地表に降りました。また、樹高1mのエノキに付いていた3頭の短角型幼虫は12月11日現在、1頭がまだ葉上に残り、残り2頭は葉から離れて、幹の枝分岐に巻き付いております。無事越冬できるといいのですが・・・。ここで上記11月15日羽化品♂と12月2日羽化品♀の画像を貼っておきましょう。
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D71K-85VR、ISO=100、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月15日
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:12月2日

 夏型と異なり、第4化品では後翅の赤班がやや縮退し、全般に白色鱗粉を散布した程度の白化が見られます。そうは言っても5月に発生する第1化品のようにほぼ純白の姿までにはならず、中間的な斑紋特徴です。蛹を強制的に低温処理すると、春型のような個体が得られるのでしょうか。どなたか実験してみませんか?
by fanseab | 2014-12-12 23:09 | | Comments(4)

オオミドリシジミの越冬卵

 クロスジフユエダシャクの飛翔写真を撮影した雑木林はコナラ、クヌギが豊富にありましたので、試しにゼフ類の越冬卵も探ってみました。すると意外と簡単にオオミドリシジミの越冬卵が見つかりました。先ずは魚露目で環境描写。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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TG2@18mm-gy8、ISO=400、F6.3-1/10、+1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時50分

 矢印が越冬卵で、休眠芽のすぐ脇に産み付けられています。産卵から約半年が経過しているので、結構汚損が目立ちます。TG2で最大限に拡大して撮影。
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TG2@18mm(トリミング)、ISO=800、F14-1/100、+1.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時43分

 次にミラーレスで超拡大撮影。
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GX7-P1842@42mm-P18R(トリミング+上段4コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=200/400、F13-1/160(80)、内蔵ストロボ+スレーブ1灯+LEDランプ、撮影時刻:11時02分

 直径は0.96mm。いつもなら正面方向・側面方向から撮影するのですけど、産卵位置の関係で、照明角度の異なる2画像をご紹介しております。いずれにせよ、カメラに向かって右側の太い幹が邪魔して右側からの照明が厳しく、柔らかに光を回し込むことができず、苦戦しました。精孔部から側面にかけて擦過傷のような損傷がありますけど、孵化には差し支えないかな? オオミドリ越冬卵の撮影はこれが3回目になりますが、いずれも産卵から長期間経過したもの。産卵直後の綺麗な卵で是非撮り直したいものです。
by fanseab | 2014-12-10 22:36 | | Comments(2)

クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)

 ムラサキツバメの新規越冬集団探索を目的に、拙宅から程近い東京都下の某公園を訪ねました。ここはマテバシイの植栽密度が結構高く、以前の下見で好感触を得ていたポイントでした。ところが相当広範囲に探索するもムラツの姿はなし。マテバシイの植栽を子細にチェックすると、実生(ひこばえ)が殆ど刈り取られていて、ムラツ最終化の食痕も殆ど見当たりません。ひょっとすると植栽の管理が過剰で、越冬世代のムラツ個体数が意外と少ないのかもしれません。一方、公園内にはよく管理された雑木林があって、そこには丁度クロスジフユエダシャク(Pachyerannis obliquaria)が乱舞しておりました。うっかり冬尺に手を出すとハマリそうなので、これまで本ブログで記事にしたこともないのですが、流石にこの日は飛翔を撮ってみたくなりました。ここは雑木林の下草管理も徹底していてアズマネザサの株丈も低いため、コナラやクヌギの落葉が絨毯のように分厚く積もっております。その枯葉製絨毯の上を、まるで枯葉の化身のようにフユシャクが乱舞する姿は圧巻でした。先ずは300mmで狙ったショットの作例。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:11時08分

 ほぼアウトプットイメージ通りに撮れました。ただ見かけ以上に俊敏で、画面内に収めるのに苦労します。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:11時08分

 この絵から分かるように、長い前脚を目一杯伸ばして飛行しております。普通、蝶類は脚を畳んで飛翔するのに対し、わざわざ風力抵抗を増加させる飛び方は独特です。ひょっとして触覚同様、前脚にも感覚器官が存在して♀のフェロモン検出に役立っているのでしょうか? それとも単に飛翔が下手糞なだけで、バランスを取るため前脚を突き出すのかな? 次はノートリ画像としてこの日のベストショット。
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D71K-34、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 枯葉の直上を飛行する雰囲気はまずまず表現できました。♂の探♀行動は梢の上まで拡大しませんが、やや高い場所に上がった個体を縦位置トリミングで表現してみました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時11分

 彼らを観察していると、ある一定の時間間隔で数個体が一斉に飛翔するような気がします。この群飛状況を何とか表現しようと工夫してみるのですけど、これが結構難しい!やっとこさ2頭を画面の左右端に入れ込むのが精一杯でした。
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D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 ほぼ連続飛翔中の♂は、時折枯葉上に降りて日光浴をします。また翅を震わせながら枯葉の上でダンスを踊るような仕草を見せることがあります。
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D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時15分

 恐らくは枯葉の下に潜む♀がフェロモンを放出していて、フェロモンを嗅ぎつけた♂が興奮して翅をバタバタしていたのかもしれません。この日は残念ながら交尾ペアを発見することはできず。次に彼らが舞っている雑木林の環境描写目的にミラーレスに対角魚眼を付けて高速連射で飛翔を狙ってみました。最初は紅葉バックの絵。
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GX7-10.5、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:10時47分

 一見緩やかに舞うクロスジはレンズが接近すると危険を察知して、敏速に上下左右に逃げていきます。最近全く広角飛翔撮影を実施していなかったので、置きピン感覚が錆びついていて、大変苦慮いたしました。
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GX7-10.5(トリミング)、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分
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GX7-10.5(トリミング)、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分
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GX7-10.5、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分

 最後の絵は毎度おなじみの「ジャスピン画像画面端の法則」が完璧に適用されてしまった作例。「もうちょいカメラを上向きにしておれば・・・」と、何とも悔やみきれない画像になったのでした。これまで蛾の飛翔をこれほど真剣に実施したことはなかったのですが、息をハァハァ言わせながら飛翔を撮ると体が暖まり、冬場の運動不足解消によさそうです(^^)
by fanseab | 2014-12-06 20:28 | | Comments(6)

ヒメジャノメの飼育メモ

 秋口に数種類の鱗翅類についてフルステージ飼育を行っていました。今回はその飼育メモ第一弾。今年9月下旬にヒメジャノメの産卵行動を探っておりました(外部リンク)その時、採卵した虎の子の1卵を大事に育てることにしました。食草は全ステージ、エノコログサを使用。先ずは孵化直後の初齢幼虫(卵期は5日)。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-1855改@24mm(上段トリミング+3コマ深度合成、下段トリミング)、ISO=100、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:9月25日

 体長3.1mm。初齢幼虫はどんな種類でも頭デッカチですね。頭部に突起は確認できませんが、尾端突起は既にあります。食草の縁から齧り始め、脇に糞が散らばっています。9/29に2齢へ。
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D71K-1855改@24mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ1灯、撮影月日:9月29日

 体長4.7mm。頭部の突起が明確になり、尾端の突起も長くなって、ジャノメチョウ類の幼虫らしい風貌に変わりました。なお初齢時代と同じ葉を齧っているので、葉が黄色に変化したのに伴い、幼虫の体色も黄色味を帯びています。10/2に眠に入り、当日3齢になりました。
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D71K-1855改@26mm(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ1灯、撮影月日:10月5日

 体長13.5mm。背面の筋模様がはっきりとしてきました。10/5に眠。翌6日に4齢に到達。
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D71K-1855改@24mm(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ1灯、撮影月日:10月8日

 体長は28mm。模様・色相共に3齢と変化はなく、少しグラマラスな体型になっただけです。
 ここで初齢~4齢までの頭部の拡大像をまとめて図示します。初齢は正面から撮影するのを失念していたので、これのみ幼虫上部から見込んだ絵になっています。
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 猫顔で一番可愛いのは4齢かもしれませんね。
さて通常、終齢は5齢のはずですけど、今回の個体は4齢のまま、10/18に前蛹になりました。糞掃除や食草交換時に頭殻の見落としはないはずなので、4齢を終齢として間違いないものと思います。
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D71K-85VR(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月18日

 翌日10/19に蛹化。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=160、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月19日

 体長13mm。やや濁った緑色で、前翅外縁側に黒褐色斑点列があります。10/27に翅面が白化。10/29には表翅の眼状紋が確認でき、羽化間近となりました。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月29日

そして予想通り、当日内に羽化しました(孵化後34日目)。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月29日

 毎度のことながら羽化の瞬間には立ち会えず、ガックリ(^^; 羽化したのはイケメン?の♂。いつもの通り、屋外に放しましたが、時期的にお嫁さんを見つけるのにはちょっと厳しかったかもしれませんね。孵化直後のホストへの食いつきも良く、全般に難易度の低いフルステージ飼育だったと思います。
by fanseab | 2014-12-04 21:01 | | Comments(2)