探蝶逍遥記

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市街地内のミヤマチャバネセセリ幼虫巣

 多摩川中流域のミヤマチャバネセセリは現在第3化発生の末期を迎えておりまして、僅かに生き残った♀を観察することができます。

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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時11分(9月下旬)

 年によっては10月上旬まで♀個体を観察できます。拙宅および多摩川から程近い住宅街の歩道沿いにミヤチャのホスト、イネ科のオギが僅かに生えているポイントがあって、時折、ここでも幼虫を観察することができます。今年は2個の産卵が確認でき、内1卵のみ無事成長して現在3齢あたりになっております。
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D71K-10.5、ISO=100、F13-1/500、-0.7EV、撮影時刻:11時01分(9月中旬)

 画像矢印#1が2齢(もしくは3齢)の巣、矢印#2は1齢時に使用していた巣跡です。初齢は必ず、オギの細い先端部を利用する性質があり、穂先が枯れた葉は回避します。ですので、孵化幼虫は新鮮な穂先を求めて結構徘徊する苦労をしているようです。このポイントは多摩川堰堤から直線距離で約250m。その間は全くオギ群落は無く、母蝶はオギを求めて意外な距離を飛んで来ることがわかります。産卵時、群落よりは孤立株を好むミヤマチャバネセリ特有の食草選好性を示す事例と言えましょう。同じ流域に棲むギンイチモンジセセリではオギ群落から離れることはないので、群落からかけ離れた場所に産卵することは絶対に有りえません。また、ここは時折雑草駆除の一環で剪定が入るので、この先11月頃まで無事に生き延びてくれるか心配です。
 さて、多摩川縁の草地では終盤まで生き残った♀が最後の産卵活動をしております。たまたまオギの葉で3齢幼虫が作った巣の上に産卵(矢印#1)した事例を発見しました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時41分(9月下旬)

 矢印#2はほぼ同時期に産卵された別の卵です。多摩川中流域では年3化発生ですが、第3化品が一番ダラダラ発生する感じがあります。↑の画像はそんな発生状況を象徴するような場面ですので、敢えてご紹介いたしました。この後、この子たちは11月上旬頃、巣を離れ地上付近の枯葉裏等で蛹化して来春までの長い冬を過ごすことになります。
by fanseab | 2014-09-28 22:14 | | Comments(4)

ヒカゲチョウの交尾・産卵など(9月下旬)

 マイフィールドの多摩川縁では現在、ヒカゲチョウ第2化のハイシーズン。例年よりムチャ個体数が多く感じられ、場所によっては蠅が飛ぶように乱舞しております。夕刻の産卵シーンを狙って笹薮付近をウロチョロしていると、急にバサバサと茶色の塊が飛び出してきました。何と管理人初体験のヒカゲチョウ交尾ペア!

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D71K-85VR、ISO=320、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時00分

 アレチウリの葉裏に隠れるように止まりました(右側が♀)。15時頃は♀の産卵活動のピーク時間帯に当たりますが、恐らくもう少し早い時間帯に交尾が成立しているものと思われます。次いで産卵シーンの撮影。ヒカゲチョウの産卵場面は時間帯を選べばそれほど難易度高くなく撮影可能です。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時21分

 地上高15cm程度のアズマネザサへの産卵です。葉裏を捲って見ると、何と同じ葉に4卵産まれておりました(↑の母蝶はこの時、1卵のみ産卵)。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時37分

 よほど母蝶が好むような条件の良い葉だったのでしょう。但し、これらは産卵時期が異なっているはずで、その後、孵化が近づいた際の変色挙動から産卵時期は#1→#2→#3→#4の順で#4がアップした産卵シーンの卵に相当します。また、4卵を比較すると、#1,2と#3,4では卵直径が異なり、(#1,2)<(#3,4)となっております。恐らく4卵は異なる母蝶(少なくとも2個体)が産み付けたのでしょう。産卵シーン撮影では種類によらず、母蝶の腹端と卵を同時に写し込むことが重要ですが、ヒカゲチョウの場合は簡単ではありません。ネザサ群落に入り込み、ほぼ瞬間芸で産んでいくので、必要とされるアングルにレンズを向ける余裕がありません。精一杯頑張って写したのが次のショット。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時07分

 腹端と卵をもうちょい右側に移動して撮りたいのですけどねぇ・・・・・。
 ♀とは別に沢山飛び回っている♂を追跡していると、アレチウリの花で熱心に吸蜜している個体が多いことに気が付きました。
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D71K-85VR、ISO=200、F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時40分

 ヒカゲチョウの栄養源と言えば、直ぐに樹液吸蜜を連想しますが、このように花からの吸蜜は初めて観察したような気がします。アレチウリの黄色い花粉まみれになっているストローが可愛いですね!
by fanseab | 2014-09-26 00:00 | | Comments(0)

有尾(優美)型ナガサキアゲハ♀(9月中旬)

 先日のホシミスジ探索の際、林縁を歩いていると、黒系アゲハが目の前を横切って行きました。ちょっと見、ナガサキアゲハ♀のようですが、少し赤味が強く異常な感じがしました。灌木の茂みに隠れたので、追跡すると、植栽のアベリアで吸蜜しており、なんと「ベニモンアゲハ!」でした。この「ベニモン」、そのまま横方向に移動し、運よく民家脇のサルビアで吸蜜を開始しました。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時00分

 しかし、ファンダーを覗きながら、「ちょっとおかしいな!」と気が付きました。ベニモンにしてはムチャでかいし、腹部の模様も異なります。前後翅裏面基部の赤班を確認してようやくナガサキの♀だと理解できました。珍品の「有尾型♀」だったのです!管理人はベニモン擬態の♀に騙されてしまったのでした。この後、結構長く吸蜜しておりましたので、画像を追加できました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時00分
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D71K-34、ISO=500、F9-1/800、-0.7EV、撮影時刻:10時02分

 2枚目の画像で明確なように有尾型♀の側面は黄色に彩られており、Pachliopta属らしく見せる工夫が施されております。有尾型♀については、管理人はこれまで国内はもとより、海外遠征でも出会ったことがありません。そもそも東南アジア遠征でナガサキ♀に出会ったのはボルネオ・ダナムバレーのみで、この時は極普通の無尾型♀でした。有尾型は遺伝的多型の一つですが、滅多に見ることができません。その理由については、以前、ダンダラさんのブログ(外部リンク)コメント欄で、熱い議論が交わされておりました。興味のある方はこの記事をご覧になって下さい。
 また、飼育で発生した有尾型については、本体ホームページにリンクさせて頂いているTさんのサイト(外部リンクに標本画像があります。こちらも参考にご覧頂ければと思います。

 有尾型は東南アジア各地に分布する亜種毎にかなり斑紋が異なりますので、有尾型♀のみを蒐集するコレクターも多いと推定されます。例えばボルネオ~ジャワ島に分布する名義タイプ亜種(memnon)では後翅の白斑がかなり拡大し、後翅肛角部は黄褐色。中国大陸~インドシナ半島分布の亜種agenorでは、白色部が縮小し、後翅肛角部は赤色。今回管理人が出会った♀は斑紋の特徴から、国内産亜種thunbergiiであり、迷蝶由来ではないと思われます。地理的に比較的近いagenorthunbergii各々の有尾型斑紋の特徴が類似しているのも興味深い現象です。また、有尾型には尾状突起が異常に細いタイプも採集されていて、このタイプは現地に混棲しているホソバジャコウアゲハ(Losaria coon)擬態とされており、ナガサキ♀の擬態工作も奥深いものがあります。今回出会ったナガサキ♀の美しさはやはり別格でしたので、本記事名にも「優美」型と付け加えてみました。実はこの♀の産卵シーンも狙って正午頃吸蜜していた場所近くのユズで張り込んでみましたが、♀は現れず、目論見は失敗に終わりました。
by fanseab | 2014-09-21 21:55 | | Comments(14)

ホシミスジの産卵(9月中旬)

 今年7月、信州のコヒョウモンモドキ探索の過程でホシミスジ交尾などを撮影しておりましたが、産卵シーンは課題として残っておりました。9月に入ってから撮影できるポイントも限定されてきますので、拙宅から車で30分ほどにある東京都のポイントを訪問しました。ここは2009年に初めて発生が確認されており、管理人も昨年冷やかしで訪れてみたのですが、坊主でして、今回がリベンジマッチとなります。なお、当地のホシミスジは亜種setoensis(※)とされ、ホストのユキヤナギ(Spiraea thunbergii)の植栽に伴い導入された移入種とされております。
 Neptis属の産卵行動は基本午前中ですので、現地には10時着。ユキヤナギ群落を探りますが、影も形もありません。それでは蛹殻はどうだろう?・・・と株の根際を探すも、これまた坊主。時期的には第3化が発生しているはずなのに、時期を外してしまったのだろうかと不安になりました。そこで、ちょっと諦めムードで別の場所を探索すると、コミスジよりはやや大き目のNeptisを発見。待望のホシミスジ♀でした。しかも丁度産卵行動の真っ最中だったので、慌ててカメラをセット!最初は前脚連打行動中の画像。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時37分40秒

 産卵していたのはユキヤナギではなく、同じツモツケ属のシジミバナ(S. prunifolia)でした。矢印#1が母蝶の前脚、矢印#2がこの後、産んだ葉です。次に産卵の瞬間。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時37分48秒

 翅を全開して産卵するのはNeptis属に共通するスタイルです。産卵を数回すると、おきまりの全開翅日光浴です。
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D71K-34、ISO=100、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時44分

 腹端と卵の同時写し込みを画策するも、地上高20cm程度の低い株の葉裏に産み付けるので、そんな理想的な絵を撮らせてくれません。↑は日当たりの良い単独株への産卵ですが、株が集中している場所では木蔭の茂みがお気に入りのようで、撮影に一苦労。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時00分

 このアングルからだと腹端が曲がっているので、何とか産卵シーンと確認できますが、単なる開翅日光浴と似た格好なので、シャッタータイミングを計るのが難しいのです。それでは横方向から狙うぞ・・・と思っても、葉被りで、これまた上手く行きません。おまけにこの日は外部ストロボを自宅に置き忘れて来る失態をやらかし、撮影条件が限定されて四苦八苦(^^; 何とか横向きでゲットしたのが、次のショット。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時05分

 この場面でもこれ以上カメラアングルを低くできない状況でした。それでも産卵→日光浴→産卵→日光浴・・・と連続的に産卵行動を繰り返すのでシャッターチャンスそのものは比較的多くて助かりました。再度単独株で腹端が写るアングルでチャレンジ。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時09分

 これは産卵直前のシーンで、この後、葉が気に入らなかったのか?産卵はしてくれず、腹端と卵の同時写し込みには失敗しました。↑のようにシジミバナのほぼ先端部にある葉に産み付ける傾向があり、目撃した事例では全て葉裏に産卵しており、葉表産卵はありませんでした。産卵状況です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時11分

 2卵を自宅にお持ち帰りし、卵の拡大像は自宅で撮影。
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GX7-P1442-P14R(トリミング+上段4コマ/下段5コマ深度合成)、ISO=200、F16-1/250、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+外部ストロボスレーブ2灯、撮影時刻:21時24分

 最大直径0.86mm、高さ0.99mm。形状全体の雰囲気は色づく前のイチゴを連想させます。タテハチョウ亜科のような縦条隆起は無く、表面全体に6角形の網目構造があり、網目の中が凹んだ形状。網目の交点から伸びる毛状突起が目立ちます。コミスジなど他のNeptis属卵との詳細比較は来シーズン以降の課題です。

※福田晴男,2012.日本産ホシミスジの現状と課題Ⅱ.やどりが(233):16-34
 福田氏によれば、本ポイントのホシミスジは「瀬戸内亜種・近畿低地型」に分類される。
by fanseab | 2014-09-18 21:25 | | Comments(2)

ミズナラ休眠芽上のゼフ越冬卵(9月上旬)

 キマダラモドキ探索で訪問した日は陽射しが無く、蝶影が少なかったので、陽射しが差すまでの間、ミズナラやカシワの休眠芽をチェックしておりました。最初に見出したのはジョウザンミドリシジミと思しき越冬卵。産卵状況です。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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TG2@5.5mm、ISO=200、F3.2-1/250、撮影時刻:10時53分

 真冬と異なり落葉していない状態での探索は結構やり難いものですね。次に拡大像。
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TG2@18mm、ISO=400、F14-1/100、+2.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時31分

 今回はTG2で初めて「超解像ズーム」機能を使用してみました。ノートリでここまでの解像度が得られてしまうとは、コンデジ恐るべしです。それでも画質劣化は無視できず、針状突起構造の詳細を把握するため、ミラーレスでの超拡大撮影も撮影しました。
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GX7-P1442-P14R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=400/800、F13-1/250、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+外部ストロボスレーブ2灯、撮影時刻:11時32分(自宅で後日撮影)

 直径0.92mm、高さ0.46mm。側面像深度合成はいつも難しく、合成に必要なスライスピッチを等間隔に刻めません。ここら辺が手持ち深度合成法の限界。やはりマイクロスライダーでサブミリピッチの微動駆動が必須だと痛感しました。それと2灯照明のバランスが悪く、側面像左端の照明が強すぎてディテールが潰れてしまいました(^^; 正面像/側面像を比較すると、精孔部周辺は針状の突起が林立しておりますが、側面には針状以外に恐竜の背面突起のような扁平型突起も混在していることに気が付きます。以上の拡大画像を撮影しても、管理人は未だ100%ジョウザンと言い切れないので、拡大画像のキャプションには「ジョウザンミドリシジミ?」とクエスチョンマーク付にしておきました。この越冬卵はお持ち帰りしておりまして、翌春飼育にトライ(ジョウザンの真偽判定)するつもりです。
 上記越冬卵を発見した後、昨年ジョウザンと思しき越冬卵を見出したミズナラの株をチェックしてみました。すると、驚いたことに昨年見出したのとほぼ同じ枝先、高さから越冬卵を発見いたしました。
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TG2@5.5mm、ISO=400、F6.3-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時47分

 こちらは2卵産まれております。次に拡大像です。
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TG2@18mm、ISO=400、F14-1/100、+2.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時46分

 拡大像を撮影するまでは、てっきりジョウザン2卵と思っておりましたが、拡大像の針状突起が異例に長いこと、ラフな網目構造等の特徴からウラミスジシジミと確信いたしました。ウラミスジ越冬卵は初体験で嬉しい限りです。ジョウザン?と比較すると汚れが酷く、ジョウザンがほぼ真っ白な外観を示すのに対し、淡褐色です。母蝶の産卵時期にそれほど大差はないのでしょうが、卵殻の継時的変色挙動は結構差があるのかもしれません。続いて超拡大画像。
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GX7-P1442-P14R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=800/400、F13-1/250、内蔵ストロボ(トリガー信号のみ)+外部ストロボスレーブ2灯、撮影時刻:11時50分(自宅で後日撮影)

 直径0.96mm、高さ0.53mm。ここまで針が長いと魚の「ハリセンボン」そっくりです。ウラミスジ越冬卵は主芽と側芽の中間に落とし込むように産卵されていて正面像では側芽が邪魔をするし、側面像ではストロボ光が回り難く、ジョウザン?に比較して撮影に難儀しました。側面像をジョウザンと比較すると、同じ饅頭型でもジョウザンはより扁平であることがわかります。ウラミスジについても来春、飼育にトライ予定です。
by fanseab | 2014-09-15 21:02 | | Comments(0)

続々:高原で出会った蝶(9月上旬)

 信州の高原での観察結果:「高原で出会った蝶」シリーズも今回が3回目。それぞれ訪問したポイント・時期が異なっておりますので、登場する顔ぶれは微妙に変化しております。今回はムモンアカ記事の冒頭でご紹介したように、高原を訪問した目的はキマダラモドキ産卵シーン撮影です。最初にこのポイントを訪問したのは数年前、確か8月上旬だったと記憶しております。その際、林縁の下草にそれなりの個体数の見ることができました。昨年、同じモドキ産卵シーン目的で訪問したのは9月中旬でして、全くモドキの姿がなく、①訪問時期が遅すぎた、②既に絶滅した、両者の可能性がありました。そこで、今回は時期を昨年より10日程早めての探索となりました。
 現地9時過ぎに到着。ムモンアカの記事に書いた通り、ドンヨリ曇って、風も強く、とても肌寒く感じます。モドキがいそうな場所を数か所巡りますが、影も形もありません。時期的には未だ生存しているはずですので、「こりゃ~絶滅したパターンかな?」と少し気が滅入りました。高原には無数のジャノメチョウが飛んでいて、これがモドキだったらいいのに・・・等と愚痴が出る始末。そんな折、正午前、少し陽射しが出た頃、黄色味を帯びたジャノメチョウがフワリと飛び出しました。念のため追跡して着地を確認すると、待望のキマダラモドキ♀でした。

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D71K-34、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時41分

 ヤレヤレ、絶滅はしていなかったようです。ただ産卵時間帯と目される午後2時以降まで、この個体をじっと追跡するのもしんどいので、ひとまずこの個体とお別れして、別個体を探索しました。しかし、林道を歩いている途中フワリと飛び立って林間に消えた1個体を除き、モドキを確認することはできませんでした。最初に発見した個体ももちろんどこかに雲隠れして行方不明。午後2時以降が産卵時間帯と睨んで待機するも、2時過ぎには小雨が降って来たのを潮時に撤収し、モドキ産卵シーン探索は次回以降の宿題になりました。とにかく産卵行動にとって障害となる気温の低さが問題でした。
 さて、午前11時頃から昼過ぎにかけて、丁度ムモンアカを観察した時間帯には比較的多くの蝶を観察することができました。最初はスジグロチャバネセセリの♂。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時32分

 ここはコキマダラセセリのポイントであることは過去の訪問で理解しており、コキマならともかく、発生がコキマより早めに推移するスジチャ、それも♂が生き残っていたとは驚きでした。因みにコキマは全く確認できませんでした。お次は高原を彩るシロチョウの定番、スジボソヤマキチョウ。
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D71K-34、ISO=200、F5.6-1/1600、-1.0EV、撮影時刻:11時18分

 ここはヤマキもいるはずですが、こちらは見かけませんでした。ヒョウモン類はミドリ♂♀は相当に汚損しており、ウラギンもかなり損傷が激しい個体ばかり。その中ではオオウラギンスジ♂が比較的綺麗な状態でした。
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D71K-34、ISO=200、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時58分
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D71K-34、ISO=200、F9-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時59分

 期待したオオウラギンスジ♀は未確認。次に嬉しかったのはクモガタ♂の登場。
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D71K-34、ISO=200、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時20分
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D71K-34、ISO=200、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時22分

 長野県の高標高地でクモガタが夏眠するか微妙ですが、ここではどうなのでしょう。まずまずの鮮度でした。次回はミズナラの休眠芽から見出したゼフ越冬卵についてご紹介します。
by fanseab | 2014-09-12 21:59 | | Comments(4)

6年振りのムモンアカシジミ(9月上旬)

 キマダラモドキ♀探索で信州の草原を彷徨ってきました。このところ天候不順で、天気予報もイマイチ信頼できません。この日も「午後3時までは陽射し有り」の予報を信じて現地に到着したのですが、生憎、朝からどんよりと曇っています。仕方なく、近くのミズナラ林でゼフ越冬卵探索等をしながら、モドキ他を探索しましたが、全く成果が上がりません。それでも11時頃になって、ようやく淡い陽射しが出てきて、ヒョウモン類の吸蜜がスタートしました。もう9月、ヒヨドリバナの花弁も真っ黒に変色していて、ヒョウモンが主として吸蜜しているのは、ノアザミおよび、薄紫色のノコンギク(あるいはヨメナ?)です。そんなヒョウモン類にレンズを向けていると、急にオレンジ色の小さな塊が目に飛び込んで来ました。2008年(外部リンク以来、6年振りのムモンアカとの突然の出会いでした。ヒメジョオンでの吸蜜です。

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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、撮影時刻:11時20分

 恥ずかしながら管理人は長野県内でのムモンアカマイポイントを知りませんので、偶然の出会いに大感激でした。実はムモンアカの吸蜜画像もこれが初体験。ストローまで鮮やかなオレンジ色なのですね。もちろん翅は流石にこの時期、色褪せていますが、草原の中で一際目立っておりました。ノコンギクでの吸蜜は初秋らしい絵になります。
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D71K-34、ISO=200、F5-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:11時25分

 ひとしきり吸蜜すると、おもむろに開翅してくれました。
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D71K-34、ISO=200、F13-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時28分

 前翅端に淡い黒班がありますが、前翅外縁形状の直線性や腹部形状から見て♂のように見えます(自信はありません)。以前、9月下旬に岩手県の高原で♀に出会ったことがありますので、9月上旬なら♂が未だ生き残っているのでしょう。さて、風が強くなると吸蜜を止め、下草の低い位置に移動し、風を避けながら開翅日光浴しておりました。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F9-1/160、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時38分

 TG2は使い勝手の良いコンデジですが、望みの位置への合焦が決まらないことが多く、イライラさせられます。この絵でも複眼がピンボケでガッカリ(^^;
 この後、この子の姿を見失ってしまい、発生木の特定はできませんでした。しかし、発生木はそんなに遠い場所ではない筈なので、来シーズン、7月下旬か8月上旬あたりに再訪し、長竿でペシペシやりながら探索する楽しみが増えました。
by fanseab | 2014-09-09 22:27 | | Comments(0)

ヒメアトスカシバ(8月下旬)

 久しぶりに蛾の話題。これもキマダラセセリ産卵現場探索の過程で見つけました。

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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時33分
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時34分

 葉上に止まっているこの♀個体を見て一瞬、後ずさりしてしまいました。やはり蜂に擬態する名人には騙されます。この仲間は珍品揃いで、ブログ仲間のze_phさん(外部リンクや、spaticaさん(外部リンクのサイトに傑作画像がよく登場します。ヒメアトスカシバ(Nokona pernix)はそんなスカシバガ亜科の最普通種の位置づけ。ホストはこれまた蔓性雑草としては普通種のヘクソカズラ。 

 さて、擬態の完成度が増すほど、魅力的になるのは蝶も蛾も一緒。スカシバガ亜科でも、セスジスカシバ(Pennisetia fixsenia)はどう見てもスズメバチそのものです。恐らく管理人もフィールドでセスジに出会ったことがあるのでしょうが、脳の中で一瞬、「スズメバチだぁ~」と見切って背を向けていた可能性もあります。ヒメアトも撮影後、フワッとホバリング飛行して管理人に向かってきました。別に羽音がする訳でもないのですが、思わず後ずさりしてしまいました。「焦るな!これは蛾だ」と理解していても本能的に逃げてしまいます。それと、2枚目の画像でわかるように、♀腹端の産卵器官はいかにも毒針のようにも見えます。飛んでいる時の全体像も、接近して観察した時のディテールも、擬態の本道を行く完成度に改めて感動いたしました。
by fanseab | 2014-09-07 21:12 | | Comments(2)

ミヤマチャバネおよびギンイチモンジセセリ第3化(8月下旬)

 キマダラセセリの産卵行動探索の傍ら、首題2種の観察もできました。先ずはミヤマチャバネセセリ。♂も♀もそろそろ終盤戦。その中でも比較的新鮮だった♂のテリ張りシーン。


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D71K-85VR、ISO=200、F6.3-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時38分

 木陰にあるヘクソカズラでの吸蜜も観察できました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時00分

 ストローが長いですね。ヘクソカズラでの吸蜜場面は初体験です。例年この時期、イネ科オギへの産卵状況を確認しております。この日はざっと2時間の探索で20卵ほど確認できました。例年通りの数です。同じオギの葉上に4卵(矢印)産み付けられた珍しい事例を紹介しておきましょう。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時56分

 卵の色合いは微妙に異なるため、同じ母蝶が同時に産み付けたのではないようです。昨年同様、オギではなく外来種のセイバンモロコシ(Sorghum halepense)への産卵(矢印)も確認できました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時41分

 ただセイバンモロコシでの終齢幼虫は未確認なので、終齢まできちんと育つのかは疑問です。♀の産卵挙動は強いて追跡はしておりませんが、11時50分頃、クズの茎に誤産卵しそうな♀に出会いました。葉にタッチした後、茎に腹を曲げる動作を数回繰り返しておりました。ここはオギの単独株が結構生えていて、例年♀産卵シーンを目撃するポイントです。詳しく調べてみると、クズへの誤産卵もひょっとしてあるのかもしれません。それと第3化品の産卵時間帯は晴天時、午後3時頃が中心なのですが、今回のように曇天時には正午頃に時間帯がシフトする可能性があります。
 次はギンイチモンジセセリ。大規模河川工事の影響でほぼ絶滅状態だったマイポイントも、最近はかなり復活してきて嬉しい限りです。でも一頃の個体数は望めません。今年はダラダラ発生なのか結構綺麗な♂もみかけました。正午前に産卵しそうな♀を見つけました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時55分

 ただ産卵はせず、直ぐにハルジオンで吸蜜を開始。
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D71K-85VR、ISO=200、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:11時56分

 お腹はもう♂のように細く、卵をほぼ産み尽くした個体だったのかもしれません。相当長時間、ここで吸蜜しておりました。
by fanseab | 2014-09-05 21:57 | | Comments(2)

続・キマダラセセリの産卵行動を探る(8月中~下旬)

 昨年来、首題セセリの産卵シーン撮影目的に多摩川縁を探索しております。今年は先ず第1化品でトライしましたが、産卵場面を一回のみ目撃したものの、肝心の産卵シーンは撮影に失敗(外部リンク)。そこで第2化品でリベンジすることにしました。結論から言えば、今回も惨敗です(^^;
 第1化品が群れていたポイントはどうやら真夏には不適な環境らしく、ここには個体数が少なく、木蔭が続く環境を好むことが確認できました。第2化品が群居していたポイントの環境写真です。

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D71K-85VR、ISO=500、F10-1/400、-0.7EV、撮影時刻:11時56分

 ほぼ南北に連なる通路の両脇はアズマネザサが生垣のように生えていて、その上をクズが生い茂っているため、朝夕はほぼ木蔭状態になります。その木蔭に多くの♀が静止しております。
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D71K-85VR、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、撮影時刻:15時32分

 この画面上には2頭の♀がおりますが、ほぼ5mの範囲に5♀ほど確認できました。第1化同様、午前11時~午後2時半頃まで様子を探ったのですけど、♀には殆ど動きはありません。夕刻の可能性も求めて16時半~17時台を確認するもここでも動きなし。正午前後の静止時間帯でも、多少日光浴のため場所を移動することもありますが、それほど長距離移動はしません。そんな♀の日光浴シーン。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、撮影時刻:13時47分

 この個体を追跡中、偶然飛翔途中の全開翅シーンが撮れました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時47分

 このポイント以外でも何カ所が♀が群れている場所がありました。ここを前線基地にして産卵行動に出ると睨んでいるのですが、♀が一斉に「産気付く」現象はどうもないようです。ただ一旦飛び立つと猛烈なスピードに現場から行方をくらますのは第1化品同様で、この時点で産卵モードに入ったとも想定されるのですが、なにせ追跡困難なため尻尾を掴むことができないのです。

 結局、この夏もキマダラを結構しつこく追跡した割には産卵現場確認ができず、難易度の高さを実感しました。観察当初はそれほど苦労することなく、産卵シーンが撮れるだろうと楽観していたのですけど、これほどまでに苦戦するとは想定外でした。どうやら来年以降の課題として残りそうです。特に午前中10時半以前の行動は未確認状態ですので、その点を中心に観察を続けたいと思います。
by fanseab | 2014-09-03 22:23 | | Comments(0)