探蝶逍遥記

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続:高原で出会った蝶(8月下旬)

 アカセセリ産卵行動探索に先立ち、今月上旬コヒョウモンモドキ探索で歩き回った高原ポイントを朝一番で散策。クガイソウの様子を観察したところ、今回は前回と異なる地形に10株ほど見出すことができました。しかし、よくよく調べてみると、咲き誇っている花の様子が微妙に異なり、クガイソウに類似したヒメトラノオでした。花期が成虫発生時期よりも遅いので、ホスト周辺で待ち伏せする手法が通用せず、ここでの産卵シーン観察も難易度が高いようです。念のため3株ほど葉めくりをしてみたのですけど、卵塊は発見できませんでした。朝8時過ぎからヒョウモン類は活発に活動し、ヒヨドリバナ等で盛んに吸蜜しております。トップバッターはこの子。

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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時23分

 黒っぽい印象で、最初はウラギンの♀と思いましたが、斑紋をチェックするとどうやらギンボシの♀のようです(間違っていたらご指摘下さい)。ギンボシ♀にしては相当黒化が進んだ個体で、一番目立つのは前翅端近くにある白色矢尻型紋の存在です。ご存じの通り、ミドリ・ウラギンスジ・オオウラギンスジ・クモガタ♀では、この白色班が♀のシンボルになりますが、このギンボシはその系譜に倣って?♀らしい姿でとても魅力的です。

 黄色いオミナエシの花に小ぶりのヒョウモンがいるなぁと思ったら、生き残りのヒョウモンチョウ♀でした。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:8時27分

 命を紡ぐため、最後のお勤めを果たしているのでしょうね。鮮やかなコオニユリには産卵途中のキアゲハ♀が美味しそうに吸蜜しておりました。
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D71K-34、ISO=200、F5.6-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時48分

 ワレモコウの穂が前ボケで写りこんで、とても雰囲気のある絵に仕上がって満足です。さて、この時期定番のアサギマダラも飛んでおりました。
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D71K-34、ISO=200、F4.5-1/2000、-0.7EV、撮影時刻:8時50分

 ヒヨドリバナとこのマダラチョウの組合せを見ると、夏も終盤戦に入ったなぁと思わずにはいられません。

 さて、お次はアカセセリ探索の高原まで移動した後で出会った蝶のご紹介です。ここで先ず興奮したのがウラギンスジヒョウモン♀との出会い。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時06分
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時07分

 マルバタケブキには多くのヒョウモン類が集っておりましたが、格別に鮮やかな橙色が目立つ個体がこの子でした。先日別ポイントで♂に出会っておりますが、前翅端の白色三角班を見つけて小躍りいたしました。前翅を結構畳んで吸蜜しておりましたので、前翅裏面白斑の表現はイマイチですね。さらにこの日は運が良いことにウラギンスジヒョウモンの交尾ペアにも出会いました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時18分

 管理人にとっては、銀塩時代を含めウラギンスジの交尾場面は初体験! 逃げられないよう慎重に接近したつもりでしたが、サッと飛び立つと、折からの強い南風に乗って、視界から消えて行きました。ガックリです。それでも諦めきれずに付近を探索すると、再度交尾ペアが飛び立ちました。しかし、いつのまにか主役が置き換わってミドリヒョウモンに変わっておりました。
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TG2@4.5mm、ISO=100、F8-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時26分

 それでもミドリ交尾ペアを広角で写しとめることができて大満足です。いつもは逃げ足速く、接近戦で撮らせてもらえないんですよね。
 以前、ツマグロヒョウモンの占有行動を観察した頂上部に足を運ぶと、今回もキアゲハ、ツマグロヒョウモン♂がヒルトッピングにやって来ており、時々翅を休めておりました。そんな折、キベリタテハも登場。開翅を期待するものの、中々開いてくれず、閉翅画像で我慢いたしました。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時54分

 いずれにせよ、今年初めての出会いでした。せっかくなら白樺に止まった開翅画像を撮りたいものです。アカセセリ探索で草原を歩き回ると無数のジャノメチョウが飛び出します。午後からは交尾ペアにも沢山出会うことができました。こちらは偶然、ツリガネニンジンに止まってくれたペア。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時36分

 高原らしい雰囲気が出てくれてエエ感じになりました。撤収直前にはキアゲハの産卵シーンにも出会いました。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時00分

 産んでいたのは、セリ科のノダケ。夏の高原で出会うキアゲハ♀はシシウド等、丈の高いセリ科に産んでくれるので、背景が綺麗に抜けて、産卵画像としてはスッキリした絵になりやすいですね。春先に丈の低いセリに産むシーンは葉被り必死で、それに比べれば夏型♀の産卵シーン撮影は遥かに容易です。
by fanseab | 2014-08-27 21:32 | | Comments(6)

アカセセリの産卵行動を探る(8月下旬)

 種類によらず、年1化の蝶は産卵シーン撮影の難易度が上がります。分布が局地的ならなおさらですが、今回敢えてアカセセリに挑戦いたしました。
 中信地方の高原ポイントは銀塩時代に訪問して以来、約10年振りです。当時は長野県では珍しかったツマグロヒョウモン♂がヒルトッピングしているのを見つけて驚いたものです。例によって産卵時間帯の情報が乏しいのですが、ネット画像から正午前後にあることを突き止めました。現地には10時40分着。昔は結構アカセセリが飛んでいた記憶があるものの、意外と姿が見えません。少し焦り始めた頃、ようやく♀を発見。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時14分

 この子はこの後、イネ科の草に絡むような挙動を示しましたが、すぐに姿を見失いました。母蝶探索と並行してホストのヒカゲスゲ(カヤツリグサ科)の探索もスタート。探してみると相当分布は広く、はたと困りました。食草分布が限定されているなら、その近辺で♀の待ち伏せ作戦が通用しますが、広大な草原にホストが普遍的に生えているとそうもいきません。暫くすると、ノアザミに新鮮な♂を発見。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時51分

 ♂は本日の探索対象外ですが、一応撮影しておきます。よく観察してみると、マルバタケブキとアザミに殊の外執着して吸蜜するようです。マルバタケブキは丈が高く、飛ばれた後の追跡が難しいので、アザミが咲いている路傍で、かつ路傍脇にヒカゲスゲが生えている5X50m程度のエリアを重点調査区域に設定し、アザミに吸蜜後の♀個体を追跡する作戦に出ました。ところが産卵時間帯の中心にあるべき正午頃、急に雲量が増したためか、蝶の活動全般が鈍ってしまいました。それとこの草原にはこの時期、紛らしいセセリが存在します。先ずはイチモンジセセリ。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時03分

 マルバタケブキに吸蜜にやって来た左側の個体で、中央右奥にアカセセリ♀と思しき個体も確認できます。イチモンジが草丈スレスレに飛ぶとドキッとしてしまいます。お次はオオチャバネセセリ。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時58分

 ご覧の通り、オオチャバネは時期的に終盤戦の様子です。流石にこの子は大きさがアカセセリとは違いますので、それほど探索のノイズにはなりません。午後1時を過ぎてようやく陽射しが回復して期待していると、1頭のアカセセリ♀がマルバタケブキに登場。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時42分

 この子に注目することに。吸蜜を終えると、定番の開翅日光浴です。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時43分

 ところが、この後、サッと飛び立って行方をくらましました(^^; 結局、この日草原に4時間滞在し、出会ったアカセセリは撮影分含め僅か2♂3♀。この個体数で♀産卵を狙うにはあまりも無謀だったようです。とにかく吸蜜後に飛び去るスピードが半端なく速く、動体視力が衰えた管理人はつらい所です。恐らく、産卵時にはある程度飛翔スピードが遅くなり、ホバリング状態で、ヒカゲスゲに接近していくのでしょう。そんな場面はいつ見ることができるのだろう・・・と途方に暮れながら撤収したのでした。
by fanseab | 2014-08-24 22:02 | | Comments(2)

ヤマハンノキ食いミドリシジミの越冬卵(8月中旬)

 鈴鹿でキリシマ探索をしていた際、アカガシ休眠芽チェックと並行して、マンサクと思しき樹木でウラクロ越冬卵の探索もトライしておりました。遠征初日は特に雨模様でしたので、少し真面目に調べてみると、高さ1.5m程の下枝上にゼフ越冬卵を発見。発見した場所の状況です。

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TG2@4.5mm(トリミング)、ISO=200、F2-1/200、撮影時刻:13時17分

 黄丸印内が越冬卵の産卵場所。産卵状況拡大像です。
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TG2@18mm-gy8、ISO=400、F4.9-1/100、+2.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時13分

 矢印が越冬卵。枝分岐の凹部に下向きに産卵されております。この絵は枝を少し上方に向きを変えて撮影。次に拡大像です。
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TG2@18mm、ISO=400、F14-1/100、+2.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時03分

 雨の影響で卵付近に水滴が被っていて微構造は良く見えません。そこで翌日天候が回復したのを見計らって、ミラーレスの超拡大システムで撮影。
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GX7-P1442-P14R(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=800、F14-1/50、LEDライト、撮影時刻:12時59分~13時01分

 直径は0.77mm、高さは0.34mm。側面方向(下)は合成処理に失敗しておりますが、正面画像(上)は満足すべき仕上がりです。さて、撮影した時点では「ウラクロ越冬卵の拡大撮影に成功したぞ~!」と意気込んでおりましたが、帰宅後、拡大像を図鑑やWEB画像と照合すると、①棘皮の長さがウラクロにしてはやけに短いこと。②網目構造もウラクロに比較して細かすぎることに気が付きました。更にキリシマ越冬卵とも構造が異なります(当初はキリシマの誤産卵も想定)。思案し続けても埒が明かないので、保全協会でもお世話になっているHさんに教えを乞いました。答えは明確で、「ミドリシジミの越冬卵です」とのことでした。ウラクロと誤認した理由も明確で、小生がマンサクと思い込んでいた樹木は「ヤマハンノキ」でした。ヤマハンノキの葉形は丸みを帯びていて、ちょっと見、マンサクそっくりです。しかも過去にキリシマ探索で鈴鹿を訪問した際、ウラクロも混棲している知見があったため、「ウラクロ越冬卵」と間違えたのでした。よくよく見れば、休眠芽の恰好や質感はマンサクとヤマハンノキでは全く異なります。

 今回の件は越冬卵探索素人の管理人にとっては良い経験となりました。なお、滞在2日目には同じような越冬卵を他に3個ほど発見しております。以上の経緯から、ひょっとするとその中に、本来の目的である「ウラクロ越冬卵」が混じっていたかもしれません。しかし残念な事に撮影をサボっていたので、今となっては、確認のしようがありません。
 まぁ、ともかく平地の湿地帯にあるハンノキ食いのミドリではなく、山地の渓谷沿いにあるヤマハンノキ食いのミドリシジミ越冬卵は初めての観察・撮影となりましたので、誤認体験も含めて良き思い出となりました。機会を見て、本物のウラクロ越冬卵を撮影したいものです。
by fanseab | 2014-08-19 22:09 | | Comments(6)

2014年度キリシマ探索

 今から7年前の関西在住時、鈴鹿山脈で初めてキリシマミドリシジミを観察して以来、このシジミの虜になってしまいました。♀の産卵シーン撮影については、昨年夏、鈴鹿で♀が群居する好ポイントを見出し、ある程度尻尾を掴む段階(外部リンク)まで追い込みましたが、産卵現場に出会えず、リベンジマッチの季節がやって参りました。結論から先に述べると今年も産卵シーン撮影は惨敗。以下、その奮戦記です。

 先ずは7月下旬、蝶友より、静岡県の新規ポイントをご教示頂き、その状況確認をしてきました。合計3ポイントを巡りましたが、この時は悪天候で♂のテリ張り飛翔も確認できず、結局叩きだしで1♂1♀を確認するのみでした。この日は毎年通っているマイポイントも訪問。いつも必ず♀が飛び出すご神木を5株ほど叩くも、坊主。昨年とは状況が全く異なり不作の予感が・・・。更に♂がテリ張りをするアカガシ大木を見てガックリ。何と向かって左側、株上部が消失し樹相が激変しておりました。察するに、本年2月8日~9日に関東地方を襲った豪雪の影響で、雪の重みに耐えきれず、メインの枝が裂けて落下したものと思われます。そのポイントへ行く道中、同じようにゴッソリ枝が裂かれているアカガシを数株目撃しました。大雪の影響はともかく、静岡ポイントでの個体数が例年より少ないと判断し、産卵シーン撮影は鈴鹿に賭けることにしました。

 さて、昨年の経験から、鈴鹿での産卵シーン撮影には少し時期を早めたお盆の時期を選択。直前に襲った台風11号の影響が心配されました。花崗岩質の山塊である鈴鹿山脈は豪雨で土砂崩れが発生しやすく、林道へのアクセスが寸断されることがしばしば発生します。現地に行くまでは不安でしたけれど、何とか昨年のポイントまでは無事到着。一泊二日の日程初日は生憎の悪天候。午前中の雨がようやく上がった正午頃に現地で調査開始。しかし、昨年10X20mの一角に♀が群居していたポイントに、全く♀の姿がありません。その奥地にあるアカガシ高木を叩き出すも、ここには♂も♀も全く姿なし。飛び出したのはヤンマ類とクロヒカゲのみ。アカガシの休眠芽の状況は昨年とそれほど変化無く、試しに20個ほどの休眠芽をチェックするも越冬卵が付いておりません。どうやら鈴鹿も不作の年であることを悟りました。翌日は少し天気が回復して、午前10時から産卵タイムの正午前後まで粘るも、結局♀の姿はなし。休眠芽チェックをこの日は根性入れて100個ほどチェックしましたが、坊主。隔年毎に盛衰が激しいとされるキリシマの個体数変動を今回、改めて再認識する結果となりました。
 なお、2日目は高木を飛翔する3♂を確認できました。画像がないのも寂しいので、例によってムチャクチャトリミングした♂画像を貼っておきましょう。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:10時44分
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D71K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:10時45分
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D71K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:10時47分

 最初はテリ張りしている♂と思いましたが、ピクセル等倍に拡大してみると、黄色いストローを出してアカガシ葉上を舐めております。恐らくキジラミの分泌物等を吸汁しているのでしょう。ご覧のように徐々に開翅し、全開しても同じように舐めております。3枚目の画像では微かに黄色いストローが伸びていることを確認できます。この個体は直ぐ近くで2♂の空中戦が仕掛けられた時、平然と葉上に残っておりました。当初余生をのんびり楽しむ「御隠居老人」かと思っておりましたが、どうやら吸汁に夢中で相手のことなど眼中になかったようです。その後、このテリポイントすぐ下の葉上に別個体の♂が止まりました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:11時04分

 こちらはストローが伸びておらず、通常のテリ張り監視活動と思われます。なお撤収直前に小さなアカガシ株を覗きこむと、1頭のシジミが葉から葉へ縫うように飛んでおります。どうせムラサキシジミだろうと思って、チェックすると何と!結構鮮度の良いキリシマの♂。2m程の至近距離で撮影する絶好のチャンスでしたが、無情にもこの時カメラはリュックの中(^^; 慌てて取り出しレンズを向けた時には♂の姿は消えておりました。概ね撮影の準備をしていない時に絶好のシャッターチャンスが訪れるものです。撤収時の最後までカメラを肌身離さず準備しておくことが大事ですね。
 結局、今年もキリシマ産卵シーン撮影は叶いませんでした。もちろん難易度が高いほどチャレンジ魂が湧いてきます。また来夏、リベンジを期したいと思います。

 なお、今回の鈴鹿探索で嬉しい副産物がありました。これについては別途ご紹介いたしましょう。
by fanseab | 2014-08-16 20:38 | | Comments(4)

高原で出会った蝶(8月上旬)

 ちょっぴり辛気臭いモドキ探索の傍ら、広大な草原を舞い飛ぶ蝶達を堪能しておりました。先ずはセセリチョウ。コキマダラセセリ♂は盛りを過ぎ、♀の季節でした。それでも何とか綺麗な♂を探し出し撮影。

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D71K-34、ISO=200、F8-1/800、-1.0EV、撮影時刻:9時03分

 湿潤な草地では期待したアカセセリ♂も登場。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時34分

 波打つような前翅前縁の形状は独特ですね。♀はこれから出現するのでしょう。お次は草原脇の樹林帯に多産するウラジャノメ♀。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時32分

 このジャノメを写すには2週間程遅かったようです。なお、この子の産卵はジャノメチョウ同様、「放卵」型だそうで、大変興味があります。今回はチャレンジする時間がなかったのですけど、いずれ撮ってみたい対象です。次は草原を彩るヒョウモンチョウ類。最初はヒョウモンチョウ♀。
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D71K-34、ISO=200、F10-1/640、-1.0EV、撮影時刻:10時57分

 ヒョウモンチョウはデジタルになってから初めて真面目に撮影しました。♂は♀に比較して相当小さく、当初はコヒョウモンモドキの♂と錯覚してしまいました。午前中~午後にかけて♂は飽きることなく探♀飛翔。まるでヒメウラナミジャノメ♂と同じ位、本当にしつこく舐めるように♀を求めて飛んでおりました。その♂を避けるようにしていた♀が急に茂みに潜り込む産卵挙動を目撃しました。これは産卵態勢に入る直前の♀。
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D71K-34、ISO=200、F10-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時16分

 ヒョウモンチョウのホストはワレモコウないしはオニシモツケとされています。このポイントではオニシモツケは存在せず、あたり一面に蔓延っているワレモコウを食っているのでしょう。ワレモコウの株近辺に潜り込むのですが、茂みに邪魔されて産卵現場の確認はできませんでした。ただし、①茂みに潜り込んで産む習性、②産卵時間帯が正午前後にあること、等、今後の産卵シーン撮影のヒントが得られたのは収穫でした。①の習性はウスバシロチョウに通じるもので、たとえ産卵現場に出会ったとしても、葉被り必死で、撮影難易度は非常に高いことが予想されます。
 中型ヒョウモンで圧倒的に多いのはウラギンヒョウモンでした。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F4.5-1/1600、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時23分

 オオウラギンスジヒョウモンは数が少なく、♂にしか出会えませんでした。
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D71K-34、ISO=200、F10-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時07分

 8月上旬の時期で期待していたギンボシヒョウモンも何とか撮影。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時39分

 ♂ですね。ミドリヒョウモンの個体数も多かったので、暗化型♀期待で探しましたが、暗化レベルは期待値以下?
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時56分

 今回は全部で5箇所を探索しておりましたが、最後に訪れたやや湿潤な環境で、ようやくウラギンスジヒョウモン♂に出会うことができました。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:13時24分

 独特な前翅外縁形状を確認した時の喜びは筆舌に尽くし難いものがありますし、やはり相当局地的な分布だなぁ~と思い知った次第。いつまでも生き残って欲しいヒョウモンです。
 この他、アップしておりませんが、現地ではメスグロヒョウモン♂♀、ツマグロヒョウモン♂を観察しております。結局、夏眠中?のクモガタを除けば、国産中・大型ヒョウモンのほぼ全てをこの草原で観察できたことになります。今から50年ほど前には恐らくオオウラギンヒョウモンも飛んでいたはずで、やはり信州でも指折りの大草原はヒョウモン達にとって天国のような場所なのでしょう。
 最後に蝶ではないですが、可憐な昼蛾、ヒョウモンエダシャク(Arichanna gaschkevitchii)の吸蜜シーンもご紹介しておきましょう。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:9時04分

 ヒヨドリバナ類は花粉媒介において、鱗翅類から相当な恩恵を受けていることを改めて実感させられました。 
by fanseab | 2014-08-07 21:06 | | Comments(4)

コヒョウモンモドキの産卵行動を探る:その2(8月上旬)

 前回ご報告した北信のポイントでは産卵食草のクガイソウが見いだせない問題点がありました。産卵現場観察の難易度を下げるためには、クガイソウが確実に見られる場所での観察が必須と考え、中信地方の高原へ場所を移してのチャレンジです。
 ポイントと思われる斜面には7時過ぎに到着。ゆっくり斜面を登りながら、クガイソウの群落を探します。しかし、驚いたことに全くその姿がありません。遠くから斜面を見ると理想的な「草原」に見えるのですが、実はササが一面に覆っている「笹畑」になっているのです。唯一ヒヨドリバナ類がササ藪から抜き出ていて、ヒヨドリバナの一大群落を形成しております。そんなこんなで、やっとこさクガイソウを一株発見。

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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:7時46分

 ここは露岩脇にある窪地で、クガイソウの株高さはヒヨドリバナの1/2程度ですので、うっかりすると見落してしまう所でした。この後、500mX1kmに及ぶ対象斜面を彷徨ってみましたが、全体で発見したクガイソウの株は僅か3株。もちろんいい加減なサンプリング調査の結果ですけど、株間隔はざっと見積もって200mに1本程度でしょうか?こちらは3株目の姿。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/320、撮影時刻:8時03分

 こちらも窪地にあったので、遠目からは存在確認ができませんでした。こんな状況ですので、当初想定した「クガイソウ群落」等、夢のまた夢といった状況でした。ヒョウモン類が活動を開始し、ヒヨドリバナに吸蜜にやって来る時間帯になってもコヒョウモンモドキの姿はありません。この食草株数からは容易に想像できる結果でした。試しにそれまで確認したクガイソウの葉裏をチェックしましたが、モドキの卵塊は確認できませんでした。
 クガイソウ探索の過程で、高原に咲いている綺麗な花の様子も確認しました。先ずはハクサンフウロ。ベニヒカゲ含め、蝶が大変好むピンク色の花です。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F8-1/320、撮影時刻:8時27分

 ハクサンフウロはご覧のように笹原から花茎を轆轤首のように伸ばし、群落を作っております。ササが侵食してきても花粉媒介を維持できる高さまで花弁を上げる能力を持っているのですね。この草原にも多い、コキマダラセセリの♀が丁度、吸蜜にやって参りました。
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D71K-34、ISO=200、F8-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時10分

 ハクサンフウロ以外では、イブキトラオノやヤナギランも株高で、ササ類の浸食には強そうです。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:8時24分
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:8時59分

 ここまでの観察で、「ササ類の浸食→クガイソウの衰退→コヒョウモンモドキの衰退」
なるストーリーをぼんやりと実感しておりまして、ここにはモドキはいないだろうと諦めておりましたが、斜面を下りきったあたりで、ヒヨドリバナから吸蜜する一頭の♂をようやく発見。
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D71K-34、ISO=200、F10-1/640、-1.0EV、撮影時刻:9時29分

 羽化不全、かつ右触角が損傷した哀れな個体でしたが、意外と敏捷に飛び回っておりました。さてはこの近辺に食草があるのか?と必死に探しましたが、クガイソウは発見できず。ただ越冬後幼虫が食するとされるオトコヨモギは結構生えておりました。僅かに期待した♀の姿も発見できず、ガッカリでした。最近ブログ仲間により上高地上流にある露岩地帯の渓谷でクモマベニヒカゲやタカネキマダラセセリの画像が紹介されておりますが、クガイソウからの吸蜜シーンが定番となっております。それほど現地では普通に咲いている草本なのですが、高原ならどこでも咲いている草本ではなさそうです。結局、この斜面は見切りをつけて、やや湿潤環境にある草原に移動し、探索を続けました。暫く歩くと、この日、出会った4株目のクガイソウを発見。その後、現地でやっと♀に出会うことができました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F10-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時06分

 吸蜜源はアキノキリンソウだと思います。時折、ヒョウモンチョウ(ナミヒョウモン)♂に追跡されておりましたが、そのうち、この個体を見失ってジ・エンド(^^; 産卵時間帯と目される正午を含め午後1時過ぎまで粘るも♀を発見できず、ガッカリでした。ここではやっと、2株連なっているクガイソウ(画面中央下)を発見。
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TG2@9.6mm、ISO=200、F13-1/80、+0.3EV、撮影時刻:11時53分

 周辺はワレモコウの大群落で、チダケサシの数も多い場所です。この場所を離れて更に広大な高原の2箇所を探索しましたが、クガイソウは発見できず。コヒョウモンモドキの産卵現場探索で現地を訪問したつもりが、想定外の「クガイソウ群落探索」に目的がすり替わってしまいました。それほどクガイソウを発見するのは至難の業でした。この日の探索経験からは稜線上のように乾燥が進み過ぎた場所はクガイソウが嫌う感じで、やや湿潤な場所を好むようです。ただ類似環境はゴマンとあるのに、咲いている場所は限定されていて、単に地形的要素ではなく、土壌pH等も影響しているのか?と色々考えさせられたのでした。モドキ類(Melitaea属)はおしなべて食草が限定されているため、衰退しやすい種群と言えます。仮にヒヨドリバナに食性転換できるのであれば、今回訪問した高原はコヒョウモンモドキで溢れかえるのかもしれません。もちろん有りえない話でしょうけどね。今年のモドキ産卵探索はこれにて終了。「来夏の楽しみが残った」と負け惜しみを言っておくことにします(爆)
by fanseab | 2014-08-04 23:58 | | Comments(6)

高原で出会ったタテハチョウ達(7月下旬)

 コヒョウモンモドキ探索で訪問した高原で観察したタテハ類をまとめてご紹介しておきましょう。この日、一番嬉しかったのはオオヒカゲとの出会い。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時27分

 ♀と思われる個体。具合の良い事に白樺に止まってくれて高原の雰囲気が良く出ました。近くに沼などないはずだが・・・・と思って周辺を探索すると、結構離れた場所に小さな池を発見。ホストのスゲ類の確認はしませんでしたが、ここが恐らく発生源なのでしょう。今後、当地を訪問する際の楽しみが増えました。
 コヒョウモンモドキ♀が執着していたオカトラノオはヒョウモン類御用達の食堂でもあります。このポイントはメスグロヒョウモンがほぼ独占。山地に多いミドリヒョウモンはむしろ珍品でした。メスグロの♂と♀です。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時12分
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D71K-85VR、ISO=200、F5-1/640、-1.0EV、撮影時刻:10時48分

 拙宅近くの多摩丘陵とは異なり、標高の高い高原では夏眠をしないのでしょう。♀も結構欠けやスレ品が目立ちました。♀を丁寧に撮るには2週間ほど遅かったようです。

 やや薄暗い林縁のヒヨドリバナにはジャノメチョウ♀に混じってサカハチチョウ♀がひっそりと吸蜜しておりました。
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D71K-85VR、ISO=200、F13-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時03分

 本州でサカハチを撮るのは本当に久しぶりです。ムチャクチャでかい個体でした。個人的には数を減らしていると感じている本種。いつまでも可憐なイチモンジ模様を楽しみたい種です。

 さて、実はこの日はホシミスジの産卵シーンも目論んで当地を訪問した訳ですが、ホシミスジは生憎発生が終了しておりました。高原の夏はあっと言う間に過ぎていくようです。今シーズン、敢えてホシミスジの産卵を狙うとすると、関西あたりの低地(亜種setoensis)しか候補地が残っておりません。ちょっぴり残念な気持ちでした。
by fanseab | 2014-08-02 22:52 | | Comments(4)