探蝶逍遥記

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ジョウザンミドリシジミ?の越冬卵

 このタイトルからは、雪深い高原のミズナラ林を彷徨い、寒さに震えながら越冬卵探索を行った記事・・・と誤解されそうですが、実は、昨年9月中旬に採卵したお話です。夏眠明けヒョウモン類の産卵シーン撮影目的で八ヶ岳山麓を訪問した際、お遊び程度でミズナラの休眠芽をチェックしていたら、Favoniusらしき越冬卵を見出しました。休眠芽への産卵状況、発見ポイントで多くのジョウザンが観察できることから、8割がた、ジョウザンの越冬卵だと信じてお持ち帰りいたしました。ゼフの越冬卵表面は産卵後、継時的に汚染が進むので、できるだけ新鮮な状態で撮影したいところです。ところが帰宅後、直ぐに冷蔵庫保管に移し、撮影を予定していたものの、サボりにサボって、今回ようやく撮影いたしました。先ずは産卵状況の全体像。

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D71K-85VR、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:2月23日(採卵:2013年9月中旬)

 休眠芽の基部に1卵産まれており、ジョウザンとすれば教科書的な産卵状況です。次に超拡大像。
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D71K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:2月23日(採卵:2013年9月中旬)

 ご覧の通り、カビだらけで見苦しい画像です。何の為に9月に採卵したのか分からない結果にガックリですが、まぁ、自業自得ですね(^^; 棘皮先端の尖りは比較的鈍く、上記した状況証拠も総合勘案して、ジョウザン越冬卵の可能性が非常に高いと信じますが、念のため、疑問符付でご紹介しておきます。例によって、3月以降飼育を実施し、何とか羽化まで到達させて確認同定をしたいと思っております。いずれにせよ、ジョウザンについては、もっと綺麗な拡大画像の撮り直しが必要でございます。
by fanseab | 2014-02-23 22:13 | | Comments(0)

キナバル公園本部付近の野鳥(2008年4月)

 先日、コタキナバル市内の野鳥をご紹介したので、ついでに6年前のボルネオ遠征で撮影、ブログでは未公開の野鳥画像をまとめてご紹介したいと思います。撮影地のキナバル国立公園・公園本部付近(標高約1600m)は世界中から多くのバーダー(野鳥愛好家)が訪れる聖地のような場所ですが、鳥に詳しくない管理人にとっては将に「猫に小判」状態。珍品か否かの区別がつかないまま撮影しておりました。本来、野鳥を撮影する暇などないのですけど、訪問した4月下旬~5月上旬は大変な悪天候。午前中晴間が見えているのは8時から11時までの3時間程度で、昼頃から深夜、場合によっては翌朝まで土砂降り状態になってしまいます。とても蝶撮影はできず、仕方なく、公園内レストランのベランダ等から野鳥を撮って、暇つぶし?をしておりました。以下ご紹介する野鳥は当然、同定ミスがあるものと思われます。間違いあればご指摘下さい。

 最初にご紹介する子はノドジロオウギビタキ(Rhipidura albicollis、英名:White-throated Fantail)。宿泊したロッジの裏庭が芝生になっており、林縁に多くの野鳥が訪れて餌を啄む様子が観察できました。

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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/80、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、7時45分

 「扇ヒタキ」の和名の通り、尾を扇のように開いてディスプレイ行動を取るようです。顔付きや仕草は日本のオナガや佐賀県で観察できるカササギにとても近いですね。次はとても地味な小鳥。眉から頭部にかけての特徴からハイノドモリチメドリ(Stachyris nigriceps、英名:Grey-throated Babbler)と同定しましたが、自信はありません。
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/20、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、7時49分

 400mmかつ、シャッター速度1/20sec.ではブレブレになる見本ですね(^^; チメドリの仲間は東南アジアに沢山分布しているようです。次いで、ボルネオチャガシラガビチョウ(Garrulax treacheri、英名:Chestnut-hooded Laughingthrush)。
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D70S-VR84@400mm、ISO=800、F6.3-1/100、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、7時52分
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/80、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、7時53分

 ガビチョウの仲間は一度香港で出会っております。けたたましく鳴く印象で、英名の「Laughing」はその特筆すべき「やかましさ」を表現しているのでしょうね。この時は静かに芝生に潜んでいる昆虫類を漁っておりました。この子は翌日、木の実を啄む様子も観察できました。
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F7.1-1/320、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2008年5月1日、15時01分

 眼つきが可愛く無い鳥ですね(笑) 最後はタイヨウチョウの仲間、ベニタイヨウチョウ(Aethopyga temminckii、英名:Temminck’s Sunbird)の雄。最初は枝に付いた小さな花から吸蜜する姿。
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D70S-VR84@300mm(トリミング)、ISO=800、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、16時14分
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、16時15分

 真紅の頭部に白い腹。いかにも熱帯アジアを彷彿とさせる色合いです。この子はメジロのように敏捷で、枝から枝にチョコマカ動き回るので、撮影には大変苦労しました。しかも撮影時間帯は土砂降りの夕暮れ時。仕方なくストロボを照射しての撮影となりました。何とか吸蜜の瞬間を捉えようと努力して撮ったのが2枚目です。幸いカメラをセットしたのは傾斜地に建てられたレストランの屋根付テラス。雨に濡れずに樹冠付近に潜む野鳥も水平レベルで見込めるので、この点はラッキーでした。ついでにテラスにぶら下げてあるフクシア(Fuchsia sp.)のフラワーポットにやって参りました。
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、16時44分
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、16時48分

 ショッキングピンクのフクシアにクリムゾンレッドのタイヨウチョウ。「これぞ熱帯」と言った雰囲気の絵になりました。この子の頭部はモヒカン刈のような模様で、しかも黒帯内にはブルーの斑点がキラキラ輝いております。とてもインパクトのある子で、6年経った今でもその姿が脳裏に焼き付いております。なお、ネットで、「ボルネオ_ベニタイヨウチョウ」で検索すると、フクシアに止まるこの子の画像がズラリと並んでおります。恐らく撮影場所は管理人と同一箇所なのでしょう。さて最後は最初にご紹介した雄と同じ花弁から吸蜜していた個体。
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D70S-VR84@400mm(トリミング)、ISO=800、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2008年4月30日、16時45分

 よくわかりませんが、雰囲気的にはベニタイヨウチョウの雌と思われます。それにしても鋭い嘴ですね。この時撮影したボディは数世代前のニコンデジ一、D70S。高感度特性は酷く、ISO=800が事実上の使用限界でした。今回ピクセル等倍に伸ばして精査すると、ザラザラに荒れた画像で、とてもお見せできる代物ではありません。管理人の現在のメイン機D7100でも高感度特性に不満は残りますが、D70Sと比較すると雲泥の差です。6年前の画像を引っ張り出してみて、改めて機材性能の進歩を実感いたしました。
by fanseab | 2014-02-19 23:54 | 野鳥 | Comments(4)

DTM(デスクトップミュージック)にトライ

 拙ブログで初の音楽関係記事です。本ブログにリンクを張っている本体website:「東南アジアの蝶ファン倶楽部」には冒頭頁でBGMが流れるようにしております。BGMを入れるようになったのは5年程前でしたが、使用していた楽曲を提供して頂いた元サイトが閉鎖されたことに昨年末頃に気が付きました。許諾先サイトが閉鎖された状態で楽曲ファイルを継続使用するも道義上問題があるので、取敢えず当該BGMを削除いたしました。ただ音楽がないのも何となく寂しいので、一念発起して自力でBGMを作成することにしました。従前のBGMもインドネシアのガムラン音楽ベースでしたので、今回もガムランの香りが濃い曲想をイメージして作業に取り掛かり、悪戦苦闘の結果、何とか仕上げました。
お暇な方はこちら(外部リンクを覗き、聞いてみて下さい。

以下、苦労話をひとくさり。

(1)DTM
パソコン上で作曲(採譜)する作業をデスクトップミュージック(以下DTM)と称し、DTM用ソフトは有償・無償の物を含め多数存在します。管理人も種々の無料ソフトを検討した結果、Finale Notepad (外部リンク)を使ってみることにしました。

 これは楽譜上に音符を張り付けていく操作が直感的で分かりやすく、使用楽器数も120以上とバラエティーに富んでいます。

(2)ガムラン音楽
 次に「△outube」を物色して拙サイトに好適なガムラン音楽を探索しました。その結果、バリガムランの音楽形式「Degeng(ドゥグン)」による有名楽曲「Sabilulungan(サビルルンガン)」をアレンジすることにしました。元々ガムランは譜面を見て演奏するものではなく、演奏者同士が即興を交えて臨機応変に楽曲を奏でていくことから、websiteから採譜する作業も結構厳しいものがありました。しかも絶対音感の持主ならサラサラと音符を書き込めるのでしょうが、カラオケで音を外しても気が付かないレベルの管理人にとっては、耳コピペするには大きなハンディがございました。それと原曲は5分以上にも達する長さですけど、拙websiteの冒頭を繰り返し演奏する曲の構成単位は精々30秒程度が限界。短いフレーズでも原曲の輪郭を壊さないアレンジに苦労しました。

(3)ガムランの使用楽器とDTM
 楽曲Sabilulunganでは①竹笛(スリン:Suling)、②ビブラフォン(サロン:Saron)、③長残響音タイプのビブラフォン(グンデル:Gender),④木琴(ガンバン:Gambang)が主要演奏楽器です。DTMソフトで準備されている音色より、①をフルート、③をビブラフォン、④をマリンバで対応させましたが、重低音を担当する②のサロンに該当する音色がありません。何とかサロンの代替楽器を探し当て、作曲ソフト上ではきちんと再生できたのに、Midi形式ファイルに変換してパソコン上で演奏する(Windows media player)と、楽器固有の音色が再現できません。そんなこんなで結局②を除外して作成したのですけど、低音域を刻む役割の楽器が不在だと、ガムラン特有の雰囲気がイマイチ出せませんね。
なお、参考とさせて頂いた原曲は下記サイトで聴取できます。同一曲ですが、演奏者の違いにより、フレーズ毎のアレンジが相当異なっていることがよくわかります。

http://www.youtube.com/watch?v=HsnV8T6Q-vs

http://www.youtube.com/watch?v=juE-LXj3BQE

 ガムランは沖縄民謡と同様、5音音階を基本としておりますので、日本人にとって不思議と懐かしく聞こえます。しかも演奏に使用する楽器個々の調性を意図的に微妙にズラしており、非調和音が醸し出す独特な響きで心を動かし、疲れた心を癒すとされています。実際に「ガムランもどき音楽」を試作した結果、本物のガムランを作り、奏でることの難しさをつくづく実感いたしました。
by fanseab | 2014-02-16 22:53 | 音楽 | Comments(2)

<第10回 チョウ類の保全を考える集い ご案内>

 管理人も所属する日本チョウ類保全協会が主催する首題集いの案内文です。
2月16日まで本記事をトップに配置します。本文記事はこの記事の下にあります

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 チョウや生物多様性の現状と保全に関するイベント、「チョウ類の保全を考え
る集い」を、下記の要領で開催しますので、ご案内いたします。
 どなたでも参加できますので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。
<2/16追記>※関東地方の大雪の後、参加された方、大変お疲れ様でした。

2014年2月15~16日 国立オリンピック記念青少年総合センター
          (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
※昨年とは会場が異なります。

2/15(土) 会場:研修室401(センター棟4階)

13:30~     チョウ類の保全を考える集い 受付開始
14:00~14:10  開会 代表理事あいさつ 諸注意
14:10~14:30  危急性の高いチョウ類の現状および活動報告(第一部)
            北海道のアサマシジミの現状
            前田和信氏(十勝蝶の会会員)
14:30~15:10  蛾の魅力をたっぷり語る
            四方圭一郎氏(飯田市美術博物館)
15:10~15:35  津波跡地の今と復旧事業のゆくえ
            永幡嘉之氏(事務局)
15:35~15:50  昆虫館の紹介:蝶の民俗館(長野県) 
15:50~16:05   休憩
16:05~16:30  全国で展開しているチョウの保全活動のあらましと活動報告
             中村康弘氏(事務局)
16:30~17:30  参加者交流のグループワーク
17:45~     懇親会(同会場内のレストラン「レストランとき」)
             会費3,000円


2/16(日) 会場:研修室311(センター棟3階)

9:15~     受付
9:30~11:00  最前線からの報告:シカによる生態系被害
        原生林をシカが滅ぼす
           岸本年郎氏(自然環境研究センター)
        いまもっとも危機的なチョウ、ツシマウラボシシジミ
           中村康弘氏(事務局)
11:00~12:00  危急性の高いチョウ類の現状および活動報告(第二部)
        東京都のチョウとその動向
           久保田繁男氏(西多摩昆虫同好会)
        神奈川県秦野市の渋沢丘陵の開発問題
           日置乃武子氏(渋沢丘陵を考える会)

12:00~13:00   昼食

13:00~13:15  昆虫館の紹介:信州昆虫資料館(長野県)
13:15~14:00  明治神宮に残る自然環境―昆虫類を切り口に
           新里達也氏(環境指標生物)
14:00~15:00  身の周りのチョウを語ろう
        庭のチョウ類調査とその結果
           永井 信氏(庭のチョウプロジェクト)
        バタフライガーデニングの実際
           秋山昌範氏(ビオトープ管理士)
        当協会で取り組むモニタリングの方向性(事務局)

15:00     閉会


<参加申し込み>

参加費:1,000円
 参加ご希望の方は、人数を把握したいため、なるべく事前のお申し込みをお願
いします(2月10日締切)。なお、当日参加も受け付けます。
 また、15日(土)の終了後、18:00頃~同会場内のレストラン「とき」にて懇親会を開
催します(会費3,000円)。懇親会に参加を希望される方は、必ず2月10日までにお申し込みをお願いいたします

<会場までの道順>

(国立オリンピック記念青少年総合センター:東京都渋谷区代々木神園町3-1 
TEL03-3469-2525)。概略位置・徒歩での道順は下記画像をご覧下さい。
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●鉄道利用の場合
・小田急線 参宮橋駅下車 徒歩約7分(急行は停車しないため、各駅停車を利
のこと)。
・乗車時間の目安:新宿-参宮橋間は、小田急線で約5分。

●車利用の場合
首都高速4号線 代々木ランプより(三宅坂方面のみ) 約100m、初台ランプより(高
井戸方面のみ) 約2km、新宿ランプより(大型バスの場合) 約2km。
※駐車場はありますが、駐車料金もかかります(30分150円)ので、できるだけ公
共交通機関でお越しください。

<宿泊案内>
 会場となる参宮橋近くの新宿駅などには多くのビジネスホテルがあります。参
加者ご自身で宿泊のご予約をお願いいたします。

 画像がないのも寂しいので、岡山県で撮影したシルビアシジミ(絶滅危惧Ⅰ類)♀の開翅画像を貼っておきます。
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D7K-85VR、ISO=100、F4-1/2000、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2012年5月5日、9時39分

 この可憐なシジミも関西以西ではまだまだ健在ですが、関東地方では状況が厳しくなって参りました。いつまでも大切にしたいですね。
by fanseab | 2014-02-16 15:00 | | Comments(4)

カラスアゲハの飼育メモ(前蛹まで)

 昨年実施した飼育シリーズ。今回はアキリデスの最普通種、カラスアゲハです。昨年7月下旬、キリシマミドリ探索で静岡県某所に出かけた際、コクサギから複数卵を見出すことができました。実は数年前に同じ場所でカラスアゲハの産卵シーンに出会っており、ここで母蝶の出現を期待しておったのですが、時間帯が悪かったのか現れず、既に産み付けられていた2卵をお持ちかえりしました。コクサギへの産卵状況とその拡大像です。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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GXR@5.1mm、ISO=200、F9.1-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ+LEDライト、撮影時刻:10時53分(2013年7月下旬):囲みの拡大像はD71K-1855改@55mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯

 卵を見出した株には全体で5卵程産み付けられておりましたが、いずれも葉裏の縁近くへの産卵でした。また、コクサギに絡みついていたイケマの葉裏にも誤産卵しておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ+LEDライト、撮影時刻:10時49分(2013年7月下旬)

 産卵時に食草への前脚連打行動で、好みの食草か確認するのでしょうけど、コクサギ周辺なら、別種植物でもコクサギの葉と誤認して産んでしまうのですね。ただイケマは蔓状に絡まっているので、孵化した幼虫はちょっと歩き回ることで、無事コクサギに辿りつけることでしょう。持ち帰った卵は7/30に無事孵化しました(もう一卵は孵化せず)。初齢幼虫の姿です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=100、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:7月30日

 体長は3.5mm。クロアゲハやナガサキと異なり、緑色を帯びた灰褐色系で一目見て、これまでのアゲハとは異なる印象です。なお、食餌は孵化直後僅かにコクサギを齧りましたが、拙宅付近でコクサギを調達できる場所がないので、終齢までミカン類で飼育を行いました。8/2に2齢になりました。
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D71K-85VR(トリミング+下段のみ2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:8月4日

 体長は7mm。体全体にテカリが出てきます。全般に緑色を帯びる特徴は初齢から踏襲されております。2齢時の食痕もご紹介しておきましょう。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:8月4日

 葉の縁から食し、中脈まで食べ尽くす前に別の葉へ移動して食い直すようです。8/6に3齢になりました。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 体長7mm。体の艶がなくなり、頭部と腹端を除き、腹節の棘皮も殆ど目立たなくなります。色調は2齢と類似した傾向。もちろん、赤褐色をしたクロアゲハ3齢幼虫とは明確に区別が可能です。8/10に4齢へ到達。
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D71K-85VR(トリミング+上段のみ2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:8月12日

 体長13mm。後胸と第一腹節の巾が増大し、蛇の頭を思わせる形状になりました。この体型変化は他のPapilioと同じです。それと、地肌に細かい斑点が出現してきました。
 8/13に眠。翌14日に5齢になりましたが、色調・体型に変化はありません(画像未撮影)。通常よりも脱皮回数が一回多いタイプのようで、アゲハ類幼生期ではよくある現象だと思います。8/20に6齢(終齢:通常は5齢)になりました。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:8月20日

 体長25mm。お馴染みのアゲハ類終齢幼虫の姿になりました。特徴は全身に散りばめられた小斑点。白がメインで、随所に淡いピンク色斑点も入り、複雑な模様です。幼虫の時点で、既にアキリデス成虫の特徴である螺鈿細工のような翅の質感を彷彿とさせてくれます。将に「栴檀は双葉より芳し」ですね。8/26に下痢便を出して蛹化準備に入り、翌27日に前蛹となりました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:8月27日

 体長24mm。用意したサンショウの枝から脱出してトイレの壁で前蛹となりました。しかし、ここでまた悲劇が起きました。翌8月28日、急に前蛹が黒化し、そのまま★様になってしまいました。ナガサキアゲハと同様、前蛹で力尽きてしまったのです。原因はクロアゲハの記事で議論したように食餌の残留農薬の影響とか、ウイルス罹患とか色々ありそうですが、特定はできません。少なくとも寄生原因でないことは確かです。綺麗な♀が羽化したらエエなぁ~等と楽しみにしておりましたが、またまたガッカリでした。近い将来、オナガアゲハの飼育も前提に、コクサギの苗でも育てて準備せなあかんかなと思っております。

<2017年9月30日追記>
その後、飼育をやり直し、何とか羽化までこぎつけました。
下記記事も参考にご覧ください。


by fanseab | 2014-02-14 22:12 | | Comments(2)

コタキナバル市内の野鳥(2012年3月14日)

昨日、関東地方は45年振りの大雪になりました。幸い、本日には気温が上がって結構溶けましたが、未だ日陰には残雪が多くて、注意せねばなりません。こんな寒い日には南国ボルネオの話題でも出しましょう。と言っても蝶ではなく野鳥の記事です。一昨年暮れから昨年にかけて連載したグヌンムル公園遠征記(外部リンク)」では、蝶と昆虫に絞ってご紹介いたしました。ただ最終日、フライト乗継の関係で一泊したコタキナバル市内で、野鳥も撮影しておりました。このままお蔵入りにするのも勿体無いので、今回ご紹介することにしました。もちろん小生は野鳥の素人ですので、同定に間違いあればご指摘下さい。

 最初はキンパラ(Lonchura atricapilla:英名Black-headed Munia)。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D7K-34(トリミング):以下の画像は全て同一機材です、ISO=400、F4.5-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:9時51分

 スズメのように群れをなしておりました。和名のキンパラは腹が金色を呈すことに由来するのでしょうが、ご覧の通りの「焦げ茶腹」。恐らく亜種の一部は金褐色を呈するのでしょうか? 日本のイカルに似た独特の嘴形状ですね。お次は高い梢で単独で囀っていたチャノドコバシタイヨウチョウ(Anthreptes malacensis:英名Plain-throated Sunbird)。
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ISO=400、F6.3-1/1600、-0.3EV、撮影時刻:9時54分

 タイヨウチョウの仲間は香港あたりでも観察できますが、ボルネオでも以前、キナバル国立公園の公園本部付近でも見たことがあります。花から吸蜜するのに都合の良いように嘴がムチャ細長く延伸した格好をしておりますが、長さは種により様々なようです。
 次は同定できなかった野鳥。
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ISO=400、F10-1/1600、-0.3EV、撮影時刻:10時02分

 日本で言えばセッカとかヨシキリのような色合いで、ご覧の通り、嘴を大きく開けてやかましく囀っておりました。朝方の逆光で色が潰れて酷い画像ですが、どなたか同定できますでしょうか? お次は道路上に落ちた白い物体を啄んでいるメグロヒヨドリ(Pycnonotus goiavier:英名Yellow-vented Bulbul)。
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ISO=400、F13-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:10時02分

 これも逆光で眼の周りが潰れていますが、別の画像で「眼の周囲に黒い縁取りがあること」を確認できたので、メグロヒヨドリといたしました。ここから少し逆方向に歩いて海辺に近い場所で民家の屋根の止まっている巨大カワセミを発見。
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ISO=400、F8-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:10時22分

 ナンヨウショウビン(Halcyon chloris 英名:Collared Kingfisher)でした。日本のカワセミより遥かに巨大で、この子を見ると、日本のカワセミは本当に小ぶりです。同じ浜辺の岩礁地帯にはダイサキ(Ardea alba 英名:Great Egret)が多数群れておりました。
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ISO=200、F11-1/1600、-1.0EV、撮影時刻:10時26分
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ISO=200、F8-1/2000、-1.0EV、撮影時刻:10時36分

 一枚目は鏡像対称のような姿がとても面白くて思わずパチリ。飛翔シーンの背景は海上集落の一部です。最後は電線に止まっていたカノコバト(Streptopelia chinensis 英名:Spotted Dove)
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ISO=400、F8-1/2000、-1.0EV、撮影時刻:10時41分

 背中の後ろ半分が「鹿の子模様」になっていることが和名の由来でしょうか? まるでカーレースで使用されるチェッカーフラッグみたいな模様ですね。それと首が細いプロポーションもなかなか可愛いものです。丁度、日本のキジバトみたいな立ち位置の鳩のような気がします。真面目に野鳥を撮影する方は、コタキナバルのような都会ではなく、グヌンムルやキナバル国立公園に行かれるのでしょうが、蝶をメインに撮影していると、とても野鳥まで眼を向ける訳には参りません。鳥が詳しくないお蔭で蝶撮影に集中できるのだと、勝手に納得している管理人であります(笑)。
by fanseab | 2014-02-09 22:02 | 野鳥 | Comments(6)

コムラサキの越冬幼虫他(2月上旬)

 首題幼虫については、既に1月3日の記事(外部リンクでご紹介しました。この個体は現在拙宅から最短距離で観察できる場所にありますが、一昨年見出した「ご神木」のあるポイントは多摩川のもう少し上流側にあります。今回はそのポイントの現状確認。この日は折しもドンヨリとした曇り空で、本種越冬幼虫を探索するには絶好の日和です。現地11時半着。調査対象のヤナギ(正確な種類は未同定)を11本に絞り、各株約10分チェック。経験上、通常10分チェックして1個体も発見できなければその株は諦めた方が良く、逆に2個体ほど発見できると、その株には更に数頭潜んでいるケースが多いのです。結局、この日は12頭発見。一昨年は8株から24頭(外部リンク)を見出しており、そのシーズンに比較すると不作かもしれません。この日のご神木は樹肌に5頭付いていた「識別#11」の株でした。#11は夏場に母蝶が産卵していた株と同一で、化数によらず、好みの株が共通しているのは大変興味深い点です。実は、本年夏、母蝶産卵シーン撮影目的に、どの株で待ち伏せすれば効率的か?の重要なヒントを掴むべく、今回の探索を行ったのでした。

 コムラサキ越冬幼虫の体色は様々で、その多様性を今回ご紹介したいと思います。最初は茶褐色系の個体。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/100、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時42分

 頭部を下向きに体をくねらせて、周囲と見事に同化しております。お次は全体に灰白色部が目立つ個体。側面はほぼ灰白色です。
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-1.3EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時48分

 この個体を少し引き気味に撮影してみました。
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F22-1/80、-1.3EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時49分

 更に魚露目レンズ系をテレコン付対角魚眼に交換して撮影。
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D71K-10.5-X1.4TC、ISO=100、F13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:13時28分

  このカットを撮影している時点で少し陽射しが出てきて探索には悪条件になっておりました。曇り日ですと、こんな状態でも幼虫の色彩は周囲の樹肌と微妙に異なるので発見が容易になります。逆に快晴だと、樹肌の平滑部と溝のコントラスト差が強くなり、ギラつく樹肌に惑わされ、幼虫の存在がぼやけてしまうのです。

 次はやや黒味の強い個体。
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時57分

 ヤナギの樹肌は脆く、剥がれやすい性質があります。その剥がれた箇所に潜んだ個体です。剥がれた部分と幼虫の体色差が大きく、幼虫が比較的目立つため、発見しやすい状況になっています。最後は最初に例示した個体に比較してやや淡褐色が優る個体。
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D71K-1855VR@52mm-gy8(トリミング)、ISO=100、F29-1/125、-1.3EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時57分

 これは見事に周囲と同化した部類ですね。以上、ご覧頂いたように幼虫色彩は変化に富んでいます。ざっと見て、ヤナギ樹肌周囲と見事に同化した個体とそうでないものに分かれることに気が付きます。越冬準備段階の幼虫が樹肌上を歩き回り、越冬場所を確定した後、

「えーっと、俺の周囲は黒い部分が多いから、少し黒色色素を多めにしようか?」
「私の周りは灰色が目立つから、灰色に変化してみようかしら・・・♪」

等と色素調節を能動的に実施しているのでしょうか?まぁ、管理人はそうではなく、幼虫の体色はどこに潜むかは関係なく、各個体の色彩が偏らないように予めランダムに変化するよう、遺伝子に刷り込まれているような気がします。たまたま樹肌と見事に同化した個体を見ると、「能動的色彩変化説」を支持したくなりますが、例外的個体も多いことから、「ランダム色彩変化説」が妥当なのかな、と思います。この仮説を検証するためには、大量のコムラサキ越冬前幼虫を確保して、様々な色調の疑似樹肌を準備してこの上で越冬させ、色彩変化を確認すると共に、参照実験として、同数の個体を一定色の疑似樹肌に止まらせて、色調変化を検証することが必要でしょう。どなたか、上記実験をして頂ける方はおりませんか?

 さて、コムラサキの越冬幼虫探索中、ヤナギ樹肌上では様々な越冬小昆虫に出会いました。一度、これまた樹肌と見事に同化したシャクガと思しき幼虫を発見したのですが、こちらの刺激でどこかに移動してしまい撮影には失敗(^^; 次いで現れたのは体長6mmほどのヨコバイの一種。
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D71K-1855VR@52mm-gy8(トリミング)、ISO=100、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:13時01分

 ネットで検索すると、どうやらズキンヨコバイ(Idiocerus vitticollis)の越冬個体のようです。以前、ブログ仲間のkonty33さんもこのヨコバイを撮影(外部リンク)されておりました。それにしても、この子の擬態も見事です。魚露目に引き続き、85mmマクロで撮影しようとする間に、この子も行方不明に(^^;  越冬中じっと静止しているコムラサキ幼虫と異なり、越冬中も移動可能な相手は難敵ですね! 

 穏やかな冬の一日。曇り日が幸いして色々と楽しめた河川敷探索となりました。
by fanseab | 2014-02-05 21:35 | | Comments(4)