探蝶逍遥記

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広島のウラナミジャノメ(9月下旬)

 広島遠征の初日、キマダラモドキ探索で最初に訪問した林縁は竹藪の脇。流石に竹藪にはキマダラモドキはいないだろうな~と思いながら林縁を歩いていると、木蔭をゆっくりと飛ぶYpthimaに出会いました。ヒメウラナミにしては少し図体がでかく、静止した裏面を確認するとウラナミジャノメでした。

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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時16分

 実はこの近辺ではキマモ以外にウラナミジャノメも産するとの情報も把握していたので、念のため確認したらビンゴ!でした。因みに管理人は国内で本種を撮影するのはこれが初体験。生息していた環境にはヒメウラナミジャノメも混棲していて、特別な環境とは思えません。絶滅危惧Ⅱ類のカテゴリーに属する本種の生息環境保全は結構難しい問題だと思います。ウラナミジャノメ固有の生息環境が一義的に決まらないでしょうから・・・。また管理人は初体験故、本種の♂♀判定が結構難しいですね。↑でアップされた個体は何となく♀に見えましたが、如何でしょうか?間違いあればご指摘願います。初日はウラナミジャノメに没頭している余裕がなかったので、2日目の午前中このポイントを再訪。朝から結構蒸し暑く、日陰の草地をゆっくり舞う本種が観察できました。この時は行動パターンから飛翔している個体は全て♂と判定できました。最初はイノコズチで吸蜜する個体。
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、撮影時刻:11時05分

 イノコズチはやや暗い環境に生えていますから、暑さを避けているウラナミジャノメにとって、貴重な吸蜜源なのでしょう。♂は結構飛び古した個体から新鮮なものまで色々。ここでの第2化はダラダラ発生なのかもしれません。撮影していて感じたのは、ヒメウラナミに比較して相当敏感な事。ストロボ光にもシャッター音にも反応鋭く、意外と接近戦を許してくれません。それでも相当しつこく追跡してようやく接近戦をものにできました。
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時13分

 後翅眼状紋のスッキリ感はこの蝶最大のチャームポイントですね。キマダラモドキ同様、あわよくば本種の産卵シーンも・・・と気持ちはあったのですが、終日本種を追跡できず、それは今後の課題となりました。Ypthimaを探している際、飛び古したダイミョウセセリ♀に出会いました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時27分

 関東に棲んでいる蝶屋にとって、ダイミョウセセリ関西型はやはり気になってつい撮影してしまいますね。今回はクロツ探索もちょっぴりやりましたが、こちらは成果ゼロ。広島県の蝶探索も久し振りでしたが、所変われば何とやら・・・で、色々と楽しい場所でした。
by fanseab | 2013-09-30 21:17 | | Comments(4)

キマダラモドキの産卵行動(9月下旬)

 好天に恵まれた3連休の2日間を使って広島へ遠征しておりました。目的は夏眠明けキマダラモドキの産卵シーン撮影。キマダラモドキは甲信越地域では7月中・下旬から出現し、9月上旬頃には姿を消します。一方、西日本低地帯に棲む個体群は6月中旬頃から発生し、盛夏を夏眠した後、9-10月にかけて主として♀が活動を再開します。9月下旬は産卵シーン撮影の適期と考えて出撃しました。例によって正確なポイント情報は不明で、手探りでの探索になりました。そもそも山梨あたりのポイントは高原の疎林環境ですけど、西日本の低山地でどのような環境に棲んでいるのか?経験がないので、一苦労。とにかく雑木林のような林縁を探すことにしました。しかし、目的の雑木林は意外と存在せず、狭い林道を苦労して車を流す割には姿形も見えません。それでも何とかクヌギ(もしくはアベマキ:管理人はクヌギとアベマキの一発同定法を知らないのでクヌギとしておきます)が密に生えている場所を見出し、付近をウロチョロしてみました。初日の14時頃、クヌギの高木に突然2頭のNeopeらしき個体が出現し、樹冠付近で数秒絡んだ後、姿を消しました。あまりにも遠すぎたので同定もできなかったのですが、ようやく大型ジャノメに出会えることができました。更に林道をウロチョロ走らせていると、日陰になった崖地で淡褐色のジャノメが緩やかに飛んでいます。慌てて下車して300mmレンズで確認すると、おぉ!キマダラモドキです。しかも腹端を曲げて産卵行動の様子。近くでタッチアンドゴーを繰り返した後、クヌギの幹で産卵行動をスタート。

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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時16分

 母蝶はおよそ15秒この体勢を取った後、飛び去りました。キマダラモドキはNeope同様、卵塊で産むので少なくとも数卵は産み付けたはずです。産卵場所を300mmで確認するも卵が確認できなかったので、崖の脇からよじ登って現場確認をしてみることに。しかし、クヌギの樹肌を慎重に探しましたが白色とされる卵は発見できませんでした。ひょっとすると疑似産卵行動だったのか、何回か産卵をトライしようとしたが、産卵場所として不適当と判断して産卵を止めたのかは定かではありませんでした。産卵ポイントの環境画像を示します。
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GXR@5.1mm、ISO=320、F3.2-1/48、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時00分

 崖地は林道脇にあり、北西斜面で日中は殆ど陽射しが当たらない場所です。矢印が一枚目の産卵行動を取っていた箇所。丸で囲った場所で最初に目撃した産卵行動を取っておりました。ここには苔が生えていて、苔の間に産み付けた可能性がありますが、高さ4mの崖に直登することもできず確認できませんでした。母蝶が姿を消した後、崖地を登ってみると東南斜面はクヌギ、コナラが混じる雑木林で林床の下草が生えていない環境です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/17、-0.7EV、撮影時刻:13時07分(2日目に撮影)

 母蝶が潜んでいる可能性もあるので、あたりを探索しましたが、母蝶の姿はありませんでした。崖地の上には食草となるカヤツリグサ科(同定はできません)の草本が群生していて産卵環境としては申し分ない場所と判断いたしました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/34、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時19分(2日目に撮影)

 結局17時近くまで、この崖地近辺で探索するものの、キマモは姿を現さず、初日の探索は終了。翌日も午後このポイントで再探索することを前提に、午前中はクロツや他の蝶探索を実施。前日の産卵行動が15時頃だったので、現地には午後1時には到着し、パトロールをしました。13時25分頃、一頭のキマモらしき個体が車の脇を結構なスピードで飛び去っていきました。飛翔スピードから類推してNeopeかもしれないと思い、更に現場を探索していると、前日同様、クヌギ高木の樹冠付近を相当なスピードで飛ぶ褐色のジャノメを発見。静止したところをロングショットで撮影。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/400、-0.7EV、撮影時刻:13時42分

 驚いた事にてっきりNeopeだと思った個体はキマダラモドキの♀でした!右後翅の半分が大破していて前日観察した個体(こちらは左後翅が大破)とは別個体のようです。これまで甲信越のポイントで観察したキマモの活動は林縁の林床をノッソリと飛ぶ印象です。もちろん敏感ですけど、逃げ去る時のスピードはさほどではありませんでした。しかし、この日観察した個体はまるでサトキマやヤマキマ♂同士が樹冠で探♀飛翔する時のような相当な高速飛翔をしておりました。直接産卵行動と関係した活動パターンとは思えず、どんな生態学的意味を持つのでしょうか?前日、出会った2頭もどうやらNeopeではなく、キマモ♀同士の絡み合いだった可能性が強くなりました。興味深いのは雑木林の林床にネザサやメダケの類が生えていないことで、ヒカゲチョウの第3化やNeope第2化の生き残りも全く観察できなかったことです。恐らく地質的(土壌の酸塩基性)な影響で植生が特異的な場所なのかもしれません。

 さてこの後、前日産卵行動を観察した崖地に張り込んで、再度♀が出現するか待機しておりましたが、結局14時30分過ぎまではお出ましはなく、帰宅の都合で泣く泣く14時45分に現場を撤収いたしました。今回の遠征では個体数が少ないながらもキマモに出会えたこと、そして♀の奇妙な行動を観察できたこと、更に期待した産卵行動も観察できて、まずまず満足できるものでした。確実に産卵現場を押さえるリベンジマッチを行うには、広島はあまりにも遠く、コストもかかるので、来シーズン山梨か長野のポイントで実施することにします。

 今回の遠征ではキマモ以外にも興味ある蝶に出会ったので、それは次回ご紹介することにします。
by fanseab | 2013-09-26 22:21 | | Comments(4)

ウラギンヒョウモンの産卵(9月中旬)

 夏眠明けヒョウモン類の産卵シーン撮影目的で八ヶ岳山麓に向かいました。朝10時頃から吸蜜タイムがスタート。ヒョウモン達にとって、やはりアザミが一番人気。次いでノコンギク(ヨメナかもしれません:同定自信なし)と言ったところ。ここで飛んでいたのは、ウラギン、ミドリ、メスグロ。各々♀の代表例を示します。

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D71K-34、ISO=200、F9-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時20分
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D71K-34、ISO=200、F9-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時27分
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時37分

 概ね、鮮度はウラギンが一番。次いでミドリ。メスグロはボロボロの状態。メスグロは僅か2個体のみ観察できました。昼頃からスタートすると想定される産卵時間帯で、一番期待したのはミドリでしたが、樹木に飛来する♀個体はとうとう観察できずガッカリでした。一方で、それほど期待していなかったウラギンヒョウモンの産卵行動を複数回観察することができました。最初は林縁に囲まれた円形の草地に♀が登場。翅を半開状態で地面をウロチョロ歩き回ります。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時07分

 時々腹端を曲げる仕草をするものの、好みのポイントでないと直ぐにパスします。いい加減に産んでいる訳ではなく、好適ポイントを相当探し回っている様子です。母蝶はやや薄暗い林内に移動し、そのうち、腹端を深く曲げ産卵した様子。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時11分

 しかし、次の産卵行動を優先追跡したため、ここで産んだかの確認はできません(^^; 結局約6分間で5卵ほど産み付けた様子でした。産卵ポイントの環境です。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/90、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時35分

 針葉樹の林内で、陽射しと日陰が相半ばするような場所。恐らく夕方は西日が強く差し込む環境でしょう。この近辺で13時過ぎまで粘ったものの、ウラギン、そしてミドリやメスグロの産卵は確認できませんでした。そこで気分転換も兼ねて、少し場所を移動してみました。すると駐車した草地にウラギンが産卵行動を取っています。この個体は撮り逃がしましたが、別個体がすぐに産卵行動を取り始めました。腹端を差し込むような姿勢で産卵。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時51分


 ここも実際に産卵したかどうかは未確認。この後粘って、ようやく確実に産卵した現場を押さえることができました。アザミ類の葉上(葉軸上)に産みました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時51分

 ↑はやや大き目の画像でアップしましたので、画像をクリックし、拡大してご覧ください。産卵状況です。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/40、-0.7EV、内蔵ストロボ+LEDライト、撮影時刻:14時17分

 画面中央部(矢印)に淡黄色の卵が確認できます。成虫の図体の割にはとても小さい卵で、色調もくすんでいるため、結構現場確認し難いものです。現場では超拡大撮影不可能だったので、自宅に持ち帰り撮影。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ

 管理人は甘党ですので、フランスの菓子、「カヌレ」を連想させる形状です。ヒョウモン類の卵は概ね類似した形状とされています。最大直径0.77mm、高さ0.72mm。縦隆起は18本ですが、このうち9本が底面から精孔部まで到達し、残りは卵の7合目高さあたりで止まっています。ご覧の通り、アザミの葉は細かい絨毛が沢山あって、絨毛のジャングルの中に産み付けられた状況ではいかに深度合成とは言え、全貌を表現するのが難しいです。ウラギンは枯葉や枯れ茎にも産むとされており、どうせなら拡大撮影に便利な枯れ茎に産んで欲しかったです(^^) 
 この産卵現場の環境を示します。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/25、-0.7EV、撮影時刻:14時38分

 最初の産卵ポイントよりは風通しのよい場所で、広葉樹の葉が落ちる冬場は結構日当たりの良い環境と想定されます。ここにはオオウラギンスジヒョウモン♀も登場。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時03分

 この子の産卵シーンにも期待をかけましたが、いつまでたっても吸蜜に拘っており、結局産卵行動に出会えず。15時過ぎになって、少し冷えてきたのが潮時と考え撤収いたしました。当初期待したミドリやメスグロの産卵シーンは外したものの、ウラギンの産卵場面に上手く出会え、ほぼ満足すべき画像が撮れたことは収穫でした。
by fanseab | 2013-09-24 21:54 | | Comments(2)

房総半島産ヤマキマダラヒカゲの産卵(9月中旬)

 首題ヒカゲについては、過去春型・夏型含め都合4回参戦し、♂♀について色々な生態画像を採取して参りました。ただ交尾と産卵シーンは課題となっており、今年の5月は特に産卵シーンを狙って粘ったのですが、結局空振りに終わりました。今回は夏型でリベンジマッチです。
 先ずは夏型が集う林床に直行。想定はしていたものの、物凄い藪蚊の襲来です。予め防虫スプレーを体の露出部に散布したのですけど、効き目があるのか疑問の状態(^^; それでも刺されないので、どうやら効いていたようです。アズマネザサの林床は蜘蛛の巣の巣窟でもあります。レンズに付着すると厄介なので、一脚で露払いしながら進みます。すると早速1頭のNeopeが出現。シイタケ栽培用の榾木に止まりました。

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D71K-34、ISO=400、F11-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時06分

 どうやら、ヤマキマの♀でした。それほど飛び古した個体ではなさそうです。暫く注視しておりましたが、まだ産卵行動時間帯ではないようです。更に林床を分け入っていきますと、アズマネザサが完全に剥ぎ取られ、地肌が凹んでいる場所を発見。明らかにイノシシの垈場のようです。ということは・・・・、そう、マダニの巣窟の可能性があります。藪蚊、クモの巣、マダニ。三重苦と闘いながら、捜索を続けます。今度は少し大きめで白い個体が飛び出しました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時31分

 こちらは、サトキマの♀。本来、房総半島のヤマキマ/サトキマ混棲地域では、サトキマがヤマキマより先んじて出現するのですが、今年はどうも、両者の鮮度がほぼ同じで、混乱させられます。しかし、♀同士でサイズ比較をすると、概ねサトキマ♀の方が大きく、やや小さ目のNeopeを探せばヤマキマ♀であるケースが多いように思いました。ただ、ヤマキマの末期はヒカゲチョウ第3化の最盛期でもありまして、林床内には凄い個体数のヒカゲチョウが飛んでおり、飛び古したヒカゲチョウとヤマキマ♀を判別するのに結構苦労させられます。そうこうするうち、林床で明らかに産卵行動を取っているNeope♀と思われる個体に遭遇。脅かさないように追跡すると、林道に沿って飛び、林道脇にあるアズマネザサの小株で産卵をスタートさせました。先ずは証拠写真をパチリ。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時54分43秒

 この時点ではヤマ/サトを判別する余裕がなかったのですが、幸か不幸か、母蝶は一旦産卵を中断し、葉上で休憩。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時54分54秒

 間違いなくヤマキマ♀であることが判明し、ホッと一息つきました。観察を続けると、再度先ほど産卵した葉に乗り移り、産卵を再開しました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時56分29秒

 2-3卵産み終えたかな?と思われた段階で、85mmマクロを装着したD7000に持ち替えました。しかし、この時点で相手に感づかれたか、母蝶は飛び去り、姿を見失ってしまいました。葉を裏返してみると、何と、1卵しか産んでおりません(^^; 
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時35分

 葉に止まってからの継続時間をこれまでのサトキマの産卵シーン観察経験に当てはめてみると、最低5卵程度は産んでいたはずですが、意外でした。卵群を産み付けるのにはなにか不都合があったようです。産卵場所の全景です。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/20、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:17時19分

 ここは以前から、産卵場所と想定していた箇所の一つでした。産卵した葉の地上高は25cm。北向きですが、ご覧のように夕方は一部夕陽が差し込むような場所です。サトキマ同様、比較的風通しの良い場所を好むと推定。更に母蝶を探しますが、個体数が少なくて苦戦。その代わり、ヒガケチョウの産卵シーンをゲット。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時49分

 ヒカゲチョウの産卵シーンは昨年秋にも撮影しておりますが、今回は背景も抜け、夕刻らしい雰囲気も出せていい感じに仕上がりました。結局、ヤマキマ産卵シーンにはこの後、出会えず、日没近い17時30分過ぎに撤収しました。虎の子のヤマキマ1卵は予定通り、お持ち帰りして例によって卵の超拡大撮影を実施。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯増灯

 卵の色は淡いブルー味のある緑色。サトキマとそれほど顕著な差異はありません。直径は1.48mm、高さ1.38mmで少し歪んだ球形です。表面には不規則は凹凸がありますが、ヒメウラナミジャノメに見られるような網目状構造とは異なります。当該卵は現在飼育中で、1卵では相当リスクが高いですけど、何とか蛹化(ヤマキマは蛹越冬)まで到達させたいと思っております※。何はともあれ藪蚊と格闘しながらのリベンジマッチ、何とか目的を果たすことができました。春型も同様な環境で産むのか?5月初旬頃は藪蚊の襲来もないので、できれば確かめたい点です。

※[飼育記録こちら外部リンク]
by fanseab | 2013-09-17 21:29 | | Comments(2)

キタテハの産卵(9月上旬)

 ミヤマチャバネの産卵シーンを撮影した後、先日ご紹介したサトキマダラヒカゲの産卵現場を訪問。11卵隗は未だ孵化しておりませんでした。その脇のカナムグラで覆われた草叢を見渡すと、1頭のキタテハがゆっくりと飛んでいます。産卵行動と直感して即追跡。先ずは1枚ゲット。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、撮影時刻:16時28分

 ここでは新芽に2卵(#1,#2)産み付けました。産卵状況です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、撮影時刻:16時29分

 #2はピンボケです。例によって拡大像を撮影。ここはお手軽に前玉外し系を使用。
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D71K-1855改@55mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=100、F11~14-1/400、-2.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:22時30分

 #1と#2を少し異なるアングルから撮影しております。直径は0.68mm、高さは0.72mmで、縦隆起条は12本です。ここで以前撮影したヒメアカタテハの拡大像と比較しておきましょう。
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ヒメアカのみD7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成)、その他撮影条件はほぼ同一

 サイズはほぼ同等ですが、縦隆起条はヒメアカで17本と多く、キタテハの方が透明感に溢れています。まるでゼリー細工の仕上がり感ですね。
 この日の母蝶は約9分間の間に連続してほぼ20卵近くを産卵していきました。次は成葉に産んだ事例です。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、撮影時刻:16時32分

 成葉の場合は葉軸上に産卵するケースが多いように思います。一連の撮影を終えて、どうも仕上がりが暗いので、「おかしいな」と思ってチェックすると、何と外部ストロボの電源がオフでした(^^; ここでアップした画像はいずれも超露出アンダーなため、RAW現像で無理やりシャドウ部を持ち上げての仕上げで、色調再現性に問題が出ていますがご勘弁願います。時々、こんなミスをやらかしてしまいます。ストロボ電源を入れて、「さぁ!撮り直しぢゃ!」と意気込んだ瞬間、無情?にも♂(↓の画像の手前側個体)が出現して、求愛を始め、産卵行動が中断されてしまいました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時37分

 ♂も結構しつこく♀につきまとい、挙句の果てにペア毎視界から消えて、ジ・エンド。でも何とかタテハ中最普通種の産卵シーンが撮影できてヤレヤレでした。以前、キタテハの産卵シーンを観察したのは昼前後で、この日のように夕刻にも産卵時間帯があるのを知ったのも収穫でした。結局、この日はゴマダラチョウ、ミヤマチャバネセセリ、キタテハと一日に3種も産卵シーンが撮影できたラッキーな日和でした(^^)
by fanseab | 2013-09-15 21:10 | | Comments(6)

ミヤマチャバネセセリの産卵(9月上旬)

 横浜でのチャバネセセリ探索から15時頃帰宅しました。ゴマダラの産卵シーンには出会ったものの、チャバネに関しては消化不良の感があったので、多摩川縁でもチャバネの動向を探ってみました。すると、何とか1頭確認。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34(囲みはトリミング画像)、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時24分

 チャバネは閉翅状態での♂♀判定がイチモンジセセリより難しいです。前翅外縁が♂でも結構丸みを帯びるため、一目で♀と区別し難いのです。ここでは半開翅状態を真横から撮影しているので、♂前翅表にある細い性標部が前翅裏面では、少し盛り上がった構造(矢印)をしており、このアングルからも「この個体は♂」と判読できる実例になります。また、前翅1b室にある白斑(マル囲み部分)は♀にのみ出現し、♂では消失します。この2点から♂♀判定が可能です。ただ完全に翅を閉じてしまうと、両識別点がいずれも隠れてしまうので、腹部形状、もしくは複眼と翅のバランス感から雌雄判定をせねばなりません。この♂は縁毛が綺麗に揃っており、やはり多摩川でもチャバネは出始めであろうとの結論。♀産卵シーンはもう少し後でないと期待できそうにありません。

 さて、このチャバネを撮影したすぐ横にかなり汚損したミヤマチャバネセセリ♀が佇んでおりました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時24分

 ミヤマチャバネについても第3化産卵シーンを期待してお盆過ぎから観察をしておりましたが、遭遇できておりませんでした。産卵時間帯は同属のチャバネが夕刻であることから、やはり16時前後にあるはずであり、この個体を少しウオッチすることに。実は8月下旬頃から、いつも歩いている多摩川沿いの散歩道で、ミヤマチャバネセセリ(第3化個体)の卵、それも産卵後間もないと思われる卵を複数確認しておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F9.1-1/18、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:15時27分(8月下旬)

 矢印が卵で、オギ(イネ科)の葉の縁に産み付けられております。この卵がミヤマチャバネだろうと推測した理由は、①ミヤマチャバネがオギを大変好むこと。②卵の色は乳白色で、イチモンジとは全く異なり、サイズもでかいこと。③産卵位置がチャバネ(通常根際に産むとされる)に比較して遥かに高い位置(概ね80cm)にある点です。しかし、確証はなく、何とか産卵現場を確認し、上記仮説を検証したかったのです。少し一回りして先ほどのミヤマチャバネ♀を探すと姿がありません。残念、逃げられたかぁ~とガッカリしていると、オギの周りをホバリングするセセリを発見。おぉ!紛れもないミヤマチャバネです。驚かさないように先ず1卵産んだ後に接近して撮影に成功!
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時36分12秒

 画面右上方には既に産み付けられた卵が確認できます。このように母蝶はオギの葉の縁に産む特徴があります。この絵では腹端が葉被りになったので、次のチャンスを待ちました。産卵直前の拡大像です。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時36分26秒

 これもやや葉被りですが、イチモンジセセリ同様、暗赤褐色の産卵器官が確認できます(ただこの場面は結局産卵しておりません)。葉の縁に産み付ける関係上、♀は葉の縁を囲むように脚を廻し込んで支えるので、結果、葉が撓んで腹端がどうしても葉被りになりやすいのです。この点、葉の中央部(葉軸付近)に産むイチモンジセセリとは様相が異なります。今度は真横から撮るのを諦めて、斜め上方から見込んで撮影。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時36分56秒

 ここはバッタの食痕が残るような草臥れた葉に産んでいます。産卵直後の状態がこちら。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時37分03秒

 葉巾が狭いと、このように縁ではなくやや中央寄りに産むケースもあるようです。産んでいたオギの株の全景です。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時06分

 このように繁茂したクズの葉から突き出るように生えているオギが好みで、画面上矢印の2卵以外にこの株では都合4卵産み付けられています。また、卵以外に3齢幼虫の巣が一つありました。例年10月下旬~11月上旬頃、終齢幼虫が食草から離れて蛹化しますが、食草から離脱時点では、概ね1株につき1頭の終齢幼虫が観察されます。つまり、1株のオギに複数卵産み付けられていても自然淘汰されて、1頭、多くても2頭しか終齢幼虫まで生き残れないのです。例によって、卵の超拡大画像を図示します。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=100、F29-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:21時56分-22時30分(8月下旬)

 上から見込むと長円形状で、長径1.29mm、短径1.16mm。断面はほぼ半球状で、高さは0.75mm。底面近傍から垂直に伸びる縦条痕がありますが、高さ1/3程度で縦条痕は消え、規則的な網目状構造が表面を覆っております。精孔部の凹みはそれほど顕著ではありません。ここでイチモンジセセリとの形状比較もしておきましょう。
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撮影条件は同一

 ご覧の通り、ミヤマチャバネはイチモンジより2回りほどデカい卵です。色調も全く異なり、白いこともあって、遠くからも目立ちます。2m程度離れていてもミヤマチャバネの卵なら発見が可能です。目立たないイチモンジの卵は小さいし、老眼の管理人には観察が辛いものがあります。因みにイチモンジの卵は長径0.92mm、短径0.87mm、高さ0.51mm。

 ミヤマチャバネの産卵はゴールデンウイーク頃の第1化でも狙っていたのですが、惨敗でした。今回、何とか第3化母蝶の産卵シーンをゲットできて、本当に満足しております。
by fanseab | 2013-09-13 21:25 | | Comments(0)

ゴマダラチョウの産卵(9月上旬)

 この日は暖蝶寒鳥」のごまさん、 フィールドノートのtheclaさんとご一緒して横浜市内の公園でチャバネセセリの幼生期画像採集。少し時期早尚かな?との予想通り、イネの葉から見出せるのはイチモンジセセリの幼虫ばかり。終齢幼虫です。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-85VR(囲みはトリミング画像)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時29分

 チャバネの顔相とは全く異なります。その後、オヒシバの根際に産まれていた怪しげな卵を発見。①イチモンジセセリとは明らかに色調が異なっていること、②地表スレスレの位置に産まれている特徴からチャバネの可能性が高いのですが、確認のため数卵お持ち帰りし、飼育することに。さて、結果が判明するのは早くても2週間後ですけど、どうなることやら? ごまさん、theclaさん、当日はお疲れ様でした。

 午後1時頃、解散して駐車場に向かう途中、1頭のHestinaが高さ8m程のエノキに絡んできました。どうやらアカボシではなくゴマダラチョウ。しかも挙動から明らかに♀です! 最初はエノキ葉柄の裏側に産卵した模様。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時32分

 しかし、この距離・アングルではちょっと卵の存在が確認できません(^^; すると母蝶はすぐに幹伝いに腹端を曲げながら歩行を開始。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時33分

 このあたりの挙動はミドリシジミなんかとそっくりです。少し歩き回った後、小枝分岐部に産卵。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時34分07秒

 産卵直後の拡大画像がこちら。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時34分09秒

 手振れの酷い画像で恐縮ですが、矢印先端に産まれたばかりの青緑色の卵が確認できます。産卵位置はまるでミズイロオナガやオオミドリが産むような場所ですね。更に歩き回って、今度は幹のど真ん中に産卵。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時35分05秒

 同じく産卵直後の画像拡大。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時35分07秒

 白矢印の先に卵が確認できます。この箇所だと孵化した幼虫は相当な距離を歩いて枝先の葉まで到達せねばなりません。わざわざこんな遠い場所に産んで初齢幼虫に負荷を与えるのは生存戦略上、どんな意味を持つのでしょうね。いずれにせよ、産卵位置が高すぎて(木登りもできませんから)、卵の拡大撮影は諦めました。アカボシと異なり、産卵する高さが高い分、ゴマダラの産卵シーン撮影は難易度が高いですね。それでも偶然ゴマダラの産卵シーンに出会えてとてもラッキーでした。狙って撮影しようとしてもなかなかチャンスがありませんから。今シーズン、コムラサキ亜科の産卵シーンは、コムラサキ、アカボシ(外来種)、ゴマダラの3種を撮影することができました。残るオオムラサキは来シーズンの課題とします。
by fanseab | 2013-09-10 21:45 | | Comments(4)

サトキマダラヒカゲの産卵(9月上旬)

 マイフィールドの多摩川縁雑木林では先月中旬過ぎからサトキマの個体数が増加し、クヌギの樹液に群がる一方、♂は探♀活動に大忙がしの様子が伺えます。夕刻、そんな彼らの活動を観察していると、急に1頭の♀がネザサに止まり、産卵をスタートさせました。サトキマの産卵は昨年初撮影に成功しておりますので、今回はちょっぴり余裕で撮影。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時45分41秒

 翅も腹端も葉被りなので、少しアングルを変えて再撮影。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時46分50秒

 より接近戦で勝負するべく、85mmマクロで産み付けられた卵の表情をもう少し明確にしようとトライしてみました。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時50分59秒

 ただ母蝶の自重でネザサの葉が撓んでしまい、卵塊の全貌を表現できません(^^; そうこうするうちに母蝶を刺激したらしく、産卵を止めて飛び去っていきました。葉裏を確認してみると・・・・。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時51分

 11卵塊でした。デジカメのExifデータから産卵所要時間を計算すると5分23秒。従って1卵あたり所用時間は29秒となります。因みに昨年観察した3卵塊の平均所要時間は19秒/卵でした。今回はサトキマの産卵シーンを狙って撮影したのではなく、偶然出会うことが出来てラッキーでした。次なる課題はヤマキマの産卵シーン撮影です。
by fanseab | 2013-09-08 21:09 | | Comments(2)

ベニヒカゲの産卵(8月下旬)

 この夏は本当に酷暑ですね。平地で産卵シーンばかり狙うのも辛いのでたまには涼しい高原で撮影したいと思い、山梨のポイントに出かけました。現地10時頃到着。気温は恐らく20℃を切っているのでしょう。半袖では寒い位。早速♀の姿を追跡します。最初に登場した♀個体は吸蜜よりもしきりに吸水をしておりました。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時29分

 ジャノメの仲間は♂のみならず♀も吸水行動が盛んですね。そのうち、マツムシソウやアザミ等で吸蜜もスタートしました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時51分

 ベニヒカゲはシャッター音に物凄く敏感な蝶です。最初はストロボ光に敏感に反応するのかと思ってノンストロボで撮影しても一緒。シャッターに反応するのか、あるいはクイックリターンミラーの衝撃音に反応するのか、とにかく敏感で撮影に苦労されられます。産卵挙動を示す♀を追跡していると、それらしき個体を目撃。あたり一面咲いているフウロソウの葉に止まって怪しげな仕草を開始。ベニヒカゲは食草以外の葉や枯れ茎に産むとされているので期待が高まります。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時55分

 しかし、いつまで待っても腹部を曲げる行動に出ません。そのうち、笹の葉上で腹端から白い「蛹便」を吐きだしました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時57分

 蛹便は羽化直である証拠。つまり飛ぶのに一苦労の状態だったので、産卵行動と誤認してしまったのでした。思い込みとは恐ろしいものですね。この個体を追跡していけば、交尾場面に出会えるチャンスでしたが、本日の目的外なので、この個体とはスッパリ縁を切って、別の産卵行動♀個体を探します。ところが困った事に11時30分を過ぎると上空の雲量がほぼ100%になり、気温が下がってベニヒカゲも活動を完全に停止してしまいました。時折陽射しが回復した際、♂♀が絡む求愛シーンを目撃。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時50分

 手前が♂です。気温が低いのでこのままお見合い状態が続き、求愛と言うよりは、お互い仲良く開翅日光浴に専念する状態でした。さて、正午頃、ようやくそれらしき♀が出現。待望の産卵シーンを撮影できました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分23秒

 食草と思しきウシノケグサ類(同定に自信なし)の葉に直接産んだようです。産卵直後の画像がこちら。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分25秒

 腹端先に白い卵が確認できます。樽型で母蝶の体躯の割に大きいので非常に目立ちます。この後、開翅日光浴休止と産卵を繰り返していきました。崖地にある食草の枯茎に産卵した直後のシーンです。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時03分

 右触覚の先に産んだ卵(#1)が見え、その左側にもう1卵(#2)確認できます。確か連続的に産み付けた記憶がないので、#2は同一母蝶か別個体が既に産み付けていたのだと思います。この崖地は西~南西向きで、ベニヒカゲが産卵に好適と判断した場所なのでしょう。この後、開翅日光浴で休憩タイム。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時04分

 続いてすぐ隣の同様な環境に産み付けました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時05分

 不安定な足場に掴まってアクロバチックな姿勢で産卵しております。産卵環境を縦広角でも撮影(矢印先端が卵)。
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GXR@5.5mm、ISO=200、F6.6-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時23分

 卵は左の食草根元付近の枯茎に産み付けられています。産卵状況の拡大です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時13分

 母蝶の産卵姿勢もアクロバチックでしたが、産まれている状況もこれまたアクロバチック。樽型の卵底面の1点で、枯茎に何とか付いている状態。強風でも吹けば、「ドングリころころ・・・♪♪」と、どこかに転がってしまうのではないかと心配(^^; この画像からも縦隆起条を有する構造が見て取れますが、例によって、超拡大像を2方向から撮影。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時30分

 タテハチョウ亜科の微構造によく似ております。YpthimaMycalesisの卵は球形でほぼ平滑な表面を有しておりますが、それとは様相が異なります。ヒメヒカゲの卵はベニヒカゲと類似しているとされており、いつか比較撮影したいものです。

 今回運よく、ベニヒカゲの産卵シーンを撮影できました。ただ翅面とレンズが平行に揃うようなアングルでは撮影できませんでした。機会があれば撮り直しをしたいものです。
by fanseab | 2013-09-04 21:04 | | Comments(14)

ダイミョウセセリとアカボシゴマダラの産卵(8月下旬)

 8月下旬頃は拙宅近くの多摩川縁で観察できるセセリの種類数が最も多くなる時期です。前の記事でご紹介したイチモンジを始め、ミヤマチャバネ・ギンイチモンジの第3化、チャバネに加え、キマダラセセリの第2化がピークを迎えます。そのキマダラセセリの産卵を狙って、いつも通うポイントに出かけてみました。昼前後が産卵ピーク時間帯と睨んで、♀を追跡していきます。何回か産卵行動を示すシーンに出会いましたが、撮影できず、そのうち個体を見失ってしまいました。ガッカリしてウロチョロしていると、ヤマノイモが蔓状にフェンスを覆っている場所にダイミョウセセリが登場。ダイミョウ、実は多摩川縁のマイフィールドではミヤマチャバネよりも珍品なのです。何故かと言えば、ダイミョウが好む環境、つまりやや日陰の多い雑木林の林縁でヤマノイモが繁茂している場所が局限されるからです。運よく登場したダイミョウは明らかに♀で産卵行動の途中でした。結構神経質に食草の葉にタッチアンドゴーを繰り返していきます。7-8回吟味した後、ようやく若葉を選んで産卵をいたしました。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時16分45秒

 ダイミョウは開翅姿勢で産卵をしますので、腹端が葉に押し付けられていることが分かりやすい側面方向から撮影しています。ただ、丁度食草の枯茎が腹端と被ってしまいました。ダイミョウは産卵後、自分の腹端にある毛を卵の表面に擦り付け、「隠蔽工作」をすることが知られております。そのため一旦産卵態勢に入ってから産卵作業を終了するまでの時間は結構長く、この事例では13秒程度要しております。産卵終了後飛び立つシーンも偶然撮影。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時16分55秒

 こうしたアングルから見ると翅と体のバランス、腹部の太さ等、いかにも♀ですね。産卵状況です。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時50分

 卵表面に毛が付着しているので、卵の輪郭が目立たず、外敵から守る機能があるとされております。献身的に物事を実施する様の譬えに「骨身を削る」なる表現があります。ダイミョウ♀は骨身ならぬ「腹毛を削って」我が子を守る隠蔽工作をしている訳で頭が下がる思いです。羽化直後にはフサフサしていた腹毛も、産卵できなくなる頃には無毛状態になるのでしょうか? 例によって拡大撮影も実施。ここは前玉外し系で撮影。
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D71K-1855改@55mm(トリミング+上段2コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/400、-1.0/-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時10分

 毛玉の塊です(^^) 卵の底面近辺は毛で隠蔽しづらいと見えて、卵の地肌が少し見えております。どうやら卵の地色は淡黄色のようです。卵の直径1mm、高さ0.9mmですが、卵自身はもう一回り小さいのでしょう。卵表面本来の微構造を撮影するためには隠蔽工作された腹毛を双眼顕微鏡でモニターしながらマイクロマニュピレーターで取り外す作業が必要でしょう。さもなければ、母蝶が産卵した瞬間に強制的に母蝶を排除して隠蔽工作を止めさせ撮影するしかないでしょう。これは簡単そうで意外と難しいかもしれません。

 さて、ダイミョウの撮影を終えて数分後、ラッキーな事にエノキの周りを飛ぶアカボシゴマダラ♀に出会いました。時間帯から明らかに産卵行動です。例によって高さ50cm程の小木に何回も産卵しておりました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時22分

 通常、アカボシはエノキの成葉に産みますが、ここでは珍しく若葉に産み付けたようです。この絵は腹端が隠されているので、粘って再撮影。産卵直前の姿です。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分52秒

 いつもの通り、産卵の瞬間をトリミング拡大してみました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時24分58秒

 暗褐色の産卵器官が葉に押し付けられており、画像をピクセル等倍で検すると、葉上には接着剤となる液体が吐出されております。産卵直後の画像がこちら。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時25分01秒

 産み付けられた青緑色の卵が葉上に確認できます。アカボシの場合は産卵態勢に入ってから産卵終了まで10秒程度要することが多く、比較的アングル修正が効いて撮影は楽な部類だと思います。上記画像の場合は9秒要しております。え~しかし、恥ずかしながら管理人にとってアカボシ産卵シーン撮影はこれが初体験。実は今シーズン、白化した春型♀の産卵シーンを狙っておったのですが、個体数が少ないこともあって、これは失敗。ようやく撮影にこぎつけた次第(^^;

 産卵状況です。エノキの葉を真上から撮影。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時50分

 産卵直後は見事な保護色です。概ね成葉に産む場合、中央よりも葉の先端側にシフトした位置が好まれるように思います。アカボシの体躯を考慮すれば腹端位置が葉中央では産卵姿勢のバランスが取れないのでしょう。拡大撮影も実施。
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D71K-1855改@55mm(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=100、F11-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時13分

 形態的にはタテハチョウ亜科と類似したパターンで、地球儀で言えば経度線にあたる縦隆起(全19本)と、これに直交する緯度線に相当する微細な条痕が特徴です。同属のゴマダラチョウの卵微構造は未撮影なので、比較検討は今後の課題です。今回はたまたま共に昼前後に産卵時間帯を有するアカボシとダイミョウを同一ポイントで撮影できてラッキーでした。キマダラセセリの産卵についてはまだ少し時間的余裕があるので、再トライしたいと思っております。
by fanseab | 2013-09-01 22:26 | | Comments(8)