探蝶逍遥記

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アゲハチョウの越冬蛹(1月下旬)

 拙宅近くの飲食店脇にカラタチが植えてあって、以前からこの植え込みを探索がてら眺めておりました。時期も時期ですので、Papilioの越冬蛹がいないか?カラタチの株およびその周辺をチェックしていたところ、道路側の窓枠にナミアゲハの越冬蛹を発見。

++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時48分

 体色は見事なまでにこの木枠と同化しておりました。確か平賀壮太博士でしたか、「アゲハチョウ蛹の体色は蛹化時の付着物体の平滑性に依存し、周囲の色とは無関係」との経験則を提示されていました。この理屈からすると「粗面だから褐色系になる・・・」はずですが、今回窓枠に付いた個体を眺めると窓枠の粗度だけではなく、やはり「窓枠の色」も感じ取って蛹化したのではないか?との疑問が湧いてきます。周囲の環境を対角魚眼で描写してみました。
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時49分

 人通りの比較的少ない日曜日の午前中とは言え、歩道脇にしゃがみ込み、ストロボを焚きながら怪しげに撮影している管理人に対し、道行く人は好奇の視線を浴びせながら通り過ぎていきます。撮影が終わると厳冬の中、冷や汗が出たのでありました(^^; 
 さて、管理人も人影を気にしながらの撮影でしたが、この蛹も蛹化してからこの方、一体何名の通行人を眺めて過ごしてきたことでしょうね。一日500名として1ケ月で15000名。いやいやもっとかもしれません。そして待望の羽化に至るまで、この先、何人の人影を見続けねばならないのでしょう。無事に羽化するまで寒さ厳しい冬が暫く続きます。
by fanseab | 2013-01-29 21:29 | | Comments(10)

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(11)シジミタテハ科

 前回ご紹介したArhopala属同様、シジミタテハもボルネオではこれまで未撮影でしたが、今回やっと2種の撮影ができました。最初はゲザシジミタテハ(Abisara geza litavicus)。

++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F4-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、14時28分

 木製遊歩道上で吸水しておりました。前脚が完全に折りたたまれているので♂でしょうか? 後翅裏面だけ見れば、香港で沢山飛んでいるヒョットコシジミタテハ(A.echerius)そっくりです。
 次は東南アジア遠征で撮影したかったド派手な裏面を持つシジミタテハの一群。ハクイヌスシジミタテハ(別名:ヒオドシシジミタテハ、Taxila haquinus zemara)の♂。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F10-1/80、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、13時08分

 遊歩道脇の林内をのっそりと飛んでおりました。最初の印象は橙色系の小型Mycalesisかと思いました。図鑑上で想像していたより遥かに大きかったので、Mycalesisと誤認したのです。先入観とは恐ろしいものですね。撮影中、どんどんジャングル内に逃げていくので、これが精一杯。本種以外にもParalaxita属(ホウセキシジミタテハ)にも出会いたかったのですが、叶いませんでした。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-01-26 21:10 | | Comments(2)

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(10)シジミチョウ科その4:シジミチョウ亜科②

 ムラサキシジミのグループ(Arhopala属)はボルネオで90種を超える大群にも拘らず、これまでボルネオ遠征では未撮影。今回ようやく梢の上の個体を発見したものの、距離が遠くて種同定可能な絵は撮れませんでした。

++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/640、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、12時06分

 ピクセル等倍画像でかろうじて後翅基部側の斑紋が識別できる程度。しかも右後翅も大破していて、Arhopala sp.の表現に留めるしかありません。午前・午後のどのような時間帯に下草に降りるのか? 習性を把握しないと接近戦での撮影は難しいのでしょうね。遊歩道の脇の大きな葉を何気なく見ていると、なにやら食痕が見えます。何だろうと思って裏返すとビックリ! シジミの幼虫らしき姿が。
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D7K-34、ISO=640、F13-1/250、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、10時11分

 蟻も沢山随伴しております。85mmマクロでも撮影。
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D90-85VR(トリミング)、ISO=200、F13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、10時14分

 姿・形、それに蟻を伴う状況からひょっとしてArhopala属の幼虫かな?と思い、帰国してから調査してみました。すると、アゲハチョウ科でご紹介したChilasa属幼虫の同定でお世話になった京大准教授の市岡先生が共著論文で、管理人の撮影した幼虫と類似した画像を掲載しておりました。折角ですので、厚かましくも先生に再度本幼虫の同定依頼をお願いしましたところ、先生より次の通り、丁寧なご回答を頂きました。

①幼虫は恐らく、A. amphimutaと思われる。
②食草はオオバギ属(Macaranga)で、M. bancana, trachyphylla, havilandiiのいずれかだと思われる。

 市岡先生には改めて厚く御礼申し上げます。さて、上記論文でも触れられている通り、amphimutaサブグループ(※)に属するArhopala属4種(amphimuta, zylda, dajagaka, major)はいずれもトウダイグサ科オオバギ属を食し、4種各々が好む寄主植物種はそれぞれ異なるとされています。

※蝶研究界の碩学、Eliotは大群のArhopala属を細分化し、普通種のA.amphimutaを代表種とするサブグループを設定。ボルネオには16種産するとされている。

 また、Arhopala属幼虫はシリアゲアリ(Crematogaste属)類と共生関係にあり、シリアゲアリはオオバギ属の茎内に巣を造り、巣内に棲むカイガラムシ類とも共生関係にあります。本来、シリアゲアリはオオバギに付く害虫や外敵から防衛する役割を帯びていますが、ここに上手く居候して、堂々とオオバギの葉を食しているのが、Arhopala属の幼虫なのです。本来なら、シリアゲアリはArhopala属幼虫を撃退する立場にあるのですが、同幼虫の蜜腺から出る蜜欲しさに幼虫を攻撃することはないのです。蟻を巡る生物群というのは実に深淵な世界を築いていると思います。このテーマは最近出版された丸山宗利氏の著作、「アリの巣をめぐる冒険 未踏の調査地は足下にに詳しく紹介されています。この本は大変面白いので是非ご一読をお勧めします。

 最後にご紹介するのは、バナナの葉上に登場した茶色の大型シジミ。遊歩道から接近できない位置に歯ぎしりしながら300mmで撮影。管理人初物のナラダコノハシジミ(Amblypodia narada salvia)でした。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F6.3-1/800、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、12時42分

 本属のシジミとしては南ベトナムでアニタコノハシジミ(A. anita anita)に出会っており、今回で2種類目。anitaは現地で数多くみかけましたが、naradaは↑の画像を撮ったきり姿を現しませんでした。これでシジミチョウ科はおしまいです。最後に現地で観察・撮影できたシジミチョウ科全13種(含む幼虫)を改めてご紹介しておきましょう。

<シジミチョウ科目撃・撮影種リスト(黄色字は目撃種)>
(1) スブストリゴススエビアシシジミ(Allotinus substirigosus substrigosus) ♀
(2) ムラサキサカハチシジミ(Discolampa ethion icenus)♂
(3) エルナシロサカハチシジミ(Caleta elna elvira)
(4) リュウキュウウラボシシジミ(Pithecops corvus)
(5) ゼブラルリウラナミシジミ(Jamides zebra zebra)♂♀
(6) ルリウラナミシジミ(Jamides bochus nabonnassar)♂
(7) ルリウラナミシジミの一種(Jamides sp.)♂
(8) オナシウラナミシジミ(Anthene emolus goberus)♂
(9) ムラサキシジミの1種(Arhopala sp.)
(10) ムラサキシジミの1種の幼虫(A.amphimuta ?)
(11) ナラダコノハシジミ(Amblypodia narada salvia)
(12) フシギノモリノオナガシジミの1種(Drupadia sp.)
(13) タガリカウラギンシジミ(Curetis tagalica jopa)♂
次回はシジミタテハ科(ここでは便宜上シジミチョウ科の1亜科ではなく独立科として扱う)のご紹介です。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-01-23 21:26 | | Comments(2)

ウラゴマダラシジミの越冬卵(1月中旬)

 昨シーズン、ゼフ越冬卵探索の際、本命以外にウラゴも探索してみましたが、坊主でした。自らの探索能力不足を棚に上げて、「ついでに探したのが悪かったのだ」と勝手に解釈しておりましたので、今回はウラゴ一本に絞って東京都のポイントへ。関東地方に14日に降った大雪の影響で、日陰にはまだ残雪がある状況。朝が寒いのでノンビリと現地に午前9時20分着。高さ2m位のイボタを一本一本チェックしていきます。1時間経過して成果はゼロ。流石に焦ってきます。2時間が経過して都合15本以上のイボタの株を検するも全く発見には至らず。撤収しようか?と諦め気分で、最後に高さ1m程の貧弱な株を検すると、やったー! 枝の分岐からようやく2卵発見です(^^)

++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:12時48分
 
 魚露目で撮影したので、右下に残雪まで写ってくれて、雰囲気が出ました。越冬卵の地上高は約60cm。4年前に横浜で初めてウラゴ越冬卵を見つけた際、かなり鮮やかなピンク色を呈していた記憶があり、その時に比較して今回発見した越冬卵はかなり退色が進んでいる感じです。枝の肌と殆ど同じ色調なので、危うく見逃すところでした。続いて拡大撮影。卵の直径はほぼ1mmです。
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D7K-85VR-24R(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/160、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:12時18分

 ここは大まかに上下2コマで合成したツケが回って、一部が不自然にボケてしまいました。やはりウラゴのように複雑な立体構造を持つ越冬卵は、中間コマも含め、最低3コマ合成を基本にすべきなのでしょう。で、撮影角度を変えて4コマ合成にもトライ。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:12時37分

 やはり、こちらの方が自然な仕上がりです。4年前は前玉外しで撮影しておりまして、その際、ウラゴ越冬卵をお菓子のタルトに見立てました。基本、甘党の管理人はミズイロオナガの越冬卵を金平糖とか・・・ゼフ越冬卵をお菓子に擬えることが多いのです。今回の超拡大撮影でウラゴ卵を改めて見てみると、直感的に思い浮かべたのはベルギーワッフルです。恐らく左党の読者の方は、「ベルギーワッフルって何?」との疑問を抱くことでしょう。一度ネットで画像検索してみてください。

 それにしても、今回のウラゴの産卵位置はオオミドリのような枝の分岐だったため、撮影にはムチャ苦労しました。stacked-lensの前玉と装着ストロボの双方が枝と干渉するため、レンズの焦点を前後させると枝が動いてしまうのです。手持ちで撮影していることもあって、撮影終了後、腕と腰がえらく疲れました。まぁ、それでも坊主を免れたのでヤレヤレでした。今度撮る時は、樹肌表面に産卵されているような撮影しやすい対象で狙いたいと思います。
by fanseab | 2013-01-20 21:46 | | Comments(6)

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(9)シジミチョウ科その3:シジミチョウ亜科①

 今回はヒメシジミ族が主役です。最初に登場するのはムラサキサカハチシジミ(Discolampa ethion icenus)。管理人初体験の吸蜜シーンでした。 
                              
 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-1.0EV、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、10時18分

 表翅に和名の由来である紫色が覗いていることから♂と判断できます。これまで本種は吸水シーンばかりでしたので、吸蜜シーンは有難かったです。お次はエルナシロサカハチシジミ(Caleta elna elvira)。最初のボルネオ遠征(ダナムバレー)でも出会っておりました
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F9-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月11日、11時18分
 
 かなり高い場所に静止している個体です。裏面の斑紋を検すると確信は持てないですが、雰囲気的に♀かな。吸水に来るのは普通♂。こちらがその♂と思しき個体。
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D90-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、10時39分

 ナガサキアゲハ♂とのツーショットになりました。3番目に登場するのはルリウラナミシジミ(Jamides属)のグループ。同定に苦慮する仲間ですが、何とかゼブラルリウラナミシジミ(J. zebra zebra)♂と同定できた画像です。
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D7K-34、ISO=160、F4-1/1250、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、11時52分

 後翅をスリスリさせる習性はシジミに共通していますね。ほぼ純白の表翅が見えているので種類の絞り込みができます。種名zebraは「縞馬」の意味ですが、考えてみたらJamidesの裏面は全てシマウマ模様。本種は♀も観察できました。明らかに産卵挙動の場面を飛翔用に広角で追い回したので、産卵現場は撮影できず。飛翔は何とか撮れました。
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D5K-10.5-X1.4TC、ISO=400、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、14時19分
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D5K-10.5-X1.4TC、ISO=400、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、14時19分

 最後はオナシウラナミシジミ(Anthene emolus goberus)の♂。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、12時44分

 ストロボディフューザーに付いた汗を吸汁している場面です。このシジミはシンガポールで初めて出会った時も腕時計のリストバンドの汗を吸いに来ておりました。汗に対する執着心が相当強いので、こうした場面では追い払ってもすぐにまたやって来ます。なかなか憎めないシジミチョウです。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-01-17 21:34 | | Comments(4)

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(8)シジミチョウ科その2:ウラギンシジミ亜科

 ウラギンシジミの仲間も結構数が多いですが、今回出会ったのはタガリカウラギンシジミ(Curetis tagalica jopa)のみ。ダナムバレーに引き続きボルネオでの再会となりました。吸汁にやって来た♂です。
                                                                               ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/1250、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、11時59分

 国産ウラギン(C.acuta)に比較すると裏面の条紋が顕著で、これらの条紋パターンが同定の鍵となります。ただスレ品だとこの条紋がボンヤリして来て同定が苦しくなるのですけど(^^; この♂、チョロチョロ落ち着きなく飛び回っておりましたので、偶然、飛翔画像も撮れました。超ピンボケですが、表翅が写っている貴重な絵ですので敢えてアップしておきましょう。
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D7K-34、ISO=200、F5-1/1250、-0.3EV、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、11時59分

 ご覧のように前後翅共に橙色が翅面に大きく拡がっていて、飛翔中は濃橙色がとても印象的です。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-01-14 21:51 | | Comments(2)

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(7)シジミチョウ科その1:アシナガシジミ亜科

 東南アジアのシジミチョウ類で最も地味な仲間は多分今回ご紹介するアシナガシジミのグループでしょう。翅は表裏共に恐ろしく地味。おまけに暗い環境に棲んでいてアブラムシやツノゼミの幼虫を食う肉食性と相まって、根暗で陰気な印象を与えます。当然、蝶屋にも人気が無い一群ですが、ボルネオには39種も棲んでいる一大グループです。ただこの仲間は発見しようと必死になっても駄目な事が多く、偶然見つかるケースが殆どです。そして発見した個体の回りを見渡すと必ず蟻が随伴しているのです。さて、ここでご紹介するのは、スブストリゴススエビアシシジミ(Allotinus substrigosus substrigosus)の♀。苔むした樹肌に静止しておりました。もちろん、管理人にとって初物、ボルネオでAllotinus属に出会うのも初めてでした。 
                                                                   ++画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=320、F3.6-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、12時18分

 今回の遠征は単独ではなく、昆虫好きの知人(蝶屋ではない)との2人旅でしたが、暗いトレイルでワモンチョウ類を探して血眼になっている管理人を後目に、「ここに蝶がいるよ~!」と知人が教えてくれました。それだけ目立たない蝶でもあります。望遠マクロでも撮影。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F11-1/50、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、12時22分

 Allotinus属の同定は大変困難を極めますが、本種は後翅裏面第7室中央に明確な黒点が出現するため、奇跡的に同定ができたのです。偶然ですが、最近タイ・ランカウィ島方面に遠征されたブログ仲間のze_phさんが本種♂の画像を公開されています
 ♂に比較して♀の裏面はかなり白い印象を受けます。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-01-13 20:48 | | Comments(4)

Hestina属2種の第4化(2012年晩秋~初冬)

 管理人の住んでいる神奈川県・川崎市内ではゴマダラチョウ・アカボシゴマダラ共に基本、年3化とされています。ところが、両種共に11月以降に数は少ないものの羽化する個体が確認されており、これを第4化と見るのが自然な考え方だと思います。拙宅庭にある高さ3m程のエノキでの継続観察によれば、ゴマダラチョウの最遅羽化記録は2000年12月9日で、この観察結果を専門誌に投稿した経緯があります。一方、アカボシの場合は2010年12月2日が最遅羽化記録です(拙ブログ参照)。

 例年3化個体♀が10月頃産んだ卵はその後、3パターンの経過を辿ります。つまり、①ゆっくりと成長して短角型に脱皮し、11月末頃地表に降り、越冬個体となる。②11月頃までに蛹化し、第4化個体として11月末~12月にかけて発生、③比較的早く成長し、長角型で樹上もしくは落葉下で越冬個体となる。今回の観察対象は②に相当します。

 先ずはゴマダラチョウ。そもそも拙宅エノキにゴマダラが産卵するのは数年に一回程度で大変稀です。昨年11月にエノキを覗くと、アカボシの幼虫が数頭付いておりました。例年より数が少ないかなと思いながら、よくよく観察すると、1頭は明らかにゴマダラの終齢幼虫でした。その後前蛹になりました。

 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-24、ISO=400、F13-1/80、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日:2012年11月5日

 11月8日頃蛹化した後、エノキの葉が黄ばむ12月に入ると、葉に吐糸した糸が解けて、12月8日には尾鉤が葉から離れる事態になりました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/45、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2012年12月8日

 このままでは地上に落下するのも時間の問題だったので、仕方なく回収し、室内に保管して経過を観察することにしました。12月11日になって、翅面が色づき始め、翌12日に羽化間近を思わせる状況になりました。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年12月12日、22時31分

 腹節が緩む羽化間近のサイン(矢印)が出てきたので、カメラを準備して臨戦態勢で臨みました。この頃、蛹は5分~15分おきにブルッブルッっと体を震わせ、その度に腹節の緩みが大きくなってきました。恐らく蛹殻と成虫の体を分離する作業に入っていたものと推定されます。そしてついに、23時27分過ぎ、頭殻が破れ、羽化が始まりました!
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年12月12日、23時27分50秒

 その後の経緯を6枚組写真でまとめてみました。
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D7K-85VR(トリミング+画像合成処理)、ISO=200、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年12月12日、23時29分26秒~52分56秒。
 
 頭殻が破れてから翅が完全に伸びきるまで僅か25分間。油断してちょっと席を外していたら羽化の瞬間を見届けることはできませんでした。因みに管理人は屋内外を通じてゴマダラの羽化瞬間の撮影はこれが初体験で嬉しい限り。羽化個体は♀でご覧のように裏面はほぼ純白。春型、それも青森県等寒冷地で羽化する個体の裏面の白さに匹敵します。翌日、羽化した個体の開翅画像も撮りました。
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D7K-85VR、ISO=200、F14-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日:2012年12月13日

 表翅はさほど白化の兆候はありません。2000年12月に羽化した♀と比較すると、後翅第5・6室外縁側の白化はさほど顕著ではないようです。もちろんこの時期、屋外に出してあげても殆ど活動できない様子でしたが、いつの間にか飛び去っていったようです。当然、伴侶を見つけることはできないので、可哀想な末路を辿ったことでしょう。

 一方、アカボシゴマダラですが、昨年晩秋は例年と比較して観察できる幼虫の個体数が少ないように感じられました。拙宅庭で晩秋に蛹化した蛹2個体も、11月29日および12月17日に野鳥の食害で消滅しました。この時期はとにかく野鳥の被害で羽化できない個体が目立ちます。結局、管理人が昨年最遅羽化記録として観察したのは自宅近くで11月16・17日両日に羽化した♀♂各1個体でした。♀は恐らく11月16日の夕刻~夜に羽化したものと思われます。魚露目で羽化環境を描写してみました。最初は♂。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=400、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年11月17日、9時08分。

 このアングルからは見えませんが、右前翅は羽化不全状態でした。次に開翅を撮りました。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=400、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年11月17日、9時13分。

 翅裏、表翅共に斑紋特徴は夏型そのもので、外来種アカボシ春型の特徴である「白い」状態ではありません。過去に観察したアカボシ第4化個体♂はいずれも夏型と大差ない斑紋でした。お次は♀。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=400、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年11月17日、9時13分。

 右下に羽化殻が見えています。因みに♂も同じエノキの実生から蛹化しております。こちらは裏面第5・6室の白班がかなり外縁側に伸びたような状況で夏型に比較すると僅かに白化が認められます。概ねアカボシ第4化♀はこのような特徴を認めることができると思います。

 ↑でご紹介した♂は夏場だったら、すぐお隣で羽化した♀に猛アタックをかけていたでしょうが、寒空の下、そんな元気もなくひたすら寒さに耐えていたように思います。ゴマダラ・アカボシ共に第4化羽化個体には「寒さ」という厳しい現実が待っているのです。
by fanseab | 2013-01-10 22:05 | | Comments(8)

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(6)シロチョウ科

 今回遠征でシロチョウとは相性が悪く、過去2回の遠征含め、観察種類数は最低でした。毎回、きちんと撮ろうと狙っている普通種のアサギシロチョウ(Pareronia valeria lutescens)についても飛翔している姿を見送るだけで吸蜜シーンは撮影できず、ガッカリ。そんなこんなで僅かに撮影できた3種類を今回ご紹介しましょう。最初はニケビレイキチョウ(Eurema nicevillei nicevillei)の♀。公園ロッジの敷地内で撮影。                                  
 ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=200、F9-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月11日、9時29分
 
 Eurema属は同定が難しいですが、ニケビレイとトミニア(E.tominia)は前翅内縁に黒い縁取りが出ることが特徴で、裏面撮影でもこの縁取りが透けて見えれば、他種との区別が容易です。そして前翅裏面中室に斑紋が出ればnicevillei、無紋ならばtominiaと同定できます。ジャングル内で静止していた本種♂を撮影したところ、ストロボ光に驚いて飛び上がり、飛翔画像が撮れてしまいました。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、8時20分

 ただこうした状況で「偶然撮れてしまう」飛翔画像は元来の静止位置で合焦させているので、複眼には合焦しないケースが殆どです。ピンボケですが、ご存じの通り、Eurema属の表翅を撮るチャンスは飛翔以外にないので、nicevilleiと判断できる貴重な画像ですので敢えてアップしておきます。前翅内縁側の黒い縁取りが明確に確認できます。また、この黒い縁取り部分内で前翅基部の翅脈が2本黄色く浮かび上がって見えます。これが種nicevilleiの特徴であり、近似種tominiaの該当翅脈は黒色で翅脈が浮かび上がって見えることはありません。Eurema属は他にも沢山飛んでおりましたが、意外と撮影チャンスはありませんでした。Euremaに良く似ていて東南アジアの各地でよく見かけるムモンキチョウ(Gandaca harina elis)に今回も出会うことができました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=100、F9-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、8時20分

 遊歩道上で吸水しておりました。おしまいはウラナミシロチョウ(Catopsilia pyranthe pytanthe)♂。早朝、公園ロッジに植えられているバナナの葉上に静止しておりました。

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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、6時36分

 敏速に飛ぶウスキシロチョウ類も流石に未だ寝ぼけ眼で、じっくりと撮影できました。最後に目撃・撮影できたシロチョウ科リスト全7種をアップしておきましょう。

<シロチョウ科目撃・撮影種リスト(黄色字は目撃種)>
(1) ニケビレイキチョウ(Eurema nicevillei nicevillei)♂♀
(2) キチョウの仲間(Eurema sp.)♂
(3) ムモンキチョウ(Gandaca harina elis)
(4) ウラナミシロチョウ(Catopsilia pyranthe pyranthe)♂
(5) アサギシロチョウ(Pareronia valeria lutescens)♂
(6) クロテンシロチョウ(Leptosia nina malayana)
(7) カワカミシロチョウ(Appias albina albina)

 次回はシジミチョウ科のご紹介です。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-01-07 22:33 | | Comments(0)

新年初撮り:ゼフ越冬卵探索他(1月初旬)

 今年最初の撮影は成虫ではなく、冬場恒例の越冬卵探索で横浜の公園に赴きました。昨シーズンも撮れなかったアカシジミ、それに撮り直し目的のオオミドリをメインターゲットに探索。結局、アカシジミもオオミドリも坊主。ついでに探したウラゴもミズイロオナガも坊主。情けない戦果にガッカリです。昨年のロンドン五輪で「K島さんを手ぶらで帰らす訳にはいかない・・」と名言を残した某水泳選手がおりましたが、管理人も新年早々手ぶらで帰る訳にはまいりませんので、ミドリシジミ越冬卵を探索。こちらはすぐに見つかりました。結構な卵塊で産まれておりますが、寄生卵もそれなりにありました。
                                                                                                                                      ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR-24R(トリミング)、ISO=200、F29-1/125、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:12時28分

 しかし、ミドリの越冬卵は苔が付きやすいのが困りもの。ハンノキが湿った場所に生えているので仕方ないのでしょうね。一応深度合成像も撮りました。
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D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/125、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:12時28分

 次にもう少し汚染度の少ない卵塊を見つけて再撮影。
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D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/160、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:12時35分

 今度は深度合成が上手くいきません。難しいもんです。苔の付いていない綺麗な越冬卵撮影は母蝶産卵後間もない7-8月頃が適しているのでしょう。

 さて、この日は越冬卵探索の過程で面白い甲虫に出会えました。カシアシナガゾウムシ(Mecysolobus piceus)です。この甲虫は以前より虫林さんのブログでよく紹介されていて、一度は観察してみたいと思っておりました。今回運良く出会えたので魚露目で撮影してみました。
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D7K-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:13時42分

 ゾウムシ体表の質感はコナラ枝分岐部のゴツゴツ感にそっくりで、見事な擬態になっていると思います。魚露目では近・遠景の大小が誇張されて写るのでこの虫も結構大きく表現されておりますが、実際は体長5mmほど。驚くほど小さいです。ただ、前脚・中脚は後脚の数倍長くて、まるでテナガコガネのようなアンバランスな体の造りです。コナラの小枝分岐部にその長い前脚・中脚を絡み付けて静止しております。丁度、その姿は一昔前に流行った「抱っこちゃん」そっくりです。でも「抱っこちゃん」と聞いてピンと来る読者の方は団塊世代以前の方でしょう。確か1960年に登場して60年代前半に大流行したオモチャですので、現在40代後半の方でもご存じないでしょうね。次に複眼が入るように逆光でも撮影。
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D7K-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:13時45分

 こちらの絵の方が「抱っこちゃん」を彷彿とさせるかもしれません。魚露目でレンズを接近させて撮影していると、ゾウムシを結構刺激したのか、モゾモゾと動き始めました。動き出すと結構俊敏で、ポロリと地上に落ちるのではないか?と心配させられました。そのうち、コナラ休眠頂芽に到達して一休み。
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D7K-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:13時49分

 コナラ休眠芽の色とは違和感あるので、このポジションだと隠蔽効果はありません。やはりコナラの小枝分岐部が本来の冬眠時静止位置なのでしょう。平地性ゼフ越冬卵の成果は殆ど坊主でしたが、珍しい甲虫に出会えてヤレヤレ。実は前日、近所の神社で引いた御神籤の結果は「小吉」。『この日の釣(蝶)果もやはり「小吉」かな?』と妙に納得して帰宅したのでした。
by fanseab | 2013-01-05 20:34 | Comments(8)