探蝶逍遥記

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山梨Favonius探索(6月24日) (2)クロミドリシジミ等

 当日、現地到着は5時35分。下車すると、ちょっと蒸し暑さを感じます。直感的にダメなパターン。独りで叩き出しをすると、クロミは♂2、♀5、合計7頭出るものの全てロスト(^^; 単独探査の悩みどころです。ガッカリして少し場所を移動すると、どこかでお見受けした顔が・・・。「お久しぶりです~!」と声掛けしてくれたのは、ブログ仲間のnaoggioさんでした。聞くと、既に同行されていたmidoriさんと数頭を確保している模様。有難や、有難や・・・。midoriさん曰く、♂らしき個体は撮影直後に飛び去って♀2頭のみ残っているとのこと。未だ♀開翅までは時間がありそうなので、midoriさんが長竿で叩き、管理人とnaoggioさんで行方を追う共同作業を開始。新たに♂1、♀3を下すことに成功。しかし、この♂も梢高い場所に止まり、敏感にもすぐに飛び去ってしまいました。予想通り、気温が高い時の敗戦パターンでした。で、気を取りなおして、♀の開翅を待つことにしました。その前に先ずは閉翅を撮影。管理人が注視していた個体です。                                               ++画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:6時07分

 ストローを伸ばして下草の露を吸っている挙動をしております。暫くするとnaoggioさんより「こちらは開きましたよ~!」の連絡が入りました。慌てて急行し、クズ葉上の♀を撮影。
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D90-85VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:6時24分

 クズとカナムグラの葉が邪魔になって、結構厳しいアングルでの撮影になりました。兎に角、管理人♀開翅は初撮影。ヤレヤレでした。この個体を確保して頂いたご両名に感謝です。この個体撮影後、再度、管理人が確保した個体に戻り、開翅を待ちます。接近して観察すると、まるで猫が水飲みする時と同じように、頭を葉上に突っ込むような態勢を取っておりました。
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:6時43分

 しかし、この姿勢が不自然なので、よくよく見ると、どうやらこの♀個体のストローが異常に短いことが原因と推察されました。羽化時から短いのか、事故で切断されたのか不明ですが、とにかく吸水効率は正常個体に比較して悪いのでしょう。相当長時間吸水しておりました。そうして待つこと1時間、陽射しが強くなった頃、ようやく全開してくれました!
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D7K-85VR、ISO=400、F5-1/800、-0.7EV、撮影時刻:7時39分

 最初に撮影した♀個体に比較してスレが目立ちます。しかし、この個体が開いて直ぐに気が付いたのは前翅淡灰班の外縁側にうっすらと青鱗粉が載っていることでした。学研社の「日本産蝶類標準図鑑」、p114、図版42-7&9には同淡灰班の前縁側に青鱗粉が載った♀個体が紹介されています。いずれにせよ、通常のB型とは青班の出現位置が異なるようで、今後、クロミ♀開翅を撮る時の楽しみが増えたように思います。

 クロミと同時にミズイロオナガ、ウラナミアカも降りてきました。
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:6時14分
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:6時30分

 ミズイロオナガの鮮度はまあまあ、ウラナミアカは全般に少しスレ気味だったようです。少し気温が上がって、林縁でのオオミドリのバトルが激しくなる頃、タテハ類も登場しました。最初はヒオドシチョウ♂。
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D90-34、ISO=200、F13-1/250、-1.3EV、撮影時刻:8時17分

 羽化直に近い個体でしょう。外縁側のブルーがとても瑞々しく綺麗です。お次はちょっと飛び古したゴマダラチョウ♂。
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D90-34、ISO=200、F10-1/250、-1.3EV、撮影時刻:8時23分

 しきりに葉裏から吸水しておりました。もう1週間もすると、エノキ周辺を滑空する主役はオオムラサキに変わることでしょう。このポイントの後、少し渓谷沿いを探索しましたが、そこでは綺麗なサカハチチョウ春型♂に出会いました。
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D90-34、ISO=400、F11-1/1000、-1.3EV、撮影時刻:11時52分

 サカハチ春型は綺麗なのでついパチリと撮ってしまいます。この日、クロミ♂撮影の目的は達成できませんでしたが、♀開翅、オオミドリのテリ張りシーン等、色々と楽しめた一日でした。クロミ♂については、また来シーズンリベンジする予定です。
by fanseab | 2012-06-29 00:19 | | Comments(8)

山梨Favonius探索(6月24日) (1)オオミドリシジミ

 主にクロミドリ狙いで山梨に出撃です。クロミについての記事は別途書くことにして、最初にオオミドリについてご紹介しましょう。枝先から降ろしたクロミの開翅を待つ間、クヌギの高木を見上げていると、キラキラとゼフの輝きが。近寄って確認するとオオミドリシジミ♂でした。それも結構な個体数が飛び回っています。ざっと間口10m、奥行き30mほどの「T字型」の占有空間を4頭程の♂が激しくせめぎ合っておりました。それなりに飛び古した個体が多く、完品に近い個体を選んでテリ開翅を撮りました。                                    ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-34、ISO=200、F9-1/250、-1.3EV、撮影時刻:8時21分
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D90-34、ISO=400、F9-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時57分
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D90-34、ISO=400、F11-1/250、-1.3EV、撮影時刻:9時03分

 これだけ接近戦でオオミドリ♂を撮影するのは久しぶり。カメラと対峙するアングルによって変化するメタリックブルーを堪能することができました。2枚目の個体は敢えて逆光狙いで右後翅縁毛にちょっぴりブルーの幻光も観察できました。また、1頭の♂が葉上でテリ張り中、別の個体が同じ葉に並ぶ珍しい光景も目撃いたしました。
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D7K-20、ISO=200、F9-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時52分

 実はこの葉を支配していたのは、左前翅に欠けのある個体(向かって右:Aとします)。ところが、完品に近い別の♂(同左:個体B)がAの留守中にこの葉にちゃっかり居座っていて、後からAが舞い降りた場面なのです。以下、某人気ブログ、○山△子さん調でまとめた、AとBの想定問答。

A:ちょっと、あんた、ここはワシの指定席やで、はよ~どきな!
B:まぁ、固いこと言わないで下さいな。ついつい眺めが良くて、ちょっと一休み
  させてもらってます。それにお互い、ここで見張っていた方がライバルを確認するの
  に楽だと思いませんか?
A:グダグダと理屈をこねるやっちゃ。まぁ、エエや! けど、5秒たったらどくんやで!
B:わかりました・・・。

 実際にはものの数秒もしないうちにライバルが占有空間に出現。A、B両者が同時出撃して一大バトルがスタートしたのでした。
                                            
 さて、この日驚いたのはオオミドリの卍飛翔です。これまで管理人の乏しい体験では、オオミドリの卍は長時間持続することがなく、サッと絡んで直ぐに離れる印象が強かったのですが、この日は相当長時間連続した飛行を観察することができました。特に朝一番に観察した卍は7分近く継続していたように思います。で、先ずは300mmで狙ってみました。最初はロングショット。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:7時13分

 クヌギ高木をバックにキラキラ輝く卍は素晴らしい眺めです。続いて至近距離で300mmとしては奇跡的にピントが合ったショット。
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D7K-34(トリミング)、ISO=1000、F4-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:7時16分

 この後は広角にレンズを変えて卍狙いです。時間の経過と共に卍の持続時間が短くなって苦労しましたが、何とか良いショットをゲットできました。最初は縦位置トリミングで。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、外部ストロボ、撮影時刻:7時57分

 意図的にカメラをクヌギの樹冠方向に向けて撮っております。手前の個体がピンボケになった関係で却って、樹冠に向けての遠近感が良く出てお気に入りの絵になりました。お次は左下の個体が「迎え撮り」になったショット。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、外部ストロボ、撮影時刻:7時57分

 カメラに向かってくる迫力が出せた画像です。3枚目は2頭が一番バランス良く収まった画像。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、外部ストロボ、撮影時刻:7時57分

 因みに上に位置する個体は4枚目でご紹介した個体Aでございます。左前翅外縁の欠けがシンボルで、この個体はこの占有空間では優先的に振る舞っていた勇者と目される♂でした。最後は少し幻想的な雰囲気に仕上がった一枚。少し大きめの画像でのご紹介です。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時01分

 左下の個体はストロボ光照射の関係で、何故か東南アジアに棲むセキレイシジミを彷彿とさせる姿になりました。今シーズンから条件設定を変えた飛翔撮影法ですが、何とかゼフの卍飛翔にも対応できることがわかってホッといたしました。できればメスアカ、ハヤシの卍にも挑戦したいと思います。なお当日、現地では偶然ブログ仲間のnaoggioさんがお見えになっており、同行されていたmidoriさん:「美撮りに夢中!と撮影をご一緒いたしました。当日は色々とお話もさせて頂き、楽しい撮影会になりました。お世話になりました。次回はクロミドリシジミ他をご紹介いたしましょう。<続く>
by fanseab | 2012-06-26 21:23 | | Comments(20)

山梨ブルー探索(6月18日)

 変則平日出動で山梨に出かけました。メインターゲットは「ブルー系ゼフ」。まぁ、しかし難易度高い相手でして、敢え無く敗退です(^^; この後、一旦オナガシジミの終齢幼虫探索で目的地を確認するため、道路脇に駐車して地図とナビを相互確認。暑いので開放していた助手席側からふと草地を覗くと、ブルー系シジミが緩やかに舞っています。下車して確認すると何とヒメシジミ。最初は1頭のみかな?と思って探ると結構な個体数が飛んでおりました。管理人はヒメシジミを真面目に撮ったことがないので、ここはじっくりと撮影。最初は♂開翅。                                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=400、F4.5-1/2000、-0.7EV、撮影時刻:10時07分

 このシジミは縁毛が特別厚いのですが、この個体はかなり歯抜け状態で、見栄えがしませんね。お次は♀開翅。裏面を無理やり入れるアングルでパチリ。
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、撮影時刻:10時17分

 続いて同じ個体をほぼ真上から。
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/250、-0.7EV、撮影時刻:10時18分

 フィールド図鑑の準備段階ではよくこのアングルに拘って撮影しました。その時の癖で開翅を撮るといつもこのアングルになり易いのです。やはり♂と比較すると、腹部の形状、体と翅のバランスが異なっていることがよくわかります。このポイントは殆ど猫の額ほどの小さい草地ですが、それなりの密度の個体数が発生していたためでしょう、すぐに交尾ペアを見つけることができました。
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D7K-85VR、ISO=400、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:10時04分

 ♂♀共にド完品、おまけに♀は軽度の斑紋異常があるので、とてもインパクトのある絵に仕上がりました。こうして両者の縁毛を比較してみると、♀の縁毛が特別美しいことに気が付きました。♂が一様に白いのに対し、♀の前翅は前翅端のみ白、その他は濃褐色。一方、後翅は更に複雑で、後翅前縁~翅頂にかけて淡褐色、外縁側は内側が白色で、外側は濃褐色に塗り分けられた二重構造になっています。こんな複雑な縁毛を持つシジミは他にいるのでしょうか? 同じブルー兄弟のミヤマ・アサマ♀の縁毛はもっと単純な色彩だったと思います。交尾中はウロチョロ動き回って広角撮影も苦労しましたが、何とかパチリ。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時11分

 この後は飛翔狙い。ただ薄曇りの天候で露出設定を間違え、背景が全般に暗くなり過ぎたのには反省。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時51分

 この後オナガシジミ2齢幼虫を撮影したポイントに移動。枝先に終齢幼虫の姿は確認できず。時期的に既に蛹化している可能性もありましたが、根際の探索は諦めました。後は成虫狙いでまた訪れることにしましょう。そこから再度アサマシジミのポイントまで移動。昨年は7月8日にボロ♀を撮影しているので、時期的には新鮮な♂を期待しての訪問でした。期待通り、♂が舞っておりましたが、正午過ぎよりムチャクチャ暑くなり、全く静止する気配がありません。仕方なく飛翔で表翅のブルーを表現することに。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時28分

 1枚目はこの地域の個体群としては結構ブルーが乗っている♂。このポイントはススキも結構繁茂しておりますので、レンズがススキにぶつかったり、ススキで葉被りになったり飛翔撮影も苦労いたします。2枚目はそんなススキの空間を飛ぶ雰囲気が表現できました。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時30分

 3枚目は1枚目よりもブルーがかなり控えめな個体。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時30分

 飛翔中はかなり黒っぽい印象を受けます。それと午前中ヒメシジミの撮影をしていただけに、やはりアサマは大変デカく感じますね。気温の関係で静止場面は無理かと諦めておりましたが、一回だけ食草のナンテンハギからの吸蜜場面を撮ることができました。ススキが邪魔してこのアングルから撮るのがやっとでした(^^; 
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D90-85VR(トリミング)、ISO=400、F18-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時32分

 この絵を撮影した後、忽然とアサマの姿が消えました。あまりの暑さに草陰に身を潜めたのでしょうか? 折しも採集者が2名出現し、落ち着いて撮影する気力も失せたのでここで撤退となりました。昨年独自で見出したポイントと思っておりましたが、どうやら採集派も訪れる超有名ポイントだったのかもしれません。やはり開翅画像は気温の低い午前中に狙わねば駄目ですね。次回はまともな開翅画像を目標にしたいと思います。

 この日はゼフ探索にはガッカリでしたが、思いがけず、ヒメシジミのマイポイントを発見して、成果のある一日でした。
by fanseab | 2012-06-20 22:59 | | Comments(6)

台湾遠征記(16)11月22日午前中その6

 土曜日の関東地方は終日雨で完全休養日となりました。で、久しぶりに台湾の思い出シリーズをアップいたしましょう。林道脇の草地にちょっとインパクトのある眼状紋を持つジャノメが登場。                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F13-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時20分

 管理人初体験のコヒトツジャノメ(Mycalesis sangaica mara)の♀。高温期型ですが、これだけスレているので、低温期型への移行期間なのでしょう。陽射しの強まった谷筋に登場したのはエグリシジミ(Mahathala ameria hainani)。
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D7K-34、ISO=400、F13-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時22分

 本種は香港で吸水に来ていた個体を撮り逃がした経験があるだけにとても嬉しい出会いでした。ムラサキシジミ属に近縁ですが、ご覧のように後翅形状に特徴があります。肛角部が「おしゃもじ」のように発達していて、スレ品なのか?完品なのか、ちょっと目には分からないですね。ただ尾状突起は切れていて、これはかなりのスレ品なのです。広角でも撮りました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/160、-1.0EV、撮影時刻:11時22分

 いつか、完品、しかも開翅で表翅の紫色を眺めたいものです。因みに台湾は本種分布の北限かつ東限に相当します。正午前になって、結構気温が上昇してきたのに伴い、地面で吸水する蝶を多く見かけました。日当たりの良い路上に先ずやってきたのは、ヤエヤマイチモンジ(Athyma selenophora laela)の♀。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F13-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時29分

 ボロ品であったためか、ちょっと雑に撮ってしまいました(^^; 木陰側にはタイワンアサギマダラが登場。少し前に撮影した♂とは異なり、明らかに産卵行動と思われる挙動を示していた♀でした。と言っても止まる気配が無いので、300mmで飛翔撮影です。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/2500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時31分
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/2500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時31分
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/2500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時32分

 2枚目の後翅裏面、3枚目の後翅表面いずれも性標を欠く♀の特徴を何とか表現できました。ヤエヤマイチモンジの吸水ポイントには橙色班のミスジもやって来ました。
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D7K-34、ISO=640、F13-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時34分
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D7K-34、ISO=200、F7.1-1/1000、-1.0EV、撮影時刻:11時36分

 管理人初体験のタイワンイチモンジ(Athyma cama zeroastes)の♀。は北タイで撮影済みですが、♀は待望の初撮影になりました。ヤエイチ同様、♂♀の斑紋パターンが全く異なりますが、特に本種ではミスジ紋が橙色に変化するので、他種との識別が楽です。ヤエイチ・本種も含め、ミスジチョウの仲間は♀でも吸水にやってくることが多いですね。Papilioでは先ず考えられない行動パターンです。ここには後翅を大破したウスキシロチョウ(Catopsilia pomona )銀紋型♀も登場。
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D7K-34(トリミング)、ISO=200、F13-1/640、-1.0EV、撮影時刻:11時37分

 ウスキシロの吸水場面は久しぶり。香港で撮影して以来となりました。
by fanseab | 2012-06-16 21:20 | | Comments(4)

ウラギンシジミの飛翔(6月10日)

 この日は近所の公園に平地性ゼフ探索に。しかし戦果なく、暑いので公園のベンチで一息入れていると、水場を求めて1頭のウラギンシジミ♂がやってきました。新鮮な第1化個体に心を動かされ、暫くこの個体と遊ぶことに。ウラギンの飛翔はこれまで真剣に試みたことがないので、この子をひたすら連射です。                                       ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時46分

 最初は翅表と裏面の銀白色がバランス良く収まった一枚。お次は翅表が一番ピント良く仕上がったので、少し大きめでのご紹介。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時54分

 ご覧のように右手の草地には前日の雨の名残の水滴が・・・。3枚目は2枚目撮影の直後の場面。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時55分

 植栽のナンテンも写り、公園の雰囲気描写が出来ていい感じに仕上がりました。4枚目はカメラに突進してくる場面。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時10分

 背景に散歩している方も写り、縦位置トリミングした効果でシュールな雰囲気を出すことができました。以前パスト連射を撮影した結果から、ウラギンはこのように目一杯翅を打ち下ろした後、翅を閉じたままグーンと上昇し、閉翅状態でかなり長い距離を水平飛行することがわかっています。そのため、今回連射したコマの80%は閉翅状態で写っています。この飛行モードでは、翅を打ち下ろす際に最も馬力(否、蝶力?)を使うのでしょうね。5枚目はその閉翅状態の場面。
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D7K-20(ノートリ)、ISO=200、F13-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時10分

 空中での浮遊感が一番出た絵です。お次はこの日、撮影した中での会心のショット。
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D7K-20(ノートリ)、ISO=200、F13-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時11分

 この日は使用している20mmレンズでの置きピンをこれまでで最も短距離側に設定したのですが、何とか迎え撮り、それもノートリで背景の通行人まで写し込むことができました。この日の飛翔の作画は背景に公園の表情を描写すること(人工物も意図的に入れたい)。その意図通りの画像が得られました。背景にウラギンとツーショットで収まったおばさんから「蝶は動きが素早いから撮るのは大変でしょうねぇ~」とねぎらいの言葉もかけて頂きました。フレンドリーに飛翔撮影につきあってくれた個体も含め記憶に残るショットになりました。おしまいは4枚目と同じ翅を打ち下ろした場面。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時15分

 斜め後ろ側から覗き込むとこんな感じなんですね。翅を打ち下ろす時、全体のバランスを取るため、腹部を上方に向けていることがわかります。ウラギンの強靭な飛翔力を彷彿とさせる場面でもあります。

 ウラギン一本に絞り、ほぼ目論見通りの成果が出て満足すべき結果になりました。置きピン位置をどの辺まで蝶に接近可能か? 緑系ゼフの卍飛翔撮影のシミュレーションとして感覚を掴む意味でも良き練習になりました。
by fanseab | 2012-06-11 21:14 | | Comments(14)

ウラゴマダラシジミ(6月3日)

 久しぶりにウラゴを見に行きました。今回は初めてとなる東京都のポイントへ。午前中は所用で午後からの出動。一番活発な時間帯に差し掛かってるはずなので、開翅は諦めて飛翔一本の覚悟で現地に到着。いつもは緩やかに飛ぶ朝方での撮影なので、高速で飛ぶウラゴを見るのは初体験。最初はくすんだ色のルリシジミが飛んでいるのかいな?と誤認。すぐにウラゴだと気が付きました。低い場所を元気に飛ぶ姿はウラナミシジミの感じ。しかしエノキの樹冠とか灌木も含めて猛スピードで飛翔する姿はキリシマミドリを彷彿とさせ、やはり、ゼフの仲間であることを実感します。そのうち、エノキの葉影でひっそりと潜んでいる個体を発見。どうやら♀のようでした。                                                         ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F9-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時53分

 後はひたすら飛翔狙いで♂を追いかけ、バシャバシャ連射。面白いことにウラゴは探♀飛翔で、周回パトロールする際、複数個体が同期してやってくる感じ。一度に2頭が現れるとレンズを向ける方向を迷って混乱させられます。そして一度姿を消すと、暫くは全くやってきません。突然姿を現すので、「待ち」の時間帯も緊張してカメラを構えておりました。最初の画像はブログ仲間のダンダラさんも最近紹介されていたアワフキムシの作る泡にやって来た場面。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時49分

 この画像を撮る寸前、左側に見えている泡に突進、♀でないとわかるとすぐに飛び去ります。鳥の糞にもよく吸い寄せられておりました。この絵は飛び去った場面で、ご覧のようにかなり汚損した♂です。全般に♂の適期は過ぎていて新鮮な個体を探すのに苦労した感じでした。お次はエノキの葉を縫うように飛ぶ個体。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時55分

 パソコン上でこの絵を見て絶句。こんな絶妙な葉潜り飛翔は、殆ど曲芸技ですね。それだけ真剣に♀を探しまくっている訳です。3枚目はイボタノキに突進する姿。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時55分

 ご覧のようにイボタの花も萎れかけて絵柄としてはあまり綺麗ではありません。1週間ほど早めに来れば、白い花バックの画像が撮れたかもしれません。4枚目は全開翅。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時56分

 フィールド図鑑用画像に相応しいかな? 5枚目は今回撮影分では一番ウラゴらしい色調が再現できた画像。やや後ピンですが、少し大きめの画像でのご紹介。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時42分

 次は5枚目と同じ個体。表も裏もこの個体はこの日出会った♂で最も完品に近いものでした。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時42分

 おしまいも同じ個体。クズとイボタで挟まれた狭い空間を飛翔する姿です。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時42分

 今回は午後の時間帯で高速飛翔するウラゴを楽しく観察できました。不活発な時間帯には想像もできないスピードに目を見張ったのでした。
by fanseab | 2012-06-08 22:21 | | Comments(4)

房総半島のヤマキマダラヒカゲ(5月19日)

 少し時計の針を戻して先月19日の観察記録です。既に黒系アゲハ画像をご紹介しておりますが、実はアゲハの絵はあくまで副産物でして、この日のメインターゲットはヤマキマでした。
 ご存じの通り、静岡県の高橋真弓先生が1970年に日本のNeope属を再検討し、ヤマキマダラヒカゲ(N.niphonica)を記載しました(※1)。その後も先生は日本全国のヤマキマを調査され、房総半島産ヤマキマが他の集団から隔離された個体群として、亜種kiyosumiensisを記載されました(※2-4)。房総半島産亜種の特徴はヤマキマとしては異例の低標高地に棲むことで、垂直下限は海抜25m、分布の中心が60-120mとサトキマと重なることです。管理人も以前から本亜種撮影に興味を持っておりましたが、今回ようやくトライしてみました。先生の論文(※4)によると、

(1)ヤマキマ春型♂の出現は4月中旬からで丁度ゴールデンウイークが発生の最盛期。♀も♂にやや遅れて発生し、共に5月下旬には姿を消す。
(2)サトキマとの混生地では、サトキマ♂発生は5月中旬頃で発生の最盛期は5月下旬。♀は6月下旬頃まで継続する。
(3)つまり、ヤマキマとサトキマは季節的棲み分けをしている。

 この論文を改めて読み直して、「春型は嫌な時期に発生ピークがあるなぁ~」と思いました。そう、高標高地ギフやヒメギフのピーク時期と重なる訳で、わざわざキマダラヒカゲを撮影に千葉まで・・・と躊躇してしまうからです。実際、管理人も今シーズンの5月上旬は岡山でシルビア探索等していたものですから、既に時遅し。でも是非共見てみたい・・・。でヤマキマ春型♂を観察するにはギリギリと思われた中旬過ぎに思い切って探索してみた訳です。

 実は今回の記事アップが遅れたのには理由がありまして、撮影した画像のヤマ/サト判定に自信がなく、厚顔無恥にも高橋先生に直接私信を出し、同定をして頂くのに時間がかかったからであります。先生とはこの2月に保全協会会合で台湾産Ypthima属に関して、色々とご教示を頂いた経緯もあり、厚かましくもお願いをしてみました。
 さて、当日は先生の論文に記載されている当時(1989年)の記録地から5箇所を抽出し、順番に巡ることにしました。先ずは季節進行が遅れていることを期待して高標高地へ(と言っても標高は僅か150m)。現地8時20分着。ゼフ用長竿でペシペシ叩きながら、探索しますが、Neope属らしき姿は全くおりません。そこで次第に標高を下げながら、食樹とされるアズマネザサ・メダケ群落を目印に探っていきました。これらの食樹は川沿いに生えていることが多く、人家近くでもありまして、怪しまれる視線を気にしながらの探索活動になりました(^^; ところが、お握りの昼食を取った後も全く成果が上がりません。そして最後の候補地(標高20m)を探索していると、農道両側がメダケで囲まれた美味しそうなポイントを発見。                                                                     ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-20、ISO=200、F10-1/125、-0.7EV、撮影時刻:15時38分

 ここで午後2時頃、やっと2頭のNeopeがもつれあっている光景を目撃。興奮を抑えながら撮影したのが、下記のショット。                          
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時01分

 イチョウの葉の上での求愛行動で、左側の♀と思しき個体は翅を横に倒して交尾拒否姿勢を取っております。そのうち、♂は飛び去り、♀はおもむろに翅を立ててくれました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時03分

 残念ながらこの個体はサトキマの♀でした。先生の判定結果は一枚目の♂もサト。つまりサトキマの求愛拒否行動画像だった訳です。2枚目の画像で、サトキマとする根拠は、次の3点。

①後翅裏面基部にある3個の黄斑点の並び(形質Aとする)が直線的。
 →上の2点の外側接線が下の1点と交接しない。
②後翅裏面外縁側の眼状紋の黄褐色環の巾(形質B)が厚め。
 特に第4,5室の眼状紋内の「瞳」部分の黒点が殆ど消失している点。
③前翅裏面第5室眼状紋外側の白班(形質C)が明白ではないこと。

 2枚目の♀はタブノキの樹液にも来訪し、熱心に吸汁しておりました。
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D7K-34、ISO=500、F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時07分

 こちらの絵の方がより接近戦なので、上記①、②に関してはより特徴を把握しやすい絵になりました。観察していると、どうやらこのタブノキ樹液に集まる♀目当てに♂が来訪している感じです。そのうち、ヤマキマの食樹、メダケの低い丈に♂が止まりました。
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D7K-34、ISO=500、F9-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時11分

 これが探し求めていたヤマキマの♂でした。サトキマの特徴とは真逆な形質を備えます。すなわち、
①形質A:「くの字」配列が明白。
②形質B:後翅第2室の黄褐色環の巾は薄くなり、同第4,5室眼状紋内の「瞳」部分の黒点が明確。
③形質C:白斑が明白。

 事前に先生の論文(※2)を読みながら、「房総産春型♂はかなり小型」の先入観を持っており、↑の個体がサトキマ春型とほぼ同サイズであったため、ちょっと判定に苦慮いたしました。まぁ、個体サイズも変動がありますので、あくまで特徴ある形質に拘って判定すべきでした。また傾斜日光浴する個体も結構おりました。その事例です。フジの枝に掴まってカメラ側に体を倒しております。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時22分

 この絵には少々悩みました。形質Aはかなり「くの字」配列に近くヤマキマ的ですし、形質Bの後翅第4,5室の「瞳」も明白。更に形質Cはフジの葉で隠されて判定不能(^^; 
先生の判定結果は「サトキマの♂」。形質Bはサトキマそのものだそうです。また形質Aについては、「サトの3割程度にヤマキマ的配列が出現するが、ヤマにサト的直線配列する個体は殆ど無い」とのご教示。この個体、この後、ガマズミの花穂に止まって全貌を現してくれました。
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D7K-34、ISO=200、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時35分

 確かに形質Cの白班が目立たず、総合的判定は「サト」となるのでしょう。さて4枚目にアップしたのは別のヤマキマらしき個体が枯葉に止まりました。
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D7K-34、ISO=200、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時34分

 やはりこれはヤマキマの♂でした。右後翅が結構破損しておりまして、前翅の形質C判定部分がフジの茎に隠されて判定不能です。ただ形質A、Bの特徴からヤマキマと判定できるもの。特に先生は「後翅第6,7室の眼状紋が略楕円形になること」、「後翅外半部がやや紫色を帯びて暗化すること」も判定根拠に上げられておりました。お次は再びフジの茎に止まって傾斜日光浴する個体。
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D7K-34、ISO=200、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時44分

 どうやら、1-3枚目と同一個体のサトキマ♀のようです。さて、ここで読者の皆さんにクイズです。下記の吸汁画像はヤマキマでしょうか?それともサトキマでしょうか?判定に困るような個体ではありませんが・・・。
f0090680_20524227.jpg
D7K-34、ISO=500、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時18分

 えーっ、答えは5月21日付け記事の一番最後に載せてありますのでご覧下さい。コメントされる方は正解について触れないようにお願いします(笑)また参考までに先日、長野でオレンジ観察した日に撮影した長野県産ヤマキマ(名義タイプ亜種)春型♂の画像もご紹介しておきましょう。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/320、-1.0EV、撮影月日・時刻:5月27日、13時35分

 以上述べたヤマ/サト判定着眼点は先ほど刊行された「フィールドガイド日本のチョウ」、p.256-257にも一部が記載されております。ただ、形質B、つまり後翅裏面眼状紋の黄褐色環の巾の議論は記載されておりません。同ガイドには、「下記の特徴には例外もあり、総合的な判断が必要」と述べられております。しかし、初心者にとって、「総合的な判断」はとても辛いものです。もしそうであれば、判断材料の一つとして形質Bについても記述すべきと思います。特にガイドで触れられている表翅の形質特徴は通常観察では確認できないポイント(パスト連射飛翔でも撮影しないと先ず不可能)で、裏面観察に頼る場合は、眼状紋の特徴は大変重要な識別ポイントだと思います。文字数の制限もあるかとは思いますが、次回改定版では、形質Bについても是非、検討をして頂きたいものです。

 さて、今回、何とか念願の房総産ヤマキマ春型の撮影に成功いたしました。先生からは私信で「夏型の撮影も期待しています」との激励を頂きましたので、是非チャレンジしたいと思います。なお、夏型は春型とは逆にサトキマの出現より遅れ、8月下旬頃にピークを迎えるとのこと。つまり、サトキマよりも蛹の夏期休眠期間が著しく長く、幼虫発育期に酷暑を避ける工夫をしており、こうした生活史は房総半島産亜種の特徴でもあると先生は述べておられます(※4)もっともNeopeの居そうな環境は真夏に藪蚊の襲撃に遭いそうな場所でもありますので、ちょっと尻込みしますが、何とかこの夏、トライしてみたいと思います。
 今回の撮影結果については、高橋先生より多大なご教示を頂きました。改めて御礼申し上げます。尚、先生の関係著作論文について詳細を知りたい方は下記をご覧下さい。

<参考文献>
※1 高橋真弓、1970、日本産キマダラヒカゲ属Neopeに属する二つの種について、蝶と蛾 21(1・2), 17-37.
※2 高橋真弓・青山潤三、1981、房総半島産ヤマキマダラヒカゲについて(Ⅰ)、蝶と蛾 32(1・2), 29-47.
※3 高橋真弓・青山潤三、1987、房総半島産ヤマキマダラヒカゲについて(Ⅱ)、蝶と蛾 38(4), 251-258.
※4 高橋真弓・青山潤三、1989、房総半島産ヤマキマダラヒカゲについて(Ⅲ)、蝶と蛾 40(2), 117-131.


≪9/21付け記事の解答≫
解答:ヤマキマダラヒカゲの♂
根拠:①本文記事中形質E(前翅頂近くの黄班の並び方)より、明らかにヤマキマ。
   ②性別判定は、形質Gで「魚の尾鰭」構造が無いことから♂。
by fanseab | 2012-06-06 21:03 | | Comments(18)

オレンジ初体験(5月27日)

 管理人には未撮影の国産種が沢山残っています。もとより全種制覇なんて気持ちがさらさら無いのと、好きな蝶を拘って写すため、そんな結果になっております。今回は未撮影種の中では魅力的でありながら、チャレンジを怠っていたクモマツマキチョウに挑戦して参りました。早朝2時30分起床。流石に眠たいです。高速を飛ばして長野のポイントに着いたのは7時15分過ぎ。最初に現れたのは蝶ではなくて、こんな哺乳類でした。                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F10-1/640、-0.7EV、撮影時刻:7時22分

 久しぶりに見たカモシカでした。人馴れしているのでしょうか?直ぐには逃げず、管理人と暫く睨めっこした後、悠々と茂みに消えていきました。この日はピーカンで無風、気温も高め。一般的に蝶の撮影にはあまり向いておりません。最初に活動を始めたのはヤマトスジグロシロチョウ♂でした。
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D7K-34、ISO=200、F8-1/800、-0.7EV、撮影時刻:7時54分

 春型はやはり小型ですけど、ツマキよりは遥かに大型。さらに飛び方もヒラヒラと曲線的で、まだ見ぬクモツキとは間違えようがありません。そのうち、順番にモンキチョウ、越冬明けクジャクチョウが飛び始めました。8時半過ぎにブログ仲間のkmkurobeさんが合流。暫くこのポイントでのオレンジについて簡単なレクチャーを受けました。♂が登場するのは、早くて9時過ぎではないか?とのご宣託。そのうち、9時少し前に「そっちに行きましたよ~!」との声に振り替えると、管理人の2m脇を待望のオレンジが通り過ぎていきました。カメラを向けることなく、暫しその姿を目に焼き付けました。「想像していたより大きいな~」と感想を述べると、「あの個体は大きい方ですよ」とkmkurobeさん。♂は我々が陣取るポイントを中心に、略半径400mほどの周回コースを探♀飛行しているようでした。その周期は結構長く、概ね15分に一回程度登場してくれる程度。どうやら飛んでいる個体は複数ではなく、1頭のみの様子。♂の吸蜜は結局4回観察できましたが、3回は300mmレンズの遥か射程外で、1回だけ、何とか射程に捉えることができました。管理人の記念すべき吸蜜ファーストショットです。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/5000、-1.0EV、撮影時刻:9時12分

 ファインダーから覗いたオレンジはやはり素晴らしい眺めでした。否、本当はそんな余裕もなく興奮してバシャバシャ連射していたんですけどね(^^; スミレの花被りは仕方ないし、何より葉被りよりはマシです。連射したので、花から飛び立つ瞬間も運よく捉えることに成功。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/5000、-1.0EV、撮影時刻:9時12分

 飛翔モードで高速シャッターに設定していたので、クモツキのディテールも上手く表現できました。この日は10時15分~30分位が吸蜜活動のピークで、その後、13時過ぎまで粘りましたが、吸蜜はおろか、♂の姿がパタッと消えました。気温が高すぎたため活動を休止したのか、あるいは別の谷筋にお嫁さん探しに出かけたのでしょうか? ♀も一度だけ吸蜜に訪れたのを確認しましたが、撮影チャンスはゼロ。なにせガレ場なので、ダッシュで吸蜜現場まで駆けていけないのが辛いですね。吸蜜前後の休憩シーンを撮影できたのは、同属のscolymus嬢の方でした。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F6.3-1/2000、-0.7EV、撮影時刻:11時07分

 このツマキ♀は前翅端に損傷があるためか、ヒメシロのようにムチャクチャ緩やかに飛翔しておりました。クモツキ♂については時間と共に気温がグングン上昇し、止まる気配がないので、早めにマクロ撮影を諦め飛翔一本に絞って撮影に集中しました。ツマキ同様、一定高度を規則的かつ、直線的に飛ぶので、足場が悪いことを除けばミヤマセセリよりは遥かに楽な対象ですね。周回飛行中、足場が良好な場所を飛ぶチャンスを狙って飛翔を頑張ってみました。最初はノートリで収まった画像。
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D90-20、ISO=200、F13-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時25分

 置きピン位置よりは僅か手前に侵入したため、ちょっとピンボケ(^^; ただ迫力は一番出たかもしれません。2枚目は渓谷のガレ場を急下降する場面。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時25分

 最もクモツキのスピード感が出た絵です。3枚目はジャスピン、かつ露出がベストの絵なので、少し大きめの画像でのご紹介です。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時32分

 クモツキの飛翔で難しいと感じたのは、露出です。特に前翅先端のオレンジから地色の白色に移行する部分は何とも言えないデリケートなレモンイエローを呈します。この部分の表現が一番難しく、すぐに白飛びしてしまう画像の連発になってしまいました。その意味で↑の絵はギリギリ、「レモンイエロー」が表現できたと思います。4枚目は逆光での表現。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時41分

 今回撮影してクモツキの魅力は前翅のオレンジのみならず、後翅の唐草模様にもあるとつくづく感じました。逆光だと唐草模様が抜群に映えますね! 管理人はどんな蝶でも必ず空バックの飛翔画像を狙います。今回はピーカンでしたので、太陽とのツーショットも狙いましたが、流石に失敗しました。空バックでのベスト画像をご紹介しましょう。
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D90-20(トリミング)、ISO=400、F10-1/4000、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時41分

 ややピン甘ですが、紺碧のブルーにオレンジは光輝きますね!

 今回初めてのオレンジ挑戦でしたが、初夏の渓谷を舞うスピード感溢れる姿に素直に感動いたしました。その昔、南国でツマベニチョウを初めて見た時の興奮状態と同じでしょうか。皆さんがオレンジに嵌る理由もよく理解できました。もう少し早く管理人もこのシロチョウにチャレンジすべきだったかもしれません。当然吸蜜画像については不満も残っておりまして、できれば今シーズン中に再チャレンジをしたいと思っております。なお、当日現場にはkmkurobeさん以外に、オレンジ撮影に造詣の深いネイチャーKENDAMARさんもお見えになり、けん玉や飛翔撮影技法等、色々と楽しいお話をさせて頂きました。お世話になりましたご両名に厚く御礼申し上げます。
by fanseab | 2012-06-03 23:11 | | Comments(18)

ゼフ飼育メモ(2)アイノミドリシジミ

 クロミドリシジミが孵化した2日後の4月17日にアイノが孵化しました。孵化前画像(2月11日記事掲載分)と比較して示します。
                                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成)、ISO=400、F29-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、
撮影月日:4月20日

 ただ孵化はしたものの、幼虫は与えたクヌギの新芽に潜り込んだ様子で確認できません。新芽の表面にうず高く積もった糞で、幼虫の無事を確認できるのみ(孵化後3日目)。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/400、外部ストロボ、撮影月日:4月20日

 新芽をこじ開けて幼虫を撮影することもできますが、虎の子の初齢幼虫を傷つけたら元も子もないので、ここは我慢です。暫くしてようやく初齢幼虫の姿を拝めました。孵化後6日目で、体長は2.7mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月23日

 体色はややピンクがかった褐色。中胸部と第10腹節に黒色紋が目立ちます。初齢から2齢にかけての色彩は同時に飼育していたクロミドリとよく似ていて、飼育ケースに入れ間違えたのではないか?と慌てたこともありました。クロミ同様、若葉には見向きもせず、ひたすら花穂を食べ続けます。孵化後8日目の様子です。体長は3mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング+深度合成)、ISO=200、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月25日

 静止している際は、このように花穂にしがみつくように体を丸めています。幼虫の体色および大きさが花穂と瓜二つなので、幼虫の姿を見失うことがしばしばありました(^^) 本当に見事な擬態です。その後、どうやら26日頃に2齢になった模様です。孵化後10日目の状況です。体長は5.7mm。
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D7K-1855改@34mm(トリミング)、ISO=100、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月27日

 2齢の体色・斑紋は初齢と基本変化はありませんが、中胸部と第10腹節にあった黒色紋が消えます。そして29日前後にどうやら3齢になったと思われます。孵化後14日目、体長は11.5mm。
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D7K-1855改@34mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月1日

 2齢から3齢への齢変化は脱皮殻が花穂に混在して確認できず、クロミ以上に困難を伴いました。3齢の斑紋パターンも2齢と類似しておりますが、胸部が暗赤褐色に変化し、第8・9腹節側面が白味を帯びる点が異なります。↑の画像の撮影後、眠に入り、翌5月2日に4齢(終齢)になりました。孵化後16日目、体長13mm。
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D7K-85VR(トリミング+一部深度合成)、ISO=400、F25~29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月3日

 ご覧のように終齢は独特な斑紋に変化します。先ず前胸部背面に淡いピンクを帯びた菱型模様が出現し、第6腹節の背面側の楔紋が著しく白化します。また腹節全体が暗色化するため、白い気門が大変目立ちます。クロミの記事でも述べたように、丁度この頃、花穂の在庫も尽き、屋外の花穂も完全に萎れた状態になってしまいました。アイノの終齢は既に黴が生えたような花穂にも固執して、若葉には全く食いつくそぶりもありません。クロミに比較すると花穂への執着が尋常ではないと言えます。6日になって流石に花穂は不味くなったのか、若葉に食いついてくれました。孵化後20日目の姿です。体長は18mm。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月7日

 食痕は中脈を残していくタイプ。8日(孵化後21日目)に前蛹になりました。体長は11.5mm。
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D7K-85VR(トリミング+一部深度合成)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月9日

 2日後の5月10日に無事蛹化いたしました。孵化後23日目、体長は10mm。
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D7K-85VR(トリミング+一部深度合成)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月10日

 背面部の模様は終齢幼虫の斑紋パターンを踏襲したような感じです。ここでちょっとした失敗に気が付きました。今回は終齢幼虫が生葉上で前蛹→蛹化しましたが、生葉だと、葉が萎れるに従い、カーリングして蛹の側面を隠してしまい、↑の画像のように側面全貌を把握できません。蛹化が近づいた時点で枯葉を飼育容器内にセットし、蛹化が枯葉上で行われるように誘導すべきでした。管理人はこのような飼育観察をする際のノウハウを保有しておらず、今後の飼育観察に向けて良き教訓となりました。アイノはクロミと異なり蛹の体色は基本褐色ですので、羽化の前兆は把握しやすく、翅面に顕著な変化が現れました。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月25日

 翅全面が干渉色と思われる赤銅色に輝き、♂が羽化することが示唆されました。そして翌日、5月26日午後、予想通り♂が無事羽化。孵化後39日目でした。
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D7K-85VR、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:5月26日

 羽化は夜明け頃と推定しておりましたが、予想に反し、午後2時頃でした。所用で外出している隙に羽化が行われてしまいました。それでも羽化後間もないこともあり、未だ満足に飛べない状況だったので、ジオラマ風の背景で撮影できました。肩口から覗く金緑色は紛れもないCrysozephの輝きですね。残念ながら開翅する様子もなかったので、屋外に持ち出して記念撮影(笑)にもトライ。
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D7K-85VR、ISO=400、F6.3-1/320、-1.0EV、撮影月日:5月26日

 たまたまヒメウラナミジャノメ♂が誤求愛でアイノ君にちょっかいを出しましたが、「驚いて開翅・・・」を目論んだ管理人を後目に、堂々として全く開いてくれませんでした(^^; またこの日の夕方は風も強いこともあって、薄日が差しても開翅するそぶりも見せませんでしたので、諦めました。やはり、今シーズンは屋外でアイノ♂の輝きをじっくり堪能したいものです。

 さて、クロミ、アイノ共に僅か1卵の飼育で不安もありましたが、何とか両種共に成虫羽化までこぎつけてホッとしております。来シーズンはできればメスアカミドリあたりの飼育にチャレンジしたいと思います。
by fanseab | 2012-06-01 22:11 | | Comments(8)