探蝶逍遥記

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祝:「フィールドガイド日本のチョウ」刊行(4月24日)

 拙ブログでも何回かご紹介してきた首題図鑑がいよいよ完成し、24日から販売されております。                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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 この図鑑では管理人を含めアマチュアカメラマン約90名の方が合計1000枚超の画像を提供し、日本チョウ類保全協会の全精力を傾注して出来上がった力作でございます。
さて、世間には「フィールドガイド」と称するハンドブックがゴマンとありますが、初心者から上級者まで含めて使い勝手の良い本はなかなかないものです。管理人の贔屓目コメントではなく、このガイドブックはユーザー(採集者ではなく、撮影・観察者)の使い勝手を第一に考えて作られた点に注目したいと思います。

 少し、具体的に述べましょう。標本をモデルに記載する従来型図鑑にはフィールドでの種同定に関して限界がありました。現在手軽に入手可能な蝶類図鑑として、GK社刊行の「日本産蝶類標準図鑑」を挙げることができます。例としてヒメジャノメの解説ページ(p.258)を見てみましょう。ここで♂♀性差区別点として、下記のような記述があります。

「♂は後翅表面前縁に近く第7室基部に毛束をそなえ、・・・」。確かに前翅後縁部を水平にまで持ち上げた標本画像では、指摘されている「毛束」が後翅にはっきり確認でき、「なるほどなぁ~」と納得する訳ですが、実際のフィールドで観察される♂の開翅シーンでは、標本に図示されるほど前翅を持ち上げることはなく、この図鑑で指摘している「毛束」は前翅に隠れて確認できず、フィールドで実際に役立つ♂♀識別点としては活用できないのです。

 一方、本ガイドブックでは「毛束」に代替しうる、識別点が提示されており、その識別点が生態画像中に初心者にも分かりやすく矢印で明示されているのです。

 それじゃあ、その分かりやすい識別点とは?・・・、それは読者の皆さん、本ガイドを購入してご確認下さい。これまで、フィールドで撮影した生態画像から種の♂♀判定・種同定する際、撮影者独自の経験から編み出した判定・同定法があったはずです。管理人もそれなりのオリジナル識別点を持っていると自負しておりましたが、このガイドブックを拝見して「なるほど、こんな識別法もあったのか!」と目から鱗の記述がてんこ盛りなのです。

 噂によると、本書の売れ行きは想定以上に好調とのことで、書店では売り切れ続出、品切れの様相を呈していると聞いております。もちろん、図鑑・フィールドガイドブックとして破格な1890円(税込)の価格設定、そしてコストパフォーマンスが評価されたのでしょう。仮に消費税が増税されたらこの値段では買えませんよ!(笑)              
さぁ、皆さん、一刻も早く書店、もしくはネット通販より入手してくださいね。

 さて、本書販売開始後の28日にはガイドブックの完成を記念して、関係者を含めたパーティが品川で開催されました。今回はご来賓として本フィールドガイドを「デジタル昆虫記」上でいち早く宣伝して頂いているプロの昆虫写真家・海野和男氏、また人気ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」の管理人、メレ山メレ子氏ご両名の列席を頂き、盛大に行われました
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 もちろんお酒が皆さん入っておりますので、図鑑を作成する上での苦労話、歯に衣を着せぬ辛辣なトークも入って、大いに盛り上がり、撮影者同士はもちろん、執筆者・編集者間の懇親も深めることができました。また、来賓のご両名も二次会にまで参加され、アマ・プロの垣根を越えて交流を深めることができました。特に海野先生からはアマチュア写真撮影者・協会・保全活動に対して、大変暖かい励ましのコメントを頂き、関係者一同、感謝感激したのでした。海野先生、メレ山メレ子さん、そしてパーティ出席者全員の皆様、お疲れ様でした。
by fanseab | 2012-04-29 20:43 | 書籍 | Comments(10)

新潟のギフ探索(4月21日):その2

 その1で書いたように最後に見出したポイントに到着したのは既に12時30分を過ぎておりました。ギフは全く止まる気配もありませんので、延々と飛翔画像撮影に費やしました。最初は逆光で。                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F14-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時00分

 ブッシュの中を飛ぶ個体です。実は忘れもしない2年前、同じようなブッシュ上を飛ぶミヤマセセリの飛翔撮影中、切り株に足を引っかけ転倒、左手掌を枝が貫通する痛い目に遭っています。その後、ブッシュ中の飛翔撮影は控えていたのですが、ギフが現れると無我夢中で追いかけておりました(^^; お次は展翅品のような瞬間を捉えたショット。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時27分

 このポーズは動感が感じられないので飛翔としては、あまり好きになれません。お次は横位置バランスとしては一番いい感じになったショット。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時27分

 何故か、カタクリ上空を通過する時、ギフは画面から外れてしまい、つまらない背景になるんですよねぇ~(涙) そして、無理やり青空を入れたショットです。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時27分

 背景との兼ね合いで一番、動感が出た絵かもしれません。最後はお約束?の「ジャスピン画像画面端の法則」の事例。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時31分

 何もカタクリの花弁まで画面端に来なくても・・・・(^^; 理想的なアウトプットイメージはもちろん、↑の絵でカタクリの群落が画面真ん中に来る場面です。いつになったらそんな絵柄が撮れるんでしょうね?

 さて、この日の午後、気温は明らかに20℃を超えておりました。このような温度条件下で何時頃、カタクリ吸蜜に来てくれるのか?ちょっと心配でしたが、14時30分前後に集中して訪花してくれた時間帯があり、ここで集中して撮影できました。最初はロングショットでカタクリに包まれた雰囲気を出してみました。
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D7K-34、ISO=400、F4.5-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時21分

 お次は縦位置で横向きのショット。
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D7K-34、ISO=400、F6.3-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時18分

 ご覧のように、今回はギフとカタクリの鮮度が一致してくれたので、絵になるショットが多く助かりました。次はオーソドックスに横位置全開シーン。
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D7K-34、ISO=400、F4-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時28分

 おしまいは縦位置ほぼ全開を絞りも全開(F=4)で狙いました。
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D7K-34、ISO=400、F4-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時31分

 300mmで薄皮一枚のピントで狙うのは大変スリリングで緊張しますが、この日は多少余裕があったので、敢えて狙いました。とにかく背景をスッキリさせたい眼目での設定ですが、まだまだ背景に邪魔な要素があります。本当にギフのカタクリ吸蜜画像は奥が深いです。たぶん、カメラを持っている限り、一生追及していくテーマなのでしょうね。

 カタクリ吸蜜時間帯のピークが過ぎた頃、1頭のギフが足元の枯葉上に飛んで来ました。
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D7K-34、ISO=400、F4.5-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時57分

 羽化直と思われる♀でした。この絵では枯葉に隠れて見えませんが、もちろん交尾嚢も付いていないまさに羽化直品。♂が絡んで交尾成立・・・の期待で暫く追跡しましたが、小ピークの灌木奥に消えていきました。ホンマもんの「春の女神」に出会えたことに感謝してほどなく撤収いたしました。殆ど坊主を覚悟した午前中、一転して被写体に恵まれた午後、結果オーライの一日で楽しく新潟遠征を終えることができました。
by fanseab | 2012-04-24 22:41 | | Comments(16)

新潟のギフ探索(4月21日):その1

 昨年、新潟へは4月14日に参戦しております。今年は丁度一週間遅れの土曜日に「新潟詣で」をして参りました。昨年と同じポイントに行くのも面白くないので、例によって衛星画像と1/25000地図を睨めっこして、3箇所候補地点を抽出。天気予報の「新潟は晴れ」を信じて関越道を走りました。自宅4時15分発、ドンヨリとした曇り空も関越トンネルを抜けると、スカッ晴れでした。やったネ! 最初の候補地点に8時前には到着。ウロチョロ車を流して緩やかな丘陵を発見。踏み入るとカタクリ群落・カンアオイも揃って理想的な環境。ここで暫く待機します。ところが、9時を回って、気温が明らかに15度前後になってもギフの影も形もなし。9時20分頃、これは外した・・・と諦め、第二候補地点に移動。こちらも尾根筋にカタクリやショウジョウバカマが綺麗に咲き誇っている好環境でした。しかし・・・ここでも影も形もありません。時間は既に10時半を回っています。流石に焦って来ました。慌てて第三候補地点に移動します。ここも環境は揃っていました。先ずは傾斜地に生えているカンアオイ。                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時41分

 コシノカンアオイでしょうかね。花が見えるように枯葉を一部取り除いての撮影です。花も立派です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時42分

 カンアオイの花を見ると、何故か赤道アジアに咲く巨大なラフレシアの花を思い出してしまいます。花弁のスケールは全く異なりますが、雰囲気が良く似ているのです。そして、カタクリの群落。
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、撮影時刻:10時58分

 まずまずの密度で咲き誇っています。後はギフが飛ぶだけです。そのうち期待に応えて1頭の♂が出現。しかし、この時点で体感気温は20℃近くになっており、しかも飛んでいるのはどうやら1個体のみのようです。林道に沿って飛ぶ個体を追いかけて何とか飛翔画像をゲット。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時22分

 この後、もう1頭も出現しましたが、静止画像・吸蜜シーンを望むことは不可能でした。「嗚呼、今日の成果は飛翔画像1枚のみかぁ~。殆ど坊主やね!」と自虐状態で、この尾根からも撤退し、最後の望みでもう一度地図を睨めっこして残雪の少なそうな丘陵地帯に移動しました。ここに到着するや否や、直ぐに3頭ばかりの♂に遭遇。個体数も多そうなので、ここで粘ることにしました。暫く飛翔没画像を量産しておりましたが、そのうち、地面スレスレを飛行する個体に目が留まりました。他の個体よりも低く飛行し、タッチアンドゴーを繰り返しておりました。そう!♀の産卵挙動でした。このポイントでは既に♀が発生していたのです。目を凝らしてこの♀を追跡することにしました。林床スレスレを飛行する♀です。
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D7K-34、ISO=500、F5.6-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時48分

 これはと思う葉を見つけると、翅を拡げて静止し、前脚でカンアオイかどうかを確認します。
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D7K-34、ISO=500、F5.6-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時52分

 この葉は明らかにカンアオイではありませんが、結構長時間かけて確認行為をしておりました。結局観察を始めてから4分後にようやくカンアオイに掴まり、産卵をスタートさせました。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時53分03秒

 産卵に選んだのは、ご覧のように新芽ではなく、明らかに古びた葉です。よほど好みの新芽が見つからなかったのでしょう。2回位の産卵繰り返し作業を待ってから、レンズを地面スレスレに移動し、腹端と卵が同時に写るアングルで撮影してみました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時54分34秒

 ギフの産卵シーン撮影は久しぶりで、満足できました。母蝶にストレスを与えないように、なるべくストロボ使用は控えたいところですが、表現上、仕方ないところでございます。お次は広角で・・・と接近中、流石に殺気を感じたのか、飛び去ってしまいました。葉裏を確認すると、10卵産み付けられておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F8.1-1/180、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時57分

 以前、兵庫・播磨地方でギフの♀産卵挙動を観察した経験からすると、今回の産卵シーン撮影時間中に産んだ卵はせいぜい5-6卵程度のはずです。ですから恐らく同一個体か、別の個体が同じ葉に産んだ事例と思われます。

<4月24日追記>
ブログ仲間のダンダラさんより「卵は時間を置いてではなく一気に産まれたものではないか?」とのご指摘がありました。↑の播磨での観察では産卵行為自体に約3秒、産卵間隔(産卵後、母蝶が取る休息時間)が約15秒、合計一卵当たり20秒弱必要としておりました。一方、今回の産卵画像をExifデータから算出するとほぼ100秒でした。つまり一卵当たりに要した時間は休息時間含め10秒で播磨での観察結果のほぼ1/2となります。母蝶の産卵時間が個体によって、どの程度巾があるのか?管理人は経験が少なく、コメントできません。確かに卵の色合いは産卵後の時間経過とともに変色するし、同じ葉に別個体が産み付ける場合は既に産まれている部分から卵塊を離すでしょうから、同一個体が一気に産卵した結果と判断してもいいのかもしれませんね。


 産卵が行われた雑木林の一角には淡いピンク色のイワウチワがポツンと咲いておりました。
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D90-20、ISO=200、F14-1/200、-0.7EV、撮影時刻:13時43分

 この花も雪国の春を彩るスプリングエフェメラルの一員なのでしょう。次回は吸蜜シーン他をご紹介予定です。      <続く>
by fanseab | 2012-04-22 23:56 | | Comments(14)

台湾遠征記:(14)11月22日午前中その4

 樹液酒場のあった地点はそれなりに薄暗い環境でしたが、10時を過ぎてやや陽射しが強くなったようで、心持ち、体感気温も上昇してまいりました。やがて林道の左手前方に明るい草地が見えてきました。ここは東南側に森林の一角が伐採された跡地で、急傾斜の斜面一面にセンダングサが生い茂っている環境でした。少し待機していると、谷底から黒系アゲハが駆け上がってきて、センダングサで吸蜜を始めました。久方振りに出会ったルリモンアゲハ(Papilio paris nakaharai)♂でした。                                           ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=500、F6.3-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時20分
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D7K-34、ISO=500、F5-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時21分

 実は前日21日の午後にもルリモンには出会っていたのですが、広角で狙うあまり撮り逃した経緯があり、ここは300mmで慎重に狙いました。残念ながら後翅の破損状況が酷い個体ですけど、このアゲハの艶やかさはよく理解して頂けると思います。北タイで撮影した名義タイプ亜種に比較すると、翅表に散布された金緑色鱗粉はあまり目立たず、落ち着いた印象を受けます。

 ルリモン撮影後、センダングサに飛び古したシロチョウがやって来ました。
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:10時26分

 ウスムラサキシロチョウ(Cepora nadina eunama)の♀でした。因みに今回の台湾遠征で出会ったCepora属はこの個体のみ。11月は多くの台湾の蝶にとって、夏型(高温期型)から春型(低温期型)への端境期でして、nadinaも新鮮な個体を撮るチャンスがなかったのかもしれません。続いて橙色の小さなセセリチョウも飛んできました。
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/400、-0.3EV、撮影時刻:10時28分

 ホリシャアカセセリ(Telicota bambusae horisha)の♂。近似種のネッタイアカセセリ(T.colon)とは♂の前翅を斜めに貫く性標を囲む黒褐色部分の巾で区別します。ホリシャはこの巾が極めて狭いのです。

 さて、ルリモンを撮影した頃から、このセンダングサ斜面には多くのマダラチョウが群れ飛ぶ楽園状態になりました。はやる気持ちを抑え、雑にならないよう順番に撮影していくことにしました。最初はウスコモンマダラの♀。
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D7K-34、ISO=500、F5.6-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時30分

 後翅裏面が覗くこのアングルが♂♀判定に有用なマダラチョウです。今回遠征で何とか♂♀両吸蜜シーンをゲットできたことになります。お次はヒメアサギマダラ(Parantica algea maghaba)の♀。
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D7K-34、ISO=500、F4-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分

 本種の♀は初撮影。♂と異なり、後翅第2脈の性標がなく、裏面外縁部の二重白点列が第2脈で途切れず連続することが♀の特徴。♂も含めてヒメアサギマダラの吸蜜シーンはこれまでまともな絵がなかったので、ホッといたしました。続いてタイワンアサギマダラ(Parantica swinhoei)の♂。
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D7K-34、ISO=500、F4-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時32分

 タイワンアサギマダラも今回が初撮影。アサギマダラ(P.sita)に比較して大変小さく、黒っぽい印象を受けました。実は例のフィールド図鑑プロジェクトに於いて、事務局側よりタイワンアサギマダラ画像が収集できていないことを知り、今回の遠征でターゲットの一つとしておりました。「タイワン」の和名を冠するのだから、本場台湾に行けばウジャウジャ飛んでいるだろうと思ったのは大間違いで、この林道での個体数は少なく、本種を撮影する難易度は結構高かったのでした。お次は飛翔。広角に交換する余裕がなかったので、300mmでそのまま撮影です。
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D7K-34、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分

 この子は吸蜜を終えると林道脇を暫く飛んだ後、樹冠側相当高い場所に移動して姿を消しました。♀を探しながらの周回軌道を取る様子もなく、挙動が読めずに大変苦労しました。お次はツマムラサキマダラ(Euploea mulciber barsine)♂の吸蜜。
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D7K-34、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分

 森林遊楽區およびこの林道を通じてmulciberの個体数は大変少ないように感じました。最後はmulciberの飛翔です。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分

 吸蜜シーンも含め、このポイントは斜面を見下ろすアングルで撮影するため、背景がスッキリ抜けて、とてもいい感じに仕上がります。mulciberの飛翔画像はこれまで撮影した中でも一番良い出来で満足しております。<次回に続く>
by fanseab | 2012-04-19 22:19 | | Comments(10)

台湾遠征記:(13)11月22日午前中その3

 林道を更に進むと、遠くから轟音が聞こえてきました。どうやら林道の傍らに大きな滝があるようで、水滴が微かに届いてきておりました。右手にある石垣の上の草叢を眺めていると、突然すばしこいシジミチョウが舞い降り、少し開翅しました。                                                                    ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=500、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:9時46分

 最初はウラギン♂かなと思って裏面を良く見ると全く違います。すぐにヒイロシジミ(Deudorix epijarbas menesicles)♂と判明。景気良くすぐに全開してくれました!
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D7K-34、ISO=500、F13-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時48分

 ヒイロに出会うのはこれが二回目。昨年9月末にスポット的に訪れた台北で♂閉翅はものにしておりましたが、開翅撮影はこれが初めてです。Deudorixの中で最普通種にして広域分布種の本種は東南アジア遠征のどこかで出会っていて不思議はないシジミのはずですが、どうもこれまで縁遠い相手でした。♂の表翅は将に和名の「緋色」そのもの。ウラギン♂の赤橙色とはやはり質の違う鮮やかさでありました。惜しむらくは左後翅の破損。自慢の長大な尾状突起も切れておりました。新鮮な個体でのリベンジリストに追加されたわけでございます。石垣に登っての不安定な姿勢で更にヒイロに接近し、ほぼ正面からの撮影にもトライ。
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D7K-34、ISO=500、F13-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時48分

 デカい複眼は真っ黒でドスの効いた迫力があります。図鑑でDeudorix属の♂を見るといずれも図体に比較して巨大な複眼が目に留まります。テリ張り位置でライバル♂をいち早く発見し、♀を追跡するために進化したものなのでしょう。撮影した後、すぐに目の前に滝が現れました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/50、-0.7EV、撮影時刻:9時49分

 落差は優に20mはあるでしょう。滝壺から正面方向に水滴が吹き飛ばされ、撮影機材がズブ濡れになりそうなので、一旦、機材をリュックに収納し、駆け足で滝壺横を通り抜けました。ここは真夏には恐らく黒系アゲハ類♂の良き吸水ポイントになるものと思われます。因みに↑の画像で、画面右下に見えている石垣がヒイロを撮影するためによじ登った場所です。機材を再度セットしてフト路上を見ると、蝶の轢死体が。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.6-1/90、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時54分

 どうやらルリモンジャノメの♂のようです。この林道の車両通行量はたかが知れておりますので、轢かれたルリモンも運が悪い個体ですが、そもそも個体数が多いので、轢死体を見ることができたのかもしれません。更に進むと林道左手の草叢に怪しい影が。注意して接近すると、ルリモンジャノメが大きな葉の上で集団吸水しておりました。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時04分

 これまでの経験から、ルリモンは群れることなく、いつもポツンと単独で見出されることが多いので、この光景には驚かされました。しかし、吸水なら何も葉の上から水分を補給する必要はありません。前日降った雨で路上は濡れておりますし、もちろん、枯葉の湿り気からでも構わないはずです。しかし、この疑問は直ぐに解消しました。ルリモンが4頭群れていたすぐ隣に樹液酒場があったのです。どうやら、酒場に集う昆虫達が樹液を周辺に撒き散らしていて、ルリモンはそのお零れに授かっていたと推察されました。その樹液酒場で睨みを利かしていたのが、以前にもご紹介したタイワンコムラサキの♂でした。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時06分

 コムラサキですから、やはり樹液を吸う姿は自然で絵になるものです。もう少し接近して広角画像を撮ろうと思いましたが、ちょっと控えることにしました。それはこんなお方が近くにおられたからです。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時05分

 全身赤黒い蜂!その長さは3cmほどもあります。海外で大型蜂に出会うと、先ずはその攻撃性と毒の強度が気になります。日本のスズメバチのような風体なら、何となく恐ろしさが推定できますが、この蜂は見たこともない色合いなので、様子見を決め込みました(^^;
ネットで調べると、どうやらアシナガバチの一種、Polistes gigas(台湾名:棕長脚蜂)のようです。頭部と複眼が全く同一色・・・、これが不気味さを漂わせていて、近寄りがたいのです。ただ、毒性はともかく、攻撃性はさほど強くないようです。樹液酒場には日本でもお馴染みのアオカナブン(同種ではないかもしれません)も客の一員でしたので、思わずパチリ。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時11分

<4月17日追記>
ze_phさんからご指摘があり、これはツノカナブン(Trigonophorus roschildi)だそうです。ze_phさん、有難うございました。確かに頭部先端を見ると、カブトムシを彷彿とさせる小さな角が付いております。

 
 さて、この樹液酒場を形成していた樹木は樹肌に独特の模様があり、この後、樹液酒場を探索する際の良き指標にもなったのでした。<次回に続く>
by fanseab | 2012-04-16 22:22 | | Comments(12)

神奈川のギフ(4月9日)

 禁断の平日スクランブル出撃です(笑)。管理人は天邪鬼な性格でして、これまで神奈川の超有名観察スポットである某I山に行ったことがありません。専ら、その周辺のポイントで秘かに撮影しておりました。そろそろ「総本山」に登ってみようということで、出かけて参りました。現地登山口に7時15分着。駐車スペースには平日にも拘らず既に先客2台が。流石人気スポットであります。この日は前日に引き続き快晴の好コンディション。ひとまず、山頂を目指しながら、ギフの好きそうなポイント・吸蜜源を物色。時折、トネリコ類の根際をチェックするも、ウラキン越冬卵は発見できず。山頂に8時に着いてから周辺をウロチョロ。それにしても、このあたりの山は足元が崩れやすく、登りは良いけど、下りは登山靴でもズルズル滑って太腿の筋肉が悲鳴を上げてしまいます。9時過ぎ待望の1頭が舞い始めますが、すぐに行方不明状態に。そうして9時15分過ぎから常時3頭が飛び交う宴状態になりました(^^)

 一旦静止しても、♂同士がちょっかいを出すので撮影も一苦労。個体数が多いポイントでのジョウザンミドリ開翅撮影と一緒の悩みですね。やっと一コマ撮れました。 ヤレヤレ。                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F10-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時22分

 開翅シーンも結構苦労しましたが、完品が撮れて大満足。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時30分

 管理人に対して、正対して開翅するチャンスが多いので、そんなアングルでもパチリ。
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D7K-34、ISO=400、F13-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時42分

 ギフ♂の体毛の多さは別格ですね。この後、場所を移動し、吸蜜狙いでスミレが咲いている一角に陣取り、ギフを待ちます。ミヤマセセリが時々通り過ぎていきますが、ダンダラ模様は全く飛んで来ません。10時から30分粘って来なければ場所を変えよう・・・、その作戦でひたすら待機。踏ん張っていないとズリ落ちそうな急斜面で右足が悲鳴を上げていきます。そろそろ足も限界かな?と思った頃、谷底から待望の1頭が出現。狙っていたスミレに止まって吸蜜してくれました!
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D7K-34、ISO=320、F10-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時21分

 例によって、吸蜜時間は1秒足らず。この絵の一コマ撮影後、サッと飛び去っていきました。その後は全く吸蜜する個体も訪れず。何とか一瞬の吸蜜チャンスをものにできたので、再度飛翔狙いで、元の場所に再移動。今シーズンから中速シャッター使用での飛翔にトライしておりまして、その条件下で先ずはバシャバシャ。恥ずかしながら失敗作例です。
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D90-20、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時05分

 ノートリでバランス良く収まりましたが、翅はブレています。この手法では自然光とストロボ光のバランスが鍵となるのですけど、自然光が勝って翅を写しとめることができていません。ストロボ光の調光補正条件を見直さねばなりません。途中からは使い慣れたハイスピードシンクロに設定し直して撮影。
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D90-20(トリミング)、ISO=500、F8-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時17分
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D90-20、ISO=500、F8-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時18分

 こちらの方が、やはりしっくり来ます。2枚目はノートリで蝶がど真ん中。しかもジャスピン。しかし、こんな時に限って後翅大破個体なんですね。飛翔撮影では「ジャスピン画像画面端の法則」なる嫌~な経験則があるのですが、今度は「大破個体画面ど真ん中の法則」なる、嫌なジンクスが追加されなければいいのですが・・・(^^;

 ギフと同時に飛び始めたのが、ミヤマセセリ。しかし、最近動体視力が衰えたことを実感する管理人にとって、枯葉の合間を不規則に飛ぶ黒いセセリの追跡は辛いです。おまけにここは急斜面の連続でミヤマを撮るには適していませんね。それでも今年初めての出会いですので、撮ってみました。
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D7K-34、ISO=320、F10-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時58分

 縁毛も歯抜け状態でそれなりに飛び古した♂個体でございます。正午前から南風が強くなったのを潮時に下山開始。途中の尾根筋で風に煽られてホバリング状態のミヤマを見っけ! これ幸いと飛翔撮影。
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D90-20(トリミング)、ISO=500、F8-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時02分

 置きピン位置をギフと同じ40cmで撮影したのですが、ミヤマセセリあたりの大きさだと、もう少し置きピン位置を短くしたほうが良さそうです。↑の撮影直後、この個体は古切株に止まり、結果オーライの広角静止画像になりました。
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D90-20(トリミング)、ISO=500、F8-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時02分

 ですので、この絵は着地直後の姿でもあります。この日、まだミヤマ♀は確認できませんでした。一方、ギフは丁度♂の発生数がピークに向かっている時期でベストのタイミングだったようです。ただ山麓の桜の咲き具合をチェックすると、まだまだ蕾状態のポイントが多数確認できました。ギフ発生が遅れ気味であることは事実で、今週末頃から♀も登場することでしょう。振り返ってみると、神奈川のギフ撮影は2008年以来4年振りでありました。何とか再開を果たして、スクランブル出撃の成果に胸をなで下ろしたのでした。
by fanseab | 2012-04-11 23:16 | | Comments(24)

モンシロチョウ(4月8日)

 春の蝶、第二段はモンシロチョウです。モンシロは春先および晩秋以外は狙って撮る対象にはなりませんね。ただ、モンシロには悪いですけど、シーズン当初の腕試しに誠に都合の良い対象です。何故かと言えば、モンキやベニシジミに比較して、撮影難易度が遥かに高く、撮影者の技量が試される相手だからです。管理人の本音を言えば、普通種だから撮影をパスするのではなくて、難しい相手だから敬遠しているふしがあります。

 さて、この時期、モンシロを狙うには自宅付近の多摩川は不都合で、昨年見出した東京都内にある菜の花ポイントに出かけてみました。花の咲き具合もいい感じで、到着した9時30分過ぎには既に沢山のモンシロが飛び交っておりました。最初は♂開翅から攻めてみました。                                                        ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=100、F6.3-1/2500、-1.0EV、撮影時刻:9時43分

 レンズと前翅の平行度、絞りセッティング、露光補正、ISO感度設定・・・、色々頭を巡らしながら接近戦の感覚を取り戻していきます。春先の♂は黒紋もボンヤリしているので、白地とのグラデーション表現が難しいのですが、何とか期待した感じに収まってくれてホッとしました。真夏の強烈な光線下だと、このグラデーションが飛んでしまうんですよね。
 お次はほぼ同じアングルで♀を攻めました。
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D7K-85VR、ISO=100、F10-1/800、-1.0EV、撮影時刻:9時49分

 ♀は色合いが濃くて、たおやかな感じです。黒色鱗粉が沢山乗っているので、♂よりは諧調表現が楽ですね。ウロチョロ草叢を歩き回っていると、突然交尾ペアが飛び出してビックリ。慌てて追いかけて飛翔を撮影。
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D90-20、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時01分

 今シーズン最初の交尾ペア飛翔画像でございます(^^) 飛翔撮影に夢中になって、ペアの着地地点を見失い、必死の思いで探すと、ようやく草叢に隠れているペアを発見。
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D7K-85VR、ISO=100、F13-1/400、-1.0EV、撮影時刻:10時02分

 交尾画像ももちろん、今シーズン初撮影。モンシロは♂が開翅、♀が閉翅状態で静止するので、撮影アングルが難しいですが、この時はお互いがいい塩梅に開翅してくれたので、様になりました。菜の花の周囲を飛んでいる♀は明らかに産卵挙動を示しておりました。暫く追跡して産卵シーンもゲット。
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D7K-85VR、ISO=100、F14-1/125、-1.0EV、撮影時刻:10時13分

 菜の花の黄色い背景ボケが入って春らしい産卵シーンが撮れ、気に入っております。産卵途中の吸蜜シーンも撮影。
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D7K-85VR、ISO=100、F6.3-1/2000、-1.0EV、撮影時刻:10時16分

 ♀は頻繁に地面に降りて開翅日光浴もしておりました。管理人も地面に腹ばいになり、撮影いたしました。
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D7K-85VR、ISO=100、F4-1/2500、-1.0EV、撮影時刻:10時58分

 シロチョウ類の複眼は偽瞳孔が優しく現れ、癒し系のお顔になりますね。猫が日向ぼっこする時の顔は幸せそのものですが、モンシロの目も幸せに満ち溢れております。

 この日は菜の花にベニシジミも来ておりました。
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D7K-85VR、ISO=100、F6.3-1/1250、-1.0EV、撮影時刻:10時55分

 この絵柄はこの時期にしか撮影できないものです。♂のシャープな前翅が入って、画面が引き締ったと感じております。この日は快晴で風も穏やか、絶好のお花見日和でした。
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D7K-34、ISO=100、F4-1/2000、-1.0EV、撮影時刻:11時27分

 春本番ですね。次はコツバメ、ミヤマセセリ、スギタニ・・・、そしてギフを撮りたいものです。
by fanseab | 2012-04-08 21:38 | | Comments(6)

台湾遠征記:(12)11月22日午前中その2

 9時頃から気温が少し上昇してきたようです。 路傍のヒルガオ?にクロセセリ(Notocrypta cruvifascia )が登場。                                                                    ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=500、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時53分

 クロセセリの吸蜜シーン撮影はいつも苦労します。吸蜜時は頭部を花芯に突っ込むため、ストローも表現できず、絵にならないことが多いのです。それで吸蜜開始直後を狙うのがベストなのですが、結局、今回も吸蜜直前の中途半端な画像しか撮れませんでした。この後すぐにウスコモンマダラ(Tirumala limniace limniace)♂も緩やかに舞い始め、吸蜜に訪れました。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時54分

 草地にフラッと舞い降りたセセリはタケアカセセリ(Telicota ohara formosana)の♀。
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/125、-0.3EV、撮影時刻:9時01分

 台湾産Telicota属は全3種(ohara,bambusae,colon)。ご存じの通り、このうちわが国では八重山でcolon(ネッタイアカセセリ)のみ観察することができます(八重山は分布の北限)。bambusae(ホリシャアカセセリ),colonとの区別点として、oharaは全体に地色が黒く、前翅後翅共に翅脈に沿って橙色斑が伸びない点が挙げられます。もっとも、撮影した♀個体はスレ品なので、「地色が黒い」例示にはならないでしょうね。

 更に林道を進むと左手の崖地に橙色のランタナが咲くポイントが出現。アゲハ類が出るといいなぁ~と願っていると、期待に応えて登場したのはクロアゲハ(Papilio protenor protenor)の♀。
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D7K-34、ISO=500、F4-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時06分
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D7K-34、ISO=500、F7.1-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時10分

 台湾ではクロアゲハは無尾型になります。過去に無尾型は香港でも出会っているのですけど、未撮影ですので、やや興奮しての撮影でした。しかし、国内の尾状突起付タイプに慣れ親しんでいることもあって、何だか完品クロに見えないんですね。習慣とは恐ろしいものです。一方、後翅裏面肛角部の赤橙色弦月紋の出方は独特で魅力的です。この後、蝶の出足がパタッと止まって暫く手持無沙汰状態に。そんな折、林道奥の谷あいに潜む猛禽類を発見。遠目から狙ってみました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時13分

 少し接近してもう一枚。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時15分

 片足を上げて、ポーズを取ってくれました(笑) ネットで画像を検証すると、どうもサシバ(Butastur indicus)の雄成鳥のようです。間違っていたらご指摘願います。サシバだとすると、丁度秋口に冬越しのため、日本から集団で南下し、更に南方で行く途中、台湾で小休止状態だったのでしょうか?

★以下4/9追記★
ブログ仲間のyoda-1さんよりご指摘がありまして、この猛禽類は、カンムリオオタカ台湾産亜種(Accipiter trivirgatus formosae)、 中国名・鳳頭蒼鷹、英語名:Crested Goshawkだそうです。↑の1枚目をよく見ると頭部後方に冠の先端らしき部分が写っております。雌鳥に出会ったり、昂奮したりすると冠が立つのでしょうかね?ともかく、yoda-1さん、有難うございました。

 そのうち、路傍にイシガケチョウ(Cyrestis thyodamas formosana)が登場。
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D7K-34、ISO=500、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時17分

 台湾産亜種は日本産亜種mabellaに比較して黒条・黒班がより発達するとのことですが、見た目、さほど変わりはありません。灌木の周囲を舞っていたボロのミスジを視界に捉えました。どうせリュウキュウミスジだろうとファインダーを覗くと、前翅中室の棍棒状白班が異常に細いです!
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D7K-34、ISO=500、F9-1/250、-0.7EV、撮影時刻:9時29分

 管理人初撮影のタイワンミスジ(Neptis nata lutatia)♂でした。初物で贅沢を言えないけど、こんな個体ではなく、完品を撮りたいなぁ! 草地をチョロチョロ飛び回っていたのは、タイワンクロボシシジミ。結構な個体数がおりました。ここは吸蜜シーンをじっくり撮影。
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D7K-34、ISO=500、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:9時43分

 前翅の尖り方から判断してこちらは♂でしょうか。曇りがちの天候で、このような白地のシジミ撮影には最高の条件でした。それにしても画面を斜めによぎる背景ボケが邪魔ですね(^^; <次回に続く>
by fanseab | 2012-04-05 22:42 | | Comments(4)

開幕戦(4月1日)

 土曜日(31日)は保全協会でフィールド図鑑刊行へ向けての最後の詰めが実施されました。横殴りの風雨の中、管理人を含むブログ仲間や関係者合計15名ほどが集結。最終ゲラ校正を終日行いました。事務局側の段取り調整もスムーズで、予定通り16時過ぎには無事完了。結構多くの要修正事項が見いだされ、意義あるものでした。校正用原稿に目を通しながら、これは凄い図鑑が完成するなぁ~との予感が・・・。今月末には刊行予定で、今から手にするのが待ち遠しい限りでございます。因みに本体予定価格は税込で何と1890円!これは図鑑類としては価格破壊的なお値打ち品です。乞うご期待!!

 さて、翌日はカラッと晴れて絶好の撮影日和。疲れが残っているので、近場の多摩川を散歩してみました。先月の20日にモンキチョウ1♂を目撃した後、新羽化成虫は全く飛ばず、春の訪れも遅いなぁ~と思っておりました。この日も陽射しは強いもののやや風が強く、9時30分頃から観察しても全く蝶が飛びません。「今日も駄目かな?」と思案しながら堤防を歩いていると、ようやくモンキチョウ♂を発見。タンポポでの吸蜜シーンをゲットできました。                                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=200、F5-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:10時08分

 丁度朝方の吸蜜タイムのようで、少しパトロール飛翔しては吸蜜を繰り返していました。そこで対角魚眼でも撮影。
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、撮影時刻:10時12分
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、撮影時刻:10時15分

 春先はこのような傾斜日光浴状態で吸蜜しますね。飛翔は堤防に沿って直線的に飛ぶので、狙いやすいのですが、春先はどうも置きピン感覚が戻りません。おまけに今シーズンより新規導入した20mm単焦点レンズでトライしたので、余計歩留りが落ちました。それでも何とか1コマだけノートリで収まりました(ちょっぴり前ピンで悔しい!)。
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D90-20、ISO=400、F8-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:10時39分

 春先は有酸素運動不足で、追っかけ飛翔撮影に息が上がり、これまた難儀しますね(^^;  追っかけしていた唯一1頭の♂が芝生の上にまとわるように飛んで、直ぐに飛び去りました。おかしいな?と思って接近すると、そこには羽化直の♂が。逃げる気配がないので、じっくりと対角魚眼で撮影。
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 この絵は通常より大きめの画像でのご紹介。ここでひとまず自宅に戻りランチ休憩。出直してみると、午前中見出した羽化直個体が少し遠くに移動したようで、ここでも良き被写体になってくれました。逆光狙いでパチリ。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=100、F8-1/640、-0.7EV、撮影時刻:13時39分

 RAW現像で意図的に色温度を調整して春らしい色調に仕立ててみました。モンキは春の陽射しを本当に楽しんでいるようですね!

 少し雲が出てきてそろそろ打ち止めかな?と思い始めた時、タンポポの上に怪しい影が。近寄ってみると、おぉ!ベニシジミじゃぁないですか! ここは対角魚眼でまとめてみました。
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、撮影時刻:13時50分

 どうやら♂のようです。ベニを見ると、春の到来を実感しますね。そのうち♀も出現。こちらも羽化直のピッカピッカ品!
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D7K-85VR、ISO=200、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:14時14分

 陽射しを楽しむかのように、じっくり開翅してくれたので助かりました。多摩川の土手にもモンキとベニが登場して、ようやく春が到来しました。管理人は毎春、モンキをきちんと撮ることを儀式のように重んじております。今年もその儀式を恙なく終えて、安心してシーズンに入れそうです。
by fanseab | 2012-04-02 20:58 | | Comments(10)