探蝶逍遥記

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ゼフ越冬卵撮影その6(2月26日)

 また山梨に遠征してきました。今回のターゲットはメスアカミドリとウラクロ。両者共に単独では難航しそうなので、強力な助っ人として25年来の蝶友、M氏をガイドに伴う探索。と言っても彼は採集派、フィールドにご一緒するのはこれが初めてです。前日、関東地方は冷たい雨。山梨の山間部は残雪が予想されましたので、急遽ウラクロは諦めてメスアカ一本に絞り、別ポイントに直行。現地には9時頃到着。林道走行して標高を上げていくとここでも残雪が多く、車を捨てトボトボと歩いて行きます。                                         ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/25、-0.7EV、撮影時刻: 9時16分

 探索しながら、M氏よりメスアカの主食樹であるヤマザクラとマメザクラの樹相について実地講義を受けます。そうして30分も経過しないうちに彼が「ありましたよ~♪」ってメスアカ越冬卵を発見してくれました。流石の早業です!全部で3卵、2卵は寄生されておりました。これが発生木のマメザクラ全景。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/125、-0.7EV、撮影時刻: 9時32分

 樹高は2.5m位、枝が途中から垂れて地面に平行になっており、越冬卵は黄矢印あたりに付いていました。マメザクラの樹肌の近景です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻: 9時31分

 かなりゴツゴツとした印象で、とても桜には見えません。遠目には背の高いイボタにも見えて、同定には熟練が必要です。ヤマザクラは樹肌に横方向の縞模様があって、ド素人の管理人でも「あぁ、桜だなぁ~」と実感できるのですけど、マメザクラはちょっと厳しいです(^^; お次は魚露目で環境画像。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 10時10分

 結構急斜面にあり、夏場に葉が茂ったら、ちょっぴり暗い雰囲気の林です。なお、撮影用に枝の向きを斜面に垂直に支えて(これが結構大変な労力!)おりますが、実際には卵は斜面に正対する向き(日陰側)に付いております。そして拡大像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時46分
 
 既にアイノを撮影済ですので、感激はちょっぴり薄れましたが、襞々が続く構造は美しいですね。続いて寄生卵も撮影。
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D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/250~1/400、-0.7EV~-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時47分

 ここでちょっと問題が発生。寄生卵の卵殻内壁の様子まで描写したくて深度合成処理をかけたのですが、色々とコマの選択を変えても内壁がジャスピンのコマが排除されてしまいます。こちらが内壁を描写したコマ。
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D7K-85VR-24R(トリミング)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時47分

 卵殻ギリギリまで食べ尽くされていることがわかります。どうも深度合成ソフトには計算上のアルゴリズムに起因するのか、深井戸のような構造物に於いて、井戸の底を正しく深度認識する機能が不足しているのかもしれません。何か裏ワザをお持ちの方がおりましたらご教示頂きたいものです。ここで、前回撮影したアイノとメスアカの拡大像を同一倍率で比較してみました。
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 卵の直径はほぼ同一。細かく観察すると、ミクロパイル(精孔)側壁の傾斜角度が異なっており、棘皮の密度はアイノの方が密であることがわかります。その結果、棘皮基部を結ぶ継目(網目)構造がメスアカの方がクッキリする感じになります。そうは言ってもルーペで確認する程度では両者の区別は至難ですね!

 さて、この日は折角ですので、M氏より、ウラキンの食樹であるトネリコ類の樹相のレクチャーも受けました。代表的なアオダモ(コバノトネリコ)の樹相です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻: 10時57分

 枝が対性になるのがポイント。次に休眠芽です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/60、-0.7EV、撮影時刻: 12時19分

 何となくメルヘンチックな形状ですね。ここでも葉が対性に付く基本構造が見てとれます。樹肌の色は基本グレーですけど、似たような樹が沢山あるので、①枝の対性、②休眠芽の特徴の2点を基本に探していくことになります。「ウラキン越冬卵は成虫同様、どこでも採れる訳ではありませんよ」とのM氏のコメントを胸にしまいながら、別の林道に移動してメスアカ、ダイセン、オナガ等の探索を続けます。そのうち、「ここはトネリコが多いなぁ~」とM氏が呟きます。管理人も伝授して頂いた探査ポイントを参考に探していきます。やっとそれらしき樹木を発見。

管理人:「これそうですかね?枝も対生だけど・・・。」
M氏 :「間違いないです。こんな裂け目とか、皺の部分に産むんです。この根際にある苔
    なんかにも産みますよ~。」

 そのアドバイスに従い、管理人は根際の樹肌に付いた苔をチェック。ほどなく苔の中に埋まっているそれらしき物体を発見。ルーペで覗くと何やら網目構造が見えています。M氏に確認すると、「やりましたねぇ!間違いなくウラキンです。独力発見おめでとうございます!」とお褒めのお言葉。お世辞でも褒められると舞いあがってしまいますね(^^) で、早速撮影ですが、これが大変! 枝先に産んでいる種類では枝を折らないように気を遣いながらの撮影に難儀しますが、とにかく低い位置なので、これも一苦労。管理人の撮影風景をM氏に撮ってもらいました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/25、-0.7EV、撮影時刻: 13時28分

 この絵では分かりにくいのですけど、管理人の丁度股のあたりに別のブッシュが伸びていて撮影アングルがムチャ制限されます。先ずは魚露目の環境画像。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 13時39分

 黄矢印の先に2卵塊産み付けられています。方角は西向き。株の太さは根際で直径10cm弱。地上高5cm程度。夏場は恐らく茂った草で隠されてしまうような位置でしょう。次に拡大像。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時16分

 苔の中なので、リングストロボでも奥までストロボ光が届かず、深度合成も殆ど無力の世界です(^^; おまけに横向きに産まれているので、全体像が把握できない画像ですね。これまで撮影した卵と異なり、棘皮が全く無くラフな網目構造を有しているのが特徴でしょうか?それと断面形状が饅頭タイプではなくて、アポロ宇宙船の帰還用カプセルのような三角錐タイプです。もし機会があれば、樹肌の襞付近とか卵全体が露出しているような状況で撮りなおしたいものです。

 さて、この日は心配された冷たい季節風も吹かず、曇り空だったこともあって、逆にゼフ越冬卵探索には幸いしました。管理人の乏しい経験からも、快晴だと枝上の微構造にコントラストが付き過ぎて探索の妨げになるようです。むしろ曇り空の穏やかな光線下では卵の発見が容易であることを悟りました。また、机上で読む教科書の知識と異なり、M氏より受けた「野外授業」は本当に参考になるものばかりでした。M氏も指摘しておりましたが、理に適わない無謀な採卵現場も散見されました。私有林あたりで、酷い切り方をすると地権者とトラブルになることも必死です。成虫の採集同様、冬場の採卵もマナーが大事ですね。ご同行頂いたMさん、本当に有難うございました。次回は林道の残雪が消えるのを待って、今回回避したウラクロ、あるいはハヤシ等を探索してみたいと思います。
by fanseab | 2012-02-28 21:18 | | Comments(10)

北海道遠征記(12)フタスジチョウ

 この遠征記、タテハチョウ科の最後を飾るのは管理人お気に入りのNeptis属。カラフトヒョウモンのポイントに着いて車を置いた直後に歩道からヒラリヒラリと舞い始めたのはフタスジチョウでした。歩道から丁度吸水していたようで、数頭がヒラヒラ優雅に舞っておりましたが、それなりに敏感で接近できませんね。最初はやや後方からのショット。                                                              ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=640、F11-1/1600、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月25日、12時04分

 新鮮な♂で縁毛が見事な個体でした。実は恥ずかしながら、管理人はフタスジを撮るのが、銀塩時代を通じてこれが初体験。これまで意外とチャンスがなかったのです。お次も別個体の♂。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/1000、-1.0EV、撮影時刻: 13時22分

 最初の個体と比較すると前翅中室の白班が発達しております。否、むしろ最初の個体は少し暗化していると言うべきでしょう。北海道産の個体は日本国内の中で前後翅白帯が最も発達した亜種、ssp.bergmanniとされています。一方、ご承知のように本州・奥只見の個体群は相当に黒化が進んだ亜種、ssp.tadamiensisとされ、北海道産と只見産を並べるとまるで別種の趣ですね。フタスジでは後翅白帯が1条のみなので、後翅の白い縁毛がとても引き立つような印象を受けました。図鑑上では後翅の縁毛は表現しきれていないので、撮影して初めて気が付いた事実です。
 最後に翅表と裏面を同時に写しこんだアングル。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/1250、-1.0EV、撮影時刻: 13時22分

 シンプルな翅表のデザインに裏面の赤銅色が映え、全体として、とても華やかな印象に一変するから不思議なもんです。飛翔も撮りたかったのですが、主目的のカラフトヒョウモンがチラホラ飛び始めたのでそちらに注力した結果、飛翔は次回遠征の宿題になりました。またNeptisと言えば、フタスジ同様に白帯が著しく発達したコミスジ春型も見たかったのですが、既に発生が終わったのか?このポイントでは観察はできませんでした。
<次回に続く>
by fanseab | 2012-02-24 20:46 | | Comments(12)

台湾遠征記:(7)11月21日後半その1

 さて、この遠征記もダラダラ更新で、ボヤボヤしていると3月がそろそろ目の前。少し急がねば(^^; 今回からようやく21日の午後の部に入ります。センダングサにはタイワンキチョウも沢山群れておりましたが、本種については別記事でご紹介するとして、ここではクモガタシロチョウ(Appias indra aristoxemus)をご紹介しましょう。残念ながら最初に出会った個体はボロ♂でした。                                           ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年11月21日、12時01分

 実は知本温泉を今回遠征地に選択したのは、他でもないこのシロチョウが関係しておりました。春先の3-4月頃、温泉近傍の林道で、「花吹雪のように乱舞するクモガタの大吸水集団が見られる」との記述が図鑑に書かれており、晩秋の11月に個体数は少なくなるはずですが、少しでも吸水集団が見れたらいいなぁ~と希望的観測でここを訪れたのでした。その目的種に出会えて先ずは一安心の場面だったのです。トガリシロチョウ(Appias)♂としてはあまり前翅端が尖らないタイプで、幾分穏やかな印象を受けました。しばらくコモンタイマイやマダラチョウを追いかけていると、突然目の前に橙色のタテハが止まりました。一瞬、何だろう?と間を置いてから、今回遠征のターゲットの一つ、タイワンコムラサキ(Chitoria chrysolora chrysolora)♂と判明。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、撮影時刻: 12時06分

 アジアに棲むコムラサキ♂は紫色に光らない種が多いのですけど、これもその一つ。大変シンプルなデザインで、この後も遠征中、沢山モデルになってくれました。後から振り返るとこのような草地のど真ん中に登場するのはかなり稀でした。草地脇の林道に目をやると、国内のヒメウラナミジャノメ(Ypthima argus)とほぼ同サイズの個体がどうやら産卵挙動を示していました。コウラナミジャノメ(Y.buldus zodina)♀の産卵シーンです。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時11分13秒
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時11分17秒

 2枚目の黄矢印の先に青白い卵が確認できます。ヒメウラナミ同様、母蝶はイネ科の食草に直接産卵するのではなく、近くの枯草に産んでおります。ヒメウラナミの産卵シーン同様、草被りになりやすい状況ですが、ここは奇跡的に腹端が草被りにならずに撮影できました。産卵後はおきまりの全開翅日光浴です。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時13分

 このように産卵→日光浴→産卵を繰り返しておりました。この時間帯、結構陽射しは強かったのですが、コモンタイマイを含め吸蜜行動が一段落した様子だったので、ここで一息入れることにしました。遊歩道に設置されたベンチに座って知本温泉側を眺めながらのランチです。
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GXR@12.3mm、ISO=100、F8.6-1/250、-0.7EV、撮影時刻: 12時15分

 画面中央の家並みは知本駅から出ている公共バスの終点あたりで、温泉街はこの画面右手奥にあります。知本川の両側には一次林と二次林が混じった森林地帯が拡がっており、蝶相が豊富な場所とされています。さて、ランチをそそくさと済ませた後、急な階段を登って別の草地に移動。ここで再びコモンタイマイの吸蜜と格闘。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時36分

 丁度翅を全開した場面で、展翅品のような雰囲気(和名の「小紋」に相応しい)の絵になりました。このポイントにはシロオビアゲハ(Papilio polytes pasiklates)♂も出現。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時36分

 今回の遠征ではシロオビはボロ品が多く、この絵はこれでも唯一まともな個体でした(^^;         <次回に続く>
by fanseab | 2012-02-21 00:14 | | Comments(6)

【第8回 チョウ類の保全を考える集い ご案内】

 2月19日一杯、本記事がトップに配されています。本文記事は本記事の後にあります
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 管理人も所属する、日本チョウ類保全協会が毎年2月に開催しております首題集いを、今年も下記の要領で開催しますので、ご案内いたします。

★興味・関心のある方は、どなたでもご参加できます。
★1日だけの参加もいただけます。

多くのみなさまのご参加をお待ちしております

◆日時:
  2012年2月18日(土)・19日(日)
  受付開始:18日(土) 12:30~

◆場所:
  神奈川県立 生命の星・地球博物館 講義室(入口を入ってすぐ右手)
  
◆主なプログラム:

 <2/18(土)>
 13:00 開会
 13:20~14:20 チョウ類の状況及び活動報告
      ヒメチャマダラセセリの現状-植生の変化による個体数の減少-
           渡辺康之氏(NRC)
      北杜市オオムラサキセンターの活動とオオムラサキの状況
           伊藤麻美氏(北杜市オオムラサキセンター)

 14:20~15:20 東日本大震災の津波による生物多様性への影響
         永幡嘉之氏(自然写真家・日本チョウ類保全協会事務局)

 15:50~16:30 保全協会のプロジェクト報告

 16:30~17:10 ブータンシボリアゲハの生態と生息環境について
          矢後勝也氏ほか(東京大学総合研究博物館)

 17:30~     懇親会(博物館) 会費3000円

 <2/19(日)>

 9:15~    受付

 9:20~9:50  自然しらべ2011 チョウの分布 今・昔の結果報告
          萩原正朗氏((財)日本自然保護協会)

 10:30~11:00 絶滅危惧種の状況と今後の保全

 11:00~12:00 チョウ類の保全に関するディスカッション

 13:00~15:00 グループ討論:今後のプロジェクトの進め方について

 15:00     閉会

 大会参加費:会員 500円、非会員 1000円
 お車でお越しの方は博物館受付にお申し出てください。

 会場:講義室(博物館の入口を入ってすぐに右手にあります)。
    本会のみ参加の場合には、入館料は必要ありません。

★参加申し込み
 当日の参加も可能ですが、準備の都合上、参加をご希望の方はできるだけ2月
14日(火)までにお申し込みください。なお、2/18日(土)17:30より、懇親会
を予定しており、会費は3000円の予定です。懇親会の参加についても合わせてご
連絡をお願いします。また、2/19日の昼食(弁当600円)の注文も可能です。こ
ちらもご希望の方は事前にご連絡ください。申込み先は下記の通り。
*********************************************************
  特定非営利活動法人 日本チョウ類保全協会 事務局
  140-0014 東京都品川区大井1-36-1 曽根プラザ301号
  TEL 080-5127-1696
  Email:jbcs@japan-inter.net
  http://www.japan-inter.net/butterfly-conservation/
*********************************************************
 画像がないのも寂しいので、2/18(土)の話題に登場するオオムラサキ♂同士の
お見合い?写真を再掲載しておきましょう(画像はクリックで拡大されます)。
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D90-34、ISO=640、F8-1/320、-0.7EV、撮影地:山梨県甲府盆地、撮影年月日・時刻:2011年7月8日、15時02分
by fanseab | 2012-02-19 23:59 | | Comments(2)

北海道遠征記(11)シロオビヒメヒカゲ

 今回の北海道遠征で、大雪でのウスバキやアサヒヒョウモン撮影の次に期待していたのが北海道固有種の一つ、シロオビヒメヒカゲ(Coenonympha hero latifasciata)でした。6月25日は、前日までの雨模様が解消され、ご案内頂いた maedaさん の待機するポイントへ向かう途中、三国峠から雄大なニペソツ山塊(標高2013m)を望むことができました。山頂付近まで雲高が上がってきており、好天の予感が・・・。                                                                             +横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=200、F10-1/800、-1.0EV、撮影時刻: 8時12分

 maedaさんとお会いするのは、千葉のムラツ越冬集団観察とオフ会以来です。草地に踏み込むと既にピョンピョンと飛ぶシロオビの姿が目に入ってきました。時間の経過と共に飛び出した個体数は半端なものではありません。しかし、シャッター音に物凄く敏感で85mmマクロでは静止写真を撮らせてくれません。そのうち、maedaさんから「交尾ペアがいるよ~♪」との呼びかけが。駆けつけてみると新鮮なペアがおりました。閉翅画像を撮る前に、いきなり交尾場面に遭遇し、興奮状態で広角撮影。
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=200、F9-1/320、-0.7EV、撮影時刻: 8時45分

 右側が♀。裏面外縁部の銀色縁取りが朝日に輝いてそれは綺麗な眺め。バシャバシャと連射いたしました。次に基本の閉翅画像を撮るべく、300mmで少しワーキングディスタンスを離し、相対的にシャッター音を低くする作戦で何とか♂閉翅画像をものにできました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時06分

 ご覧のようにこの時間帯は春先のモンキチョウやコツバメと同様、傾斜日光浴態勢を取っておりました。彼らが傾斜日光浴を取る場所は草地の結構低い場所なので、殆どのアングルで草被りを起こします。従って、敏感な上にアングルが制限されるため、単なる閉翅画像を撮るのにムチャクチャ苦労させられました。草原性のヒカゲチョウならではの撮影難易度ですね。お次はノーマルな姿勢で撮らせてくれた♀です。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時12分

 前翅裏面の眼状紋は通常、第5室のみですが、この個体は第2室にもその痕跡が認められます。♂も♀も羽化直に近い個体が多くて助かりました。吸蜜場面は意外と少なくて、タンポポに仲良く来ていた♂2個体画像のみ撮れました。
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D7K-34、ISO=400、F8-1/2000、-0.7EV、撮影時刻: 9時00分

 綺麗な個体を探して草原をウロチョロしていると、管理人も独自に交尾ペアを発見(左上が♀)。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/640、-0.7EV、撮影時刻: 9時22分

 ちょうど♀の出始めらしく、至る所で交尾ペアが成立していたのだと思います。この交尾ペアにちょっかいを出す♂画像も撮影。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/1250、-0.7EV、撮影時刻: 9時19分

 あまりしつこく絡まずこの♂は潔く?飛んで行ってしまいました。一通り、目論見の画像が撮れたので残りの時間は飛翔撮影に費やしました。殆ど地面スレスレに飛ぶこのヒカゲですので、運良く画面内に蝶が来ても殆どが草被りで没画像となります。カメラを構える姿勢も相当低くなりますので、腰痛が発生しそうで適当に休憩を入れて撮りました(^^; 最初は♀。
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D7K-10.5(トリミング)、ISO=800、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時38分

 今回撮影した中では一番オーソドックスな絵ですね。お次は♀の背面飛び?
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D7K-10.5(トリミング)、ISO=800、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時46分

 飛翔写真を撮影していると、時々こんな場面に遭遇します。急に方向転換する際、相当にアクロバティックな姿勢を取っていますね。3枚目は♂。
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D7K-10.5(トリミング)、ISO=800、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時45分

 偶然撮れた「斜め45度逆光開翅」飛翔でございます(笑)。ただ、大半の画像はこのように葉被りになってしまします(^^; お次も♂。
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D7K-10.5(トリミング)、ISO=800、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時47分

 草丈スレスレを飛ぶシロオビの特徴が一番出た飛翔画像になりました。最後は求愛飛翔場面。
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D7K-10.5(トリミング)、ISO=800、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時37分

 画面左の♀を追尾する♂です。画面右上端に現地をご案内頂いたmaedaさんの勇姿が写っております。お蔭様でおよそ1時間強、シロオビヒメヒカゲをたっぷり楽しませて頂きました。数年前、東播磨のヒメヒカゲ(C.oedippus arothius)を撮影したポイントは結構傾斜が有り、ブッシュも生えていて撮影に神経を使いましたが、今回のヒロオビポイントは平坦地で、体力消耗は少なく翌日のコマクサ平往復の体力を温存できて助かりました。平坦地に飛ぶシロオビを眺めながら、16年前だったか、ヨーロッパ出張で英国ガトウィック空港周辺にトランジット宿泊した際、ホテル横で沢山のチャイロヒメヒカゲ(C.pamphilus)が飛んでいたことを思い出しました。生息環境は北海道のシロオビポイントと瓜二つでしたね。この時、実は蝶友から借用したお散歩ネットでpamphilusを採集した思い出があります。採集品はこの蝶友に展翅して頂き、今でも管理人の数少ない標本箱に収まっております。その標本については、また別の機会にでも語ることにいたしましょう。現地をご案内頂いたmaedaさんには、この場を借りまして改めて感謝したいと思います。<次回に続く>
by fanseab | 2012-02-17 21:05 | | Comments(4)

ゼフ越冬卵撮影その5(2月11日)

 オオミスジ越冬幼虫のリベンジを兼ねて、また山梨に遠征です。前回探索の反省から、群落状のウメではなく、孤立した発生木で調査をする目論見で探してみました。10年程前、銀塩時代に発生していたスモモの木を訪れてみました。結構この株も剪定されておりまして、結局坊主。この株の脇はその昔、オオムラサキ♂が15頭ほど樹液に群れていた台場クヌギのポイントでしたが、驚いたことに、その林の一角が見事に伐採されておりました。丁度切り株を切断作業されていた方がおりましたので、話をお聞きすると、①つい最近伐採作業が実施された。②伐採されたクヌギはシイタケの榾木として利用され、残りは薪ストーブ用として売れるので、自分はその薪造りをしている・・・とのこと。なるほど、本来台場クヌギが形成されるのは、以上のような薪炭・シイタケ栽培で人為的行為が継続的に実施された結果でしたので、このポイントは理想的な里山(雑木林)形成が続いていることになります。折角ですので、この作業者にお断りして伐採されたクヌギの枝先をチェックすることに。狙い目はクロミドリシジミの越冬卵。しかし、枝先部分はどこかに処分されたのか、数も少なく結果は坊主(^^; 見つけたのは同じ鱗翅目でも蛾の越冬卵(^^)                +横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/200、-0.7EV、撮影時刻:10時22分
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時23分

 タケカレハ(Euthrix albomaculata directa) に似ていますが、大きさが全く異なります。塔頂部の模様はクスサン(Caligula japonica)にも似ていますが、側面は「Uの字型模様」でちょっと違うような。。。。本越冬卵についてどなたかご教示頂けると幸いです。

※chochoensisさんより、これは「アオクチブトカメムシ(Dinorhynchus dybowskyi) 」の越冬卵とのご指摘を頂きました。chochoensisさん、本当に有難うございました。鱗翅目越冬卵と信じて疑わなかった管理人には目から鱗でした。

 この近くの沢筋でメスアカミドリとウラゴを探索するもこれまた坊主。見つけたのはイボタの木についていたこれ。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F2.5-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時49分

 クスサンの羽化殻付繭です。スカシダワラとも言いますね。9-10月に成虫が羽化するので、文字通り、蛻の殻。ウラゴは苦戦しております(^^)

 この後、場所を移動して前回探索を行ったクヌギ林の伐採地に向かい、ここでもクロミドリシジミの越冬卵探索。クロミが好みそうな巨木、それも成虫発生を確認していた株の伐採現場は貴重なので、もう一度丹念に調べてみようという魂胆です。探索開始後、30分。休眠芽基部にゼフ卵を発見。ヤッター! 魚露目で記念撮影(笑)
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時24分

 次に拡大システムで撮影しようとファインダーを覗いてビックリ!どうも目的のクロミドリではなく、想定外のアイノミドリシジミの越冬卵でした!
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時33分

 アイノ越冬卵はメスアカと並んで山地性ゼフの中では独特な造形美を有しており、撮影したいトップランキングの対象でしたが、メスアカよりも難易度が高そうで、来シーズン以降の課題だろうと思っておりました。また管理人はこのポイント近傍にかれこれ4シーズン通っていますが、「緑色に輝く」ゼフとしてはオオミドリしか遭遇しておらず、アイノは全くの想定外。というか標高がアイノの生息にはちょっと低すぎるでのは?と勝手に想像していたのです。今シーズンは少し考えを改めて成虫探索をせねばなりません。

 さて、アイノ越冬卵にはまるでタービンブレードのような襞模様が一面に施されています。この微構造の表情は撮影アングルによって微妙に変化します。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時42分
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D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時30分

 特に3枚目のように側面から写すとアイノの特徴が上手く表現できませんね。ただ、タービンブレード状の襞が上下方向に連続する構造であることが、このアングルからのみ読み取れます。
 アイノ発見で急に元気が出た管理人は菓子パン2個のランチを済ませた後、再度越冬卵探索です。二重チェックの無駄を避けるため、確認したクヌギの枝先を折って捨て、区別していきます。そうして更に30分程度して、今度はかなり小さ目の越冬卵を発見。
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 14時23分

 ルーペで確認すると、ミクロパイルの周辺に白い縁取りがあり、目的としていたクロミドリシジミの越冬卵でした!!念願の拡大像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+5コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/500~1/640、-1.0EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時58分

 オオミドリによく似ていますが、棘皮の長さはオオミドリより相対的に長い感じがしますね。また、直径はオオミドリより遥かに小さい感覚で、危うく見逃すところでした。アイノのように休眠芽基部に産んでいるならともかく、芽から少し離れた部位だと少しわかりにくくなります。クヌギの枝先表面には白い斑点が沢山あって間際らしいものですから。最後に越冬卵の大きさ比較をするべく、同一引き伸ばし倍率で、アイノ、オオミドリ、クロミドリの比較画像をご紹介しましょう。
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 オオミドリとクロミドリの大小関係がよく理解できると思います。とにかく、この日は伐採林で粘った甲斐がありました。この後、以前蛹殻を発見したウメ群落を訪れ、再度オオミスジ幼虫探索をしましたが、残念ながらここも坊主に終わりました。こちらの群落は未だ枝先剪定が終了しておらず、少なからぬ期待をかけていたのでガッカリでした。次回はアイノとよく似た微構造を有するメスアカミドリシジミの越冬卵を撮影したいと思っております。

<訃報>
 アイノの越冬卵を撮影した翌日、なにげなく見たニュースでホイットニーヒューストンの訃報を知りました。管理人は黒人女性ボーカリスト、特にバラードを上手く歌う歌手が好みですが、彼女は最大のお気に入り。いつも撮影に向かう車中で彼女の歌を聴きながら、撮影前の意欲を高めたり、目論見の種が坊主に終わった時の悔しさを彼女の歌で慰められたり・・・、黒人独特のソウルフルな節回しがどんなに管理人の心を癒したことでしょう。
♪ I believe the children are our are future
Teach them well and let them lead the way
Show them all the beauty they possess inside
・・・ ♪
 まだ48歳、できればライブで彼女の歌声が聴きたいな~と思っておりましたが、叶わぬ夢となりました。ただただ、合掌。
by fanseab | 2012-02-13 20:56 | | Comments(16)

台湾遠征記:(6)11月21日前半その5

 センダングサ群落では他にも多くの蝶が訪れ、管理人を楽しませてくれました。最初はウラナミジャノメ(Ypthima multistriata)の♀。                                                                    +横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=200、F13-1/160、-0.7EV、撮影時刻:11時48分

 Ypthimaはなかなか全開してくれないので、必死に撮りました(^^) 少しスレ品なのが残念です。のっそりと飛ぶタイプですね。この個体はすぐに翅を閉じてしまいました。
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D90-85VR、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、撮影時刻:11時49分

 ところで、ウラナミジャノメは日本ではそれなりに珍品ですけど、実は台湾産の本種和名・学名表記はちとややこしいのです。以前ご紹介した白水博士の名著、「原色台湾蝶類大図鑑」では「タイワンウラナミジャノメ(Y. multistriata)」と表記されておりました。その後タイワンウラナミジャノメ(Y. motshulskyi)と表記する書籍も登場しましたが、1997年になってタクサが再整理された結果、種multistriataについては、下記のようにまとめられています(※1)。

(1)名義タイプ亜種:Y. multistriata multistriata :台湾および中国東部
(2)韓国亜種:ssp. koreana :韓国
(3)日本本土亜種:ssp. niphonica :本州・四国・九州
(4)対馬亜種:ssp.tsushimana :対馬

 和名については、従来通り、(1)をタイワンウラナミジャノメ、(3)をウラナミジャノメ、(4)をツシマウラナミジャノメとする向きもありますが、管理人としては、(1)~(4)まとめて『ウラナミジャノメ』と呼ぶべきと思っております。ただ現在でもmultistriataの扱いは流動的でありまして、(1)(3)(4)をそれぞれ独立種とする考え方もあります(※2)。いずれ正確なDNA解析により各々の帰属が明確になることでしょう。因みに種motshulskyiには「チョウセンウラナミジャノメ」の和名が与えられております。

 なお、ご存じの通り、日本産ウラナミジャノメの後翅裏面眼状紋は3個(三つ目)で台湾産亜種も同じです。台湾には三つ目タイプとして、他に、(A)エサキウラナミジャノメ(Y.esakii)、(B)タカムクウラナミジャノメ(Y.perfecta)(C)タカオウラナミジャノメ(Y.wenlungi)の3種を産しており(他にムモンウラナミジャノメ(Y.norma postcalis)もおりますが記録に疑問があるのでここでは3種とします)、ウラナミとエサキ、タカオは低標高地、タカムクは高標高地(1000m以上)と、標高で棲み分けがなされているようです。管理人が訪れた知本森林遊樂區は標高300m程度なので、タカムクは生息していないことになります。次にウラナミとエサキの識別は上記三つ目(①第1b、②2、③6室に出現)の中で、②と③の眼状紋の直径比率で見分けます。エサキは通常②と③はほぼ同じ大きさか、③<②。ウラナミは逆に③>②となります。なお、エサキの台湾北部海岸線沿いに局所的に分布する亜種ssp. wangiの一部では③>②の個体が出現するそうです(※2)が、これは生息場所で区別できそうです。またタカオはその和名通り、高雄県の一部にしか生息しておりませんので、これも区別可能です。上記議論について詳しく知りたい方は、下記(※)参考文献を参照下さい。

 さて、センダングサ群落に、午前中のほぼ最後に登場したのは大型セセリの一角、トビイロセセリ(Burara jaina formosana)でした。
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D90-85VR、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、撮影時刻:11時50分

 Burara属は北タイでoedipodea、ボルネオでharisaを撮影済ですので、これが3種目となります。台湾産本属はjaina 1種のみですので、同定には全く苦労しません。性別は前翅端の尖り方から判断して♀でしょうか? <次回に続く>

※参考文献
(1)Dubatolov,V.V. and A.L.Lvovrky,1997. What is true Ypthima motschulskyi(Lepidoptera, Satyridae)? Trans.lepid.Soc. Japan 48: 191-198
(2)高橋真弓・城内穂積, 2011. “カメヤマウラナミジャノメYpthima wangi Lee,1998”(台湾産) の分類学上の階位について, Butteflies(Teinopalpus) 58: 4-13 
by fanseab | 2012-02-09 22:21 | | Comments(4)

ゼフ越冬卵撮影その4(2月4日)

 今年初の山梨遠征です。目的の一つはオオミスジの越冬幼虫探索。現地8時10分着。甲府盆地の朝は冷え込みますが、快晴無風でコンディションは良好です。澄み切った冬空にヒヨドリの甲高い囀りが響き渡ります。いつもオオミスジ♂が探♀飛翔をしている梅の木群落で探索開始。およそ1時間かけて20株ほど丹念に探しましたが坊主(^^; ちょっとガッカリです。この後、ポイントを変えて小群落でも探索するも、ここもヌル。流石に気落ちいたしました。ちょっと気になったのは最近剪定されたと思われる小枝の束が沢山置かれていたこと。で、その剪定枝も検しましたが、それでも発見できませんでした。ただ、探索の途中で色々と面白いものが見つかります。最初はユニコーンを思わせる物体。                                          ++画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.6-1/1600、-0.7EV、撮影時刻: 8時59分

 どうやらモモスズメ(Marumba gaschkewitschii echephron)の幼虫のミイラのようです。尾端突起の位置と体のバランスから考えると終齢幼虫のミイラではなくて、中齢あたりでしょうか? お次は百舌鳥の速贄。
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/40、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時26分

 犠牲者はツチイナゴかな? モズが冬空に残してくれたオブジェのようです。しかし、このような速贄の回収利用率はどの程度なんでしょうね。最近物忘れの激しくなった管理人ですけど、モズは自ら作成した速贄の在処を忘れてしまうことはないのでしょうか? この他、イラガの繭だとか、梅の木には色々な宝物がありました。このところの寒気のせいで梅の開花は遅れていて、発見の有無は別にして幼虫探索は楽でした。一旦開花すると、梅の花弁が探索の邪魔になると考えておりまして、できれば開花前にもう一回チャレンジしたいと思っております。

 ポットに入れた温かいティーラッテで一息入れた後、ゼフの越冬卵探索に切り替えました。クロミドリシジミの発生木を訪れると、何とその発生木含め20m四方が完全に伐採されておりました。ガッカリですが、気持ちを切り替えて伐採されたクヌギの休眠芽に目を凝らしながらクロミドリ越冬卵を探します。しかし、素人の悲しさ、20分程で諦めました。少し場所を変えてミズイロオナガの個体数が多いポイントで越冬卵探索。先ずはオオミドリの越冬卵を1卵発見。撮影は後回しにして、その僅か2m離れたコナラの実生(高さ1.5m程度)の小枝分岐でやっと、ミズイロオナガシジミの越冬卵を発見です。ヤッター!先ずは魚露目で環境描写。
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F25-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時02分

 教科書に書いてある通り、枝分岐部の少し窪んだ箇所に産み付けられています。想定していたより小さい卵でウッカリ見逃すところでした。魚露目画像でもこの越冬卵の特徴である、太い突起構造が確認できます。そして拡大画像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理)、ISO=200、F22-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時18分

 合成コマ数は3枚。撮りたかった対象がゲットできてヤレヤレです。画質には満足しております。甘党の管理人はどうしても上質な砂糖細工のように見立ててしまいます(^^) この後、先ほど発見したオオミドリシジミの越冬卵を撮影。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理:3枚)、ISO=200、F29-1/320~1/400、-0.7EV~-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時23分

 これまで撮影した同種越冬卵の画像の中では、表面の汚染が最も少なく綺麗に撮ることができました。成果が出たので、気分が良く次の目標、オナガシジミの越冬卵を撮影するべく場所を移動します。渓谷沿いのポイントに到着して探索しますが、葉が落ちたポイントの風景は夏場とすっかり様相が変わっています。オニグルミの枝を引っ張り降ろして休眠芽をチェックしてきます。もちろんオナガの越冬卵探索も初体験の管理人ですので、どんな枝先が好まれるのか?サッパリ不明、なかなか発見できません。諦めて撤収寸前になって、それまでチェックしていたより幹が太く、枝が水平方向に長く張り出した株でチェックしてみると、ヤッター! ようやく1卵発見できました。コンデジ広角での環境描写です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/90、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻: 14時58分

 画面左側に見えている枝振りの良い株から枝先を引っ張り降ろして撮影しております。卵は北向きに産み付けられております。オナガの越冬卵も想像していたより小さいですが、白いのでよく目立ちます。次に拡大像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理)、ISO=200、F25-1/320~1/500、-1.0EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時42分

 合成枚数は4コマ。この冬の一大目標にしていた撮影対象なので、感激も一入でした。表面の壁が正六角形のブロックで構成され、壁から垂直上方に延びる突起は正三角柱をアレンジしたような独特な構造です。結晶学的にみたら全体に「三回対称性」の香りがしますね。また、卵の左側に「卵座」と呼ばれる糊状物質が見えています。今回は照射に使用したリングストロボにちょっと改造をしてみました。管理人の使用しているリングストロボには複数の発光体がついているのですけど、各々の発光体を独立に光らすことはできません(市販品には左右一対の発光体を独立発光させる機構もありますが)。そこでリング全周の1/2のみ発光するように加工して、斜光線で撮影対象に陰影感を出せるように今回工夫してみました。特にミズイロオナガやオナガ越冬卵のように「彫の深い」表面構造を写すにはフラットな照明は不利と考えたからです。今回撮影した作例を見る限り、この作戦は成功したと勝手に思っております。

 また前回の記事で、「回折ボケを防止する目的で本来は絞り込み過ぎずに撮影するべき・・・」とコメントしましたが、今回ちょっとその検証としてやや浅めに絞ったF=16でテスト撮影を試みました。これがその画像。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理:4枚)、ISO=200、F16-1/320~1/400、-0.7EV~-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時45分

 焦点深度が浅いことに起因するのか、合成も不調で不規則なピンボケ部分が認められます。それよりなにより問題なのが、突起周辺に青く出る色収差です。特に元画像で見ると、この色収差は甚大です。まるでクリスタルガラスのような透明感のあるオナガ卵の微細構造を表現する際、色の滲みは致命的な欠陥になります。どうやら、浅く絞った時は(色収差によるボケ)>(小絞りによる回折ボケ)の図式が成り立って、深く絞り込んだ方が有利な気がしてきました。この辺の事情はStacked lens法特有の制約条件なのかもしれません。

 ところで、この日は立春。心持ち寒さが緩んだ感じがしました。甲府盆地からは壁のように聳え立つ甲斐駒を望むことができました(画面右手:左は鳳凰三山の一角、地蔵岳)。
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D7K-85VR、ISO=100、F11-1/640、-1.3EV、撮影時刻:12時55分

 夏場は頂上付近が雲に隠されることが多いのですけど、空が澄む冬場は甲斐駒を間近に見るチャンスですね。ゼフ越冬卵については、次回、何とかメスアカミドリにチャレンジしたいと思っております。
by fanseab | 2012-02-06 21:25 | | Comments(10)

北海道遠征記(10)コヒオドシと越冬タテハ達

 遠征した6月下旬はタテハチョウ亜科を観察するには全般に中途半端な時期でした。未だ新羽化成虫を見るには少し早く、越冬個体が中心になります。何度もご紹介する十勝の林道で俊敏に飛んでいるタテハが目に入りました。一瞬、ヒメアカかと思いましたが、タンポポに吸蜜した後、接近するとオンボロのコヒオドシと判明。                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、10時42分

 管理人は本州・上高地で新羽化成虫しか観察したことがなく、越冬後個体の撮影はこれが初体験。いかにも厳冬の風雪に耐え忍んだ・・・個体ですね。この近くでは開翅日光浴する♀に遭遇。
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D7K-34、ISO=640、F9-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、11時07分

 比較的スレていない個体でした。この♀、実は産卵行動の途中でして、エゾイラクサ?にしきりに産卵姿勢を取っておりました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F8-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、11時09分

 ご存知の通り、コヒオドシは卵塊で産み付ける習性があります。産卵時間は相当時間を要するのだろう・・・と待機していましたが、意外とさっと飛び去ってしまいます。産み付けたと思われる葉裏を検すると、何と全く産卵しておりません。同様な産卵姿勢を何回も取った後、この♀はどこかに飛び去りました。恐らく気に入った葉がなかったのでしょう。産卵塊も撮影したくてウズウズしていた管理人の目論見は見事に外されました(^^;

 この林道に移動する前に、シロオビヒメヒカゲの撮影に興じておりました。シロオビ画像はまた別の記事でアップ予定ですけど、シロオビのポイントでmaedaさんが、コヒオドシの亜終齢幼虫を見つけてくれました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/200、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、8時54分

 止まっている葉はエゾイラクサではなくてイラクサでしょうか?そのイラクサ群落は南西向きの小斜面に蔓延っておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/125、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、8時56分

 また、コヒオドシやホソバヒョウモンを観察した林道脇にはヒョウモンと思しき終齢幼虫が多数観察できました。
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D90-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/2000、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、10時16分
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D90-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/1600、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2011年6月25日、10時16分

 前胸部の棘状突起が著しく長いので、ミドリかメスグロの可能性があり、2本の背線が鮮明に見えるのでミドリヒョウモンだと思います。間違っていたらご指摘下さい。観察された幼虫は、いずれも食草のスミレ類ではなく、フキの葉上に静止(頭部を下に)して日光浴をしている感じでした。

 6月27日は、午前中、コマクサ平でのウスバキ観察を終えた後、下山して色々な探索をしておりました。林縁を彷徨っているとクジャクチョウやシータテハを多数観察することができました。先ずは路上で開翅するクジャクチョウ。
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D90-85VR、ISO=200、F10-1/200、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2011年6月27日、15時55分

 お次はフキの葉上でテリを張るシータテハ♂。
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D90-85VR、ISO=200、F10-1/320、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2011年6月27日、15時56分

 近くをクジャクやシーが通りかかると凄いバトルを繰り広げておりました。こうした低標高地にこれらのタテハを見ると、「北海道に来たなぁ~」と実感します。越冬個体ですのでスレ品は当然なのですが、厳しい北海道の厳冬を過ごしてきた彼らを見ると、つい「頑張っているね!」を声掛けしたのでした。<次回に続く>
by fanseab | 2012-02-03 22:13 | | Comments(6)