探蝶逍遥記

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ミヤマチャバネセセリ終齢幼虫の顔相比較(10/30)

 奄美遠征記はちょっとお休みして、近場の話題。先週、多摩川のお散歩観察で見つけた首題幼虫の頭部をマクロで比較してみました。実はこのテーマ、2007年2月7日の記事で既にご紹介しております。その時の撮影分はコンデジでしたので、今回はより解像度を上げるべく、デジ一での撮影です。先ずは下図をご覧ください。                                                                                      ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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撮影はいずれもD7K-85VR

 前回ほどバラエティに富んでおりませんで、(1)~(4)はかなり酷似していて、個体識別に苦労するほどです。一方、(5)はベージュ色の斑紋が拡大して頭殻全体が明るい印象を受けます。因みに個体(1)は先週、10/23の撮影、残りの4個体は本日(10/30)の撮影。

 次に終齢幼虫の巣と食痕の代表例をご紹介しておきます。
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D7K-24、ISO=100、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時44分

 この事例は一枚のオギ(イネ科)の葉を綴って造られていますが、2枚以上の葉を束ねた巣も良く見かけます。上の比較写真で(3)で示した個体の全体像です。
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D7K-85VR、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時55分

 この画像でわかるように、巣内は緻密に網状吐糸されております。なお、このポイントで10/23(日)に全7個体の終齢幼虫を確認しております。凡そ3mX2mの狭い範囲で発見されました。1株のオギに1頭の終齢幼虫が棲んでおり、恐らく母蝶が狭い範囲に各株1卵ずつ、集中的に産み付けていったものと思われます。10/30の時点では、既に3個体が巣から消えておりました。地上に降りて蛹化したものと思われます。ミヤマチャバネはPelopidas属として例外的に蛹越冬であることが知られております。実は2007年の秋にも終齢幼虫を追跡し、野外での蛹化場所を突き止めるべく頑張りましたが失敗しました。今回も巣から脱出した3個体の行方を追跡しましたが、蛹は発見できませんでした。オギの根元にはクズやアレチウリの根が複雑に絡んでおり、蛹の発見は相当困難ですが、残りの4個体での捜索も何とか頑張りたいと思います。なお、夏型の飼育条件下では、複数の葉を簡単に綴った巣らしきものの中で蛹化することを確認しております。これをヒントに何とか見つけたいものですが、果たして上手くいくかなぁ~?
by fanseab | 2011-10-30 23:45 | | Comments(11)

奄美大島遠征記(7)10月12日前半戦

 いよいよ遠征の最終日。普段の行いが良いのでしょうか?この日も快晴の空模様。アカボシゴマダラは一通り撮影できたので、普通種をメインに候補地の探索です。遠征前から行きたかったある林道に車を進めます。1時間車を飛ばして林道入り口に着くと、無情にも「土砂崩れで通行止」の表示が・・・。まぁ、自然災害に腹を立てても仕方ありません。すごすごと引き下がります。途中、車道からこんな光景を見ました。                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=200、F7.1-1/250、-0.7EV、撮影時刻:7時50分

 これ、何だと思います?実はある小山の斜面一面に生えているソテツ群落です。奄美の海岸線をドライブしていると、そこいらじゅうに自生のソテツを見かけますが、ここは目を疑う程の生息密度でした。名付けて「クマソのサンクチュアリー」。恐らく蠅が飛ぶようにクマソが舞っていることでしょう(笑)  この斜面を後にして、2日目、雨中の探索でみつけたランタナ群落の前に陣取りました。管理人は「困った時のランタナ頼み」なる個人的な格言を作り、時々思い出すことにしています。東南アジア各地にも外来種のランタナが沢山咲いております。低地産の種類をターゲットにしてウロチョロし、あまり成果が出ない時、ランタナの前で待ち受けていると、多くの蝶が訪れて目的種をゲットできることが多いからです。この格言通り、朝一番の吸蜜タイム(8時半~)に多くの蝶が訪れ、撮影を楽しむことができました。最初はナガサキアゲハの♀。
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D7K-34、ISO=500、F8-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時44分

 この個体も残念ながら羽化不全付スレ品でした(^^; 続いてリュウキュウアサギマダラ。
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D7K-34、ISO=500、F9-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時46分

 確信は持てないけれど、♀のようです。お次は個体数の多かったウスキシロチョウ♂。
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D7K-34、ISO=500、F10-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:8時51分

 光の回りが狙い通りの仕上がりになりましたので、少し大きめの画像でのご紹介です。ウスキシロはpale blue(薄青色)を呈する独特なレモン色のシロチョウですね。そのブルーが淡く逆光に輝く光景にウットリします。続いてやや高い梢にやって来たのはオキナワカラスアゲハ(奄美亜種:Papilio okinawensis amamiensis)♀
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D7K-34、ISO=500、F4-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時53分

 オキナワカラスは秘かに狙っていたアゲハですけど、3日目にハイビスカスの回りを飛び回る♂を目撃したのみで撮影には至らず。。。。何故か飛翔高度が高くて、この時も低いランタナで吸蜜してくれず、ガッカリさせられました。ブンブン羽音を立ててやって来たのはホウジャクの仲間。
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D7K-34、ISO=500、F8-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時03分

 ホウジャクの同定能力はサッパリの管理人です。どなたかご教示下さい(普通種のホシホウジャクに見えますが・・・→yoda-1さんより「クロホウジャク」とのご教示がありました。)。ランタナ群落の近くの畑にひょいと出現したのはピカピカのウラナミシロチョウ♀でした。
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D7K-34、ISO=200、F10-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:9時12分

 強烈な陽光で裏面の諧調が飛び気味で苦労させられます。この個体はランタナに飛来する気配が全く無く、これまたガッカリ。ナガサキ♀が登場したあたりから、1頭のベニモンアゲハが飛び始めました。しかし、この個体、なかなか吸蜜せずにウマノスズクサ食いアゲハの特徴であるパタパタと飛行するばかり。仕方なく飛翔を狙いました。
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D7K-34、ISO=400、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時24分

 飛んでいる個体がベニモンではなく、キシタならもっと絵になるんだけど・・・とあらぬ妄想に耽る管理人。そのうちようやく想いが通じて吸蜜してくれました!
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D7K-34、ISO=400、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:9時25分

 ベニモンの吸蜜画像って簡単そうでなかなか奥が深いです。ビシッと決まった絵が撮れないもんです。9時30分を過ぎると流石にアゲハ類の姿も消え、朝の吸蜜タイムが終了したようです。これを潮時に管理人も別ポイントに移動しました。<もうちょっと続く>
by fanseab | 2011-10-27 22:45 | | Comments(6)

奄美大島遠征記(6)10月11日後半戦

 物凄いスコールも短時間で止み、急に天候が回復、亜熱帯の陽射しが照りつけてきました。場所を移動して海岸線を移動中、植栽のペンタスで吸蜜中のツマベニチョウ♂を撮影。                                                      ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F8-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時05分

 今回は申し分ない撮影条件でツマベニの地色も表現できたと思います。もちろん、もうちょっと完品なら完璧な出来だったのですが・・・。ハイビスカスに比較して小さな花弁での吸蜜はツマベニの開翅角度も大きくて綺麗に表現できますね。この後、2日目に探索して見つけたクワノハエノキのポイントで粘っていると、100m程遠方の小川上空でゆったりと旋回するタテハを発見。大きさからアカボシ♀と確信し、待機していると目の前のキョウチクトウに止まりました!
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D7K-34、ISO=400、F8-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時12分

 表翅に細かな傷がありますが、翅の欠損も少なくようやく♀の全貌を捉えることができました。次いで真横からの閉翅と開翅画像を撮ろうとしたら、遠くの林に逃げていきました。どうやら産卵木を探す行動。ただ狙いをつけていたクワノハエノキには何故か立ち寄ろうともせず、ガックリです。更に場所を移動し、10日午前中の記事でご紹介した(6枚目の画像)クワノハエノキに立ち寄ると、梢の上に蝶影が。小さなタテハのようです。300mmでチェックするとテングチョウの♀でした。クワノハエノキの雄花から吸蜜している様子です。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時23分

 次いで飛翔。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時24分

 そして新芽に産卵です。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時25分

 相当遠いので全てトリミングでのご紹介です。♀は上記の通り、枝から枝へ飛びながら、吸蜜と産卵を繰り返しておりました。ご承知かもしれませんが、テングチョウの南西諸島亜種(ssp.amamiana)は確実に年2化(3化以上の可能性も?)発生とされています。通常春先にしか芽吹きがない本土産エノキとは異なり、台風等で葉落ちした後、新芽が芽吹きやすいクワノハエノキではテングも化数を稼ぐことができるようです。いずれにせよ、汗だくになって、ギラギラとした太陽を望みながら目撃したテングの産卵風景はちょっと違和感がありました。このポイントではフワフワと飛ぶカバマダラ♀もおりました。太陽バックに逆光飛翔撮影。
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D7K-24(トリミング)、ISO=400、F10-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時55分

 またしても、「ジャスピン画像画面端の法則」に従い、左前翅端が画面から外れてしまいました(^^; ♀の飛翔は香港に引き続き2回目です。このポイントではアカボシ♀がエノキに舞い戻ってきそうもないので、止む無くポイントCに移動し、ヒルトッピング個体を狙うことにしました。夕方には未だ早い時間帯でしたが、綺麗な♂がテリを張っておりました。
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D7K-34、ISO=400、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:14時32分

 強い日差しを受けたアカボシの姿をようやく撮影できました。なお、背景のブルーは青空ではなく、東シナ海です。広角で海とアカボシを同時に写し込めたら最高なんですけどね。何とか粘って、紺碧の青空を滑空する♂の飛翔画像も撮ることができました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:15時14分

 ある程度撮影できたので、遠征前から目星をつけていた、もう一つのヒルトッピングポイント(ポイントDとします)に移動しました。ポイントDに到着して、テリ張りしそうな樹冠を探すものの♂は坊主。仕方なくムラサキツバメ♀を観察している途中、目的の♂が突然出現しました。ポイントCでは撮れなかった青空バックのテリ張りシーンを撮影。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:16時10分

 右後翅の破損が残念でした。暫く観察しておりましたが、ライバル♂はいないようで、殆ど♂に動きはありません。秘かに破損していない左後翅をこちら側に向けてくれないか~と粘っていた管理人をがっかりさせました。ここで嬉しかったのはイワカワと並んで撮りたかったクロボシセセリが飛んでいたこと。センダングサから吸蜜する♀です。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時39分

 クロボシはシンガポールで証拠画像を撮っただけでしたので、まともな絵が撮れて大変嬉しかったのでございます。このクロボシ、オリジナル画像を拡大すると腹端から水滴が確認できます。吸蜜ポンピングと言うべき行動でしょうか?クロボシも撮れたので、この日はここで撤収です。<更に続く>
by fanseab | 2011-10-24 22:34 | | Comments(14)

奄美大島遠征記(5)10月11日前半戦

 早朝5時過ぎに目が覚め、宿の窓を開けると、抜けるような快晴!予報とは降雨が少しズレたようで、大喜びで出発準備です。この日は前日トラップを仕掛けたBポイントに直行。アカボシの活動には少し早い時間帯ですが、トラップを確認して唖然としました。                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.2-1/13、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:8時13分

 なんと、どでかいナメクジ(百円玉と比較して下さい)と小さな蟻が綺麗に平らげて跡形もありません(^^; Aポイントの子猫に引き続き、またまた油揚げ(トラップ)をトンビ、もとい、ナメクジにさらわれました。トホホです。置く場所の再検討が必要ですが、ここに再度置くのは止めにして、少し農道の奥まった位置に仕掛けました。Bポイントでもう一度クワノハエノキを検すると、アカボシの食痕を確認。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F2.9-1/90、-0.7EV、撮影時刻:8時20分

 ただ、新鮮な食痕ではなく、かなり古い感じ。幼虫・蛹も発見できませんでした。アカボシ成虫の活動には未だ時間があるので、朝一番でのアゲハ・シロチョウの吸蜜タイムと睨んでハイビスカスの前に待機して飛来する個体の撮影に励みました。最初はナガサキアゲハの♂。
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D7K-34、ISO=1600、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時29分

 ナガサキ♂は奄美滞在中、アゲハの中では最も個体数が多いと感じました。続いてツマベニチョウの♂。
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D7K-34、ISO=1600、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時45分

 ツマベニとハイビスカスの組み合わせを撮るのはこれが初めて。よく言われているようになかなか撮影技術が要りますね。吸蜜の直前大きく翅を開いて花弁に突入するのですが、ストローを長く伸ばす過程でハイビスカスの大きな花弁が邪魔になって。翅が閉じ加減になり、肝心の前翅端の濃橙色を上手く表現できません。それとツマベニを撮ってデジ一のモニター画像を見ると、どうも白部分の諧調が吹っ飛んでいます。「おかしいなぁ~」と思ってEXif情報を確認すると、何とISO=1600になっていました!どうもシャッター速度を変更するため、メインコマンドダイヤルを回した際、左手親指がボディのISO変更ボタンを触れており、意図せずにISOが上昇したものと判明。管理人は結構頻繁にISOおよびシャッター速度を変更するので、時としてこんなミスをやらかします。↑のツマベニ画像はRAW現像で何とか誤魔化しましたが、やはり白地部分は諧調が吹っ飛んで修正不可能でした。ISOをきちんと修正してお次はモンキアゲハの♀。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時53分

 この個体の後翅の白紋にご注目ください。白ではなく「薄黄色」を呈しており、将に「紋黄揚羽」になっております。後翅の白紋は羽化時にはほぼ白色で、「羽化後の二次的な変色で黄色に変化する」との記述が参考書に記載されております。太陽光の紫外線で白色色素が光化学分解して褪色するのでしょうか?いずれにせよ、ここまで「黄色い」モンキアゲハは初めて見たように思います。それにしてもこの♀、図体がデカいです。ツマベニチョウはハイビスカスの長く伸びた雄蕊(雌蕊)を避けるように頭部を花弁奥に差し込みますが、このモンキ♀は後翅全体で雄蕊部分をへし曲げるようにした豪快な吸蜜が印象的でした。さて、林縁ではイシガケチョウ♀がゆったりと舞っておりました。今回程、イシガケ♀をじっくり観察したのは初めて。その♀のセンダングサからの吸蜜です。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時04分

 イシガケは胴体と翅のバランスが他のタテハとは異なり胴体が大変小さく見えます。こうして見ると♀は異様に翅の面積がデカいですね。別のセンダングサ群落を訪れ、アカタテハの吸蜜を狙っていた際、向こう側から相当白いナガサキアゲハ♀がやって来て吸蜜を開始しました。
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D7K-34、ISO=500、F4.5-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時48分

 滞在中、とにかく白いナガサキ♀を追い求めていたのですが、いずれも破損した個体が殆どでした。この個体ももうちょい完品ならばよかったのですけどねぇ~。ハイビスカスにも結構訪れておりますが、白いセンダングサでの吸蜜シーンの方がよりナガサキ♀の艶やかさが映えるような気がしております。そろそろアカボシの活動が活発になっているだろう・・・とBポイントに戻ったものの、期待と裏腹に今日は1頭も飛んでおりません。がっかりとして移動しようとした時、この農地の地主と思しき古老が顔を見せたので暫し談笑。

管理人:「ここにもハブはおるんでしょうねぇ~」
古老: 「もちろんおるで。どこにでもおる・・と思えば間違いはないものじゃ」
管理人:「ハブは今頃の秋口になると草地から移動して木に登ると聞きましたが?」
古老: 「確かにそうじゃ。昔はシイノキのドングリが一杯なって、そのドングリ
     目当てに小鳥が一杯やって来る。その小鳥を狙ってハブが木に登るの
     じゃ。しかし最近はドングリがあまり実らないから、そうでもなくなった
     のじゃけれど・・・」
管理人:「なるほど、ドングリですか?では現在、他にどんな場所がヤバいのですか?」
古老: 「まぁ、サツマイモ畑も危ないな!秋口になってサツマイモの収穫時になると
     野ネズミがやってきてイモを食べるのじゃ。その野ネズミを狙ってハブが
     サツマイモ畑に潜んでおる」
管理人: 「なるほどねぇ、色々と勉強になります。有難うございました。因みにおじいさんは
      ハブの被害に遭われたことがありますか?」
古老: 「あるよ。わしは昭和6年生まれじゃが、若い頃右太もものこの辺をやられたんじゃ。
     当時はハブ血清を置いてある病院も少なくて、難儀じゃった。結局18日間も入院して
     農作業の働き手をなくして家族に迷惑をかけたなぁ。」

 遠い昔話を語ってくれた古老に丁重に挨拶して別れました。実は古老に出会う直前、リュウキュウムラサキの幼虫でもおらんか?とサツマイモ畑の回りをウロチョロしておりましたので、流石に冷や汗が流れたのでございました。ハブ対策については遠征する前から注意しており、今回も以下のような装備で下半身を防護して臨みました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.6-1/125、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時31分

 常用している膝当てと登山靴の間を厚手のロングスパッツで防護するスタイルです。まぁ、ここまで防護しても、谷あいの湿った草地にいきなり飛び込む勇気はありませんでしたね。持参した一脚を常に行先の草むらに当てながら、慎重に歩きました。実は東南アジア諸国にはハブ以上の猛毒を持つ毒蛇が一杯いるはずですが、あちらでは「知らぬが仏・・・」でどんどん草叢に飛び込んでいくので、管理人も能天気な性格でございます(笑)。

 さて、11時頃から空模様が俄かに怪しくなってきました。どうやらスコールの予感(^^; ちょっと撮影モードを中止し、探索モードで林道の奥深くに車を進めました。ガードレールをフト見ると、見慣れない直翅目が。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時08分

 マツムシ科のマダラコオロギ(Cardiodactylus guttulus)♂でした。東南アジアに広く分布する種らしいですけど、海外も含めて初見のような気がします。とにかく、その触覚の長いこと!そのうち、ポツリポツリと雨滴が・・・。原生林に入ると見ることのできる有名なヒカゲヘゴも撮影。
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GXR@6.9mm、ISO=100、F9-1/15、-0.7EV、撮影時刻:11時35分

 この絵を撮った直後、堰を切ったように物凄いスコールが降り始めました。辿っている狭い林道も途中何カ所か崖崩れの後があり、山奥で孤立するリスクを回避するため、2日目にイワカワシジミを目撃した場所まで戻り、ここで雨宿りをすることにしました。車内で手足を伸ばし、菓子パンを齧りながら、暫しゆっくりと休みました。<まだまだ続く>
by fanseab | 2011-10-22 12:09 | | Comments(10)

奄美大島遠征記(4)10月10日午後後半戦

 ちょっぴり贅沢なランチで元気を貰った管理人は、午前中訪れたポイントAに戻りました。ここで仕掛けたトラップを探したのですが、跡形も無く消えておりました。「くそーっ、犯人は誰だ~!」と呟きながら周囲を探すと直ぐに犯人が判明。小さな野良猫の仕業だったようです。トラップが目的の蝶以外に消費されることはよくありますが、ちょっとガッカリ。仕方なくウロチョロすると、ヒメシルビアを撮影した地点より西方に別のヒルトッピングしそうな見晴の良い場所を発見(以後ポイントCとします)。ここは前方の林が切り込まれていていい雰囲気です。下方のカラスザンショウでモンキアゲハ♀が産卵行動を取っています。暫く観察していると、急に♂が接近してきて求愛飛翔モードに。結構長時間持続するので、ここはじっくり300mmで撮影。                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/3200、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時58分23秒
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D7K-34、ISO=640、F4-1/3200、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時58分30秒
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D7K-34、ISO=640、F4-1/3200、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時58分41秒

 アゲハの求愛で良く見られるように♂が♀を先導するパターン。ここで興味深いのは後に従う♀が常にストローを延ばしている点です。まるで♂が空中に撒き散らすフェロモン物質を吸飲確認しているかのような光景。実際、この行動にはどんな意味があるんでしょうね?この後、アカタテハやヒメアカタテハがテリ張りにやってきて小ピークは賑やかになってきました。そして16時過ぎ、待望のアカボシ♂がやってきて梢の先でテリを張りました。
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D7K-34、ISO=640、F4-1/3200、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時03分

 相当遠い場所を表現するため、敢えてノートリミングでのご紹介。暫くすると別の♂個体が飛来してきて華々しい空中戦がスタートです。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時15分

 夕刻、山頂にヒルトッピングして来て別個体に空中戦を仕掛ける様子は数年前、香港で初めてアカボシを観察した時の光景と全く同じです。実はこの香港での経験をベースに今回も小ピークを選んで夕刻に限定した探索をしておりましたので、この戦略は一応成功と言えましょう。有難いことに、時間の経過と共にテリ位置は管理人に接近してくれました(^^) 
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D7K-34、ISO=640、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時27分

 ようやくじっくりとアカボシ♂を観察できる距離です。奄美大島産亜種の特徴は複数列挙できますが、最大の特徴は後翅赤班の彩度と形状です。この絵のようにストロボを照射した場合、神奈川他で観察できる外来種は赤班が「ピンク色」に表現されてしまいます。実際、ストロボを使わずとも、実物の赤班はややピンク色がかっていて、正確には「アカボシ」ではなくて「モモ?ボシゴマダラ」なのですね。一方、奄美産は鮮やかな真紅。また、赤班は後翅第6室にまで出現しますので、全体の印象が外来種よりも華麗な印象を受けます。本記事の最後に上記特徴比較図を載せましたので、ご覧下さい。テリ位置からライバルを追撃し、戻る途中の飛翔も撮影。
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D7K-34、ISO=640、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時31分

 絞り優先モードのままで撮影したので、翅がブレ、かえって動感が出たかもしれません。
次に開翅した場面をほぼ直下より撮影。
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D7K-34、ISO=640、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時37分

 生憎、薄雲がかかった夕暮れ時なので、発色はイマイチでした。16時30分を過ぎると、スミナガシとアオバセセリもヒルトッピング組に合流。あちらこちらで異種格闘技がスタートし、このピークは大変賑やかになりました。そのスミナガシを真後ろから撮影。
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D7K-34、ISO=640、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時33分

 眼光は流石に鋭いものがあります。なお、本土以外の亜種(奄美産はssp. okinawaensis)を撮影するのはこれが初めてです。さて、ヒルトッピングしているアカボシをもっと近くで、より具体的には、開翅場面を真上から撮影する目的でトラップをある場所に仕掛けておきました。来るか来ないか?ギャンブルでしたが、どうやら大吉と出ました!17時過ぎ、テリ位置から飛び立った♂がフラフラとトラップの近くで旋回飛行を初め、やがてトラップの上に舞い降りたのです!はやる心を押えて狙い通り、ほぼ真上からの撮影ができました。
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D90-85VR、ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:17時03分

 このトラップ、実は遠征3日前に調製し、じっくり熟成させて現地に持ち込んだもの。その甲斐あっての成果になりました。この後、側方から回り込み、接近戦で閉翅画像を撮ろうとしたら、無情にも飛び立ち、木立の向こう側に消えました。この後、アカボシは舞い戻らず、ジ・エンド。まぁ、閉翅画像はやや遠目からも撮れたし、大満足でこのピークを後にしました。<更に続く>

≪奄美産亜種と外来種(名義タイプ亜種)の比較図≫
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 本文中に述べた比較図です。右側の比較個体は昨年の秋に撮影した♂。共に夏型です。後翅の違いとは別に前翅の白班出現状況もかなり異なっており、外来種は翅脈に沿って線状に延びるのに対して、奄美産は白点状に留まります。また、ここでは図示できませんが、奄美産は春型と夏型との変異が殆ど無いのに対し、ご存知の通り、外来種の春型は全体が白化して後翅の赤紋も消えてしまいます。
by fanseab | 2011-10-20 21:13 | | Comments(16)

奄美大島遠征記(3)10月10日午後前半

 さて、午前中降り続いた小雨も正午には止み、探索効率が上がりました。ハイビスカスの真紅の花にツマベニチョウやモンキアゲハの吸蜜も始まりいい感じの空模様。芭蕉(島バナナ)やサツマイモが植えられている林縁をルッキングしていると、グライダー滑空するタテハの姿が目に飛び込みました。リュウキュウアサギマダラとは違う!アカボシと確信し、慌てて駆け寄ります。木立に静止したところを慎重に撮影。
++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F4-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時44分

 やっと探し求めていたターゲットが撮れました。かなり汚損した♀ですが。ヤレヤレこれで坊主は免れたと思うと同時にすぐに「もっと綺麗な個体だったら・・・」と贅沢な考えが浮かびます。この♀、少し飛んで芭蕉の葉の上に静止。
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D7K-34、ISO=200、F8-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時45分

 左前翅外縁部が殆ど欠落しております。この後、この♀は姿をくらましました。♀がおるなら、恐らく近くにクワノハエノキがあるやろうと思って探すと、なるほど、林縁にポツポツと比較的大きな株が並んでおります。
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D90-85VR、ISO=400、F13-1/320、-1.0EV、撮影時刻:12時59分

 この葉には食痕が見えますが、どうやらアカボシのそれとは異なります。幼虫も発見できず。この株を見上げていると、数頭の♂が飛び始めました。テリを張っていると言うよりは、探♀飛翔のようで、暫くすると結構遠方に飛び去ってしまいます。そして全く下に降りてくる気配がないので、仕方なく飛翔を撮影。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F8-1/8000、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時06分

 翌日またこのポイント(仮にポイントBとしておきます)を訪問することを前提に木陰にトラップを仕掛けておきました。上手く来てくれればいいのですが・・・。このポイントの林縁にはイシガケチョウ♀が産卵行動を取っていましたが、その場面は撮影できず。またチラチラ暗い林縁を飛ぶシジミを発見。アマミウラナミシジミでした。
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D7K-34、ISO=200、F9-1/640、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時58分

 本種を国内で撮るのはこれが初体験です。また種の和名に冠せられた土地で該当種を撮影するのもこれが初めて(わざわざ、ヤクシマルリシジミを「屋久島」で撮影するのも結構骨が折れそうですが・・・)。丁度逆光の状況でしたので、当然狙ったのは縁毛ブルー幻光。
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D7K-34、ISO=500、F9-1/640、-1.3EV、撮影時刻:12時59分

 見た感じそのままのいい雰囲気で撮影できたと思います。一旦、このポイントを離れ、農道を更に奥に進んでいきます。農道の両側がハイビスカスで囲まれた場所で、再度アカボシが登場。どうも♀のようで、産卵木を探してウロチョロしている様子。位置が悪いので、ここはトリミングでのご紹介です。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/1250、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時41分

 鮮やかなハイビスカスの花とのツーショットは奄美産アカボシらしい絵になりました。更に奥に進むと農道は林道の雰囲気に。ここで暫く探索。クチナシの実にイワカワシジミの幼虫はおらんかなぁ~等とじっくり調べてみましたが坊主。代わりに足元から飛び立ったのはリュウキュウヒメジャノメ♂でした。
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D7K-34、ISO=500、F10-1/1250、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時58分

 もちろん、このジャノメも初撮影。縦広角で生息環境をご紹介しておきましょう。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.6-1/80、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時05分

 本種はかなり暗い環境が好みのようで、和名に「ヒメジャノメ」が冠せられているものの、生態は本土の「コジャノメ」に近いと思いました。実はこのポイントで悔しい思いをしました。↑の広角画像の丁度右手にセンダングサの群落があって、ここに完品のイワカワシジミ♂が来ておりました。気配を消して接近したにも拘らず、逃げられました(^^; 今回の遠征で最も悔やまれる場面でしたね。気を取り直して一旦ポイントBに戻り、トラップを確認しましたが、坊主。仕方なく別ポイントの探索に出かけました。途中の国道は9月25日に奄美北部を襲った集中豪雨の影響で至る所が土砂崩れで寸断されておりました。
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GXR@7.8mm、ISO=100、F9.5-1/100、-0.7EV、撮影時刻:14時28分

 一方通行で何とか復旧工事と交通を平行処理している感じです。奄美は昨年の10月にも集中豪雨の被害に遭っており、2年連続となる災害の爪痕は相当に深いものでした。途中、お腹がすいたので刺身を売りにする食堂で遅いランチを取りました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F2.5-1/50、-0.7EV、撮影時刻:14時48分

 今回の遠征ではランチをノンビリ取る余裕もなく、菓子パンとスナックバーで凌いでおりましたが、この時だけはチョッピリ贅沢しました。1000円の定食で、刺身のメインはキハダマグロ。分厚いイカ刺しは歯応えもよく、とっても甘い優れもんでした。お味噌汁の具は島豆腐とカジキマグロ、サワラの揚げ物(レモンが添えられている)も生臭さを全く感じさせないお味。この定食、お値打ち物でしたよ。<次回に続く>
by fanseab | 2011-10-17 22:02 | | Comments(14)

奄美大島遠征記(2)10月10日午前中

 さて、翌日、起床すると無情にも雨(^^; この日は昔で言えば「体育の日」。気象上の特異日とされていて、必ず晴れる日とされています。しかしそれは本州での話。移動性高気圧の中心が本州を横切るので、当然のことながら高気圧の南端に位置する奄美や沖縄は天気が芳しくありません。そんなことは百も承知で遠征したのですけど、やはり雨には萎えます。

 で、雨が止みそうもない午前中は探索モードで行動することにしました。先ずは宿泊先に近い小ピークに登り、見晴しのよさそうな場所にトラップを仕掛けました。このポイントを仮にAポイントと呼ぶことにします。このピークからやや南側に移動すると芝草型草原が開けていました。そこに移動する途中、歩道に両生類が。                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.6-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:8時18分

 これまで見たこともない雰囲気です。アマミシリケンイモリ(Cynops ensicada ensicada)でいいんでしょうか?間違っていたらご指摘願います。そうだとすると奄美固有種。この島には他にもアマミイシカワガエル(Odorrana splendida)等、両生類も含め、固有種が沢山棲んでいますね。さて、芝草に入り込むと何やら小さなブルー系の物体が飛び出しました。慎重に確認すると、これが期待したヒメシルビアシジミでした。それにしても物凄く小さいです。まるでホリイコシジミ位。♂の閉翅画像です。雨傘を差しての撮影。
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D90-85VR、ISO=400、F8-1/500、-0.7EV、撮影時刻:8時29分

 ヒメシルビアは香港北タイ南ベトナムでも撮影しておりますが、ここまで小さくはありませんでした。ヒメシルビアではなく、「チビシルビア」がぴったり来る感じです。ただ♂は殆どスレ品でした。雨はそれなりに降ってますが、気温は25℃を超えていて、♂は8時30分過ぎから活発に探♀飛翔を始めました。芝草の上を飛ぶ姿は蝶ではなくて、まるで蠅が飛ぶイメージですね。で、飛翔画像もアップしておきましょう。
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D7K-24(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時41分

 中央向こう側にももう1頭の飛翔個体が見えています。大きさの比較対象がないので、本土産シルビアとの差は表現できませんね(^^; 次に何とか♀を見つけ閉翅を撮影。
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D90-85VR、ISO=400、F13-1/250、-0.7EV、撮影時刻:9時15分

 ♂に比較して鮮度はまあまあです。ヒメシルビアは本土産に比較して裏面黒点は目立たないのですけど、この♀個体はやや「濃い」お顔でしょうかね。ヒメシルビアを撮影中、草地から褐色のタテハが飛び出しました。新鮮なアオタテハモドキの♂。
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D90-85VR、ISO=500、F7.1-1/400、-1.0EV、撮影時刻:8時48分

 地肌の赤土が大変印象的で、後翅のブルーを引き立てている感じです。実は管理人、東南アジア遠征を含めてこのタテハモドキ撮影はこれが初体験です。完璧なオープンランドのタテハでヒメシルビアとの共存もうなずけます。このポイントを後にしてまたまたゆっくりと車を動かしながら探索です。途中、民家の庭先にある立派なクワノハエノキを発見。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/20、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時41分

 根元の幹の直径が70cm位ある巨木で、この手のエノキは意外と少ないのです。晴れたらアカボシ♀が来るだろうなぁ~と思いながら、更に車を進めました。エノキの探索をするつもりが海岸にぶち当たり、またまた芝草草原を発見。綺麗なヒメシルビア♂でもおらんかいな~と踏み込むとヒメシルビアより大き目のブルー系シジミが飛んでおります。最初に確認したのは普通種のウラナミシジミ。しかし、これより小さ目のシジミがなかなか止まらず同定に苦労します。そのうちやっと止まってガバッと開翅。
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、撮影時刻:11時16分

 ムムッ、タイワンツバメにしては肛角部がちょっと違うし・・・、裏面を見て、ようやくオジロシジミと判定。このシジミも管理人初撮影。肝心の尾が半分切れているのとスレ品で表を見た瞬間の同定ができませんでした(^^;  お次はセンダングサからの吸蜜。
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/400、-1.0EV、撮影時刻:11時50分

 こちらの個体は尾状突起も揃っていて、「尾白」の和名由来がよく理解できる画像になりました。ビュンビュンと飛び続ける種だけにウラナミシジミ同様、完品♂の撮影は結構苦労しそうです。オジロの生息環境も縦広角でご紹介しておきましょう。
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GXR@6.4mm、ISO=200、F4.4-1/140、-0.7EV、撮影時刻:11時02分

 オジロは丈の高い草地と芝草との境界付近を活動領域にしている感じです。

 さて、このポイントは思ったほどヒメシルビアの数は少なく、ようやく新鮮な♂個体を発見。暫く追跡すると突然開翅してくれました!
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/160、-1.0EV、撮影時刻:11時35分

 まだ多少小雨が残っていた天候で開翅撮影にはベストの条件。しかも完品個体だったので、これまで管理人が本土産シルビアでも撮れなかったシットリとした感じの絵に仕上げることができました。この後、更にクワノハエノキを求めて転戦です。<次回に続く>
by fanseab | 2011-10-15 23:45 | | Comments(10)

奄美大島遠征記(1)10月9日

 3連休の2日目より3泊4日の日程で奄美大島に遠征してきました。主目的はアカボシゴマダラ奄美産亜種(Hestina assimilis shirakii)の撮影。関東で猛烈に生息地拡大を続けている外来種(中国産の名義タイプ亜種)とは別に、是非とも日本領土固有の亜種を観察したいと思っておりました。ご承知の通り、アカボシは多化性のタテハですが、時期的には最終化に近く、どの程度個体数が見られるか?半信半疑での出撃でした。今回は種類毎ではなく、時系列で日記風にご紹介していきたいと思います。

 実は管理人は、過去に沖縄・沖永良部島には観光目的で訪問したことがあるものの、奄美大島は初体験。もちろん、蝶撮影目的で南西諸島に踏み込むのもこれが初体験なのです。
 羽田発10:55で順調に飛行。途中垣間見た富士山の南側はまだ冠雪しておりませんでした。                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@6.4mm、ISO=100、F8.7-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時30分

 奄美着13:09、東京に比べてやはり蒸し暑さを感じます。早速レンタカーで探索開始。ネット上で調査した過去の観察地点を参考に先ずは小ピークに向かいます。ウスキシロやイシガケが普通に飛ぶ光景はやはり南国です。ヒルトッピングしているアカボシはいないか?暫く注視しますが、坊主。悠々と舞いながら山頂でテリを張っていたのは、ボロのアオスジアゲハでした。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F7.1-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時51分

 海に下る傾斜地には物凄い数の蘇鉄が生えていて、ブルー系のシジミは想像した通り、全てクマソ! 別にクマソの撮影にやって来た訳ではないので、これはパス。びっくりしたのは、蝶ではなく、灌木上の蝉の鳴き声。ツクツクボウシとミンミンゼミを足して二で割ったようなメロディを奏でております。姿を探しますが、意外と苦労。やっと見つけたけどこれは♀。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時09分

 種名はクロイワツクツク(Meimuna kuroiwae)。♂の姿は別のポイントでようやく撮影できました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時39分

 2頭蔓んで鳴いておりました。このツクツク、本土産(M.opalifera)と比べると意外と鈍感で、かなり接近しても鳴き止みません。それでも姿を探すのは至難で、この体色が素晴らしい保護色になっているのです。さて、♂を撮影した別の小ピークの尾根筋では、スレ品のリュウキュウアサギマダラが舞っておりました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:15時38分

 このマダラが飛ぶと、一瞬アカボシでないかとギクッとしますが、飛び方はやはり別物。自宅近くで外来種の観察を重ねてきた経験で、飛翔の癖からアカボシとリュウアサの区別はつけられます。意外だったのが、アサギマダラの個体数が少なかったこと。何とかリュウアサ撮影後に1頭の♂を撮影。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時47分

 結局滞在中、アサギマダラの目撃頭数は上記個体含めわずかに2頭。奄美本島のお隣、喜界島にはこの季節、本土から渡ってくるアサギマダラの有名観察ポイントがあるようですが、この個体数の少なさは想定外でした。実は秘かにタイワンアサギマダラ探しをしたかったのですが、当てが外れました。それまで晴れていたお天気も16時を過ぎると怪しげな雲が空に広がり始めました。小ピークでの探索は諦めて今度はアカボシの食樹、クワノハエノキ(Celtis boninensis)の探索です。途中、道路沿いにウスキシロチョウが多数群がっているポイントを偶然発見。ここはどうやら植栽として多数のナンバンサイカチ(ゴールデンシャワー:Cassia fistula)が植えられており、これに彼らが引き寄せられているようでした。早速下車して見ると、どうやらウスキシロとウラナミシロチョウが混飛している様子。暫く観察していると、ウラナミシロ♂が♀に絡みます。しつこく絡む♂に対し、♀の交尾拒否シーンを撮影することができました。
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:16時09分

 腹端を上げる、シロチョウ♀の交尾拒否態勢は共通しておりますね。さて、クワノハエノキ、簡単に見つかると思ったのが大間違い。意外と苦労しました。ようやくある民家の庭先で発見。これがその葉。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/40、-0.7EV、撮影時刻:16時30分

 和名由来は「桑の葉に似ている」点。しかし葉の形状は殆ど本土産エノキ(C.sinensis)と大差ありません。むしろ印象が違うのは樹肌。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F5.7-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時32分

 高温多湿のためでしょうか、樹肌が地衣類でビッシリ覆われて、エノキ本来の茶褐色の地肌が隠されています。困ったことに、エノキ以外の樹木も大概このように樹肌が地衣類に覆われているので、遠目にクワノハエノキとの区別がつかず苦労します。恐らく冬場にアカボシ越冬幼虫(ここでは樹上越冬が主とされる)を探索する時、かなり苦戦しそうです。なお、この民家でご主人に事情を話して、クワノハエノキについてちょっとお話を伺いました。奄美の方言では、「ボロギ」、「ブブギ」と呼ぶこと、また正月用の餅をエノキの枝に差して飾ることから、「モチザシ」とも言うのだそうです。この後、探索する村々の古老に「モチザシの木はこの近くにありませんか?」と尋ねたことで、食樹探索の効率が上がりました。

 この後、数か所でエノキポイントを発見し、翌日以降の参考にしました。宿泊地に向かう途中、そろそろ睡眠時間の近づいたクロマダラソテツシジミ♂を撮影。
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D90-85VR、ISO=200、F11-1/200、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時47分

 この後、小雨が降り出した時点で、この日の活動を終了しました。<次回に続く>
by fanseab | 2011-10-13 22:17 | | Comments(8)

ウラナミシジミの縁毛幻光(10月8日)

 3連休の初日、秋の穏やかな陽に誘われて近所の多摩川縁を散歩しました。川沿いの散歩道を歩いていると、路上に蜂が舞い降りて、地面に口を挿して作業中です。どうやらスズバチ(Eumenes decorata)のようです。                                                                    ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/200、-0.7EV、撮影時刻:11時46分

 スズバチは日本最大級の徳利蜂。唾液で砂を捏ねてお団子を作り、これから造成中の巣に運んでいくのでしょう。それにしてもウェストのくびれの細さと言ったら、女性の憧れでしょうか(笑)

 クズの葉が茂る一角ではウラナミシジミがそれこそ蠅がたかるようにウジャウジャ飛んでおりました。久々に開翅でも撮るかいな・・・、と♂をチェックしますが、殆どがスレ品です。ようやく鮮度の良い♂を見つけました。
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D7K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-1.3EV、撮影時刻:11時58分

 尾状突起を立てて、ゆらゆらさせております。この個体を暫く追跡したのですが、ちょっかいを出す他の個体に邪魔されて、時々見失います。何とかちょっぴり開翅した場面をゲット。
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D7K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-1.3EV、撮影時刻:12時02分

 皮肉なことにボロ品やスレ品はガバッと開翅するのですけど、新鮮な個体は申し訳程度にしか開きません。もっとも撮影時間帯は気温が上がって、♂がムチャクチャ活発な時間帯でもあります。やはり開翅を狙うには朝一番か夕方が良いのでしょう。そこで、方針を変えて縁毛幻光を狙うことにしました。このポイントはクズとアレチウリが混在しており、アレチウリから熱心に吸蜜しておりました。ただアレチウリの花弁の位置は地上からそれほど高くないので、縁毛幻光を捉えるには非常に苦労しました。クズ畑に体を横たえて、太陽との位置を計りながら何とかブルー幻光をゲット!
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D7K-85VR、ISO=200、F9-1/640、-1.3EV、撮影時刻:12時07分

 幻光が発現するアングルは極めて限定されておりますね。このモデルになってくれた個体は羽化直らしく、おとなしいので、もう一枚縦位置でじっくりと閉翅を撮影。
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D7K-85VR、ISO=200、F6.3-1/500、-0.7EV、撮影時刻:12時14分

 改めてウラナミの裏面を見ると、綺麗だなぁと思います。東南アジアにも裏面に波模様を有するシジミが沢山いますけど、本種の美しさはやはり際立っていますね。
by fanseab | 2011-10-08 21:33 | | Comments(10)

柳の下のコムラサキ(10月1日)

 「柳の下のドジョウ・・・」なる諺があります。河畔の柳の下で偶然ドジョウを捕ることはできても、必ずしも2匹目のドジョウが捕れるとは限らない・・・、そんな戒めを述べているものでした。さて、多摩川の柳の下にドジョウが生息しているか?管理人は不案内ですが、ブログネタは沢山転がっているものです(笑)

 10月1日は午前中、陽射しが差さず、昼過ぎからようやく青空が広がってきました。慌てて二匹目のドジョウならぬ、コムラサキを求めて出撃です。先週から1週間経過しているので、狙いは♀の産卵シーン。現地に着くと、コムラサキの姿がありません。さては例の樹液酒場で油を売っているのかいな?と覗いてみても、そこにも姿がありません。これは坊主だなと覚悟していると、ようやく1頭の♂が高い位置にテリを張りました。300mmで覗くと比較的新鮮な個体です。その後、ライバルとなる♂も全く出現せず、テリ張り飛翔も殆どしてくれない状況が続きます。そんな中、何とか1枚飛翔をゲット。                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時17分

 ただ、紫色幻光は微かに表現できた程度で、出来栄えは前回の作例と五十歩百歩でしょう。相変わらず、裏面に合焦する確率が高くて困ります。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時17分

 一方、♀ですが、ヤナギの葉の茂みに目をこらすも、どうも飛んではおりません。そのうち、ヤナギの南側から1個体が飛んできました。一瞬♂が絡みますが、直ぐに諦めます。飛んできた個体はヤナギの周辺で明らかな産卵行動を始めました。やっと♀であることに気づき、先ずは飛翔を撮影。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時34分

 結構スレた個体です。こちらは紫色幻光の表現は不要ですので、歩留りはまずまずです。しかし、肝心の産卵シーン撮影は現場まで遠いのと、葉陰に隠れてしまうので、失敗。慌てて対岸に移動して距離を詰めることにしました。しかし、管理人の思いとは裏腹に対岸に到着すると、ノンビリと日光浴モードに突入。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F8-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:13時43分

 この後、姿を見失いました。どうやら♀は一本のヤナギに執着することなく、多摩川縁の複数のヤナギを求めて巡回しながら、産卵している様子でした。冷静に反省してみると、産卵を狙うにはこのポイントではちょっと撮影ポジションが苦しく、東京都側でまたチャンスを探したいと思います。
by fanseab | 2011-10-03 21:44 | | Comments(4)