探蝶逍遥記

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多摩川のコムラサキ(9月19/24日)

 多摩川縁をお散歩観察しながら、いつもチェックするヤナギの木を見ると、コムラサキ♂を数頭確認できました。多摩川のコムラサキは、3年前の10月に久しぶりに♀を発見し、その後確実に生息していることがわかりました。河畔に生えるヤナギは土木工事で邪魔になって切り倒される運命にあり、そんな工事の関係もあって、どちらかと言えば東京都側(左岸)に多く、川崎市側は個体数が少ないのですが、ここは数少ないポイントになっています。都合の良いことに南側に土手があり、ヤナギの木を半ば見下ろすことのできるポジションがあります。ここから撮れば、飛翔中のコムラサキの紫色幻光を写し込めるのではないかと急に撮影意欲が湧いてきて、2日間に渡り頑張ってみました。

 ルリマダラ類(Euploea属)やコムラサキのように、幻光を放つタテハチョウの飛翔画像はその幻光を表現できなければ、絵としての魅力が半減します。ただ、ヤナギでも比較的高木を好むコムラサキの場合、以上の目的を達成可能なポイントは本当に少ないように思います。ここも樹冠を飛ばれると裏面しか撮影できないので、視線より下に飛び込んで来る時しかチャンスがありません。先ずは初日(19日)。この日は台風15号が関東に接近中で、日差しは強いものの強風が吹き荒れて静止画像を撮るのも容易ではありません。所用で夕方からの出陣。テリ位置も西側に移動するため、♂の活動を見込む角度が午前中より制限されます。先ずは静止画像から。                                                           ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F10-1/1000、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月19日、16時05分

 西日を真正面に受けての紫色を何とか写しとめることができました。後翅の縁毛も綺麗な新鮮な個体です。さて、飛翔ですが、やはり想像していた以上に難しい!結局、この日は800カットほど撮影して、まともな画像は、裏面から見込んだこの1枚のみ。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F4-1/4000、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月19日、16時17分

 ストロボ未使用かつ、RAW現像で無理やり調整しているため、画質の酷さはご容赦ください。やはり午前中が勝負だなと思い、台風一過の青空が広がった24日に再トライです。最初は2頭の絡み。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/1600、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月24日、10時23分

 右側個体はどうも♂のようです。左側から迫る♂の右前翅と後翅の一部に何とか紫色幻光を写しとめることができました。しかし、これでは満足できません。お次は青空バックの絵。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/4000、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月24日、10時34分

 まぁ、普段、コムラサキ♂を見る時はいつもこんな感じですから、その意味では一番コムラサキらしい絵かもしれません。次は♂2頭の水平追尾。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月24日、10時41分

 両者がジャスピンだともっと迫力が出たのになぁ~とパソコン上で溜息が出ました(^^; 次は翅を上に振り上げた瞬間で、スピード感が最も出た絵。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/4000、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月24日、10時58分

 もちろん、この角度では裏面を拝むだけですが、結構お気に入りの画像になりました。最後は縦位置トリミングで。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F4.5-1/4000、-0.7EV、撮影日時・時刻:9月24日、11時00分

 滑空時の浮遊感が一番出た絵かもしれません。コムラサキがこの絵とは真逆方向、つまり、右上から左下に滑空する構図が当初描いていた理想的なアウトプットイメージでした。「風で揺れる柳の葉の間を紫色の幻光を放ちながら、すり抜けるコムラサキ・・・」目論見通りにはいかないもんですねぇ。24日は結局600コマほど撮影しました。19日と併せて合計約1400ショット。そのうち、ピンが来て見られる絵はせいぜい10コマ程度。目的の幻光が写し込めたのは、最初にご紹介した2頭の絡みの1コマのみ。惨憺たる結果でした。しかし、考えてみれば、コムラサキの幻光は静止画像でも結構苦労する対象です。まして飛翔中の絵でその幻光を捉えるのは難易度が高くて当然かもしれません。また、24日は思いの他、♂が探♀飛翔をしてくれませんでした。その原因がこちら。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F4-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影日時・時刻:9月24日、11時10分

 ヤナギから樹液が出ていて彼らの酒場になっておりました。「・・・女よりも酒だ~、酒!ウイッ~!」ってな感じで、ほろ酔い気分の探♀飛翔だったような(笑) 必死に撮影していた管理人としては、「もっと真面目に♀を探さんかい!朝から酒呑んでる場合やないでぇ~!」と心の中で叫んでおりました(爆)まぁ、これに懲りず、また来年の今頃でも素面の♂?を探して、「幻光飛翔画像」にチャレンジしてみようかなと思っています。
by fanseab | 2011-09-29 21:56 | | Comments(6)

オオスカシバ(9月23日)

 3連休の初日、午前10時頃から晴れる・・・予報を信じて、近くの多摩川縁を散歩しました。しかし、予報に反して、この日は終日雲が途切れず、肌寒い一日で蝶の活動も不活発だったようです。いつも秋口になると訪れる、キバナコスモス畑でもヒメアカタテハが1頭も飛んでいない有様。しかし、ホバリング飛行するオオスカシバは元気に飛んでいたので、少し真面目に追ってみることにしました。対角魚眼で、置きピン位置を10cm未満にセットしてトライ。いずれの画像もトリミングしております。                                                                                     ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=800、F8-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時49分
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=800、F9-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時50分
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=800、F11-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時52分
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=800、F10-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時54分

 広角で接近すると、大概逃げてしまうのですが、この個体は大変フレンドリーで、接近戦を許可してくれました。偽瞳孔がなかなか面白いキャラをしていて、表情豊かな蛾ですね。子供の頃から、この蛾のホバリングは凄いな~と思って観察していました。写真を整理していて気が付きましたが、①花から花へ移動する際、および、②ホバリング時を比較すると、ホバリング時には同じシャッター速度でも翅を写し止めることができません。反対に①では、1/1250sec.でもほぼブレずに写っています。恐らく、両者で羽ばたきの周波数が異なっていて、ホバリングではより高速度で翅をパタパタさせているのでしょうね。

 寒かったこの日、カタバミの群落ではヤマトシジミもお休みモード。強引にそこに踏み込むとフラフラと飛翔しておりましたので、接近戦で何とか一枚ゲット。
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=800、F7.1-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時30分

 これまで対角魚眼で撮影したヤマトの中では、一番の仕上がりになりました。また、この日、撮影中、上空に轟音が響きました。見上げると飛行機が着陸態勢に入っていましたので、300mmでパチリ。
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D7K-34、ISO=800、F14-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時30分

 ネットで調べると伊豆大島と調布飛行場を往復している路線に飛んでいるドルニエ228型とのこと。大島~調布間の飛行時間はわずかに25分。小型双発プロペラ機には、最近久しく乗っておりません。ジェット機と比較して、低空を低速度で飛ぶプロペラ機は、空からの眺望が楽しめると思います。そんなノンビリ飛行も良さそうですね。しかし、本能に従って予測不可能な飛び方をする蝶の飛翔撮影に比較すると、人間が操縦する飛行機の飛翔画像は本当に易しいと感じました(笑)。
by fanseab | 2011-09-26 22:31 | | Comments(6)

秋空のヒメシロチョウ(9月16日)

 今回の信州探索で、とある高原に降り立つと、ススキが沢山生えている良さげな草叢を見出しました。ウロチョロすると、草原を低く飛ぶシロチョウを発見。弱々しい飛翔から直ぐにヒメシロチョウであることがわかりました。ヒメシロの飛翔はこんなにも緩かったか?と思ってその個体を良く見ると、♀。産卵行動の様子でしたが、結局産卵は観察できませんでした。代わりに吸蜜は何枚かゲットできました。最初はアザミ類から。                                                                 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D5K-85VR、ISO=640、F8-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:13時03分

 流石に花弁も萎れてきて秋を実感させる絵になりました。お次はマツムシソウ。
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D5K-85VR(トリミング)、ISO=640、F8-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:13時04分

 このポイントでヒメシロを見た時から、是非マツムシソウに止まって欲しいなぁ~と念じていたら期待に応えてくれました(^^) 晩夏(初秋)に、マツムシソウから吸蜜する構図はやはり絵になります。最後は吸蜜ではなく単なる静止ですが、ツユクサのブルーとのコラボがとっても綺麗だったので、思わずパチリ。
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D5K-85VR、ISO=640、F8-1/640、撮影時刻:13時05分

 偶然、垂れ耳うさちゃんのような?ヒメシロ独特の触覚先端形状とツユクサの雄蕊の形が対称形に写って、面白い仕上がりになりました。撮影中はこんな仕掛けに全く気が付かなかったんですが、写真撮影の醍醐味かもしれませんね。

 おしまいに飛翔を2枚。
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=500、F5.6-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:13時17分
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=500、F5.6-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:13時17分

 一枚目は♂。伸びたススキの穂と秋空が表現できてお気に入りのショットになりました。2枚目は♀。♀飛翔を撮影するのは今回が初。♂より遥かに緩慢な飛翔なので、楽勝と思っておりましたが、意外と苦戦しました。こうして翅表を比較してみると、♂♀の前翅端黒色部の濃淡差がよく理解できますね。

 ヒメシロは年3化の発生とされており、今回の観察個体は恐らく3化目のものだったと思います。もちろん冒頭に触れたように、今回はヒメシロ探索の旅ではありません。あくまで、次のような環境を捜し歩いていた際の副産物でありました。
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=200、F10-1/320、-0.7EV、撮影時刻:13時22分

 本命対象はこのようなススキと共存する環境におることが多いので、期待が持てるポイントであることは間違いありません。これまた来年の夏までのお楽しみでございます。

<お知らせ>
久しぶりに本体HP:東南アジアの蝶ファン倶楽部の更新を行いました。「ボルネオの蝶(2)」の未掲載分を4科10種、新規にアップしました。殆ど拙ブログでも紹介済の画像ですが、一度訪問して頂ければ幸いです(上記黄色字部分をクリックして頂ければサイトに飛びます)。
by fanseab | 2011-09-22 22:26 | | Comments(8)

蕎麦の花に集う蝶(9月16日)

 お盆過ぎに引き続き、探索目的で長野県北部に日帰り遠征しました。メインの目的はこんな環境を探ること。                                                                                      ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/350、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時18分

 蝶屋の読者の方なら、「あぁ、あの蝶か~」とご賢察されたことと思います。丁度水田では稲穂が黄金色に染まり、随所で稲刈りが行われていました。稲穂同様、その食草の穂も垂れたこんな光景も目にいたしました。
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D5K-85VR、ISO=200、F4-1/800、-0.7EV、撮影時刻:14時44分

 で、目的の蝶はいたかって? まぁ、結論を出すのはここでは止めておきましょう。来年夏の楽しみに取っておくということで・・・(^^)

 さて、標高の高い山間の畑地では、稲作と共に蕎麦が植えられておりました。これ信州の代表的な光景でしょう。その蕎麦の花には休眠明けのヒョウモン他、沢山の昆虫が吸蜜に訪れておりましたので、訪問メンバーをご紹介することにします。先ずはヒメアカタテハ。
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D7K-34、ISO=200、F8-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時47分

 白一色の蕎麦畑にこの橙色は鮮烈な印象を残します。このタテハが目立ち始めると秋を実感しますね。管理人はタテハチョウ亜科の中では本種の縁毛が最も綺麗だと思っておりまして、ヒメアカを撮る時はいつも縁毛が引き立つアングルで狙ってしまいます。
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D7K-34、ISO=200、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時48分

 続いてキタテハ♀。
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D7K-34、ISO=200、F6.3-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:10時03分

 翅はもうすっかり秋の装いになっておりました。さて、蕎麦の花に訪れるメインゲストはやはりヒョウモン類でした。特にミドリヒョウモン♀が目立っていました。
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D5K-34、ISO=500、F7.1-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:9時43分

 ♂の姿は殆どなく、彼らに追いかけられることもないので、余裕で吸蜜していたように思います。ミドリを撮っていると、急に異質なヒョウモンが出現。管理人お気に入りのオオウラギンスジの♀でした。
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D7K-34、ISO=200、F7.1-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:10時08分

 夏眠明けのこの時期、褪色は仕方ないですが、大きな破損がなくてなりよりでした。また、どうしても思い入れから、ミドリよりはシャッターを押す回数が増えたのは仕方ないことでした。ミドリさん、ゴメン、僻まないでね!オオウラギンスジは迫力があるので、必ず正面画像も撮ることにしています。
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D7K-34、ISO=200、F10-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時10分

 大きな図体の割にとぼけた感じの偽瞳孔も素敵です。ミドリ♀もオオウラギンスジ♀も発生初期は活動領域が林縁近傍に留まるのに対し、夏眠明け個体では畑のど真ん中に進出する等、活動パターンが大きく異なるのは大変興味深いことです。

 ヒメアカタテハ同様、この時期急に個体数が増加するのが、イチモンジセセリ。
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D7K-34、ISO=200、F9-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時40分

 蕎麦の花とのツーショットだと、駄蝶扱いのイチモンジが格調高く見えるのは何故でしょうね? また、この日、蕎麦畑で想定外の出会いだったのが、アオバセセリ。
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D7K-34(トリミング)、ISO=200、F5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:9時36分

 大分スレていますが、やはり迫力があります。腹部形状から♂でしょうね。実は管理人、アオバは今シーズン初撮影だったのです。その意味ではボロ品でも興奮して撮影しました。
 また、蕎麦畑の周囲をキアゲハやモンキチョウも沢山飛んでおりましたが、彼らは何故か蕎麦の花から吸蜜をしておりませんでした。蕎麦を好むのは蝶達だけではありません。管理人も大の蕎麦好きです。通常の遠征では、ランチはコンビニのお握りで質素に済ますのですけど、信州にやってきた時は時間の許す限り蕎麦を食することにしております。で、この日はシンプルな「もり」。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/20、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時03分

 画面右上の小皿は付き出しに出された蕎麦団子とお漬物。食後のデザートで供された茹でトウモロコシも含め大変美味しかったですよ。美味しいお蕎麦を頂いて、午後の探索に活力が出たことは言うまでもありません。9月半ばともなれば、信州の高原は流石に涼しく、秋空の下、ノンビリとした探索を楽しむことができました。
by fanseab | 2011-09-20 00:17 | | Comments(18)

アオスジの蛹を発見したが・・・(9月11日)

 その後もアオスジ蛹を探索しておりましたが、えらく人通りの多い道路脇のクスノキで何とか発見することができました。                                                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@8.8mm、ISO=200、F9-1/50、-0.7EV、撮影時刻:16時26分

 人目を気にしてコンデジでこっそりと撮影です(^^; 黄矢印のあたりの葉裏に蛹がついています。地上高約50cm、蛹の頭部が西向きで、夏の西日をまともに受ける時間帯があります。南向きに蛹を撮影してみました。
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GXR@8.8mm、ISO=100、F5-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時30分

 残念ながら、この個体は寄生されておりました。「蛹の頭部が葉柄側を向く」アオスジの特徴はこの絵でも十分説明可能ですが、やはり寄生されていない正常個体で撮影したいもの。もうちょっと頑張って、探索を続ける予定です。最初の画像で明らかなように、蛹が付いていたのはクスノキの「ひこばえ」。このひこばえには食痕がありましたが、アオスジ幼虫の全ステージをまかなう量には明らかに不足しており、終齢までは高い位置で摂食し、蛹化のため降りてきて、この場所で前蛹そして、蛹化したものと推測されます。このポイントのクスノキは年二回の剪定作業で高さ2m以下のひこばえは見事に切り落とされてしまいます。このような剪定作業のため、観察に適当な高さのひこばえが不足して、幼虫・蛹観察を困難にしているのです。それでも同時に高い位置での剪定も実施されるため、母蝶が産卵しやすいひこばえが確保されていることも事実で、定期的な剪定作業がアオスジの個体数を維持することに寄与しているのでしょう。

 さて、アオスジの蛹を撮影中、目の前にナミアゲハの求愛ペアが横切っていきました。慌ててコンデジの撮影モードをシャッター優先にして、無理やり飛翔を撮ってみました。
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GXR@5.1mm、ISO=400、F3.2-1/1000、-0.3EV、撮影時刻:16時33分

 アゲハはモンキチョウと同様、♀の飛翔を妨げるように♂が前方に位置し、一定の方向に誘導するような行動を取ります。この場面はアサガオの上で♂がホバリングしている場面で、この絵を撮影後、♂は諦めて飛び去り交尾は成立しませんでした。この時の絞りはF=3.2でほぼ開放です。しかし、結構被写界深度が深くて流石にコンデジだなぁ~と感心しました。実はGXRで飛翔を撮るのは今回が始めてでしたが、結構使えそうな感触です。これからもトライしてみようと思います。
by fanseab | 2011-09-12 22:01 | | Comments(8)

アオスジアゲハの終齢幼虫は何処に?

 最近、アオスジアゲハの蛹探索をしております。きっかけは7月に実施したミカドアゲハの蛹探索。拙ブログの記事で述べたように、ミカドは食樹のオガタマノキの葉裏に蛹化する際、頭部を葉端側に向けるのに対して、アオスジは逆に頭部を葉柄側に向けます。この時はコンデジで撮ったアオスジ比較画像を提示したのですけど、デジ一で撮り直しをしたくなって、8月になってからちょっと本気で近所のクスノキの植え込みで探索しておりました。

 ここはマンションの敷地内のため、じっとクスノキを見上げる管理人に向けられる、訝しげな住人達の視線に晒されながら、頑張ってみました(^^; その甲斐あって、ようやく1頭を発見。しかし、撮影はいつでもできるから・・・と放置したのが敗因。おっとり刀で出陣した時には既に羽化済で、蛹殻だけが寂しく葉裏に残っておりました。因みに蛹の背面は南向き。位置は約3mの高さ。                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月28日、13時54分

 この蛹、26日の夜には未だ羽化しておらず、翌日27日あたりに羽化したのでしょう。27日は多摩川セセリ探索で草臥れて、アオスジの蛹撮影まで手が回らなかった事情もありました。「覆水盆に帰らず」ではなくて、「羽化蝶蛹に帰らず・・・」。これ以上粘っても仕方ないので、作戦を変更し、終齢幼虫(5齢)を探し、こいつが蛹になった時点で撮影すればいいや・・・と、今度は必死に終齢幼虫探索です。これも通常結構大変な作業なんですが、この時はついていて蛹殻撮影から僅か10分後に目的物を発見。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月28日、14時06分

 摂食後、新しい台座を作成途中だったようです。アオスジの終齢幼虫はご覧のように、胸背部に鮮やかな黄色線が体軸に垂直に入っています。この後、向きを変えて台座での標準的な静止姿勢になりました。幼虫の右隣りの葉に食痕が認められます。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月28日、14時06分

 さて、恐らく数日内に蛹化するはずだろう・・・と推測して夜毎状況をチェックすることにしました。で、翌日の夜、懐中電灯で台座あたりを伺うと姿が見えません。その周辺をかなり丹念に探しても姿を消しておりました。念のため翌早朝、さらには9月3日にも徹底的に捜索しても行方は分かりませんでした。またまたガッカリです。実はこんなこともあろうかと、保険の意味で別の終齢幼虫もクスノキ葉上で発見しており、この個体の動向も随時追っていたのですが、9月3日まで追跡できた個体が翌日4日には、これまた行方不明になりました。

 アゲハ類の終齢幼虫が蛹化する際、食樹から降りて別の植物上や人工物(建物の壁等)まで長距離移動し、そこで蛹化することが知られています。ある観察記録によると、ナミアゲハでは約30mも水平移動するとのこと。アオスジと同属のミカドも休眠蛹(越冬タイプ)は特に食樹から離れるらしいのです。すると、アオスジも同様にクスノキから降りて他の場所で蛹化した可能性もあります。もちろん、丸々と太った終齢幼虫が野鳥の餌食になったことも考えられますが、管理人は直感的に移動蛹化説を支持していて、必死に蛹化場所を特定したくなったのです。しかし、2個体共に行方不明になったので、さて、どうしたものか? これから折に触れて終齢幼虫もしくは蛹探索をやってみようと思います。

 アオスジと言えば、跳ねるように飛ぶ敏速な飛翔が特徴。台風の影響もあって、土日は遠征を控え、近所でアオスジの幼虫・蛹探索と並行して、飛翔撮影にもトライしてみました。マクロで撮ってもつまらないので、今回は対角魚眼(10.5mmにX1.4テレコン装着)で、置きピン位置を極限まで接近させてみようとの試み。ブログ仲間のmaedaさんは管理人とほぼ同じレンズ系で、置きピン位置5cmで頑張っておられますが、管理人は流石にそこまでは無理で今回は8~10cmに設定。それでも、この置きピン位置はレンズを蝶にぶつける感覚で撮影しないとジャスピンが来ません。しかもアオスジはレンズの気配に敏感で、ムチャ歩留りが低い! 2日間粘って、以下に紹介する2枚がやっとの有様でした。
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:9月4日、11時06分
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D7K-10.5-X1.4TC(ノートリ)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:9月4日、11時54分

 一枚目は「ジャスピン画像、画面端の法則」に則った悔しい画像。ほぼ理想的な置きピン位置に来たのだけれど、シャッターを押すタイミングが僅かにズレたのか、画面左端に来てしまいました。因みにこの個体は探♀飛翔中の♂です。対角魚眼で彼らを捕捉可能なのは、♂がクスノキ探索から一旦降下して来て、丈の低い灌木探索に移行する途中に限定されます(路上吸水の状況でもOKかもしれませんが・・・)。一方、2枚目は産卵中の♀。♂に比較して飛翔スピードが緩んだため、奇跡的にど真ん中に個体が位置し、ノートリでご紹介できました。しかし、こんな時に限って翅は水平(^^; 翅が立っておるか、打ち下ろした状況ならなぁ~と暫しパソコンの前で悶える?管理人でした。
by fanseab | 2011-09-07 21:25 | | Comments(4)

ヒメシロチョウ他(8月16・17日)

 台風12号は甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた方にお見舞い申し上げると共に、不幸にしてお亡くなりになられた方に対し、心からお悔やみ申し上げます。

 さて、信州のゴマシジミ探索の途中で出会った、その他の蝶をご紹介しておきましょう。最初はトラフシジミ。                                                                                       ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=200、F7.1-1/1600、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月16日、10時30分

 このシジミはいつでも想定外の場所に忽然と現れる印象ですね。ヒョウモンがしきりに吸蜜していたセリ科の花(オオバセンキュウ?)にひっそりとやって来ておりました。尾状突起が一本欠落しているのは残念至極。同じポイントで出会ったのは、ミヤマカラスシジミ。
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D90-85VR、ISO=200、F7.1-1/1250、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月16日、10時48分

 スレ品ですね。前翅の性標が見えるので♂でしょう。実はここのポイント、ハルニレが豊富にあるので、こちらではなく、カラスシジミのボロ品が飛んでいるんではないか?と秘かに期待しておりましたが、出会ったのはミヤマカラスの方でした。発生時期を比較すると、カラスの方が早いためでしょうか。こいつがおるなら、食樹が重なるスジボソヤマキもおるんやないか?と思い、シロチョウも追っかけしましたが、スジボソは坊主でした。

 さて、翌日、とあるスキー場の片隅に咲いていたヨツバヒヨドリにやってきたのは、クジャクチョウ。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/125、-0.7EV、撮影月日・時刻:8月17日、10時26分

 夏の信州に来たからには是非とも一枚は撮りたいタテハです。この後、かなり標高を下げてのゴマ探索で、暑さとの戦いになりました。そんな畑地の脇でモンキチョウ♂が求愛しておりました。見過ごす訳には行かず、飛翔をパチリ。
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D90-85VR(トリミング)、ISO=200、F4.5-1/4000、-1.0EV、撮影月日・時刻:8月17日、13時17分

 飛翔の中では余裕で撮れる対象ですけど、意外とジャスピンに来ないもんです。この後、当ての無い探索活動に草臥れて、そろそろ撤収かな?と思った夕方、田んぼの脇の農道にシロチョウが吸水に来ておりました。見てビックリ。ヒメシロチョウでした!急に興奮して先ずは順光で撮影。いずれも♂。
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D90-85VR、ISO=400、F13-1/640、-1.0EV、撮影月日・時刻:8月17日、16時17分

 続いて逆光で接近限界まで近づいて吸水シーンを撮影。
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D90-85VR、ISO=200、F8-1/1000、-1.0EV、撮影月日・時刻:8月17日、16時22分

 縁毛が綺麗なので、少し大きめの画像でのご紹介です。実は管理人、これまでヒメシロは山梨県、青森県で撮影経験がありますが、長野県内ではこれが初体験。しかも有名なポイントでもなく、何でもない農道で出会えた感じです。念のため、田んぼの畔を調べたらツルフジバカマが咲いておりました。流石信州だなぁ~と懐の深い自然に改めて感激いたしました。逆に、このように何でもない農道を住処にするヒメシロは人知れず、ポイントが消滅したりするのでしょう。地味なシロチョウだけに、その将来は結構厳しいものがあると睨んでいます。
by fanseab | 2011-09-03 21:10 | | Comments(10)