探蝶逍遥記

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静岡県のキリシマミドリシジミ探索(7月30日)

 先日の鈴鹿探索はのんびりと蝶影を追うリラックススタイルでしたが、関東近辺で何とか姿を見たいものだと思い、午前4時起床で少し気合を入れての出陣です。

 キリシマの分布東限は神奈川県丹沢山塊とされ、そのすぐ西隣の箱根は採卵で昔から大変有名です。更に西側、つまり静岡県にも広く分布しているとされています。管理人は昨年からボチボチ当該地域での探索を始めておりまして、今回は計5箇所の候補ポイントを訪問しました。例によって、1/25000地図と衛星画像を睨みながら、候補地点を絞り込んでいきます。この作業が一番面白くて時の経つのを忘れます。衛星画像の分解能は驚くべきもので、例えばムモンアカシジミの発生木を画像から確認することもできます(もちろん、個体発見後の後付け確認ですけど)。キリシマの場合は食樹であるアカガシの分布をどうやって探り当てるか?が重要です。幸い、慣れてくると衛星画像から針葉樹と広葉樹の樹相は区別付くようになります。これに比較すると、1/25000の地図情報はかなりファジーでして、先ずは美味しそうな地形を地図で探し、次に衛星画像で広葉樹の分布を確認し、ここにアクセスするための林道の分布を考慮して、候補地点を決めていくのです。上記手法で候補ポイント(A、B~Eポイント)を絞り込み、順番に巡ってみることにしました。

 先ずはAポイント。「美味しそう」と睨んだ渓谷に到着。♂や♀が好みそうなアカガシの高木を探します。そうして1本の候補樹を発見。7時過ぎ、♂が飛び初めました。睨んだ候補樹で♂が飛んでくれた時の喜び、これが新規ポイント探索の醍醐味です。まぁ、しかし、鈴鹿と同様、飛んではいますが、観察地点からは30m以上あります。近場から観察できる場所はないかと30分近くウロチョロしますが、渓谷の崖地を降りる勇気もなくすぐに探索を諦めました。そこで割り切って元の観察地点に戻っての撮影です。最初は300mmでの飛翔。                                                                     ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=1000、F4-1/3200、-1.0EV、撮影時刻:7時26分
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D7K-34(トリミング)、ISO=1000、F4-1/3200、-1.0EV、撮影時刻:7時26分
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D7K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:8時11分

 1枚目は初めて後翅肛角部の橙色班が認識できるファーストショットです。例によって、無茶苦茶トリミングして、画像処理かけまくり画像ですが、何とかキリシマらしく仕上がりました。2枚目は今回のと言うか、これまで管理人が撮影した中では一番キリシマ飛翔の雰囲気が出たベストショットです。3枚目は見た目に近い輝きを見せています。実際は裏面銀白色と交互にフラッシングするイメージですが、静止画像でその雰囲気を出すのは無理ですね。

 飛翔していた♂が忽然と消え、どこに行っちまったのかと探していると、アカガシの中央付近に何か輝く光点が。単眼鏡で確認して見ると、テリ張り開翅をしている個体の姿でした。陽射しが目まぐるしく変わったこの日、彼らも照度に応じて翅を開閉し、都度異なる輝きを楽しむことができました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F9-1/200、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:7時56分
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F6.3-1/500、-1.7EV、撮影時刻:8時02分
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/4000、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時27分

 1枚目は半開翅のポーズ、日差しが強くなるとすぐにこんな開翅角度になります。距離が遠く、豆粒みたいな大きさですが、流石キリシマと言える輝きを見せています。2枚目は全開ポーズ。飛翔中に魅せる輝きの記憶色に最も似た色合いかもしれません。最後は半開~全開の途中に見せる輝き。前翅は全開時とそれほど変化ないですが、後翅がいかにもCrysoらしい金緑色に輝いています。実は鈴鹿で過去に撮影した画像をチェックしてみましたが、このアングルからの絵はなく、遠目ながらもお気に入りの輝きが得られたと思います。しかし、それにしても、相手が遠かったですね。ぶっちゃけ、デジスコで撮るべき距離でした。それにこのアカガシで見られた♂は恐らく撮影した1頭のみだったと思います。大きなアカガシで数頭のバトルになるのが普通なのに、贅沢にもこの♂はこのアカガシ高木を1頭で占有していたことになります。事実上、ライバルがいなかったせいか、一旦開翅日光浴状態になると、これまで鈴鹿で観察してきた個体とは桁違いに長時間開翅状態が続きました。なにせ、敵がいないので、スクランブル発進する必要がありませんからね。

 さて、300mmで撮影した飛翔画像をパソコンでチェックし、不要な没画像をどんどん消去する過程で、PC画面の片隅に紫色がチラッと確認できました。「うん、何か変?」と思ってピクセル等倍レベルに拡大すると、「ムムッ、キリシマの♀!!?」
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D7K-34(トリミング)、ISO=1000、F4-1/3200、-1.0EV、撮影時刻:7時26分

 カシ類ですから、可能性としてはムラサキツバメ♀もあり得ますが、①前翅藍色班の形状がムラツとは異なる、②後翅縁毛に白色の縁取りらしきものが確認できる。ことから、キリシマの♀ではないかと思っています。そうだとすると、必死に♂が探♀飛翔をしているのを後目に、木陰で悠々と開翅をしていたのでしょう。「♂が占有活動をするアカガシには必ず♀がいる」鉄則があるようで、どうやらそのことが証明されたようです。撮る目的でなく撮影した背景になにげなく写ったキリシマ♀? こんな想定外の出会いがあるのも「撮り屋」のロマンではないかと・・・、心霊写真のような絵ですが、実は今回遠征で一番お気に入りの画像になりました。

 9時過ぎ、急に雨雲が谷筋に降りて来ました。おまけに遠くで雷鳴が轟き始めたので、すぐにAポイントより退散。少し標高を下げたBポイントとCポイントでも美味しそうなアカガシを数本発見。しかし、キリシマの姿はなし。ここから少し離れたD,E両ポイントは想像した以上にアカガシが生えてなくて敗退です。個体数が多いポイントでは、テリ張りに敗れた♂個体が低い位置に降りてきて開翅するチャンスもあります。かつて鈴鹿で経験した経験則です。しかし、今回のAポイントはあまりにも個体数が少なく、そんなチャンスも皆無でした。次なる候補地点としてもう少し、個体数の望める場所を是非とも探し当てたいものです。それはともかくとして、今回、管理人として静岡県産初ラベル?画像を撮ることができて何よりでした。
by fanseab | 2011-07-31 23:03 | | Comments(14)

鈴鹿山脈のキリシマミドリシジミ探索(7/24)

 今回の探索は「目を吊り上げて・・・」のレベルではなく、のんびりと気負わずに姿を確認するのが目的。なので、現地には11時頃到着。鈴鹿のキリシマは2005~2007年にかけて真面目に探索しておりまして、2006年は恐らく最高の当たり年で、そこかしこに♂の乱舞が観察できました。ところが、翌年の2007年は外れ年、更に管理人が関東に転勤した年(2008年)の夏には大雨・土砂崩れで好ポイントがズタズタにされる始末で、鈴鹿のキリシマがどうなっているか?ちょっと確認したくて、複数あるポイントの中で比較的お手軽に行ける場所を訪ねました。到着して車を駐車すると、やや遠くに飛んでいる個体が目に入ります。「おぉ!いるじゃん・・」と思いきや、これはウラギンシジミでした。この時期、慌てると、よくウラギンと間違えますね。

 2007年に一度訪問したこのポイント、少し林道を上流側に詰めてみました。すると、杉の木立の上に♂の閃光が目に入りました。今度は確実にキリシマです。暫く歩くと美味しそうなアカガシ大木を見下ろすことのできる開けた場所に到着。すると、睨んだアカガシに絡む猛スピードのキリシマの占有飛翔が観察できます。時折、管理人のすぐ脇を通り抜ける個体も出現。しかし、広角飛翔を狙うにはあまりにも難易度高く、300mmでの飛翔狙いに切り替えました。およそ30m前方、「遠い、高い、速い」の三拍子揃ったキリシマの飛翔撮影の難易度は厳しいです。何とか撮れた3枚を超トリミングしてご紹介しましょう。                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時28分
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D7K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時47分
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D7K-34(トリミング)、ISO=1250、F4-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:13時47分

 1枚目は後ろ向きのショット。キリシマの銀白色裏面がかろうじて確認できます。2枚目は今回のベストショット。ただ、キリシマの輝きとは異なる発色ですね。ラストはこれも後ろ向き。画面左下にかなり発達してきたアカガシの休眠芽が、飛翔するキリシマの右下にはアカガシのドングリが確認できます。超望遠での飛翔は2007年当時にもトライしていますが、今から振り返ってみると、まるで心霊写真レベルで、暗闇にただメタリックグリーンが輝いている代物でした。今回は何とか触覚や尾状突起まで確認できるレベルにはなりました。4年間における機材性能アップの賜物ですね。もう少し接近戦で撮ればキリシマ裏面の微細構造も描写できるのですけれど、そうなると、逆に超高速で飛ぶ彼らを画面に入れるのが至難になってしまいます。ここらあたりのバランスを上手くクリアして次回はもう少し、飛翔写真のレベルを上げたいものです。

 「エッ、テリ張り画像はないんですか?」って質問が飛んできそうですが、ハイ、今回はテリ位置を確認できるようなポイントではございません。もう少し真面目な探索は今や遠くなった鈴鹿ではなく、近場の神奈川や静岡でなんとかトライしたいと思っております。テリ張り画像がないのも寂しいので、2006年に撮影した管理人のベストショットを再掲載しておきますね。
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D70S-VR84@400mm、ISO=500、F8-1/800、-1.7EV、撮影年月日・時刻:2006年7月30日、9時00分、撮影地:三重県鈴鹿山脈某所

 ところで、キリシマ撮影の合間、沢筋で昼食のお握りを頬張っていると、首筋に違和感が・・・。なにげなく手をやると、「ムニュッとした感触!」。そうです。手に付いたものは紛れもなくヤマビルでした。ぞっとして摘まんで捨てると、今度は耳たぶにもう一匹が・・・(^^;  どうやら梢から管理人めがけて「ヒルの雨」が落ちてきたようです。これまで、キリシマ探索で鈴鹿の渓谷をかなり長時間歩いていますが、ヤマビルの攻撃には晒されたことはなく、今回がヒル初体験でした。元々、ひんやりとした渓谷ですが、冷や汗で余計涼しくなりました(笑)
by fanseab | 2011-07-29 21:46 | | Comments(4)

夏型ミカドアゲハの探索@岡山(7/22-23日)

 岡山市内のミカドアゲハ春型については、既に5月の記事でご紹介しました。生憎、♂の出始めで個体数も少なく接近戦での撮影はできませんでした。今回は6月以降に発生が期待される夏型の状況について、再度探索をしてまいりました。

 ミカドは元来多化性のアゲハですけれど、本州で発生する個体は5月中旬頃羽化し、その世代で産まれた卵は遅くとも6月下旬頃には蛹化するのでしょう。この蛹の多くはそのまま夏を過ごし、越冬した後、翌年の5月に羽化します。つまりギフチョウと同レベルの長期間、休眠蛹として過ごすことになります。一方で休眠蛹の一部が何らかの理由で目覚め、6月以降秋口までに発生することがあり、これを夏型と称しています。一般的に夏型の発生個体数は少ないとされていますが、実際に状況を確認すべく、前回同様岡山市内を探索しました。

 最初に訪問したのは、Aポイント。ここはオガタマノキが僅かに1本。早速調べてみると、食痕らしきものを確認できました。ただ時間が経過した食痕のようですね。                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++                       
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GXR@5.1mm、ISO=200、F5.1-1/30、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月22日、9時48分

 中央下には若葉も確認できますが、卵、若齢幼虫の姿はなし。蛹、蛹殻も発見できませんでした。途中、オガタマノキの樹冠にミカドらしき姿が登場し、ドキッとさせられますが、ゴマダラチョウ夏型でした。春型にも悩まされましたが、本当に紛らわしくて困ります。次に訪問したのが、飛翔撮影に成功したBポイント。ここでは全5株のオガタマノキをチェック。卵、幼虫は確認できず。一部の葉に食痕を確認。かなり時間をかけてチェックするうちに、何と1蛹を発見!先ずは300mmで背面から。
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D7K-34、ISO=500、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月22日、13時33分

 続いて真横から85mmで狙います。
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D7K-85VR、ISO=1000、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月22日、12時59分

 最後は広角で。
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D7K-1855@18mm、ISO=500、F10-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月22日、13時17分

 こうして、ストロボを照射すると、蛹の姿がはっきりと浮かび上がって見えますが、自然光の条件下では葉裏と蛹の質感がほぼ同じで、葉影に紛れて発見は容易ではありません。撮影後、一旦目線を切ると、その場所を見失うほどでした。なお、蛹の付いていたオガタマノキは樹高約3m。蛹の位置は約1.6m高さ、背面を西に向けておりました。同じGraphium属でお馴染みのアオスジアゲハの蛹も巧妙な擬態を見せます。下記に実例を示します。
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R1@5.5mm、ISO=200、F3.6-1/68、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2006年1月29日、13時24分、撮影地:神奈川県川崎市

 この作例は越冬中のもので、残念ながらクスノキの葉が枯れているため蛹が目立ちますが、蛹に彫り込まれた黄色のラインはクスノキの葉脈に似せていて探索時に苦労させられます。この両者を比較すると、その外形の特徴として背中の突起(中胸背面突起)の突出方向が挙げられます。下記画像を参照願います。
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 上記3枚目と5枚目を画像処理して並べた画像です。アオスジでは体軸(クスノキの葉面に接する接線方向)とほぼ直角に突起が伸びているのに対し、ミカドでは体軸に鈍角、つまり蛹の頭部より前方側に突き出しています。しかし、蛹の外形的な特徴以外に、もっと簡単に両者を区別できる識別点があります。それは「葉に静止した蛹の向き」です。4枚目の広角画像をご覧になると明快ですが、蛹の尾端はオガタマノキの葉柄(葉の付け根)側にあります。一方、「アオスジは頭部を葉柄側に向けている」のです。2枚目の画像でわかるように、ミカドの蛹が尾端に向けて窄まる形状とオガタマノキの葉が窄まる傾向が見事に一致しているために、アオスジ以上に巧妙な擬態になっているのです。

 1頭いるからには更に数頭おるに違いない・・・・。そう思って1時間近くこの株と睨めっこしていましたが、他には発見できませんでした。また成虫も坊主。

 さて、昼食後は前回訪問しなかった、C,Dポイントに出向きました。先ずはCポイント。ここにはオガタマノキが合計5株あり、枝振り、葉の付き方はいい感じです。しかし食痕が全くありません。実はこのポイントは数年前にミカドの発生記録がある地点ですが、周囲は住宅街で殆ど森もなく、環境としてはあまり好適とは言えません。次に訪れたDポイントにはオガタマノキ、タイサンボクが各々1本ある場所。背後に森林を抱える好環境。オガタマノキは高さ5mほど。食痕がありましたが、蛹は坊主。若葉から卵、幼虫共に発見できず。タイサンボクには食痕もなし。蛹も坊主。

 この日はこれにて探索終了。翌日は朝から再度Bポイントで探索するも新規知見はなし。その後、E,Fポイントに転戦。ここはオガタマノキ、タイサンボクが共になく、敗退。結局6箇所、合計オガタマノキ12株、タイサンボク1株を検して、1蛹発見が今回の成果でした。新鮮な蛹殻も発見できなかったことから、予想通り、夏型の発生は相当にレアなのだと痛感しました。今回発見した蛹が休眠蛹だとして、来年まで寄生されずに生き残り、無事羽化することを願うものです。

 ところで2日目の探索の途中、とある石組の傍らを通り過ぎると、チラチラと小さな黒系シジミが飛び立ちました。ひょっとしてあの子かな?と思ったら、やはりこの子でした。
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D90-85VR、ISO=500、F10-1/800、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月23日、8時36分

 管理人今シーズンの初クロツです。カタバミで吸蜜する♂でしょうか?続いて定番の岩上での開翅。
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D90-85VR、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月23日、9時00分

 後翅肛角の青鱗粉がいつもアクセントになりますね。さて、ここのクロツは何を食っとるんやろか?と探してみると・・・。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F9.1-1/45、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月23日、8時36分

 ありましたね。ひょっとしてマンネングサ系かと思いきや、定番のツメレンゲでした。卵も見えておりますね。中国地方、特に瀬戸内海側の歴史ある町を散歩していると、思わぬ場所でクロツに出会うことがあります。以前、岡山県内の某有名ポイントで撮影済ですので、管理人としては、岡山県内で二カ所目のラベル?になります。辛気臭い幼虫・蛹探索をしておりますと、ストレスが溜まりますが、想定外の出会いがあると心が安らぐものです。真夏にしては過ごしやすい2日間の探索、何とかミカドの蛹に出会えて胸をなで下ろしたのでした。この後、管理人はこの時期旬のシジミを求めて三重県に転戦です。それは次回ご紹介しましょう。
by fanseab | 2011-07-26 20:49 | | Comments(6)

安曇野の蝶探索(7/15~16):オオヒカゲ他

 カシワ林のゼフ探索をメインにした今回の遠征。「信州で避暑がてらの撮影・・・」の目論見は梅雨明け直後の猛暑で敢え無く外れです(^^; 初日、カシワ林を後にしてkontyさんとウロチョロ探索してみました。オオヒカゲ狙いで訪れた池畔では新鮮なオオウラギンスジヒョウモン♂をゲット。                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-34、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、11時54分
 
 恐らく羽化直品でしょう。久しぶり、タテハの「斜め45度逆光開翅」も狙いました。
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D90-34、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、11時54分

 彼が止まっている葉がもう少しスッキリしていると絵が映えるんですけどねぇ・・・。♂より格好良い♀も撮りたいけど、もう少し発生は後なのでしょう。残念ながらここではオオヒカゲの生息環境ではないと判断し、別のポイントに転戦。これが正解でした。将にオオヒカゲの為にあるような生息地で、都合3頭程の新鮮なオオヒカゲが付き合ってくれました。このヒカゲ、京都でkenkenさんとクロヒカゲモドキ撮影をご一緒した際、撮影経験はありますが、じっくり撮るのは今回が初めて。聞きしに勝る撮り難いヒカゲでした。最初は下枝に止まる個体を逆光で。
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D90-34、ISO=800、F8-1/160、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、13時40分

 まぁ、何とも角度の無い隙間のようなアングルでしか狙えません。しかも地面には折れた枝があたり一面に落ちていて、ちょっと踏み込むとギシッと音がし、その度にオオヒカゲはピクッと翅を開閉します。恐る恐る接近しての撮影でした。同じ個体が飛び立って樹幹に止まりました。こちらが一番オーソドックスな静止位置かもしれません。何とか85mmマクロで頑張ってみました。
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D7K-85VR、ISO=1250、F7.1-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、14時08分

 ストロボを焚かなければどうしようもない暗さですし、焚いたら焚いたで、WBが狂いやすく、RAW現像も難物でした。この子はそれでもフレンドリーで、奇跡的に広角撮影まで許可してくれました!
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GXR@5.1mm、ISO=200、F4.2-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、14時02分

 画面向かって右奥側がカサスゲ類が繁茂している湿地帯になっております。この個体と奮闘されている kontyさん(蝶超天国)の勇姿も掲載しておきましょう。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F9.1-1/10、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、13時59分

 撮影条件を変えながら、じっとこの姿勢で撮影を終えると、体中が藪蚊の攻撃に晒されていたことに気が付き、猛烈な痒みに悩まされます。読者の皆さんもご経験あると思いますが、オオヒカゲの撮影は本当に難行苦行の類ですね。

 この湿地にはトンボ類にとって、天国のような場所で、管理人初体験のハッチョウトンボも多数生息しておりました。水面の丸ボケを強調した作画を狙ってみました。
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D7K-85VR、ISO=200、F4.5-1/1250、-1.0EV、撮影月日・時刻:7月15日、13時19分

 ハッチョウトンボ♂のテリ張り行動も初めて観察しました。占有空間はおよそ80cm程度。ゼフ等に比較すれば箱庭みたいな空間で♂同士のバトルを繰り広げておりました。「おチビさん頑張れ、頑張れ~」って、つい声掛けしてしまいました。それにしても愛らしい蜻蛉ですね!

 さて、16日はカシワ林でウラジロ♂の開翅撮影に成功した後、昨年ジョウザン♂のテリが活発に観察できた沢筋の林道を巡ってみました。目論見としては、ジョウザンの卍撮影だったのですが、個体数が少なく、半開翅シーンを撮るのがやっとでした。
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D90-34(トリミング)、ISO=500、F14-1/1000、-1.3EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月16日、8時21分

 どうも昨年とは様相が異なります。どうしたんでしょうか? 林道脇からはウラゴの♀が飛び出しました。
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D90-34、ISO=200、F8-1/1000、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月16日、8時31分

 ウラゴは今シーズン初撮影。暑さで開翅の期待もできないので、この絵を撮ったら、直ぐにパスでした・・・・。暑さが堪えるのは黒系アゲハも同様なのでしょう。カラス、ミヤマカラスが水場で盛んに吸水しておりました。管理人未撮影のミヤカラ♂夏型の吸水シーンです。
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D90-34、ISO=500、F4-1/1000、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月16日、9時26分

 これ、狙って撮ったポンピングの場面です。画像のExifデータから読み取ると、ポンピングの間隔は概ね10秒。撮影時、頭の中で「1、2、3,・・・」と勘定し、「8、9」のあたりで連射すると、結構な歩留りで撮影できました。腹端からのポンピングが液滴でなく、シャワー状に噴射されるシロスソビキアゲハ等に比較すると、撮影は楽な部類に属すると思います。

 暑さに悩まされた安曇野遠征。ただ、ポイント移動の途中に垣間見る北アルプスの山岳美や木陰の清涼とした空気感は独特なもので、リピーターになってしまいます。本当に奥の深い自然が隠されていると思います。繰り返しになりますが、今回も現地の蝶相について詳しくご教示頂いたkmkurobeさん、撮影をご一緒したkontyさんには厚く御礼申し上げます。またどこかで撮影をご一緒いたしましょう!
by fanseab | 2011-07-21 22:44 | | Comments(12)

安曇野のカシワ林探索(7/15~16):その(2)ハヤシミドリシジミ他

 今回、カシワ林を再訪した目的の一つに黄昏時の彼らの行動観察がありました。早朝、寝込み状態のゼフを叩き起こしての撮影は本来自然なものではありません。彼らが活発になる夕刻、どんな活動を見せるのか?あわよくば撮影できれば・・・の願いでした。

 ところで初日、草むらから突如褐色のシジミが飛び出してビックリ。                                                         ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=640、F9-1/320、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、5時43分

 ボロのクロシジミ♀でした。このポイントでは、ウラジロが盛期を迎える頃、彼らは終盤戦になるようですね。この草むらにはクロオオアリが沢山生息していて、撮影しているカメラやレンズに凄い数のアリが歩き回り閉口する位です。まぁ、クロシジミにとってはとても良好な生息環境なのでしょう。さて、ハヤシミドリもウラジロ同様、早朝のビーディングで落下はするものの、開翅はあまり期待できませんでした。そんな中、何とか♀開翅撮影に成功。
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D90-34、ISO=500、F8-1/1250、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、6時31分

 運よく傷の無い個体でした。ただ殆どの♀は日光が当たるとほどなく飛び出し、カシワの葉上に止まると、葉裏に潜り込んだり、とても開翅する状況ではありませんでした。縦広角で実例を示します。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/80、-1.0EV、撮影月日・時刻:7月15日、7時39分

 お天気ピーカンの状況がご理解できると思います。この絵を撮ったあたりで、カシワ林で粘る価値なしと判断し、kontyさんとご一緒して、他のシジミ等の探索・撮影に転戦しました。途中当日帰宅されたkontyさんと別れ、管理人は16時過ぎにカシワ林に戻りました。カシワの樹冠を見上げますが、ゼフの活動はまだスタートしていない様子。そして16時半頃、ハヤシミドリ♂の占有飛翔が始まりました。西日が直接当たる高さ10m強のカシワの大木に狙いを定めて継続観察することにしました。概ね5-6頭の♂が常時バトルを繰り広げていて、占有空間は3m四方と言ったところ。時々卍になり、長い時は2分位延々と卍飛翔が続きます。管理人の足元に降りてこないか?期待したのですが、一向にその気配がありません。そこで仕方なく、300mmで飛翔を狙うことに。
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D90-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/3200、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、17時31分
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D90-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/3200、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、17時31分

 正直、像質には期待していませんでしたが、「西日を受けて黄金色に輝くカシワを背景に飛ぶハヤシミドリ」のアウトプットイメージに近い絵が得られて満足です。1枚目の絵で右下の♂が左側を飛ぶ♂に視線を向けている様子も読み取れます。その後、管理人の目前に卍飛翔が落ちてくるチャンスをひたすら待ちました。結局2回そのチャンスがあって、1回目は遠くに落ちたので駆けつけた時には既に卍が解けてジ・エンド。2回目に何とか撮影に成功。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、17時40分
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、17時40分

 撮影直後の手応えは十分だったのですが、カメラのLCDモニターで像確認するとガックリ。シャッター優先モードで撮影したはずなのに、何故か絞り優先になっておりました(^^; D7000のモード設定ダイヤルはどうも動きやすくて、大雪山でも一回同じ失敗をしておりました。再発防止対策を真面目に考えねばなりません。それはともかく、設定失敗の割には1枚目は卍の雰囲気が良く出たように思います。さらに怪我の功名で、翅がブレて躍動感も出ました。今回経験した卍飛行の最低高度は管理人の目線より高い位置だったため、♂の金緑色表現は難しいものがありますね。この卍飛翔撮影はまたリベンジの対象でしょう。ハヤシ君、来年待ってろよ!

 傾いた夕日が北アルプスの稜線上に沈んだ18時前。少し♂の活動も沈静化してきたように思います。すっかり日陰になったカシワの葉先でテリを張る♂のメタリックブルーが印象的でした。
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D90-34(トリミング)、ISO=640、F4-1/3200、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、17時55分

 さて、ハヤシミドリの活動と同時に注目していたのが、ウラジロ♂の行動。ところがハヤシとはかなり異なる挙動をしていたように思います。カシワの枝先で時々ハヤシに追撃される♂を見ておりますが、縦横無尽にカシワを飛び回るハヤシと異なり、どちらかと言えば、カシワの根際の草むらを低速探索飛行したり、カシワからカシワを飛び渡る飛翔をしていたように思います。ましてや卍飛翔は観察できませんでした。活動はハヤシ同様に16時30分前後から活発になったような気がしますが、上記した如く活動パターンが派手でないため、今回の僅か2時間の観察では彼らの行動を把握することは困難でした。初日(15日)の自宅起床は午前1時10分過ぎ。運転と探索・撮影の合計時間17時間超で流石に体力の限界に近く、18時過ぎに撤収しました。この日のようにピーカンに近い条件下で、ハヤシなら少なくとも18時半頃までは活動していると見ました。もう少し体力的に余裕を残して彼らの夕刻の活動を観察してみたいものです。

 なお、2日目の早朝、カシワ林の草原でウラミスジシジミにも出会いました。先ずはマクロ閉翅で・・・と接近中に逃げられてしまった(^^; どうもウラミスジとは相性が良くありません。管理人にとっては「裏三筋」ではなく、「恨めしじ?シジミ」でしょうね。また、2日目の夕刻にはこのポイントでは珍品のウスイロオナガシジミにも出会ったことを付記しておきましょう。次回は安曇野探索で出会った他の蝶のご紹介です。
by fanseab | 2011-07-20 20:30 | | Comments(12)

安曇野のカシワ林探索(7/15~16):その(1)ウラジロミドリシジミ

 昨年に引き続き、ブログ仲間、 kmkurobeさん(安曇野の蝶と自然)の地元にお邪魔して、ウラジロ他のゼフ撮影です。
 今回のメインターゲットは、ウラジロ♂の開翅シーンを再撮影すること。昨年も撮影に成功していますが、ウラジロ本来の色を出すに至らず、今回がリベンジマッチとなります。現地5時着で、ポイントに入ると既に同好者が長竿でペシペシやられています。ご挨拶すると、何とブログ仲間の kontyさん(蝶超天国)でした。2人してペシペシ作業をやって、そこそこの個体を確保し、待機することに。しかし、kmkurobeさんのブログ記事通り、この日も陽が差し始めると強烈な朝日がモロに各個体に当たり、モゾモゾし始めた後、開翅せずにすぐに梢に飛んでしまう個体が殆どで、成果が上がりません。そこで管理人は直射日光が直ぐに当たらない日陰側に回って、♀個体を下すことに成功。縁毛も綺麗な個体で、開翅を期待して待ちます。                                                                   ++横位置画像はクリックで拡大されます++                   
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D7K-85VR、ISO=500、F4.5-1/1250、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、6時21分

 そして何回か間欠的に開翅してくれました。
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D7K-85VR、ISO=640、F9-1/320、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、6時17分

 シットリとした表現には成功しましたが、残念ながら両前翅に傷が入っていました。クロツバメシジミ等、一様な黒褐色の蝶は傷が目立ちやすいですね。裏面の新鮮さに騙された感じでしょうか? 撮影した環境も横広角でご紹介しておきましょう。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/160、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月15日、6時21分

 さて、日差しが直接当たる場所に落下した♀個体は比較的長く草地に留まりますが、日差しを避ける傾向にあるようです。ハギの葉下に潜り込んだ個体をパチリ。
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D7K-85VR、ISO=200、F8-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月15日、6時35分

 途中からkmkurobeさんご本人も現地に到着。色々とご協力して頂きました。「こっちで♂が開いたよ~」の掛け声で慌てて駆けつけてみると・・・・。
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D90-34、ISO=640、F10-1/1000、-1.0EV、撮影月日・時刻:7月15日、6時48分

 ウーン、残念ながらカシワ葉上で後ろ向きポーズ。殆ど光らないアングルです。結局、15日はこれ以上の成果がなく、また翌日チャレンジすることに・・・・。

 さて、16日。早朝5時より探索開始。期待とは裏腹にこの日もカシワ林は強烈な日差しに見舞われました。♂は降りても直ぐに上に戻る最悪のパターン。仕方なく、1頭の♀と心中? 何とか無傷の個体にて開翅撮影に成功。
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D90-34、ISO=200、F10-1/400、-1.3EV、撮影月日・時刻:7月16日、6時16分

 直射日光が当たる悪条件の中、RAW現像で何とかシットリ感を出そうとしてみました。結局この画像以外には成果が出せず、そろそろ撤収かな?と帰り支度をしながら、これまでビーディングを実施したことのない、孤立したカシワの木に着目。殆ど期待しないまま、叩くと2頭の♂が飛び出し、運よく1頭が管理人脇の葉上に着地。
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D7K-85VR、ISO=800、F9-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月16日、7時07分

 良く見ると、黄色いストローで吸水している様子です。この子は落ち着きなく何回か飛び出しますが、体が温まりきっていないのか、すぐに着地します。そしてススキの葉上に飛び移った直後、突如、ガバッと開翅してくれたのでした!!
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D7K-85VR、ISO=500、F10-1/320、-1.3EV、撮影月日・時刻:7月16日、7時10分

 丁度上手い具合に光線が当たり、種saphirinus特有のサファイアブルーを何とか表現することができました。厳密に言えば、露出設定ミスがあって、直ぐに正規の設定に戻したのですが、その時には既に閉翅する過程にあり、最適ブルーの表現はできませんでした。その後、十分な日光を浴びたのか、草地沿いに飛び去って行きました。

 海外遠征でも最終日の撤収間際に幸運が舞い込むことがよくあり、目的種の撮影が土壇場で成功する体験を何回もしています。この日のウラジロ♂も将にそんな状況で、2日間粘って何とか昨年のリベンジを果たした感じです。この日、探索にご協力頂きましたkmkurobeさん、kontyさん、有難うございました。次回はハヤシミドリシジミ他について、ご紹介しましょう。
by fanseab | 2011-07-18 14:34 | | Comments(10)

初めてアサマシジミと出会う(7月8日)

 オオムラサキ探索にでかけた7月8日、笹子トンネルを抜けたら雨模様。そこで急遽予定を変更し、アサマシジミの探索に午前中充ててみました。管理人はヒメ、ミヤマ、アサマのブルー3兄弟の中で、ヒメ・ミヤマについて撮影経験に乏しく、アサマに至ってはまだ観察したこともありません。市町村レベルでのラフなポイント情報を元に2時間程度かけて草地を探索いたしました。食草のナンテンハギもしくはヨツバハギを探索のメインキーワードに、そして生息環境上、「ススキが共存する場所」をサブキーワードにしてウロチョロ探しました。似たような環境の草地は結構あって、苦労します。雨も完全に上がった10時過ぎ、ススキの根際からスレた1頭のヒメウラナミジャノメが飛び出しました。しかし、時期的にヒメウラナミの2化が出るのには少し早いし、色が妙に黒っぽいなぁ~と思って、止まった個体を良く見ると、なんと、これが探していた宝物でした。                                                      ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=400、F8-1/800、-0.7EV、撮影時刻:10時05分

 ちょっと草臥れた♀ですね。それでも黒点が明確で「濃い」お顔をした個体だと思います。実はこのポイントにはミヤマの食草、コマツナギも生えていて、丁度新鮮な(第2化?)ツバメシジミ♀が産卵したりしておりました。実際、ミヤマが生息していても不思議ではない環境なので、帰宅してからPC画面上で、この♀裏面をよく確認するまで、アサマかどうかは半信半疑でありました。この♀、動きは鈍く、概略3mX3m程度の空間から出ようとはしません。時々、ヒメジョオンで吸蜜をしておりました。
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D90-85VR、ISO=400、F8-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:11時18分

 吸蜜が終わると、下草に潜って、半開翅休息するパターンです。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/80、-0.7EV、撮影時刻:11時18分

 この日の探索で出会った個体数は♂1頭、♀3頭のみ。♂には残念ながら逃げられて撮影は失敗。ブログ仲間の皆さんの画像を拝見すると、やはり新鮮な♂の翅表は魅力的ですね。このポイントでの♂撮影は来シーズンの楽しみに取っておきたいと思います。
by fanseab | 2011-07-13 22:46 | | Comments(8)

山梨のオオムラサキ(7月8日&10日)

 北海道遠征記はちょっとお休みして一般記事です。管理人はタテハフリークなので、夏場にゼフの金緑色の輝きを見なくても我慢できますが、オオムラサキの翅音を聞かないまま夏が過ぎていくことには耐えられません。丁度♂の適期と判断し、2日間をかけての探索です。

 この時期のオオムラサキについては10年間程度継続観察をしておりますが、今年はオオムラサキの当たり年なのか、♂個体数は相当なものでした。寄生蜂の発生が抑制されたのでしょうか?樹液吸蜜集団のスナップ。                                                                                 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=1000、F10-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、11時54分

 ざっと15頭ほどの集団です。一頃、オオクワガタブームで樹洞に発煙筒を焚く輩の影響で樹液発生クヌギが激減し、このような集団を見ることが久しくできなかった状態が続きました。樹液ポイントの数は現在もそれほど多くはないので、オオムラサキが少ない樹液を求めて、密集するのでしょう。それと例年に比較して♂発生の時期が早かったようで、殆どの個体は既にスレておりました。観察初日(7/8)、♂飛翔を狙っていると、バサバサと大きな音がして林道上に何かが落ちてきました。何と交尾ペアでした!
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D5K-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月8日、14時01分

 管理人は本種の求愛行動について何回も観察例がありますが、交尾ペアに遭遇したのはこれが初めて。素直に興奮しましたよ。きっと、樹上で愛の営みの最中、♂にちょっかいを出されて林道上に落ちてきたのでしょう。♀前翅の鈍い紫色幻光も久し振りに拝むことができました。縦位置広角でその状況を示します。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日・時刻:7月8日、14時03分

 この♀(左側)のサイズは♂並に小さな個体でした。道路の真ん中では車に轢かれる可能性があるので、道路脇に寄せようとしたら途中で交尾が解けてしまいました。結果的にペアには申し訳ないことをしました。既にスレ始めている♂ですが、羽化直個体もいました。未だ飛べずにエノキの葉上で開翅休止しているこの個体に別の♂が誤求愛するシーンも観察されました。
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D90-34、ISO=640、F8-1/320、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月8日、15時02分

 右が羽化直個体。左から迫る♂はアンテナでしきりに右の♂をタッチして♀であるか?確認しているようでした。迫られた♂は逆に迷惑そうにアンテナを後方に反らした独特なポーズをしています。この後、諦めた?♂は飛び去り、それから暫くして羽化直個体もヨロヨロと初飛行しておりました。2日目(7/10)には♀の羽化が増加したと思われ、複数回の求愛行動が観察できました。その中で最も嬉しかったのが求愛飛翔シーンを撮れたこと。少し大きめの画像でのご紹介です。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、10時00分

 このシーン、♂が♀を追跡するのではなくて、モンキチョウの求愛飛翔と同様に♂が♀を先導しています。♂♀の順番が逆、つまり正常な追跡シーンも観察できましたので、このような♂先導パターンがどのような意味を持つか(性フェロモンを撒き散らす?とか)興味のあるところです。因みに♀飛翔シーン撮影成功もこれが初めて。二重の意味で嬉しいショットでした。このペアは結局交尾には至らず、♀個体は恐らく別の♂にまた追跡されてウメの枝上で睨めっこ状態に。
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D90-85VR、ISO=800、F9-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、10時03分

 この♂も結局♀にフラれてしまいました。♂を振った♀のマクロ画像を狙いましたが、彼女は逃げ足が速く、これには失敗(^^;  ♀は林間に潜り込んだり、とにかく♂に目立たないような行動が顕著です。好天に恵まれた2日目は広角飛翔三昧でした。最初は♂の至近距離ショット。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、8時51分

 丁度、♂前翅上に木漏れ日が当たり、紫色の色調が部分的に変化している絵になって、お気に入りの画像になりました。お次は意図的にカメラ目線を下げて、裏面から探♀飛翔を撮影。
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D7K-1855@18mm(ノートリ)、ISO=800、F3.5-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、9時12分

 相当に暗い空間を飛翔する雰囲気が出せたと思います。♀は樹林内に潜んでいることも多いので、このような♂の探♀行動も一理あることになります。空バックの飛翔シーンも撮りました。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、10時00分

 夏空とオオムラサキのツーショットはいつも狙う構図ですけど、♂の紫色が潰れて上手く表現できませんね(^^; 管理人が熱中症をケアするほど暑かった2日目。♂も暑さを避けて時折、草むらに潜り込んで吸水する場面がありました。潜り込む直前の♂を追跡していると、急に右旋回してカメラに飛び込んできました。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、12時34分

 大型のタテハにしては、物凄く身のこなしが素早いもんですね。さて、広角飛翔とは別に望遠飛翔も撮りました。実は3年前から林道脇の開けた空間に着目しておりました。ここはエノキを見下ろすことのできるポイントで、探♀滑空飛翔する♂の紫色を表現するには絶好の撮影ポイントと目論んでいたからです。ただ300mmだとあまりにもリスクが高く、かと言って85mmでは迫力が出ないので、どうしたものか?とプランを練りました。そこで結論したのが、85mmに2倍テレコンをつけて合計170mm望遠レンズとする作戦。300mmに比較すれば短いけれども、銀塩換算で255mmの望遠ですから♂を捕捉するのは結構苦労しました。結局アウトプットイメージに近い構図で撮れたのが次のショットのみでした。
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D90-85VR-X2TC(トリミング)、ISO=640、F3.5-1/2500、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月10日、8時08分

 背景をボカして滑空する♂の紫色が何とか表現できました。ただこのポイント、開けた空間内に植林された針葉樹が急速に成長していて、あと数年で恐らく目的の撮影ができなくなるのが心配です。毎年、熱中症をケアしながらのオオムラサキ三昧。常にペットボトルで給水しながら甲府盆地の夏を楽しみました。
by fanseab | 2011-07-11 21:28 | | Comments(10)

北海道遠征記(5)アサヒヒョウモン:その2&ダイタカ

 ヒースの上を舐めるように飛ぶ飛翔に狙いを定めてみました。斜め上から撮ったのでは、背景がゴチャゴチャ汚くなるので、ヒースより位置の低い登山道の脇にレンズをセットして、ひたすら連射。最初はガンコウランの上を飛ぶ♂個体。                                                                        ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F7.1-1/4000、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、10時51分

 ガンコウランの穂先をかすめるように飛び回ります。お次は芝に似た草の上を飛ぶ♂個体。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月27日、10時43分

 前後翅の基部が真っ黒いのがこのヒョウモンの特徴ですね。後翅裏面の黒さと合まって、飛翔中の色が相当濃く見えるのも、これら斑紋色調の影響でしょう。3枚目は裏面が写ったショット。縦位置トリミングで。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月27日、10時43分

 左右後翅の縁毛が揃った惚れ惚れするアングル。管理人の撮影したアサヒヒョウモンの飛翔画像で一番お気に入りのショットになりました。300mmだけでなく、対角魚眼でも飛翔にトライしてみました。
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月27日、8時29分

 このように空駆けるイメージはアサヒヒョウモンの特徴とは言えませんね。地表近く飛翔する姿を残雪背景に撮りたいところです。さて300mmで飛翔撮影中、2頭の絡みを目撃しました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/4000、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、10時56分
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D7K-34(トリミング)、ISO=800、F7.1-1/4000、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、10時56分

 かなり遠目のショットで思いっきりトリミングしておりますので、画質の酷さはご容赦を!少しスレた画面右上の♂個体が左の個体に絡んでいます。この2頭はこの後、画像に向かって右後方のハイマツ群落の下に潜り込んで暫く出てきませんでした。画面左の個体が♀なのか?管理人には判別不能ですが、どうも♀であったような雰囲気です。誤求愛なら、もう少し短時間で絡みが解けるはずなのですが・・・・。アサヒヒョウモンの主たる食樹とされるキバナシャクナゲは登山道に沿って沢山観察できました。
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D7K-10.5-X1.4TC、ISO=200、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月27日、8時00分

 この葉を食う幼虫もいつか見てみたいものです。さて、初日の正午過ぎ、コマクサ平に集っていたカメラマンの方がダイセツタカネヒカゲを見つけてくれました。独りではなかなか見つけきれないので感謝です。
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D5K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、12時09分

 管理人は未だ本州アルプスでのタカネヒカゲを観察したことがありません。実見して、図鑑や生態写真から想像していたより遥かに黒いのには驚きです。「ダイセツクロヒカゲ」って雰囲気でしょうか? 人の気配に敏感とされるこのヒカゲですが、カメラマンが一斉カメラ砲撃してもピクリともしませんでした。羽化直だったのかもしれません。ウスバキより若干羽化時期が遅れるのが通例で、このヒカゲの生態をきちんと観察するには7月に入ってからが良さそうです。大雪特産種の紹介はひとまずこれにて終了し、次回はヒカゲチョウ続きで、シロオビヒメヒカゲをご紹介しましょう。
by fanseab | 2011-07-09 21:30 | | Comments(12)

北海道遠征記(4)アサヒヒョウモン:その1

 コマクサ平に到着してウスバキが登場すると、管理人も含めたカメラマンはウスバキの姿を追って右往左往しておりました。ただこの間、ハイマツ帯の間隙を縫って、地面スレスレに飛ぶ褐色の蝶がアサヒヒョウモンであることはすぐに理解できました。「飛び続けて撮影が難しい・・・」記述をネットで見ていたので、なるほどこのヒョウモンは難しそうだ。どのようにしてカメラで仕留めるのか?暫く答えが出ませんでした。それでも2日間コマクサ平に通ったお蔭で、少しは彼らの生態を理解できるようになりました。ご存知の通り、本種は極北のツンドラ地帯を主たる生息地としており、大雪山は異例とも言える低緯度(北緯43度)生息地なのです。ここコマクサ平はハイマツの間にヒース(矮性植物群)で覆われた平原が広がっており、このヒース上をセセリのようにウロチョロ飛ぶ様子は他のヒョウモンの挙動とは全く異なるものでした。遥か北欧のツンドラはこんな地形なのかな~?と思いを馳せながら、アサヒヒョウモンを追跡しておりました。このヒョウモンの後翅裏面は独特な斑紋なので、「是非とも閉翅を撮りたいもんだ」と翅算用をしておりましたが、なかなか撮らせてくれません。やっと、ゲットできたのが次のショット。♂だと思います。                                                                                  ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D5K-34(トリミング)、ISO=500、F10-1/1250、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、12時34分

 日光浴は必ず開翅状態になるのがこのヒョウモン。吸水直後で翅を上下させている最中に連射してやっと撮れたのですが、閉翅としてはアングルが微妙(^^; もう少しカメラ目線を下げるべきなのだけれども、ガンコウランやクロマメノキのヒース植物に翅が隠されるので、真横からの撮影が大変難しいのです。今度は85mmマクロでの開翅。
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D90-85VR、ISO=640、F11-1/640、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、12時36分

 殆どの個体がロープ規制された登山道内には来ないので、これは異例とも言える至近距離でのショットかもしれません。それにしても、このヒョウモン、縁毛が大変綺麗。縁毛フェチの管理人を唸らせる実力の持ち主ですね。朝方なら活動が鈍いので接近戦が可能かもしれない・・・と2日目はアサヒヒョウモンに狙いをつけて彼らを追跡しました。何とか狙っていた半開翅逆光シーンをゲット。
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月27日、7時41分

 好みのアングルで撮れたけど、縁毛が擦れていてイマイチでした。上手くいきませんねぇ~。でも早起きは三文の徳? 想定外の広角シーンも撮れました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/200、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月27日、8時32分
 
 かなり欠損のある♂ですが、雪渓バックの絵はそうそう撮れないので良しとしておきましょう。ウスバキと比較するとアサヒヒョウモンの活動は照度にはやや鈍感な気がしました。薄日でウスバキがパタッと飛翔を止める照度でもアサヒの♂は関係なく探♀活動を行っておりました。そうして、延々と探♀をやりながら時々休憩して吸蜜にやってきます。ここら辺は他のヒョウモンの生態とさほど変わりはないと思いました。吸蜜源の最初はミネズオウ(Loiseleuria procumbens)。
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D90-34(トリミング)、ISO=400、F4-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月26日、13時37分

 結構、長時間吸蜜してくれて助かりました。この花、とても小さいですけど、蜜量は意外に多いのかもしれません。そのミネズオウをマクロでも撮りました。
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D90-85VR、ISO=200、F4-1/1000、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月26日、8時11分

 この花弁、本州の高山帯だと白色で、北海道だと紅色になるとか。こう見えてもツツジ科の植物だそうです。また某図鑑によれば、ミネズオウは、アサヒヒョウモンの産卵植物としては頻度が高いが食樹とはなり難く、孵化した幼虫は近くにあるキバナシャクナゲやその他の植物を食するとか。ヒョウモン類は母蝶が産卵する時、スミレに直接産まないで、近場の枯草に産んだりする習性が知られていますが、アサヒも似た習性なのでしょうか?ミネズオウのお次はウスバキもよく訪花するクロマメノキ。
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D7K-34(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月27日、10時58分

 ウスバキの記事でも述べたように、この花弁は垂れ下がり状態なので、アサヒヒョウモンもストローを花弁に対し、巻き込むように上から入れざるを得ないため、吸蜜態勢が下向きになります。よって、なかなか良い絵が撮れません。2日間粘っても至近距離での吸蜜シーン撮影は相当に難易度が高いことを知りました。次回は飛翔を中心にご紹介します。
by fanseab | 2011-07-06 20:45 | | Comments(4)