探蝶逍遥記

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アサギマダラ他(10月27日)

 先日27日、会議・打合せの全くない空白の一日ができ、奇跡的に平日年休が取得できました。じっくり体を休めるチャンスですけど、好天が予想されたので、つい撮影に出かけてしまいました(^^; 前回に続き、来シーズンに備えて静岡県内を探索です。比較的低標高の山間で駐車すると、朝日を求めてヤマトシジミ♂が開翅していました。                                                              ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:9時11分

 色味もかなり白っぽくなって、ヤマトの翅は流石にもう秋でした。渓谷沿いに移動すると林縁をフワフワ飛ぶアサギマダラが目に留まりました。
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D90-85VR(ノートリ)、ISO=400、F3.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:10時33分

 そのうち、近くに止まりました。
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時36分

 逆光に浅葱色が映えます。後翅の性標がない♀でした。ここでは延べ7頭程、アサギマダラが舞っていましたが、いずれも♀。高原のヒヨドリバナに集う本種は殆ど♂だったりすることを考えると、♀の存在確率は相当なものだと思いました。このポイントは渓谷の南面に小さな茶畑が広がっており、茶畑の周囲は広葉樹に覆われてポカポカと大変暖かい環境。丁度、この日は全国で木枯らし第1号が吹いたのですが、深い広葉樹林が風を遮って、全くの無風状態でした。そのうち、アサギマダラが舞い降りて、お茶の花から吸蜜を始めました。
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D90-85VR、ISO=200、F10-1/200、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時51分

 茶の花は相当に美味しいのか、結構長時間吸蜜しています。別の個体の吸蜜シーンはこちら。
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/200、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時53分

 吸蜜が終わると、開翅休息です。
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D90-85VR、ISO=200、F10-1/400、-1.0EV、撮影時刻:11時01分

 10月下旬とは思えない暖かさの中でアサギマダラ達は吸蜜と日光浴を繰り返しておりました。彼女達にとって、別天地のようなポイントなのでしょう。

 さて、茶畑にはアカタテハも訪れていました。開翅吸水のシーン。
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/1000、-1.0EV、撮影時刻:10時46分

 白い縁毛もはっきりして、ほぼド完品の個体に満足です。お次はお茶の花からの吸蜜シーン。
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/640、-1.0EV、撮影時刻:10時47分

 お茶の花には、この他、アブ類やスズメバチ等、多くの昆虫が引き寄せられていて、この時期の貴重な吸蜜源なのだと思いました。日本茶栽培にとって、花の開花は望ましいことではなく、管理された農園では、蕾を早めに摘み取るようです。逆にこのポイントは半ば放置されたような畑なので、花が沢山咲いていて、アサギマダラにとっては好都合な場所と言えます。

 普段は夏の高原で観察・撮影するチャンスの多いアサギマダラですけど、10月下旬にどのように生活しているのか?今回は興味深い生態を観察できたように思います。アサギマダラの場合は、長距離移動することが有名ですが、長距離移動に焦点が当てられすぎていると個人的には思います。やれ、「福島から沖縄まで行った記録が出た!」、「韓国への渡りを初めて確認!」等、センセーショナルな話題に終始しています。まぁ、「俺がマーキングした個体は800km飛んだぜ!」みたいなゲームのノリもあるのでしょうね。そんなこんなで、まるで全ての個体群が長距離移動をするかのように誤解されがちです。確かに越冬できない北方の個体群が南方に長距離移動することは事実だけれど、①静岡や温暖な西日本で生まれた個体群はそれほど移動しないのではないか?②狭いエリアを小移動するけれど、渡りをしない個体群がいるのではないか?等、究めるべき生態が多いマダラチョウだと思います。「渡らないことを証明するためのマーキング」活動も必要でしょうね。ひょっとすると、今回観察したポイントはミニ集団越冬地なのかもしれません。
by fanseab | 2010-10-30 12:05 | | Comments(10)

ウラギンシジミ(10月11日)

 関東地方では、体育の日を含む3連休の前半は天気が悪く、最終日の11日になって、ようやく絶好の晴天が広がりました。この日は来シーズンに備えて静岡県をウロチョロ探索しておりました。いくつか見かけた普通種の中で圧倒的に目立ったのがウラギンシジミ(Curetis acuta paracuta)でした。しかも全て♂ばかり、延べ20頭は観察したと思います。前日までが比較的低温で雨続きだったこともあり、湿った路面からしきりに吸水する姿が目立ちました。                                                             ++画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/800、-1.0EV、撮影時刻:8時46分

 吸水しながらじわりと開くと、鮮やかな橙色が顔を覗かせます。これから冬場にかけて日溜りで日光浴する姿を見かけるのは殆ど♀ですので、この時期、比較的新鮮な♂の姿は貴重ですね。逆光でも撮ってみました。
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/800、-1.0EV、撮影時刻:8時50分

 銀白色の裏面に表翅の橙色が透けて見えています。このように逆光でウラギンを裏面から狙うのは国内よりもむしろ東南アジア遠征で良くあるケースです。というのもCuretis属はなかなか開翅してくれない印象がありまして、裏面模様もさることながら、表翅の状況が不明ですと、同定もままならない場合が多いからです。北タイ・ドイステップの山中で撮影した個体を示しましょう。
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D70、ISO=500、F11-1/800、+0.3EV、撮影年月日・時刻:2006年3月25日、12時07分

 腐敗させたカニトラップにやってきた吸汁シーンで、表翅斑紋より、ウラギン(C.acuta dentata)と同定したのですが、ブリスウラギンシジミ(C.bulis)の可能性もあります。完璧に開けば、両者の区別はできると思いますが、裏面からだと結構厳しいものがあります。

 さて、静岡で撮影した♂は吸水しながら、路面スレスレを跳ねるような独特な飛翔をしておりました。ここではカシオのパスト連射で撮影。
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FC150@6.4mm、ISO=400、F3.6-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:8時57分04秒
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FC150@6.4mm、ISO=400、F3.6-1/4000、-0.7EV、撮影時刻:8時57分05秒

 パスト連射の利点は飛翔時の蝶の羽ばたきモードが良くわかる点。ウラギンの場合は一旦翅を打ち下ろすと、閉じた状態で結構長く前進することがわかります。秒速40コマ、最大30コマでも、翅が打ち下ろした状態のコマ数はせいぜい3コマ程度。通常のデジ一で撮影した場合は、確率的に翅が閉じた銀白色の裏面のみ写ってしまう可能性が強い訳です。確かヒメウラナミジャノメの飛翔モードもウラギン同様で、翅を閉じた状態で、相当長距離を前進できていた記憶があります。

 ただ、カシオの機種もやや暗い環境下でISO=800に上げると、画面のザラツキが酷くなります。「裏面照射型CMOSセンサーでノイズを劇的に下げました」との謳い文句ですけれど、もう一段ノイズレベルを改良してもらわないと常用したい気持ちにはなりませんね。ブログ仲間の多くの方が今シーズンパスト連射機を導入されていますが、途中からデジ一に原点回帰した方が多いようです。現状機種のノイズレベルやら使い勝手を考えると、当然のことかもしれません。
by fanseab | 2010-10-17 22:38 | | Comments(12)

神戸市のクロマダラソテツシジミ(10月2日)

 所要で関西を訪れたついでに、神戸市内にある有名なクマソスポットを訪れてみました。最初に訪れたのは古い洋館を整備した庭先。ソテツはわずか1本ですが、花壇の周りを相当数の♂が飛び回っていました。正午過ぎの一番活発な時間帯でもあり、殆ど止まらず、撮影には苦労しました。やっと♂が止まって半開翅したと思ったら、尾状突起が切れていたりします(^^; 。       ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D5K-85VR、ISO=200、F13-1/500、-1.0EV、撮影時刻:12時28分

 同じく吸蜜に来た♂個体も裏面はそれなりに綺麗なのに、尾が一本切れています
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D5K-85VR、ISO=200、F14-1/500、-1.0EV、撮影時刻:12時29分

 昼食後、今度は本命のS園に出向きました。蘇鉄の数量規模は噂通りに凄く、ここはクマソの天国みたいな場所です。ただ吸蜜源が近くにないので、ソテツの株間を探♀行動をしている♂個体中心に狙うことになります。15時半過ぎになると、多くのソテツが日陰になり、飛翔する場所も限定されるので、撮影には一苦労しました。先ずは開花前の菊の盆栽上で開翅する♂。これも尾状突起が完全に欠落しております。
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D5K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F22-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時21分

 久しぶりに魚露目を使って生息環境を入れた画像に拘ってみました。ご覧のような日本庭園でクマソがいなくても、散策スポットとして、エエ感じの場所でした。この絵を撮影した場所は例外的にソテツからかなり離れていますが、原則、ソテツの植え込みからほとんど離れていきません。尾状突起が揃った♂個体の全開翅シーンも撮影。
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D5K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F18-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時35分

 この♂はホリイコシジミ(Zizula hylax)並みの矮小個体で、不思議なことに♂が周囲に飛んでいないのに、ガバッと開いて、腹部を持ち上げている拒否姿勢を取っています。これ、どんな生態学的意味があるんでしょうね?お次はソテツの葉上で開翅する♂個体。こちらは尾状突起を欠いています。
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GX100@5.1mm、ISO=80、F5.7-1/80、-0.7EV、撮影時刻:15時38分

 丁度、この個体の右後方に神戸市内のオフィスビルが林立しています。それを背景にしようと無理やり魚露目で狙いました。
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D5K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F18-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時40分

 ただ、クマソは結構敏感で魚露目での接近で逃げられる個体が多かったように思います。さて、♂は再三コメントしたように尾状突起が殆ど欠落しており、撮影適期を過ぎていたように思います。一コマだけ、新鮮な♀開翅シーンを撮影したのですけど、完全なピンボケ(^^; フォーカスポイントを設定した後、カメラの上下を持ちかえて撮影したことによる失敗!広角ではよくやらかすお粗末なチョンボでした。一群の植え込みから少し離れた場所にも何株かソテツがあって、そこにも数個体が潜んでおりました。エキゾチックな洋館があったので、これを借景にパチリ。
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D5K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F18-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時55分

 「植民地の面影を残すマカオの一角に潜むクロマダラソテツシジミ」なんて、キャプションを付けても違和感ないような絵になりました。16時30分を過ぎると、活動していた♂個体も次第にソテツ株の上部に静止して休眠状態に入ったようです。ここを後にして、昼過ぎに最初に訪れた花壇の付近をチェックしてみると、植え込みの灌木から数頭の♂が飛び立ちました。同じ灌木に潜んでいたヤマトシジミは管理人の気配に全く動じることなく休眠状態でしたので、クマソは殆ど日が暮れるまで完全には休眠しないようです。そんな中、じっと下向きに静止している個体を発見。
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D5K-85VR、ISO=640、F6.3-1/125、-1.0EV、撮影時刻:16時36分

 暫く観察していると、時々翅をスリスリしていて、チラリと見えた後翅表面肛角部の特徴から♀であることが判明。止まっている灌木の枝先に丁度夕日がスポット的に差し込んだので、少し活発になったのかもしれません。

 有名スポットのS園他で何とかクマソが撮影できてヤレヤレでした。なお、S園で撮影中、同好のカメラマンがクマソを撮影しておられます。ひょっとして・・・と思って声掛けすると、ブログ仲間、 nomusan のお知り合いのPさんでした(実はPさんブログは管理人も秘かにROM専門で楽しませて頂いておりました)。Pさんからは当地におけるクマソの発生状況等、貴重なお話をお伺いすることができました。Pさん、短い時間でしたが、お世話になりました。
by fanseab | 2010-10-04 23:16 | | Comments(12)