探蝶逍遥記

<   2010年 02月 ( 4 )   > この月の画像一覧

アカボシゴマダラ長角型幼虫・その後(2月28日)

 先月、拙ブログでご紹介した首題幼虫の続報です。前回の静止位置を見るとおりません。鳥に食われたかと思ってエノキの株を探すと、位置を移動し、幹の裏側、ほぼ北東向きに静止していました。                                       ++横位置画像はクリックで拡大されます++                  
f0090680_20555497.jpg
D5K-1855VR@50mm-gy8(トリミング)、ISO=200, F29-1/20、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯増灯、撮影時刻:14時38分

 何とか無事のようです。少し拡大してみました。
f0090680_2056994.jpg
D5K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200, F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯増灯、撮影時刻:14時34分

 金網の丁度裏側で、スレーブ増灯処理をしても上手く光が回りません。2009年の2月に見出した長角型個体は3月15日に干からびた状態で発見されましたので、今回個体は管理人が観察した中では、長角型での最長不倒?越冬記録になります。

 ここには短角型2頭も樹上越冬していましたが、1頭は行方不明、もう1頭はこれまた幹の裏側に移動していました。完璧に裏側なので、魚露目を使用しても、「2本の角」しか写せませんでした。
f0090680_20562867.jpg
D5K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400, F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯増灯、撮影時刻:14時45分

 ファイバースコープの先に魚露目をつけたような拡大系レンズがないと厳しい状況ですね。今日は寒の戻りがあったようですが、この長角型幼虫、3月をどのように乗り切れるか?さらに継続して観察するつもりです。
by fanseab | 2010-02-28 20:58 | | Comments(10)

翳りゆく楽園(2月23日)

 拙ブログでは初めての書籍紹介です。管理人もネットの時代になって、本を読む時間がめっきり減りましたが、時々思い出したように読書をしたくなる時があります。今回ご紹介するのは、今話題の生物多様性を扱った書籍で、原題は、「Out of Eden: An Odyssey of Ecological Invation 」。テーマは、外来種が在来の生態系にどのような影響を与えるのか。米国内の様々な事例を引用して詳細に語られています。

f0090680_23202218.jpg


 管理人が居住する神奈川県内では、人為的に導入されたアカボシゴマダラが外来種としては異常に繁殖し、在来種、ゴマダラチョウとの競合が議論されています。北海道では、オオモンシロチョウ、カラフトセセリが、ちょっと昔には沖縄のバナナセセリ・・・。蝶の世界でも外来種は結構ありますね。

 ただ、この本では残念ながら?蝶の事例は一つも紹介されていません。むしろ、我々の知らない爬虫類や海洋生物における外来種の侵略ストーリーが極めて興味深く語られています。グアム島に侵入したミナミオオガシラヘビがグアム島在来の野鳥をことごとく絶滅に追いやったエピソードでは、このヘビの行動パターンを知るため、夜中に懐中電灯をかざしながらグアムのジャングル内を彷徨い、ヘビに赤い糸をつけての追跡等、昼間に生態を追跡できる蝶とは比較にならない観察の難しさがわかります。

 一方、在来種の生態調査では、ハワイ島・キラウエア火山が作り出した溶岩トンネル内に生息するウンカ類の探索が面白いです。真っ暗闇の世界で地上から延びる在来植物、オヒアの根から吸汁するウンカ類は、求愛行動に♂が腹を振動させて、オヒアの根を共振させ、♀をおびき寄せるのだとか。 
彼らの愛の媒介をするオヒアが外来植物に侵略されて減少することが、ウンカの運命を左右している。。。。生態系とは本当に複雑に絡み合ったジグソーパズルのようなものだと思います。それにしても、真っ暗闇の溶岩トンネル内で、狭いトンネルを潜り抜けるため、体中傷だらけになって、ウンカを調査する研究者の苦労も大変なものだと思いました。

 先日、「チョウ類保全協会の集い」に参加し、「生物多様性の保全」について考える機会がありました。
ただ、この本を読んだ後、特定の蝶を保全することが、果たして生物多様性の保全に繋がるか?少し疑問を持つようになりました。例えば、ギフチョウを保全するため雑木林の下草を刈る作業があります。この時、この下草内に棲む在来の貴重な雑昆虫種が生息しているとしましょう。この昆虫が下草を刈られると、絶滅に追いやられる危機があるとした時、ギフを残すことと、その昆虫を保全することは完璧に矛盾します。『ギフを絶滅に追いやったのも人間のエゴであるならば、ギフを保全するのも人間(蝶屋)のエゴである』。複雑なジグソーパズルは簡単に解けないなぁ~と思っています。普段そんな思考パターンを蝶屋はしませんけど、この本を読んで、チョウの保全を少し広い視野から考えることが重要だなと気づかされました。一読をお勧めする好著です。


「翳りゆく楽園」
アラン・バーディック著、伊東和子訳
ランダムハウス講談社刊、ISBM978-4-270-00532-3
2400円
by fanseab | 2010-02-22 23:21 | 書籍 | Comments(8)

第6回チョウ類の保全を考える集い(2月13日)

 昨日、神奈川県立生命の星・地球博物館で開催された首題集いに出席してきました。詳しくはこちらをご覧下さい。生憎、みぞれ混じりの寒い雪の舞う天候でしたが、熱心な参加者と一緒に保全活動についての楽しいお話が聞けました。講演の様子を少しご紹介しておきましょう。
f0090680_20545154.jpg

f0090680_2055358.jpg


 この日の目玉講演は環境省自然環境局計画課・生物多様性条約係長、奥田青洲氏による、「COP10と生物多様性の保全」。管理人も恥ずかしながらCOP10の開催背景について、正直理解しておりませんでしたので、条約締結にいたる経緯とか、日本国内での現状進捗とか頭を整理する良い機会になりました。質疑でのポイントは例によって、縦割り行政の弊害で、環境省と経済産業省、国土交通省との調整が殆ど実施されないまま物事が進む・・・状態のようで、その弊害を排除してスムースに実務を進めるにはNPO/NGOのサポートが重要だ・・・との認識でまとめられていました。

 当日はブログ仲間やチョウ撮影仲間も参加されておりましたが、生憎、管理人は急用で後半の部と楽しみにしていた懇親会も欠席を余儀なくされ、ちょっと心残りの一日となりました。寒い中、集いに参加された方、大変お疲れ様でした。
by fanseab | 2010-02-14 20:57 | | Comments(2)

本体HPの更新:南ベトナムの蝶(2月5日)

 首題画像更新の第2弾です。今回更新分は4科16種。前回同様、下記種名をクリックすると対応するサイトのページにジャンプします。

(1)アオスジアゲハ(Graphium sarpedon
(2)タイワンスジグロチョウ(Cepora nerissa
(3)ヒメトガリシロチョウ(Appias libythea
(4)カワカミシロチョウ(Appias albina
(5)ナミエシロチョウ(Appias paulina
(6)ヒメウラナミシジミ(Prosotas nora
(7)オナシウラナミシジミ(Anthene emolus
(8)プセウドケンタウルスムラサキシジミ(Arhopala pseudocentaurus
(9)ウスイロコノマチョウ(Melenitis leda
(10)クロコノマチョウ(Melenitis phedima
(11)コノマムラサキ(Coelites nothis
(12)インテルメディアコジャノメ(Mycalesis intermedia
(13)ソトグロカギバタテハ(Rhinopalpa polynice
(14)キオビコノハ(Yoma sabina
(15)ジュリイコイナズマ(Tanaecia julii
(16)コキトゥスヒメイナズマ(Cynitia cocytus

 サイトにアップした画像をやや大サイズで紹介しておきましょう。
最初はカワカミシロチョウ(Appias albina dauta)♀。                 ++画像はクリックで拡大されます++                           
f0090680_21455922.jpg
D70、ISO=500, F3.5-1/640、+0.7EV、撮影年月日・時刻:2007年5月1日、9時58分

 熱帯シロチョウ類では例外的に清楚な感じがする種類です。お次はヒメウラナミシジミ(Prosotas nora ardates)♀の飛翔シーン。
f0090680_21461254.jpg
D70S-24(トリミング)、ISO=500, F6.3-1/500、+0.3EV、外部ストロボ、調光補正12/16、撮影年月日・時刻:2007年4月29日、16時23分

 産卵モードで比較的低速飛行で何とか視野に入りました。3枚目はオナシウラナミシジミ(Anthene emolus emolus)の訪花シーン。
f0090680_2146274.jpg
D70、ISO=500, F5-1/1000、+0.3EV、撮影年月日・時刻:2007年5月1日、13時52分

 深紅の花に来てくれてやっと熱帯アジアらしい画像が撮れてホッとしたことを思い出します。タテハ類で最も特徴的な翅形でインパクトがあったのがソトグロカギバタテハ(Rhinopalpa polynice eudoxia)♂。
f0090680_21464018.jpg
D70、ISO=500, F9-1/1000、撮影年月日・時刻:2007年5月2日、12時57分

 本種はそんなに個体数が多いタテハではなさそうですので、ド完品に会えて運が良かったかもしれません。南ベトナムの蝶については、次回に未掲載分残りの更新を予定しています。
by fanseab | 2010-02-05 21:47 | | Comments(9)